JP2007309302A - 水素生成装置及び水素利用内燃機関 - Google Patents

水素生成装置及び水素利用内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】有機ハイドライドを含む水素化燃料を加熱された触媒上で脱水素反応させて水素を生成する水素生成装置に関し、水素化燃料を触媒上で脱水素反応させる際に生じる触媒表面の付着物の除去を可能にし、それにより安定して水素を生成できるようにする。
【解決手段】内部に触媒26,36を配置された反応器20,30を少なくとも2つ備える。各反応器20,30には水素化燃料を供給する燃料インジェクタ22,32と、空気を供給する空気インジェクタ24,34とを設ける。そして、一方の反応器20に水素化燃料を供給している間、もう一方の反応器30には空気を供給する。逆に、一方の反応器20に空気を供給している間は、もう一方の反応器30に水素化燃料を供給する。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機ハイドライドを含む水素化燃料を加熱された触媒上で脱水素反応させて水素を生成する水素生成装置、及びそれを備えた水素利用内燃機関に関する。
従来、炭化水素燃料に水素を添加して使用する水素利用内燃機関が知られている。水素は炭化水素燃料に比較して燃焼性に優れているため、炭化水素燃料に水素を添加することで燃焼限界をリーン側に拡大することができ、燃費に優れた超リーンバーン運転が可能になる。また、高負荷時には炭化水素燃料に水素を添加することでノックを抑制することができ、ノック限界の拡大によって高負荷域での高効率運転が可能になる。
上記のような水素利用内燃機関における水素の供給源としては、例えば、水素タンクを用いることができる。しかし、水素ガスを気体の状態で貯蔵する方法では、車両への搭載効率が良くないために水素を十分に搭載することが難しく、水素を利用できる状況が限られてしまう。そこで、特許文献1に記載される水素利用内燃機関では、有機ハイドライドを含む液状の水素化燃料を車両に搭載し、必要に応じて水素化燃料から水素を生成するようにしている。水素化燃料からの水素の生成には、触媒上での水素化燃料の脱水素反応を利用している。この方法によれば、水素を気体の状態で貯蔵する場合に比較して車両への搭載性に優れ、燃料補給1回当たりの水素の使用可能量が格段に増大し、より広範に水素を利用することが可能になる。また、この方法によれば、水素化燃料の脱水素化により得られる副生成物(炭化水素燃料)も内燃機関の燃料として使用することができる。
特開2005−147124号公報 特開2003−343360号公報
上記文献に記載の水素利用内燃機関では、加熱された触媒上にインジェクタから水素化燃料が直接噴射されている。噴射された水素化燃料の大部分は触媒の熱によって気化するが、一部の水素化燃料は液体のまま触媒の表面に付着する。その場合、付着した水素化燃料が触媒上で蒸し焼き状態になり、そのまま触媒の表面に残留する可能性がある。
触媒上に付着物が残留すると、その部分では水素化燃料と触媒表面との接触が妨げられる。このため、付着物の量が増えるに従って水素化燃料と反応できる触媒面積は減少し、触媒の水素生成能力は低下することになる。触媒の水素生成能力の低下が進むと必要水素量に対して水素供給量が不足する事態が生じ、水素の添加による理想的な運転性能を得ることができなくなる可能性がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、水素化燃料を触媒上で脱水素反応させる際に生じる触媒表面の付着物の除去を可能にし、それにより安定して水素を生成できるようにした水素生成装置を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、水素の添加による理想的な運転性能を安定して得ることができる水素利用内燃機関を提供することを第2の目的とする。
第1の発明は、上記の第1の目的を達成するため、有機ハイドライドを含む水素化燃料を加熱された触媒上で脱水素反応させて水素を生成する水素生成装置において、
前記触媒を配置された複数の反応器と、
前記複数の反応器のうち水素生成を行う反応器を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された反応器に水素化燃料を供給する水素化燃料供給手段と、
前記選択手段により選択されていない反応器に酸素を含む酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
を備えることを特徴としている。
第2の発明は、第1の発明において、
前記選択手段は、選択する反応器を前記複数の反応器の中で順次切り替えていくことを特徴としている。
第3の発明は、第2の発明において、
前記選択手段は、各反応器の触媒の水素生成能力を推定し、現在選択している反応器の触媒の水素生成能力が所定の基準能力まで低下したら、触媒の水素生成能力が前記基準能力を上回っている別の反応器へ選択を切り替えることを特徴としている。
