JP2007312699A - 塩基多型の同定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、明確にかつ再現性よく核酸配列中の多型を検出することができる方法及びそのための試薬を提供することである。
【解決手段】第一のリガンドが結合しておりかつ判定したい塩基部位(X)を含む少なくとも1種類の塩基判定用オリゴヌクレオチドプライマー(A)の伸長産物と、第二のリガンドが結合しておりかつ該伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類の検出用オリゴヌクレオチドプローブ(D)の複合体(P)中に、第一のリガンドと第二のリガンドが共存しているかどうかを検出する方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、固相担体として通液性フィルターを用いた塩基多型の同定方法に関するものである。本発明は、遺伝病の診断、塩基多型解析等に際して特に有用である。
本発明において、塩基多型とは野生型とは異なる塩基配列を有することをいう。遺伝子の塩基多型は薬物代謝において副作用および治療失敗の発生において個体間変動の原因として重要な役割を果たし、体質として知られる基礎代謝等の個人差の原因としても知られている。その上、これらは多数の疾患の遺伝マーカーとしての働きもする。それゆえ、これら突然変異の解明は臨床的に重要であり、ルーチンの表現型分類が臨床研究における精神医学患者および自発志願者にとって特に推奨される(非特許文献1、非特許文献2)。また、原因となる変異型遺伝子の同定に続くそれぞれの遺伝子型の検出用の核酸配列分析法が所望される。
従来の核酸配列分析技術としては、例えば核酸配列決定法(シークエンシング法)がある。核酸配列決定法は核酸配列中に含まれる塩基多型を検出、同定することができるが、鋳型核酸の調製、DNAポリメラーゼ反応、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、核酸配列の解析等を行うため多大な労力と時間が必要である。また近年の自動シークエンサーを用いることで省力化は行うことができるが、高価な装置が必要であるという問題がある。
一方、遺伝子の点突然変異により引き起こされる遺伝病が種々知られており、それらの中には、遺伝子のどの部位がどのように点突然変異することにより遺伝病が引き起こされるかわかっているものも少なくない。
このような予想される点突然変異を検出する方法として、従来より、PCR(polymerase chain reaction)法(例えば、特許文献1及び2参照)などの遺伝子増幅法を利用した遺伝子の点突然変異の検出方法が知られている。増幅された遺伝子断片に対し、特定の核酸配列を切断する制限酵素により処理し、生じるフラグメントの大きさで判断する方法(PCR−RFLP)法が用いられている。同じくPCR法を用いた検出方法としては、使用するプライマーの特異性を利用したAlelle specific amplification法が用いられる。この方法では、遺伝子増幅法に用いる一対のオリゴヌクレオチドのうちの一方のオリゴヌクレオチドとして、野生型遺伝子の増幅領域の端部領域に完全に相補的な野生型用オリゴヌクレオチドと、変異型遺伝子の増幅領域の端部領域に完全に相補的な変異型用オリゴヌクレオ チドとを用いる。変異型のオリゴヌクレオチドは、その3’末端が予想される点突然変異を起こしたヌクレオチドに相補的なヌクレオチドになっている。このような野生型及び変異型用オリゴヌクレオチドをそれぞれ別個に用いて試料遺伝子を遺伝子増幅法に供する。
試料遺伝子が野生型であれば、野生型用オリゴヌクレオチドを用いた場合には核酸の増幅が起きるが、変異型用オリゴヌクレオチドを用いた場合には、オリゴヌクレオチドの3’末端が試料遺伝子の対応ヌクレオチドと相補的ではない(ミスマッチ)ので伸長反応が起きず、核酸の増幅は起きない。一方、試料遺伝子が変異型であれば、逆に、野生型用オリゴヌクレオチドを用いた場合には増幅が起きず、変異型用オリゴヌクレオチドを用いた場合に増幅が起きる。従って、各オリゴヌクレオチドを用いた場合に増幅が起きるか否かを調べることにより、試料遺伝子が野生型か変異型かを判別することができ、それによって試料遺伝子中の点突然変異を同定することができる。この時増幅が起きたか否かを調べる方法として、増幅産物をアガロースゲル電気泳動した後、エチジウムブロマイド等の核酸特異的結合蛍光試薬を用いて染色の後、UV照射して増幅核酸の有無を検出できる。また他の様式として、ナイロン膜上に増幅核酸を固定し、標識プローブを用いて検出するサザンブロット法、個体担体上に固定した捕捉プローブで捕捉した後検出プローブを作用させて検出するサンドイッチハイブリダイゼーション法などが開発されてきた。
上記のような方法により増幅核酸を検出し、容易に多型を同定が行えるように思われるが、実際には、操作は煩雑であり、迅速かつ大量の試料を解析するためには、多大な労力を要するか大規模なラボオートメーションシステムを構築する必要がある。
例えば電気泳動法によれば野生型及び変異型を別々に検出する必要がありまた泳動像から核酸量を正確に数値化することは困難である。またサザンブロット法やサンドイッチハイブリダイゼーション法ではプローブとのハイブリダイゼーション反応が必要であり、その条件を厳密に整える必要がある。更には過剰なプローブを除去する工程が必要であり、操作は非常に煩雑である。
また、過去においてガラス繊維で構成されたフィルターを用いて抗原−抗体反応などの生物学的特異反応を検出する試みがなされている(例えば、特許文献3参照)。塩基多型の同定方法への応用が検討された事例もある(例えば、特許文献4参照)。
