JP2007315593A - 等速ジョイント及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】外輪とケージが合成樹脂の成形品からなる等速ジョイントにおいて、組立て及び分解作業時にボールがポケットから脱落することを防ぎつつ、等速精度の向上を図る。
【解決手段】前記ボール20と前記ポケット12の内周間にケージ周方向の締め代を設けることによりボール20がポケット12から自重落下しないようにすると共に、ボール20のガタツキを防止するようにした。
【選択図】図1
【解決手段】前記ボール20と前記ポケット12の内周間にケージ周方向の締め代を設けることによりボール20がポケット12から自重落下しないようにすると共に、ボール20のガタツキを防止するようにした。
【選択図】図1
Description
この発明は、駆動軸と被駆動軸の2軸を連結して、駆動軸の動力を被駆動軸に伝達する等速ジョイント、及びその等速ジョイントを用いた複写機やレーザプリンタの如き画像形成装置に関する。
自動車のドライブシャフトの回転トルクを車軸に伝達する部品として等速ジョイントが従来から知られている。
上記等速ジョイントは、駆動軸と被駆動軸との等速性を維持しながら両軸の角度変位を許容する部材であるため、自動車以外の各種産業機械にも多用されている。
等速ジョイントには、角度変位のみを許容する固定型等速ジョイントと、角度変位と軸方向変位を許容する摺動型等速ジョイントとが存在している。
上記摺動型等速ジョイントとしては、図7、図8に示すように、外輪51と、ケージ52と、3つのボール53とを備えたものが知られている。外輪51には、内部軸心上にガイド軸54を設けることにより環状空間55が形成されている。環状空間55内に組込まれるケージ52には、ボール53を保持するポケット56が周方向に120°間隔で形成されている。環状空間55の外壁面と内壁面の少なくとも一方には、各ポケット56に対応する位置に軸方向に延びる3本のトラック溝57、58が周方向に120°の間隔をおいて設けられている。各ポケット56内に組込まれたボール53は、前記トラック溝57、58に沿って転動自在であり、そのボール53を介して外輪51とケージ52の相互間で回転トルクの伝達を行なうようになっている。
図7、図8に示すような等速ジョイントにおいては、各種部品を鉄鋼等の金属から構成すると、強度が高いものの重くなり、グリース潤滑が必要である。このようなものは、動作音が大きい等の特徴が有り、使用箇所が制限される。例えば、食品製造機器、医療機器、事務機器、家庭用電化製品、音響機器などのように静粛性やグリースの飛散が許されない条件下で使用される機器には適していない。
このため、等速ジョイントの各種部品を合成樹脂の成形品とし、各種部品の軽量化を図ることにより、グリース潤滑を不要とし、動作音の低減を図ったものもある(特許文献1参照)。
特許文献1に記載のような等速ジョイントは、外輪が合成樹脂からなるので鋼製のものより軽量になる。その結果、トルク伝達時の動作音を小さくすることができる。また、グリース潤滑が不要になり、ブーツを省略して簡単な構造の小型の等速ジョイントを得ることができる。さらには、合成樹脂の弾性を利用してボールに予圧を付与することができるので、等速精度の高いトリボールジョイントを得られるという顕著な効果がある。
このような特徴を有する等速ジョイントは、感光ドラムと、感光ドラム上に静電潜像を形成する露光手段と、感光ドラム上の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、感光ドラムの周速と同速度で搬送される転写材上に前記トナー像を転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、転写材に転写されるトナー像の形成に関与する回転体と、その回転体の回転駆動装置の駆動軸とを接続する軸継手に好適である。
この種の画像形成装置は、図9に示すように、感光ドラム101が駆動モータによって一方向に回転されるようになっており、その感光ドラム101の周囲に、帯電器102、露光手段103、現像手段としての現像器104、転写手段としての転写帯電器105aおよびクリーニング器105bが感光ドラム101の回転方向に順に設けられている構成が代表的である。
この画像形成装置は、感光ドラム101の外周全体を帯電器102によって一様に帯電したのち、露光手段103により画像情報に基づく画像光を露光して静電潜像を形成し、現像器104からその静電潜像上にトナーを供給してトナー像を形成し、そのトナー像を転写帯電器105aにより感光ドラム101の周速と同速度で搬送される転写材A上に転写して画像を形成し、転写後、感光ドラム101の周面に残る残留トナーをクリーニング器105bによって取り除くようになっている。
