JP2007328596A - 対称性を有する構造物モデルの振動解析の方法 - Google Patents

対称性を有する構造物モデルの振動解析の方法 Download PDF

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Abstract

【課題】構造物モデルの対称性を利用して生成されたシステム行列に基づいて振動解析を行う方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る振動解析方法は、人工的な境界条件を指定する煩雑さを回避するために全体構造を解析することを前提とし、板構造物モデルを直交座標系へ配置した状態で、対称性を有する構造物モデルを対称となる軸または平面で2つの部分に分割し、各々の部分を第1構造物モデルと第2構造物モデルとして有限要素に分割する。次に、有限要素に分割された第1構造物モデルの各節点に許される自由度に基づいたシステム行列として第1システム行列を生成する。次に、第1システム行列から第2の構造に対するシステム行列として第2システム行列を生成する。次に、第1システム行列および第2システム行列から構造物モデル全体の運動方程式を生成する。最後に、構造物モデル全体の運動方程式に基づいて振動解析を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、有限要素法によって構造物モデルの振動解析を行う方法に関する。より詳細には、本発明は、振動解析を行う対象となる構造物モデルが対称性を有する場合において、構造物モデルの対称性を利用して生成されたシステム行列(剛性行列および質量行列の両者、または剛性行列と質量行列のいずれかの総称)に基づいて振動解析を行う方法に関する。
一般に、構造物モデルの振動解析には有限要素法が用いられている。有限要素法を用いて構造全体を解析する場合には、構造物モデル全体を有限要素に分割するために準備するインプット・データが構造全体に対して必要であり、システム行列の自由度は大きく計算量が多くなる。また、近年の構造物モデルの複雑化に伴って振動解析に要する計算量はますます大きくなってきているという事情がある。このような事情に鑑み、特許文献1には、対称性を利用して構造物モデル全体の半分の構造のみを解析する方法が開示されている。この方法は半分の構造のみを有限要素に分割すればよく、準備するインプット・データの量およびシステム行列の自由度は構造物モデル全体の振動解析を行う場合の略半分になり計算量も減る。
特開2000−16302号公報
しかしながら、対称性を有する構造物モデルを解析する場合、このような方法では、人工的な境界として、対称条件および反対称条件を指定することが必要になる。したがって、解析は対称境界条件と反対称境界条件の場合の2回必要になり二つの解析結果を結合することが必要になり煩雑になる。
本発明は、上記のような技術的背景に基づいてなされたものであり、その目的は、幾何学的に対称性を有する構造物モデルの振動解析において、第1に、人工的な境界条件を指定する煩雑さを無くすために構造物モデルの全体を解析すること、第2に、データ作成を効率化するため準備するインプット・データ量を低減させること、第3に、幾何学的に対称性を有する半分の構造のシステム行列が互いに数値的対称性を保持するようにすることである。
上記の課題を解決するために本発明では以下の構成を有する。本発明の一つの特徴によれば、線対称である形状を有する構造物をモデル化した構造物モデルに対して有限要素法によって生成した剛性行列および質量行列を利用した振動解析を実施する方法であって、
前記構造物モデルは、互いに線対称の関係にある第1構造モデルと第2構造モデルとに分割可能であり、線対称の対称軸を第1座標軸として、前記第1座標軸に対して垂直な第2座標軸と前記第1座標軸を含む平面内に配置された状態で、複数の要素に分割されて複数の節点の集合として定義されており、
前記節点の各々は、そこに許される所定の自由度の方向に対してそれぞれ所定の弾性係数および質量係数を有しており、
前記剛性行列および前記質量行列は、それぞれ前記所定の弾性係数および質量係数を要素とし、
前記節点における前記所定の自由度は、並進自由度および回転自由度を含んでおり、
前記並進自由度は、前記第1座標軸に平行な第1並進自由度と、前記第2座標軸に平行な第2並進自由度と、前記第1座標軸および前記第2座標軸に対して垂直な第3座標軸に対して平行な第3並進自由度から構成されており、
前記回転自由度は、前記第1座標軸回りの方向の第1回転自由度と、前記第2座標軸回りの方向の第2回転自由度と、前記第3座標軸回りの方向の第3回転自由度から構成されており、
当該方法は、
前記第1構造モデルの剛性行列に対して、
各々の前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する変位を要素とする節点変位列ベクトルと、
前記節点変位列ベクトルに前記剛性行列を行列演算した結果に対応する列ベクトルである、各々の前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する弾性力を要素する節点弾性力列ベクトルとを定義した場合に、
前記節点変位列ベクトルで表される各節点の各自由度に対する所定の弾性係数を表す前記第1構造モデルの第1剛性行列を前記第1構造モデルの前記各節点の位置及び前記所定の弾性係数に基づいて生成する第1剛性行列生成ステップと、
前記第2構造モデルの剛性行列に対して、
各節点の各自由度に対する所定の弾性係数を表す前記第2構造モデルの第2剛性行列を、前記第1剛性行列を複製した行列の所定の要素に対して符号反転操作を行うことによって生成する第2剛性行列生成ステップと、
前記構造モデル全体の剛性行列に対して、
前記第1構造モデルの第1剛性行列と前記第2構造モデルの第2剛性行列から構造物モデル全体の剛性行列を生成する剛性行列結合ステップとを有し、
前記第2剛性行列生成ステップは、
前記第1剛性行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる列の要素として、弾性力列ベクトルを変位列ベクトルによって表す関係式において、前記節点変位列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素と行列演算の対象となる前記第1剛性行列の列の要素を符号操作候補列要素として特定し、
前記第1剛性行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる行の要素として、弾性力列ベクトルを変位列ベクトルによって表す関係式において、前記節点弾性力列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素を求めるときに行列演算の対象となる前記第1剛性行列の行の要素を符号操作候補行要素として特定し、
前記第1剛性行列を複製した行列において、前記符号操作候補列要素または前記符号操作候補行要素のいずれか一方に該当する要素に対してのみ符号反転操作を適用することによって前記第2剛性行列を生成し、
前記第1構造モデルの質量行列に対して、
各々の前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する加速度を要素とする節点加速度列ベクトルと、
前記節点加速度列ベクトルに前記質量行列を行列演算した結果に対応する列ベクトルである、各々の前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する慣性力を要素する節点慣性力列ベクトルとを定義した場合に、
前記節点加速度列ベクトルで表される各節点の各自由度に対する所定の質量係数を表す前記第1構造モデルの第1質量行列を前記第1構造モデルの前記各節点の位置及び前記所定の質量係数に基づいて生成する第1質量行列生成ステップと、
前記第2構造モデルの質量行列に対して、
各節点の各自由度に対する所定の質量係数を表す前記第2構造モデルの第2質量行列を、前記第1質量行列を複製した行列の所定の要素に対して符号反転操作を行うことによって生成する第2質量行列生成ステップと、
前記構造モデル全体の質量行列に対して、
前記第1構造モデルの第1質量行列と前記第2構造モデルの第2質量行列から構造物モデル全体の質量行列を生成する質量行列結合ステップとを有し、
前記第2質量行列生成ステップは、
前記第1質量行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる列の要素として、慣性力列ベクトルを加速度列ベクトルによって表す関係式において、前記節点加速度列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素と行列演算の対象となる前記第1質量行列の列の要素を符号操作候補列要素として特定し、
