JP2007309746A - 細胞膜表面物質の結合部位解析方法 - Google Patents

細胞膜表面物質の結合部位解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】細胞膜表面物質上の結合に関与する部位の簡便かつ確実な解析方法を提供する。
【解決手段】細胞膜表面物質の結合部位の解析方法であって、(a)ネイティブな細胞膜表面物質、および候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質を細胞膜表面に発現させ、(b)細胞膜表面物質の発現量を調べ、(c)発現した細胞膜表面物質への結合物質の結合量を調べ、(d)ネイティブな細胞膜表面物質、および候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質に関して、結合量を発現量で除すことにより結合率を算出することを特徴とし、候補結合部位を変異させることにより結合率が変化した場合に、該候補結合部位が結合に関与していると判定する、方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、結合物質に対する細胞膜表面物質の結合部位の解析方法に関する。本発明は、特に、膜表面抗原のエピトープ解析方法に関する。
細胞膜表面物質上の結合に関与する部位の解析は困難であることが多く、かかる部位は推定の域を出ないことも珍しくなかった。特に、抗体のエピトープの決定は困難であることが知られている。そのうえ、膜表面に存在する抗原の場合、膜貫通ドメインが膜内に埋没した状態で初めて天然状態の立体構造を形成するケースがほとんどであり、エピトープ部分だけを合成しても抗体が結合しないことが多い。また、可溶性の抗原のエピトープ決定に用いられる手法(非特許文献1参照)を参考にして、細胞膜上の抗原が抗体と結合した状態でプロテアーゼによる分解を行って未切断箇所を調べることでエピトープを決定する方法も考えられるが、操作が煩雑で大量の試料が必要となるので、非現実的である。したがって、細胞膜表面物質上の結合に関与する部位の簡便かつ確実な解析方法はこれまでなかった。
Suckau D, Kohl J, Karwath G, Schneider K, Casaretto M, Bitter Suermann D, Przybylski M., Molecular epitope identification by limited proteolysis of an immobilized antigen antibody complex and mass spectrometric peptide mapping. Proc Natl Acad Sci USA. 1990 Dec;87(24):9848-52
細胞膜表面物質上の結合に関与する部位の簡便かつ確実な解析方法を提供することが、本発明の解決課題であった。
本発明者らは上記課題に鑑みて鋭意研究を重ね、下記方法:
(a)ネイティブな細胞膜表面物質、および候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質を細胞膜表面に発現させ、
(b)細胞膜表面物質の発現量を調べ、
(c)発現した細胞膜表面物質への結合物質の結合量を調べ、
(d)ネイティブな細胞膜表面物質、および候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質に関して、結合量を発現量で除すことにより結合率を算出する
を特徴とし、候補結合部位を変異させることにより結合率が変化した場合に、該候補結合部位が結合に関与していると判定する、方法
により、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、結合物質に対する細胞膜表面物質の結合部位の迅速、簡便かつ確実な解析方法が提供される。また本発明によれば、細胞膜表面物質が天然構造を保持することが可能なので、より確実かつ正確に結合部位を解析することができる。したがって、例えば、細胞膜表面抗原に対するモノクローナル抗体のエピトープを簡便に決定でき、エピトープと抗体の生物活性の相関が分かり、活性が異なる抗体の開発が可能になる。また、例えば、生物活性が異なる複数のモノクローナル抗体のエピトープを決定することで、異なる疾病を標的とした抗体スクリーニングが可能となる。
本発明は:
(1)結合物質に対する細胞膜表面物質の結合部位の解析方法であって、
(a)ネイティブな細胞膜表面物質、および候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質を細胞膜表面に発現させ、