この画像形成装置は、感光ドラム101の外周全体を帯電器102によって一様に帯電したのち、露光手段103により画像情報に基づく画像光を露光して静電潜像を形成し、現像器104からその静電潜像上にトナーを供給してトナー像を形成し、そのトナー像を転写帯電器105aにより感光ドラム101の周速と同速度で搬送される転写材A上に転写して画像を形成し、転写後、感光ドラム101の周面に残る残留トナーをクリーニング器105bによって取り除くようになっている。
例えば、感光ドラム101のドラム軸と駆動モータの回転軸とを等速ジョイントで連結すれば、感光ドラム101のドラム軸と駆動モータの回転軸の相互に芯ずれや傾きがあっても感光ドラム101を速度ムラを発生させることなく等速回転させることができる。このため、露光手段103によって感光ドラム101上に形成される静電潜像に伸縮が生じたり、感光ドラム101上のトナー像が転写帯電器105aにより転写される際に画像に伸縮が生じたりすることを防止することができる(特許文献2)。
また、この種の画像形成装置においては、現像器104に現像ローラやトナー供給ローラを設け、それら現像ローラ等から感光ドラム101の外周にトナーを供給するようにしたものもある。そのような画像形成装置において、上述のような等速ジョイントを採用すれば、現像ローラ等の不等速回転が無い状態で感光ドラム101の静電潜像にトナーを定量供給することができ、その結果、転写材上に形成される画像に上記画像情報から外れた濃淡(色ずれ)が生じず、品質の高い画像を形成することができる。
特に、前掲の特許文献2の画像形成装置によれば、等速ジョイントのケージと外輪とが抜き差し可能であり、この際、ボールが抜け止めされるため、感光ドラム101の交換を容易に行うことができる。
しかしながら、図7、図8に示すような等速ジョイントは、破損、消耗品の交換等のために組立て及び分解作業を行う際、外輪51とケージ52とを分離させると、ポケット56が外輪51の外に出たときにボール53がポケット56からばらばらと脱落してケージ52の内側に落ち込んだり、ケージ52から落下したりするため、作業性が悪い問題があった。
また、特許文献2の等速ジョイントは、組立て及び分解作業を行う際にボールがポケットから抜け落ちないが、作動時にボールがケージ周方向にガタツキを生じ得る。ボールのガタツキは、その方向を問わず作動時の等速性を低下させる原因となる。特に、画像形成装置の感光ドラム等と駆動軸とを等速ジョイントで接続する場合、画像の伸縮や色ずれ防止のため、作動時の等速性が求められている。
そこで、この発明の課題は、外輪およびケージが合成樹脂の成形品からなる等速ジョイントにおいて、組立て及び分解作業時にボールがポケットから脱落することを防ぎつつ、等速精度の向上を図ることにある。
上記の課題を達成するため、この発明は、一端が開口する環状空間を有し、その環状空間の外壁面と内壁面の少なくとも一方に軸方向に延びる3本のトラック溝を周方向に120゜の間隔をおいて形成した外輪と、前記外輪の前記環状空間内に組込まれ、前記トラック溝のそれぞれと対応する位置にポケットが形成されたケージと、前記ケージの各ポケット内に組込まれて前記トラック溝に沿って転動可能なボールとを備え、前記外輪およびケージが合成樹脂の成形品からなる等速ジョイントにおいて、前記ボールと前記ポケットの内周間にケージ周方向の締め代を設けた構成を採用したものである。
具体的には、前記ボールと前記ポケットの内周間にケージ周方向の締め代を設けることにより、ボールがポケットからズレ動くことは防止される。
また、ケージによりボールにケージ周方向の予圧が付与された状態になっている。このため、等速ジョイントの作動時にボールがポケット内で回転方向にガタつかない。
したがって、上記構成によれば、組立て及び分解作業時にボールがポケットから脱落することを防ぎつつ、等速精度の向上を図ることができる。
また、ケージによりボールにケージ周方向の予圧が付与された状態になっている。このため、等速ジョイントの作動時にボールがポケット内で回転方向にガタつかない。
したがって、上記構成によれば、組立て及び分解作業時にボールがポケットから脱落することを防ぎつつ、等速精度の向上を図ることができる。
ここで、前記ボールを、前記ケージ周方向の締め代により前記ポケットから自重落下しないように保持させれば、ケージと外輪とを分離させた状態でボールがケージから簡単には脱落しなくなり、組立て及び分解作業をより容易に行なうことができる。
上記構成において、前記ポケットの内周のうち、前記ボールを保持する部分を、他の部分より窪ませた構成を採用すれば、保持状態でボールがズレ動き難くなり、等速ジョイントの組立工程でボールを確実にポケット内の定位置で保持することができる。
