JP2007322777A - 楕円偏光板、楕円偏光板の製造方法、液晶表示装置およびエレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

楕円偏光板、楕円偏光板の製造方法、液晶表示装置およびエレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】楕円偏光板の層構造を簡略化することによって、高温、高湿条件下においても剥がれなどの不具合が生じることがない楕円偏光板を提供する。
【解決手段】透光性保護フィルム、偏光素子および光学異方素子とが、この順に積層されている楕円偏光板であって、該光学異方素子が少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物を液晶状態においてネマチック配向させた後、該配向を固定化した液晶層を含むことを特徴とする楕円偏光板。
【選択図】図1

Description

本発明は、ネマチック配向構造を固定化したネマチック配向液晶層からなる楕円偏光板およびその製造方法に関する。さらに本発明は、前記楕円偏光板を用いた液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
液晶化合物の配向層からなる薄膜(フィルム)、とりわけネマチック構造、ねじれネマチック構造、あるいはハイブリッドネマチック構造を固定化した液晶物質からなるフィルムは、液晶表示素子用の色補償や視野角補償用の素子として、また旋光性光学素子等として優れた性能を有し、各種表示素子の高性能化、軽量化に寄与している。これらのフィルムの製造法としては、配向性基板上に形成された液晶物質からなる層を支持基板を兼ねる透光性基板上に転写する方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。さらに、より一層の薄型化、軽量化のために、支持基板フィルムを用いない液晶物質からなる光学素子の製造方法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。かかる製造法によれば、配向性基板上に配向形成された液晶物質よりなる層を、接着剤を介して一旦再剥離性基板に転写させた後に、該再剥離性基板を剥離することにより、支持基板フィルムのない液晶物質層からなる光学素子の製造が可能になった。
一方、近年、液晶表示装置をはじめとする各種表示装置に用いられる光学フィルムに対しては、より高機能な光学性能が要求されており、光学フィルムを1枚使用するだけでは要求を満足できず、積層して用いられることが多くなっている。例えば、STN液晶表示装置の色補償用位相差フィルムにおけるポリカーボネートに代表される高分子延伸フィルムの積層、半透過反射型液晶表示装置用円偏光板における1/4波長板と1/2波長板との積層による広帯域1/4波長板、あるいは、異なる選択波長領域を有するコレステリックフィルムを積層することによる広帯域円偏光板などが挙げられる。このような光学フィルムの積層による高機能化の一方で、近年大幅に普及している携帯電話や携帯型情報端末機器に代表されるように、薄型化・軽量化の要望も非常に高まっている。それに伴い、表示装置に用いられる光学フィルムについても、薄型化・軽量化が切望されている。そのために高分子延伸フィルムなどをより薄く製造する試みもなされているが、光学特性や製造工程上の制約から高分子延伸フィルムを薄くするのには限界があり、積層した場合は薄膜化の要望とは逆となる厚みが厚いという問題があった。
こうした問題を解決するためには、先述の特許文献3のような支持基板フィルムを用いない液晶物質からなる光学素子を用いるのが有効と考えられるが、前記光学素子を液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置に適用するには、更に偏光板と粘着剤により貼り合わせる必要がある。
前記光学素子を積層する場合、支持基板フィルムのない積層体は取り扱い性、耐久性等に不安がある。一方、偏光素子を有する1つの支持基板フィルム上に直接、光学素子を積層できれば、粘着剤層を省略することにより一層の薄型化が図れる他、耐久性等においても非常に優れたフィルムが達成できるが、該光学素子を積層するため工業的な製造方法については未確立であった。
特開平4−57017号公報 特開平4−177216号公報 特開平8−278491号公報
本発明は、高分子延伸フィルムだけでは困難であった光学特性面の高機能化と高耐久性、大幅な薄肉化の両立の実現を目的とする。すなわち、より薄肉で優れた光学機能を発現できる液晶層からなる光学フィルムに着目し、偏光素子を有する1つの支持基板フィルム上に、直接、光学異方素子を積層した楕円偏光板とその製造方法ならびに当該楕円偏光板を配置した液晶表示装置およびエレクトロルミネッセンス表示装置を提供することにある。
すなわち本発明の第1は、透光性保護フィルム、偏光素子および光学異方素子とが、この順に積層されてなる楕円偏光板であって、該光学異方素子が少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物を液晶状態においてネマチック配向させた後、該配向を固定化したネマチック配向液晶層を含むことを特徴とする楕円偏光板、に関する。
本発明の第2は、透光性保護フィルム、偏光素子および光学異方素子が長尺フィルム形態であることを特徴とする本発明の第1に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第3は、ネマチック配向液晶層の屈折率異方性Δnとネマチック配向液晶層の厚みdとの積(Δn・d)が50nm〜1000nmの範囲であることを特徴とする本発明の第1または2に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第4は、透光性保護フィルムが、トリアセチルセルロースであることを特徴とする本発明の1〜3のいずれかに記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第5は、透光性保護フィルムが、シクロオレフィン系ポリマーであることを特徴とする本発明の第1〜3のいずれかに記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第6は、楕円偏光板の厚みが150μm以下であることを特徴とする本発明の第1〜5のいずれかに記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第7は、偏光素子と光学異方素子との間に、液晶性組成物にネマチック配向を形成させる配向膜が設けられていることを特徴とする本発明の第1〜6のいずれかに記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第8は、光学異方素子の偏光素子とは反対側の表面に透光性オーバーコート層が設けられていることを特徴とする本発明の第1〜7のいずれかに記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第9は、透光性オーバーコート層がアクリル系樹脂からなることを特徴とする本発明の第8に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第10は、ネマチック配向液晶層の液晶分子の配向方向が、MD方向と平行でないことを特徴とする本発明の第1〜9のいずれかに記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第11は、本発明の第1〜10のいずれかに記載の楕円偏光板に、さらに少なくとも1枚の光学フィルムが積層されていることを特徴とする楕円偏光板、に関する。
本発明の第12は、光学フィルムが、高分子延伸フィルムであることを特徴とする本発明の第11に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第13は、光学フィルムが、液晶性フィルムであることを特徴とする本発明の第11に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第14は、液晶性フィルムが、少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物を液晶状態においてネマチック配向させた後、該配向を固定化した液晶層を含むことを特徴とする本発明の第13に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第15は、液晶性フィルムが、少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物を液晶状態においてハイブリッドネマチック配向させた後、該配向を固定化した液晶層を含むことを特徴とする本発明の第13に記載の楕円偏光板、に関する。
