JP2007307516A - 濾材およびエアフィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】コンパクトかつ高風量を処理可能で、補集効率が高く、圧力損失が低く、剛性が高く、高風量下での変形が少ない濾材および該濾材を用いたエアフィルターを提供すること。
【解決手段】繊維長さが1.0〜6.0mmの範囲のクリンプを有さない短繊維16〜42重量%と、繊維長さが3.0〜6.0mmの範囲で、クリンプ4〜7個/1cmを有する天然繊維を除く短繊維16〜42重量%と、繊維長さが8.0〜15.0mmの範囲の短繊維16〜68重量%の3種混合体よりなる流入側シートと、エレクトレット処理されたメルトブロー不織布よりなる流出側シートを積層した全体の厚さが0.3〜0.6mmの範囲の濾材とし、濾材の外周を枠で固定してエアフィルターとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば高風量下で空気中の粉塵を長時間に渡って効率的に捕集する濾材および該濾材を用いたエアフィルターに関するものである。
従来、高い性能を持ったエアフィルター用濾材を得る方法として、エレクトレットメルトブロー不織布と、繊維径の異なる繊維の組み合わせにてなる他の不織布を積層することにより、目詰まりを防止し、エアフィルターの寿命を向上させる方法が提案されている。(特許文献1参照)。
また、捲縮を有する繊維を用いることにより、嵩高な濾材が得られ、ダスト捕集量を向上させる方法が提案されている。(特許文献2および3参照)。
しかし、これらの前例においては、現在エアフィルターに要求される次の高い特性を全て満足することは出来ていない。高い特性とは具体的には、(A)フィルター体積がコンパクトかつ高風量を処理可能なこと、(B)補集効率が高いこと、(C)圧力損失が低いこと、(D)剛性が高く高風量下での変形が少ないことである。
このような全ての特性を兼備した濾材およびこの濾材を用いたエアフィルターは未だ完成されていないのが現状であって、このような高性能集塵エアフィルター用濾材の開発が課題となっていた。
特公昭56−33511号公報 特開2001−137630号公報 特開平5−49825号公報
本発明は、かかる従来技術の欠点を解消し、(A)フィルター体積がコンパクトかつ高風量を処理可能なこと、(B)補集効率が高いこと、(C)圧力損失が低いこと、(D)剛性が高く高風量下での変形が少ないなどの特性を備えた濾材および該濾材を用いたエアフィルターを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、次の手段を採用する。
すなわち本発明に係る濾材は、少なくとも、エアーの流入側に配置される流入側繊維シートと、エアーの流出側に配置される流出側繊維シートとの2種類の繊維シートの積層体からなる濾材であって、
(1)全体の厚さが0.3〜0.6mmの範囲であり、
(2)前記流入側繊維シートは、(A)繊維長さが1.0〜6.0mmの範囲のクリンプを有さない短繊維を該シートの16〜42重量%と、(B)繊維長さが3.0〜6.0mmの範囲で、クリンプ4〜7個/1cmを有する天然繊維を除く短繊維を該シートの16〜42重量%と、(C)繊維長さが8.0〜15.0mmの範囲の短繊維を16〜68重量%とする3種類の混合体であり、
(3)前記流出側繊維シートは、エレクトレット処理されたメルトブロー不織布であることを特徴とする濾材である。
また、本発明に係るエアフィルターは、上記濾材の外周を枠で固定してなるものである。
本発明の濾材は、薄型でありながら高風量エアー通過時の潰れにくさが格段に向上し、エレクトレット処理によるサブミクロンサイズやナノミクロンサイズといった微細塵の捕集性能を最大限に発揮でき、かつ十分な粉塵捕集容量と低圧力損失を備えたものである。様々なサイズのダストを効率的に捕集し、かつ急激な目詰まりを防止することができる。
まず、本発明の濾材を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の濾材の処理対象としては、主として空気を処理対象とするが、これに止まらず天然ガス、タバコ煙等の気体について処理可能である。
本発明に係る濾材の基本構成は、少なくとも2層の異なる繊維シートからなる積層体であり、エアーの流入側(上流側)に位置する目の粗い流入側繊維シートと、流出側(下流側)に位置する目の細かい流出側繊維シートとで構成される。二つの繊維シートは、その境界面に空間を設けて配置するのではなく、例えば低融点パウダー散布による接着法や、ウレタン樹脂などによる含浸ラミネート法などの公知の方法により積層したものが好ましい。
