JP2007314832A - 呈色体 - Google Patents

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Abstract

【課題】呈色体において、光沢や深みのある色を呈色することを可能とする。
【解決手段】呈色体1は、半透過半反射性の第1の反射体10と、半透過半反射性又は完全反射性の第2の反射体30との間に、入射光の波長より小さい径の複数の微細孔21を有する透光性微細孔体20を備えた構造体である。透光性微細孔体20の複数の微細孔21の内部に、部分的に金属50が充填されていることが好ましい。呈色体1では、第1の反射体10の平均複素屈折率と、第2の反射体30の平均複素屈折率と、透光性微細孔体20の平均複素屈折率及び厚みとに応じて、特定波長の光を吸収する吸収特性を示し、該吸収特性を含む光学特性により入射光の特性が変化されて色光が出射される。第1の反射体10と第2の反射体30とのうち、少なくとも色光が出射される側の反射体の表面が、透光性保護材12により保護されていることが好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、入射光が特定の色光に変調されて出射される呈色体に関するものである。
従来より、サッシ等の用途に、陽極酸化により得られる多孔質構造の金属酸化物体(Al2O3等)の微細孔内に、電解着色法によりNi等の金属又は金属酸化物を析出させた呈色体が使用されている。かかる呈色体では、呈色される色に深みがなく、呈色できる色の領域が狭く、光沢も得られ難い。
一方、特許文献1には、被陽極酸化金属体(金属素地)と、その表面に形成された透明な陽極酸化膜(透明バリヤー層)と、該陽極酸化膜上に形成された光反射性層とからなる呈色体が開示されている。また、光反射性層を透明保護膜により保護する構成が記載されている(図4を参照)。かかる構成の呈色体では、光反射性層表面で反射される第1の反射光と、被陽極酸化金属体と透明な陽極酸化膜との界面で反射される第2の反射光との干渉による干渉色が呈色される。
特開2002-363772号公報
特許文献1に記載の呈色体では、陽極酸化膜の厚みを変えて、上記第1の反射光と第2の反射光との光路長差を変更することで、得られる干渉色の色を変更することができるので、呈色可能な色の領域を広げることができる。また、干渉効果によって、光沢のある呈色も得られる。しかしながら、得られる呈色は依然として単色的であり、深みのある呈色は難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、呈色する色の設計自由度が高く、しかも光沢や深みのある色を呈色することが可能な呈色体を提供することを目的とするものである。
本発明の第1の呈色体は、半透過半反射性を有する第1の反射体と、半透過半反射性又は完全反射性を有する第2の反射体との間に、入射光の波長より小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体を備え、
前記第1の反射体及び/又は前記第2の反射体から前記入射光が入射し、該入射光が特定の色光に変調されて、前記第1の反射体及び/又は前記第2の反射体から出射される呈色体であって、
前記第1の反射体と前記第2の反射体とのうち、少なくとも前記色光が出射される側の反射体の表面が、透光性保護材により保護されており、
前記第1の反射体の平均複素屈折率と、前記第2の反射体の平均複素屈折率と、前記透光性微細孔体の平均複素屈折率及び厚みとに応じて、特定波長の光を吸収する吸収特性を示し、該吸収特性を含む光学特性により前記入射光が変調されて、前記色光が出射されるものであることを特徴とするものである。
本発明の第1の呈色体において、前記吸収特性は、前記入射光が前記第1の反射体と前記第2の反射体との間で多重反射されて生じる多重干渉によるものである。
本発明の第1の呈色体において、透光性保護材は透光性微細孔体の複数の微細孔の内部に入り込んでいてもよいし、入り込んでいなくてもよい。
本明細書において、「半透過半反射性」とは透過性と反射性とを共に有することを意味し、透過率と反射率は任意である。
本発明は呈色体であるので、入射光は基本的には可視光を対象としている。本発明において、「入射光の波長より小さい径」とは、可視光の波長より小さい径を意味し、具体的には300nm未満の径を意味する。
「透光性微細孔体の平均複素屈折率」とは、透光性微細孔体の複素屈折率とその微細孔内の物質(微細孔内に特に充填物質がない場合には空気、微細孔内に充填物質がある場合には充填物質/又は充填物質と空気)の複素屈折率とを合わせて平均化した平均複素屈折率を意味する。
「背景技術」の項に挙げた特許文献1の呈色体は、被陽極酸化金属体(金属素地)と、その表面に形成された透明な陽極酸化膜(透明バリヤー層)と、該陽極酸化膜上に形成された光反射性層とからなり、本発明の第1の呈色体と類似の構成を有している。
しかしながら、特許文献1の呈色体では、陽極酸化膜の微細孔については記載がなく、記載がない以上、微細孔がない陽極酸化膜であると判断するのが妥当な解釈と考えられる。すなわち、特許文献1の呈色体は、入射光の波長より小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体を備えたものではなく、かかる構成では、本発明のような多重干渉は起こらない。実際、特許文献1には、多重干渉について記載がなされていない。
