JP2007322108A - ガス状汚染物濃度の予測方法、この予測方法に基づく設計方法、及び、この設計方法にて設計された建物の施工方法 - Google Patents

ガス状汚染物濃度の予測方法、この予測方法に基づく設計方法、及び、この設計方法にて設計された建物の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ある時点における内部空間のガス状汚染物濃度をより正確に予測可能なガス状汚染物濃度の予測方法等を提供する。
【解決手段】建物の内部空間を形成する複数種類の建材を仮設定する建材仮設定ステップと、施工スケジュールを仮設定する仮施工スケジューリングステップと、仮設定された各建材の材令に対するガス状汚染物の発生量の変化、各建材が製造されてから前記施工スケジュールにおけるある時点までの建材毎の経過時間、及び、外気のガス状汚染物濃度を用いて、ある時点における内部空間のガス状汚染物濃度を算出する濃度算出ステップと、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、建物の内部空間におけるガス状汚染物濃度の予測方法、この予測方法に基づく設計方法、及び、この設計方法にて設計された建物の施工方法に関する。
竣工された建物の内部空間は、建材から発生する物質により、外気と比較して空気が汚染される場合がある。例えば、竣工された建物の内部空間が半導体等を製造するクリーンルームである場合には、汚染された空気中における、建材から発生した物質の濃度(ガス状汚染物濃度)はある値を超えていると製品または生産プロセスに悪影響を及ぼす。このため、建設される建物内のガス状汚染物濃度を予測するために、従来(式1)が用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
C=C+M/Q ・・・(式1)
C:室内空気汚染物質濃度
:外気中汚染物質濃度
M:単位時間あたりの室内での汚染物質発生量(発生速度)
Q:単位時間あたりに室内に供給される外気の量
社団法人 日本空気清浄協会編、「空気清浄ハンドブック」、第1版、1990年2月25日、p186
ところで、建設される建物に用いられる建材は複数種類にわたり、各々の建材から発生される物質や発生量は互いに相違する。また、汚染物質の発生量は時間の経過により変化する。しかしながら、(式1)には時間に関するパラメーターが含まれていないため、予測されるガス状汚染物濃度は、ある一時点におけるガス状汚染物濃度である。本来予測したいガス状汚染物濃度は、例えば、竣工時であったり内部空間の使用開始時であったりと様々であり、(式1)で予測されたガス状汚染物濃度が本来求めているガス状汚染物濃度と一致するとは限らない。このため、ある時点における内部空間のガス状汚染物濃度を所定値より下げるために、汚染物質の発生が少ない建材を用いたり、建物が完成した後に使用時期を遅らせるなどの手段によりガス状汚染物濃度を低下させなければならず、高価な建材を使用したり、完成した部屋を一定期間使用できない場合があるという課題があった。
本発明の目的は、ある時点における内部空間のガス状汚染物濃度をより正確に予測可能なガス状汚染物濃度の予測方法、この予測方法に基づく設計方法、及び、この設計方法にて設計された建物の施工方法を提供することにある。
かかる目的を達成するために本発明のガス状汚染物濃度の予測方法は、建物の内部空間におけるガス状汚染物濃度の予測方法であって、前記内部空間を形成する複数種類の建材を仮設定する建材仮設定ステップと、前記建物の施工スケジュールを仮設定する仮施工スケジューリングステップと、前記仮設定された各建材の材令に対するガス状汚染物の発生量の変化、前記各建材が製造されてから前記施工スケジュールにおけるある時点までの建材毎の経過時間、及び、外気のガス状汚染物濃度を用いて、前記ある時点における前記内部空間のガス状汚染物濃度を算出する濃度算出ステップと、を有することを特徴とする。
このようなガス状汚染物濃度の予測方法によれば、複数種類の仮設定された建材の各々が製造された時を仮設定された施工スケジュール上に載せることにより、各建材の材令に対するガス状汚染物の発生量の変化に基づいて、各建材施工スケジュールのある時点における各建材のガス状汚染物の発生量を求めることが可能である。また、求めた各建材のガス状汚染物の発生量に基づいて、各建材を用いて形成する内部空間のある時点におけるガス状汚染物濃度を算出することが可能である。このとき、ある時点におけるガス状汚染物濃度の算出において外気のガス状汚染物濃度も用いるため現場の環境に応じた、より正確なガス状汚染物濃度を算出することが可能である。
