JP2007311874A - ミュート回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】到来電波の電界強度が急激に低下する場合でも、検波信号に対して適切にミュートを掛け、ノイズを抑圧する。
【解決手段】IF信号SIFから第1のエンベロープ信号EVを生成し、時定数の大きいローパスフィルタ22でローパスフィルタリングを施して第1の評価信号SPを生成する。レベル調整部23で第1のエンベロープ信号EVを増幅して第2のエンベロープ信号EVHを生成し、時定数の小さいローパスフィルタ24でローパスフィルタリングを施して第2の評価信号SPHを生成する。選択部25で第1,第2の評価信号SP,SPHを比較し、レベルの大きい評価信号を選択信号CMとする。演算器26で選択信号CMのレベルと固定値VBとを較べ、選択信号CMのレベルが固定値VBより大きいときには、減衰器27の減数量を0に設定し、選択信号CMのレベルが固定値VBより小さいときには、選択信号CMと固定値VBの差に従って減衰器27の減数量を調整する。
【選択図】図2

Description

本発明は、FM受信機で生じる検波信号のノイズを抑圧するミュート回路に関する。
周知のように、FM受信機は電波の周波数偏移に対して検波し、検波信号を生成する。しかし、送信所からの距離が長距離であったり、地形や建造物等の影響を受けて、到来電波の電界強度が実用感度レベル以下に低下した場合、FM受信機内で生じる内部雑音なども不可避的に検波してしまう結果、極めて耳障りなノイズを発生してしまうという課題がある。
かかる課題を解決するため、FM受信機には、電波が弱くなるに従って(電界強度が低下するに従って)、検波信号の振幅を減衰させ、音量を低減するミュート回路が設けられている(例えば、特許文献1を参照)。
図1は、従来一般に知られているミュート回路の基本構成を示したブロック図である。
図1において、受信アンテナに到来した電波は、FM受信機のフロントエンド部で中間周波数に変換され、帯域フィルタ(IFフィルタ)で不要な成分が除去されて中間周波増幅部(IFアンプ)で増幅され、その増幅された中間周波信号(IF信号)SIFが検波部で検波信号Sxに復調されて、ミュート回路の減衰器に入力される。
このミュート回路は、上述の減衰器の他、エンベロープ検出部と、時定数の大きなローパスフィルタと、演算器を有している。そして、エンベロープ検出部で中間周波信号SIFを整流して平滑化することでエンベロープ信号EVを生成し、更にローパスフィルタで、そのエンベロープ信号EVの不要な交流成分を除去して直流の評価信号SPにし、演算器で固定値(実用感度レベルに合わせて予め決められた固定値)VBとその評価信号SPとの差(VB−SP)を算出することで、減衰器の減衰量を自動調節するためのミュート信号MTを生成し、そのミュート信号MTのレベル変化に従って減衰器が、検波信号Sxに対する減衰量を自動調整することで、耳障りなノイズを抑圧した検波信号Syを出力する。
ここで、演算器は、評価信号SPのレベルが固定値VBの電圧を超えるときには、次式(1)で表されるように、ミュート信号MTのレベルを0にし、評価信号SPのレベルが0から固定値VBまでの電圧範囲内のときには、次式(2)で表されるように、ミュート信号MTのレベルを差(VB−SP)にする。
Figure 2007311874
したがって、到来電波が強く(電界強度が実用感度レベル以上であり)、そのため検波信号Sxのノイズが目立たないときには、評価信号SPのレベルが大きくなることから、上記式(1)の関係からミュート信号MTのレベルが0となり、減衰器の減衰量が0になる。つまり、到来電波が強いときには、検波信号Sxのノイズが目立たなくなり、減衰器は、その検波信号Sxを減衰させることなく検波信号Syとして出力し、音量を下げることなくスピーカ等に再生させる。