本発明の第2の呈色体は、半透過半反射性を有する第1の反射体と、半透過半反射性又は完全反射性を有する第2の反射体との間に、入射光の波長より小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体を備え、
前記第1の反射体及び/又は前記第2の反射体から前記入射光が入射し、該入射光が特定の色光に変調されて、前記第1の反射体及び/又は前記第2の反射体から出射される呈色体であって、
前記透光性微細孔体の前記複数の微細孔の内部に、部分的に金属が充填されており、
前記第1の反射体の平均複素屈折率と、前記第2の反射体の平均複素屈折率と、前記透光性微細孔体の平均複素屈折率及び厚みとに応じて、特定波長の光を吸収する吸収特性を示し、該吸収特性を含む光学特性により前記入射光が変調されて、前記色光が出射されるものであることを特徴とするものである。
本発明の第2の呈色体の好適な態様としては、前記透光性微細孔体の前記複数の微細孔は、前記第1の反射体側から前記第2の反射体側に向けて延びた略ストレート孔であり、かつ、前記第1の反射体側の面において開口し、前記第2の反射体側が閉じられた孔であり、該複数の微細孔の底部に前記金属が充填されているものが挙げられる。
本発明の第2の呈色体において、前記第1の反射体と前記第2の反射体とのうち、少なくとも前記色光が出射される側の反射体の表面が、透光性保護材により保護されていることが好ましい。かかる構成において、透光性保護材は透光性微細孔体の複数の微細孔の内部に入り込んでいてもよいし、入り込んでいなくてもよい。
本発明の第2の呈色体によれば、前記吸収特性は、前記入射光が前記第1の反射体と前記第2の反射体との間で多重反射されて生じる多重干渉によるものであり、該吸収特性と、前記第1の反射体、前記第2の反射体、及び前記透光性微細孔体の前記複数の微細孔の内部に部分的に充填された前記金属のうち、少なくとも一つで起こる局在プラズモン共鳴現象とによって、前記入射光が変調される呈色体を提供することができる。
「背景技術」の項において、従来より、サッシ等の用途に、陽極酸化により得られる多孔質構造の金属酸化物体(Al2O3等)の微細孔内に、電解着色法によりNi等の金属又は金属酸化物を析出させた呈色体が使用されていることを述べた。かかる呈色体は、局在プラズモン共鳴効果のみを利用して呈色するものである。また、「背景技術」の項に挙げた特許文献1に記載の呈色体は、光の干渉効果のみを利用するものである。すなわち、光の干渉効果と局在プラズモン共鳴効果との双方の効果によって、入射光が特定の色光に変調されて出射される呈色体自体が新規である。
本発明の第1、第2の呈色体の好適な態様としては、前記透光性微細孔体は被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記第2の反射体は前記被陽極酸化金属体の非陽極酸化部分からなり、前記第1の反射体は前記透光性微細孔体に成膜された金属層からなるものが挙げられる。
本発明の第1、第2の呈色体の他の好適な態様としては、前記透光性微細孔体は、被陽極酸化金属体の全体を陽極酸化して得られる金属酸化物体、若しくは、被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化し、さらに該被陽極酸化金属体の非陽極酸化部分を除去して得られる金属酸化物体からなり、前記第1の反射体及び前記第2の反射体はいずれも前記透光性微細孔体に成膜された金属層からなるものが挙げられる。
本発明の第1の呈色体、及び透光性保護材を備えた本発明の第2の呈色体において、前記透光性保護材としては、透光性樹脂、ガラス、及びダイヤモンドライクカーボンのうちいずれかを主成分とするものが挙げられる。
本明細書において、「主成分」とは含量50質量%以上の成分と定義する。
本発明の呈色体は、前記吸収特性が全体的に略均一なものであってもよいし、前記吸収特性の異なる複数の領域を有するものであってもよい。
本発明の呈色体は、半透過半反射性を有する第1の反射体と、半透過半反射性又は完全反射性を有する第2の反射体との間に、入射光の波長より小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体を備えたものである。
かかる構成では、第1の反射体及び/又は第2の反射体から透光性微細孔体に入射した光が第1の反射体と第2の反射体との間で反射を繰り返して多重反射が効果的に起こり、多重反射光による多重干渉が効果的に起こる。かかる構成では、多重干渉条件が第1の反射体の平均複素屈折率と、第2の反射体の平均複素屈折率と、透光性微細孔体の平均複素屈折率及び厚みとに応じて変わるので、これらファクターに応じて特定波長の光を吸収する吸収特性を示す。この吸収特性により入射光が変調されて色光が出射される。
本発明の呈色体では、第1の反射体の平均複素屈折率、第2の反射体の平均複素屈折率、透光性微細孔体の平均複素屈折率及び厚みのうちいずれかの条件を変更すれば、多重干渉条件が変わり、吸収特性が変わるので、呈色する色の設計自由度が高い。本発明の呈色体では、干渉効果によって、光沢のある呈色も得られる。さらに本発明の呈色体では、多重干渉が起こるので、一回の干渉しか起こらない特許文献1に記載の呈色体に比較して、深みのある表現力の豊かな呈色を得ることができる。
本発明の呈色体においては特に、透光性微細孔体の複数の微細孔の内部に、部分的に金属が充填されていることが好ましい。かかる構成では、局在プラズモン共鳴現象を効果的に起こすことができるので、上記多重干渉による吸収特性と局在プラズモン共鳴現象との双方によって、入射光を変調することができる。