第4の発明は、第2又は第3の発明において、
前記選択手段は、各反応器の触媒の水素生成能力を推定し、触媒の水素生成能力の高い反応器から順に選択することを特徴としている。
第5の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、
前記選択手段は、選択する反応器の個数を要求される水素生成量に応じて決定することを特徴としている。
また、第6の発明は、上記の第2の目的を達成するため、水素利用内燃機関であって、
第1乃至第5の何れか1つの発明にかかかる水素生成装置と、
前記水素生成装置における脱水素反応により生じた水素と脱水素生成物とを分離する分離手段と、
前記分離手段によって分離された脱水素生成物を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクに貯留される脱水素生成物に前記分離手段によって分離された水素を添加して内燃機関に供給する燃料供給手段と、
添加する水素の量を内燃機関の運転状態に応じて決定する水素添加量決定手段と、
前記水素添加量決定手段で決定された量の水素を生成するように前記水素生成装置を制御する制御手段と、
を備えることを特徴としている。
さらに、第7の発明は、上記の第1の目的を達成するため、有機ハイドライドを含む水素化燃料を加熱された触媒上で脱水素反応させて水素を生成する水素生成装置において、
前記触媒を配置された反応器と、
前記反応器に水素化燃料を供給する水素化燃料供給手段と、
前記反応器に酸素を含む酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
前記触媒の水素生成能力を推定する水素生成能力推定手段と、
前記触媒の水素生成能力が所定の基準能力まで低下したら、前記水素化燃料供給手段による水素化燃料の供給を停止し、前記酸化ガス供給手段による酸化ガスの供給を行う触媒再生手段と、
を備えることを特徴としている。
第1の発明によれば、水素化燃料が供給されていないとき、反応器には酸化ガスが供給される。水素生成時に触媒表面に付着した付着物は酸化ガスと反応して燃焼し、触媒表面から取り除かれる。これにより、当該反応器では触媒の再生が進み、触媒の水素生成能力は回復する。当該反応器が次に選択されたときには、水素生成能力の高い触媒の利用によって安定して水素を生成することが可能になる。
第2の発明によれば、各反応器について水素化燃料の供給による水素生成と、酸化ガスの供給による触媒再生とが繰り返し行われる。これによれば、常に水素生成能力が高い状態で水素生成を行うことができ、水素生成装置全体として安定して水素を生成することが可能になる。
第3の発明によれば、常に水素生成能力が基準能力よりも高い状態で水素生成を行うことができるとともに、反応器の切り替え頻度を最小限に抑えることもできる。反応器の切り替えの際には少なからず水素化燃料の無駄が発生するが、第3の発明によれば、安定した水素生成を可能にしながら、反応器の切り替えに伴う無駄燃料の発生を抑えることができる。
第4の発明によれば、触媒の水素生成能力が高い反応器ほど優先的に使用されるので、安定して水素を生成することができるだけでなく、水素生成の効率を高く維持することもできる。
第5の発明によれば、要求される量の水素を確実に生成しながら、水素生成に使用する反応器の個数を最小限に抑えることができる。使用されていない予備の反応器は、酸化ガスの供給による触媒再生によって水素生成能力が回復されるので、現在使用している反応器の水素生成能力が低下したときには、予備の反応器に切り替えることで水素生成を継続できる。第5の発明によれば、反応器の使用個数を少なくして予備の反応器を最大限に確保することができるので、要求量の水素を安定して生成することができる。また、予備の反応器が確保されることで、要求される水素生成量が一時的に増大したような場合にも対処することができる。
第6の発明によれば、必要量の水素を水素生成装置で生成し、水素化燃料の脱水素生成物(炭化水素燃料)に添加して使用することができる。第1乃至第5の発明にかかる水素生成装置によれば、必要量の水素を安定して生成することができるので、生成した水素を蓄えておくバッファタンクは小さなものでよい。一方、水素とともに生成される脱水素生成物は液体燃料であるので、嵩張ることなく貯留タンクに貯留しておくことができる。第6の発明によれば、水素生成装置からの安定した水素の供給により、水素の添加による理想的な運転性能を安定して得ることができる。
第7の発明によれば、水素化燃料の供給が停止されて酸化ガスが供給されることで、水素化燃料の供給時に触媒表面に付着した付着物は酸化ガスと反応して燃焼し、触媒表面から取り除かれる。これにより、触媒の水素生成能力を常に基準能力以上に維持することができ、水素の生成効率が大きく低下してしまうことを防止することができる。
実施の形態1.