一方、到来電波が弱くなると(電界強度が実用感度レベル以下になると)、中間周波信号SIFのレベルが低下し、検波信号Sxのノイズが目立ち始める。そして、評価信号SPのレベルも低下することから、上記式(2)の関係からミュート信号MTのレベルが差(VB−SP)となる。このことから、減衰器は、到来電波が弱くなって検波信号Sxのノイズが目立ち始めると、その検波信号Sxを減衰させることでノイズを抑圧した検波信号Syにし、音量の小さい音をスピーカ等に再生させる。
なお、図1(a)に示したミュート回路は、電波の電界強度が実用感度レベル以下となり、ミュート信号MTのレベルが上昇するに従って検波信号Sxに対する減衰量を増していくことから、ソフトミュート回路と呼ばれている。
特開2005−5819号公報
ところで、図1(a)に示した帯域フィルタは、一般に、通過帯域内において平坦な利得特性ではない(平坦な利得特性に設計することは不可避的に困難であり非線形特性となってしまう)ことから、その非線形特性の影響で入力に対する出力に波形歪み等を生じさせてしまう。そのため、エンベロープ検出部でその波形歪み等を含んだ中間周波信号SIFからエンベロープ信号EVが生成されると、不要な交流成分がエンベロープ信号EVに生じてしまう。そこで、ミュート回路には、その不要な交流成分を除去すべく時定数の大きなローパスフィルタが備えられている。
つまり、固定値VBと比較される評価信号SPが上述の波形歪み等の影響で頻繁に変動すると、減衰器の減衰量も不必要に変動してしまい、再生音を聴いた視聴者等に違和感を与えてしまうこととなるため、時定数の大きいローパスフィルタを備えることで、評価信号SPの安定化を図り、減衰器の減衰量を安定に調整するようにしている。
ここで、例えば車載用のFM受信機や、携帯用のFM受信機(FMラジオ)や、携帯端末装置に備えられたFM受信機等においては、受信状態の悪化に伴って到来電波の電界強度が低下する場合として、その電界強度が緩やかに低下する場合と、急激に低下する場合がある。
例えば、視聴者等が送信所から徐々に離れて移動していくような場合には、到来電波の電界強度が緩やかに低下する。視聴者等が市街地の高層ビル群を移動するような場合には、到来電波の電界強度が急激に低下する場合がある。
そして、到来電波の電界強度が緩やかに低下する場合には、図1(b)に示すように、エンベロープ信号EVのレベルも緩やかに低下し、時定数の大きいローパスフィルタから出力される電圧信号VBの電圧も緩やかに低下することとなるため、その評価信号SPと固定値VBとの差によって生成されるミュート信号MTのレベルが0以上になる時点(ミュート期間Tmの開始時点)tonが、電界強度の変化に追従し、ノイズの目立った検波信号Sxに対して所望のミュートを掛ける(減衰させる)ことができる。
しかし、図1(c)に示すように、到来電波の電界強度が急激に低下する場合(同図では、時点tdownで急激に低下)、それに追従してエンベロープ信号EVのレベルが急激に低下するのに対し、ローパスフィルタの時定数が大きい故に、評価信号SPは緩やかに低下することとなる。
このため、その評価信号SPと固定値VBとの差によって生成されるミュート信号MTのレベルが0以上になる時点(ミュート期間Tmの開始時点)tonが、電界強度の急激に低下した時点tdownより遅延してしまい、tdownからtonまでの遅延期間Tzでは、ノイズの目立った検波信号Sxに対してミュートが掛からなくなり(減衰されなくなり)、ノイズが抑圧されないままの検波信号Syによって耳障りで大音量のノイズ音がスピーカ等によって再生されてしまうという問題を招来する。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、到来電波の電界強度が急激に低下する場合でも、検波信号に対して適切にミュートを掛け(減衰させ)て、ノイズを抑圧することができるミュート回路を提供することを目的とするものである。