本発明の第16は、(1)透光性保護フィルムを、接着剤層1を介して偏光素子と接着し、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子からなる積層体(A)を得る第1工程、(2)ラビング処理を施した配向基板上に、少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物からなる層を形成し、該層をネマチック配向させた後、配向を固定化して、配向基板/光学異方素子からなる積層体(B)を得る第2工程、(3)前記積層体(B)の光学異方素子側を、接着剤層2を介して、前記積層体(A)の偏光素子側と接着せしめた後、配向基板を剥離して光学異方素子を前記積層体(A)に転写し、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子/接着剤層2/光学異方素子からなる楕円偏光板を得る第3工程、の各工程を少なくとも経ることを特徴とする楕円偏光板の製造方法、に関する。
本発明の第17は、(1)透光性保護フィルムを、接着剤層1を介して偏光素子と接着し、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子からなる積層体(A)を得る第1工程、(2)前記積層体(A)の偏光素子上にラビング処理を施し、少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物からなる層を形成し、該層をネマチック配向させた後、配向を固定化して、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子/光学異方素子からなる楕円偏光板を得る第2工程、の各工程を少なくとも経ることを特徴とする楕円偏光板の製造方法、に関する。
本発明の第18は、本発明の第17において、偏光素子上に少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物がネマチック配向を形成する配向膜を設けてからラビング処理を施すことを特徴とする本発明の第17に記載の楕円偏光板の製造方法、に関する。
本発明の第19は、透光性保護フィルムが、トリアセチルセルロースまたはシクロオレフィン系ポリマーであることを特徴とする本発明の第16または17に記載の楕円偏光板の製造方法、に関する。
本発明の第20は、透光性保護フィルムが表面処理されていることを特徴とする本発明の第16または17に記載の楕円偏光板の製造方法、に関する。
本発明の第21は、表面処理が、鹸化処理であることを特徴とする本発明の第20に記載の楕円偏光板の製造方法、に関する。
本発明の第22は、表面処理が、コロナ放電処理であることを特徴とする本発明の第20に記載の楕円偏光板の製造方法、に関する。
本発明の第23は、偏光素子が表面処理されていることを特徴とする本発明の第16または17に記載の楕円偏光板の製造方法、に関する。
本発明の第24は、表面処理が、コロナ放電処理であることを特徴とする本発明の第23に記載の楕円偏光板の製造方法、に関する。
本発明の第25は、液晶セルの少なくとも片側の面に、本発明の第1〜15のいずれかに記載の楕円偏光板を配置した液晶表示装置、に関する。
本発明の第26は、本発明の第1〜15のいずれかに記載の楕円偏光板を具備することを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置、に関する。
本発明の楕円偏光板は、光学異方素子と偏光素子との貼り合わせ工程において、高分子液晶層に損傷が起こり難く、光学異方素子の接着性に優れる。さらに楕円偏光板を構成するラミネート層の数が少ないために、促進耐久性試験において界面で剥がれや泡の発生がない。偏光素子との貼り合わせ工程においても、長尺フィルム形態で貼合することができるために、従来法より貼合工程が合理化できる利点がある。
以下、本発明について詳述する。
本発明では、光学異方素子を偏光素子に直接あるいは接着剤を介して接着することにより楕円偏光板を製造する。そうすることによって、従来のような偏光素子の両側がトリアセチルセルロースフィルム等の光学フィルムで保護された偏光板に光学異方素子を貼合した楕円偏光板よりも層数を減らすことができる。その結果として、楕円偏光板の総厚を薄く出来るとともに、熱あるいは湿度による各層の伸縮挙動の差による収縮ひずみの影響が小さくなり、貼り合わせた界面での剥がれ等の不具合をなくすことが可能である。
本発明で得られる楕円偏光板の層構成は、以下のような(I)〜(II)のいずれかの構成からなり、必要に応じて透光性オーバーコート層等の部材が更に追加されるが、これらに本発明において正の一軸性を示す液晶性組成物を液晶状態においてネマチック配向構造を固定化したネマチック配向液晶層からなる光学異方素子を使用する点を除いては特に制限は無い。厚みの薄い楕円偏光板を得ると言う点では、(I)〜(II)のいずれの構成を用いても構わない。
(I)透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子/接着剤層2/光学異方素子
(II)透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子/光学異方素子
以下、本発明に用いられる構成部材について順に説明する。
まず本発明に用いられる液晶性組成物について説明する。
本発明の楕円偏光板に使用される光学異方素子を構成する液晶性組成物は、例えば、配向基板上で配向させた液晶性高分子を主とする液晶性組成物をガラス転移温度(Tg)以下に冷却し、配向を固定化することによって得られる。そのような液晶性高分子としては、溶融時に液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーが用いられる。使用されるサーモトロピック液晶ポリマーは、溶融状態(液晶状態)からTg以下に冷却しても液晶相の分子配列状態が保持されることが必要である。
液晶性高分子の溶融時の液晶相は、スメクチック相またはネマチック相の分子配列構造であり、配向基板付近及び空気界面付近ではそれぞれホモジニアス配向及びホメオトロピック配向状態であり、液晶性高分子の平均のダイレクターがフィルムの法線方向から傾斜しているいわゆるハイブリッド配向であってもよい。
液晶性高分子としては、各種の主鎖型液晶性高分子、側鎖型液晶性高分子、またはこれらの混合物等を用いることができる。主鎖型液晶性高分子としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリベンズイミダゾール系、ポリベンズオキサゾール系、ポリベンズチアゾール系、ポリアゾメチン系、ポリエステルアミド系、ポリエステルカーボネート系、ポリエステルイミド系の液晶性高分子、またはこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも液晶性を与えるメソゲン基とポリメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシロキサン等の屈曲鎖とが交互に結合した半芳香族系ポリエステル系液晶性高分子や、屈曲鎖のない全芳香族系ポリエステル系液晶性高分子が本発明では望ましい。また側鎖型液晶性高分子としては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリビニル系、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリマロネート系等の直鎖状又は環状構造の骨格鎖を有する物質に側鎖としてメソゲン基が結合した液晶性高分子、またはこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、骨格鎖に屈曲鎖からなるスペーサーを介して液晶性を与えるメソゲン基が結合した側鎖型液晶性高分子や、主鎖および側鎖の両方にメソゲンを有する分子構造の液晶性高分子が本発明では望ましい。