かかるガス状汚染物濃度の予測方法であって、前記内部空間はクリーンルームであることを特徴とする。
このようなガス状汚染物濃度の予測方法によれば、ガス状汚染物が特に問題となるクリーンルームを施工する際に、例えば施工された後のクリーンルームのガス状汚染物濃度を予測して、完成されたクリーンルームを規格等に適応させることが可能である。
かかるガス状汚染物濃度の予測方法であって、前記ある時点は前記内部空間の使用開始時であることが望ましい。
このようなガス状汚染物濃度の予測方法によれば、内部空間の使用を開始する時点における内部空間のガス状汚染物濃度が予測できるので、内部空間の使用開始時に内部空間内が清浄となるように施工スケジュールを設定することが可能である。
また、上記ガス状汚染物濃度の予測方法にて予測された前記ガス状汚染物濃度が所定値より高い場合には、前記仮設定した事項の変更を実施することを特徴とする建物の設計方法である。
このような建物の設計方法によれば、予測されたガス状汚染物濃度が所定値より高い場合には、仮設定した事項、すなわち、建材、及び、施工スケジュールを変更することにより、ある時点の内部空間におけるガス状汚染物濃度を所定値以下に抑えることが可能である。このため、設計段階にて所定値として設定した基準に適応する内部空間を形成することが可能であり、形成された内部空間をある時点から使用することが可能である。
かかる建物の設計方法であって、前記仮設定された前記施工スケジュールは、複数の工程を有しており、前記変更は、前記複数の工程のうちのいずれかの工程を実施する時期の変更であることが望ましい。
ガス状汚染物濃度が所定値より高い場合には、仮設定した施工スケジュールのみを再検討することによりガス状汚染物の濃度を所定値より低くすることが可能な場合がある。例えば、ある建材の材令に対するガス状汚染物の発生量の変化に基づいて当該建材の製造時期を早めることにより、ある時点におけるガス状汚染物の濃度を所定値より低くすることが可能な場合がある。このため、複数の工程のうちのいずれかの工程を実施する時期を変更することにより、仮設定された建材を変更することなく、内部空間のガス状汚染物の濃度を所定値より低くすることが可能である。
かかる建物の設計方法であって、前記変更は、仮設定された前記複数種類の建材のうちのいずれかの建材の変更であることが望ましい。
ガス状汚染物濃度が所定値より高い場合には、仮設定した建材を再検討することによりガス状汚染物の濃度を所定値より低くすることが可能である。このとき、建材の材令に対するガス状汚染物の発生量は各々の建材により異なるため、全ての建材を変更することなく、例えば、ある時点におけるガス状汚染物の発生量が大きい建材のみを変更することにより、内部空間のガス状汚染物の濃度を所定値より低くすることが可能である。
かかる建物の設計方法であって、前記建材の変更は、前記変更を実施した前記施工スケジュールを適用して予測した前記内部空間のガス状汚染物濃度が前記所定値より高い場合に実施されることが望ましい。
このような建物の設計方法によれば、仮設定された施工スケジュールを変更してもなおガス状汚染物濃度が所定値より高い場合には、建材を変更することにより、ガス状汚染物濃度を所定値より低くすることが可能である。ガス状汚染物の発生量が小さな建材等は高価であるが、建材の変更より先に施工スケジュールを変更することにより、無用な建材の変更を抑えて施工コストを抑えることが可能である。
また上記建物の設計方法にて実施された設計に基づいて前記建物を施工することを特徴とする建物の施工方法である。
このような建物の施行方法によれば、建材のコストを抑え、かつ、ガス状汚染物の濃度が所定値以下の内部空間を備えた建物を効率よく施工することが可能である。
本発明によれば、ある時点における建物の内部空間のガス状汚染物濃度をより正確に予測可能なガス状汚染物濃度の予測方法、この予測方法に基づく設計方法、及び、この設計方法にて設計された建物の施工方法を提供することが可能である。
