JP2007314754A - 排出物の溶融処理プラント - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 排出物(11)を溶融させるための溶融油を蓄えるとともに当該排出物(11)を投入可能な処理空間を備えた内釜(21)およびその内釜(21)を加熱して当該内釜(21)に溜めた溶融油の温度を所定温度に保つための外釜(25)を備えた溶融装置(20)と、脱塩装置(30)と、塩素系ガスを除去した排気ガスを冷却する冷却装置(40)と、その排気ガスから水分および油分を除去する油水回収装置(50)と、回収されなかった未回収ガスを燃焼させるためのガス燃焼炉(60)と、を備える。そのガス燃焼炉(60)には、前記未回収ガスを完全燃焼させるために当該未回収ガスよりも高温に加熱した燃焼補助体(65)を備える。
【選択図】 図1
Description
また、薬物処理の場合はその取扱いが危険で、簡単に処理できない。このため、上述の問題点を解決すべく、燃焼技術を高めるための工夫がなされていることが多い。
この技術によれば、ダイオキシン前駆体の分解および完全燃焼を実行させるとともに、間欠運転に伴う焼却処分低温燃焼時の不完全燃焼を鉄化合物触媒によって抑制するものである。
一方、本発明者は、油化処理を前提としているので、「油化×プラント×完全燃焼」というキーワードによって特許文献を検索したところ、1件もヒットしなかった。
また、廃ゴム等の油分乾留装置についても検索し、特開2000−290661号などを検討したが、本願発明に関連する技術は発見できなかった。
ここで、請求項1から請求項7に記載の発明の目的は、油化処理において発生する様々なガスを無害化させることに寄与する排出物の溶融処理プラントを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、油化が可能な所定の排出物(11)を溶融処理するための処理プラントに係る。
すなわち、前記排出物(11)を溶融させるための溶融油を蓄えるとともに当該排出物(11)を投入可能な処理空間を備えた内釜(21)およびその内釜(21)を加熱して当該内釜(21)に溜めた溶融油の温度を所定温度に保つための外釜(25)を備えた溶融装置(20)と、 その溶融装置(20)から排出される塩素系ガスを除去するための脱塩装置(30)と、 その脱塩装置(30)にて塩素系ガスを除去した排気ガスを冷却する冷却装置(40)と、 その冷却装置(40)にて冷却された排気ガスから水分および油分を除去する油水回収装置(50)と、 その油水回収装置(50)にて回収されなかった未回収ガスを燃焼させるためのガス燃焼炉(60)と、を備える。
そして、そのガス燃焼炉(60)には、前記未回収ガスを完全燃焼させるために当該未回収ガスよりも高温に加熱した燃焼補助体を備えたことを特徴とする排出物の溶融処理プラントである。
「燃焼補助体」とは、未回収ガスを無害化するために完全燃焼させるための補助材である。未回収ガスに触れる面積を増やすため、たとえばメッシュ構造をなす板材や筒体としている。また、材質は、未回収ガスよりも高温(例えば摂氏900度以上1200度以下)に熱することができる、たとえばステンレス鋼である。
請求項1記載の発明では、以下のような作用をなす。
まず、外釜(25)からの加熱によって内釜(21)における溶融油を加熱する。そして、排出物を内釜(21)に投入する。すると、溶融装置(20)によって排出物が溶融され、油化が開始されるので、内釜(21)内で油化した油を回収する。
溶融装置(20)から排出される塩素系ガスを脱塩装置(30)が除去し、その脱塩装置(30)にて塩素系ガスを除去した排気ガスを冷却装置(40)が冷却する。そして、冷却された排気ガスから油水回収装置(50)が水分および油分を除去する。
その油水回収装置(50)にて回収されなかった未回収ガスは、ガス燃焼炉(60)において、未回収ガスの燃焼温度よりも高い温度となるように加熱された燃焼補助体を介して完全燃焼し、無害化される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の排出物の溶融処理プラントを限定したものである。
すなわち、前記内釜(21)は、その底部から上部に向かって立ち上がる上げ底部(21a)を備え、 前記外釜(25)には、その上げ底部(21a)を形成するための凹部に対して熱エネルギを加える上げ底加熱部を備える。