また、上記構成において、前記ポケットを円筒穴とし、その内径を前記ボールのボール径より小さくした構成を採用すれば、ポケットを形成するコアピンを無理抜きせずに済み、ケージの射出成形を容易に実施することができる。
また、前記外輪の弾性によって前記ボールに径方向の予圧を付与すれば、ボールのガタツキをより防止することができる。
この発明に係る等速ジョイントは、高精度に回転伝達が必要な箇所の駆動伝達に好適である。
具体的には、転写材に転写されるトナー像の形成に関与する回転体と、その回転体の回転駆動装置の駆動軸とを軸継手で接続した画像形成装置において、前記軸継手をこの発明に係る等速ジョイントとすれば、画像の伸縮や色ずれを防止しながら、組立て及び分解時のメンテナンス性を向上させることができる。
上記回転体としては、感光ドラム、現像ローラ、トナー供給ローラ等が挙げられる。
上記回転体としては、感光ドラム、現像ローラ、トナー供給ローラ等が挙げられる。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、外輪およびケージが合成樹脂の成形品からなる等速ジョイントにおいて、組立て及び分解作業時にボールがポケットから脱落することを防ぎつつ、等速精度の向上を図ることができる。
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1、図2は、この発明の実施形態に係る等速ジョイントの全体構造を示す。図示のように、実施形態に係る等速ジョイントは、外輪1、ケージ10およびボール20から構成されている。
図1、図2は、この発明の実施形態に係る等速ジョイントの全体構造を示す。図示のように、実施形態に係る等速ジョイントは、外輪1、ケージ10およびボール20から構成されている。
外輪1は、一端が開口するカップ部2を有し、そのカップ部2の閉塞端に第1軸3が一体に設けられている。
上記外輪1およびケージ10は射出成形可能な合成樹脂の成形品とされている。
また、カップ部2内には中心軸上にガイド軸4が設けられ、そのガイド軸4とカップ部2間に環状空間5が形成され、上記環状空間5の外壁面を形成するカップ部2の内周面と環状空間5の内壁面を形成するガイド軸4の外周面に軸方向に延びる3本のトラック溝6、7が周方向に120°の間隔をおいて設けられている。なお、環状空間5の外壁面と内壁面のそれぞれにトラック溝6、7を形成したが、上記外壁面と内壁面の一方にトラック溝を設けるようにしてもよい。
ケージ10は外輪1の環状空間5内に組込まれ、そのケージ10の上記環状空間5の開口端側に位置する端部に第2軸11が一体に設けられている。
また、ケージ10には、外輪1の3本のトラック溝6、7のそれぞれに対応してポケット12が形成され、各ポケット12内に前記ボール20が組込まれている。ボール20のそれぞれは各トラック溝6、7に沿って転動可能とされている。
前記ポケット12は、図3に示すように、ケージ内径側の開口端部とケージ外径側の開口端部が同一の内径dを有する円筒穴となっており、ケージ径方向の中間部における内径が内径dより大きい略円筒穴になっている。
ポケット12の内周は、その全域で内径がボール20のボール径Dより小さくなっている。このため、ボール20とポケットの内周間にケージ周方向の締め代が設けられている。その結果、ポケット12の内周がボール20を締め付けることにより、ケージ10が外輪1から外れた状態になっても、ボール20は、ポケット12の内周に保持されるようになっている。したがって、ケージ10を備えた等速ジョイントは、組立て及び分解作業時にボール20がポケット12から脱落することを防ぐことができ、その結果、これらの作業を簡単に行うことができる。
また、ボール20がポケット12の内周でケージ周方向に締め付けられて保持されるので、ケージ10によりボール20にケージ周方向の予圧が付与された状態になっている。このため、等速ジョイントの作動時にボール20がポケット12内でガタつかない。したがって、この実施形態に係る等速ジョイントは、組立て及び分解作業時にボール20がポケット12から脱落することを防ぎつつ、等速精度の向上を図ることができる。
ここで、上記の締め付け保持は、等速ジョイントの作動に支障がないようにボール20の転動が可能であり、かつケージ10が外輪1から外された状態でボール20が自重により落下しないようになっている。
具体的には、ケージ10に設けられたポケット12のポケット径dをボール径Dの1/10000〜1/200小さいポケット径にすればよい。すなわち、締め代=(ボール径D−ポケット径d)=ボール径D×(1/10000〜1/200)となるように設定すればよい。
この締め代が(ボール径D×1/10000)より小さいと、雰囲気温度が高い場所ではボールの自重落下防止効果が得られなくなる恐れがある。