本発明の濾材の厚みは、特に高風量エアーの処理においても圧力損失の上昇を抑え、かつコンパクトで高寿命なエアフィルターを得るために、薄くすることが必要であり濾材全体の厚みとしては0.3mm〜0.6mmの範囲であり、好ましくは0.4〜0.5mmである。厚みが0.3mm未満であると、高風量エアーの通過に対する濾材自体の形状保持性を得ることが困難になるため好ましくなく、厚みが0.6mmを超えると濾材での圧力損失が上昇し、エアフィルターとして用いる際の収納性が低下するため好ましくない。この場合、上流側繊維シートと下流側繊維シートとの厚み比としては、7:3〜8:2の範囲が好ましい。
濾材全体の目付としては、50〜110g/m2の範囲が好ましく、さらに好ましくは65〜95g/m2の範囲である。濾材の目付が50g/m2未満であると高風量下において微細塵を十分に捕集する性能が得られず、110g/m2を超えると、厚みが増すため高風量化で十分な粉塵をするのに必要な濾材を収納したエアフィルターの製造が困難となる傾向があるからである。
次に、個々の繊維シートについて説明すると、まず流入側繊維シートは、流入した気体に対し、気体に含まれる大き目のダストを捕集する機能を発揮するものである。
流入側繊維シートの構成は、繊維長や形態の異なる3種類の繊維が特定の割合で混合されてなるものである。その繊維と混合割合は、(A)繊維長さが1.0〜6.0mmの範囲でクリンプを有さない短繊維を該シートの16〜42重量%、(B)繊維長さが3.0〜6.0mmの範囲で、クリンプを有する天然繊維を除く短繊維が該シートの16〜42重量%、および(C)繊維長さが8.0〜15.0mmの範囲の短繊維が16〜68重量%である。このような繊維長やクリンプ数が異なる三種類の繊維を特定量混合したものを流入側繊維シートとする理由は、繊維長の短い繊維がシートの均一性と薄さ、クリンプを有する繊維がシートの嵩高性、繊維長の長い繊維がシートの引張強さと適度な空隙といった、高風量エアーの処理に濾材として必要な要素をバランス良く与えるためである。
なお、各短繊維の素材としては、パルプなどの再生繊維、合成繊維、ガラス繊維や金属繊維等の無機繊維が使用できる。中でも繊維直径断面形状などを任意に設計できる熱可塑性樹脂の合成繊維が好ましい。
合成繊維を形成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル、ビニロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレンテレフタレート、ポリテトラフロロエチレン、ポリ乳酸などを挙げることができ、用途に応じて選択できる。また、複数種を組み合わせて使用してもよい。上記3種類の短繊維毎の素材としては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(Aファイバー)、ポリエチレンテレフタレート(Bファイバー)、ビニロン(Cファイバー)とするのが好ましい。なお、ファイバーの種類は、少なくとも3種類あればよく、これにさらに他の繊維を多少混綿させても良い。流入側繊維シート全体の目付としては、20〜60g/m2の範囲が好ましい。目付が20g/m2未満であると、高風量エアーの処理においても長時間の寿命を達成するためのダスト保持容量を得ることが困難になるため好ましくなく、60g/m2を超えると薄型化が困難となる傾向があるからである。
ここで、上記(A)の短繊維の繊維長は、1.0〜6.0mmであることが必要である。繊維長が1.0mm未満であるとシート状に形成することが困難であり、6.0mmを超えると均一な繊維シートが得られなくなるからである。そして、この短繊維は、天然もしくは人工的に付与されたクリンプを有さないストレートファイバーである。ストレートファイバーを混綿することにより流入側繊維シートに余分な厚みを与えることがない。
混綿率は、流出側繊維シートの全体に対して、16〜42重量%の範囲内であることが必要である。混綿割合が16%未満であると、均一な繊維シートを製造することが困難となり、逆に42%を超えるとシート上における結節点が極めて少なくなり、シートの破れにくさや形状保持性が著しく低下するためである。