前記上げ底部(21a)は、内釜(21)における側面からの距離が遠い内部空間をえぐるように位置させたことを特徴とする。
外釜(25)の上げ底加熱部が内釜(21)の上げ底部(21a)を加熱すると、上げ底部(21a)は内釜(21)における側面からの距離が遠い内部空間をえぐるように位置しているので、内釜(21)の内部空間が均等に加熱され、溶融油の部分的な温度低下を抑制することに寄与する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の排出物の溶融処理プラントを限定したものである。
すなわち、前記内釜(21)には、底面に沈殿する残渣と、その残渣から分離させるべき固形物とを分離するための蜘蛛の巣状をなす固形物分離フィルタ(26)を備えたことを特徴とする。
蜘蛛の巣状をなす固形物分離フィルタ(26)が、内釜(21)に設けられているので、油化されなかった金属などの固形物が固形物分離フィルタ(26)にて、油化された油から分離できる。この固形物分離フィルタ(26)がないと、固形物に粘度の高い油などが付着し、それを除去する作業に手間が掛かっていた。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の排出物の溶融処理プラントを限定したものである。
すなわち前記内釜(21)には、その内部空間を形成する内面に沿って上部から下部側に移動可能な内蓋(21b)と、 その内蓋(21b)を上下動させるための内蓋上下動機構(21c)と、を備えたことを特徴とする。
排出物には空気が多く含まれているので溶融油に対して浮いてしまう。そのため、排出物の溶融が進まず、多くの排出物を投入することができない場合がある。そのため、内蓋(21b)およびその内蓋(21b)を上下動させるための内蓋上下動機構(21c)によって、投入した排出物を押し下げ、排出物の溶融を促進させる。その結果、早く多くの排出物を投入することができるようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の排出物の溶融処理プラントを限定したものである。
すなわち、すなわち、前記燃焼補助体(65)は、摂氏900度以上1200度以下に加熱されて内蔵されていることを特徴とする。
ガス燃焼炉(60)に燃焼補助体(65)を内蔵する。この燃焼補助体(65)によって急激に温度上昇した未回収ガスは、不完全燃焼することなく燃焼する。燃焼温度は、1200度に近いほど望ましいが、それ以上であるとプラントの他の機器に対する負担が増加するからである。摂氏900度以上としたのは、この温度以下では完全燃焼が困難だからである。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の排出物の溶融処理プラントを限定したものである。
すなわち、前記溶融装置(20)における前記内釜(21)と前記外釜(25)との間には、外釜(25)による燃焼ガスを排気させるための排気隙間(29)と、その排気隙間(29)から外釜(25)の外に連通する煙突(28)とを備える。 その煙突(28)の直下には、前記排気隙間(29)を上下に仕切る仕切りフランジ(27)を備え、 その仕切りフランジ(27)には、排気隙間(29)の上下を連通させる貫通孔(27a)を備えるとともに、 その貫通孔(27a)は、煙突(28)から遠い位置には近い位置よりも連通量が多くなるように形成する。
貫通孔(27a)について、煙突(28)から遠い位置には近い位置よりも連通量が多くなるように形成する手段としては、例えば、煙突(28)から遠い位置における貫通孔(27a)の大きさや密度を増やす。
従来の溶融装置(20)においても内釜(21)と外釜(25)とを備えるものが存在するが、排気隙間(29)は均等にしている。すなわち、外釜(25)の内側において、内釜(21)は中央に位置させている。 煙突(28)は、排気すべき燃焼ガスを外釜(25)の外へ出す役割があるが、その場所は煙突(28)の役割上、一カ所である。一カ所にのみ煙突(28)を備え、排気隙間(29)が均等であると、煙突(28)に遠い位置において不完全燃焼が起きやすいことが把握された。