色材の塗布による呈色では色材の脱落による退色が起こりやすいが、本発明の呈色体は構造による波長選択性を有し、色材を用いることなく呈色するものであるので、もともと退色しにくい構造である。本発明の呈色体では、第1の反射体と第2の反射体とのうち、少なくとも色光が出射される側の反射体の表面を透光性保護材により保護する構成とすることが好ましい。かかる構成とすることで、長期に使用しても視認側の反射体が脱落を抑制することができ、退色を長期に渡って抑制することができる。
「第1実施形態」
図1及び図2を参照して、本発明に係る第1実施形態の呈色体の構成について説明する。図1(a)は本実施形態の呈色体の全体厚み断面図である。図1(b)は主な構成要素を取り出して入射光の多重反射の様子を模式的に示す図であり、図1(a)に対応した断面図である。図1(c)は反射光スペクトルの例である。図2(a)〜(c)は本実施形態の呈色体の製造工程図(斜視図)である。
図1に示す如く、本実施形態の呈色体1は、光入射側(図示上側)から、半透過半反射性を有する第1の反射体10と透光性微細孔体20と完全反射性を有する第2の反射体30とを順次備えた構造体である。本実施形態では、呈色体1の持つ光学特性によって入射光L1が特定の色光L2に変調されて、第1の反射体10側から出射される。
入射光L1は、通常は太陽光や室内光等の自然外光(可視光)である。本実施形態の呈色体1を光学装置等に組み込んで使用する場合には、入射光L1が特定の光源から出射されたブロード光又は単波長光となることもある。
透光性微細孔体20はアルミナ(Al2O3、透光性金属酸化物)からなり、第1の反射体10側から第2の反射体30側に延びる略ストレートな複数の微細孔21が開孔されたものである(図1(b)では微細孔21の図示を省略)。複数の微細孔21はいずれも、第1の反射体10側の面において開口し、第2の反射体30側が閉じられた孔である。透光性微細孔体20において、複数の微細孔21は入射光L1の波長より小さい径及びピッチで略規則的に配列されている。
本実施形態において、透光性微細孔体20は陽極酸化により得られた微細孔体である。すなわち、図2に示す如く、透光性微細孔体20は、アルミニウム(Al)を主成分とし不純物を含んでいてもよい被陽極酸化金属体40(好ましくは純度90%以上)の一部を陽極酸化して得られた金属酸化物体(Al2O3)41であり、第2の反射体30は被陽極酸化金属体40の非陽極酸化部分(Al)42である。
陽極酸化は、被陽極酸化金属体40を陽極とし陰極と共に電解液に浸漬させ、陽極陰極間に電圧を印加することで実施できる。被陽極酸化金属体40の形状は制限されず、板状等が好ましい。また、支持体の上に被陽極酸化金属体40が層状に成膜されたものなど、支持体付きの形態で用いることも差し支えない。陰極としてはカーボンやアルミニウム等が使用される。電解液としては制限されず、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等の酸を、1種又は2種以上含む酸性電解液が好ましく用いられる。
図2に示す如く、被陽極酸化金属体40を陽極酸化すると、表面40sから該面に対して略垂直方向に酸化反応が進行し、金属酸化物体(Al2O3)41が生成される。陽極酸化により生成される金属酸化物体41は、多数の平面視略正六角形状の微細柱状体41aが隙間なく配列した構造を有するものとなる。各微細柱状体41aの略中心部には、表面40sから深さ方向に略ストレートに延びる微細孔21が開孔され、各微細柱状体41aの底面は丸みを帯びた形状となる。また、非陽極酸化部分42からなる第2の反射体30の表面は、平面視略正六角形状のディンプル状凹部31がアレイ状に配列したものとなる。陽極酸化により生成される金属酸化物体の構造は、益田秀樹、「陽極酸化法によるメソポーラスアルミナの調製と機能材料としての応用」、材料技術Vol.15,No.10、1997年、p.34等に記載されている。
規則配列構造の金属酸化物体41を生成する場合の好適な陽極酸化条件例としては、電解液としてシュウ酸を用いる場合、電解液濃度0.5M、液温14〜16℃、印加電圧40〜40±0.5V等が挙げられる。この条件で生成される微細孔21は例えば、孔径が30〜95nm、ピッチが100nm程度である。
第1の反射体10は金属層からなり、透光性微細孔体20への金属蒸着等によって成膜されたものである。透光性微細孔体20には第1の反射体10側の面において開口した複数の微細孔21が開孔されているので、図1(a)及び図2(c)に示す如く、微細孔21の開孔部分には金属が成膜されず、第1の反射体10は透光性微細孔体20の複数の微細孔21に各々連通する複数の貫通孔11を有している。貫通孔11は透光性微細孔体20の微細孔21と同じパターンで開孔されるので、貫通孔11は入射光L1の波長より小さい径及びピッチで略規則的に配列されている。
第1の反射体10の構成金属としては反射性を有する金属であれば制限なく、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、白金(Pt)、コバルト(Co)、及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属が挙げられる。第1の反射体10は、不純物として金属以外の任意成分を含むものであってもよい。
本実施形態では、色光L2が出射される第1の反射体10の表面が、透光性保護材12により覆われて保護されている。これによって、第1の反射体10の表面がむき出しにならず、第1の反射体10に耐食性や耐摩耗性等を付与することができる。