またオリゴマーや低分子液晶であっても、架橋性基の導入あるいは適宜な架橋剤のブレンドによって、液晶状態あるいは液晶転移温度以下に冷却して配向固定化された状態で、熱架橋あるいは光架橋等の手段により高分子化できるものも液晶性高分子に含まれる。また、ディスコチック液晶化合物であっても問題なく使用することができる。液晶性高分子は通常、光学的に正または負の一軸性を示すものが用いられる。
低分子液晶としては、シッフ塩基系、ビフェニル系、ターフェニル系、エステル系、チオエステル系、スチルベン系、トラン系、アゾキシ系、アゾ系、フェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、シクロヘキシルシクロヘキサン系、トリメシン酸系、トリフェニレン系、トルクセン系、フタロシアニン系、ポルフィリン系分子骨格を有する低分子液晶化合物、またはこれら化合物の混合物等が挙げられる。
液晶性組成物が架橋性基を有する場合は、該架橋性基を反応させるに適した各種の反応開始剤を添加しておくことが望ましく、該反応開始剤としては、熱や光により開裂してラジカルを発生するラジカル開始剤やカチオンを発生するカチオン開始剤などを挙げることができる。
液晶性組成物のTgは、配向固定化後の配向安定性に影響を及ぼすため、室温以上であることが好ましく、さらに50℃以上であることが好ましい。Tgは、液晶性組成物に用いられる各種の液晶化合物や組成比や必要によって添加される各種の化合物等によって調節できるが、前記のような架橋手段によってもよい。
前記の必要により添加される各種の化合物としては、本発明に使用される液晶性組成物の配向を阻害せず、本発明の目的を逸脱しない化合物であればよく、液晶性組成物の層の形成を均一にならしめるためのレベリング剤、界面活性剤、安定剤等を挙げることができる。
次に配向基板について説明する。
配向基板としては、例えばポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド;ポリエーテルイミド;ポリエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリケトン;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;ポリフェニレンオキサイド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリ(メタ)アクリレート;ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂で例示される高分子フィルムを使用することができる。また、高分子フィルムの表面に液晶をネマチック配向させうる配向剤、例えばポリビニルアルコールやポリイミド誘導体等の樹脂からなる有機薄膜を形成してもよい。前記高分子フィルムは、ラビング処理などの配向処理が施されて配向基板に供せられる。
上記のように、配向基板上に液晶性高分子を配向させるには通常ラビング処理が施される。ラビング処理は、長尺の配向基板のMD方向に対して所定の任意の角度で行うことができる。MD方向に対するラビング方向の角度は、光学異方素子の機能に応じて適宜設定されるが、色補償板としての機能が要求される場合は、通常、MD方向に対して斜め方向にラビングされるのが好ましい。斜め方向の角度としては、−45度〜+45度の範囲が好ましい。
ラビング処理は任意の方法で行うことができるが、例えば、長尺フィルムをMD方向に搬送するステージ上に、長尺フィルムのMD方向に対して任意の角度でラビングロールを配置し、該フィルムをMD方向に搬送しながら該ラビングロールを回転させ、該フィルム表面をラビング処理する。ラビングロールとステージの移動方向が成す角度は自在に調整し得る機構であり、ラビングロールの表面には、適宜のラビング布材が貼付してある。
液晶性組成物を配向基板のラビング処理面に塗布し液晶性組成物の層を形成する方法としては、例えば、液晶性組成物を適宜の溶剤に溶解させ塗布・乾燥させる方法、あるいは、Tダイなどにより直接液晶性組成物を溶融押し出しする方法などが挙げられる。膜厚の均一性などの点からは、溶液塗布して乾燥する方法が適当である。液晶性組成物溶液の塗布方法としては、特に限定されず、例えばダイコート法、スロットダイコート法、スライドダイコート法、ロールコート法、バーコート法、浸漬引き上げ法などを採用することができる。
塗布後、適宜な乾燥方法により溶剤を除去して未配向の液晶性組成物層が形成される。次いで、所定温度で所定時間加熱して液晶性組成物を配向させた後、Tg以下に冷却するか、あるいは液晶性組成物に適した方法、例えば光照射および/または加熱処理で反応(硬化)を行い固定化することにより配向が固定化されたネマチック配向液晶層(光学異方素子)を形成することができる。
光照射の方法としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザーなどの光源からの光を照射する。1平方センチメートルあたりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、反応開始剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、液晶性組成物を構成する液晶性高分子に光源波長の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、吸収波長の異なる2種以上の反応開始剤を混合して用いるなどの方法を採ることもできる。
光照射時の温度は、該液晶性組成物が液晶相をとる温度範囲が好ましく、硬化の効果を充分にあげるためには、該液晶性組成物のTg以上の温度で光照射を行うのがさらに好ましい。
配向構造が固定化されているとは、本発明の楕円偏光板を使用する条件下において配向構造が乱れず、保持されていることを意味する。同様の配向状態は液晶セルにおいても作製できるが、配向構造を固定化することで、液晶セルにおけるガラス等の基板が不要となり、軽量化、薄肉化、取扱い性の向上等が達成できる。
またネマチック配向液晶層の複屈折Δnと厚みd(nm)の積(Δnd)は、使用される用途が液晶表示装置であるか、あるいはエレクトロルミネッセンス表示装置であるかにもよるが、波長550nmの光に対する前記液晶層のΔndが、50nm以上1500nm以下であることが光学特性の点で望ましい。
例えば液晶表示装置としてTFT−LCD方式のものを使用した場合、ネマチック配向液晶層のΔndは、使用する液晶セルのリターデーションにも依存することから一概には言えないが、好ましくは20nm以上500nm以下、より好ましくは50nm以上300nm以下、さらに好ましくは80nm以上280nm以下であることが望ましい。
また、例えば、液晶表示装置あるいはエレクトロルミネッセンス表示装置の反射防止膜として使用する場合、良好な円偏光特性を有するという点で、波長550nmの光に対するネマチック配向液晶層のΔndが、80nm以上300nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以上200nm以下、さらに好ましくは120nm以上150nm以下であることが望ましい。
ネマチック配向液晶層の膜厚は、光学異方素子の機能が発揮される範囲であれば特に制限はなく、約0.05μm〜100μm、好ましくは約0.1μm〜30μmが適当である。
次いで、本発明に使用される接着剤層または透光性オーバーコート層について説明する。
光学異方素子上に設けられる接着剤層またはオーバーコート層を形成する材料としては、光学異方素子および偏光素子に対して十分な接着力を有し、光学異方素子や偏光素子の光学的特性を損なわないものであれば、特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂系、メタクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、ウレタン系、ポリビニルエーテル系およびこれらの混合物系や、熱硬化型および/または光硬化型、電子線硬化型等の各種反応性のものを挙げることができる。これらの接着剤層は、光学異方素子を保護する透明保護層(オーバーコート層)の機能を兼ね備えたものも含まれる。なお、上記接着剤として粘着剤を用いることもできる。