以下、図1乃至図5を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
本実施の形態では、本発明を自動車等の車両用の内燃機関(以下、エンジンという)に適用している。図1は本発明の実施の形態にかかるエンジンの概略構成を示す図である。本実施の形態にかかるエンジンは、その燃料としてガソリンと水素とを利用することができる水素利用内燃機関である。本実施の形態では、一方の燃料であるガソリンは外部(例えばガソリンステーション等の給油設備)から給油されるのに対し、もう一方の燃料である水素はシステム内で生成されるようになっている。具体的には、以下に説明する構成によってガソリンから水素を生成するようになっている。
エンジン本体2の燃焼室4には吸気管6と排気管8が接続されている。燃焼室4から排気管8へは燃焼室4内での燃料の燃焼により得られた高温の燃焼ガスが排出される。排気管8にはエンジン本体2に近接して配置される排気ガス浄化装置14と、それよりも下流で車両の床下に配置される排気ガス浄化装置16が装着されている。排気管8はその途中で2つの排気管8a,8bに分岐し、下流で再び1つに集合している。排気ガス浄化装置16は、排気管8が2つの排気管8a,8bに分岐している部位に装着されている。
排気ガス浄化装置16は脱水素反応器に一体化されている。具体的には、2つに分岐した各排気管8a,8bの内側に浄化触媒が装着され、各排気管8a,8bの外側に脱水素触媒が装着されている。脱水素触媒としては、例えば白金触媒を用いることができる。以下では、この排気ガス浄化装置が一体化された脱水素反応器を、単に脱水素反応器16と呼ぶこととする。図2は脱水素反応器16の構成を詳細に示す図である。以下、図1及び図2を参照して脱水素反応器16の構成と、脱水素反応器16を中心とする水素生成システムの構成について説明する。
脱水素反応器16は、第1反応器20と第2反応器30との集合体として構成されている。第1反応器20は第1分岐管8aに装着され、第2反応器30は第2分岐管8bに装着されている。2つの反応器20,30は内部のガスが混合することのないように互いに隔絶されている。また、各反応器20,30のそれぞれに脱水素触媒26,36が配置されている。以下では、第1反応器20を中心とする水素生成系統を第1系統といい、第2反応器30を中心とする水素生成系統を第2系統と呼ぶ。
各反応器20,30には、燃料インジェクタ22,32が組み付けられている。燃料インジェクタ22,32は、水素を生成する上での原料となる水素化燃料を脱水素触媒26,36に噴射する。燃料インジェクタ22,32から噴射される燃料は燃料タンク58に貯蔵されている。燃料タンク58と燃料インジェクタ22,32とは管路50,52,54によって接続されている。燃料タンク58に接続される管路50は、その途中で2つの管路52,54に分岐し、その一方の管路52が第1系統の燃料インジェクタ22に接続され、もう一方の管路54が第2系統の燃料インジェクタ32に接続されている。管路50の途中には、燃料タンク58から水素化燃料を吸い上げて各燃料インジェクタ22,32に供給する燃料ポンプ56が配置されている。各燃料インジェクタ22,32は外部から供給される駆動信号を受けて開弁することにより、その開弁の時間に応じた量の水素化燃料を反応器20,30の内部に噴射することができる。
水素化燃料としては、水素化ガソリンが使用される。水素化ガソリンとは、有機ハイドライド、すなわち、脱水素反応により水素を発生し得る飽和炭化水素の含有率が通常のガソリンよりも高いガソリンのことを意味する。水素化ガソリンは、石油精製プロセスにおいて、有機ハイドライドを多く含む留分を改質あるいはブレンド調製することで生成することができる。また、通常のガソリンに含有される不飽和炭化水素に水素を付加することによって水素化ガソリンを生成することもできる。水素付加の方法としては、加熱された触媒上でガソリンに水素リッチガスを反応させる方法が挙げられる。本実施の形態では、メチルシクロヘキサンC714のようなナフテン系炭化水素を主成分とする水素化ガソリンが使用される。燃料タンク58には車両の外部に連通する給油口が設けられている。この給油口を介して外部から水素化ガソリンが供給され、燃料タンク58に貯蔵されるようになっている。
反応器20,30内の脱水素触媒26,36は、エンジンの作動中、排気管8a,8b内を流れる高温の排出ガスによって加熱される。この加熱された脱水素触媒26,36上に水素化ガソリンが供給されることで式(1)に示すような化学反応が生じる。
714 → 3H2 + C78 ・・・(1)
上記の式(1)の化学反応はメチルシクロヘキサンC714の脱水素反応である。この脱水素反応によってメチルシクロヘキサンC714は水素H2と脱水素ガソリンであるトルエンC78に分離される。
各反応器20,30内で脱水素反応により生成された水素(詳しくは、水素を主成分とする水素リッチガス)と副燃料である脱水素ガソリンは、未反応の水素化ガソリンとともに反応器20,30から排出される。各反応器20,30には、水素及び脱水素ガソリンを外部に排出するための管路62,64が接続されている。2つの管路62,64は切替弁66に接続されている。切替弁66は、外壁をヒータ68で巻かれた管路60によって分離器90に接続されている。2つの管路62,64は、切替弁66の操作によって、その何れか一方が選択的に管路60に接続されるようになっている。
分離器90の内部には冷却水が流れる冷却管92が通っている。この冷却管92によって冷却されることで、反応器20,30から供給される水素と脱水素ガソリンは、分離器90内で液相と気相とに分離される。具体的には、冷却されることにより液化した脱水素ガソリン(未反応の水素化ガソリンも含む)は分離器90の底部に溜まり、気体のまま残存する水素は分離器90の上部に溜まるようになっている。