特公平4−67960号公報 特公平4−67957号公報 特開平4−318462号公報 特開2006−20512号公報 GramおよびBrsen, European Consensus Conference on Pharmacogenetics. Commission of the European Communities, Luxembourg, 第87〜96頁(1990年) Balantら、Eur. J. Clin. Pharmacol. 第36巻、第551〜554頁、(1989年)
本発明の目的は、上記のような問題点を解決して、明確にかつ再現性よく核酸配列中の多型を検出することができる方法及びそのための試薬を提供することである。
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究の結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
1.試料溶液中に含まれる標的核酸配列上の塩基部位を判定する方法において、少なくとも以下の(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする塩基判定方法。
(1)第一のリガンドが結合しておりかつ判定したい塩基部位(X)を含む少なくとも1種類の塩基判定用オリゴヌクレオチドプライマー(A)と、該プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドプライマー(B)と、を用いて標的核酸配列から増幅反応を行う第一工程、
(2)第一工程で得られうるプライマー(A)の伸長産物と、第二のリガンドが結合しておりかつ該プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類の検出用オリゴヌクレオチドプローブ(D)と、をハイブリダイズさせ複合体(P)を形成せしめる第二工程、
(3)第二工程で得られうる該複合体(P)中に、第一のリガンドと第二のリガンドが共存しているかどうかを検出する第三工程。
2.第一工程において、オリゴヌクレオチドプローブ(D)が存在していることを特徴とする1の塩基判定方法。
3.第一のリガンドが抗原、抗体、蛍光物質、発光団および酵素からなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする1又は2の塩基判定方法。
4.第二のリガンドが抗原、抗体、蛍光物質、発光団および酵素からなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする1又は2の塩基判定方法。
5.第三工程が、少なくとも以下の(i)及び(ii)の工程を含むことを特徴とする1〜4のいずれかの塩基判定方法。
(i)第一のリガンドに結合できかつ標識されてなる少なくとも1種類の生理活性物質を、複合体(P)を介して、第二のリガンドの捕捉剤が結合した固相上に捕捉する工程、
(ii)該複合体(P)を介して固相上に捕捉された該生理活性物質の標識を検出する工程。
6.(i)の工程で、固相上に捕捉されなかった未反応の第一のリガンドに結合できかつ標識されてなる生理活性物質を除去する工程を含むことを特徴とする5の塩基判定方法。
7.固相が通液性フィルターであり、固相上に捕捉されなかった未反応の第一のリガンドに結合できかつ標識されてなる生理活性物質が、該通液性フィルターを通過することを特徴とする6の塩基判定方法。
8.第二のリガンドの捕捉剤が抗体、オリゴヌクレオチド、レセプター、核酸特異的結合物質及びアビジンからなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする5〜7のいずれかの塩基判定方法。
9.生理活性物質が抗体、オリゴヌクレオチド、レセプター、核酸特異的結合物質およびアビジンからなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする5〜8のいずれかの塩基判定方法。
10.生理活性物質に結合される標識が、蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体および導電性物質からなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする5〜9のいずれかの塩基判定方法。
11.プライマー(A)の3’末端より2番目の塩基が判定したい塩基部位(X)の予想される塩基と同じ、または相補的な塩基であることを特徴とする1〜10のいずれかの塩基判定方法。
12.プライマー(A)の3’末端より3から5番目の少なくとも1つの塩基が鋳型となる核酸配列と相補的または相同的でない塩基に置換されていることを特徴とする1〜11のいずれかの塩基判定方法。
13.少なくとも以下の(1)〜(3)を含むことを特徴とする塩基判定用キット。
(1)第一のリガンドが結合しておりかつ判定したい塩基部位(X)を含む少なくとも1種類の塩基判定用オリゴヌクレオチドプライマー(A)、
(2)該プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドプライマー(B)、
(3)第二のリガンドが結合しておりかつ該プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類の検出用オリゴヌクレオチドプローブ(D)。
14.さらに以下の(4)及び(5)を含むことを特徴とする13の塩基判定用キット。
(4)第一のリガンドに結合できかつ標識されてなる少なくとも1種類の生理活性物質、
(5)第二のリガンドの捕捉剤が結合した固相。
15.固相が通液性フィルターであることを特徴とする14の塩基判定用キット。
16.第一のリガンドが抗原、抗体、蛍光物質、発光団および酵素からなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする13〜15のいずれかの塩基判定用キット。
17.第二のリガンドが抗原、抗体、蛍光物質、発光団および酵素からなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする13〜15のいずれかの塩基判定用キット。