透光性保護材12は、第1の反射体10の複数の貫通孔11、及び透光性微細孔体20の複数の微細孔21の内部に入り込んでいる。微細孔21の内部が完全に透光性保護材12で埋められている場合について図示してあるが、微細孔21の内部に空隙が残っていてもよい。また、透光性保護材12は第1の反射体10の貫通孔11や透光性微細孔体20の微細孔21の内部に入り込んでいなくてもよい。
透光性保護材12の主成分としては特に制限なく、アクリル樹脂やカーボネート樹脂等の透光性樹脂、ガラス、及びダイヤモンドライクカーボン等が挙げられる。透光性保護材12は、無色透明であってもよいし、光が透過できれば着色していても構わない。
透光性保護材12は、スピンコーティング等のコーティング、シート貼着、蒸着、スパッタ等の方法から、材料に応じて適当な方法を選択して、形成することができる。
本実施形態においては、第1の反射体10は、密着性を向上させるため密着層13を介して、透光性微細孔体20に固着されている。また、透光性保護材12は、密着性を向上させるため密着層14を介して、第1の反射体10に固着されている。密着層13,14は、第1の反射体10と同様に、微細孔21の開孔部分には成膜されていない。
密着層13,14としては特に制限なく、CrやGe等の金属を1種又は2種以上含む金属層が好ましい。密着層13と密着層14とは同一材質により構成してもよいし、異なる材質により構成してもよい。
透光性微細孔体20において、複数の微細孔21は入射光L1の波長より小さい径及びピッチで開孔されているので、微細孔21に透光性保護材12が充填される前の空の透光性微細孔体20も、微細孔21に透光性保護材12が充填された透光性微細孔体20も、いわゆる電磁メッシュシールド効果により光に対しては薄膜として作用する。
同様に、第1の反射体10において、貫通孔11は入射光L1の波長より小さい径及びピッチで開孔されているので、貫通孔11に透光性保護材12が充填される前の空の第1の反射体10も、貫通孔11に透光性保護材12が充填された第1の反射体10も、光に対しては薄膜として作用する。
また、第1の反射体10は反射性金属からなるが、内部に透光性保護材12が充填された貫通孔11を有しているので、光透過性を有し、半透過半反射性を有する。第1の反射体10の透過率と反射率は、第1の反射体10の材質と厚みと貫通孔の開孔密度、及び透光性保護材12の材質により決まる。
図1(b)に示す如く、呈色体1に入射光L1が入射すると、第1の反射体10の透過率と反射率に応じて、一部は第1の反射体10の表面で反射され(図示略)、一部は第1の反射体10を透過して透光性微細孔体20に入射する。透光性微細孔体20に入射した光は、第1の反射体10と第2の反射体30との間で反射を繰り返す。すなわち、呈色体1は、第1の反射体10と第2の反射体30との間で多重反射が起こる共振構造を有している。
かかる呈色体では、多重反射光による多重干渉が起こり、特定波長の光が選択的に吸収される吸収特性を示す。多重干渉条件は第1の反射体10の平均複素屈折率と、第2の反射体30の平均複素屈折率と、透光性微細孔体20の平均複素屈折率及び厚みとに応じて変わるので、これらファクターに応じて特定波長の光を吸収する吸収特性を示す。
第1の反射体10の平均複素屈折率をn1-ik1、透光性微細孔体20の平均複素屈折率をn2、第2の反射体30の平均複素屈折率をn3-ik3、透光性微細孔体20の厚みをdとする(k1及びkは消衰係数であり、-ik1及び-ik3は虚数部を示す。本実施形態では、透光性微細孔体20の平均複素屈折率の虚数部は0である。)。
本発明者は、入射光L1が略垂直入射光の場合、多重干渉により吸収される光のピーク波長(吸収ピーク波長)λは、透光性微細孔体20の平均複素屈折率n2と厚みdとに大きく依存し、これらは概ね下記式の関係にあることを見出している。すなわち、本発明者は、多重干渉による吸収ピーク波長λは下記式で表される波長の付近に現れ、下記式で表される波長の付近で、第1の反射体10の平均複素屈折率n1-ik1と、第2の反射体30の平均複素屈折率n3-ik3と、透光性微細孔体20の平均複素屈折率をn2及び厚みdとに応じて変わることを見出している。
n2d ≒ (m+1) / 2 ×λ、
λ≒ (m+1) × 2n2d
式中、mは任意の整数(0,±1,±2,・・・・)である。
特に、第1の反射体10、透光性微細孔体20、第2の反射体30のうち少なくとも1つを複素誘電率の虚数部が0でない光吸収体により構成すると、吸収ピークがシャープになり、特定波長の光に対して強い吸収を示すものとなる。
本実施形態の呈色体1では、上記吸収特性によって入射光L1が特定の色光L2に変調されて出射される。本実施形態では、第1の反射体10が半透過半反射性を有するので、第1の反射体10の平均複素屈折率と、第2の反射体30の平均複素屈折率と、透光性微細孔体20の平均複素屈折率及び厚みとに応じて、第1の反射体10から特定の色光L2が出射される。
本実施形態の呈色体1は、以上のように構成されている。
本実施形態の呈色体1は、半透過半反射性を有する第1の反射体10と、完全反射性を有する第2の反射体30との間に、入射光L1の波長より小さい径の複数の微細孔21を有する透光性微細孔体20を備えたものである。
かかる構成では、第1の反射体10から透光性微細孔体20に入射した光が第1の反射体10と第2の反射体30との間で反射を繰り返して多重反射が効果的に起こり、多重反射光による多重干渉が効果的に起こる。かかる構成では、多重干渉条件が第1の反射体10の平均複素屈折率と、第2の反射体30の平均複素屈折率と、透光性微細孔体20の平均複素屈折率及び厚みとに応じて変わるので、これらファクターに応じて特定波長の光を吸収する吸収特性を示す。この吸収特性により入射光L1が変調されて色光L2が出射される。