前記反応性のものの反応(硬化)条件は、接着剤を構成する成分、粘度や反応温度等の条件により変化するため、それぞれに適した条件を選択して行えばよい。例えば、光硬化型の場合は、好ましくは各種の公知の光開始剤を添加し、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザー、シンクロトロン放射光源などの光源からの光を照射し、反応を行わせればよい。単位面積(1平方センチメートル)当たりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、光開始剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、あるいは反応性の化合物自身に光源波長の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、あるいは吸収波長の異なる2種以上の光開始剤を混合して用いるなどの方法を採ることも出来る。電子線硬化型の場合の加速電圧は、通常10kV〜200kV、好ましくは50kV〜100kVである。
接着剤層またはオーバーコート層の厚みは、前述のように接着剤を構成する成分、接着剤の強度や使用温度などにより異なるが、通常1〜30μm、さらに好ましくは3〜10μmである。この範囲外では接着強度が不足したり、端部よりの滲み出しなどがあったりして好ましくない。
また、これらの接着剤はその特性を損なわない範囲で、光学特性の制御あるいは基板の剥離性や浸食性を制御することを目的として、各種微粒子等や表面改質剤を添加することもできる。
前記微粒子としては、接着剤を構成する化合物とは屈折率の異なる微粒子、透明性を損なわず帯電防止性能向上のための導電性微粒子、耐摩耗性向上のための微粒子等が例示でき、より具体的には、微細シリカ、微細アルミナ、ITO(Indium Tin Oxide)微粒子、銀微粒子、各種合成樹脂微粒子などが挙げられる。
また、前記表面改質剤としては、接着剤との相溶性がよく接着剤の硬化性や硬化後の光学性能に影響を及ぼさない限り特に限定されず、イオン性、非イオン性の水溶性界面活性剤、油溶性界面活性剤、高分子界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン等の有機金属系界面活性剤、反応性界面活性剤等が使用できる。とりわけ、パーフルオロアルキル化合物、パーフルオロポリエーテル化合物などのフッ素系界面活性剤、あるいはシリコーン等の有機金属系界面活性剤は表面改質効果が大きいため、特に望ましい。表面改質剤の添加量は、接着剤に対し0.01〜10質量%の範囲が望ましく、より望ましくは0.05〜5質量%、さらに望ましくは0.1〜3質量%である。この範囲よりも添加量が少なすぎると添加効果が不十分となり、一方多すぎると接着強度が下がりすぎるなどの弊害を生じる恐れがある。なお、表面改質剤は、単独で用いても良いし、必要に応じて複数種類を併用しても良い。
さらに本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を配合しても良い。
本発明に使用できる偏光素子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光素子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させたもの、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性材料(沃素、染料)を吸着・配向したものが好適に用いられる。偏光素子の厚さも特に制限されないが、5〜50μm程度が一般的である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光素子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
偏光素子の一方の面に設けられる透光性保護フィルムとしては、光学的に等方なフィルムが好ましく、例えばフジタック(富士写真フイルム社製品)やコニカタック(コニカミノルタオプト社製品)などのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム、アートンフィルム(JSR社製品)、ゼオノアフィルム、ゼオネックスフィルム(日本ゼオン社製品)などのシクロオレフィン系ポリマー、TPXフィルム(三井化学社製品)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン社製品)などが挙げられるが、楕円偏光板とした場合の耐熱性や耐湿性などからトリアセチルセルロース、シクロオレフィン系ポリマーが好ましい。これらの透光性保護フィルムの厚さは、一般には1〜100μmが好ましく、特に5〜50μmとするのが好ましい。
透光性保護フィルムとしては、表面にハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、光拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものを用いることができる。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための光拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、光拡散層、アンチグレア層等は、透光性保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透光性保護フィルム層とは別体のものとして設けることもできる。
次に、本発明の楕円偏光板の製造方法について詳細に説明する。
本発明で得られる楕円偏光板の層構成は、図1、図2に示すような以下の2通りから選ばれる。
(I)透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子/接着剤層2/光学異方素子
(II)透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子/光学異方素子
楕円偏光板の製造方法としては、特に限定されないが、一例として以下の方法で製造することができる。
まず、構成(I)の製造方法について説明する。
構成(I)は、
(1)透光性保護フィルムを、接着剤層1を介して偏光素子と接着し、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子からなる積層体(A)を得る第1工程、
(2)ラビング処理を施した配向基板上に、少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物からなる層を形成し、該層をネマチック配向させた後、配向を固定化して、配向基板/光学異方素子からなる積層体(B)を得る第2工程、
(3)前記積層体(B)の光学異方素子側を、接着剤層2を介して、前記積層体(A)の偏光素子側と接着せしめた後、配向基板を剥離して光学異方素子を前記積層体(A)に転写し、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子/接着剤層2/光学異方素子からなる楕円偏光板を得る第3工程、
の各工程を少なくとも経ることを特徴とする。
以下、第1工程から第3工程までの製造方法について順に説明する。
まず、第1工程である積層体(A)の製造方法について説明する。
偏光素子または透光性保護フィルムの上に、接着剤層1を形成し、接着剤層1を介して透光性保護フィルムまたは偏光素子を密着した後、必要により接着剤層を反応(硬化)させる。かくして透光性保護フィルム上に接着剤層1を介し接着された積層体(A)を得ることができる。
次いで、第2工程である積層体(B)の製造方法について説明する。
布等でラビング処理を施した配向基板上に、少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物の塗膜を適切な方法で形成し、必要に応じて溶媒等を除去し、加熱等によりネマチック配向を完成せしめ、用いた液晶性組成物に適した手段により液晶性組成物層の配向を固定化する。かくして配向基板上にネマチック液晶配向層からなる光学異方素子を有する積層体(B)を得ることができる。
次いで、第3工程の製造方法について説明する。