請求項1に記載の発明は、FM受信信号から中間周波信号を抽出する帯域フィルタと、前記中間周波信号から検波信号を復調する検波部とを有するFM受信機に設けられ、前記検波信号に対しミュート処理を行う減衰器を備えたミュート回路であって、前記中間周波信号のエンベロープを示す第1のエンベロープ信号を生成するエンベロープ検出部と、前記第1のエンベロープ信号を増幅して、前記第1のエンベロープ信号より大きいレベルの第2のエンベロープ信号を生成するレベル調整部と、前記第1のエンベロープ信号に対しローパスフィルタリングを施して第1の評価信号を生成する時定数の大きいローパスフィルタと、前記第2のエンベロープ信号に対しローパスフィルタリングを施して第2の評価信号を生成する、前記時定数の大きいローパスフィルタより小さい時定数を有するローパスフィルタと、前記第1,第2の評価信号を比較し、レベルの大きい評価信号を選択信号とする選択部と、前記選択信号のレベルと固定値とを較べ、前記選択信号のレベルが固定値より大きいときには、前記減衰器の減数量を0に設定し、前記選択信号のレベルが固定値より小さいときには、前記選択信号と固定値の差に従って前記減衰器の減数量を調整する演算器と、を具備することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、FM受信信号から中間周波信号を抽出する帯域フィルタと、前記中間周波信号から検波信号を復調する検波部とを有するFM受信機におけるミュート処理方法であって、前記中間周波信号のエンベロープを示す第1のエンベロープ信号を生成するエンベロープ検出工程と、前記第1のエンベロープ信号を増幅して、前記第1のエンベロープ信号より大きいレベルの第2のエンベロープ信号を生成するレベル調整工程と、前記第1のエンベロープ信号に対し、大きい時定数でローパスフィルタリングを施して第1の評価信号を生成するローパスフィルタリング工程と、前記ローパスフィルタリング工程における前記時定数より小さい時定数で、前記第2のエンベロープ信号に対しローパスフィルタリングを施して第2の評価信号を生成するローパスフィルタリング工程と、前記第1,第2の評価信号を比較し、レベルの大きい評価信号を選択信号とする選択工程と、前記選択信号のレベルと固定値とを較べ、前記選択信号のレベルが固定値より大きいときには、前記検波信号に対する減数量を0に設定し、前記選択信号のレベルが固定値より小さいときには、前記選択信号と固定値の差に従って前記検波信号に対する減数量を調整する演算工程と、を具備することを特徴とする。
本発明の実施の形態に係るミュート回路について図面を参照して説明する。図2(a)は、本実施形態のミュート回路の構成を表したブロック図である。また、FM受信機10に設けられた場合の構成について示している。
図2(a)において、まず、FM受信機10の構成を述べると、受信アンテナANTに到来する電波を受信し、中間周波数の信号に変換するフロントエンド部11と、その中間周波数に変換された信号のうち、検波に必要な信号成分を通過させると共に不要な成分を除去する帯域フィルタ(IFフィルタ)12と、帯域フィルタ12を通過した信号成分を増幅して中間周波信号(以下「IF信号」と称する)SIFとする中間周波数増幅部(IFアンプ)13と、IF信号SIFを検波して検波信号Sxを生成する検波部14を備えている。
本実施形態のミュート回路20は、検波信号Sxに対する減衰量(別言すれば、検波信号Sxを減衰させるための減衰率)を後述のミュート信号MTに従って自動的に可変調整する減衰器27と、エンベロープ検出部21と、第1のローパスフィルタ22と、レベル調整部23と、第2のローパスフィルタ24と、選択部25と、演算器26を備えて構成されている。
ここで、エンベロープ検出部21は、IF信号SIFを整流して平滑化することにより、IF信号SIFのエンベロープ(包絡線)を示すエンベロープ信号EVを生成する。つまり、IF信号SIFを整流することで絶対値の信号を生成し、更にその絶対値の信号を平滑化することで、エンベロープ信号(第1のエンベロープ信号)EVを生成する。