本実施形態の呈色体1では、干渉効果によって、光沢のある呈色が得られる。さらに本実施形態の呈色体1では、多重干渉が起こるので、一回の干渉しか起こらない特許文献1に記載の呈色体に比較して、深みのある表現力の豊かな呈色を得ることができる。
また、入射光L1が略垂直入射光の場合について吸収特性を説明したが、太陽光や室内光等の外光が呈色体1に自然に入射する使用条件では、種々の方向から入射光L1が入射して、それぞれの光が呈色体1内で多重反射されるので、実際には複雑な吸収特性を示すことになる。そのため、深みのある表現力の豊かな呈色が効果的に得られる。
本実施形態の呈色体1では、第1の反射体10の平均複素屈折率、第2の反射体30の平均複素屈折率、透光性微細孔体20の平均複素屈折率と厚みのうちいずれかの条件を変更すれば、多重干渉条件が変わり、吸収特性が変わるので、呈色する色の設計自由度が高い。
透光性微細孔体20の平均複素屈折率n2を変更したときの反射光スペクトル(第1の反射体10から出射された光のスペクトル)の変化例を図1(c)に示す。図1(c)には、吸収ピーク波長がλ1からλ2に変化した様子が示されている。
本実施形態の呈色体1は、上記吸収特性が全体的に略均一なものであってもよいし、吸収特性の異なる複数の領域を有するものであってもよい。吸収特性を変えられる最小領域は1個の微細孔21であり、複数個の微細孔21を含む領域を一領域として吸収特性を変えることもできる。
陽極酸化条件によっては、透光性微細孔体20に開孔される微細孔21の径及び/又は高さがばらつくことがある。この場合には、呈色体1の吸収特性に自然にばらつきが生じることとなり、呈色体1は面内位置によって様々な色を呈色するものとなる。
色材の塗布による呈色では色材の脱落による退色が起こりやすいが、本実施形態の呈色体1は構造による波長選択性を有し、色材を用いることなく呈色するものであるので、もともと退色しにくい構造である。さらに、本実施形態の呈色体1では、色光L2が出射される側の第1の反射体10の表面を透光性保護材12により保護する構成としているので、長期に使用しても視認側の反射体10が脱落を抑制することができ、退色を長期に渡って抑制することができる。
「第2実施形態」
次に、図3に基づいて、本発明に係る第2実施形態の呈色体の構成について説明する。図3は第1実施形態の図1(a)に対応した断面図である。第1実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、説明は省略する。
本実施形態の呈色体2は、第1実施形態と同様、光入射側(図示上側)から、第1の反射体10と透光性微細孔体20と第2の反射体30とを順次備えた構造を有するが、第1実施形態と異なり、透光性微細孔体20に開孔された複数の微細孔21の底部に金属50が充填されたものである。本実施形態においても、呈色体2の持つ光学特性によって入射光L1が特定の色光L2に変調されて、第1の反射体10側から出射される。
例えば、第1の反射体10を金属蒸着により成膜する際に、同時に微細孔21内にも金属が蒸着される条件で、第1の反射体10を成膜することで、透光性微細孔体20の微細孔21の底部に第1の反射体10の構成金属と同種の金属50を充填することができる。
また、上記のように同種の金属で第1の反射体10の成膜と金属50の充填とを実施した後、第1の反射体10を除去し、新たに別種の金属で金属蒸着を行って第1の反射体10を成膜すれば、第1の反射体10と透光性微細孔体20の微細孔21に充填される金属50の種類を異ならせることも可能である。
本実施形態においても、色光L2が出射される第1の反射体10の表面が、透光性保護材12により覆われて保護されている。本実施形態では、第1の反射体10の成膜と金属50の充填を実施した後に、透光性保護材12が形成されている。かかる構成では、第1の反射体10と透光性微細孔体20の微細孔21に充填される金属50も、透光性保護材12により覆われて保護されることとなる。
金属50の充填は第1の反射体10の成膜と同様に実施できるので、金属50としては第1実施形態で挙げた第1の反射体10の構成金属と同様の金属を用いることができる。すなわち、金属50としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、白金(Pt)、コバルト(Co)、及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属が挙げられる。
本実施形態の呈色体2においても、透光性微細孔体20に入射した光は第1の反射体10と第2の反射体30との間で反射を繰り返す。すなわち、本実施形態の呈色体2においても、第1実施形態と同様の多重干渉構造を有しており、多重干渉による吸収特性によって入射光L1が変調される。
本実施形態ではまた、第1の反射体10、第2の反射体30、及び透光性微細孔体20の複数の微細孔21の内部に部分的に充填された金属50のうち少なくとも一つの表面で、局在プラズモン共鳴を起こすことができる。この場合、上記多重干渉による吸収特性と局在プラズモン共鳴現象とによって、入射光L1が変調されて出射される。
局在プラズモン共鳴現象は、金属が微細凹凸構造を有しているとき、凸部の自由電子が光の電場に共鳴して振動することで凸部周辺に強い電場が生じる現象である。ある特定波長において局在プラズモン共鳴が生じて光の散乱や吸収が著しく増大し、この特定波長については反射光の強度が著しく低くなる。この局在プラズモン共鳴が生じる光波長は共鳴ピーク波長と称される。