前記積層体(B)の光学異方素子側を、接着剤層2を介して、前記積層体(A)の偏光素子側と密着した後、必要により接着剤層を反応(硬化)させた後、配向基板を剥離して光学異方素子を前記積層体(A)に転写する。
かくして、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子/接着剤層2/光学異方素子からなる本発明の楕円偏光板が得られる。
なお、積層体(B)のネマチック配向液晶層の積層体(A)への転写に際して、必要によってはネマチック配向液晶層を配向基板とは異なる別の基板に転写した後、積層体(A)へ再転写してもよい。
得られた楕円偏光板の光学異方素子の表面保護のため、透光性オーバーコート層を設けたり、一時的な表面保護フィルムを貼合しても良い。ここで透光性オーバーコートとしては、前述の接着剤から選定することもできる。
次いで、構成(II)の製造方法について説明する。
構成(II)は、
(1)透光性保護フィルムを、接着剤層1を介して偏光素子と接着し、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子からなる積層体(A)を得る第1工程、
(2)前記積層体(A)の偏光素子上にラビング処理を施し、少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物からなる層を形成し、該層をネマチック配向させた後、配向を固定化して、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子/光学異方素子からなる楕円偏光板を得る第2工程、
の各工程を少なくとも経ることを特徴とする。
以下、第1工程から第2工程までの製造方法について順に説明する。
まず、第1工程である積層体(A)の製造方法は、構成(I)と同様である。
第2工程の製造方法について説明する。
第1工程で製造した積層体(A)の偏光素子上にラビング処理を施し、液晶性組成物の塗膜を適切な方法で形成し、必要に応じて溶媒等を除去し、加熱等により液晶性組成物のネマチック配向を完成せしめ、用いた液晶性組成物に適した手段により液晶性組成物層のネマチック配向を固定化する。かくして積層体(A)上にネマチック配向液晶層からなる光学異方素子を有する本発明の楕円偏光板が得られる。
得られた楕円偏光板の光学異方素子の表面保護のため、透光性オーバーコート層を設けたり、一時的な表面保護フィルムを貼合しても良い。ここで透光性オーバーコートとしては、前述の接着剤から選定することもできる。
なお、構成(II)の第2工程において、偏光素子の上に、偏光素子の液晶性組成物に対する配向性によっては、当該液晶性組成物をネマチック配向させるような適切な配向膜を設けた後にラビングを施し、液晶性組成物の層を形成する方法も本発明に含まれる(図3)。
また本発明では、配向基板上のネマチック配向層を粘着剤層もしくは接着剤層を介して繰り返し積層することにより、ネマチック配向液晶層を複数枚積層することも可能である。
透光性保護フィルムは偏光素子と貼合されるが、貼合する前に透光性保護フィルムあるいは偏光素子、または前記の積層体(A)に表面処理を施しておくのが好ましい。
かかる表面処理は、透光性保護フィルムあるいは偏光素子、または透光性保護フィルムと偏光素子との積層体に適した方法を用いればよく、かかる方法としては、鹸化処理、コロナ放電処理、火炎処理、低圧UV照射、プラズマ処理等を挙げることができ、より好ましくは、透光性保護フィルムとして例えばトリアセチルセルロースを用いた場合は鹸化処理が、またシクロオレフィン系ポリマーを用いた場合は、コロナ放電処理がそれぞれ好ましい。また、偏光素子ではコロナ放電処理が好ましい。
前記の鹸化処理は、通常の方法であるアルカリ水溶液に接触させることによって行われる。アルカリ水溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが用いられ、アルカリ濃度としては、約0.1〜10質量%、好ましくは約0.5〜5質量%、さらに好ましくは約1〜3質量%程度の希薄溶液で十分である。処理条件としては、室温で1〜60分、好ましくは30分以下、さらに好ましくは15分以下の温和な条件で十分である。処理後は十分に水洗することが必要なことはいうまでもない。
上記の鹸化処理と同様にコロナ放電処理も通常の条件でよく、例えば、接着剤層と接する面に施す。処理条件としては、使用する基板およびコロナ処理装置の種類により異なるが、例えばエネルギー密度として1〜300W・min/mが好適である。コロナ放電処理を施すことによって表面張力は増大するが、40dyn/cm以上に高くしておくことが望ましい。
粘・接着剤層の形成は、前記の液晶層の形成と同様に行ってもよく、またシリコーン等の易剥離処理を設けた適当な基板上に前記の粘・接着剤層を形成したいわゆるノンキャリア粘・接着剤を用いてもよい。光学異方素子と偏光素子との貼合は貼合強度を向上させる、貼合界面に空気の残存による泡の発生を防止する、などのためにラミネーター、ロール、加圧器等を用いて加圧、加熱等を加えてもよい。
上記の光学異方素子、偏光素子および透光性保護フィルムは、貼合する場合、長尺フィルム形態でそれぞれMD方向に揃えた状態で、連続的に重ね合わせて積層することができる。
また、これらの3者は、前記製造方法以外にも、偏光素子の両側へ同時に光学異方素子および透光性保護フィルムを貼合しても、偏光素子へ光学異方素子、透光性保護フィルムの順に、または透光性保護フィルム、光学異方素子の順に貼合してもよい。
かくして得られる本発明の楕円偏光板の総厚は、用いた透光性保護フィルム、偏光素子、接着剤、光学異方素子等の各厚さにより変化するが、150μm以下、好ましくは100μm以下がよい。総厚が150μmを越えると長尺フィルムをロールに所定長巻いた時にロール径が太くなりすぎ、従来の輸送用包装容器に収納が困難になったり、従来の輸送容器に収納できるようにすると長さが短くなったりして好ましくない。
本発明の楕円偏光板に、さらに少なくとも1つの光学フィルムが積層された楕円偏光板を使用してもよい。
光学フィルムとしては、透明性と均一性に優れたものであれば特に制限されないが、高分子延伸フィルムや、液晶からなる液晶性フィルムが好ましく使用できる。高分子延伸フィルムとしては、セルロース系、ポリカーボネート系、ポリアリレート系、ポリスルフォン系、ポリアクリル系、ポリエーテルスルフォン系、環状オレフィン系高分子等からなる1軸又は2軸位相差フィルムを例示することができる。中でもポリカーボネート系および環状オレフィン系高分子がコスト面およびフィルムの均一性から好ましい。
また、ここで言う液晶性フィルムとは、液晶を配向させてその配向状態から生じる光学異方性を利用できるフィルムであれば特に制限されるものではない。例えばネマチック液晶やディスコチック液晶、スメクチック液晶等を利用した各種光学機能性フィルム等、公知のものを使用することができる。
液晶性フィルムの分子配列構造は、スメクチック、ネマチック、ねじれネマチック、コレステリックなどのいずれの分子配列構造であってもよく、配向基板付近及び空気界面付近ではそれぞれホモジニアス配向及びホメオトロピック配向状態であり、液晶性高分子の平均のダイレクターがフィルムの法線方向から傾斜しているいわゆるハイブリッド配向であってもよい。
ここに例示した光学フィルムは、液晶表示装置を構成するにあたり、1枚のみの使用でも良いし、複数枚使用しても良い。また、高分子延伸フィルムと、液晶性フィルムの両方を使用することもできる。
以下に本発明の楕円偏光板を適用する液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、前記楕円偏光板を少なくとも有する。本発明の楕円偏光板を液晶セルに配置する場合には、本発明の楕円偏光板の光学異方素子側を液晶セル面に近接するように配置することが必要である。
液晶表示装置は一般的に、偏光板、液晶セル、および必要に応じて位相差補償板、反射層、光拡散層、バックライト、フロントライト、光制御フィルム、導光板、プリズムシート等の部材から構成されるが、本発明においては前記楕円偏光板を使用する点を除いて特に制限は無い。また前記楕円偏光板の使用位置は特に制限はなく、また、1カ所でも複数カ所でも良い。
液晶表示装置に用いる偏光板は特に制限されず、前述した楕円偏光板に使用するものと同様の偏光素子から得られるものを使用することができる。