上記(B)の短繊維の繊維長は、適度な荷重を与えクリンプを伸ばした状態において3.0〜6.0mmの範囲であるが、好ましくは4.0〜5.2mmである。繊維長が3.0mm未満であると、十分なクリンプ数を付与することが困難になり、繊維シートに嵩高性を付与するという本来の目的を達成できなくなるからである。また、逆に繊維長が6.0mmを超えるとクリンプによる影響が大きすぎて薄型の濾材が得られないため好ましくない。
この短繊維は、綿、ウール、麻などの天然繊維以外でクリンプを有するものである。天然繊維は吸水性もしくは吸湿性の高いものが多く、外部環境の変化に対する寸法安定性が合成繊維対比劣るため、繊維シートの厚みや嵩高性を安定させることができないため好ましくない。クリンプ数は、可能な限り多いほうが良いが、加工性などを考慮すると4〜7個/1cmが好ましく、より好ましくは4〜6個/1cmである。クリンプ形状を付与する方法は、長さ方向に走行させた繊維をヒーターで過熱し、峡空間の壁面に押し込んで賦形する方法や、1対の歯車の間を通過させて歯型を付与する方法、熱収縮率の異なる2種類以上の繊維を組み合わせ、加熱によってクリンプを発現させるバイメタル方法などの公知の賦形方法を適宜用いることで得られる。このように、クリンプの付与されたカットファイバーを使用することにより、繊維シートがクリンプによって嵩高になり、積層した時に微細塵用繊維シートとの間に僅かな空間を形成し、ダスト捕集容量を向上させることができる。また、圧縮に対する反発力も向上するため、加工中や高風量エアーによる濾材の変形を防止し、圧力損失の上昇や捕集効率の低下を抑えることができるのである。
また、上記したクリンプを有する短繊維の混入割合は、流入側繊維シート全体の16〜42%の範囲である。16%未満であると繊維シートに十分な嵩高性を与えられず、高風量のエアー処理時に濾材が潰れてしまい、圧損の上昇と捕集効率の低下を引き起こしてしまうためである。逆に混入割合が42%を超えると、繊維シートが嵩高になり過ぎて薄型の濾材が得られなくなり、エアフィルターとして使用する際にコンパクトなエアフィルターを得られないため好ましくない。
上記(C)の短繊維の繊維長さは、8.0〜15.0mmの範囲であることが必要である。繊維長が8.0mm未満であると繊維シートに十分な引張強度や引裂強度を与えられないため好ましくなく、逆に繊維長が15.0mm以上であると繊維シートの均一性が著しく低下するため好ましくない。また、混入割合は流入側繊維シート全体の16〜68%である。この短繊維には、クリンプがあってもなくても良いが、どちらかというと嵩高性の向上の理由により有している方が好ましい。
次に、流出側繊維シートは、サブミクロンサイズやナノミクロンサイズといった微細塵の捕集の機能を発揮し、上流側繊維シートで濾過済の気体をさらに除塵するものである。
流出側繊維シートの素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成高分子材料などの高い電気抵抗率を有する材料が好ましい。これらの中でもポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートが、低融点でありメルトブロー方式による不織布の製造が容易の理由により、より好ましく、ポリプロピレンが最も好ましい。
シートを構成する繊維の平均繊維径としては、3.5〜7.0μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは4.0〜6.6μmである。平均繊維径が3.5μm未満であると、構造が緻密になり捕集効率が向上するが圧力損失も増大するため、高風量のエアー処理には不向きであり好ましくない。逆に平均繊維径が7.0μmを超えると今度は圧力損失が低下するが捕集効率も低下してしまい、特に微細塵の集塵性能が著しく低下するため好ましくない。
繊維シートの目付としては、10〜40g/m2の範囲が好ましく、より好ましくは15〜30g/m2である。目付が10g/m2未満であると、高風量下において微細塵を十分に捕集する性能が得られない傾向があり、逆に目付が40g/m2を超えると、今度は圧力損失が大きくなり、濾材の目詰まりを早めてしまう傾向がある。
この繊維シートの形態としては、メルトブロー不織布である。メルトブロー不織布の形態のものを用いる理由は、極めて薄型で繊維径の細い不織布を得ることができるからである。