前記第1質量行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる行の要素として、慣性力列ベクトルを加速度列ベクトルによって表す関係式において、前記節点慣性力列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素を求めるときに行列演算の対象となる前記第1質量行列の行の要素を符号操作候補行要素として特定し、
前記第1質量行列を複製した行列において、前記符号操作候補列要素または前記符号操作候補行要素のいずれか一方に該当する要素に対してのみ符号反転操作を適用することによって前記第2質量行列を生成するものであることを特徴とする振動解析を実施する方法が提供される。
好ましい態様では、前記線対称である形状を有する構造物に対して、前記構造物モデル全体の剛性行列および前記構造物モデル全体の質量行列を用いた有限要素法による振動解析を実施する方法が提供される。
本発明の別の特徴によると、
面対称である形状を有する構造物をモデル化した構造物モデルに対して有限要素法によって生成した剛性行列および質量行列を利用した振動解析を実施する方法であって、
前記構造物モデルは、互いに面対称の関係にある第1構造モデルと第2構造モデルとに分割可能であり、面対称の対称面を第1座標軸および第3座標軸を含む平面として、前記対称面に垂直な第2座標軸と前記第1座標軸とを含む平面に対して第1座標軸の時計回りおよび反時計回りにそれぞれ角度θをなす各平面内に前記第1構造モデルおよび前記第2構造モデルのそれぞれを配置した状態で、複数の要素に分割されて複数の節点の集合として定義されており、
前記節点の各々は、そこに許される所定の自由度の方向に対してそれぞれ所定の弾性係数および質量係数を有しており、
前記剛性行列および前記質量行列は、それぞれ前記所定の弾性係数および質量係数を要素とし、
前記節点における前記所定の自由度は、並進自由度および回転自由度を含んでおり、
前記並進自由度は、前記第1座標軸に平行な第1並進自由度と、前記第2座標軸に平行な第2並進自由度と、前記第1座標軸および前記第2座標軸に対して垂直な第3座標軸に対して平行な第3並進自由度から構成されており、
前記回転自由度は、前記第1座標軸回りの方向の第1回転自由度と、前記第2座標軸回りの方向の第2回転自由度と、前記第3座標軸回りの方向の第3回転自由度から構成されており、
当該方法は、
前記第1構造モデルの剛性行列に対して、
前記第1構造モデルを定義する各節点を前記第1座標軸の反時計回りに角度θ回転させて前記第1座標軸および前記第2座標軸を含む平面上に写像するステップと、
各々の写像された前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する変位を要素とする節点変位列ベクトルと、
前記節点変位列ベクトルに前記剛性行列を行列演算した結果に対応する列ベクトルである、各々の写像された前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する弾性力を要素とする節点弾性力列ベクトルとを生成する列ベクトル生成ステップと、
前記節点変位列ベクトルで表される各々の写像された節点の各自由度に対する所定の弾性係数を表す前記第1構造物モデルの第1剛性行列を前記第1構造モデルの前記各節点の位置及び前記所定の弾性係数に基づいて生成する第1剛性行列生成ステップと、
前記第2構造モデルの剛性行列に対して、
各節点の各自由度に対する所定の弾性係数を表す前記構造物モデルの第2剛性行列を、前記第1剛性行列を複製した行列の所定の要素に対して符号反転操作を行うことによって生成する第2剛性行列生成ステップと、
前記第1剛性行列を前記第1座標軸の時計回りに角度θ回転させる第1剛性行列回転変換ステップと、
前記第2剛性行列を前記第1座標軸の反時計回りに角度θ回転させる第2剛性行列回転変換ステップと、
前記構造モデル全体の剛性行列に対して、
前記第1座標軸の時計回りおよび反時計回りに角度θ回転した後の前記第1剛性行列および前記第2剛性行列から構造物モデル全体の剛性行列を生成する剛性行列結合ステップと、を有し、
前記第2弾性行列生成ステップは、前記第1剛性行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる列の要素として、弾性力列ベクトルを変位列ベクトルによって表す関係式において、前記節点変位列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素と行列演算の対象となる前記第1剛性行列の列の要素を符号操作候補列要素として特定し、
前記第1剛性行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる行の要素として、弾性力列ベクトルを変位列ベクトルによって表す関係式において、前記節点弾性力列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素を求めるときに行列演算の対象となる前記第1剛性行列の行の要素を符号操作候補行要素として特定し、
前記第1剛性行列を複製した行列において、前記符号操作候補列要素または前記符号操作候補行要素のいずれか一方に該当する要素に対してのみ符号反転操作を適用することによって前記第2剛性行列を生成し、
前記第1構造モデルの質量行列に対して、
前記第1構造モデルを定義する各節点を前記第1座標軸の反時計回りに角度θ回転させて前記第1座標軸および前記第2座標軸を含む平面上に写像するステップと、
各々の写像された前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する加速度を要素とする節点加速度列ベクトルと、
前記節点加速度列ベクトルに前記質量行列を行列演算した結果に対応する列ベクトルである、各々の写像された前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する慣性力を要素とする節点慣性力列ベクトルとを生成する列ベクトル生成ステップと、
前記節点加速度列ベクトルで表される各々の写像された節点の各自由度に対する所定の質量係数を表す前記第1構造物モデルの第1質量行列を前記第1構造モデルの前記各節点の位置及び前記所定の質量係数に基づいて生成する第1質量行列生成ステップと、
前記第2構造モデルの質量行列に対して、
各節点の各自由度に対する所定の質量係数を表す前記構造物モデルの第2質量行列を、前記第1質量行列を複製した行列の所定の要素に対して符号反転操作を行うことによって生成する第2質量行列生成ステップと、
前記第1質量行列を前記第1座標軸の時計回りに角度θ回転させる第1質量行列回転変換ステップと、
前記第2質量行列を前記第1座標軸の反時計回りに角度θ回転させる第2質量行列回転変換ステップと、
前記構造モデル全体の質量行列に対して、
前記第1座標軸の時計回りおよび反時計回りに角度θ回転した後の前記第1質量行列および前記第2質量行列から構造物モデル全体の質量行列を生成する質量行列結合ステップと、を有し、
前記第2質量行列生成ステップは、前記第1質量行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる列の要素として、慣性力列ベクトルを加速度列ベクトルによって表す関係式において、前記節点加速度列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素と行列演算の対象となる前記第1質量行列の列の要素を符号操作候補列要素として特定し、
前記第1質量行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる行の要素として、慣性力列ベクトルを加速度列ベクトルによって表す関係式において、前記節点慣性力列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素を求めるときに行列演算の対象となる前記第1質量行列の行の要素を符号操作候補行要素として特定し、
前記第1質量行列を複製した行列において、前記符号操作候補列要素または前記符号操作候補行要素のいずれか一方に該当する要素に対してのみ符号反転操作を適用することによって前記第2質量行列を生成するものであることを特徴とする振動解析を実施する方法が提供される。
好ましい態様では、前記面対称である形状を有する構造物に対して、前記構造物モデル全体の剛性行列および前記構造物モデル全体の質量行列を用いた有限要素法による振動解析を実施する方法が提供される。
また、別の好ましい態様では、前記第1剛性行列生成ステップおよび前記第1質量行列生成ステップは、さらに、対称軸上または対称面上にある境界節点とそれ以外の内部節点とを識別し、前記第1剛性行列および第1質量行列に部分構造法を適用して、前記内部節点の節点変位列ベクトルおよび節点加速度列ベクトルの要素の数が縮小された節点変位列ベクトルおよび節点加速度列ベクトルを生成し、