(b)細胞膜表面物質の発現量を調べ、
(c)発現した細胞膜表面物質への結合物質の結合量を調べ、
(d)ネイティブな細胞膜表面物質、および候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質に関して、結合量を発現量で除すことにより結合率を算出する
を特徴とし、候補結合部位を変異させることにより結合率が変化した場合に、該候補結合部位が結合に関与していると判定する、方法;
(2)該細胞膜表面物質が検出可能な標識にて標識されているものである、(1)記載の方法;
(3)該細胞膜表面物質が抗原であり、該結合物質がそれに対する抗体である、(1)または(2)記載の方法;
(4)結合物質に対する結合部位を有する細胞膜表面物質のスクリーニング方法であって、
(a)候補細胞膜表面物質を細胞膜表面に発現させ、
(b)細胞膜表面物質の発現量を調べ、
(c)発現した細胞膜表面物質への結合物質の結合量を調べ、
(d)結合量を発現量で除すことにより結合率を算出する
を特徴とする、方法;
(5)細胞膜表面物質に対する結合物質のスクリーニング方法であって、
(a)細胞膜表面物質を細胞膜表面に発現させ、
(b)細胞膜表面物質の発現量を調べ、
(c)発現した細胞膜表面物質への候補結合物質の結合量を調べ、
(d)結合量を発現量で除すことにより結合率を算出する
を特徴とする、方法;
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の方法を実行するためのキット
を提供する。
本発明は1の態様において、結合物質に対する細胞膜表面物質の結合部位の、迅速、簡便かつ確実な解析方法を提供する。該方法は、
(a)ネイティブな細胞膜表面物質、および候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質を細胞膜表面に発現させ、
(b)細胞膜表面物質の発現量を調べ、
(c)発現した細胞膜表面物質への結合物質の結合量を調べ、
(d)ネイティブな細胞膜表面物質、および候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質に関して、結合量を発現量で除すことにより結合率を算出する
を特徴とし、候補結合部位を変異させることにより結合率が変化した場合に、該候補結合部位が結合に関与していると判定する方法である。
本発明の方法において、「細胞膜表面物質」とは、細胞膜表面に発現される物質であればいずれのものであってもよく、例えば、種々の抗原、受容体、イオンチャンネルなどの蛋白質やペプチドが挙げられる。「細胞膜表面物質」は糖鎖であってもよい。糖鎖の配列制御を遺伝子レベルで行い、結合をモニターすることができる。また「結合物質」とは、細胞膜表面物質に特異的に結合する物質をいい、種々の抗体、レクチン、ホルモン、神経伝達物質、様々なアゴニストをはじめとする薬剤等を包含する。
本発明の方法に使用する細胞は、細胞膜表面物質を発現しうるものであればいずれの細胞であってもよく、例えば、動物細胞(CHO細胞、神経細胞、リンパ球、線維芽細胞、除非細胞等)、植物細胞(タバコBY2細胞等)、昆虫細胞(SF9細胞等)、微生物細胞(酵母、アカパンカビ等)がある。
上記の細胞膜表面物質の結合部位の解析方法において、先ず、ネイティブな細胞膜表面物質と、それに含まれる候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質を1種以上用意し、所望細胞の細胞膜表面に発現させる。使用する細胞は、その細胞膜表面物質を本来的に発現するものであってもよく、本来的に発現しないものであってもよい。使用細胞が、その細胞膜表面物質を本来的に発現しないものであっても、当該分野で公知の手段・方法、例えば遺伝子組み換え技術、細胞融合技術、遺伝子導入等の手法により、人工的に所望の細胞において目的の細胞膜表面物質を発現させることができる。細胞膜表面物質のアミノ酸配列への変異の導入は当該分野にて公知のいずれの方法を用いて行ってもよく、例えば、部位特異的突然変異法を用いてもよい。典型的には、ネイティブな細胞膜表面物質と、それに含まれる候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質をコードする遺伝子(上記のような公知の方法にて作成できる)を、公知のベクターを介して、あるいは他の公知手段(遺伝子銃、エレクトロポレーション、塩化カルシウム法等)により、所望細胞に導入し、発現させる。このとき、例えば、所望細胞における発現を増加または安定化させるための処理を、細胞やベクターに施してもよく、かかる処理も当業者に公知である。ベクターに対する処理としては、強力なプロモーターを導入する、あるいはかかるプロモーターに置換する等が考えられる。本明細書において「ネイティブ」とは、本来のアミノ酸配列を保持していることを意味する。「候補結合部位」とは、結合物質との結合に関与すると予想される、細胞膜表面物質上の部位をいう。