そして、この繊維シートは、公知のエレクトレット処理が施されたものを用いる。エレクトレット処理は、メルトブロー不織布の表面加工法の一つであり、その方法としては、コロナ放電方式、純水接触方式など公知の方法から任意に選択することが好ましいが、静電気力が高く圧力損失の低い繊維シートを得ることのできる純水接触方式を用いることがより好ましい。
また、次式より求められるQF値が0.12〜0.20の範囲であることが好ましい。QF値が0.12未満であると、捕集効率が低いか圧力損失が大きいかのどちらかもしくは両方であり、高風量エアーの処理において優れた性能とは言えないため好ましくない。一方、QF値が0.20を超えると、捕集効率が高いか圧力損失が低いかのどちらかもしくは両方であるが、捕集効率が高すぎるとかえって濾材の目詰まりによる圧力損失の上昇を促進し、フィルター寿命を縮めることになるため好ましくなく、圧力損失が極端に低く更に捕集効率も高い濾材というのは現状の技術は実現不可能である。
QF値=−ln(1−η)/ΔP
但し、η :捕集効率(%)/100
ΔP:圧力損失(Pa)。
また、エレクトレット処理された繊維シートは、濾材をフィルターとして使用中に水に触れることがあるが、ヒンダードアミン系添加剤を含むことで、水などに対する静電気力の耐久性が向上するため好ましい。含有量としては、100〜30000ppmの範囲が好ましく、より好ましくは7000〜15000ppmの範囲である。含有量が100ppm未満であると十分な耐久性を付与することができないため好ましくなく、逆に含有量が30000ppmを超えても均一性が著しく悪化するため好ましくない。
ヒンダードアミン系安定剤としては、具体的には、ポリ[{(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などが挙げられる。
以上に説明した本発明の濾材は、例えば次の製造方法により製造することができる。
上流側繊維シートは、繊維隗の状態から開繊、除塵された複数種類の繊維を特定の割合でバインダー樹脂中に分散させる。この分散液を白水抄紙法を用いシート化し、さらにバインダー樹脂を接着、乾燥して得られる。このときバインダー樹脂に用いる樹脂は任意であるが、アクリル樹脂が汎用性に優れるため好ましい。
下流側繊維シートは、固形のポリマーをメルトブロー法により溶融、集積してシート化し、さらに任意の方法でエレクトレット処理することにより得られる。
本発明の濾材は、上記2種類のシートのいずれかにを低融点パウダーや熱接着性樹脂を塗布し、もう一方のシートと重ねた状態で加熱圧着することにより得られる。
次に、本発明のエアフィルターを実施するための最良の形態を説明する。
本発明のエアフィルターとは、流入する空気中に存在する様々なダストを捕集し、清浄な空気を供給するために使用されるものであり、ダストを集塵する濾材と、濾材が収納される枠体とによって構成されるものをいう。
枠体としては、金属、合板、ダンボール、および織編物、不織布等の繊維構造体を用いることができる。中でも、金属性の枠体が長期間の使用にも耐え得るので好ましく、耐久面ではステンレスが、計量面ではアルミニウムが、コスト面では亜鉛引き鋼板を使用するのが好ましい。
濾材の枠体への収納方法としては、そのまま平面状で収納しても良いが、ハニカム型もしくはプリーツ型が、小さい容積により多くの濾材を収納することができるため好ましい。
濾材と枠体とは、両部材を接着性樹脂によって気密に接着させても良いし、接着はせずにフィルターの交換時に枠体と濾材を分離できるような構造でも良い。接着させる場合、接着用樹脂としてはエポキシ樹脂やウレタン樹脂を用いるのが気密性の面で好ましい。
以下、本発明の実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例内で用いる性能評価方法は以下の通りである。
(1)捕集効率[%]
平面状の濾材を有効間口面積0.1m2のホルダーにセットし、面風速12m/minで空気を通過させ、フィルター上流および下流の粒径0.3μmの大気塵粉塵数をパーティクルカウンター(RION社製、型式:KC−01D)で測定し、次式より算出した。
捕集効率(%)=1−(下流粒子数/上流粒子数)×100 。
(2)圧力損失[Pa]
平面状の濾材を有効間口面積0.1m2のホルダーにセットし、面風速12m/minで空気を通過させ、フィルター上下流の圧力差を差圧計で測定した。
(3)ダスト捕集量[g/m2
平面状の濾材を有効間口面積0.1m2のホルダーにセットし、面風速12m/minで空気を通過させ、上流側よりJIS15種ダストを濃度70mg/m