以下、本発明の一実施形態としての建物の内部空間におけるガス状汚染物濃度の予測方法、この予測方法に基づく設計方法、及び、この設計方法にて設計された建物の施工方法について図面に基づいて説明する。
図1は、ガス状汚染物濃度の予測対象の一例となる建物の模式図である。
本発明の建物の内部空間におけるガス状汚染物濃度の予測方法、この予測方法に基づく設計方法、及び、この設計方法にて設計された建物の施工方法の対象となる建物10は、図1に示すように、例えば内部空間としてのクリーンルーム20を備えた建物10である。
この建物10は、クリーンルーム20と、クリーンルーム20を構成する天井21、床22、クリーンルーム20の周囲を囲む壁23、還気空間15を有している。
還気空間15は、クリーンルーム20の天井21より上方にて、外調機11を介して建物10の外部と連通している。還気空間15には、外調機11により外気が取り込まれている。また、還気空間15のクリーンルーム20より下方には建物10内の空気の温度を管理するためのドライコイル12が設けられている。クリーンルーム20の天井21には、ファン付フィルタユニット13(以下、FFUという)が設けられており、床22には例えば細かな格子状に配置された通気孔(不図示)が複数設けられている。
そして、この建物10内では、外気が外調機11によりクリーンルーム20の上方に供給され、供給された空気と還気がFFU13内のフィルターを透過してクリーンルーム20内に供給され、床22の通気孔から床下に排出される。床下に排出された空気はドライコイル12を通過して、壁23の裏側の還気空間15を通ってクリーンルーム20の上方に流れ込むように循環されている。
ところで近年のクリーンルーム20は、ナノレベルの微細加工される半導体などを製造するために、クリーンルーム20内の空気の汚染の対象となる物質として分子レベルの物質が問題となるようになってきた。一方、建物10内の空気は、還気空間15を形成する天井材、床材、壁材等の建材や、クリーンルーム20を形成する天井材、床材、壁材等の間を循環する。このとき、各建材から空気を汚染する有機ガスや無機ガス等の物質(以下、汚染物という)が発生しており、クリーンルーム20に流入することになる。
このような建材から発生する汚染物は建材の材令、すなわち製造されてからの経過時間が長くなるにつれて発生量は少なくなるが、クリーンルーム20の使用開始時には、クリーンルーム20内のガス状汚染物濃度を所定値以下とする必要がある。このため建物10を建設する際には、竣工時や使用開始時などのある時点における内部空間のガス状汚染物濃度をできるだけ正確に予測して、施工スケジュールを設定することが必要である。
また、建設に用いられる建材は、複数の種類にわたるため、ガス状汚染物濃度には各々の建材から発生される汚染物、建材の使用量、汚染物の発生量、汚染物の減衰特性、施工時期や製造時期等、互いに異なる様々な要素が関連している。このため、本発明の内部空間におけるガス状汚染物濃度の予測方法は、これらの様々な要素を加味してガス状汚染物濃度をより正確に予測することを可能としている。
本実施形態では、クリーンルーム20に流入する空気が晒される建物10内の空間を形成する建材を、建物10の天井及び内壁に用いられる建材A、建物の床に用いられる建材B、クリーンルームの天井21、床22、壁23に用いられる建材Cとして説明する。実際には建材に、シール材や、接着剤等も含まれるので、建材の種類はもっと多いが、ここでは、説明の便宜上、用いられる建材を3種類のみとする。
図2は本発明の一実施形態としての建物の内部空間におけるガス状汚染物濃度の予測方法、この予測方法に基づく設計方法、及び、この設計方法にて設計された建物の施工方法を説明するためのフローチャートである。
作業者は、クリーンルーム20を備えた建物10を建設するために、建物10の構造及び施工スケジュールを設計する(設計ステップ:S10)。設計ステップでは、まず、建設される建物10に用いる建材を仮設定し(建材仮設定ステップ:S11−1)、各建材の工場における施工時期やコンクリートの打設など現場で実施する作業の時期をスケジューリングした施工スケジュールを仮設定する(仮施工スケジューリングステップ:S11−2)。このとき仮設定した施工スケジュールを仮施工スケジュールAとする。また、仮設定された各々の建材については、実測、計算、建材メーカのカタログ等により、単位時間及び単位面積あたりのガス状汚染物の発生量(以下、ガス状汚染物発生速度という)の材令に対する変化を、建材の製造(施工)時からの経時変化特性として求めておく。