第1のローパスフィルタ22は、時定数の大きいローパスフィルタで形成されており、エンベロープ信号EVに対してローパスフィルタリングを施すことで、到来電波の電界強度をほぼ直流の電圧として示す第1の評価信号SPを生成する。
つまり、従来技術で述べたように、上述の中間周波数に変換された信号からIF信号SIFを生成するために設けられている帯域フィルタ12の利得特性が、通過帯域内において不可避的に平坦な特性とはならないことから、エンベロープ信号EVに不要な交流成分が生じてしまう場合がある。そこで、第1のローパスフィルタ22は、エンベロープ信号EVに生じる不要な交流成分を除去するために、時定数の大きいローパスフィルタで形成されている。
そして、第1のローパスフィルタ22は時定数が大きいことから、上述したようにエンベロープ信号EVに生じる不要な交流成分を除去する機能を発揮する他、更に、到来電波の電界強度が緩やかに低下してエンベロープ信号EVのレベルも緩やかに低下する場合には、そのエンベロープ信号EVのレベルが緩やかに低下するのに追従して、緩やかにレベルが低下する第1の評価信号SPを生じさせ、到来電波の電界強度が急激に低下してエンベロープ信号EVのレベルも急激に低下する場合には、そのエンベロープ信号EVの急激なレベル変化に追従することなく、大きな時定数に従って緩やかにレベルが低下する第1の評価信号SPを生じさせる機能を発揮する。
レベル調整部23は、所定の利得(1より大きい利得)を有する増幅器等で形成され、エンベロープ信号EVを増幅することで、そのエンベロープ信号EVよりレベルの大きいエンベロープ信号(第2のエンベロープ信号)EVHを生成する。
第2のローパスフィルタ24は、第1のローパスフィルタ22よりも時定数の小さいローパスフィルタで形成されており、エンベロープ信号EVHに対してローパスフィルタリングを施すことで、到来電波の電界強度をほぼ直流の電圧として示す第2の評価信号SPHを生成する。
つまり、第2のローパスフィルタ24は、第1のローパスフィルタ22よりも時定数の小さいローパスフィルタで形成されていることから、エンベロープ信号EVHに生じる不要な交流成分を除去することを主目的として設けられているのではなく、到来電波の電界強度が急激に低下してエンベロープ信号EVHのレベルも急激に低下する場合に、そのエンベロープ信号EVHの急激なレベルの低下に追従して、急にレベルが低下する第2の評価信号SPHを生成するために設けられている。
すなわち、第2のローパスフィルタ24は時定数が小さいことから、到来電波の電界強度が緩やかに低下してエンベロープ信号EVのレベルも緩やかに低下する場合には、そのエンベロープ信号EVの緩やかにレベルが低下するのに追従して、緩やかにレベルが低下する第2の評価信号SPHを生じさせ、到来電波の電界強度が急激に低下してエンベロープ信号EVのレベルも急激に低下する場合には、そのエンベロープ信号EVの急激なレベル低下に追従して、急にレベルが低下する第2の評価信号SPHを生じさせる機能を発揮する。
ここで、図2(b)と図3(a)(b)と図4(a)(b)を参照して、第1のローパスフィルタ22と第2のローパスフィルタ24の機能について更に詳述することとする。
なお、図2(b)は、第1,第2のローパスフィルタ22,24の通過周波数帯域と、エンベロープ信号EV,EVHの周波数帯域の関係を模式的に示した特性図である。図3(a)(b)は、到来電波の電界強度が緩やかに低下した場合の、エンベロープ信号EV,EVHと第1,第2の評価信号SP,SPHの変化を模式的に示した図である。図4(a)(b)は、到来電波の電界強度が急激に低下した場合の、エンベロープ信号EV,EVHと第1,第2の評価信号SP,SPHの変化を模式的に示した図である。