燃焼室4に通じる吸気管6には、水素インジェクタ10が配置されている。水素インジェクタ10は管路100を介して分離器90の上部に接続されている。管路100には、その上流側から順に逆止弁102、加圧ポンプ104、そして小型のバッファタンク106が配置されている。水素インジェクタ10は外部から供給される駆動信号を受けて開弁することにより、その開弁の時間に応じた量の水素を吸気管6の内部に噴射することができる。
吸気管6には水素インジェクタ10と並んでガソリンインジェクタ12も配置されている。ガソリンインジェクタ12は管路96を介して分離器90の下部に接続されている。管路96の途中には、分離器90からガソリンインジェクタ12にガソリンを供給するポンプ94が配置されている。ガソリンインジェクタ12は外部から供給される駆動信号を受けて開弁することにより、その開弁の時間に応じた量のガソリンを吸気管6の内部に噴射することができる。
また、各反応器20,30には、燃料インジェクタ22,32と並んで空気インジェクタ24,34が組み付けられている。空気インジェクタ24,34は加圧された空気を脱水素触媒26,36に噴射する。空気インジェクタ24,34から噴射される空気は空気ポンプ76によって大気中から取り込まれる。空気ポンプ76と空気インジェクタ24,34とは管路70,72,74によって接続されている。空気ポンプ76に接続される管路70は、その途中で2つの管路72,74に分岐し、その一方の管路72が第1系統の空気インジェクタ24に接続され、もう一方の管路74が第2系統の空気インジェクタ34に接続されている。各空気インジェクタ24,34は外部から供給される駆動信号を受けて開弁することにより、その開弁の時間に応じた量の空気を反応器20,30の内部に噴射することができる。
空気インジェクタ24,34から噴射される空気は、脱水素触媒26,36の表面に付着した付着物を除去するために利用される。この付着物は、水素生成時、燃料インジェクタ22,32から噴射された水素化ガソリンが脱水素触媒26,36上で蒸し焼き状態になったものである。そのため、付着物はカーボンを主成分としており、酸化ガスである空気との反応によって燃焼する。燃焼反応に必要な初期熱は排気管8a,8bを流れる排気ガスから供給されている。本実施の形態にかかる水素生成システムでは、付着物の影響で脱水素触媒26,36の水素生成能力が低下したとしても、空気インジェクタ24,34から空気を噴射することで、付着物を燃焼させて脱水素触媒26,36の表面から取り除くことができる。つまり、脱水素触媒26,36を再生し、その水素生成能力を回復することができる。
なお、第1系統において、燃料インジェクタ22と空気インジェクタ24とは同時に作動することがないよう制御されている。燃料インジェクタ22の作動時には空気インジェクタ24は停止し、空気インジェクタ24の作動時には燃料インジェクタ22は停止する。同様に、第2系統においても、燃料インジェクタ32と空気インジェクタ34とは同時に作動することがないよう制御されている。つまり、各反応器20,30では、燃料噴射による水素生成と、空気噴射による触媒再生の何れか一方のみが選択的に実現されるようになっている。
空気インジェクタ24,34の作動による触媒再生時、付着物の燃焼により発生した燃焼ガスは、反応器20,30から排気管8へ排出される。各反応器20,30には、燃焼ガスを外部に排出するための管路82,84が接続されている。各管路82,84はともに排気管8に接続されている。これら管路82,84の内壁面には、燃焼ガス中の有害成分を浄化するための浄化触媒が塗布されている。反応器20,30から排出される燃焼ガスは、管路82,84を流れる間に浄化されて排気管8に排出される。
また、管路82,84のそれぞれには、内部のガスの流通を遮断する遮断弁86,88が配置されている。遮断弁86は反応器20で水素生成が実施される時には閉じられ、触媒再生が実施される時に開かれるようになっている。同様に、遮断弁88は反応器30で水素生成が実施される時には閉じられ、触媒再生が実施される時に開かれるようになっている。
本実施の形態にかかる水素生成システムは、水素生成のための反応器20,30を2つ有するので、2つの反応器20,30の一方で水素化ガソリンの噴射によって水素生成を実施しながら、もう一方では空気の噴射によって触媒再生を実施することもできる。これによれば、水素生成と触媒再生とを反応器20,30間で交互に切り替えながら実施することで、常に水素生成能力が高い状態で水素生成を行うことができ、水素生成システム全体として安定して水素を生成することが可能になる。以下、本実施の形態にかかる水素生成処理のルーチンについて具体的に説明する。
図3は本実施の形態において実施される水素生成処理のルーチンを示すフローチャートである。図3に示すルーチンの最初のステップS100では、まず、水素生成システムの第1系統で水素生成が開始される。具体的には、遮断弁86が閉じられ、切替弁66が管路62側に切り替えられた状態で燃料インジェクタ22から水素化燃料としての水素化ガソリンが噴射される。反応器20内に噴射された水素化ガソリンは脱水素触媒26上で脱水素反応を起こし、水素と脱水素ガソリン(トルエン)に分離される。こうして得られた水素と脱水素ガソリンは、管路62,60を通って反応器20から分離器90へ供給される。
次のステップS102では、水素化ガソリンの積算噴射量の計測が開始される。積算噴射量は燃料インジェクタ22の駆動時間で決まるので、ここでは、燃料インジェクタ22の駆動時間が計測される。なお、水素化ガソリンの単位時間当たりの噴射量は、エンジン本体2で必要とされる水素添加量(単位時間当たりの水素添加量)に応じて制御されている。必要水素添加量はエンジン回転数や負荷率等、エンジン本体2の運転状態に応じて算出される。
ステップS102の処理は、ステップS100で水素生成が開始されると同時に実施される。水素化ガソリンの積算噴射量が多いほど、脱水素触媒26の表面に付着する付着物の量は多くなっていく。そして、付着物の残留量に応じて脱水素触媒26の水素生成能力は低下していく。したがって、水素化ガソリンの積算噴射量は、脱水素触媒26の現時点での水素生成能力の余裕度を推定する上での目安となる。なお、積算噴射量の代わりに噴射時間から水素生成能力の余裕度を推定してもよい。