次に、ネイティブな細胞膜表面物質と、それに含まれる候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質を1種以上、同一細胞種にて発現させ、これらの発現量を調べる。発現量を調べる手段・方法としては、細胞膜表面物質の種類に応じて種々のものがあり、適宜選択して用いることができる。例えば、直接定量法、既知リガンドを結合させて、そのリガンド量を測定する方法等があるが、好ましくは、細胞膜表面物質に検出可能な標識を付しておき、標識量を測定することにより発現量を調べることができる。標識は検出可能なものであれば、いずれのものであってもよく、蛍光標識(例えば、緑色蛍光蛋白質(GFP)、黄色蛍光蛋白質(YFP)、赤色蛍光蛋白質(RFP)等)、放射性標識、ビオチン等の特異的に検出可能な物質、タグ(mycタグ、Lumioタグ等)部分に特異的に結合する物質(抗体やLumio試薬等)等が挙げられる。例えば、蛍光標識の場合には細胞からの蛍光強度を測定すればよく、放射性標識の場合は細胞からの放射線の強度を測定すればよい。かかる測定方法は当業者に公知である。本発明の方法に好適な標識は蛍光標識である。細胞膜表面物質における標識位置も特に制限はないが、標識を細胞膜表面物質中の結合物質との結合に影響しない部位(例えば細胞内領域)に付すことが好ましい。例えば細胞内領域に検出可能な標識を付すことにより、細胞膜表面物質は天然の状態あるいはそれに近い状態で発現されるので、より確実かつ正確な結合部位の解析が可能となる。例えば、細胞膜表面物質たる抗原のN末端にYFPやGFPを標識として付してもよい。
ネイティブな細胞膜表面物質と、それに含まれる候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質を1種以上、同一細胞種にて発現させ、これに結合物質を接触させた後、その結合量を調べる。結合量の測定においては、飽和濃度条件での結合量を測定すべきである。結合物質の結合量を調べる手段・方法としては、結合物質の種類に応じて種々のものがあり、適宜選択して用いることができる。例えば、直接定量法、既知リガンドを結合させて、その細胞膜表面物質の発現量を測定する方法等がある。また、例えば、細胞膜表面物質と結合物質の親和性を、フローソーターを用いて調べることにより結合量を求めてもよい。例えば、結合物質が抗体の場合において、検出可能な標識(例えば、蛍光標識やビオチン等)を付した二次抗体を結合させておき、標識量を測定することにより結合量を調べることができる。
次いで、ネイティブな細胞膜表面物質、および候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質に関して、結合量を発現量で除すことにより結合率を算出する。結合量のみを指標にすると、細胞膜表面物質の発現分子数が少ない場合にも結合量の低下として検出されてしまうので、実際の結合量を反映しないこととなる。それゆえ、結合率を算出することによりかかる弊害を除去する。
本発明の、細胞膜表面物質の結合部位の解析方法は、あらゆる細胞膜表面物質と結合物質の組み合わせに適用可能である。組み合わせの例としては、結合物質として抗体、細胞膜表面物質として細胞膜表面抗原が挙げられる。抗体を結合物質として用いて抗原中のエピトープの解析を行うことができる。さらなる組み合わせの例としては、結合物質としてホルモンや神経伝達物質等のリガンド、細胞膜表面物質としてこれらのリガンドの細胞膜表面受容体が挙げられる。本発明の方法を適用すれば、これらの受容体のどの部分の配列がホルモンや神経伝達物質との結合に関与しているのかかわかる。またさらなる組み合わせの例としては、結合物質として酵素、細胞膜表面物質として酵素基質が挙げられる。
本発明は、さらなる態様において、結合物質に対する結合部位を有する細胞膜表面物質のスクリーニング方法を提供する。該方法は、
(a)候補細胞膜表面物質を細胞膜表面に発現させ、
(b)細胞膜表面物質の発現量を調べ、
(c)発現した細胞膜表面物質への結合物質の結合量を調べ、
(d)結合量を発現量で除すことにより結合率を算出する
を特徴とする。