まず、第1のローパスフィルタ22は、図2(b)の特性にて示すように、時定数の大きいローパスフィルタで形成され、エンベロープ信号EVの低周波数域の成分を通過させ、エンベロープ信号EVに生じる不要な交流成分を除去する。更に、時定数の大きい第1のローパスフィルタ22は、図3(a)に示すように到来電波の電界強度が緩やかに低下してエンベロープ信号EVのレベルも緩やかに低下する場合、図3(b)に示すように、その緩やかにレベルが低下することとなるエンベロープ信号EVに追従して、緩やかにレベルが低下する第1の評価信号SPを生成する。また、図4(a)に示すように到来電波の電界強度が急激に低下してエンベロープ信号EVのレベルも急激に低下する場合には、図4(b)に示すように、その急激にレベルが低下することとなるエンベロープ信号EVに追従することなく、穏やかにレベルが低下する第1の評価信号SPを生成する。
一方、第2のローパスフィルタ24は、図2(b)の特性にて示すように、第1のローパスフィルタ22よりも時定数の小さいローパスフィルタで形成されているため、エンベロープ信号EVHについて、第1のローパスフィルタ22よりも高周波数域の成分を通過させる。したがって、時定数の小さい第2のローパスフィルタ24は、図3(a)に示すように到来電波の電界強度が緩やかに低下してエンベロープ信号EVHのレベルも緩やかに低下する場合、図3(b)に示すように、その緩やかにレベルが低下することとなるエンベロープ信号EVHに追従して、緩やかにレベルが低下する第2の評価信号SPHを生成する。また、図4(a)に示すように到来電波の電界強度が急激に低下してエンベロープ信号EVHのレベルも急激に低下する場合には、図4(b)に示すように、その急激にレベルが低下することとなるエンベロープ信号EVHに追従して、急にレベルが低下する第2の評価信号SPHを生成する。
そして、第1,第2のローパスフィルタ22,24の各々の時定数は、FM受信機10が移動体等に搭載されて移動する際の実情に合わせて予め決められている。例えば、FM受信機10が送信所から次第に離れていき、到来電波の電界強度が徐々に低下していくような場合を考慮し、その電界強度が徐々に低下していく傾向を実験等によって解析することで、第1のローパスフィルタ22の時定数が決められている。また、例えば、FM受信機10が市街地の高層ビル群を移動する際、到来電波の電界強度が急激に低下する場合を考慮して、その電界強度が急激に低下する傾向を実験等によって解析することで、第2のローパスフィルタ24の時定数が決められている。
次に、選択部25は、比較器とマルチプレクサ回路等で形成されており、第1の評価信号SPと第2の評価信号SPHのレベルを比較し、小さいレベルとなっている評価信号を選択的に切り替えることで、選択信号CMを生成して出力する。すなわち、第1の評価信号SPが第2の評価信号SPHのレベルより小さいときには、その第1の評価信号SPを選択信号CMとして出力し、第2の評価信号SPHが第1の評価信号SPのレベルより小さいときには、その第2の評価信号SPHを選択信号CMとして出力する。
ここで、詳細については後述の動作説明において述べるが、上述のレベル調整部23がエンベロープ信号EVを所定の利得で増幅することにより、図3(a)と図4(a)に示したように、電界強度の変動の有無に拘わらず、常にエンベロープ信号EVよりもエンベロープ信号EVHのレベルを大きくする。
そして更に、到来電波の電界強度が急激に変動しないとき(つまり、電界強度がほぼ安定しているときや、電界強度が緩やかに低下するとき)には、エンベロープ信号EVよりもエンベロープ信号EVHのレベルの方が大きいという関係が保存されたまま、第1,第2のローパスフィルタ22,24がそのエンベロープ信号EVとエンベロープ信号EVHに対して上述のローパスフィルタリングを施すことで、図3(b)に示したように、第1の評価信号SPより第2の評価信号SPHの方がレベルが大きくなって現れる。