次のステップS104では、積算噴射量が所定の基準量に達したか否か判定される。基準量は水素生成能力に余裕があるか否か判断するための基準である。積算噴射量が基準量未満であれば、脱水素触媒26の水素生成能力には未だ余裕があると判断することができる。したがって、その場合には、第1系統での水素生成が継続して行われる。
第1系統での水素生成は、ステップS104の判定の結果、積算噴射量が基準量に達するまで続けられる。積算噴射量が基準量に達した場合には、もはや脱水素触媒26の水素生成能力には余裕は無く、水素を効率よく生成することができない。そこで、積算噴射量が基準量に達した後は、次に説明するステップS106,S108及びS110の処理によって、第1系統から第2系統へ水素生成を実施する系統が切り替えられる。
ステップS106では、遮断弁88が閉じられて代わりに遮断弁86が開かれる。また、切替弁66が管路64側に切り替えられる。これにより、第2系統の反応器30と分離器90とが連通状態となり、第1系統の反応器20は排気管8と連通状態になる。
ステップS108では、第1系統の空気インジェクタ24から酸化ガスである空気が反応器20内に噴射される。空気インジェクタ24から噴射される空気により脱水素触媒26上の付着物は燃焼し、脱水素触媒26の表面から次第に取り除かれていく。これにより、脱水素触媒26は再生が進み、その水素生成能力は次第に回復していく。付着物の燃焼によって生じた燃焼ガスは、管路82を通って反応器20から排気管8へ排出される。なお、ステップS104で計測されていた水素化ガソリンの積算噴射量は、ステップS108の処理による触媒再生が実施されることでリセットされる。
ステップS110では、第2系統の燃料インジェクタ32から水素化ガソリンが噴射される。反応器30内に噴射された水素化ガソリンは脱水素触媒36上で脱水素反応を起こし、水素と脱水素ガソリンに分離される。こうして得られた水素と脱水素ガソリンは、管路64,60を通って反応器30から分離器90へ供給される。
次のステップS112では、第2系統の燃料インジェクタ32の駆動時間、すなわち、水素化ガソリンの積算噴射量の計測が開始される。水素化ガソリンの噴射量の決定方法はステップS102で説明した通りである。第2系統でも第1系統の場合と同様、燃料インジェクタ32からは、必要水素添加量に応じた量の水素化ガソリンが噴射される。ステップS112の処理は、ステップS110で水素生成が開始されると同時に実施される。なお、ステップS106,S108及びS110の処理は順に実施するのではなく、各処理を同時に実施することもできる。
次のステップS114では、積算噴射量が所定の基準量に達したか否か判定される。ここで用いる基準量は、ステップS104の判定で用いる基準量と同じに設定されている。ただし、系統間で脱水素触媒26,28の容量に差が有る場合には、系統毎に基準量を設定するのが好ましい。積算噴射量が基準量未満であれば、脱水素触媒36の水素生成能力には未だ余裕があると判断することができる。したがって、その場合には、第2系統での水素生成が継続して行われる。
第2系統での水素生成は、ステップS114の判定の結果、積算噴射量が基準量に達するまで続けられる。積算噴射量が基準量に達した場合には、もはや脱水素触媒36の水素生成能力には余裕は無く、水素を効率よく生成することができない。一方、第1系統では、空気の供給による触媒再生の実施によって脱水素触媒26の水素生成能力は回復している。そこで、積算噴射量が基準量に達した後は、次に説明するステップS116,S118及びS100の処理によって、第2系統から第1系統へ水素生成を実施する系統が切り替えられる。
ステップS116では、遮断弁86が閉じられて代わりに遮断弁88が開かれる。また、切替弁66が管路62側に切り替えられる。これにより、第1系統の反応器20と分離器90とが連通状態となり、第2系統の反応器30は排気管8と連通状態になる。
ステップS118では、第2系統の空気インジェクタ34から酸化ガスである空気が反応器30内に噴射される。空気インジェクタ34から噴射される空気により脱水素触媒36上の付着物は燃焼し、脱水素触媒36の表面から次第に取り除かれていく。これにより、脱水素触媒36は再生が進み、その水素生成能力は次第に回復していく。付着物の燃焼によって生じた燃焼ガスは、管路84を通って反応器30から排気管8へ排出される。なお、ステップS114で計測されていた水素化ガソリンの積算噴射量は、ステップS118の処理による触媒再生が実施されることでリセットされる。
そして、再びステップS100では、第1系統の燃料インジェクタ22から水素化ガソリンが噴射される。反応器20内に噴射された水素化ガソリンが脱水素触媒26上で脱水素反応を起こすことで水素が生成される。このように、第1系統と第2系統とで交互に水素生成を実施し、水素生成を実施していない系統では触媒再生を実施することで、水素生成システム全体として中断なく連続して水素を生成することが可能になる。
また、上記のルーチンによれば、水素化ガソリンの積算噴射量が基準量に達したら系統の切り替えを行うことで、常に水素生成能力が基準能力よりも高い状態で水素生成を行うことができるとともに、系統の切り替え頻度を最小限に抑えることもできる。系統の切り替えの際には少なからず水素化ガソリンの無駄が発生するが、上記のルーチンによれば、安定した水素生成を可能にしながら、系統の切り替えに伴う無駄燃料の発生を抑えることもできる。
本実施の形態では、図3に示すルーチンが実行されることで、第1、第2及び第3の発明の「選択手段」が実現されている。また、図3に示すルーチンが実行されることで、第6の発明の「水素添加量決定手段」及び「制御手段」も実現されている。また、図3に示すルーチンが実行されることで、第7の発明の「水素生成能力推定手段」及び「触媒再生手段」も実現されている。
実施の形態2.