さらに、縮小された該節点変位列ベクトルおよび該節点加速度列ベクトルの各要素と行列演算の対象となる剛性行列および質量行列であって、要素の数が縮小された第1縮小サイズ剛性行列および質量行列を、前記第1剛性行列および前記第1質量行列として生成し、
前記第2剛性行列生成ステップおよび前記第2質量行列生成ステップは、
第1縮小サイズ剛性行列および第1縮小サイズ質量行列を複製した行列の符号反転操作によって第2縮小サイズ剛性行列および第2縮小サイズ質量行列を、前記第2剛性行列および前記第2質量行列として生成するステップであって、
前記第2剛性行列生成ステップにおいて、
前記第1縮小サイズ剛性行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる列の要素として、境界節点に作用する弾性力列ベクトルを変位列ベクトルによって表す関係式において、前記境界節点のそれぞれに対する変位列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素と行列演算の対象となる前記第1縮小サイズ剛性行列の列の要素を符号操作候補列要素として特定し、
前記第1縮小サイズ剛性行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる行の要素として、境界節点に作用する弾性力列ベクトルを変位列ベクトルによって表す関係式において、前記境界節点のそれぞれに対する弾性力列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素を求めるときに行列演算の対象となる前記第1縮小サイズ剛性行列の行の要素を符号操作候補行要素として特定し、
前記第1縮小サイズ剛性行列を複製した行列において、前記符号操作候補列要素または前記符号操作候補行要素のいずれか一方に該当する要素に対してのみ符号反転操作を適用することによって前記第2縮小サイズ剛性行列を生成し、
前記第2質量行列生成ステップにおいて、前記第1縮小サイズ質量行列を複製した行列の符号反転操作は、前記第1縮小サイズ剛性行列を複製した行列の符号反転操作として特定した前記符号操作候補列要素または前記符号操作候補行要素のいずれか一方に該当する前記第1縮小サイズ質量行列の要素に対してのみ符号反転操作を適用することによって前記第2縮小サイズ質量行列を生成するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の振動解析を実施する方法が提供される。
さらに別の好ましい態様では、前記線対称あるいは面対称である形状を有する構造物に対して、前記構造物モデル全体の縮小サイズ剛性行列および前記構造物モデル全体の縮小サイズ質量行列を用いた有限要素法によって振動解析を実施する方法が提供される。
本発明により、幾何学的に対称である第1および第2の構造を有する構造物モデルの振動解析において、一方の第1の構造についてシステム行列を作成しさえすれば、そのシステム行列の所定要素に対して符号変換操作を適用することによって第2のシステム行列を生成することができ、第1および第2のシステム行列に基づいて構造物モデル全体を解析することができる。さらに、部分構造法に適用することによって、第1の構造についてのシステム行列のサイズを縮小したシステム行列から自由度を縮小した全体モデルを生成することにより、演算量をさらに低減させることができる。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下の説明は、あくまでも本発明の例示にすぎず、以下の記載によって発明の技術的範囲が限定されるものではない。なお、異なる図において付されている同一の番号は、同等のものを指しているものとする。
[振動解析の全体フロー]
図1は、本発明の一実施形態に係る振動解析方法の全体フローについて示している。まず、本発明に係る振動解析方法は、人工的な境界条件を指定する煩雑さを回避するために全体構造を解析することを前提としている。板構造物モデルを直交座標系へ配置した状態で(S100)、対称性を有する構造物モデルを対称となる軸または平面で2つの部分に分割し(S110)、各々の部分を第1構造物モデルと第2構造物モデルとして有限要素に分割する(S120)。次に、有限要素に分割された第1構造物モデルの各節点に許される自由度に基づいたシステム行列として第1システム行列を生成する(S130)。次に、後述するような生成方法によって第1システム行列から第2の構造に対するシステム行列として第2システム行列を生成する(S140)。次に、第1システム行列および第2システム行列から構造物モデル全体の運動方程式を生成する(S150)。次に、分割面(対称面)以外に元々規定される境界条件を必要に応じて指定する(S155)。最後に、構造物モデル全体の運動方程式に基づいて振動解析を行う(S160)。このように、本発明に係る振動解析方法は、第1の構造に対するシステム行列を生成しさえすれば、これから容易に構造物モデル全体の運動方程式を生成することができるものである。
図2は、本発明の一実施形態に係る振動解析方法が、従来の対称性を考慮して半分の構造を解析する方法と相違する点を説明するための図である。本発明の一実施形態に係る振動解析方法のフローは実線の手順により実現されるものであり、点線で囲まれる従来の手順を不要とするものである。すなわち、本発明に係る方法によれば、システム行列を生成するために従来必要となっていた構造物モデル全体を有限要素に分割することや対称軸または対称面に対する境界条件を設定することが不要となり、演算量を大幅に削減することが可能となる。また、本発明に係る方法は、構造物モデル全体の振動解析を行うことを前提としているため、対称性を利用して構造物モデルの半分のモデルに対して振動解析を行う場合には不可能であった全ての固有振動モードの振動解析を実現している。
以下に、具体的な上記の振動解析方法の適用例として、対称性を有する板構造物モデルが一平面内にある場合と一平面内にない場合のそれぞれについて説明する。
[対称性を有する構造物のモデルが一平面内にある場合]
図3(a)および(b)に示すような対称性を有する板構造のモデルが一平面内にある場合の振動解析を行う方法について説明する。なお、以下の説明は、振動解析の対象となるモデルが厚みを有しないような板構造のモデルのみに対して適用可能であるというわけではなく、厚みを有するような構造物のモデルであっても、対称軸に対して対称性を有するような構造物のモデルである場合には適用可能である。
まず、前提として、板構造物モデルを直交座標系へ配置する(上記のS100)。
図3(a)に示すように、板構造物モデルは、例えば、線対称な形状として第1構造物モデル300および第2構造物モデル310から構成されているとする。まず、板構造物モデルを、線対称の対称軸を直交座標系の1つの軸である例えば第1座標軸(I軸)に一致させた状態で配置する。このとき、板構造物モデルは、第1座標軸(I軸)および第2座標軸(II軸)を含む平面に配置する。また、I軸およびII軸に対して垂直な軸を第3座標軸(III軸)とする。なお、図3(b)に示すように、板構造物モデルは、I軸およびIII軸を含む平面に配置されており、I軸およびIII軸に対して垂直な軸としてII軸を定義してもよい。さらに、I軸、II軸およびIII軸は、X軸、Y軸およびZ軸など他の直交座標系として表されるものであってもよく、また、座標系の配置は、例えばII軸を上記の対称軸としてもよい。
次に、対称性を有する構造物モデルを対称となる軸で2つの部分に分割し(上記のS110)、一方の第1構造物モデル300を有限要素に分割する(上記のS120)。
すなわち、第1構造物モデル300は、有限要素法に基づいて振動解析を行うべく、複数の要素420に分割されて複数の節点430の集合として定義する。具体的には、図4に示すように、第1構造物モデル300および第2構造物モデル310の対称軸410(図3(a)(b)のI軸)上にある節点の変位ベクトルを{Xb}(b=1、2、3、・・・、M、ただし、M=自由度×対称軸上の節点の数)とし、それ以外の節点の変位ベクトルを{Xi}(i=1、2、3、・・・、N、ただし、N=自由度×対称軸上にない節点の数)として定義する。
次に、有限要素420に分割された第1構造物モデル300の各節点430に許される自由度に基づいたシステム行列として第1システム行列を生成する(上記のS130)。
第1システム行列に基づいて、第1構造物モデルの振動の運動方程式は、以下のように表すことができる。
Figure 2007328596

Figure 2007328596