したがって、図3(a)(b)に示したように、到来電波の電界強度が急激に変動せず、エンベロープ信号EV,EVHも急激に変動しないときには、選択部25は、図3(c)に示すように、第2の評価信号SPHよりレベルの小さい第1の評価信号SPを選択信号CMとして出力する。
一方、図4(a)(b)に示したように、到来電波の電界強度が急激に低下し、エンベロープ信号EV,EVHも急激に低下するときには、第1のローパスフィルタ22の時定数が大きく、第2のローパスフィルタ24の時定数が小さいという関係から、第1の評価信号SPよりも第2の評価信号SPHのレベルが先に低下する場合が生じる。そのため、到来電波の電界強度が急激に低下し、第1の評価信号SPよりも第2の評価信号SPHのレベルが小さくなるときには、選択部25は、図4(c)に示すように、そのレベルが小さくなる方の第2の評価信号SPHを選択信号CMとして出力する。
次に、演算器26は、選択信号CMと、実用感度レベルを考慮して予め決められている所定の固定値VBとの差を演算し、次式(3)(4)の関係に従ってミュート信号MTを生成する。つまり、選択信号CMが固定値VBより大きなレベルとなるときには、次式(3)で表されるように、ミュート信号MTのレベルを0にし、選択信号CMが0レベルから固定値VBの範囲内のときには、次式(4)で表されるように、ミュート信号MTのレベルを差(VB−CM)にする。
Figure 2007311874
次に、減衰器27は、ミュート信号MTのレベルに従って減衰量を自動調整するオペアンプ等で形成されている。そして、ミュート信号MTのレベルが0のときには、減衰量を0にして、検波信号Sxを減衰させることなく出力用の検波信号Syとして出力する。一方、ミュート信号MTのレベルが上記式(4)で表されるレベルを有する場合には、減衰器27は、ミュート信号MTのレベルが上昇するほど減衰量を増していき、ミュート信号MTのレベルが低下するほど減衰量を減らしていく。そして、設定した減衰量に従って、検波信号Sxを減衰させ、出力用の検波信号Syとして出力する。
次に、以上の構成を有するミュート回路20の動作について、図3及び図4を参照して説明する。
まず、到来電波の電界強度が実用感度レベル以上のとき(到来電波が強いとき)には、選択部25が、第1のローパスフィルタ22で生成される第1の評価信号SPと、第2のローパスフィルタ24で生成される第2の評価信号SPHとを比較し、レベルの大きい方の第2の評価信号SPHを選択信号CMとして出力する。更に、そのときの選択信号CMのレベルは、固定値VBより大きなレベルとなるため、演算器26から出力されるミュート信号MTのレベルは0になる。そして、減算器27が、そのレベル0となっているミュート信号MTに従って減衰量を0(別言すれば0dB)に設定することで、ノイズの目立たない検波信号Sxを減衰させることなく、出力用の検波信号Syとして出力する。したがって、その検波信号Syをスピーカ等に供給すると、ノイズ感の少ない音を再生させることができる。
次に、図3(a)(b)に示すように、到来電波の電界強度が緩やかに低下していき、実用感度のレベルよりも低下した場合、エンベロープ信号EV,EVHのレベルも緩やかに低下し、更に、第1,第2のローパスフィルタ22,24から出力される第1,第2の評価信号SP,SPHのレベルも緩やかに低下する。更に、到来電波の電界強度が緩やかに低下するときには、第1の評価信号SPよりも第2の評価信号SPHのレベルの方が大きくなる。このことから、図3(c)に示すように、レベルの小さい方の第1の評価信号SPが選択信号CMとなって選択部25から出力され、その選択信号CMのレベルが固定値VBより小さくなると、図3(d)に示すように、ミュート開始時点tonとなり、演算器26から出力されるミュート信号MTのレベルが、選択信号CMと固定値VBとの差(VB−CM)となって現れる。