液晶セルとしては特に制限されず、電極を備える一対の透明基板で液晶層を狭持したもの等の一般的な液晶セルが使用できる。
液晶セルを構成する透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有していている透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、公知のものが使用できる。通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。
液晶層を形成する液晶性を示す材料としては、特に制限されず、各種の液晶セルを構成し得る通常の各種低分子液晶物質、高分子液晶物質およびこれらの混合物が挙げられる。また、これらに液晶性を損なわない範囲で色素やカイラル剤、非液晶性物質等を添加することもできる。
液晶セルは、電極基板および液晶層の他に、後述する各種の方式の液晶セルとするのに必要な各種の構成要素を備えていても良い。
液晶セルの方式としては、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super Twisted Nematic)方式、ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式、IPS(In-Plane Switching)方式、VA(Vertical Alignment)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式、HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)方式、ハーフトーングレイスケール方式、ドメイン分割方式、あるいは強誘電性液晶、反強誘電性液晶を利用した表示方式等の各種の方式が挙げられる。
また、液晶セルの駆動方式も特に制限はなく、STN−LCD等に用いられるパッシブマトリクス方式、並びにTFT(Thin Film Transistor)電極、TFD(Thin Film Diode)電極等の能動電極を用いるアクティブマトリクス方式、プラズマアドレス方式等のいずれの駆動方式であっても良い。
液晶表示装置に用いる位相差補償板は、前述の光学フィルムと同様のものを適宜選定すればよく、1枚のみの使用でも良いし、複数枚使用しても良い。また、高分子延伸フィルムと、液晶性フィルムの両方を使用することもできる。
反射層としては、特に制限されず、アルミニウム、銀、金、クロム、白金等の金属やそれらを含む合金、酸化マグネシウム等の酸化物、誘電体の多層膜、選択反射を示す液晶又はこれらの組み合わせ等を例示することができる。これら反射層は平面であっても良く、また曲面であっても良い。さらに反射層は、凹凸形状など表面形状に加工を施して拡散反射性を持たせたもの、液晶セルの観察者側と反対側の電極基板上の電極を兼備させたもの、反射層の厚みを薄くしたり、穴をあける等の加工を施すことで光を一部透過させるようにした半透過反射層であっても良く、またそれらを組み合わせたものであっても良い。
光拡散層は、入射光を等方的あるいは異方的に拡散させる性質を有するものであれば、特に制限はない。例えば2種以上の領域からなり、その領域間に屈折率差をもつものや、表面形状に凹凸を付けたものが挙げられる。前記2種以上の領域からなり、その領域間に屈折率差をもつものとしては、マトリックス中にマトリックスとは異なる屈折率を有する粒子を分散させたものが例示される。光拡散層はそれ自身が粘接着性を有するものであっても良い。
光拡散層の膜厚は、特に制限されるものではないが、通常10μm以上500μm以下であることが望ましい。
また光拡散層の全光線透過率は、50%以上であることが好ましく、特に70%以上であることが好ましい。さらに光拡散層のヘイズ値は、通常10〜95%であり、好ましくは40〜90%であり、さらに好ましくは60〜90%であることが望ましい。
バックライト、フロントライト、光制御フィルム、導光板、プリズムシートとしては、特に制限されず公知のものを使用することができる。
本発明の液晶表示装置は、前記した構成部材以外にも他の構成部材を付設することができる。例えば、カラーフィルターを本発明の液晶表示装置に付設することにより、色純度の高いマルチカラー又はフルカラー表示を行うことができるカラー液晶表示装置を作製することができる。
次に、本発明の楕円偏光板を適用する有機エレクトロルミネセンス表示装置(有機EL表示装置)について説明する。
一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1 /4 波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4 に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例で用いた各分析方法は以下の通りである。Δndは特に断りのない限り波長550nmにおける値とする。
(1)対数粘度の測定
ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロエタン(60/40質量比)混合溶媒中、30℃で測定した。
(2)顕微鏡観察
オリンパス光学社製BH2偏光顕微鏡で液晶の配向状態を観察した。
(3)光学異方素子の光学パラメータ測定
王子計測機器(株)製自動複屈折計KOBRA21ADHを用いた。
(4)膜厚の測定
SLOAN社製SURFACE TEXTURE ANALYSIS SYSTEM Dektak 3030STを用いた。また、干渉波測定(日本分光(株)製 紫外・可視・近赤外分光光度計V−570)と屈折率のデータから膜厚を求める方法も併用した。
<実施例1>
(積層体Aの作製)
TACフィルム(40μm、富士写真フイルム社製)を室温で、2質量%水酸化カリウム水溶液中に5分間浸漬して鹸化処理を行い、流水中で洗浄した後乾燥させた。延伸したポリビニルアルコールに沃素を吸着させた偏光素子の一方の面に、接着剤層1としてアクリル系接着剤を用いて、鹸化したTACフィルムを貼り合わせ、積層体Aを作製した。総膜厚は約65μmであり、通常のもの(105μm)よりも薄くすることが出来た。
(液晶性高分子溶液Bおよび積層体Dの作製)
テレフタル酸50mmol、2,6−ナフタレンジカルボン酸50mmol、メチルヒドロキノンジアセテート40mmol、カテコールジアセテート60mmol、およびN−メチルイミダゾール60mgを用いて窒素雰囲気下、270℃で12時間重合を行った。次に得られた反応生成物をテトラクロロエタンに溶解したのち、メタノールで再沈殿を行って精製し、液晶性ポリエステル(ポリマー1)14.7gを得た。この液晶性ポリエステルの対数粘度は0.17(dl/g)、液晶相としてネマチック相をもち、等方相−液晶相転移温度は250℃以上、ガラス転移点は115℃であった。
ポリマー1の8質量%のγ―ブチロラクトン溶液を調製し液晶性高分子溶液Bとした。
650mm幅、厚み100μmの長尺のPEEKフィルムを搬送しながら、レーヨン布を巻き付けた150mmφのラビングロールを斜めに設定し、高速で回転させることにより連続的にラビングを行い、ラビング角度15°の配向基板フィルムを得た。ここで、ラビング角度はラビング面を上からみたときにMD方向から反時計回り方向の角度とする。液晶性高分子溶液Bを、前記配向基板フィルム上に、ダイコーターを用いて連続的に塗布・乾燥した後、150℃×10分間加熱処理をして液晶性高分子を配向させ、次いで室温に冷却して配向を固定化して、液晶性高分子からなる高分子液晶層(光学異方素子)とPEEKフィルムとの積層体Dを得た。
得られた積層体Dの高分子液晶層の厚みは2μmであった。
配向基板として用いたPEEKフィルムは大きな複屈折を有するため、積層体Dの形態では高分子液晶層の光学パラメータの測定が困難なため、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に次のようにして高分子液晶層を転写した。
すなわち、PEEKフィルム上の高分子液晶層上に、紫外線硬化型接着剤を5μm厚となるように塗布し、TACフィルム(40μm厚、富士写真フイルム社製)でラミネートして、TACフィルム側から紫外線を照射して接着剤を硬化させた後、PEEKフィルムを剥離し、高分子液晶層/接着剤層/TACフィルムからなる積層体を得た。得られた積層体を王子計測機器(株)製自動複屈折計KOBRA21ADHによりパラメータ測定した結果、この高分子液晶層は、ネマチック配向しておりΔndは275nmであった。
