JP2007313647A - スクリーン印刷用製版枠および剥離台 - Google Patents

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Abstract

【課題】製版枠への紗張りを簡単に行えるようにし、かつ、製版枠を再利用する場合にスクリーンシートを製版枠から容易に剥離できるようにする。
【解決手段】上枠1と、感熱式スクリーンシート2と、下枠3とから製版枠が構成される。まず、上枠1に接着された吸着シート14に、感熱式スクリーンシート2のフィルム層を吸着させて、上枠1に感熱式スクリーンシート2を取り付ける。そして、感熱式スクリーンシート2の側を下にして、上枠1を下枠3と対向させた状態から、上枠1の透孔13に下枠3のピン34を嵌入させ、上枠1を下方へ押し下げる。すると、下枠3の突起部33が感熱式スクリーンシート2を押し上げつつ、上枠1の開口12に嵌合してゆく。上枠1を最後まで押し下げると、感熱式スクリーンシート2は、一定の張力で上枠1に張着される。
【選択図】図5

Description

本発明は、スクリーン印刷用の製版枠に関し、またこの製版枠を再利用するための剥離台に関するものである。
スクリーン印刷は、紗を張着した製版枠の枠内にインクを注入し、へら状のスキージにより紗面を加圧摺動することにより、インクを紗に形成された孔を通して被転写材に転写する印刷方式である。スクリーン印刷に用いる紗は、シルク、ナイロン、ポリエステルなどからなり、紗張り機により四方を引っ張って緊張させた状態で製版枠の枠体に接着剤で接着されるのが一般的である。
また、スクリーン印刷には、感熱式スクリーンシートが用いられることもある。感熱式スクリーンシートは、紗層の上に熱溶融性のフィルム層を被着したもので、サーマルヘッドによりフィルム層を溶融させて穿孔することにより、所望の印刷パターンを容易に形成することができる。このような感熱式スクリーンシートを製版枠に取り付ける場合も、上記と同様に、紗張り機によりシートを引っ張った状態で枠体に接着剤で接着するのが一般的である。
しかしながら、上述したような方法では、複数の紗張り機を必要とするため、設備が大掛かりとなって高価になるとともに、紗張りや接着に時間がかかり作業効率が悪いという問題がある。また、印刷が終了した後の製版枠を再利用する場合には、溶剤を使って製版枠から紗を剥離しなければならないので、これにも時間とコストがかかるとともに、溶剤を用いることで公害問題が発生するおそれがある。
一方、下記の特許文献1には、溶剤を使用することなく製版枠から紗を容易に剥離することができ、再度紗張りを行う場合も、新たな接着剤が不要で容易に紗張りを行うことができる製版枠の紗張り方法が開示されている。本文献の方法では、製版枠の枠体表面に下地処理剤を塗布して下地調整処理を施した後、接着剤を塗布して加熱することにより接着剤層を枠体表面に焼き付け、枠体表面に一定張力で展張して当接させた紗を加熱押圧して、枠体表面に紗を張着させるようにしている。
特開2000−25195号公報
しかしながら、特許文献1の方法によっても、紗張りのためには依然として接着剤が必要であり、しかも下地処理や加熱処理なども必要となるため、作業工数がきわめて多くなって、効率の良い紗張りを行うことはできない。
本発明は、上述した課題を解決するものであって、その目的とするところは、製版枠への紗張りを簡単に行えるようにし、かつ、製版枠を再利用する場合にスクリーンシートを製版枠から容易に剥離できるようにすることにある。
本発明では、スクリーンシートとして前述した感熱式のスクリーンシートを用いる。また、感熱式スクリーンシートを製版枠に取り付ける手段として、フィルム層を剥離可能に保持する保持手段を用いる。保持手段は、例えば吸着シートからなる。通常の紗であれば、表面が網目状の粗面となっているため、吸着シートに吸着させにくいが、感熱式スクリーンシートのフィルム層は表面が滑らかであるため、吸着シートに良好に吸着し、また、めくることにより容易に剥離する。本発明は、このような感熱式スクリーンシートのフィルム層の平滑性と、吸着シートの吸着性・分離性に着目して創出されたものである。
本発明に係るスクリーン印刷用製版枠は、紗層の上に熱溶融性のフィルム層を被着してなる感熱式スクリーンシートと、この感熱式スクリーンシートのフィルム層を剥離可能に保持する保持手段を有する上枠と、この上枠に保持された感熱式スクリーンシートに張力を与える下枠とを備える。