局在プラズモン共鳴現象は自由電子を有する金属であれば任意の金属で起こり得るが、その中でも吸収等の増強効果が比較的大きいものが好ましい。具体的には、局在プラズモン共鳴効果による吸収等の増強効果を考慮すれば、金属50としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、及びチタン(Ti)等の金属が好ましく、特に金(Au)や銀(Ag)等が好ましい。
本実施形態では、金属からなる第1の反射体10と第2の反射体30の表面でも、局在プラズモン共鳴現象を起こり得る。但し、透光性微細孔体20の内部に、図示するような規則パターンで金属50が充填されることで、より効果的に局在プラズモン共鳴現象が起こる。
第1実施形態においては、図2を参照して、透光性微細孔体20は、多数の平面視略正六角形状の微細柱状体41aが隙間なく配列した構造を有するものとなり、各微細柱状体41aの底面は丸みを帯びた形状となること、非陽極酸化部分42からなる第2の反射体30の表面は、平面視略正六角形状のディンプル状凹部31がアレイ状に配列したものとなることを述べた。陽極酸化では、微細孔21の底面も微細柱状体41aの底面の形状に沿った形状となるので、本実施形態では、例えば図3に示すように、第2の反射体30の表面凹凸形状に沿った形状で金属50が充填されると考えられる。かかる構成では、透光性微細孔体20の内部に金属50のナノオーダーの凹凸パターンが形成されているので、凹凸構造による吸収等の増強効果が得られ、効果的に局在プラズモン共鳴現象が起こると考えられる。
本実施形態の呈色体2では、基本的な構成は第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに本実施形態では、透光性微細孔体20の内部に充填された金属50の表面で局在プラズモン共鳴現象が効果的に起こるので、多重干渉による吸収特性と局在プラズモン共鳴現象による光散乱・吸収特性とによって入射光L1を変調することができる。本実施形態によっても、深みのある表現力の豊かな呈色を得ることができる。
「第3実施形態」
図4及び図5を参照して、本発明に係る第3実施形態の呈色体の構成について説明する。図4は第1実施形態の図1(a)に対応した断面図である。図5(a),(b)は本実施形態の呈色体の製造工程図(斜視図)である。第1実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、説明は省略する。
本実施形態の呈色体3は、第1実施形態と同様、第1の反射体10と第2の反射体70との間に透光性微細孔体60を備えたデバイスである。
本実施形態では、第1実施形態と異なり、第1の反射体10と第2の反射体70とはいずれも半透過半反射性の反射体により構成されている。また、透光性微細孔体60は第1実施形態と同様、陽極酸化により得られた金属酸化物体であるが、本実施形態では、透光性微細孔体60に開孔された複数の微細孔21はいずれも透光性微細孔体60を貫通しており、第1の反射体10側の面及び第2の反射体70側の面において開口している。
透光性微細孔体60は、図5(a),(b)に示す如く、被陽極酸化金属体40の一部を陽極酸化して金属酸化物体(Al2O3)41とし、その後、陽極酸化後の被陽極酸化金属体40の非陽極酸化部分42及びその近傍部分をエッチング除去して、製造されたものである。透光性微細孔体60は、被陽極酸化金属体40の全体を陽極酸化しても得られる。
本実施形態において、第2の反射体70は、第1の反射体10と同様の金属層からなり、透光性微細孔体60への金属蒸着等によって成膜されたものである。第2の反射体70の構成金属としては、第1の反射体10と同様の金属が使用できる。第1の反射体10と第2の反射体70とは同一材質により構成してもよいし、異なる材質により構成してもよい。
透光性微細孔体60には第2の反射体70側の面において開口した複数の微細孔21が開孔されているので、微細孔21の開孔部分には金属が成膜されず、第2の反射体70は、透光性微細孔体60の複数の微細孔21に各々連通する複数の貫通孔71を有している。
本実施形態の呈色体3では、第1の反射体10側と第2の反射体70側の双方から、太陽光や室内光等の外光である入射光L1が入射し、呈色体3の持つ光学特性によって入射光L1が特定の色光L2に変調されて、第1の反射体10側及び/第2の反射体70側から出射される(入射光L1と色光L2の図示は省略)。
本実施形態では、第1の反射体10と第2の反射体70の双方が、透光性保護材12により保護されている。
本実施形態においても、透光性微細孔体60と第1の反射体10との間、第1の反射体10と透光性保護材12との間に各々、密着層13,14が介挿されることが好ましい。また、透光性微細孔体60と第2の反射体70との間、第2の反射体70と透光性保護材12との間にも各々、密着層73,74が介挿されることが好ましい。
本実施形態の呈色体3においても、透光性微細孔体20に入射した光は第1の反射体10と第2の反射体70との間で反射を繰り返す。すなわち、本実施形態の呈色体3においても、第1実施形態と同様の多重干渉構造を有しており、多重干渉による吸収特性によって入射光L1が変調される。