そして、到来電波の電界強度が継続して実用感度レベル以下となるときには、図3(d)に示すように、ミュート信号MTのレベルが差(VB−CM)となり、減衰器27がそのミュート信号MTのレベルに対応する減衰量を自動的に設定することで、ノイズの目立った検波信号Sxを減衰させて、出力用の検波信号Syとして出力する。したがって、その出力用の検波信号Syをスピーカ等に供給すると、ノイズが抑圧された小音量の音を再生させ、聴取者に対し違和感を低減することができる。
更に、到来電波の電界強度が緩やかに低下する場合には、図3(c)(d)に示したように、選択信号CMのレベルが固有値VB以下となる時点tonでミュート開始となるため、到来電波の電界強度の低下に追従して、ノイズの目立った検波信号Sxに対して迅速にミュートを掛けることが可能となっている。
次に、図4(a)(b)に示すように、到来電波の電界強度が急激に低下し、実用感度のレベルよりも低下した場合、エンベロープ信号EV,EVHのレベルも急激に低下する。ただし、時定数の大きい第1のローパスフィルタ22から出力される第1の評価信号SPのレベルは緩やかに低下するのに対し、時定数の小さい第2のローパスフィルタ24から出力される第2の評価信号SPHのレベルは急に低下することとなる。
そして、第1の評価信号SPより第2の評価信号SPHのレベルの方が小さくなると、図4(d)に示すように、その第2の評価信号SPHが選択信号CMとなって選択部25から出力される。そして更に、その選択信号CMのレベルが固定値VB以下となる時点tonでミュート開始となり、演算器26から出力されるミュート信号MTのレベルが、選択信号CMと固定値VBとの差(VB−CM)となって現れる。
そして、到来電波の電界強度が継続して実用感度レベル以下となるときには、図4(d)に示すように、ミュート信号MTのレベルが差(VB−CM)となり、減衰器27がそのミュート信号MTのレベルに対応する減衰量を自動的に設定することで、ノイズの目立った検波信号Sxを減衰させて、出力用の検波信号Syとして出力する。したがって、その出力用の検波信号Syをスピーカ等に供給すると、ノイズが抑圧された小音量の音を再生させ、聴取者に対し違和感を低減することができる。
更に、図4(a)〜(d)から分かるように、到来電波の電界強度が急激に低下する場合には、その急激な低下に追従してミュート開始時点tonが迅速に設定されるため、ノイズの目立った検波信号Sxを減衰器27がいち早く減衰させる。このため、再生用の検波信号Syに基づいてスピーカ等で再生される音に、ノイズ音を生じさせることなく、聴取者に対し違和感を低減することが可能である。
以上に説明したように、本実施形態のミュート回路20によれば、到来電波の電界強度が緩やかに低下する場合には、大きい時定数を有するローパスフィルタ22で生成される第1の評価信号SPと固定値VBからミュート信号MTを生成して減衰器27の減衰量を調整し、到来電波の電界強度が急激に低下する場合には、小さい時定数を有するローパスフィルタ24で生成される第2の評価信号SPHと固定値VBからミュート信号MTを生成して減衰器27の減衰量を調整するので、到来電波の電界強度が緩やかに低下する場合には、検波部14から出力される検波信号Sxに対して歪みを生じさせることなくミュート(ソフトミュート)を掛けることができ、到来電波の電界強度が急激に低下する場合には、検波部14から出力される不快なノイズを抑圧することができる。
特に、到来電波の電界強度が急激に低下する場合、小さい時定数を有するローパスフィルタ24で生成される第2の評価信号SPHは、その電界強度の急激な低下に追従するので、検波部14から出力される不快なノイズをいち早く抑圧することができる。
従来のミュート回路の構成及び機能を説明するための図である。 実施形態に係るミュート回路の構成を表したブロック図と、ミュート回路に設けられている第1,第2のローパスフィルタの機能を説明するため図である。 図2に示したミュート回路の動作、特に到来電波の電界強度が緩やかに低下した場合の動作を説明するための説明図である。 更に、図2に示したミュート回路の動作、特に到来電波の電界強度が急激に低下した場合の動作を説明するための説明図である。