以下、図4及び図5を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態では、実施の形態1と同様、本発明を車両用のエンジンに適用している。実施の形態1にかかるエンジンでは、2つの水素生成系統(第1系統と第2系統)を有する水素生成システムを備えているが、より多くの水素生成系統を有する水素生成システムを備えてもよい。本実施の形態にかかるエンジンは、多数の水素生成系統を有する水素生成システムを備えているものとする。なお、各水素生成系統には、実施の形態1で説明したように、脱水素触媒を収容する反応器、反応器内に水素化燃料を噴射する燃料インジェクタ、及び反応器内に空気を噴射する空気インジェクタが備えられる。
水素生成系統を多数有する場合には、水素生成系統毎に設けられた複数の反応器の中から水素生成を行う反応器を選択する。そして、選択した反応器には水素化ガソリンを供給し、その他の反応器には空気を供給する。選択する反応器は複数の反応器の中で順次切り替えていけばよい。そうすることで、常に水素生成能力が高い反応器を用いて水素生成を行うことができ、水素生成システム全体として安定して水素を生成することが可能になるからである。
複数の反応器を順次切り替えて選択する場合、水素化ガソリンの積算噴射量によって各反応器の脱水素触媒の水素生成能力を推定し、脱水素触媒の水素生成能力の高い反応器から順に選択するようにしてもよい。触媒の水素生成能力が高い反応器ほど優先的に使用することで、安定して水素を生成することができるだけでなく、水素生成の効率を高く維持することができるからである。
また、現在選択している反応器の脱水素触媒の水素生成能力が所定の基準能力まで低下したら、脱水素触媒の水素生成能力が基準能力を上回っている別の反応器へ選択を切り替えるようにしてもよい。そうすることで、常に水素生成能力が基準能力よりも高い反応器を使用して水素生成を行うことができるだけでなく、反応器の切り替え頻度を最小限に抑えることもできるからである。反応器の切り替えの際には少なからず水素化ガソリンの無駄が発生するので、反応器の切り替え頻度は可能な限り少なくしたい。
また、水素生成系統を多数(例えば3系統以上)有する場合には、要求水素生成量に応じて水素生成を行う反応器の個数を調整してもよい。そうすることで、要求される量の水素を確実に生成しながら、水素生成に使用する反応器の個数を最小限に抑えることができるからである。現在使用している反応器の水素生成能力が低下したときには、予備の反応器に切り替えることで水素生成を継続することができる。以下では、水素生成系統を多数有する水素生成システムに用いて好適な、水素生成処理のルーチンについて具体的に説明する。
図4は本実施の形態において実施される水素生成処理のルーチンを示すフローチャートである。図4に示すルーチンの最初のステップS200では、エンジン回転数や負荷率等、エンジン本体2の運転状態に応じて必要水素添加量が算出される。そして、必要水素添加量と1系統当たりの基準水素生成量とから、水素生成を実施する系統数が算出される。なお、各系統で生成可能な水素量は脱水素触媒の水素生成能力に依存し、水素生成能力に余裕がなくなるに従って生成可能な水素量は低下していく。上記の基準水素生成量は、触媒再生が必要な状態まで水素生成能力が低下した時点での生成可能水素量に相当する。
次のステップS202では、脱水素触媒が有する水素生成能力の余裕度が系統毎に算出される。各系統の余裕度を測るパラメータとしては、水素化ガソリンの積算噴射量を用いることができる。積算噴射量が多い系統ほど余裕度は小さいと判断することができる。なお、空気の噴射によって触媒再生が実施された系統では、水素化ガソリンの積算噴射量はゼロにリセットされている。
ステップS204では、ステップS200で算出された必要系統数と、ステップS202で算出された各系統の余裕度に基づき、水素生成を実施する系統が選択される。ここでは、系統間で余裕度を比較して余裕度が高い系統から順に選択される。
次のステップS206では、ステップS204で選択された系統の反応器は分離器に接続し、選択されていない系統の反応器は排気管に接続するように遮断弁や切替弁が操作される。
そして、ステップS208では、ステップS204で選択された系統の燃料インジェクタから水素化燃料としての水素化ガソリンが噴射され、選択されなかった系統の空気インジェクタから酸化ガスである空気が噴射される。これにより、選択された系統では、水素化ガソリンが脱水素触媒上で脱水素反応を起こすことで水素が生成される。一方、選択されなかった系統では、空気により脱水素触媒上の付着物が燃焼することで、脱水素触媒の再生が行われる。
触媒再生によって水素生成能力を回復された系統は、いつでも水素生成に使用可能な予備の系統となる。全ての系統を同時に水素生成に使用するのではなく、予備の系統を確保しておくことで、現在使用している系統の水素生成能力が低下したときには、予備の系統に切り替えて使用することが可能になる。また、予備の系統があれば、要求される水素生成量が一時的に増大したような場合にも対処することができる。
次のステップS210では、水素生成を実施している系統毎に水素化ガソリンの積算噴射量が所定の基準量に達したか否か判定される。水素化ガソリンの積算噴射量は、燃料インジェクタの駆動時間によって計測することができる。水素化ガソリンの積算噴射量は系統毎に計測されており、水素化ガソリンの噴射開始をトリガとして計測が開始され、空気噴射による触媒再生が実施される度にリセットされる。