このようにすれば、感熱式スクリーンシートを吸着シートなどにより上枠に保持した状態で下枠を上枠に結合させると、感熱式スクリーンシートは上枠に保持されたまま、下枠により一定の引っ張り力が与えられる。したがって、紗張り機を用いなくても、感熱式スクリーンシートを上枠に保持させて下枠を結合させるだけで、感熱式スクリーンシートを張着した製版枠が出来上がるので、紗張り作業をきわめて簡単に行うことができる。また、感熱式スクリーンシートを剥離して製版枠を再利用する場合も、感熱式スクリーンシートをめくることで容易に剥離ができるので、溶剤が不要となるとともに、特許文献1のような枠体への下地処理や加熱処理も不要となり、作業工数を大幅に低減することができる。
また、本発明に係る剥離台は、上述したスクリーン印刷用製版枠における感熱式スクリーンシートを上枠から剥離するための剥離台であって、下枠を支持する支持部と、この支持部に下枠を支持した状態で上枠を押し下げたときに感熱式スクリーンシートを押し上げて上枠から剥離する剥離部とを備える。
このようにすれば、製版枠の下枠を剥離台の支持部に支持させた状態で上枠を押し下げると、下枠は動かずに上枠だけが動いて、上枠と下枠との結合が解除される。そして、剥離部により、上枠に吸着されている感熱式スクリーンシートが押し上げられて上枠から剥離する。したがって、簡単な構造の剥離台によって、感熱式スクリーンシートを製版枠から容易に除去することができ、製版枠を再利用する場合の感熱式スクリーンシートの剥離作業を効率良く行うことができる。
本発明によれば、紗張り機を用いることなく簡単に感熱式スクリーンシートを紗張りできるとともに、製版枠を再利用する場合の感熱式スクリーンシートの剥離作業も容易なものとなる。
以下、本発明の実施形態につき図を参照しながら説明する。本実施形態によるスクリーン印刷用製版枠は、図1、図2に示す上枠1と、図2に示す感熱式スクリーンシート2と、図4に示す下枠3とから構成される。
図1において、(a)は上枠1の上面図、(b)は(a)を右側からみた場合の側面図、(c)は(a)を下側からみた場合の側面図である。上枠1は、枠体11と、この枠体11の片面に接着された吸着シート14とを有している。枠体11には、中刳りされた開口12が形成されているとともに、左右の対向する辺には透孔13が2個ずつ形成されている。吸着シート14は、本発明における保持手段の一例である。
図2において、(a)は上枠1の裏面図であり、吸着シート14は枠体11の開口12の周縁部にロ字形に設けられている。(b)は吸着シート14の断面図である。吸着シート14は、粘着層14aと吸着層14bとからなる。粘着層14aは枠体11に接着され、吸着層14bには図3に示す感熱式スクリーンシート2が吸着される。吸着シート14は、吸着層14bが表側となるように粘着層14aを介して枠体11に接着されている。なお、粘着層14aを、吸着層14bより強い吸着力を持った吸着層に置き換えてもよい。これにより、経年変化や傷により吸着力が低下して吸着シート14を交換する場合に、枠体11から吸着シート14を容易に剥離することができ、作業性が向上する。
図3において、(a)は感熱式スクリーンシート2の上面図、(b)は同側面図および部分拡大断面図である。感熱式スクリーンシート2は、紗層21と、この紗層21の上に被着された熱溶融性のフィルム層22とからなる。紗層21はポリエステルなどからなり、網目状に形成された多数の孔23を有している。フィルム層22はポリエステルなどの熱溶融性樹脂からなり、孔23の片側はこのフィルム層22で閉塞されている。紗層21の表面は網目状の粗面となっているが、フィルム層22の表面は滑らかな面となっている。
図2で示した吸着シート14の吸着層14bは粘性を有していて、上記フィルム層22が吸着された状態において、感熱式スクリーンシート2の面と平行方向および垂直方向に強い保持力を有しており、これらの方向の力が作用しても、吸着されたシート2は簡単には動かないようになっている。その一方で、吸着層14bは、感熱式スクリーンシート2をめくれば当該シート2を容易に剥離できる性質を有している。このような吸着シート14としては、例えば、フジコピアン株式会社製のフィックスフィルム(FIXFILM;登録商標)を用いることができる。
図4において、(a)は下枠3の上面図、(b)は(a)を右側からみた場合の側面図、(c)は(a)を下側からみた場合の側面図である。下枠3は、枠体31と、この枠体31の片面に一体形成された突起部33とを有している。枠体31には、中刳りされた開口32が形成されており、この開口32の周縁に突起部33が形成されている。この突起部33は、上枠1の開口12に嵌合可能な大きさに設定されている。また、突起部33の高さは、上枠1の厚みと同じかそれより若干大きくなるように設定されている。ここでは、突起部33が連続した囲壁として形成されているが、突起部33は開口32の周縁に不連続に形成されていてもよい。枠体31の左右の対向する辺にはピン34が2個ずつ設けられているとともに、切欠き部35が形成されている。ピン34は、上枠1の透孔13と対応する位置に設けられており、その高さは上枠1の厚みよりも小さく設定されている。また、ピン34の外径は、透孔13の内径よりわずかに小さく設定されている。なお、ピン34の数は任意であり、一辺に1個設けてもよいし、3個以上設けてもよい。