18.第二のリガンドの捕捉剤が抗体、オリゴヌクレオチド、レセプター、核酸特異的結合物質及びアビジンからなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする14又は15の塩基判定用キット。
19.生理活性物質が抗体、オリゴヌクレオチド、レセプター、核酸特異的結合物質およびアビジンからなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする14又は15の塩基判定用キット。
20.生理活性物質に結合される標識が、蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体および導電性物質からなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする14又は15の塩基判定用キット。
本発明により、試料核酸中の塩基多型を明確にまた簡便に検出できる方法が提供される。本発明の方法では、これまでの方法のように煩雑な操作を必要としないので、迅速で容易に再現性の良い結果が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において「試料溶液」とは、標的核酸配列すなわち解析の対象となる塩基多型部位を含む染色体又はその断片に相補的な配列を有する核酸を含む溶液を指し、例えば、バクテリア、動物または植物組織、個体細胞由来の溶解物などのあらゆる材料から調製することができる。該試料溶液の調製法は特に限定されないが、例えば、患者の血液、組織から、既知の方法により調製してもよい。代表的なものとして、フェノール/クロロホルム抽出法(Biochimica et Biophysica acta 第72巻、第619〜629頁、1963年)、アルカリSDS法(Nucleic Acid Research 第7巻、第1513〜1523頁、1979年)等の液相で行う方法がある。また、核酸の単離に核酸結合用担体を用いる系としては、ガラス粒子とヨウ化ナトリウム溶液を使用する方法(Proc. Natl. Acad. USA 第76−2巻、第615〜619頁、1979年)、ハイドロキシアパタイトを用いる方法(特開昭63−263093号公報)等がある。その他の方法としてはシリカ粒子とカオトロピックイオンを用いた方法(J. Clinical Microbiology 第28−3巻、第495〜503頁、1990年、特開平2−289596号公報)が挙げられる。
本発明において「標的核酸配列」とは、標的核酸すなわち解析の対象となる塩基多型部位を含む核酸の配列を指す。該標的核酸の例としては、Alu配列、リボゾーム遺伝子、蛋白質をコードする遺伝子のエキソンやイントロン、プロモーターなどが例示できる。より具体的には、遺伝病を含む各種疾患、薬物代謝、生活習慣病(高血圧、糖尿病等)に関連する遺伝子が挙げられる。例えば、薬物代謝に関連する遺伝子としてCYP2C19 (Cytochrome P450 2C19)遺伝子が挙げられる。
本発明において「塩基多型」とは、核酸が野生型とは異なる塩基配列を有することをいう。野生型の塩基配列を有する野生型核酸のうち少なくとも1つ、好ましくは1つのヌクレオチドが点突然変異して他のヌクレオチドに置換されているものや、該野生型核酸の一部に挿入、欠失配列等を含む核酸、すなわち変異型核酸について、どの部位のヌクレオチドが変異しているかが解明されてきている。また、このような塩基多型により体質等が異なっていることも解明されてきており、本発明の方法は試料中の核酸がこのような予想される変異を有しているか否かを検査する方法であり、「塩基部位(X)」とは、該塩基多型のうち検査の対象として判定しようとする塩基部位を示す。
本発明において、第一のリガンドが結合しておりかつ判定したい塩基部位(X)を含む少なくとも1種類の塩基判定用オリゴヌクレオチドプライマー(A)とは、対象となる塩基多型部位を含む染色体又はその断片に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドであって、既知の増幅方法であるPCR、NASBA、LCR、SDA、RCA、TMA、LAMP、ICANおよびUCAN法に使用できるものであれば特に限定されるものではない。
第一のリガンドが結合しておりかつ判定したい塩基部位(X)を含む少なくとも1種類の塩基判定用オリゴヌクレオチドプライマー(A)は、3’末端より1番目または2番目の塩基が、判定したい塩基の位置に相当するように設計するのがよい。好ましくは、2番目の塩基が、判定したい塩基の位置に相当するように設計するのがよい。また、本発明の効果を損なわないように、3’末端より3番目や3番目以降の塩基を判定したい塩基の位置に相当するように設計してもよい。さらに、3’末端より3から5番目の少なくとも1つの塩基が、鋳型となる核酸配列と相補的でない塩基に置換させることによって、判定したい塩基が存在した場合、より選択的に増幅できるプライマーにしてもよい。プライマー鎖長は、9〜35塩基であればよく、好ましくは、11〜30塩基である。
プライマー(A)は判定したい塩基部位(X)に応じて、複数混在していても良い。例えば、野生型を検出するためのプライマー(A)と、多型を検出するためのプライマー(A)を混合して用いてもよい。プライマー(A)を混合して用いる場合、第一のリガンドの種類を変えても良い。
プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドプライマー(B)は、核酸増幅のために一般的に利用される特性を有していれば良く、必要に応じて修飾されていても良い。通常、プライマー(A)がセンスプライマー(フォワードプライマーともいう)のときプライマー(B)はアンチセンスプライマー(リバースプライマーともいう)として設定すればよい。逆に、プライマー(A)がアンチセンスプライマーのときプライマー(B)はセンスプライマーとして設定すればよい。プライマー鎖長は、9〜35塩基であればよく、好ましくは、11〜30塩基である。これらのプライマーを用いた増幅方法は特に限定はされない。既知の増幅方法を用いればよい。既知の増幅方法としては、例えば、PCR、NASBA、LCR、SDA、RCA、TMA、LAMP、ICANおよびUCAN法などがある。