ここで、式(1)の第一項は、第1構造物モデルの慣性力を表す項であり、第1構造物モデルの加速度ベクトルと質量システム行列との積で表されている。質量システム行列は、各節点の自由度に対する質量係数を表す質量システム行列である。第二項は、第1構造物モデルの弾性力を表す項であり、第1構造物モデルの変位ベクトルと剛性システム行列との積で表されている。剛性システム行列は、各節点の自由度に対する弾性係数を表す剛性システム行列である。なお、自由度は、各座標軸の並進方向に対する自由度を指示する並進自由度と、各座標軸の回転方向に対する自由度を指示する回転自由度とから構成されるものである。より具体的には、並進自由度は、上記の例では、直交座標系のI軸に平行な並進自由度、II軸に平行な並進自由度、およびIII軸に平行な並進自由度を指示するものである。また、回転自由度は、I軸回りの方向の回転自由度、II軸回りの方向の回転自由度、およびIII軸回りの方向の回転自由度を指示するものである。したがって、上記の加速度ベクトルおよび変位ベクトルは、自由度の数(6自由度)に節点の数を乗じた数の要素を有する列ベクトルとなる。また、質量システム行列および剛性システム行列は、6自由度に節点の数を乗じた数の要素をそれぞれ有する行および列から構成される行列となる。
なお、式(2)は、第1構造物モデルにおいて節点の慣性力と節点の加速度との関係を表したものであり、式(3)は、第1構造物モデルにおいて節点の弾性力と節点の変位との関係を表したものである。
次に、式(1)に示される第1構造物モデルの質量システム行列および剛性システム行列から第2構造モデルの質量システム行列および剛性システム行列をそれぞれ生成する方法について説明する(上記のS140)。
ここでは、説明の簡単のために、式(3)に示される第1構造物モデルの剛性システム行列から第2構造物モデルの剛性システム行列を求める方法について説明する。なお、第2構造物モデルの質量システム行列を求める方法は、剛性システム行列を求める方法と同様な方法でシステム行列の符号を操作することにより求めることができる。
既に述べたように、第1構造物モデルと第2構造物モデルは幾何学的形状が線対称である。したがって、質量システム行列および剛性システム行列の各節点に対する質量係数および弾性係数の大きさは、第1構造物モデルと第2構造物モデルにおいて幾何学的に対応する節点同士を対比した場合に同じものとなる。一方、図5に示されるように、座標系を対称軸であるI軸の回りに180度回転変換して、第1構造物モデルと第2構造物モデルの幾何学的に対応する各節点の各自由度の方向を対比すると、第1構造物モデルと第2構造物モデルの幾何学的に対応するそれぞれの節点の自由度は、対称軸であるI軸に関連する自由度については方向が同じであるが、II軸およびIII軸の方向に関連する自由度については方向が異なっている。すなわち、第2構造物モデルのシステム行列を第1構造物モデルのシステム行列に基づいて生成する場合には、第1構造物モデルと第2構造物モデルのシステム行列は、上記のように座標系の回転変換の前後で、II軸およびIII軸の方向に関連する自由度については方向が異なることを考慮して第2構造物モデルのシステム行列は生成される必要がある。本発明はこの点に着目し、座標系を対称軸であるI軸の回りに180度回転変換したときに、第1構造物モデルのシステム行列の各要素を変換後の座標系に対応するように符号変換したものを第2構造物モデルのシステム行列とするものである。以下、具体的に説明する。
まず、図5(a)、(b)および(c)に示されるように、各節点の並進自由度および回転自由度のそれぞれに対する変位を要素とする変位ベクトルをI軸の回りに180度回転する。このとき、変位ベクトルを構成する要素のうち、I軸に平行な並進自由度uおよびI軸回りの方向の回転自由度Rxは、回転後の座標系においても方向が変化しない。一方、II軸およびIII軸のそれぞれに対応する並進自由度v、wと、回転自由度Ry、Rzは、方向が逆向きとなる。したがって、ある1つの節点について、180度回した変位ベクトルの方向と、座標変換前の変位ベクトルの方向との関係は式(4)のように示される。
Figure 2007328596
(4)
行列Tを参照すると、変位ベクトル{X}の要素のうち、並進自由度v、w、回転自由度Ry、Rzの要素に対して、符号を反転させるように行列Tの各要素は構成されていることがわかる。
さらに、式(4)の関係を全ての節点に適用すると、式(5)のように表すことができる。
Figure 2007328596
(5)
また、弾性力ベクトル{Zi,bTに対しても上記の座標変換の前後で変位ベクトルと同様の関係が得られるため、第2構造物モデルの弾性力は、180度回した第1構造物モデルの弾性力を座標変換して、式(6)のように表すことができる。
Figure 2007328596
(6)
同様に、第2構造物モデルの慣性力は、180度回した第1構造物モデルの慣性力を座標変換して、式(7)のようになる。


Figure 2007328596
(7)
次に、式(6)および式(7)の右辺の変位および加速度を式(5)を適用して座標変換すると、それぞれ、式(6)'および式(7)'のように表される。
Figure 2007328596

Figure 2007328596
以上より、式(6)'および式(7)'を整理して両者を加算することにより、第2構造物モデルの振動の運動方程式は、式(8)のように表すことができる。
Figure 2007328596
(8)
第一項は、第2構造モデルの慣性力として、質量システム行列と加速度ベクトルの積を表す項である。一方、第二項は、第2構造物モデルの弾性力として、剛性システム行列と変位ベクトルを表す項である。
次に、構造物モデル全体の振動の運動方程式を生成する(上記のS150)。すなわち、式(1)と式(8)の{Xb}は共通であり、両者を結合することにより、第1構造物モデルおよび第2構造物モデルからなる構造物モデル全体の運動方程式を式(9)のように得ることができる。
Figure 2007328596
(9)
ここで、{X1i}は第1構造物モデルに対応し、{X2i}は第2構造物モデルに対応し、{Xb}は両者に共通である。
このように、第1構造物モデルのシステム行列を生成しさえすれば、そのシステム行列を複製した行列に対して上記の方法に従って行列の所定の要素に対する符号反転操作を行うことによって容易に第2構造物モデルのシステム行列を生成することができる。
最後に、構造物モデル全体の運動方程式に基づいて振動解析を行う(S160)。具体的には、有限要素法により第1構造物モデルのシステム行列を生成し、複製した第1構造物モデルのシステム行列を座標変換することにより第2構造物モデルのシステム行列を生成し、両者を結合することによって構造物モデル全体の運動方程式を生成し、構造物モデル全体の運動方程式を用いて振動解析を行うことができる。
[符号反転操作の詳細な説明1]
ここで、上述した式に基づいて、第1構造物モデルと第2構造物モデルにおいてそれぞれ対応するシステム行列の符号の変化の様子について詳述する。上述の通り、第2構造物モデルにおける剛性システム行列および質量システム行列の対応する各要素の符号はそれぞれ同じであることから、ここでは、剛性システム行列の各要素の符号の変化を追跡することにより、第2構造物モデルのシステム行列の生成方法について説明することにする。
第1構造物モデルと第2構造物モデルにおいてそれぞれ対応する剛性システム行列の各要素の符号の変化を追跡するために、式(3)と式(6)'とを対比する。両モデルの剛性システム行列を対比すると、第1構造物モデルの剛性システム行列は、
Figure 2007328596
であり、一方、第2構造物モデルの剛性システム行列は、
Figure 2007328596
である。ここで、第2構造物モデルの剛性システム行列は、第1構造物モデルの剛性システム行列に対して、左側からも右側からも同じ符号変換行列として、
Figure 2007328596
が掛けられていることがわかる。
この点、左側から掛けられている符号変換行列は、式(6)の関係からわかるように弾性力ベクトルの座標変換に伴うものであり、行列演算の性質から第1構造物モデルの剛性システム行列の行の要素を符号反転操作するものである。これは、式(3)の弾性力と変位との関係式において、弾性力ベクトルのII軸およびIII軸に平行な力の要素、および、II軸およびIII軸回りの回転力の要素それぞれの方向を変換するために第1構造物モデルの剛性システム行列の行の要素を符号反転操作するものであるといえる。すなわち、結果として符号反転操作の対象となる要素は、式(3)の弾性力と変位との関係式において、弾性力ベクトルの第2並進自由度と第3並進自由度と第2回転自由度と第3回転自由度に対応する要素をそれぞれ求めるときに行列演算の対象となる第1構造物モデルの剛性システム行列の行の要素である。
一方、右側から掛けられている符号変換行列は、式(5)の右辺の構成からわかるように変位ベクトルの座標変換に伴うものであり、行列演算の性質から第1構造物モデルの剛性システム行列の列の要素を符号反転操作するものである。また、結果として、これは、式(3)の弾性力と変位との関係式において、変位ベクトルの並進自由度v、w、回転自由度Ry、Rzの要素と行列演算される第1構造物モデルの剛性システム行列の列の要素を符号反転操作するものであるといえる。