図5、図6は、上述した各部品1〜3によりスクリーン印刷用製版枠を作成する手順を説明する図である。図5は上枠1と下枠3を結合する前の状態を示しており、図6は上枠1と下枠3を結合した後の状態を示している。各図の(a)は上面図、(b)は(a)を右側からみた場合の側面図、(c)は(a)を下側からみた場合の側面図である。
製版枠を作成するには、まず、上枠1に設けられた吸着シート14の吸着層14bに、感熱式スクリーンシート2のフィルム層22を吸着させて、感熱式スクリーンシート2を上枠1に保持する。そして、図5(c)に示すように、上枠1の感熱式スクリーンシート2が取り付けられた側を下にして、上枠1を下枠3と対向させる。この状態から、上枠1の透孔13に下枠3のピン34を嵌入させ、ピン34をガイドとして上枠1を下方へ押し下げる。すると、下枠3の突起部33が感熱式スクリーンシート2を紗層21側から押し上げつつ、上枠1の開口12に嵌合してゆく。このとき、感熱式スクリーンシート2は、フィルム層22と吸着シート14との間の強力な保持力により、突起部33で押されても上枠1から離脱しない。このため、感熱式スクリーンシート2は、上枠1が押し下げられるにつれて、引っ張り力が増大してゆく。そして、図6(c)に示すように、上枠1を最後まで押し下げると、下枠3の突起部33が上枠1の開口12に完全に嵌合し、感熱式スクリーンシート2は、一定の張力で上枠1に張着される。この状態では、上枠1の透孔13に下枠3のピン34が圧入されていて、上枠1と下枠3とが一体的に結合されており、上枠1と下枠3との間に感熱式スクリーンシート2が挟持されている。これにより、感熱式スクリーンシート2は、上枠1の吸着シート14からよりめくれにくくなる。以上のようにして、感熱式スクリーンシート2を取り付けた上枠1に下枠3を結合させるだけで、スクリーン印刷用の製版枠100が得られる。
こうして得られた製版枠100を用いてスクリーン印刷を行うには、まず、感熱式スクリーンシート2に所望の印刷パターンを形成する。このパターン形成は、図7に示すように、サーマルヘッドTHで感熱式スクリーンシート2のフィルム層22に穿孔することにより行う。すなわち、サーマルヘッドTHに備わる複数の発熱素子(図示省略)のうち所望パターンに対応する発熱素子を発熱させると、当該発熱部分のフィルム層22が熱溶融して、所望パターンの孔24が穿孔される。
次に、図8(a)に示すように、所望パターンが形成された製版枠100を、支持台50の上に載置された被印刷材51の上にセットし、感熱式スクリーンシート2のフィルム層22を被印刷材51の印刷面に当接させる。そして、製版枠100にインク52を注入し、スキージ53により感熱式スクリーンシート2の紗層面を加圧摺動すると、図8(b)に示すように、インク52が感熱式スクリーンシート2の孔23,24を通って押し出され、被印刷材51に所望パターンが印刷される。
印刷が終了した後、製版枠100を再利用するために感熱式スクリーンシート2を除去するには、図9のような剥離台4を用いる。図9において、(a)は剥離台4の上面図、(b)は(a)を右側からみた場合の側面図、(c)は(a)を下側からみた場合の側面図である。図10は製版枠100と剥離台4との位置関係を示す図であり、(a)は両者の上面図、(b)は(a)を右側からみた場合の側面図、(c)は(a)を下側からみた場合の側面図である。
剥離台4は、台座41と、この台座41に設けられたピン42(支持部)と、台座41に設けられた隆起部43(剥離部)とを有している。ピン42は、上枠1の透孔13および下枠3のピン34と対応する位置に設けられており、その高さは上枠1の厚みよりも大きく設定されている。また、ピン42の外径は、透孔13の内径およびピン34の外径よりも小さく設定されている。隆起部43は台座41の中央部に設けられており、その上面は球面状に形成されている。この隆起部43の高さは、上枠1の厚みよりも大きく設定されている。