符号の説明
10…FM受信機
12…帯域フィルタ
14…検波部
20…ミュート回路
21…エンベロープ検出部
22,24…ローパスフィルタ
23…レベル調整部
25…選択部
26…演算器
27…減衰器

Claims (4)

  1. FM受信信号から中間周波信号を抽出する帯域フィルタと、前記中間周波信号から検波信号を復調する検波部とを有するFM受信機に設けられ、前記検波信号に対しミュート処理を行う減衰器を備えたミュート回路であって、
    前記中間周波信号のエンベロープを示す第1のエンベロープ信号を生成するエンベロープ検出部と、
    前記第1のエンベロープ信号を増幅して、前記第1のエンベロープ信号より大きいレベルの第2のエンベロープ信号を生成するレベル調整部と、
    前記第1のエンベロープ信号に対しローパスフィルタリングを施して第1の評価信号を生成する時定数の大きいローパスフィルタと、
    前記第2のエンベロープ信号に対しローパスフィルタリングを施して第2の評価信号を生成する、前記時定数の大きいローパスフィルタより小さい時定数を有するローパスフィルタと、
    前記第1,第2の評価信号を比較し、レベルの大きい評価信号を選択信号とする選択部と、
    前記選択信号のレベルと固定値とを較べ、前記選択信号のレベルが固定値より大きいときには、前記減衰器の減数量を0に設定し、前記選択信号のレベルが固定値より小さいときには、前記選択信号と固定値の差に従って前記減衰器の減数量を調整する演算器と、
    を具備することを特徴とするミュート回路。
  2. 前記時定数の大きいローパスフィルタは、前記帯域フィルタの非線形特性の影響で前記第1のエンベロープ信号に生じる交流成分を除去する時定数に設定され、
    前記時定数の小さいローパスフィルタは、前記FM受信機に到来する電波の電界強度が急激に低下するのに従って急激にレベルが低下する前記第2のエンベロープ信号に追従する時定数に設定されていること、
    を特徴とする請求項1に記載のミュート回路。
  3. 前記固定値は、前記FM受信機に到来する電波の実用感度レベルに従って設定される値であること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載のミュート回路。
  4. FM受信信号から中間周波信号を抽出する帯域フィルタと、前記中間周波信号から検波信号を復調する検波部とを有するFM受信機におけるミュート処理方法であって、
    前記中間周波信号のエンベロープを示す第1のエンベロープ信号を生成するエンベロープ検出工程と、
    前記第1のエンベロープ信号を増幅して、前記第1のエンベロープ信号より大きいレベルの第2のエンベロープ信号を生成するレベル調整工程と、
    前記第1のエンベロープ信号に対し、大きい時定数でローパスフィルタリングを施して第1の評価信号を生成するローパスフィルタリング工程と、
    前記ローパスフィルタリング工程における前記時定数より小さい時定数で、前記第2のエンベロープ信号に対しローパスフィルタリングを施して第2の評価信号を生成するローパスフィルタリング工程と、
    前記第1,第2の評価信号を比較し、レベルの大きい評価信号を選択信号とする選択工程と、
    前記選択信号のレベルと固定値とを較べ、前記選択信号のレベルが固定値より大きいときには、前記検波信号に対する減数量を0に設定し、前記選択信号のレベルが固定値より小さいときには、前記選択信号と固定値の差に従って前記検波信号に対する減数量を調整する演算工程と、
    を具備することを特徴とするミュート処理方法。
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