本発明において、第一のリガンドが結合しておりかつ判定したい塩基部位(X)を含む少なくとも1種類の塩基判定用オリゴヌクレオチドプライマー(A)の伸長方法は、基本的には、従来の方法を用いて行うことができる。通常、一本鎖に変性させた特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及びDNAポリメラーゼを共に、作用させることで、標的核酸を鋳型としてオリゴヌクレオチドプライマー(A)が伸長する。
該伸長反応は、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition (Sambrookら、第8章、第8.1〜8.126頁、2001年)に記載の方法に従って行うことができる。また、該オリゴヌクレオチドプライマー(A)が伸長されたか否かによって塩基多型を検出する方法において、標的核酸が検出するのに十分な量が含まれていない場合、予め前記多型配列を含む核酸断片を以下に示す増幅反応によって、増幅しておくことも可能である。
本発明において、特定の塩基多型部位を含む染色体又は断片の増幅方法も、基本的には、従来の方法を用いて行うことができ、通常、一本鎖に変性させた特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及びDNAポリメラーゼ及びオリゴヌクレオチドプライマー(A)および(B)を作用させることで、標的核酸を鋳型として用いたオリゴヌクレオチドプライマー間の配列が増幅される。
核酸増幅方法としては、PCR、NASBA(Nucleic acid sequence-basedamplification method;Nature 第350巻、第91頁(1991年))、LCR(国際公開89/12696号公報、特開平2−2934号公報)、SDA(Strand Displacement Amplification:Nucleic acid research 第20巻、第1691頁(1992年))、RCA(国際公開90/1069号公報)、TMA(Transcription mediated amplification method;J.Clin.Microbiol. 第31巻、第3270頁(1993年))、LAMP(loop-mediated isothermal amplification method:J Clin Microbiol. 第42巻:第1,956頁(2004年))、ICAN(isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acids:Kekkaku. 第78巻、第533頁(2003年))などが挙げられる。
なかでもPCR法は、試料核酸、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、一対のオリゴヌクレオチド及び耐熱性DNAポリメラーゼの存在下で、変性、アニーリング、伸長の3工程からなるサイクルを繰り返すことにより、上記一対のオリゴヌクレオチドプライマーで挟まれる試料核酸の領域を指数関数的に増幅させる方法である。すなわち、変性工程で試料の核酸を変性し、続くアニーリング工程において各オリゴヌクレオチドプライマーと、それぞれに相補的な一本鎖試料核酸上の領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程で、各オリゴヌクレオチドプライマーを起点としてDNAポリメラーゼの働きにより鋳型となる各一本鎖試料核酸に相補的なDNA鎖を伸長させ、二本鎖DNAとする。この1サイクルにより、1本の二本鎖DNAが2本の二本鎖DNAに増幅される。従って、このサイクルをn回繰り返せば、理論上、上記一対のオリゴヌクレオチドプライマーで挟まれた試料DNAの領域は2のn乗倍に増幅される。増幅されたDNA領域は大量に存在するので、電気泳動等の方法により容易に検出できる。よって、遺伝子増幅法を用いれば、従来では検出不可能であった、極めて微量(1分子でも可)の試料核酸をも検出することが可能であり、最近非常に広く用いられている技術である。
本発明に用いられる「第二のリガンドが結合しておりかつ該プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類の検出用オリゴヌクレオチドプローブ(D)」は、好適には該プライマー(A)の伸長産物の一部に相補的なオリゴヌクレオチドにリガンドが結合されたもの、より好適には、オリゴヌクレオチドプライマー(A)および(B)を用いて増幅した核酸断片のうちの該プライマー(A)の伸長産物の一部に相補的なオリゴヌクレオチドにリガンドが結合されたものを用いることができ、オリゴヌクレオチドにリガンドが結合する部位は特に限定されない。また、該オリゴヌクレオチドプローブ(D)は、オリゴヌクレオチドプライマー(A)および(B)を用いた増幅反応を阻害しないように設計するのがよい。その一例として、該オリゴヌクレオチドプローブ(D)のTm値を該プライマー(A,B)のTm値より低くなるように設計すればよい。
オリゴヌクレオチドプライマーのTm値は、ハイブリッドを形成した2本鎖DNA分子の50%が乖離する温度のことであり、その計算方法としては、既知の方法であれば特に限定されないが、Nearest neighbor method、Wallace法、GC%法のいずれかにより求められたもので、本発明の特性を満たしていることが必要である。なお、特に好ましいTm値はNearest neighbor methodで計算されたものである。該オリゴヌクレオチドプローブ(D)および該プライマー(A,B)におけるTm値の差は0.5℃以上であれば特に限定されるものではないが、好ましくは1℃以上である。