(楕円偏光板Eの作製)
積層体Dの光学異方素子上に市販のUV硬化型接着剤(UV−3400、東亞合成(株)製)を5μmの厚さに接着剤層2として塗布し、この上に積層体Aの偏光素子側をラミネートし、約600mJのUV照射により該接着剤層2を硬化させた。この後、PEEKフィルム/光学異方素子/接着剤層2/偏光素子/接着剤層1/TACフィルムが一体となった積層体からPEEKフィルムを剥離することにより光学異方素子を積層体A上に転写し、TACフィルム/接着剤層1/偏光素子/接着剤層2/光学異方素子からなる楕円偏光板Eを得た。該楕円偏光板Eの総厚みは、75μmであった。
この楕円偏光板Eを偏光顕微鏡により光学検査したところ、シミや傷などの損傷は見られなかった。この楕円偏光板Eの光学異方素子側をアクリル系粘着剤を介してガラス板に貼り付け、60℃90%RHの恒温恒湿槽に入れ、500時間経過後に取り出して観察したところ、剥がれや泡の発生などの異常は一切認められなかった。
<実施例2>
(接着剤の調製)
ウレタン系接着剤として、主剤となるポリエステルポリオールプレポリマーである東洋モートン(株)製の“EL−436A”(固形分濃度35%の水溶液)100部に、イソシアネート系硬化剤である東洋モートン(株)製の“EL−436B”(有効成分100%品)30部を配合し、さらに水を加えて固形分濃度が20%となるように希釈した。一方、ポリビニルアルコール系接着剤として、(株)クラレ製のカルボキシル基変性ポリビニルアルコール“クラレポバール KL318”(酢酸ビニルとイタコン酸ナトリウムのモル比約98:2の共重合体のケン化物、ケン化度85〜90モル%、分子量約85,000)の3%水溶液を調製した。得られたウレタン系接着剤とポリビニルアルコール系水溶液とを、質量比1:1(固形分質量比では20:3)で混合し、混合接着剤とした。
(積層体Fの作製)
延伸したポリビニルアルコールに沃素を吸着させた偏光素子の一方の面に、接着剤層1として調製した混合接着剤を混合後1分以内に塗布し、その一方の面には、ゼオノアフィルム(膜厚40μm、日本ゼオン社製)に250W・min/mの条件でコロナ処理を施し、そのコロナ処理後30秒以内にそのコロナ処理面で貼り合わせて、本発明の積層体Fを作製した。総膜厚は約65μmであり、通常のもの(105μm)よりも薄くすることが出来た。
(楕円偏光板Gの作製)
ラビング角度を70°にした以外は、実施例1と同様な方法で作製した積層体D’の光学異方素子上に市販のUV硬化型接着剤(UV−3400、東亞合成(株)製)を5μmの厚さに接着剤層2として塗布し、この上に積層体Fをラミネートし、約600mJのUV照射により該接着剤層2を硬化させた。この後、PEEKフィルム/光学異方素子/接着剤層2/偏光素子/接着剤1/ゼオノアフィルムが一体となった積層体からPEEKフィルムを剥離することにより光学異方素子を積層体F上に転写し、ゼオノアフィルム/接着剤層1/偏光素子/接着剤層2/光学異方素子からなる楕円偏光板Gを得た。該楕円偏光板Gの総厚みは、75μmであった。
この円偏光板Gを光学検査したところ、シミや傷などの損傷は見られなかった。この楕円偏光板Gの光学異方素子側をアクリル系粘着剤を介してガラス板に貼り付け、60℃90%RHの恒温恒湿槽に入れ、500時間経過後に取り出して観察したところ、剥がれや泡の発生などの異常は一切認められなかった。
<実施例3>
(楕円偏光板Hの作製)
実施例2で作製した積層体Fを搬送しながら、レーヨン布を巻き付けた150mmφのラビングロールを斜めに設定し、高速で回転させることにより連続的にラビングを行い、ラビング角度45°の配向基板フィルムを得た。ここで、ラビング角度はラビング面を上からみたときにMD方向から反時計回り方向の角度とする。実施例1で調製した液晶性高分子溶液Bを、ダイコーターを用いて連続的に塗布・乾燥した後、150℃×10分間加熱処理をして液晶性高分子を配向させた。次いで室温に冷却して配向を固定化して、ゼオノアフィルム/接着剤層1/偏光素子/光学異方素子からなる楕円偏光板Hを得た。該楕円偏光板Hの総厚みは、70μmであった。
この楕円円偏光板Hをエリプソメーター((株)溝尻光学工業所製DVA−36VWLD)で偏光解析したところ、波長550nmにおける楕円率が0.94であり、良好な円偏光特性を持つ円偏光板であることが確認できた。
この楕円偏光板Hを光学検査したところ、シミや傷などの損傷は見られなかった。この楕円偏光板Hの光学異方素子側をアクリル系粘着剤を介してガラス板に貼り付け、60℃90%RHの恒温恒湿槽に入れ、500時間経過後に取り出して観察したところ、剥がれや泡の発生などの異常は一切認められなかった。
<実施例4>
(積層体Iの作製)
実施例2で作製した積層体Fの偏光素子上に搬送しながら、アルキル変性ポリビニルアルコール(PVA、(株)クラレ製、PVA−117H)の5質量%溶液(溶媒は、水とイソプロピルアルコールの質量比1:1の混合溶媒)をダイコーターを用いて連続的に塗布・乾燥し、130℃で加熱処理してゼオノアフィルム/接着剤層1/偏光素子/PVA配向膜からなる積層体Iを得た。
(楕円偏光板Jの作製)
積層体Iを搬送しながら、PVA配向膜面にレーヨン布を巻き付けた150mmφのラビングロールを斜めに設定し、高速で回転させることにより連続的にラビングを行い、ラビング角度45°の配向基板フィルムを得た。ここで、ラビング角度はラビング面を上からみたときにMD方向から反時計回り方向の角度とする。実施例1で調製した液晶性高分子溶液Bを、実施例1とは異なる塗布速度でダイコーターを用いて連続的に塗布・乾燥した後、150℃×10分間加熱処理をして液晶性高分子を配向させた。次いで室温に冷却して配向を固定化して、ゼオノアフィルム/接着剤層1/偏光素子/PVA配向膜/光学異方素子からなる楕円偏光板Jを得た。該楕円偏光板Hの総厚みは、73μmであった。
実施例1と同様に高分子液晶層をTACフィルムに転写し光学パラメータを測定したところ、ネマチック配向しており、Δndは138nmであった。
この楕円偏光板Jを光学検査したところ、シミや傷などの損傷は見られなかった。この楕円偏光板Jの光学異方素子側をアクリル系粘着剤を介してガラス板に貼り付け、60℃90%RHの恒温恒湿槽に入れ、500時間経過後に取り出して観察したところ、剥がれや泡の発生などの異常は一切認められなかった。
<比較例1>
(楕円偏光板Kの作製)
延伸したポリビニルアルコールに沃素を吸着させた偏光素子の両側に、アクリル系接着剤を用いて、鹸化したTACフィルムを貼り合わせて偏光板を作製した。
光学パラメータ測定用に実施例1で作製したTACフィルム/接着剤/光学異方素子の構成の光学異方素子側をアクリル系粘着剤を介してこの偏光板に貼合して楕円偏光板Kを作製した。この楕円偏光板Kは厚さ約200μmと厚く、巻き厚が大きくなるために一回の操作での処理長さは実施例1〜4の楕円偏光板の作製に比べて短くならざるを得なかった。
楕円偏光板Kの光学異方素子側のTACフィルムにアクリル系粘着剤を塗布しガラス板に貼りつけて、実施例1と同様の試験を行ったところ、500時間経過後に端部に0.5mmの剥がれが認められた。
<実施例5>
実施例1で得た楕円偏光板Eと実施例2で得た楕円偏光板Gを用いて、図4に示したような配置で半透過反射型液晶表示装置を作製した。
使用した液晶セル9は、液晶材料としてZLI−1695(Merck社製)を用い、ホモジニアス配向させた。液晶層厚は5.0μmであり、液晶層の基板両界面のプレチルト角2度であり、液晶セルのΔndは、略310nmであった。
液晶セル9内の液晶層の下側に半透過反射板10を配置した。
液晶セル9の表示面側(図の上側)に実施例1で得た楕円偏光板E(図4では1Aとする)を配置し、楕円偏光板Eと液晶セル9との間に一軸延伸したゼオノアフィルム(日本ゼオン社製:Δndは略110nm)からなる位相差補償板8を配置した。
また、液晶セルのバックライト側(図の下側)に実施例2で得た楕円偏光板G(図4では1Bとする)を配置し、液晶セル9と楕円偏光板1Bの間に、特開平6−347742号公報に従って、膜厚方向の平均チルト角が28度、Δndが100nmのネマチックハイブリッド配向が固定化されたハイブリッドネマチック液晶フィルム11を配置した。