図3は、建材毎にガス状汚染物発生速度の経時変化特性を示した図である。図4は、仮設定された施工スケジュールと各建材の材令との関係を示す図である。
作業者は、図3に示すグラフから、建材毎にガス状汚染物発生速度の経時変化特性fを示す、時間を関数とする方程式を求める。次に作業者は、(式2)に基づいて、ある時点におけるクリーンルーム20内のガス状汚染物濃度を算出して予測する(濃度算出ステップ:S11−3)。ここでは、ある時点を、クリーンルーム20を使用し始める時としてクリーンルーム20内のガス状汚染物濃度Cを予測する。
=C+{fA(A)+fB(B)+fC(C)}/Q …(式2)
:ある時点におけるガス状汚染物濃度、
:外気中ガス状汚染物濃度、
A(A):建材Aのガス状汚染物発生速度の経時変化特性、
B(B):建材Bのガス状汚染物発生速度の経時変化特性、
C(C):建材Cのガス状汚染物発生速度の経時変化特性、
:建材Aの面積、S:建材Bの面積、S:建材Cの面積、
:単位時間あたりの供給外気量
この(式2)は、背景技術にて示した(式1)の汚染物発生速度Mを建材毎に設定し、さらに、各々の汚染物発生速度Mを、建材毎の汚染物発生速度Mの材令による経時変化特性(建材の製造時からの経時変化特性)を示す関係式fとして示すことにより得られる式である。ここで建材の製造時とは、予め工場等にて製造される建材は工場における製造時、コンクリートなど現場の作業にて形成される建材は現場における施工時を示している。このため、製造時から使用開始時までの経過時間は、図4に示すように建材毎に相違する。また、外気中ガス状汚染物濃度Cは、外調機11の出口、すなわち、外調機11の還気空間15側吹き出し口に供給される空気のガス状汚染物濃度を示している。
作業者は、クリーンルーム20の使用開始時におけるガス状汚染物濃度として算出された値を所定値としての予め規定された許容値と比較する(S12)。この許容値は、建築者の自主的な基準値であっても良いし、建築依頼者の要望する値であっても良いが、例えばクリーンルーム20内で製造される製品等に影響を及ぼさないガス状汚染物濃度が設定されることが望ましい。
算出されたガス状汚染物濃度が許容値以下の場合には、仮設定された建材及び仮設定された仮施工スケジュールAを確定して、確定された建材を用い確定された施工スケジュールに基づいて施工する(S20)。
一方、算出されたガス状汚染物濃度が許容値より大きい場合には、まず仮施工スケジュールAが変更可能か否かを判断する(S13)。このとき、ガス状汚染物発生速度の経時変化特性fを見直し、使用開始時におけるガス状汚染物濃度に対する寄与度が高い建材を選択し、選択された建材の施工時期を仮施工スケジュールAにおいて仮設定した施工時期より早い時期に施工することが可能か、否かが判断される。ここで、ガス状汚染物濃度に対する寄与度が高い建材とは、例えば、ガス状汚染物発生速度が高い建材や、使用している面積が広い建材、ガス状汚染物発生量の減衰速度が遅い建材等である。そして、仮施工スケジュールAにおいて変更が可能であれば、対象となる建材の施工時期を変更し、変更した新たな施工スケジュール(以下、仮施工スケジュールBという)を仮設定する(施工スケジュール変更ステップ:S14)。このとき、使用開始時におけるガス状汚染物濃度に対する寄与度が高い建材が複数ある場合には、寄与度がより高い建材を優先的に選択することにより、使用開始時のガス状汚染物濃度をより効果的に低下させることが可能である。
図5は、施工スケジュール変更ステップを説明するための図である。図5(a)は、最初に仮設定された仮施工スケジュールAを説明するための図である。図5(b)は、新たに仮設定された仮施工スケジュールBを説明するための図である。図5(c)は、仮施工スケジュールAと仮施工スケジュールBとにてそれぞれ施工されたクリーンルームにおけるガス状汚染物濃度の経時変化の違いを示す図である。図5(a)、図5(b)に示すように、例えば本実施形態のクリーンルーム20の施工は、工事A,工事B,工事C、塗床工事の4工程を有しており、ここでは、塗床工事にて施工される床用の建材が、クリーンルーム20の使用開始時におけるガス状汚染物濃度に対する寄与度が高い建材であったとする。そして、仮施工スケジュールAでは、工事A、工事B、塗床工事、工事Cの順で施工されるように仮設定されている。この仮施工スケジュールAにて施工されたクリーンルーム20のガス状汚染物濃度を示すグラフは、図5(c)の上側のグラフであり、使用開始時には許容値を超えている。