本実施形態においても、多重干渉条件は、第1の反射体10の平均複素屈折率と、第2の反射体70の平均複素屈折率と、透光性微細孔体60の平均複素屈折率及び厚みとに応じて変わるので、これらファクターに応じて特定波長の光を吸収する吸収特性を示す。ただし、本実施形態では、第1の反射体10と第2の反射体70がいずれも半透過半反射性を有するので、多重干渉条件によって色光L2が出射される側が決まり、色光L2は第1の反射体10側及び/第2の反射体70側から出射される。
第1の反射体10と第2の反射体70の双方を半透過半反射性の反射体により構成した本実施形態の呈色体3においても、第1実施形態と同様に呈色を行うことができ、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(設計変更)
本発明は上記実施形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜設計変更できる。
第1〜3実施形態では、透光性微細孔体20,60の形成に用いる被陽極酸化金属体40の主成分としてAlのみを挙げたが、陽極酸化可能で生成される金属酸化物が透光性を有するものであれば、任意の金属が使用できる。Al以外では、Ti、Ta、Hf、Zr、Si、In、Zn等が使用できる。被陽極酸化金属体40は、陽極酸化可能な金属を2種以上含むものであってもよい。
陽極酸化を利用することで、透光性微細孔体20,60を簡易に製造でき、大面積化も容易である。このように陽極酸化を利用することは好ましいが、本発明は陽極酸化に限らず、他の微細孔形成技術を利用して製造されたものであってもよい。例えば、透光性基体に集束イオンビーム(FIB)や電子ビーム(EB)等の電子描画技術により任意のパターンの微細孔を描画する、完全反射性又は半透過半反射性の基体の表面にリソグラフィー技術により任意の凹凸パターンの透光性微細孔体を形成する(この場合凹部が微細孔となる)等の方法を用いることで、本発明の呈色体を製造することができる。陽極酸化以外の方法を用いることで、透光性微細孔体20,60の材質や微細孔21の開孔パターン等の設計自由度が広がる。
透光性微細孔体20,60における微細孔21の形状は任意である。上記実施形態では、円柱状の略ストレート孔のみを挙げたが、三角柱状、四角柱状等の角柱状でもよく、柱状にも限らない。微細孔21はランダム形状であってもよい。
微細孔21の配列パターンも任意である。複数の微細孔21が第1の反射体10の光入射面に平行な方向に一次元配列したものでも、二次元配列したものでもよい。上記実施形態は、複数の微細孔21が第1の反射体10の光入射面に平行な方向に二次元配列した例である。また、複数の微細孔21が第1の反射体10の光入射面に平行な方向に二次元配列し、さらにこの二次元配列が厚み方向にも繰り返される三次元配列構造であってもよい。微細孔21の配列はランダム配列でもよい。
第1の反射体10及び第2の反射体30,70の材質は、金属に限らず、反射性を有する材質であればよい。
本発明に係る実施例について説明する。
(実施例1、2)
第1実施形態の呈色体1(実施例1)と第2実施形態の呈色体2(実施例2)について、FD−TD法による電磁場解析シミュレーションソフトを用いて、それぞれ反射光スペクトルをシミュレーションした。透光性保護材の存在は無視し、微細孔21内に水を充填したという条件で、計算を実施した。計算条件は以下の通りとした。
<計算条件>
第1の反射体10:Au(20nm厚)、
透光性微細孔体20:Al2O3(200nm厚)、微細孔21のピッチ:100nm、微細孔21の孔径:50nm、
第2の反射体30:Al、
第2実施形態の呈色体2において、微細孔21内に充填する金属50:Au(20nm厚)、
入射光L1:白色光(垂直入射)。
物質の複素屈折率は入射光の波長によって異なる。透光性微細孔体20は微細孔21の開口率とその内部の充填物(呈色体1では水、呈色体2では水とAu)とを考慮して算出した。第1の反射体10の平均複素屈折率は、微細孔21の開口率を考慮して算出した。第2の反射体30は孔がないので、その平均複素屈折率はAlの複素屈折率と同じである。
結果を図6に示す。
微細孔21内に金属を充填しない呈色体1と、微細孔21内に金属を充填した呈色体2のいずれについても、いずれも400〜500nmと850〜950nmの範囲に多重干渉による吸収ピークが見られた。微細孔21内に金属を充填した呈色体2では、干渉による上記吸収ピークに加えて、700nm付近に局在プラズモン共鳴による吸収ピークが見られた。
本発明の呈色体は、装飾品、壁材等の建築部材、携帯電話やカメラ等の電子機器の筐体、各種電気製品の部材等として利用できる。
(a)は本発明に係る第1実施形態の呈色体の全体厚み断面図、(b)は入射光の多重反射の様子を模式的に示す図、(c)は反射光スペクトルの例 (a)〜(c)は図1(a)の呈色体の製造工程図 本発明に係る第2実施形態の呈色体の全体厚み断面図 本発明に係る第3実施形態の呈色体の全体厚み断面図 (a),(b)は図4の呈色体の製造工程図 実施例1,2のシミュレーション結果を示す図
符号の説明
1〜3 呈色体
10 第1の反射体
12 透光性保護材
13,14,73,74 密着層
20,60 透光性微細孔体
21 微細孔
30,70 第2の反射体
40 被陽極酸化金属体
41 金属酸化物体
42 非陽極酸化部分
50 金属
L1 入射光
L2 色光

Claims (14)

  1. 半透過半反射性を有する第1の反射体と、半透過半反射性又は完全反射性を有する第2の反射体との間に、入射光の波長より小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体を備え、