で供給した時のフィルター上下流の圧力差を差圧計で測定し、初期圧力損失から最終150Paまで上昇した時のフィルター重量変化からダスト保持量を算出した。
(実施例1)
エアーの流入側に配置される繊維シートとして、下記の割合で混綿された4種類の短繊維を樹脂加工した目付53g/m2の短繊維不織布を得た。
[流入側繊維シートの繊維構成]
(A)繊維長1mmのパルプ 20%
繊度0.4dtex、繊維長5mmのノンクリンプポリエステル繊維 20%
(B)繊度2dtex、繊維長5mm、クリンプ数5個/1cmのポリエステル繊維 20%
(C)繊度7.4dtex、繊維長10mmのビニロン繊維 40%。
一方、エアーの流出側に配置される流出側繊維シートとして、ポリプロピレン(三井住友ポリオレフィン株式会社製 S10AL)にヒンダードアミン系添加剤(チバ・ガイギー製 chimasorb944)を10ppm添加し、メルトブロー方式により得られる目付18g/m2、平均繊維系7.2μmの不織布に、コロナ放電方式でエレクトレット処理を施した。得られた繊維シートのQF値は0.15であった。
この2種類の繊維シートをアクリルバインダーによって積層接着し、厚さ0.38mm、目付81g/m2の濾材を得た。
得られた濾材の性能は捕集効率が47%、初期圧力損失が22Pa、ダスト捕集量が36.5g/m2であり、高風量下においても十分な性能を示すものとなった。
(実施例2)
エアーの流入側に配置される繊維シートの繊維構成を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で厚さ0.58mm、目付81g/m2の濾材を得た。
(A)繊維長1mmのパルプ 12%
繊度0.4dtex、繊維長5mmのノンクリンプポリエステル繊維 5%
(B)繊度2dtex、繊維長5mm、クリンプ数5個/1cmのポリエステル繊維 30%
(C)繊度7.4dtex、繊維長10mmのビニロン繊維 53%。
得られた濾材の性能は捕集効率が44%、初期圧力損失が19Pa、ダスト捕集量が34.5g/m2であった。
繊度の大きく繊維長の長い繊維の混率が上がったことにより比表面積が小さくなったため圧力損失が低下したが、クリンプ繊維による濾材の嵩高性によって捕集効率およびダスト捕集量は実施例1と大きく変わらず良好であった。
(実施例3)
エアーの流入側に配置される繊維シートの繊維構成を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で厚さ0.58mm、目付81g/m2の濾材を得た。
(A)繊維長1mmのパルプ 20%
繊度0.4dtex、繊維長5mmのノンクリンプポリエステル繊維 10%
(B)繊度2dtex、繊維長5mm、クリンプ数5個/1cmのポリエステル繊維 40%
(C)繊度7.4dtex、繊維長10mmのビニロン繊維 30%。
得られた濾材の性能は捕集効率が51%、圧力損失が23Pa、ダスト捕集量が34.0g/m2であった。繊維長が短く繊度の細い繊維の混率が高くなったために比表面積が増え捕集効率および圧力損失が上昇しているが、クリンプ繊維による濾材の嵩高性がダスト負荷による目詰まりを防止しているため、ダスト捕集量も実施例1と大きく変わらず良好となった。
(実施例4)
エアーの流出側に配置される繊維シートの平均繊維径を6.3μmとし、QF値が0.17になったこと以外は実施例1と同様の方法で厚み0.42mmの濾材を得た。
得られた濾材の性能は捕集効率が52%、初期圧力損失が19Pa、ダスト捕集容量39.5g/m2であった。実施例1と比較して繊維径を若干細くしたことにより、捕集効率、ダスト捕集量が向上したが、圧力損失の上昇も抑えることができた。
(実施例5)
エアーの流入側に配置される繊維シートとして、平均繊維径を6.3μmとし、実施例1と同等のヒンダードアミン系添加剤を10000ppm添加し、エレクトレット処理の方法を純水サクション方式に変更し得られた繊維シートのQF値が0.20になったこと以外は実施例4と同様の方法で厚み0.42mmの濾材を得た。
得られた濾材の性能は捕集効率が55%、初期圧力損失が16Pa、ダスト捕集容量が41g/m2であった。ヒンダードアミン系添加剤の添加によって静電気力による捕集性能が向上し、圧力損失の上昇を抑えていることがわかる。
(比較例1)