次に、施工スケジュール変更ステップ(S14)により変更された仮施工スケジュールBでは、図5(b)に示すように、工事A、塗床工事、工事B、工事Cの順で施工されるように仮設定されている。すなわち、仮施工スケジュールAと比較すると、仮施工スケジュールBは塗床工事を工事Bより先に実施するように変更されている。施工スケジュール変更ステップ(S14)では、クリーンルーム20の使用開始時におけるガス状汚染物濃度を許容値以下にすることを目的として塗床工事の施工時期を早めるような変更がなされる。
次に、仮施工スケジュールBと(式2)とに基づいて、使用開始時におけるクリーンルーム20内のガス状汚染物濃度を算出する(S11−3)。そして算出されたガス状汚染物濃度を許容値と比較し(S12)、算出されたガス状汚染物濃度が許容値以下の場合には、新たに仮設定された仮施工スケジュールBを確定して、確定された施工スケジュールに基づいて施工する(S20)。また、算出されたガス状汚染物濃度を許容値と比較した結果(S12)、算出されたガス状汚染物濃度が許容値より大きい場合には、仮施工スケジュールBが変更可能か否かを判断し(S13)、変更可能であれば、再び施工スケジュール変更ステップを実行する(S14)。このように、算出されたガス状汚染物濃度が許容値より大きく、かつ、施工スケジュールが変更可能であれば、施工スケジュール変更ステップ(S14)とガス状汚染物濃度算出ステップ(S11−3)とを繰り返す。
仮施工スケジュールA及びその後変更された仮施工スケジュールの変更が可能か否かを判断した結果(S13)、変更が不可能な場合には、建材を変更する建材変更ステップ(S15)を実行する。建材変更ステップにおいても、仮設定されている建材のうち、クリーンルーム20の使用開始時におけるガス状汚染物濃度への寄与度が高い建材を選択し、選択された建材を、選択された建材とは異なるガス状汚染物発生速度の経時変化特性fを有する建材に変更し新たに仮設定する。このとき新たに仮設定された建材は、最初に仮設定された建材よりガス状汚染物発生速度が低い建材か、またはガス状汚染物発生速度の減衰速度が速い建材を仮設定することが望ましい。また、最初に仮設定された建材のうち変更の対象となる建材が2種類以上ある場合には、建材の変更によるコストアップが小さな建材を優先的に仮設定することが望ましい。
図6は、建材変更ステップを説明するための図である。図6(a)は、最初に仮設定された建材と新たに仮設定された建材のガス状汚染物発生速度の経時変化特性fを示す図である。図6(b)は、最初に仮設定された建材と新たに仮設定された建材とにてそれぞれ施工されたクリーンルームにおけるガス状汚染物濃度の経時変化を比較した図である。本実施形態では例えば建物10の天井及び内壁に用いられる建材A(以下、建材A−1とする)が、使用開始時におけるガス状汚染物発生速度が高い建材であったとする。そして、新たに仮設定された建材A−2は、最初に仮設定された建材A−1よりガス状汚染物発生速度が低い建材である。最初に仮設定された建材A−1を用いて施工されたクリーンルーム20のガス状汚染物濃度を示すグラフは、図6(b)の上側のグラフであり使用開始時には許容値を超えている。
次に、建材変更ステップ(S15)により変更された新たな建材A−2を用いて施工されたクリーンルーム20のガス状汚染物濃度を示すグラフは、図6(b)の下側のグラフであり、使用開始時にはガス状汚染物濃度が許容値以下に抑えられている。建材変更ステップ(S15)は、クリーンルーム20の使用開始時におけるガス状汚染物濃度を許容値以下とすることを目的として、最初に設定された建材A−1よりガス状汚染物発生速度が低い建材またはガス状汚染物発生速度の減衰速度が速い建材を仮設定するものである。
次に、新たに仮設定された建材A−2のガス状汚染物発生速度の経時変化特性fと(式2)とに基づいて、使用開始時におけるクリーンルーム20内のガス状汚染物濃度を算出する(S11−3)。そして算出されたガス状汚染物濃度を許容値と比較し(S12)、算出されたガス状汚染物濃度が所定値以下の場合には、新たに仮設定された建材A−2を建物10の天井及び内壁に用いる建材として確定し、確定された建材を用いて既に確定されている施工スケジュールに基づいて施工する(S20)。