本発明においては、第一のリガンドが結合しておりかつ判定したい塩基部位(X)を含む少なくとも1種類の塩基判定用オリゴヌクレオチドプライマー(A)と第二のリガンドが結合しておりかつ該プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類の検出用オリゴヌクレオチドプローブ(D)は、別々、又は同時に作用させることが可能である。
別々に作用させる場合には、一例として、上記オリゴヌクレオチドプライマー(A)および(B)を用いて増幅反応を行った後に該オリゴヌクレオチドプローブ(D)を加え、98℃、3分の熱変性を行ってから徐々に室温付近まで温度を下げることができる。
同時に作用させる場合には、一例として、上記オリゴヌクレオチドプライマー(A)、(B)および該オリゴヌクレオチドプローブ(D)を混合した状態で増幅反応を行い、増幅反応に引き続いて98℃、3分の熱変性を行ってから徐々に室温付近まで温度を下げることができる。
上記のような核酸増幅法を利用した方法では、反応後に、試料中に含まれる鋳型配列が野生型配列の場合は野生型配列を特異的に増幅可能なオリゴヌクレオチドプライマー(A)によって増幅された核酸断片と第二のリガンドが結合したプローブ(D)を含む複合体(P)を形成し、試料中に含まれる鋳型配列が変異型配列の場合は変異型配列を特異的に増幅可能なオリゴヌクレオチドプライマー(A)によって増幅された核酸断片と第二のリガンドが結合した複合体(P)を形成する。
使用される第一リガンドと第二のリガンドは核酸配列の検出を妨げるものでないのであれば、特に限定されるものではないが、好適には抗原、抗体、蛍光物質、発光団、および酵素、アビジン、ビオチン、ジゴケシゲニンからなる群から選ぶことができる。好ましくは、抗原、蛍光物質、ビオチン、ジゴキシゲニンなどが良く、特に好ましくは抗原、蛍光物質、ビオチン、ジゴキシゲニンが良い。本発明を実施するにあたって、第一リガンドと第二のリガンドが異なっていることが好ましい。例えば、第一リガンドにFITC、第二のリガンドにビオチンを用いてもよい。
本発明では、形成された複合体(P)中に、第一リガンドと第二のリガンドが共存することを確認できればよい。例えば、第一のリガンドに結合できかつ標識されてなる少なくとも1種類の生理活性物質を、複合体(P)を介して、第二のリガンドの捕捉剤が結合した固相上に捕捉し、その複合体(P)を介して固相上に捕捉された該生理活性物質の標識を検出しても良い。
固相としては金属板、木片、プラスチック板、ガラス板、ゴム板、発泡スチロール、フィルム、膜、通液性フィルター、ゲルなどを使用してもよい。好ましくは膜、通液性フィルターがよく、特に好ましくは通液性フィルターがよい。
例えば、通液性フィルターを用いる場合、形成された複合体(P)を、第二のリガンドの捕捉剤が結合された通液性フィルターに滴下し通液性上に該複合体(P)を捕捉する。第二のリガンドの捕捉剤としては、抗体、オリゴヌクレオチド、レセプター、核酸特異的結合物質、アビジン、ビオチン、ジゴケシゲニンより適宜選択することが可能である。好ましくは抗体、アビジンがよく、特に好ましくはアビジンがよい。例えば、第二のリガンドがビオチンの場合、第二のリガンドの捕捉剤はアビジンであればよい。
通液性フィルター上に捕捉された複合体(P)に対し、第一のリガンドと結合する標識された生理活性物質を滴下し、通液性フィルター上に複合体(P)を介して標識生理活性物質を結合させる方法において、予め該複合体(P)と混合させておくことも可能であり、該複合体を通液性フィルター上に捕捉した後、滴下することも可能である。
通液性フィルター上に添加することにより、余分な液はフィルターを通して下に落ち、被検出物はフィルター上およびフィルター上部の孔部分に結合され、検出感度も向上される。
用いられる生理活性物質は第一のリガンドに親和性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、好適には抗体、オリゴヌクレオチド、レセプター、核酸特異的結合物質、アビジン、ビオチン、ジゴケシゲニンよりなる群より選ぶことができる。好ましくは抗体、アビジンがよく、特に好ましくは抗体がよい。例えば、第一のリガンドがFITCの場合、生理活性物質は抗FITC抗体であればよい。
第一リガンド、第二のリガンド、第二のリガンドの捕捉剤及び第一のリガンドに結合する生理活性物質を選択する場合、第一リガンドと第一のリガンドに結合する生理活性物質は結合でき、第一リガンドと第二のリガンドの捕捉剤は結合できないように選択するのがよい。また、第二のリガンドと第二のリガンドの捕捉剤は結合でき、第二のリガンドと第一のリガンドに結合する生理活性物質は結合できないように選択するのがよい。
生理活性物質に結合される標識としては、蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質よりなる群より選ぶことができる。好ましくは蛍光化学物質、蛍光蛋白質、発光団、酵素、導電性物質がよく、さらに好ましくは蛍光化学物質、蛍光蛋白質、酵素がよく、特に好ましくは酵素がよい。この標識は、第一のリガンド、第二のリガンド、第二のリガンドの捕捉剤及び第一のリガンドに結合する生理活性物質のいずれとも結合しない物質が好ましい。
本発明では、形成された複合体(P)中に、第一リガンドと第二のリガンドが共存することを確認する操作において、例えば、第一のリガンドに結合できかつ標識されてなる少なくとも1種類の生理活性物質を、複合体(P)を介して、第二のリガンドの捕捉剤が結合した固相上に捕捉し、その複合体(P)を介して固相上に捕捉された生理活性物質の標識を検出しても良い。このとき、固相上に捕捉されなかった未反応の標識は取り除くのがよい。