ステップS210の判定の結果、何れの系統も積算噴射量が基準量に達していない場合には、脱水素触媒の水素生成能力には未だ余裕があると判断することができるので、そのまま現在の系統を用いて水素生成を実施する。しかし、何れかの系統において積算噴射量が基準量に達した場合には、その系統に関しては脱水素触媒の水素生成能力が許容限界に達していると判断することができるので、系統の切り替えを実施する。つまり、水素生成を実施する系統を許容限界系統から残留系統へと切り替える。残留系統、つまり、現在、水素生成に使用していない系統では、空気の噴射により触媒再生が進み、脱水素触媒の水素生成能力は回復している。したがって、系統の切り替えを行うことで、水素生成システム全体としての水素生成能力の低下を防止することができる。
ステップS212では、新たに水素生成を実施する残留系統の反応器は分離器に接続し、触媒再生を実施する許容限界系統の反応器は排気管に接続するように遮断弁や切替弁が操作される。
そして、ステップS214では、許容限界系統の燃料インジェクタからの水素化ガソリンの噴射は停止され、空気インジェクタからの空気の噴射が開始される。一方、残留系統の空気インジェクタからの空気の噴射は停止され、燃料インジェクタからの水素化ガソリンの噴射が開始される。これにより、新たに選択された残留系統では、水素化ガソリンが脱水素触媒上で脱水素反応を起こすことで水素が生成され、許容限界系統では、空気により脱水素触媒上の付着物が燃焼することで、脱水素触媒の再生が行われる。
上記のステップS210,S212及びS214の処理は繰り返し実施される。これにより、常に水素生成能力が基準能力よりも高い系統のみを用いて水素生成を行うことが可能となり、水素生成システム全体としての水素生成能力を高く維持することができる。
上記のルーチンを実施することで実現される水素生成システムの制御結果について図5を用いて具体的に説明する。図5に示す例では、水素生成システムは3つの水素生成系統を有している。図5(A)では第1系統のみを使用して水素生成が実施されている。残りの第2系統及び第3系統は予備の系統であり、空気の供給によって触媒再生が行われている。
エンジンの運転状態の変化により必要水素添加量が増大すると、必要系統数は1から2に増える。この場合、予備系統である第2系統と第3系統のうち、予備になっている期間の長い系統、つまり、空気供給による触媒再生がより進んでいる系統が、新たに水素生成を実施する系統として選択される。図5(B)では第2系統が新たに選択され、触媒再生のための空気供給から水素生成のための燃料供給へと切り替えられている。
水素生成は第1系統と第2系統の2つの系統で実施される。しかし、水素生成の継続時間に応じて脱水素触媒には付着物が付着していくため、やがて、水素生成期間の長い第1系統が最初に許容限界に達する。許容限界に達したか否かは、前述のように、水素化燃料の積算噴射量から判断することができる。第1系統が許容限界に達した場合には、図5(C)に示すように、第1系統から予備系統である第3系統へ水素生成を実施する系統が切り替えられる。これにより、第1系統が許容限界に達した後も2つの系統を用いた水素生成を継続することができる。許容限界に達した第1系統は、水素生成のための燃料供給から触媒再生のための空気供給へと切り替えられて予備に回される。
第2系統及び第3系統による水素生成を継続していると、やがて、水素生成期間の長い第2系統が許容限界に達する。第2系統が許容限界に達した場合には、図5(D)に示すように、第2系統から予備系統である第1系統へ水素生成を実施する系統が切り替えられる。第1系統では水素生成が実施されていない間、空気の供給によって触媒再生が実施されるため、当該系統における脱水素触媒の水素生成能力は回復している。これにより、第2系統が許容限界に達した後も2つの系統を用いた水素生成を継続することができる。許容限界に達した第2系統は、水素生成のための燃料供給から触媒再生のための空気供給へと切り替えられて予備に回される。
そして、エンジンの運転状態の変化により必要水素添加量が減少すると、必要系統数は2から1に減る。この場合、図5(E)に示すように、水素生成に使用されている第1系統と第3系統のうち、水素生成期間がより長く水素生成能力の余裕度が低くなっている第3系統の水素生成が停止される。水素生成を停止された第3系統は、空気供給による触媒再生が実施されて予備に回される。
本実施の形態では、図4に示すルーチンが実行されることで、第1、第2、第3、第4及び第5の発明の「選択手段」が実現されている。また、図4に示すルーチンが実行されることで、第6の発明の「水素添加量決定手段」及び「制御手段」も実現されている。また、図4に示すルーチンが実行されることで、第7の発明の「水素生成能力推定手段」及び「触媒再生手段」も実現されている。
その他.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、次のように変形して実施してもよい。
図1の構成では、水素インジェクタ10を吸気管6に配置することとしているが、その配置はこれに限定されるものではない。すなわち、水素インジェクタ10は、筒内に水素を直接噴射できるようにエンジン本体2に組み込んでもよい。同様に、ガソリンインジェクタ12もエンジン本体2に組み込むことができる。
図1の構成では、反応器20,30毎に2本の燃料インジェクタ22,32と1本の空気インジェクタ24,34を設けているが、各インジェクタ22,32,24,34の本数には限定はない。また、それらを設ける位置にも限定はない。