算出されたガス状汚染物濃度を許容値と比較した結果(S12)、算出されたガス状汚染物濃度が許容値より大きい場合には、仮設定されている仮施工スケジュールBは既に変更不可能と判断されているので(S13)、再び建材変更ステップを実行する(S15)。その後も、算出されたガス状汚染物濃度が許容値より大きい場合には、建材変更ステップ(S15)とガス状汚染物濃度算出ステップ(S11−3)とを、算出されたガス状汚染物濃度が許容値以下となるまで繰り返す。
本実施形態では、建材仮設定ステップ(S11−1)からガス状汚染物濃度算出ステップ(S11−3)までを含む工程(S11)がガス状汚染物の予測方法に相当し、このガス状汚染物濃度の予測方法、及び、算出濃度と許容値との比較(S12)、施工スケジュール変更可能判断(S13)、施工スケジュール変更ステップ(S14)、建材変更ステップ(S15)を含む工程(S10)が建物の設計方法に相当する。そして、建材仮設定ステップ(S11−1)から施工スケジュール変更ステップ(S14)、建材変更ステップ(S15)を含む工程(S10)による設計方法にて確定された建材及び施工スケジュールに基づいて実施される施工工程(S20)が施工方法に相当する。
本実施形態のガス状汚染物濃度の予測方法によれば、仮設定された各建材におけるガス状汚染物発生速度の経時変化特性fに基づいて、各々の建材が製造された時を仮設定された施工スケジュール上に載せることにより、施工スケジュールのある時点における各建材のガス状汚染物発生速度を求めることが可能である。そして、求められた各建材のガス状汚染物発生速度に基づいて、各建材を用いて形成されるクリーンルーム20のある時点におけるガス状汚染物濃度を予測することが可能である。このとき、ガス状汚染物濃度の算出において外気のガス状汚染物濃度Cも用いるため現場の環境に応じた、より正確なガス状汚染物濃度を算出することが可能である。
本実施形態では、ある時点をクリーンルーム20の使用開始時としたので、クリーンルーム20の使用開始時におけるガス状汚染物濃度を予測することが可能であり、クリーンルーム20の使用予定に応じた施工スケジュールを容易に設定することが可能である。このように、本実施形態のガス状汚染物濃度の予測方法は、建設された後の建物のガス状汚染物濃度をより正確に予測できるので、ガス状汚染物が特に問題となるクリーンルーム20を有する建物10を建設する際に特に有効である。
また、ガス状汚染物濃度が許容値より高い場合には、仮設定した建材と仮施工スケジュールAとのうち、先に仮施工スケジュールAを見直して、仮施工スケジュールAが有する複数の工程のうちの塗床工事の工程を実施する時期を早めることにより、使用開始時におけるクリーンルーム20のガス状汚染物濃度を許容値以下に抑えることとした。このため、施工スケジュールの変更のみによりガス状汚染物濃度が許容値以下となった場合には、仮設定した建材をガス状汚染物の発生量が小さな建材等の高価な建材に変更しない。よって、無用な建材の変更を抑えて施工コストを抑えることが可能である。
また、仮設定された施工スケジュールを変更してもなおガス状汚染物濃度が許容値より高い場合には、建材を変更することにより、ガス状汚染物濃度を許容値以下に抑えることとした。このため、施工スケジュールの変更のみにてガス状汚染物濃度を許容値以下に抑えることができない場合であっても、建材を変更することにより、完成されたクリーンルーム内のガス状汚染物濃度を許容値以下に抑えることが可能である。このとき、建材の製造時からの経時変化特性fは各々の建材により異なるため、全ての建材を変更することなく、例えば、ある時点におけるガス状汚染物の発生量が大きい建材のみを変更することにより、クリーンルーム20のガス状汚染物の濃度を許容値以下に抑えることも可能である。このため、建材の変更によるコストアップをより抑えることが可能である。
また、上記建物の設計方法にて実施された設計に基づいて建物10を施工する建物の施行方法によれば、適切な施工スケジュールに基づいて、建材のコストを抑え、かつ、ガス状汚染物の濃度が許容値以下のクリーンルーム20を備えた建物10を効率よく施工することが可能である。そして、完成されたクリーンルーム20を予定した使用開始時から適正なガス状汚染物濃度の状態で使用することが可能である。