例えば、通液性フィルターを用いる場合、通液性フィルター上に複合体を介して結合された標識と未反応の標識は、上部より洗浄液を滴下することによって、容易にさらに高精度で分離することが可能である。
通液性フィルターとしては、液をフィルターに滴下した際に、液がフィルター表層を通過していくものであればどのような形態でも良く、織布、不織布、多孔質体が挙げられる。フィルターの素材としては、ガラス、セラミック、金属、プラスチックなどが挙げられ、プラスチックとしては、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリパラメチルスチレン、ポリアリルアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメ チルペンテン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹 脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリ−p−ヒドロキシ安息香酸、ポリウレタン、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂およびユリア樹脂樹脂 などが例示される。
具体的には、ガラス繊維織布、ガラス繊維不織布、多孔質ガラス、多孔質セラミック(セラミック焼結体)、金属焼結体、独立気泡型の発泡樹脂、各種繊維の織布、不織布が挙げられる。
これらの中でも好ましくはガラス繊維フィルターであり、繊維の平均直径が0.3〜2.0μmのものが好ましく、平均繊維長は0.5〜2mmのものが好ましい。好ましいガラス繊維フィルターの具体例は特開平4−318462号公報に記載されており、これをそのまま用いることができる。また、用いられうるプラスチック製のフィルターの例としては特開2000−65832号公報に詳細が記載されており、この技術をそのまま用いることができる。
なお、フィルターは容器に収納して使用することができる。容器は、液体不透過性の材料で構成されており、試薬を適用する範囲を限定するための開口部を有し ている。多孔性担体は開口部の下部に設置される。そしてフィルターの下部に、フィルターを通過した試薬を吸収する吸収層が設けられている。必要に応じて、多孔性担体と吸収層の間に逆流防止層を設け、吸収層に収納された試薬が多孔性担体に逆流するのを防ぐ場合もある。液体不透過性の材料としては、液体を透過させない物質であればよく、例えばポリエチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の樹脂が液体不透過性、成形の容易さ等の点で好ましい。吸収層としては、液体を吸収し得るものであれば特に限定されないが、例えば液体の吸収性が高いセルロース、またはセルロース誘導体を主成分とする紙の重層物などが挙げられる。また、上記逆流防止層としては、疎水性の不繊布シート、ウェーブ材などが例示される。なお、この技術は特開2004−156985号公報に具体的に記載されている。
また、このようなフィルターを使用することにより、自動検出にも容易に展開が可能である。
通液性フィルター上に複合体(P)を介して結合された標識の検出は既知の方法であれば特に限定されるものではないが、標識が蛍光化学物質または蛍光蛋白質の場合、特定波長の光を照射し蛍光化学物質または蛍光蛋白質を励起させ、基底状態に変換される際に生じる特定波長の蛍光量を測定することが可能である。これらに用いられる蛍光化学物質としては、FITC、FAM、TAMRA、TexasRed、VIC、Cy3、Cy5、HEX等が挙げられ、蛍光蛋白質としては、GFP、YFP、RFP等を挙げることができる。標識が酵素である場合、酵素の基質を添加することによって生成される反応生成物を検出することによって測定が可能である。これらに用いられる酵素と基質の組み合わせとしては、アルカリフォスファターゼとパラニトロフェニルリン酸、CDP−star、AMPPD、DDAOphospate、BCIP−NBT等の組み合わせ、パーオキシダーゼとTMB、Lumi−Light(ロッシュ・ダイアグノスティックス)、SAT−1(同仁化学)等の組み合わせ、ジアホラーゼとNTB等の組み合わせ、各種オキシダーゼと基質、各種デヒドロゲナーゼと基質の組み合わせ等、反応性生物が検出されるものであれば、これらに限定されることはなく用いることが可能である。標識が磁性体の場合、磁気を検出することによって測定が可能である。標識が導電性物質、電流値を検出することによって測定が可能である。
試料中に含まれる核酸の配列が野生型である場合、野生型配列を特異的に増幅可能なオリゴヌクレオチドプライマー(A)によって増幅された核酸断片と第二のリガンドが結合したプローブ(D)を含む複合体(P)が形成され、該複合体(P)を通液性フィルター上で検出することによって、容易に野生型配列であると判定することが可能である。試料中に含まれる核酸配列が変異型である場合も同様に、変異型配列を特異的に増幅可能なオリゴヌクレオチドプライマー(A)によって増幅された核酸断片と第二のリガンドが結合したプローブ(D)を含む複合体(P)を検出することが可能である。
例えば、一つの試料を二つに分け、一方は野生型配列を特異的に増幅可能なオリゴヌクレオチドプライマー(A)を用いて核酸増幅を行い、他方は変異型配列を特異的に増幅可能なオリゴヌクレオチドを用いて核酸増幅プライマー(A)を行い、それぞれ増幅された核酸断片と第二のリガンドが結合したプローブ(D)を含む複合体(P)を検出することにより、試料核酸が野生型であるか変異型であるかを明確に知ることができる。