この締め代が(ボール径D×1/200)より大きいと、ボールが全く転動できず、等速ジョイントの作動に支障が生じる恐れがある。
この締め代が(ボール径D×1/10000)より小さいと、雰囲気温度が高い場所ではボールの自重落下防止効果が得られなくなる恐れがある。
この締め代が(ボール径D×1/200)より大きいと、ボールが全く転動できず、等速ジョイントの作動に支障が生じる恐れがある。
また、この実施形態では、外輪1を合成樹脂の成形品とすることにより、その外輪1の弾性を利用してボール20に予圧を付与することができる。具体的には、図4に示すように、カップ部2の内周に形成されたトラック溝6の底面とガイド軸4の外周に形成されたトラック溝7の底面間の内接円径d’をボール20のボール径Dより小さくすることでボール20に予圧を付与している。より具体的には、内接円径d’=(ボール径D)−(0を超え20μm以下の寸法)の値に設定することで予圧が付与されている。このように外輪1の弾性を利用してボール20に予圧を付与すれば、等速ジョイントの等速性をより高めることができる。このような仕様は、外輪1が合成樹脂から形成されるために可能である。
ここで、この実施形態に係る等速ジョイントは、ポケット12の内周のうち、ボール20を保持する部分12aを除いた他の部分は、両開口端部の内径dとなっており、ボール20を保持する部分12a(以下、ボール保持部12aという)の内径は他の部分の内径dより大きくなっている。これにより、ボール保持部12aが他の部分より窪まされており、この窪み部分でもボール20がケージ周方向に締め付けられている。その結果、ボール20が保持状態でケージ径方向にズレ動くのに抵抗が生じ、ボール20のズレ動きが防止される。したがって、この実施形態に係る等速ジョイントは、等速精度が向上し、製造時の組立工程でボールを確実にポケット内の定位置に保持可能となり脱落し難くすることができる。
この実施形態に係る等速ジョイントでは、ポケット12の内周形状を単純化して成形の容易化を図るため、ポケット12の内径をボール20のボール径Dに対し負に設定することにより締め代を設けている。この場合、ボール20にケージ周方向の締め付けが加えられるが、結果的に、ボール20の全周に亘ってその径方向にも締め付けが加えられる。このような構成は、ボール20がボール保持部12aで非常に安定するため、製造工程におけるケージへのボール組み込み作業がより確実になる点で有利である。なお、前記窪み部分はポケット内周の全周に渡って形成する必要はなく、ボールが定位置に保持できれば一点の凹状であってもよい。
なお、この実施形態に係る等速ジョイントは、ボール保持部12aを他の部分より窪ませた結果、射出成形に際し、この部分がアンダーカットになる。このアンダーカットを回避する一例を図5に示す。図5に示す例では、前記ポケット12を全域に亘って円筒穴とし、その内径dを前記ボール20のボール径Dより小さくしている。この場合、ポケット12を形成するコアピンを無理抜きせずに済み、ケージ10の射出成形を容易に実施することができる。図5に示すような構成は、ポケット12の成形精度が高くなるため、製造工程の容易さよりも等速精度を優先する場合に好適である。また、金型の長寿命化を図ることができる。
上記の利点を考慮すると、図5に示す等速ジョイントは、OA機器用の等速ジョイントのように、作動角が非常に小さく、ケージ10と外輪1間の軸方向の相対動が少ないものに好適である。ボール20の転動が僅かなため、ボール20の全周に亘ってその径方向に締め付けが加えられても等速ジョイントの作動に支障が生じ難いからである。
上記の利点を考慮すると、図5に示す等速ジョイントは、OA機器用の等速ジョイントのように、作動角が非常に小さく、ケージ10と外輪1間の軸方向の相対動が少ないものに好適である。ボール20の転動が僅かなため、ボール20の全周に亘ってその径方向に締め付けが加えられても等速ジョイントの作動に支障が生じ難いからである。
上記合成樹脂は等速ジョイントの使用条件によって適切なものを選択すればよい。例えば、合成樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、さらに結晶性樹脂、非結晶性樹脂のいずれでもよい。なお、非結晶性樹脂は靭性が比較的低いため、急激な破壊を回避することができる点で結晶性樹脂の方が好ましい。
好ましい合成樹脂としては、潤滑特性に優れた合成樹脂、例えば、ポリアセタール樹脂(POM)、ナイロン樹脂、PFAやFEP、ETFE等の射出成形可能なフッ素樹脂、射出成形可能なポリイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂(PEEK)、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。