そして最終的には、第1構造物モデルと第2構造物モデルにおいてそれぞれ対応する剛性システム行列の各要素の符号は、左右両方から同じ符号変換行列を掛けられる結果として得られるものである。すなわち、第1構造物モデルの剛性システム行列において、変位ベクトルの座標変換に伴って左側から掛けられる符号変換行列によって符号反転操作される前記列の要素であり、かつ、弾性力ベクトルの座標変換に伴って右側から掛けられる符号変換行列によって符号反転操作される前記行の要素である要素は、行列演算によって符号反転操作が2回行われ、その要素については、第1構造物モデルと第2構造物モデルで符号の変化はしない。言い換えれば、第2構造物モデルの剛性システム行列を求める際に、第1構造物モデルの剛性システム行列において符号反転操作される要素は、前記列の要素または前記行の要素のいずれか一方に属する要素である。
[符号反転操作の詳細な説明2]
上記においては、式(3)と式(6)'の剛性システム行列を対比することに基づいて符号反転操作の様子について述べた。ここでは、第2構造物モデルのシステム行列の符号反転操作の様子をより具体的に説明するために、簡易モデルとして、節点数を4つとした要素数が1つのみの場合について説明する。
図6は、節点を4つとしたときの板構造モデルを示している。この板構造モデルは、線対称な第1構造物モデル300および第2構造物モデル310から構成される。ここでは、線対称の対称軸を節点1および節点2を通るX軸とし、節点1および節点3を通る軸をY軸とし、X軸およびY軸に垂直な軸をZ軸とする。このように、板構造モデルがXYZ直交座標系において配置されていることを前提として、第1構造物モデルのシステム行列から第2構造物モデルのシステム行列を生成するときのシステム行列の要素の符号反転の様子について説明する。なお、ここでは、システム行列は、説明の簡単のために面外曲げモデルのみについて考えることにする。このとき、各節点の自由度は3つの自由度、すなわちZ軸方向の並進自由度w、X軸回りの回転自由度Rx、Y軸回りの回転自由度Ryであり、変位ベクトルおよび弾性力ベクトルは4節点×3自由度=12要素のベクトルであり、剛性システム行列は12行×12列の大きさの行列である。
表1は、変位または弾性力のベクトル列の各要素と、節点の番号と、各節点におけるそれぞれの自由度と、座標変換として変位ベクトル列をX軸回りに180度回転させたときに自由度の方向の反転の有無との対応関係を表したものである。節点1および節点2の変位ベクトル列は、式(5)の対称軸上の節点の変位ベクトル{Xb}に対応し、{Xb1、Xb2、Xb3、Xb4、Xb5、Xb6}である。また、節点3および節点4の変位ベクトル列は、式(5)の対称軸上以外の変位ベクトル{Xi}に対応し、{Xi1、Xi2、Xi3、Xi4、Xi5、Xi6}である。一方、節点1および節点2の弾性力ベクトル列は、式(5)の対称軸上の節点の弾性力ベクトル{Zb}に対応し、{Zb1、Zb2、Zb3、Zb4、Zb5、Zb6}である。また、節点3および節点4の弾性力ベクトル列は、式(5)の対称軸上以外の弾性力ベクトル{Zi}に対応し、{Zi1、Zi2、Zi3、Zi4、Zi5、Zi6}である。







表1
Figure 2007328596
表1からわかるように、変位ベクトルに関していえば、方向が反転する変位ベクトル列の要素は、Xb1、Xb3、Xb4、Xb6、Xi1、Xi3、Xi4、Xi6である。これは、ここではX軸を対称軸としているため、第1構造物モデルをX軸回りに180度回転して第2構造物モデルに重なるように座標変換しても、自由度Rxの方向は反転しない一方で、自由度wおよびRyの方向は反転することに起因する。したがって、各節点の自由度wおよびRyに対応する変位ベクトルの要素Xb1、Xb3、Xb4、Xb6、Xi1、Xi3、Xi4、Xi6は、上記の座標変換によって符号が反転する要素である(式(6)参照)。
したがって、符号反転操作の詳細な説明1において説明したように、第2構造物モデルの剛性システム行列は、式(6)'の行列演算によって求められることを考慮すると、式(3)の第1構造物モデルの弾性力の運動方程式において、変位ベクトルの自由度wおよびRyに対応する要素(Xb1、Xb3、Xb4、Xb6、Xi1、Xi3、Xi4、Xi6)とそれぞれ行列演算される剛性システム行列の列の要素、または、弾性力ベクトルの自由度wおよびRyに対応する要素(Zb1、Zb3、Zb4、Zb6、Zi1、Zi3、Zi4、Zi6)を求めるときにそれぞれ行列演算される剛性システム行列の行の要素のいずれか一方に属する要素の符号を反転させることによって、第2構造物モデルの剛性システム行列が求められる。
なお、具体的な結果として、上記の変位ベクトル列および弾性力ベクトルに対応する第1構造物モデルの剛性システム行列を表2に示す。また、第1構造物モデルの剛性システム行列を用いて上記の符号反転操作によって求められた第2構造物モデルの剛性システム行列を表3に示す。表2と表3から各々の剛性システム行列は、対応する各要素の大きさは同じであるが、上述の要素の符号が互いに反対になっていることがわかる。









表2
Figure 2007328596

表3
Figure 2007328596
[対称性を有する構造物モデルが一平面内にない場合]
次に、図7に示すように、対称性を有する板構造物モデルが一平面内にない場合ついて、板構造物モデルの振動解析を行う方法について説明する。
まず前提として、図7のように、板構造モデルは、面対称である形状として第1構造物モデル700および第2構造物モデル710から構成されているとする。また、板構造モデルは、例えば面対称の対称面を直交座標系の第1座標軸(I軸)および第3座標軸(III軸)を含む平面として、この平面(対称面)に垂直な軸を第2座標軸(II軸)として配置されているとする。また、図8に示すように、第1構造物モデルは、I軸に対して反時計回りに角度θをなす平面内に配置されており、第2構造物モデルは、I軸に対して時計回りに角度θをなす平面内に配置されているものとする。ここで、対称構造物モデルが一平面内にある場合と同様に、I軸、II軸およびIII軸は、X軸、Y軸およびZ軸など他の直交座標系として表されるものであってもよく、また、座標系の配置は例えばII軸およびIII軸を含む平面を対称面としてもよい。また、板構造物モデルは、複数の要素に分割されて複数の節点の集合として定義されている。このとき、対称面上にある節点の変位ベクトルを{Xb}(b=1、2、3、・・・、M、ただし、M=自由度×対称軸上の節点の数)とし、それ以外の節点の変位ベクトルを{Xi}(i=1、2、3、・・・、N、ただし、N=自由度×対称面上にない節点の数)とする。
ここで、このように板構造モデルが直交座標系に配置された状態で、この板構造モデルの節点を回転変換によってI軸およびII軸を含む平面に写像する。すなわち、第1構造物モデルの各節点は、I軸に対して時計回りに角度θ回転移動し、第2構造物モデルの各節点は、I軸に対して反時計回りに角度θ回転移動する。
次に、I軸およびII軸を含む平面に写像された板構造物モデルに対して、上述の対称構造物モデルが一平面内にある場合と同様に、式(1)および式(8)で表される運動方程式を求める。
次に、写像後の第1構造物モデルに対する質量システム行列および剛性システム行列をそれぞれI軸に対して反時計回りに角度θ回転変換し、写像前の第1構造物モデルに対応する質量システム行列および剛性システム行列を求める。また、写像後の第2構造物モデルに対する質量システム行列および剛性システム行列をそれぞれI軸に対して時計回りに角度θ回転変換し、写像前の第2構造物モデルに対応する質量システム行列および剛性システム行列を求める。
次に、板構造物モデルが一平面内にある場合の式(9)と同様に、第1構造物モデルの運動方程式と第2構造物モデルの運動方程式を結合して、構造物モデル全体の運動方程式を求める。
このように、I軸およびII軸を含む平面に写像された第1構造物モデルに対するシステム行列を生成しさえすれば、板構造物モデルが一平面内にある場合と同様の方法で所定の行列の要素に対する符号反転操作を行うことによって容易にI軸およびII軸を含む平面に写像された第2構造物モデルのシステム行列を生成することができる。そして、写像された後の第1構造物モデルおよび第2構造物モデルのシステム行列を元の平面に逆写像することにより、面対称である第1構造物モデルおよび第2構造物モデルのシステム行列を求めることができる。また、求めた第1構造物モデルのシステム行列および第2構造物モデルのシステム行列によって構造物モデル全体の運動方程式を生成し、構造物モデル全体の運動方程式から有限要素法を用いて振動解析を行うことができる。
これまで述べてきたように、本発明に係るシステム行列の生成方法の特徴は、対称性を有する板構造物モデルの一方の構成要素である第1構造物モデルに対するシステム行列を符号反転操作させることのみによってもう一方の第2構造物モデルに対するシステム行列を生成すること、すなわち、第1構造物モデルに対するシステム行列と第2構造物モデルに対するシステム行列との間に数値的対称性が保持されることにある。
[部分構造法による構造物モデル全体の作成]