上記の結合物質に対する結合部位を有する細胞膜表面物質のスクリーニング方法において、候補となる細胞膜表面物質を複数種類用意して細胞膜表面に発現させ、結合物質と接触させる。そして、各細胞膜表面物質に関して結合率を算出することにより、細胞膜表面物質のスクリーニングを行うことができる。このスクリーニング方法を用いて、例えば、インフルエンザウイルスの型によって異なる抗原を膜表面上に発現させた複数の細胞を用いて、インフルエンザに感染した患者の血清を調べることにより、感染したウイルスの型を同定することができる。
本発明は、さらにもう1つの態様において、細胞膜表面物質に対する結合物質のスクリーニング方法を提供する。該方法は、
(a)細胞膜表面物質を細胞膜表面に発現させ、
(b)細胞膜表面物質の発現量を調べ、
(c)発現した細胞膜表面物質への候補結合物質の結合量を調べ、
(d)結合量を発現量で除すことにより結合率を算出する
を特徴とする。
細胞膜表面物質に対する結合物質のスクリーニング方法を用いて、例えば、標的蛋白質を発現する細胞に対して薬剤を反応させ、結合した薬剤をクロマトグラフィーや分光学的手法によって定量することにより、各薬剤の結合率を算出できる。薬剤をあらかじめ蛍光物質によって標識しておいても良い。
さらに本発明は、上記の細胞膜表面物質の結合部位の解析方法、結合物質に対する結合部位を有する細胞膜表面物質のスクリーニング方法、ならびに細胞膜表面物質に対する結合物質のスクリーニング方法を実行するためのキットを提供する。該キットは、例えば、細胞膜表面物質の発現に用いる細胞株、ネイティブおよび/または変異細胞膜表面物質をコードする遺伝子を含むベクター(YFPのごとき標識が細胞膜表面物質とともに発現されるようになっていてもよい)、発現量および/または結合量を調べるために必要な器具類、例えばマイクロタイターディッシュ等、結合量測定のための標識二次抗体等を含んでいてもよい。通常、キットには取扱説明書を添付する。
以下に実施例を示して本発明をより詳細かつ具体的に説明するが、実施例はあくまでも例示説明であり、本発明を限定するものではない。
実験:
抗ヒトCD20抗体のエピトープの解析を行った。まずヒトCD20(そのN末端に黄色蛍光蛋白質(YFP)を融合させた)をチャイニーズハムスター卵巣細胞DG44株(CHO細胞−DG44)にトランスフェクションすることによりCHO細胞にヒトCD20を発現させた。またCD20は細胞質中にN末端とC末端を持ち、さらに唯一の細胞外領域を持っていて細胞外領域にあるN末端から170番目のアラニンおよび172番目のプロリン(ANP)が多くの抗CD20抗体の細胞外エピトープにとって重要であることが知られている。そこで170番目および172番目のアミノ酸をそれぞれアラニン、セリン(ANS)、セリン、プロリン(SNP)、またマウスCD20と同一であるセリン、セリン(SNS)とした計4つのCD20陽性CHOコンストラクトを作成した。なお、ヒトCD20およびマウスCD20のアミノ酸配列は公知である(Tedder TF, Klejman G, Disteche CM, Adler DA, Schlossman SF, Saito H. Cloning of a complementary DNA encoding a new mouse B lymphocyte differentiation antigen, homologous to the human B1 (CD20) antigen, and localization of the gene to chromosome 19. J Immunol. 1988 Dec 15;141(12):4388-94)。
各抗体のCD20への結合は間接蛍光抗体法により検出することができ、変異を導入した領域が抗体のエピトープに含まれるのであれば結合力は低下して蛍光強度が低下する。しかしながら問題点として単にCD20の発現数が少ないときにも蛍光強度が下がるため、結果として結合力の低下として検出されてしまうことが挙げられる。そこでYFPとの融合蛋白質としてそれぞれのCD20を発現させることによりCD20の発現状態(発現量)を知ることができる。さらに飽和濃度条件での抗体結合量を示す間接蛍光抗体法での蛍光強度を、CD20の発現数を示すYFPの蛍光強度で除することによりCD20に対する抗体の結合を結合率として算出することが可能になった。
これら4種類のコンストラクトはHydrolysate を含むIS CHO-CD/w ( Irvine Scientific, Cat. No.91119)に、4 mM GlutaMax(Invitrogen, Cat 35050-061)、800 μg/ml G418(Sigma,Cat.No.A1720-5G)を添加した培地で37度CO2濃度5%のCO2インキュベーター内での培養により維持した。