エアーの流出側に配置される繊維シートとして、ポリプロピレン(三井住友ポリオレフィン社製 S10AL)にヒンダードアミン系添加剤(チバ・ガイギー製 chimasorb944)を10000ppm添加し、メルトブロー方式により得られる目付12g/m2、平均繊維系6.5μmの不織布に、純水サクション方式でエレクトレット処理を施した。得られた繊維シートのQF値は0.19であった。さらに、エアーの流入側に配置される繊維シートとして、実施例1と同様の混合比率で30g/m2の短繊維不織布を得た。この2種類の繊維シートをアクリルバインダーによって積層接着し、厚さ0.27mm、目付50g/m2の濾材を得た。
得られた濾材の性能は捕集効率が47%、圧力損失が32Pa、ダスト捕集量は26g/m2であった。濾材厚みが厚くなりすぎると、高風量エアーの処理において圧力損失が高くなり、結果満足なダスト捕集量が得られない。
(比較例2)
エアーの流出側に配置される繊維シートとして、ポリプロピレン(三井住友ポリオレフィン社製 S10AL)にヒンダードアミン系添加剤(チバ・ガイギー製 chimasorb944)を10000ppm添加し、メルトブロー方式により得られる目付30g/m2、平均繊維系6.5μmの不織布に、純水サクション方式でエレクトレット処理を施した。得られた繊維シートのQF値は0.18であった。さらに、エアーの流入側に配置される繊維シートとして、実施例1と同様の混合比率で53/m2の短繊維不織布を得た。この2種類の繊維シートをアクリルバインダーによって積層接着し、厚さ0.72mm、目付50g/m2の濾材を得た。
得られた濾材の性能は捕集効率が62%、圧力損失が40Pa、ダスト捕集量が27g/m2であった。今度は比較例1と異なり、濾材の厚みが増したことにより圧力損失が上昇し、また高風量エアーの処理によって濾材が潰れてしまい、濾材本来のダスト捕集量が得られていない。
(比較例3)
エアーの流出側に配置される繊維シートとしてエレクトレット処理を実施しないものを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で厚み0.37mmの濾材を得た。
得られた濾材の性能は捕集効率が20%、圧力損失が22Pa、ダスト捕集量は33g/m2であった。高風量エアーの処理においては、繊維シートの物理的な捕集性能だけではダストの捕集が困難であるため、捕集効率が著しく低下した。
(比較例4)
エアーの流入側に配置される繊維シートの繊維構成を下記の通りに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さが0.40mmの濾材を得た。
(A)繊維長1mmのパルプ 10%
(B)繊度2dtex、繊維長5mm、クリンプ数5個/1cmのポリエステル繊維 40%
(C)繊度7.4dtex、繊維長10mmのビニロン繊維 50%。
得られた濾材の捕集効率は35%、圧力損失は23Pa、ダスト捕集量は31.5g/m2であった。繊度が細く繊維長の短い繊維の混率が下がることにより濾材の均一性が失われ、捕集効率が低下した。
(比較例5)
エアーの流入側に配置される繊維シートの繊維構成を下記の通りに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さが0.30mmの濾材を得た。
(A)繊維長1mmのパルプ 30%
繊度0.4dtex、繊維長5mmのノンクリンプポリエステル繊維 20%
(B)繊度2dtex、繊維長5mm、クリンプ数5個/1cmのポリエステル繊維 30%
(C)繊度7.4dtex、繊維長10mmのビニロン繊維 20%。
得られた濾材の捕集効率は53%、圧力損失は40Pa、ダスト捕集量は27g/m2であった。(A)繊維の繊維長の短く繊度の細い繊維の混率が増えすぎたことにより、繊維の結節点が増え通気度が低下し圧力損失が著しく増加してしまった。
(比較例6)
エアーの流入側に配置される繊維シートの繊維構成を下記の通りに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さが0.58mmの濾材を得た。
(A)繊度0.4dtex、繊維長5mm、クリンプ数7個/1cmのクリンプポリエステル繊維 20%
(B)繊度2dtex、繊維長5mm、クリンプ数5個/1cmのクリンプポリエステル繊維 30%
(C)繊度7.4dtex、繊維長10mmのビニロン繊維 50%。
得られた濾材の捕集効率は48%、圧力損失は42Pa、ダスト捕集量は28g/m2であった。(A)および(B)のクリンプ繊維の混率が増えすぎたため濾材の嵩高性が大幅に増加し、薄くするために積層時のプレス圧力の向上が必要となったため繊維断面が潰れてしまい、圧力損失の増加とダスト捕集量の低下を引き起こした。