また、図1の構成では、脱水素反応器16内の脱水素触媒の加熱に排気管8を流れる排出ガスの熱を利用しているが、脱水素触媒の加熱はこれに限定されるものではない。エンジン本体2に脱水素反応器16を取り付け、エンジン本体2の熱によって内部の脱水素触媒を加熱するようにしてもよい。或いは、エンジンの廃熱を利用するのではなく、ヒータ等の専用の加熱装置によって内部の脱水素触媒を加熱するようにしてもよい。
また、図1の構成では、反応器20,30と排気管8とを接続する管路82,86を排気ガス浄化装置14,16の下流に接続しているが、何れかの排気ガス浄化装置14,16の上流に接続してもよい。そうすることで、反応器20,30から排出される燃焼ガスの浄化に排気ガス浄化装置14,16を利用することが可能になる。また、反応器20,30を排気管8ではなく吸気管6に接続し、燃焼ガスを吸気管6に排出するようにしてもよい。そうすることで、燃焼ガス中に含まれる未燃の燃料を有効に利用することが可能になる。
本発明の実施の形態1にかかるエンジンの概略構成を示す図である。 図1に示すエンジンに装着された脱水素反応器の構成を詳細に示す図である。 本発明の実施の形態1において実施される水素生成処理のルーチンを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2において実施される水素生成処理のルーチンを示すフローチャートである。 図4に示すルーチンを実施することで実現される水素生成システムの制御結果について具体的に説明するための図である。
符号の説明
2 エンジン本体
4 燃焼室
6 吸気管
8,8a,8b 排気管
10 水素インジェクタ
12 ガソリンインジェクタ
16 脱水素反応器
20,30 反応器
22,32 燃料インジェクタ
24,34 空気インジェクタ
26,36 脱水素触媒
50,52,54 管路(水素化ガソリン用)
56 燃料ポンプ
58 燃料タンク
60,62,64 管路(水素+副燃料用)
66 切替弁
76 空気ポンプ
82,84 管路(燃焼ガス用)
86,88 遮断弁
90 分離器
94 加圧ポンプ
96 管路(ガソリン用)
100 管路(水素用)
104 ガソリンポンプ

Claims (7)

  1. 有機ハイドライドを含む水素化燃料を加熱された触媒上で脱水素反応させて水素を生成する水素生成装置において、
    前記触媒を配置された複数の反応器と、
    前記複数の反応器のうち水素生成を行う反応器を選択する選択手段と、
    前記選択手段により選択された反応器に水素化燃料を供給する水素化燃料供給手段と、
    前記選択手段により選択されていない反応器に酸素を含む酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
    を備えることを特徴とする水素生成装置。
  2. 前記選択手段は、選択する反応器を前記複数の反応器の中で順次切り替えていくことを特徴とする請求項1記載の水素生成装置。
  3. 前記選択手段は、各反応器の触媒の水素生成能力を推定し、現在選択している反応器の触媒の水素生成能力が所定の基準能力まで低下したら、触媒の水素生成能力が前記基準能力を上回っている別の反応器へ選択を切り替えることを特徴とする請求項2記載の水素生成装置。
  4. 前記選択手段は、各反応器の触媒の水素生成能力を推定し、触媒の水素生成能力の高い反応器から順に選択することを特徴とする請求項2又は3記載の水素生成装置。
  5. 前記選択手段は、選択する反応器の個数を要求される水素生成量に応じて決定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の水素生成装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の水素生成装置と、
    前記水素生成装置における脱水素反応により生じた水素と脱水素生成物とを分離する分離手段と、
    前記分離手段によって分離された脱水素生成物を貯留する貯留タンクと、
    前記貯留タンクに貯留される脱水素生成物に前記分離手段によって分離された水素を添加して内燃機関に供給する燃料供給手段と、
    添加する水素の量を内燃機関の運転状態に応じて決定する水素添加量決定手段と、
    前記水素添加量決定手段で決定された量の水素を生成するように前記水素生成装置を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする水素利用内燃機関。
  7. 有機ハイドライドを含む水素化燃料を加熱された触媒上で脱水素反応させて水素を生成する水素生成装置において、
    前記触媒を配置された反応器と、
    前記反応器に水素化燃料を供給する水素化燃料供給手段と、
    前記反応器に酸素を含む酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
    前記触媒の水素生成能力を推定する水素生成能力推定手段と、
    前記触媒の水素生成能力が所定の基準能力まで低下したら、前記水素化燃料供給手段による水素化燃料の供給を停止し、前記酸化ガス供給手段による酸化ガスの供給を行う触媒再生手段と、
    を備えることを特徴とする水素生成装置。
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