図11は、上述した剥離台4を用いて製版枠100から感熱式スクリーンシート2を除去する手順を示している。まず、図11(a)のように、下枠3を上にして、上枠1の透孔13および下枠3のピン34と、剥離台4のピン42とを対応させる。この状態から製版枠100を下降させて、図11(b)のように、剥離台4のピン42を上枠1の透孔13へ挿入し、ピン34をピン42に当接させることにより製版枠100を剥離台4にセットする。このとき、下枠3はピン42により支持される。次に、図11(c)のように、上枠1を下方に押し下げる。この場合、下枠3には1対の切欠き部35が設けられているので(図10(a)参照)、この切欠き部35を通して上枠1を手で容易に押し下げることができる。上枠1を押し下げても、下枠3はピン42で支持されて動かないので、この押し下げにより上枠1と下枠3との結合が解除され、上枠1は下枠3から離脱する。このとき、上枠1にはまだ感熱式スクリーンシート2が張りついたままである。その後、上枠1を剥離台4の台座41に当接するまで押し下げると、図11(d)のように、上枠1に吸着された感熱式スクリーンシート2が剥離台4の隆起部43により押上げられ、感熱式スクリーンシート2は上枠1の吸着シート14から剥離する。
以上述べた実施形態によれば、紗張り機を用いなくても、感熱式スクリーンシート2を上枠1に取り付けて下枠3を結合させるだけで感熱式スクリーンシート2を張着した製版枠100が出来上がるので、紗張り作業をきわめて簡単に行うことができる。また、感熱式スクリーンシート2を剥離して製版枠100を再利用する場合も、感熱式スクリーンシート2をめくることで容易に剥離ができるので、溶剤が不要となるとともに、上枠1への下地処理や加熱処理も不要となり、作業工数を大幅に低減することができる。また、簡単な構造の剥離台4によって、感熱式スクリーンシート2を製版枠100から容易に除去することができ、剥離作業を効率良く行うことができる。
本発明では、以上述べた実施形態以外にも、種々の形態を採用することができる。例えば、前記実施形態では、感熱式スクリーンシート2を上枠1に保持する保持手段として吸着シート14を用いたが、吸着シートに代えて摩擦係数の大きいゴムシートなどを用いてもよい。その他、ある程度の平滑性を有しつつ一定以上の保持力を具備する材料であれば、本発明の保持手段として利用することができる。
また、前記実施形態では、下枠3に突起部33を設け、この突起部33を上枠1の開口12に嵌合させることで感熱式スクリーンシート2に張力を与えるようにしたが、下枠3を上枠1と同様に突起部のない平枠とし、この平枠を上枠1の開口12に嵌合させることで感熱式スクリーンシート2に張力を与えるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、剥離台4における支持部をピン42で構成した例を挙げたが、支持部はピンに限らず壁などにより構成してもよい。さらに、前記実施形態では、剥離台4における剥離部を1つの隆起部43で構成した例を挙げたが、隆起部は複数設けてもよい。また、剥離部はピンや突起などにより構成してもよく、あるいは、上枠の押し下げと連動して上昇する可動部材により構成してもよい。
上枠の上面図および側面図である。 上枠の裏面図および吸着シートの断面図である 感熱式スクリーンシートの上面図、側面図および部分拡大断面図である。 下枠の上面図および側面図である。 上枠と下枠を結合する前の状態を示す図である。 上枠と下枠を結合した後の状態を示す図である。 サーマルヘッドによる印刷パターンの形成を説明する図である。 スクリーン印刷を説明する図である。 剥離台の上面図および側面図である。 製版枠と剥離台との位置関係を示す図である。 感熱式スクリーンシートを除去する手順を示す図である。
符号の説明
1 上枠
2 感熱式スクリーンシート
3 下枠
4 剥離台
12 開口
14 吸着シート
14a 粘着層
14b 吸着層
21 紗層
22 フィルム層
33 突起部
42 ピン
43 隆起部
100 スクリーン印刷用製版枠

Claims (2)

  1. 紗層の上に熱溶融性のフィルム層を被着してなる感熱式スクリーンシートと、
    前記感熱式スクリーンシートのフィルム層を剥離可能に保持する保持手段を有する上枠と、
    前記上枠に保持された感熱式スクリーンシートに張力を与える下枠と、
    を備えたことを特徴とするスクリーン印刷用製版枠。
  2. 請求項1に記載のスクリーン印刷用製版枠における感熱式スクリーンシートを上枠から剥離するための剥離台であって、
    前記下枠を支持する支持部と、
    前記支持部に下枠を支持した状態で上枠を押し下げたときに感熱式スクリーンシートを押し上げて上枠から剥離する剥離部と、
    を備えたことを特徴とする剥離台。
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