上記実施形態においては、建物10の内部空間をクリーンルームとしたが、これに限ることなく、例えば、住宅等の居室、病院や工場の施設等の区画された空間であっても適用可能である。
ガス状汚染物濃度の予測対象の一例となる建物の模式図である。 本発明の一実施形態としての建物の内部空間におけるガス状汚染物濃度の予測方法、この予測方法に基づく設計方法、及び、この設計方法にて設計された建物の施工方法を含むフローチャートである。 各建材の材令に対するガス状汚染物発生速度を示した図である。 仮設定された施工スケジュールと各建材の材令との関係を示す図である。 施工スケジュール変更ステップを説明するための図である。図5(a)は、最初に仮設定された仮施工スケジュールAを説明するための図である。図5(b)は、新たに仮設定された仮施工スケジュールBを説明するための図である。図5(c)は、仮施工スケジュールAと仮施工スケジュールBとにてそれぞれ施工されたクリーンルームにおけるガス状汚染物濃度の経時変化の違いを示す図である。 建材変更ステップを説明するための図である。図6(a)は、最初に仮設定された建材と新たに仮設定された建材のガス状汚染物発生速度の経時変化特性fを示す図である。図6(b)は、最初に仮設定された建材と新たに仮設定された建材とにてそれぞれ施工されたクリーンルームにおけるガス状汚染物濃度の経時変化を比較した図である。
符号の説明
10 建物
11 外調機 12 ドライコイル
13 ファン付きフィルタユニット 15 還気空間
20 クリーンルーム 21 天井
22 床 23 壁

Claims (8)

  1. 建物の内部空間におけるガス状汚染物濃度の予測方法であって、
    前記内部空間を形成する複数種類の建材を仮設定する建材仮設定ステップと、
    前記建物の施工スケジュールを仮設定する仮施工スケジューリングステップと、
    前記仮設定された各建材の材令に対するガス状汚染物の発生量の変化、前記各建材が製造されてから前記施工スケジュールにおけるある時点までの建材毎の経過時間、及び、外気のガス状汚染物濃度を用いて、前記ある時点における前記内部空間のガス状汚染物濃度を算出する濃度算出ステップと、
    を有することを特徴とするガス状汚染物濃度の予測方法。
  2. 請求項1に記載のガス状汚染物濃度の予測方法であって、
    前記内部空間はクリーンルームであることを特徴とするガス状汚染物濃度の予測方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のガス状汚染物濃度の予測方法であって、
    前記ある時点は前記内部空間の使用開始時であることを特徴とするガス状汚染物濃度の予測方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガス状汚染物濃度の予測方法にて予測された前記ガス状汚染物濃度が所定値より高い場合には、前記仮設定した事項の変更を実施することを特徴とする建物の設計方法。
  5. 請求項4に記載の建物の設計方法であって、
    前記仮設定された前記施工スケジュールは、複数の工程を有しており、
    前記変更は、前記複数の工程のうちのいずれかの工程を実施する時期の変更であることを特徴とする建物の設計方法。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の建物の設計方法であって、
    前記変更は、仮設定された前記複数種類の建材のうちのいずれかの建材の変更であることを特徴とする建物の設計方法。
  7. 請求項6に記載の建物の設計方法であって、
    前記建材の変更は、前記変更を実施した前記施工スケジュールを適用して予測した前記内部空間のガス状汚染物濃度が前記所定値より高い場合に実施されることを特徴とする建物の設計方法。
  8. 請求項4乃至請求項7のいずれかに記載の建物の設計方法にて実施された設計に基づいて前記建物を施工することを特徴とする建物の施工方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011027637A (ja) * 2009-07-28 2011-02-10 Shimizu Corp 材料の評価方法

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