また、試料を二つに分けずとも、それぞれ異なる第一のリガンドを結合させた2つのオリゴヌクレオチドプライマー(A)、すなわち、野生型配列を特異的に増幅可能なオリゴヌクレオチドプライマー(A)および変異型配列を特異的に増幅可能なオリゴヌクレオチドプライマー(A)を用いて核酸増幅を行い、増幅された核酸断片と第二のリガンドが結合したプローブ(D)を含む複合体(P)を検出する際に、それぞれのオリゴヌクレオチドプライマー(A)に結合した第一のリガンドに親和性を有する生理活性物質を使用することにより、試料核酸が野生型であるか変異型であるかを明確に知ることができる。
特に、ヒトを始め、高等生物は、1種類の遺伝子について、父親由来の遺伝子と母親由来の遺伝子をそれぞれ1つずつ有しているが、これら方法によれば、試料遺伝子が野生型のホモか、変異型のホモか、あるいは、両方のヘテロかを区別することもできる。すなわち、ヘテロの場合には、野生型遺伝子と変異型遺伝子が共に存在するから野生型と変異型の両方で検出される。
キット
本発明において、少なくとも以下の(1)〜(3)を含むことを特徴とする塩基判定用キットである。
(1)第一のリガンドが結合しておりかつ判定したい塩基部位(X)を含む少なくとも1種類の塩基判定用オリゴヌクレオチドプライマー(A)、
(2)該プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドプライマー(B)、
(3)第二のリガンドが結合しておりかつ該プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類の検出用オリゴヌクレオチドプローブ(D)。
さらに以下の(4)及び(5)を含むことを特徴とする塩基判定用キットである。
(4)第一のリガンドに結合できかつ標識されてなる少なくとも1種類の生理活性物質、
(5)第二のリガンドの捕捉剤が結合した固相。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
Cytochrome P450 2C19(CYP2C19)遺伝子の塩基多型 (636G→A)の検出
(1)CYP2C19遺伝子の636番目の多型を検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号1〜4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ1〜4と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、シグマアルドリッチジャパン(株)、オペロンバイオテクノロジー(株)等)に依頼した。
オリゴ1がセンス鎖でありオリゴヌクレオチドプライマー(B)であり、アンチセンス鎖のオリゴ2またはオリゴ3と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。オリゴ2は野生型増幅用オリゴヌクレオチドプライマー(A)であり、オリゴ3は変異型増幅用オリゴヌクレオチドプライマー(A)である。また、オリゴ4は検出用オリゴヌクレオチドプローブ(D)である。オリゴ2、3は5’末端をFITCにより標識され、オリゴ4は3’末端をビオチンにより標識されている。オリゴ4の3’末端をビオチンにより標識することで、オリゴ4からの伸長反応を抑制している。
(2)PCR法によるCYP2C19遺伝子多型の解析
PCR法による増幅反応ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりヒトCYP2C19遺伝子の塩基多型 (636G→A)を解析した。
試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
Taq DNAポリメラーゼ反応液
オリゴ1 5pmol、
オリゴ2またはオリゴ3(5’末端をFITCにより標識) 5pmol、
オリゴ4(3’末端をビオチンにより標識) 5pmol、
×10緩衝液 2.5μl、
2mM dNTP 2.5μl、
25mM MgCl 1.5μl、
Taq DNAポリメラーゼ 1.3U、
抽出DNA溶液 100ng
増幅条件
95℃・5分
95℃・30秒、
60℃・30秒、
72℃・30秒(35サイクル)
98℃・3分、
65℃・1分、
55℃・1分、
45℃・1分、
35℃・1分、
25℃・15分。
(3)通液性フィルターを用いた検出
増幅反応液15μlをPOD標識抗FITC抗体(DAKO Cytomation製)の溶液30μlに加えて、室温にて5分間反応させた。これによって、増幅されたCYP2C19遺伝子断片にPOD標識抗FITC抗体が結合する。この反応液をアビジンの結合した通液性フィルターに添加するとフィルター上に増幅されたCYP2C19遺伝子断片に結合したビオチン標識オリゴヌクレオチドであるオリゴ4が捕捉される。次に、上部より洗浄液およびPOD基質液を順次添加後、フィルター表面の発色を目視によって確認した。表1に、試料No.1〜7で示すサンプルおよび試料なしの場合について、明らかに発色を確認できたものを「+」、明らかに発色が見られなかったものを「−」として示す。
Figure 2007312699
上記のように、容易にかつ迅速に遺伝子型を明確に判定することができた。
本発明により、試料核酸中の塩基多型を明確にまた簡便に検出が可能となり、これまでの方法のように煩雑な操作を必要とせず、迅速で容易に再現性の良い結果が得られることからも、産業界に大きく寄与することが期待される。

Claims (20)

  1. 試料溶液中に含まれる標的核酸配列上の塩基部位を判定する方法において、少なくとも以下の(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする塩基判定方法。
    (1)第一のリガンドが結合しておりかつ判定したい塩基部位(X)を含む少なくとも1種類の塩基判定用オリゴヌクレオチドプライマー(A)と、該プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドプライマー(B)と、を用いて標的核酸配列から増幅反応を行う第一工程、