(比較例7)
エアーの流入側に配置される繊維シートの繊維構成を下記の通りに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さが0.34mmの濾材を得た。
(A)繊維長1mmのパルプ 20%
(B)繊度2dtex、繊維長5mm、クリンプ数3個/1cmのクリンプポリエステル繊維 35%
(C)繊度7.4dtex、繊維長10mmのビニロン繊維 45%
得られた濾材の捕集効率は38%、圧力損失は25Pa、ダスト捕集量は24g/mであった。繊維のクリンプが少なく濾材に十分な嵩高性を付与できなかったために、ダスト捕集量および捕集効率が低下した。
(比較例8)
エアーの流入側に配置される繊維シートの繊維構成を下記の通りに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さが0.34mmの濾材を得た。
(A)繊維長1mmのパルプ 20%
(B)繊度2dtex、繊維長5mm、クリンプ数8個/1cmのクリンプポリエステル繊維 35%
(C)繊度7.4dtex、繊維長10mmのビニロン繊維 45%。
得られた濾材の捕集効率は50%、圧力損失は33Pa、ダスト捕集量は22.5g/mであった。繊維のクリンプが多く嵩高性の高すぎる濾材となったため、圧力損失が増大し結果ダスト捕集量が低下した。
(比較例9)
実施例1と同様のエアーの流出側に配置されるエレクトレット処理されたメルトブロー不織布を2枚積層したのみで、つまり流入側繊維シートを用いないで厚さ0.3mmの濾材を得た。
得られた濾材の性能は捕集効率が71%、圧力損失が22Pa、ダスト捕集量が8g/m2であった。微細塵の捕集に適しているエレクトレット繊維シートが粗塵を含む全てのダストを補修するため瞬く間に目詰まりが起こり圧力損失の急激な上昇が起こった。
(比較例10)
実施例1と同様のエアーの流入側に配置される繊維シートを2層積層したのみで、厚み0.6mmの濾材を得た。
得られた濾材の性能は捕集効率が8%、圧力損失が11Pa、ダスト捕集量は63g/m2であった。微細塵を捕集する繊維径の細いメルトブロー不織布がないため、捕集効率が著しく低くなった。
本発明は、例えば高風量下における粉塵などのダスト類を除去するビル空調用エアフィルター、家庭用空気清浄機、車載用エアフィルターなどに応用することが出来るが、その応用範囲はこれらに限られるものではない。

Claims (4)

  1. 少なくとも、エアーの流入側に配置される流入側繊維シートと、エアーの流出側に配置される流出側繊維シートとの2種類の繊維シートの積層体からなる濾材であって、
    (1)全体の厚さが0.3〜0.6mmの範囲であり、
    (2)前記流入側繊維シートは、(A)繊維長さが1.0〜6.0mmの範囲のクリンプを有さない短繊維を該シートの16〜42重量%と、(B)繊維長さが3.0〜6.0mmの範囲で、クリンプ4〜7個/1cmを有する天然繊維を除く短繊維を該シートの16〜42重量%と、(C)繊維長さが8.0〜15.0mmの範囲の短繊維を16〜68重量%とする3種類の混合体であり、
    (3)前記流出側繊維シートは、エレクトレット処理されたメルトブロー不織布である
    ことを特徴とする濾材。
  2. 前記流出側繊維シートを構成する繊維の平均繊維径が、3.5〜7.0μm、QF値が0.12〜0.20の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の濾材。
  3. 前記流出側繊維シートに、さらにヒンダードアミン系添加剤を100〜30000ppmの範囲で含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の濾材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の濾材の外周を枠で固定してなることを特徴とするエアフィルター。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009203580A (ja) * 2008-02-28 2009-09-10 Toray Ind Inc エレクトレットメルトブロー不織布

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