上記の各樹脂は、単独またはポリマーアロイであってもよい。あるいは、上記以外の潤滑特性の低い樹脂に前記の樹脂を配合したポリマーアロイであってもよい。
また、潤滑特性の低い樹脂であっても、固体潤滑剤や潤滑油を添加することにより潤滑性能を高めれば、使用することができる。固体潤滑剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、黒鉛、二硫化モリブデン等が挙げられる。
また、合成樹脂にガラス繊維、炭素繊維、各種鉱物性繊維(ウィスカー)を配合して強度を高めてもよく、上記固体潤滑剤等と併用することもできる。
このケージ10等の成形に最も適した材料は、POM、ナイロン樹脂、PPS、PEEKである。ナイロン樹脂は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、分子鎖中に芳香族環を有する半芳香族ナイロン等のいずれでもよい。POM、ナイロン樹脂、PPSは、耐熱性、潤滑性に優れ、比較的安価であるため、これらを用いると費用対効果に優れた等速ジョイントを得ることができる。また、PEEKは、補強材や潤滑剤を配合しなくても機械的強度や潤滑性に優れるため、これを用いると高機能な等速ジョイントを得ることができる。
上記のように、この実施形態に係る等速ジョイントは、外輪1及びケージ10を合成樹脂の成形品にすることにより、軽量かつ動作音の小さな等速ジョイントを得ることができ、その結果、グリース潤滑を不要にすることができる。このため、この実施形態に係る等速ジョイントは、使用箇所の制限を受け難く、各種の機器に使用することができる。
ボール20は、軸受鋼、ステンレススチール、セラミックス、合成樹脂等のボールを使用することができるが、ステンレススチール、セラミックス、合成樹脂にすることで無潤滑でも錆の問題が生じない点で好ましい。合成樹脂であれば、さらに軽量化、静粛性が実現される点で好ましい。
この実施形態に係る等速ジョイントを医療機器や食品製造機器に使用する場合は、ボール20をステンレススチールやセラミックスにすることで環境的懸念が払拭されるので好ましい。また、衛生的な印象を与えるため、合成樹脂を用いる場合、白色系のものが好ましい。POMは、白色系であると共に、潤滑性も高く、グリースレス化も可能である点で好適である。
上記のように、この実施形態に係る等速ジョイントは、ボール20がポケット12から自重落下しないように保持されるので、外輪1の環状空間5内に対するケージ10の抜き差しによって等速ジョイントの組立て及び分解作業を容易に行うことができる。
特に、この実施形態に係る等速ジョイントは、少なくとも外輪1及びケージ10を合成樹脂の成形品として軽量化を積極的に図り、グリース潤滑を不要にしたことにより、ブーツ等を不要とし、外輪1の環状空間5内に対するケージ10の抜き差しを直接行うことが可能なため、上記ボール20の自重落下防止効果と相俟って等速ジョイントの組立て及び分解を手早く行うことができる。その結果、上記等速ジョイントに動力を入力する入力側部品や等速ジョイントからの出力によって回転駆動される出力側部品の破損等による取替えを容易に行うことができる。このため、この実施形態に係る等速ジョイントは、設置現場で分解及び組立てが行われることが多く、ボールが機器内に脱落すると取り出しに手間取る事務機器に好適である。
また、この実施形態では、図1に示すように、カップ部2の内周面に形成されたトラック溝6及びこのガイド軸4の外周面に形成されたトラック溝7の開口端部に環状空間における外壁面および内壁面の開口端を大径端とするテーパ面13、14が設けられている。
テーパ面13、14は、カップ部2内に対するケージ10の組込み時、ボール20をトラック溝6、7の開口端に向けて案内するようになっている。このため、ボール20がテーパ面13、14に案内される状態で外輪1とケージ10を相対的に回転することにより、ボール20がトラック溝6、7内に挿入される。したがって、この実施形態では、トラック溝6、7とボール20の相互に位相ずれがある状態でも等速ジョイントを容易に組み立てることができる。
なお、テーパ面13、14は、例えば、外輪1の中心軸上に軸心を有するテーパ面や、ボール20のピッチ円上に軸心を有するテーパ面にすることができる。隣接するテーパ面間にガイド突部を形成することもできる。
この実施形態では、ケージ10と第2軸11を合成樹脂で一体に成形したが、第2軸11をセラミックスや鉄鋼、ステンレススチール、アルミニウム合金等の金属で形成し、合成樹脂で成形されたケージ10とボルト等の結合手段で結合してもよい。