そこで、請求項6に記載したような構成とすると、内釜(21)において煙突(28)からの距離に応じた不完全燃焼が減少した。従来の構成では、煙突(28)に近い排気隙間(29)ほど通気量が多くなり、請求項6に記載した構成では排気隙間(29)における通気量が均等化されることが要因と考えられる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の排出物の溶融処理プラントを限定したものである。
すなわち、前記脱塩装置(30)は、塩素系ガスを無害化するための筒状をなす脱塩部(31)と、その脱塩部(31)の下部へ連続させたロート状のワックス回収部(32)とを備え、 前記脱塩部(31)は、摂氏400度以上としたことを特徴とする。
溶融装置(20)から発生するガスには、気化した油が含まれており、冷却装置(40)にて冷却されて油水回収装置(50)にて回収される。回収される油としては、重油類の他、ワックス油が含まれる。しかし、脱塩装置における脱塩工程においても、ワックス油が分離する場合があることが判明した。そこで、請求項7に記載するような構成を採用することで、脱塩工程において積極的にワックス油を回収可能としたものである。
脱塩部(31)を摂氏400度以上とするため、たとえば、前記溶融装置(20)の排熱を、煙突を介するなどして利用する。
脱塩部(31)においては、溶融装置(20)から発生するガスの中から塩素系ガスが摂氏400度以上にて化学反応することで無害化される。脱塩部(31)の下方に位置するワックス回収部(32)は、部分的あるいは全体的に前記の化学反応よりも低い温度となり、例えば摂氏240度以下の箇所ができる。そのため、ワックス油がロート状をなしたワックス回収部(32)において回収できることとなる。
図1では、本実施形態に係るプラントにおける処理手順をブロック図にて示している。
排出物11としては、油化処理が可能な排出物、廃棄物であり、一般の廃棄プラスチック、廃棄発泡スチロール、FRPなどである。本実施形態では、医療現場で出る医療排出物を排出物11として選択し、必要に応じてその排出物11に特有な点を説明する。
本実施形態では、溶融油として、約3000リットルを内釜21に蓄えることとしている。
内釜21には、その底部から上部に向かって立ち上がる上げ底部21aを備える。また、外釜25には、その上げ底部21aを形成するための凹部に対して熱エネルギを加える上げ底加熱部(図示を省略)を備える。
前記上げ底部21aは、内釜21における側面からの距離が遠い内部空間をえぐるように位置させている。このため、内釜21の内部空間が均等に加熱され、溶融油の部分的な温度低下を抑制することに寄与する。
なお、固形物分離フィルタ26の下に落ちた不純物は、後に一次破砕機によって破砕した後、破砕選別機70にて炭素と金属とに選別し、リサイクル資源として活用する。
この冷却装置40は、一次冷却器43と、その一次冷却器43にて冷却された排気ガスを更に冷却する二次冷却器44と、前記一次冷却器43および二次冷却器44に対して冷却水を循環させるポンプ42と、その冷却水を貯留する冷却水タンク41とを備えている
図6に示すように、この過剰ガス燃焼炉60の内部には、ステンレス鋼で作成されたメッシュ状板材である燃焼補助体65が摂氏900度以上1200度以下に加熱されて内蔵されている。1200度に近いほど望ましいが、それ以上であるとプラントの他の機器に対する負担が増加する。摂氏900度以上としたのは、バーナー温度が摂氏900度程度だからである。
この燃焼補助体65によって急激に温度上昇した未回収ガスは、不完全燃焼することなく燃焼する。
なお、過剰ガス燃焼炉60は、約1500キログラムの排出物を処理する際に発生する過剰ガスによっても、不完全燃焼が生じないことが確かめられた。
製油及び燃料タンク56に溜められた油は、精製して用途毎に分離する。例えば、重油として分離回収されたら、前記外釜25にて燃料として使用することができる。
油化処理用の油を加熱して内釜21に入れ、保温しながら輸送すれば、油化処理の前処理が可能となるとともに、排出物11に含まれている空気を抜くことができるので、減容が可能となり、輸送を合理化することができるのである。
この脱塩装置は、二機の脱塩処理タンクを、処理ガス排出パイプ34にて連結し、溶融装置20から発生した乾留ガスに対して二度の脱塩処理を実行することで完全に近い脱塩を行わせ、冷却装置40に送り込もうというものである。
それぞれの脱塩処理タンクは、上方に向かってやや拡開した筒状の脱塩部31と、その脱塩部31の下部に連続させた漏斗状のワックス回収部32とを備えている。