    (2)第一工程で得られうるプライマー(A)の伸長産物と、第二のリガンドが結合しておりかつ該プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類の検出用オリゴヌクレオチドプローブ(D)と、をハイブリダイズさせ複合体(P)を形成せしめる第二工程、
    (3)第二工程で得られうる該複合体(P)中に、第一のリガンドと第二のリガンドが共存しているかどうかを検出する第三工程。
  2. 第一工程において、オリゴヌクレオチドプローブ(D)が存在していることを特徴とする請求項1に記載の塩基判定方法。
  3. 第一のリガンドが抗原、抗体、蛍光物質、発光団および酵素からなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塩基判定方法。
  4. 第二のリガンドが抗原、抗体、蛍光物質、発光団および酵素からなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塩基判定方法。
  5. 第三工程が、少なくとも以下の(i)及び(ii)の工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の塩基判定方法。
    (i)第一のリガンドに結合できかつ標識されてなる少なくとも1種類の生理活性物質を、複合体(P)を介して、第二のリガンドの捕捉剤が結合した固相上に捕捉する工程、
    (ii)該複合体(P)を介して固相上に捕捉された該生理活性物質の標識を検出する工程。
  6. (i)の工程で、固相上に捕捉されなかった未反応の第一のリガンドに結合できかつ標識されてなる生理活性物質を除去する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の塩基判定方法。
  7. 固相が通液性フィルターであり、固相上に捕捉されなかった未反応の第一のリガンドに結合できかつ標識されてなる生理活性物質が、該通液性フィルターを通過することを特徴とする請求項6に記載の塩基判定方法。
  8. 第二のリガンドの捕捉剤が抗体、オリゴヌクレオチド、レセプター、核酸特異的結合物質及びアビジンからなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の塩基判定方法。
  9. 生理活性物質が抗体、オリゴヌクレオチド、レセプター、核酸特異的結合物質およびアビジンからなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の塩基判定方法。
  10. 生理活性物質に結合される標識が、蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体および導電性物質からなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の塩基判定方法。
  11. プライマー(A)の3’末端より2番目の塩基が判定したい塩基部位(X)の予想される塩基と同じ、または相補的な塩基であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の塩基判定方法。
  12. プライマー(A)の3’末端より3から5番目の少なくとも1つの塩基が鋳型となる核酸配列と相補的または相同的でない塩基に置換されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の塩基判定方法。
  13. 少なくとも以下の(1)〜(3)を含むことを特徴とする塩基判定用キット。
    (1)第一のリガンドが結合しておりかつ判定したい塩基部位(X)を含む少なくとも1種類の塩基判定用オリゴヌクレオチドプライマー(A)、
    (2)該プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドプライマー(B)、
    (3)第二のリガンドが結合しておりかつ該プライマー(A)の伸長産物の一部と相補的な少なくとも1種類の検出用オリゴヌクレオチドプローブ(D)。
  14. さらに以下の(4)及び(5)を含むことを特徴とする請求項13に記載の塩基判定用キット。
    (4)第一のリガンドに結合できかつ標識されてなる少なくとも1種類の生理活性物質、
    (5)第二のリガンドの捕捉剤が結合した固相。
  15. 固相が通液性フィルターであることを特徴とする請求項14に記載の塩基判定用キット。
  16. 第一のリガンドが抗原、抗体、蛍光物質、発光団および酵素からなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の塩基判定用キット。
  17. 第二のリガンドが抗原、抗体、蛍光物質、発光団および酵素からなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の塩基判定用キット。
  18. 第二のリガンドの捕捉剤が抗体、オリゴヌクレオチド、レセプター、核酸特異的結合物質及びアビジンからなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする請求項14又は15に記載の塩基判定用キット。
  19. 生理活性物質が抗体、オリゴヌクレオチド、レセプター、核酸特異的結合物質およびアビジンからなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする請求項14又は15に記載の塩基判定用キット。
  20. 生理活性物質に結合される標識が、蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体および導電性物質からなる群より選ばれたすくなくとも1種以上であることを特徴とする請求項14又は15に記載の塩基判定用キット。
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