実験に際しては細胞をPBSで洗浄し1%BSA含PBSで細胞数を3〜5×105 個/50 μlに調整した。また陰性コントロールとしてCD20陰性のDG44、陽性コントロールとしてB細胞のRajiを用いた。抗体はm2B8(Reff ME, Carner K, Chambers KS, Chinn PC, Leonard JE, Raab R, Newman RA, Hanna N, Anderson DR. Depletion of B Cells in vivo by a chimeric mouse human monoclonal antibody to CD20. Blood. 1994 Jan 15;83(2):435-45)、2H7(医学生物学研究所、Cat K0170-3)、1k0924、1k1228、1k1402、1k1422、1k1712、1k1736、1k1782、1k1791(いずれも発明者により作成されたCD20に対するマウス・ヒトキメラ抗体)及び陰性コントロールとしてIgG1(BECKMAN COULTER, Cat X0931)、IgG2a(BECKMAN COULTER, Cat X0943)、IgG2b(BECKMAN COULTER, Cat X0944)を用いており、すべてマウスの抗体である。それぞれの抗体を各細胞懸濁液に飽和濃度条件を満たす終濃度10 μg/mlで加えて4度で30分間反応させた。反応後、各サンプルを1,500rpm、3分間の遠心分離で上清を除いてPBSでの洗浄により未反応の抗体を除いた。遠心分離によってペレットを得た後、1%BSA含PBSを50 μl加えて細胞を懸濁し、二次抗体としてヤギ抗マウスIgG(H+L)-SPRD,F(ab')2(BECKMAN COULTER, Cat 731858)を過剰量の終濃度20 μg/mlで加え暗所4度で45分間反応させた。反応後、各サンプルを1,500rpm、3分間の遠心分離で上清を除いてPBSでの洗浄により未反応の抗体を除いた。遠心分離によってペレットを得た後、PBSを100 μl加えて96ウェル平底プレートに移した。Typhoon9210イメージアナライザー(GEヘルスケア)を用いてYFPの蛍光強度を532 nm励起、526 nm検出で、またSPRDの蛍光強度を633 nm励起、670 nm検出により測定した。検出後、画像解析ソフト(GEヘルスケア)を用いて数値化を行った後、各サンプルについてSPRDの蛍光強度をYFPの蛍光強度で除することにより抗CD20抗体のCD20に対する結合率を数値として算出し、さらにm2B8の値で除することにより相対値を算出した。またそれぞれの相対値をヒトCD20の配列であるANPコンストラクトでの値で除することにより結合の変化率として算出した。CD20の発現量を表すYFPの蛍光の画像の模式図を図1(a)に示し(縦棒が入った丸印はYFP蛍光が認められたウェルを示す)、抗CD20抗体の結合量を表すSPRDの蛍光の画像の模式図を図1(b)に示し(横棒が入った丸印は抗CD20抗体の結合が認められたウェルを示す)、図1(a)と図1(b)の二つの画像を重ね合わせた画像の模式図を図1(c)に示す(網掛けした丸印は抗体結合が認められたウェルを示す)。
SPRDの蛍光強度をYFPの蛍光強度で除して算出した各抗体のそれぞれのCD20への結合率のグラフを図2に示す。また、変異によりどれだけANPコンストラクトに対して結合率が変化したかという変化率のグラフを図3に示す。
結果と考察:
まずそれぞれ抗体は飽和濃度条件で加えているはずだがANPについて結合の様子に差が見受けられる。これは陽性コントロールであるRaji細胞への抗体結合のパターンと類似していることから親和性を反映したものであるといえる。
N末端から172番目のプロリンのみをマウスの場合であるセリンに置き換えたANSコンストラクトでは変異により多少結合率の減少を伴うものの、まったく結合しなくなるということはなかった。
N末端から170番目のアラニンのみをマウスの場合であるセリンに置き換えたSNPコンストラクトでは1k1736、1k1782、1k1791の3抗体を除いた全ての抗体がCD20に結合しなくなった。よって少なくともアラニンからセリンの変異によって結合能を失った抗体、m2B8、1k0924、1k1228、1k1402、1k1422、1k1712の6抗体は170番目のアラニンをエピトープに含むということがいえる。