上述した第1構造物モデルのシステム行列の符号反転操作に関して、第1構造物モデルのシステム行列に対して部分構造法を適用することにより、システム行列のサイズを縮小することができる。第1構造物モデルのシステム行列のサイズが縮小されることにより、第2構造物モデルのシステム行列を生成する際の符号反転操作を行う行列の要素数も上述の方法より低減することができため計算機の負担を減少させることができる。以下、対称性を有する構造物のモデルが一平面内にある(線対称である)場合および対称性を有する構造物のモデルが一平面内にない(面対称である)場合のそれぞれについて、部分構造法の適用方法について説明する。
まず、対称性を有する構造物のモデルが一平面内にある(線対称である)場合について説明する。
部分構造法として、Craig-Bampton法(Craig,R.R.Jr., Bampton, M.C.C., Coupling of Substructures for Dynamic Analysis, AIAA Journal, 6-7(1968), 1313-1319.)を適用することを考える。
そして、式(1)において示した第1構造物モデルのシステム行列に対して、対称軸上にある節点の変位を表す境界変位ベクトル{Xb}を拘束自由度とし、対称軸上以外の節点の変位を表す内部変位ベクトル{Xi}を内部自由度として定義する。そうすると、{Xb}を拘束自由度、{Xi}を内部自由度として部分構造法(Craig-Bampton法)を適用することにより、{Xi}は、一般化座標{qi}および{Xb}によって表すことができ、{Xi}および{Xb}は、{qi}および{Xb}を用いて式(10)のように表すことができる。なお、[Φi]、[Φc]はそれぞれ拘束固有モードベクトル、拘束モードベクトルを行列表示したものであり、[I]は単位行列である。
Figure 2007328596
(10)
次に、式(10)において、{qi}の必要な低次モードのみを残して、高次モードを切り捨てることにより、元の{Xi}の自由度より一般化座標{qi}の自由度の数を減らすことができる。具体的には、式(1)を式(10)により座標変換することにより縮小サイズのシステム行列を得ることができる。第1構造物モデルのシステムのシステム行列に部分構造法を適用して得られる縮小サイズのシステム行列に基づいた運動方程式を式(11)に示す。
Figure 2007328596
(11)
ここで、
Figure 2007328596
は、縮小された質量システム行列であり、
Figure 2007328596
は、縮小された剛性システム行列であり、{qi}は、内部節点の自由度をモーダル化した一般化座標であり、{Xb}は、対称軸上にある節点の変位ベクトル(拘束自由度)である。
次に、部分構造法を用いていない上述の方法と同様に、第1構造物モデルをI軸回りに180度回転する。そうすると、自由度の方向としては、一般化座標{qi}の方向は変更なく、物理座標である{Xb}のv、w、Ry、Rzの方向が逆になる。したがって、このとき、上記の式(5)に対応する符号変換の式は(12)のように表すことができる。
Figure 2007328596
(12)
次に、式(12)を用いて式(11)を符号変換操作することにより式(13)が得られ、第2構造物モデルの縮小されたシステム行列が生成される。
Figure 2007328596
(13)
式(11)および式(13)を結合することにより、構造物モデル全体に対する縮小サイズのシステム行列に基づいた運動方程式が式(14)として得られる。なお、{q1i}は第1構造物モデルに対応し、{q2i}は第2構造物モデルに対応し、{Xb}は第1構造物モデルおよび第2構造物モデルの両方に共通である。
Figure 2007328596
(14)
以上より、部分構造法を用いた場合には、式(14)に示される構造物モデル全体の運動方程式に基づいて振動解析を行うことができる。部分構造法を用いることにより、上述の部分構造法を用いない場合と同様に、第1構造物モデルのシステム行列を生成しさえすれば、そのシステム行列から上記の方法に従って行列の所定の要素に対する符号反転操作を行うことによって容易に第2構造物モデルのシステム行列を生成することができる。さらに、部分構造法を用いることにより、式(12)から、第1構造物モデルをI軸回りに180度回転したときに自由度の方向が変わるのは対称軸上の節点の変位ベクトル{Xb}のみであり、一般化座標{qi}の導入により、対称軸上にない節点の変位ベクトルの方向を考慮する必要はなくなり、システム行列の符号反転操作の対象となる要素が削減できることがわかる。
また、上記と同様に、対称性を有する構造物のモデルが一平面内にない(面対称である)場合についても部分構造法は適用可能である。
具体的には、まず、部分構造法を用いない場合と同様に、図8に示されるように、板構造モデルの節点を回転変換によってI軸およびII軸を含む平面に写像する。すなわち、第1構造物モデルの各節点は、I軸に対して時計回りに角度θ回転移動し、第2構造物モデルの各節点は、I軸に対して反時計回りに角度θ回転移動する。
次に、対称性を有する構造物のモデルが一平面内にある(線対称である)場合と同様に、部分構造法を適用するとともに、今まで述べてきた符号変換操作を適用することにより、第1構造物モデルの縮小されたシステム行列および第2構造物モデルの縮小されたシステム行列を求める。
次に、I軸およびII軸を含む平面に写像されたモデルについて求められた第1構造物モデルに対する縮小されたシステム行列をそれぞれI軸に対して反時計回りに角度θ回転変換し、写像前の第1構造物モデルに対応する縮小されたシステム行列を求める。また、I軸およびII軸を含む平面に写像されたモデルについて求められた第2構造物モデルに対する縮小されたシステム行列をそれぞれI軸に対して時計回りに角度θ回転変換し、写像前の第2構造物モデルに対応する縮小されたシステム行列を求める。
最後に、写像前の第1構造物モデルに対応する縮小されたシステム行列と、写像前の第2構造物モデルに対応する縮小されたシステム行列とに基づいて構造物モデル全体の運動方程式を求め、振動解析を行う。以上により、対称性を有する構造物のモデルが一平面内にない(面対称である)場合についても部分構造法を適用して縮小されたサイズのシステム行列を生成し、そのシステム行列に基づいて振動解析を行うことができる。
[コンピュータによる振動解析]
これまで、対称性を有する構造物モデルに対して対称性を利用して構造物全体のシステム行列を求めることにより振動解析を実現する方法について説明してきたが、システム行列を求める際の上記の一連の動作は、それを実現するプログラムを使用することによって、コンピュータ上で実行させることができる。典型的には、当該プログラムは、コンピュータの記憶装置に格納されており、実行時には記憶装置からメモリ上に展開されてCPUによって実行され、メモリ内の変数を操作することによってシステム行列を求める一連の動作を実行する。コンピュータは、ユーザインターフェースを有しており、初期状態の入力や演算結果の出力をそれを通じて行うことができる。当該プログラムにより、以下のような動作が実行される。まず、ユーザの操作の入力を受け付け、ユーザからの入力に基づいてコンピュータ上で各種定義を行わせる。すなわち、上述した直交座標系をコンピュータ上で定義させ、その後、その直交座標系における構造物モデルの各節点および各節点の自由度をそれぞれ定義させて、それをメモリ内の変数に反映する。また、節点に対応する第1構造物モデルのシステム行列を定義させ、コンピュータ上の任意のメモリ領域(以下、第1のメモリ領域とする)に記憶させておく。次に、第2構造物モデルのシステム行列に対するメモリ領域として上記とは別のメモリ領域(以下、第2のメモリ領域とする)を確保する。このように、第1構造物モデル、第2構造物モデルをコンピュータ上で定義させた状態で、第1構造物モデルのシステム行列から第2構造物モデルのシステム行列を算出して第2のメモリ領域に格納する。そして、第1のメモリ領域および第2のメモリ領域に格納された第1および第2の構造物モデルそれぞれのシステム行列に基づいて全体の構造物モデルの運動方程式を導出し、それに公知の振動解析手順を実行することによって解析を実行する。
以上のように、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、これに種々の変更を加え得るものであることは容易に理解される。そして、それらが特許請求の範囲の各請求項に記載した事項、及びそれと均等な事項の範囲内にある限り、当然に本発明の技術的範囲に含まれる。上記の実施形態は特定の板構造モデルのシステム行列に基づいた振動解析に対するものであるが、これはあくまでも一例であり、本発明がこの特定の具体例に限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る振動解析方法の全体フローを示した図である。 本発明の一実施形態に係る振動解析方法の全体フローを従来技術に係る振動解析方法と比較して示した図である。 板構造物モデルを直交座標系に配置した様子を示した図である。 第1構造物モデルの有限要素および節点を示した図である。 各節点の並進自由度および回転自由度のそれぞれに対する変位を要素とする変位ベクトルをI軸の回りに180度回転したときの様子を示した図である。 節点を4つとしたときの板構造モデルを示した図である。 板構造モデルが面対称である場合の第1構造物モデルおよび第2構造物モデルを示した図である。 第1構造物モデルがI軸に対して反時計回りに角度θをなす平面内に配置されており、第2構造物モデルがI軸に対して時計回りに角度θをなす平面内に配置されている様子を示した図である。