また、外輪1においては、カップ部2とガイド軸4を合成樹脂で一体に成形したが、ガイド軸4をセラミックスや鉄鋼、ステンレススチール、アルミニウム合金等で形成して、カップ部2に結合するようにしてもよい。
この実施形態に係る等速ジョイントは、図9に示した画像形成装置において、転写材Aに転写されるトナー像の形成に関与する回転体と、その回転体の回転駆動装置の駆動軸とを接続する軸継手として利用することができる。以下、図6に基づいて具体的に説明する。
図6に示すように、上記回転体としての感光ドラム101は、両端にドラム軸101aを有し、そのドラム軸101aが一対のサイドフレーム106に軸受107を介して回転自在に支持され、一方、感光ドラム101を回転駆動する駆動装置としての駆動モータ108はケーシング109に取付けられて感光ドラム101と軸方向で対向する配置とされている。
感光ドラム101のドラム軸101aと、駆動軸としての駆動モータ108の回転軸108aとは、実施形態に係る等速ジョイントを介して接続されている。ドラム軸101aと回転軸108aとを等速ジョイントで連結することにより、ドラム軸101aと回転軸108aの相互に芯ずれや傾きがあっても感光ドラム101を速度ムラを発生させることなく等速回転させることができる。このため、感光ドラム101上に形成される静電潜像に伸縮が生じたり、感光ドラム101上のトナー像が転写される際に画像に伸縮が生じたりすることが防止される。
また、外輪1とボール20間の予圧付与、及びケージ10とボール20間の予圧付与により、ボール20のガタツキが防止される結果、駆動モータ108の駆動によって、感光ドラム101がより効果的に等速回転させられる。
なお、図9では、単色の画像形成装置を例にとって説明したが、フルカラーの画像形成装置の場合は、図9に示す画像形成装置を4組用意し、その4組の画像形成装置を転写材Aの搬送方向にタンデムに配置し、これらの画像形成装置によりイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーによってトナー像を形成し、これらのトナー像を転写材A上に重ね合わせてカラー画像を形成するように構成すればよい。
1 外輪
2 カップ部
4 ガイド軸
5 環状空間
6、7 トラック溝
10 ケージ
12 ポケット
12a ボール保持部
20 ボール
101 感光ドラム
101a ドラム軸
108 駆動モータ
108a 回転軸
2 カップ部
4 ガイド軸
5 環状空間
6、7 トラック溝
10 ケージ
12 ポケット
12a ボール保持部
20 ボール
101 感光ドラム
101a ドラム軸
108 駆動モータ
108a 回転軸
Claims (6)
- 一端が開口する環状空間を有し、その環状空間の外壁面と内壁面の少なくとも一方に軸方向に延びる3本のトラック溝を周方向に120゜の間隔をおいて形成した外輪と、前記外輪の前記環状空間内に組込まれ、前記トラック溝のそれぞれと対応する位置にポケットが形成されたケージと、前記ケージの各ポケット内に組込まれて前記トラック溝に沿って転動可能なボールとを備え、前記外輪およびケージが合成樹脂の成形品からなる等速ジョイントにおいて、
前記ボールと前記ポケットの内周間にケージ周方向の締め代を設けたことを特徴とする等速ジョイント。 - 前記ボールを、前記ケージ周方向の締め代により前記ポケットから自重落下しないように保持させた請求項1に記載の等速ジョイント。
- 前記ポケットの内周のうち、前記ボールを保持する部分を、他の部分より窪ませた請求項1又は2に記載の等速ジョイント。
- 前記ポケットを円筒穴とし、その内径を前記ボールのボール径より小さくした請求項1又は2に記載の等速ジョイント。
- 前記外輪の弾性によって前記ボールに径方向の予圧を付与した請求項1から4のいずれかに記載の等速ジョイント。
- 転写材に転写されるトナー像の形成に関与する回転体と、その回転体の回転駆動装置の駆動軸とを軸継手で接続した画像形成装置において、前記軸継手を請求項1から5のいずれかに記載の等速ジョイントとしたことを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
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- 2007-04-24 JP JP2007114340A patent/JP2007315593A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010121740A (ja) * | 2008-11-20 | 2010-06-03 | Ricoh Co Ltd | 等速ジョイント、駆動装置および画像形成装置 |
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