なお、回収されたワックスは、摂氏30度以下で固化するので、固化する前にワックス回収部32の外へ、バルブを介して取り出すようにしている。
すなわち、煙突28から遠い位置における排気隙間29を、煙突28から近い位置における排気隙間29よりも大きくなるように、外釜25に対する内釜21の位置を決定するのである。このようにすれば、煙突28から遠い位置の排気隙間29が、近い位置よりも連通量が多くなり、内釜21における不完全燃焼を減少させることができる。
20 溶融装置
21 内釜 21a 上げ底部
21b 内蓋 21c リンク機構
22 外蓋
25 外釜 26 固形物分離フィルタ
27 仕切りフランジ 27a 貫通孔
28 煙突 29 排気隙間
30 脱塩装置 31 脱塩部
32 ワックス回収部 33 連結路
34 処理ガス排出パイプ
40 冷却装置 41 冷却水タンク
42 ポンプ 43 一次冷却器
44 二次冷却器
50 油水分離装置 51 油水回収タンク
52 濾過器 53 油水分離タンク
54 油水分離器 55 ポンプ
56 製油および燃料タンク
60 ガス燃焼炉 61 安全器
62 冷却水タンク
65 過剰ガス燃焼炉
70 破砕選別機
Claims (7)
- 油化が可能な所定の排出物を溶融処理するための処理プラントであって、
前記排出物を溶融させるための溶融油を蓄えるとともに当該排出物を投入可能な処理空間を備えた内釜およびその内釜を加熱して当該内釜に溜めた溶融油の温度を所定温度に保つための外釜を備えた溶融装置と、
その溶融装置から排出される塩素系ガスを除去するための脱塩装置と、
その脱塩装置にて塩素系ガスを除去した排気ガスを冷却する冷却装置と、
その冷却装置にて冷却された排気ガスから水分および油分を除去する油水回収装置と、
その油水回収装置にて回収されなかった未回収ガスを燃焼させるためのガス燃焼炉と、を備え、
そのガス燃焼炉には、前記未回収ガスを完全燃焼させるために当該未回収ガスの燃焼温度よりも高温に加熱した燃焼補助体を備えたことを特徴とする排出物の溶融処理プラント。 - 前記内釜は、その底部から上部に向かって立ち上がる上げ底部を備え、
前記外釜には、その上げ底部を形成するための凹部に対して熱エネルギを加える上げ底加熱部を備え、
前記上げ底部は、内釜における側面からの距離が遠い内部空間をえぐるように位置させたことを特徴とする請求項1に記載の排出物の溶融処理プラント。 - 前記内釜には、底面に沈殿する残渣と、その残渣から分離させるべき固形物とを分離するための蜘蛛の巣状をなす固形物分離フィルタを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の排出物の溶融処理プラント。
- 前記内釜には、その内部空間を形成する内面に沿って上部から下部側に移動可能な内蓋と、
その内蓋を上下動させるための内蓋上下動機構と、を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の排出物の溶融処理プラント。 - 前記燃焼補助体は、摂氏900度以上1200度以下に加熱されて内蔵されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の排出物の溶融処理プラント。
- 前記溶融装置における前記内釜と前記外釜との間には、外釜による燃焼ガスを排気させるための排気隙間と、その排気隙間から外釜の外に連通する煙突とを備え、
その煙突の直下には、前記排気隙間を上下に仕切る仕切りフランジを備え、
その仕切りフランジには、排気隙間の上下を連通させる貫通孔を備えるとともに、
その貫通孔は、煙突から遠い位置には近い位置よりも連通量が多くなるように形成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の排出物の溶融処理プラント。 - 前記脱塩装置は、塩素系ガスを無害化するための筒状をなす脱塩部と、その脱塩部の下部へ連続させたロート状のワックス回収部とを備え、
前記脱塩部は、摂氏400度以上としたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の排出物の溶融処理プラント。
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2006
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