符号の説明
300、700 第1構造物モデル
310、710 第2構造物モデル
410 対称軸
420 有限要素
430 節点

Claims (3)

  1. 線対称である形状を有する構造物をモデル化した構造物モデルに対して有限要素法によって生成した剛性行列および質量行列を利用した振動解析を実施する方法であって、
    前記構造物モデルは、互いに線対称の関係にある第1構造モデルと第2構造モデルとに分割可能であり、線対称の対称軸を第1座標軸として、前記第1座標軸に対して垂直な第2座標軸と前記第1座標軸を含む平面内に配置された状態で、複数の要素に分割されて複数の節点の集合として定義されており、
    前記節点の各々は、そこに許される所定の自由度の方向に対してそれぞれ所定の弾性係数および質量係数を有しており、
    前記剛性行列および前記質量行列は、それぞれ前記所定の弾性係数および質量係数を要素とし、
    前記節点における前記所定の自由度は、並進自由度および回転自由度を含んでおり、
    前記並進自由度は、前記第1座標軸に平行な第1並進自由度と、前記第2座標軸に平行な第2並進自由度と、前記第1座標軸および前記第2座標軸に対して垂直な第3座標軸に対して平行な第3並進自由度から構成されており、
    前記回転自由度は、前記第1座標軸回りの方向の第1回転自由度と、前記第2座標軸回りの方向の第2回転自由度と、前記第3座標軸回りの方向の第3回転自由度から構成されており、
    当該方法は、
    前記第1構造モデルの剛性行列に対して、
    各々の前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する変位を要素とする節点変位列ベクトルと、
    前記節点変位列ベクトルに前記剛性行列を行列演算した結果に対応する列ベクトルである、各々の前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する弾性力を要素する節点弾性力列ベクトルとを定義した場合に、
    前記節点変位列ベクトルで表される各節点の各自由度に対する所定の弾性係数を表す前記第1構造モデルの第1剛性行列を前記第1構造モデルの前記各節点の位置及び前記所定の弾性係数に基づいて生成する第1剛性行列生成ステップと、
    前記第2構造モデルの剛性行列に対して、
    各節点の各自由度に対する所定の弾性係数を表す前記第2構造モデルの第2剛性行列を、前記第1剛性行列を複製した行列の所定の要素に対して符号反転操作を行うことによって生成する第2剛性行列生成ステップと、
    前記構造モデル全体の剛性行列に対して、
    前記第1構造モデルの第1剛性行列と前記第2構造モデルの第2剛性行列から構造物モデル全体の剛性行列を生成する剛性行列結合ステップとを有し、
    前記第2剛性行列生成ステップは、
    前記第1剛性行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる列の要素として、弾性力列ベクトルを変位列ベクトルによって表す関係式において、前記節点変位列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素と行列演算の対象となる前記第1剛性行列の列の要素を符号操作候補列要素として特定し、
    前記第1剛性行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる行の要素として、弾性力列ベクトルを変位列ベクトルによって表す関係式において、前記節点弾性力列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素を求めるときに行列演算の対象となる前記第1剛性行列の行の要素を符号操作候補行要素として特定し、
    前記第1剛性行列を複製した行列において、前記符号操作候補列要素または前記符号操作候補行要素のいずれか一方に該当する要素に対してのみ符号反転操作を適用することによって前記第2剛性行列を生成し、
    前記第1構造モデルの質量行列に対して、
    各々の前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する加速度を要素とする節点加速度列ベクトルと、
    前記節点加速度列ベクトルに前記質量行列を行列演算した結果に対応する列ベクトルである、各々の前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する慣性力を要素する節点慣性力列ベクトルとを定義した場合に、
    前記節点加速度列ベクトルで表される各節点の各自由度に対する所定の質量係数を表す前記第1構造モデルの第1質量行列を前記第1構造モデルの前記各節点の位置及び前記所定の質量係数に基づいて生成する第1質量行列生成ステップと、
    前記第2構造モデルの質量行列に対して、
    各節点の各自由度に対する所定の質量係数を表す前記第2構造モデルの第2質量行列を、前記第1質量行列を複製した行列の所定の要素に対して符号反転操作を行うことによって生成する第2質量行列生成ステップと、
    前記構造モデル全体の質量行列に対して、
    前記第1構造モデルの第1質量行列と前記第2構造モデルの第2質量行列から構造物モデル全体の質量行列を生成する質量行列結合ステップとを有し、
    前記第2質量行列生成ステップは、
    前記第1質量行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる列の要素として、慣性力列ベクトルを加速度列ベクトルによって表す関係式において、前記節点加速度列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素と行列演算の対象となる前記第1質量行列の列の要素を符号操作候補列要素として特定し、
    前記第1質量行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる行の要素として、慣性力列ベクトルを加速度列ベクトルによって表す関係式において、前記節点慣性力列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素を求めるときに行列演算の対象となる前記第1質量行列の行の要素を符号操作候補行要素として特定し、
    前記第1質量行列を複製した行列において、前記符号操作候補列要素または前記符号操作候補行要素のいずれか一方に該当する要素に対してのみ符号反転操作を適用することによって前記第2質量行列を生成するものであることを特徴とする振動解析を実施する方法。
  2. 面対称である形状を有する構造物をモデル化した構造物モデルに対して有限要素法によって生成した剛性行列および質量行列を利用した振動解析を実施する方法であって、
    前記構造物モデルは、互いに面対称の関係にある第1構造モデルと第2構造モデルとに分割可能であり、面対称の対称面を第1座標軸および第3座標軸を含む平面として、前記対称面に垂直な第2座標軸と前記第1座標軸とを含む平面に対して第1座標軸の時計回りおよび反時計回りにそれぞれ角度θをなす各平面内に前記第1構造モデルおよび前記第2構造モデルのそれぞれを配置した状態で、複数の要素に分割されて複数の節点の集合として定義されており、
    前記節点の各々は、そこに許される所定の自由度の方向に対してそれぞれ所定の弾性係数および質量係数を有しており、
    前記剛性行列および前記質量行列は、それぞれ前記所定の弾性係数および質量係数を要素とし、
    前記節点における前記所定の自由度は、並進自由度および回転自由度を含んでおり、
    前記並進自由度は、前記第1座標軸に平行な第1並進自由度と、前記第2座標軸に平行な第2並進自由度と、前記第1座標軸および前記第2座標軸に対して垂直な第3座標軸に対して平行な第3並進自由度から構成されており、
    前記回転自由度は、前記第1座標軸回りの方向の第1回転自由度と、前記第2座標軸回りの方向の第2回転自由度と、前記第3座標軸回りの方向の第3回転自由度から構成されており、
    当該方法は、
    前記第1構造モデルの剛性行列に対して、