偏光素子4A及び4Bの吸収軸、ゼオノアフィルム8の遅相軸、液晶セル9の両界面のプレチルト方向、ネマチックハイブリッド配向液晶フィルム11のチルト方向は図5に記載した条件で配置した。該楕円偏光板1Bの背面側にはバックライト12が設けられている。
上記の液晶表示装置に、駆動回路(図示せず)から駆動電圧を0Vから5Vまで印加し、バックライト12を配置して点灯時(透過モード)の光学特性を調べたところ明るく高コントラストで視野角依存性の少ない特性が得られたことが分かった。
<実施例6>
実施例3で作製した楕円偏光板Hを、図6で定義する楕円偏光板1Cとして、市販の有機EL表示装置の有機EL素子の透明ガラス基板14上にアクリル系粘着剤を介して貼着し、有機EL表示装置を作成した。その結果、本発明の楕円偏光板を配置しない場合に比べ、大幅な外光反射防止効果を発揮し、視認性の優れた有機EL表示装置が得られることが分かった。
本発明の楕円偏光板の構成例を模式的に示す立面断面図である。 本発明の楕円偏光板の別の構成例を模式的に示す立面断面図である。 本発明の楕円偏光板の別の構成例を模式的に示す立面断面図である。 実施例4で用いた液晶表示装置の概念図である。 実施例4の液晶表示装置における偏光板の吸収軸や液晶セル、光学異方性層の軸角度関係を説明する平面図である。 実施例5で用いた有機EL表示装置の概念図である。
符号の説明
1、1A、1B、1C 楕円偏光板
2 透光性保護フィルム
3 接着剤層1
4、4A、4B、4C 偏光素子
5 接着剤層2
6、6A、6B、6C 光学異方素子
7 配向膜
8 位相差補償板
9 液晶セル
10 半透過反射板
11 ハイブリッドネマチック液晶フィルム
12 バックライト
13 有機EL表示装置
14 透明ガラス基板
15 陽極
16 発光層
17 陰極

Claims (26)

  1. 透光性保護フィルム、偏光素子および光学異方素子とが、この順に積層されてなる楕円偏光板であって、該光学異方素子が少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物を液晶状態においてネマチック配向させた後、該配向を固定化したネマチック配向液晶層を含むことを特徴とする楕円偏光板。
  2. 透光性保護フィルム、偏光素子および光学異方素子が長尺フィルム形態であることを特徴とする請求項1に記載の楕円偏光板。
  3. ネマチック配向液晶層の屈折率異方性Δnとネマチック配向液晶層の厚みdとの積(Δn・d)が50nm〜1000nmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の楕円偏光板。
  4. 透光性保護フィルムが、トリアセチルセルロースであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の楕円偏光板。
  5. 透光性保護フィルムが、シクロオレフィン系ポリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の楕円偏光板。
  6. 楕円偏光板の厚みが150μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の楕円偏光板。
  7. 偏光素子と光学異方素子との間に、液晶性組成物にネマチック配向を形成させる配向膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の楕円偏光板。
  8. 光学異方素子の偏光素子とは反対側の表面に透光性オーバーコート層が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の楕円偏光板。
  9. 透光性オーバーコート層がアクリル系樹脂からなることを特徴とする請求項8に記載の楕円偏光板。
  10. ネマチック配向液晶層の液晶分子の配向方向が、MD方向と平行でないことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の楕円偏光板。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の楕円偏光板に、さらに少なくとも1枚の光学フィルムが積層されていることを特徴とする楕円偏光板。
  12. 光学フィルムが、高分子延伸フィルムであることを特徴とする請求項11に記載の楕円偏光板。
  13. 光学フィルムが、液晶性フィルムであることを特徴とする請求項11に記載の楕円偏光板。
  14. 液晶性フィルムが、少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物を液晶状態においてネマチック配向させた後、該配向を固定化した液晶層を含むことを特徴とする請求項13に記載の楕円偏光板。
  15. 液晶性フィルムが、少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物を液晶状態においてハイブリッドネマチック配向させた後、該配向を固定化した液晶層を含むことを特徴とする請求項13に記載の楕円偏光板。
  16. (1)透光性保護フィルムを、接着剤層1を介して偏光素子と接着し、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子からなる積層体(A)を得る第1工程、
    (2)ラビング処理を施した配向基板上に、少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物からなる層を形成し、該層をネマチック配向させた後、配向を固定化して、配向基板/光学異方素子からなる積層体(B)を得る第2工程、
    (3)前記積層体(B)の光学異方素子側を、接着剤層2を介して、前記積層体(A)の偏光素子側と接着せしめた後、配向基板を剥離して光学異方素子を前記積層体(A)に転写し、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子/接着剤層2/光学異方素子からなる楕円偏光板を得る第3工程、
    の各工程を少なくとも経ることを特徴とする楕円偏光板の製造方法。
  17. (1)透光性保護フィルムを、接着剤層1を介して偏光素子と接着し、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子からなる積層体(A)を得る第1工程、
    (2)前記積層体(A)の偏光素子上にラビング処理を施し、少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物からなる層を形成し、該層をネマチック配向させた後、配向を固定化して、透光性保護フィルム/接着剤層1/偏光素子/光学異方素子からなる楕円偏光板を得る第2工程、
    の各工程を少なくとも経ることを特徴とする楕円偏光板の製造方法。
  18. 請求項17において、偏光素子上に少なくとも正の一軸性を示す液晶性組成物がネマチック配向を形成する配向膜を設けてからラビング処理を施すことを特徴とする請求項17に記載の楕円偏光板の製造方法。
  19. 透光性保護フィルムが、トリアセチルセルロースまたはシクロオレフィン系ポリマーであることを特徴とする請求項16または17に記載の楕円偏光板の製造方法。
  20. 透光性保護フィルムが表面処理されていることを特徴とする請求項16または17に記載の楕円偏光板の製造方法。
  21. 表面処理が、鹸化処理であることを特徴とする請求項20に記載の楕円偏光板の製造方法。
  22. 表面処理が、コロナ放電処理であることを特徴とする請求項20に記載の楕円偏光板の製造方法。
  23. 偏光素子が表面処理されていることを特徴とする請求項16または17に記載の楕円偏光板の製造方法。
  24. 表面処理が、コロナ放電処理であることを特徴とする請求項23に記載の楕円偏光板の製造方法。
  25. 液晶セルの少なくとも片側の面に、請求項1〜15のいずれかに記載の楕円偏光板を配置した液晶表示装置。
  26. 請求項1〜15のいずれかに記載の楕円偏光板を具備することを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置。
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