    前記第1の反射体及び/又は前記第2の反射体から前記入射光が入射し、該入射光が特定の色光に変調されて、前記第1の反射体及び/又は前記第2の反射体から出射される呈色体であって、
    前記第1の反射体と前記第2の反射体とのうち、少なくとも前記色光が出射される側の反射体の表面が、透光性保護材により保護されており、
    前記第1の反射体の平均複素屈折率と、前記第2の反射体の平均複素屈折率と、前記透光性微細孔体の平均複素屈折率及び厚みとに応じて、特定波長の光を吸収する吸収特性を示し、該吸収特性を含む光学特性により前記入射光が変調されて、前記色光が出射されるものであることを特徴とする呈色体。
  2. 前記吸収特性は、前記入射光が前記第1の反射体と前記第2の反射体との間で多重反射されて生じる多重干渉によるものであることを特徴とする請求項1に記載の呈色体。
  3. 半透過半反射性を有する第1の反射体と、半透過半反射性又は完全反射性を有する第2の反射体との間に、入射光の波長より小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体を備え、
    前記第1の反射体及び/又は前記第2の反射体から前記入射光が入射し、該入射光が特定の色光に変調されて、前記第1の反射体及び/又は前記第2の反射体から出射される呈色体であって、
    前記透光性微細孔体の前記複数の微細孔の内部に、部分的に金属が充填されており、
    前記第1の反射体の平均複素屈折率と、前記第2の反射体の平均複素屈折率と、前記透光性微細孔体の平均複素屈折率及び厚みとに応じて、特定波長の光を吸収する吸収特性を示し、該吸収特性を含む光学特性により前記入射光が変調されて、前記色光が出射されるものであることを特徴とする呈色体。
  4. 前記透光性微細孔体の前記複数の微細孔は、前記第1の反射体側から前記第2の反射体側に向けて延びた略ストレート孔であり、かつ、前記第1の反射体側の面において開口し、前記第2の反射体側が閉じられた孔であり、該複数の微細孔の底部に前記金属が充填されていることを特徴とする請求項3に記載の呈色体。
  5. 前記第1の反射体と前記第2の反射体とのうち、少なくとも前記色光が出射される側の反射体の表面が、透光性保護材により保護されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の呈色体。
  6. 前記吸収特性は、前記入射光が前記第1の反射体と前記第2の反射体との間で多重反射されて生じる多重干渉によるものであり、
    該吸収特性と、前記第1の反射体、前記第2の反射体、及び前記透光性微細孔体の前記複数の微細孔の内部に部分的に充填された前記金属のうち、少なくとも一つで起こる局在プラズモン共鳴現象とによって、前記入射光が変調されるものであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の呈色体。
  7. 前記透光性微細孔体は被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記第2の反射体は前記被陽極酸化金属体の非陽極酸化部分からなり、前記第1の反射体は前記透光性微細孔体に成膜された金属層からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の呈色体。
  8. 前記透光性微細孔体は、被陽極酸化金属体の全体を陽極酸化して得られる金属酸化物体、若しくは、被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化し、さらに該被陽極酸化金属体の非陽極酸化部分を除去して得られる金属酸化物体からなり、前記第1の反射体及び前記第2の反射体はいずれも前記透光性微細孔体に成膜された金属層からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の呈色体。
  9. 前記第1の反射体及び/又は前記第2の反射体は、密着性を向上させる密着層を介して、前記透光性微細孔体に固着されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の呈色体。
  10. 前記第1の反射体と前記第2の反射体とのうち、少なくとも前記色光が出射される側の反射体の表面に、密着性を向上させる密着層を介して、前記透光性保護材が固着されていることを特徴とする請求項1又は5に記載の呈色体。
  11. 前記第1の反射体及び前記第2の反射体は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、白金(Pt)、コバルト(Co)、及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む金属体であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の呈色体。
  12. 前記透光性保護材は、透光性樹脂、ガラス、及びダイヤモンドライクカーボンのうちいずれかを主成分とすることを特徴とする請求項1又は5に記載の呈色体。
  13. 前記吸収特性の異なる複数の領域を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の呈色体。
  14. 光の干渉効果と局在プラズモン共鳴効果との双方の効果によって、入射光が特定の色光に変調されて出射されるものであることを特徴とする呈色体。
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