    前記第1構造モデルを定義する各節点を前記第1座標軸の反時計回りに角度θ回転させて前記第1座標軸および前記第2座標軸を含む平面上に写像するステップと、
    各々の写像された前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する変位を要素とする節点変位列ベクトルと、
    前記節点変位列ベクトルに前記剛性行列を行列演算した結果に対応する列ベクトルである、各々の写像された前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する弾性力を要素とする節点弾性力列ベクトルとを生成する列ベクトル生成ステップと、
    前記節点変位列ベクトルで表される各々の写像された節点の各自由度に対する所定の弾性係数を表す前記第1構造物モデルの第1剛性行列を前記第1構造モデルの前記各節点の位置及び前記所定の弾性係数に基づいて生成する第1剛性行列生成ステップと、
    前記第2構造モデルの剛性行列に対して、
    各節点の各自由度に対する所定の弾性係数を表す前記構造物モデルの第2剛性行列を、前記第1剛性行列を複製した行列の所定の要素に対して符号反転操作を行うことによって生成する第2剛性行列生成ステップと、
    前記第1剛性行列を前記第1座標軸の時計回りに角度θ回転させる第1剛性行列回転変換ステップと、
    前記第2剛性行列を前記第1座標軸の反時計回りに角度θ回転させる第2剛性行列回転変換ステップと、
    前記構造モデル全体の剛性行列に対して、
    前記第1座標軸の時計回りおよび反時計回りに角度θ回転した後の前記第1剛性行列および前記第2剛性行列とから構造物モデル全体の剛性行列を生成する剛性行列結合ステップと、を有し、
    前記第2弾性行列生成ステップは、前記第1剛性行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる列の要素として、弾性力列ベクトルを変位列ベクトルによって表す関係式において、前記節点変位列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素と行列演算の対象となる前記第1剛性行列の列の要素を符号操作候補列要素として特定し、
    前記第1剛性行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる行の要素として、弾性力列ベクトルを変位列ベクトルによって表す関係式において、前記節点弾性力列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素を求めるときに行列演算の対象となる前記第1剛性行列の行の要素を符号操作候補行要素として特定し、
    前記第1剛性行列を複製した行列において、前記符号操作候補列要素または前記符号操作候補行要素のいずれか一方に該当する要素に対してのみ符号反転操作を適用することによって前記第2剛性行列を生成し、
    前記第1構造モデルの質量行列に対して、
    前記第1構造モデルを定義する各節点を前記第1座標軸の反時計回りに角度θ回転させて前記第1座標軸および前記第3座標軸を含む平面上に写像するステップと、
    各々の写像された前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する加速度を要素とする節点加速度列ベクトルと、
    前記節点加速度列ベクトルに前記質量行列を行列演算した結果に対応する列ベクトルである、各々の写像された前記節点の前記並進自由度および前記回転自由度のそれぞれに対する慣性力を要素とする節点慣性力列ベクトルとを生成する列ベクトル生成ステップと、
    前記節点加速度列ベクトルで表される各々の写像された節点の各自由度に対する所定の質量係数を表す前記第1構造物モデルの第1質量行列を前記第1構造モデルの前記各節点の位置及び前記所定の質量係数に基づいて生成する第1質量行列生成ステップと、
    前記第2構造モデルの質量行列に対して、
    各節点の各自由度に対する所定の質量係数を表す前記構造物モデルの第2質量行列を、前記第1質量行列を複製した行列の所定の要素に対して符号反転操作を行うことによって生成する第2質量行列生成ステップと、
    前記第1質量行列を前記第1座標軸の時計回りに角度θ回転させる第1質量行列回転変換ステップと、
    前記第2質量行列を前記第1座標軸の反時計回りに角度θ回転させる第2質量行列回転変換ステップと、
    前記構造モデル全体の質量行列に対して、
    前記第1座標軸の時計回りおよび反時計回りに角度θ回転した後の前記第1質量行列および前記第2質量行列とから構造物モデル全体の質量行列を生成する質量行列結合ステップと、を有し、
    前記第2質量行列生成ステップは、前記第1質量行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる列の要素として、慣性力列ベクトルを加速度列ベクトルによって表す関係式において、前記節点加速度列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素と行列演算の対象となる前記第1質量行列の列の要素を符号操作候補列要素として特定し、
    前記第1質量行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる行の要素として、慣性力列ベクトルを加速度列ベクトルによって表す関係式において、前記節点慣性力列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素を求めるときに行列演算の対象となる前記第1質量行列の行の要素を符号操作候補行要素として特定し、
    前記第1質量行列を複製した行列において、前記符号操作候補列要素または前記符号操作候補行要素のいずれか一方に該当する要素に対してのみ符号反転操作を適用することによって前記第2質量行列を生成するものであることを特徴とする振動解析を実施する方法。
  3. 前記第1剛性行列生成ステップおよび前記第1質量行列生成ステップは、さらに、対称軸上または対称面上にある境界節点とそれ以外の内部節点とを識別し、前記第1剛性行列および第1質量行列に部分構造法を適用して、前記内部節点の節点変位列ベクトルおよび節点加速度列ベクトルの要素の数が縮小された節点変位列ベクトルおよび節点加速度列ベクトルを生成し、
    さらに、縮小された該節点変位列ベクトルおよび該節点加速度列ベクトルの各要素と行列演算の対象となる剛性行列および質量行列であって、要素の数が縮小された第1縮小サイズ剛性行列および質量行列を、前記第1剛性行列および前記第1質量行列として生成し、
    前記第2剛性行列生成ステップおよび前記第2質量行列生成ステップは、
    第1縮小サイズ剛性行列および第1縮小サイズ質量行列を複製した行列の符号反転操作によって第2縮小サイズ剛性行列および第2縮小サイズ質量行列を、前記第2剛性行列および前記第2質量行列として生成するステップであって、
    前記第2剛性行列生成ステップにおいて、
    前記第1縮小サイズ剛性行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる列の要素として、境界節点に作用する弾性力列ベクトルを変位列ベクトルによって表す関係式において、前記境界節点のそれぞれに対する変位列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素と行列演算の対象となる前記第1縮小サイズ剛性行列の列の要素を符号操作候補列要素として特定し、
    前記第1縮小サイズ剛性行列を複製した行列の符号反転操作の対象となる行の要素として、境界節点に作用する弾性力列ベクトルを変位列ベクトルによって表す関係式において、前記境界節点のそれぞれに対する弾性力列ベクトルの前記第2並進自由度と前記第3並進自由度と前記第2回転自由度と前記第3回転自由度に対応する要素を求めるときに行列演算の対象となる前記第1縮小サイズ剛性行列の行の要素を符号操作候補行要素として特定し、
    前記第1縮小サイズ剛性行列を複製した行列において、前記符号操作候補列要素または前記符号操作候補行要素のいずれか一方に該当する要素に対してのみ符号反転操作を適用することによって前記第2縮小サイズ剛性行列を生成し、
    前記第2質量行列生成ステップにおいて、前記第1縮小サイズ質量行列を複製した行列の符号反転操作は、前記第1縮小サイズ剛性行列を複製した行列の符号反転操作として特定した前記符号操作候補列要素または前記符号操作候補行要素のいずれか一方に該当する前記第1縮小サイズ質量行列の要素に対してのみ符号反転操作を適用することによって前記第2縮小サイズ質量行列を生成するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の振動解析を実施する方法。
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