N末端から170番目のアラニン、172番目のプロリンをそれぞれマウスと同一となるセリン、セリンに置き換えたSNSコンストラクトでは1k1782、1k1791のみが結合を保ち、他の8抗体ではほとんど結合しなくなった。したがって今回の結果から用いた抗体を3つのグループに分類することができる。一つめのグループはアラニンからセリンの変異によって結合しなくなった抗体、m2B8、1k0924、1k1228、1k1402、1k1422、1k1712の6抗体であり、170番目のアラニンがエピトープに関与しているといえる。二つめのグループはアラニン、プロリンがそれぞれセリンに変わると結合しなくなるがプロリンだけの変異では結合を保つ1k1736一つであり、170番目のアラニンおよび172番目のプロリンがともにそのエピトープに関与しているといえる。もう一つのグループはどの変異によっても結合を保った1k1782、1k1791であり、今回変異を導入した箇所ではないところをエピトープとしているということがいえる。
本発明は、生物学、医学、薬学の分野において研究に利用可能である。特に、抗体を有効成分とする医薬品の開発において利用価値がある。
図1(a)はCD20の発現量を表すYFPの蛍光の画像の模式図を示す(縦棒が入った丸印はYFP蛍光が認められたウェルを示す)。図1(b)は抗CD20抗体の結合量を表すSPRDの蛍光の画像の模式図を示す(横棒が入った丸印は抗CD20抗体の結合が認められたウェルを示す)。図1(c)は図1(a)と図1(b)の二つの画像を重ね合わせた画像の模式図を示す(網掛けした丸印は抗体結合が認められたウェルを示す)。 図2はSPRDの蛍光強度をYFPの蛍光強度で除して算出した各抗体のそれぞれのCD20への結合率を示すグラフである。左上のパネルはCD20の170-172番目のアミノ酸がアラニン、アスパラギン、プロリンの場合;右上のパネルはCD20の170-172位のアミノ酸がアラニン、アスパラギン、セリンの場合;左下のパネルはCD20の170-172位のアミノ酸がセリン、アスパラギン、プロリンの場合;右下のパネルはCD20の170-172位のアミノ酸がセリン、アスパラギン、セリンの場合である。 図3は変異によりどれだけANPコンストラクトに対して結合率が変化したかという変化率を示すグラフである。左上のパネルはCD20の170-172位のアミノ酸がアラニン、アスパラギン、セリンの場合;右上のパネルはCD20の170-172位のアミノ酸がセリン、アスパラギン、プロリンの場合;左下のパネルはCD20の170-172位のアミノ酸がセリン、アスパラギン、セリンの場合である。

Claims (6)

  1. 結合物質に対する細胞膜表面物質の結合部位の解析方法であって、
    (a)ネイティブな細胞膜表面物質、および候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質を細胞膜表面に発現させ、
    (b)細胞膜表面物質の発現量を調べ、
    (c)発現した細胞膜表面物質への結合物質の結合量を調べ、
    (d)ネイティブな細胞膜表面物質、および候補結合部位を変異させた細胞膜表面物質に関して、結合量を発現量で除すことにより結合率を算出する
    を特徴とし、候補結合部位を変異させることにより結合率が変化した場合に、該候補結合部位が結合に関与していると判定する、方法。
  2. 該細胞膜表面物質が検出可能な標識にて標識されているものである、請求項1記載の方法。
  3. 該細胞膜表面物質が抗原であり、該結合物質がそれに対する抗体である、請求項1または2記載の方法。
  4. 結合物質に対する結合部位を有する細胞膜表面物質のスクリーニング方法であって、
    (a)候補細胞膜表面物質を細胞膜表面に発現させ、
    (b)細胞膜表面物質の発現量を調べ、
    (c)発現した細胞膜表面物質への結合物質の結合量を調べ、
    (d)結合量を発現量で除すことにより結合率を算出する
    を特徴とする、方法。
  5. 細胞膜表面物質に対する結合物質のスクリーニング方法であって、
    (a)細胞膜表面物質を細胞膜表面に発現させ、
    (b)細胞膜表面物質の発現量を調べ、
    (c)発現した細胞膜表面物質への候補結合物質の結合量を調べ、
    (d)結合量を発現量で除すことにより結合率を算出する
    を特徴とする、方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の方法を実行するためのキット。

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