JP2007302535A - 紙炭およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 タール分を有効に分離・回収できる紙炭と、温和な条件で紙炭を製造する方法を提供する。
【解決手段】 本発明の紙炭は、紙類を過熱水蒸気中で炭化した紙炭であって、細孔径10〜10nmの細孔の累積細孔容積が、3000mm/g〜4000mm/gである。
【選択図】 図13

Description

本発明は、古紙などを炭化して得られる紙炭およびその製造方法に関する。
古紙は従来から主として再生紙として利用されている。しかし、古紙のリサイクルにおいて、紙の繊維をほぐす離解や異物除去工程で、パルプ繊維が劣化し、強度が低下する。このため、紙製品への古紙混入率を増加させるのは技術的に困難である。このために、古紙の他のリサイクル方法として古紙を炭化して活性炭やペーパー炭を製造することが行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
一方、近年、有機性廃棄物の処理・再利用方法として、有機性廃棄物を水熱処理して分解・再資源化することとが試みられている。しかし、有機物を熱分解すると、粘度が高く、有害物質を含むタール分が生成することが知られている。タール分は、配管の閉塞、生成物への混入、環境へ排出されることによる汚染などの問題を生ずる。このため、水共存下におけるタール分を有効に分離・回収することが求められている。なお、本明細書中でタール分とは、有機物の熱分解で生ずる黒色ないし褐色の粘稠な油状物質の総称をいい、石炭を乾留して得られるコールタール、石油やその熱分解物の蒸留残渣を総称する石油タール、木材を乾留して得られる液体生成物の一つである木タールなどを含む。
特開2006−45002号公報 特開平11−171524号公報
しかし、特許文献1に記載のパーパー炭は、タール分の残留をなくすために、650〜800℃で炭化する。加熱温度を上昇させているため、コスト高になるという問題がある。また、特許文献1に記載のパーパー炭は、ホルムアルデヒド、トルエン、アンモニア等の比較的分子量の小さい物質をガス中での吸着能をみているに過ぎない。
また、特許文献2に記載の活性炭は、古紙を細片化し、熱硬化性樹脂と混合して、圧密化している。このため、圧密化する工程を行う必要がある。
また、両文献にも、タール分を有効に分離・回収することについては、全く記載されていない。
すなわち、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は、タール分を有効に分離・回収できる紙炭と、温和な条件で紙炭を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、古紙を水湿潤させ、成形したものを、過熱水蒸気を用いて炭化することで、従来の紙炭では得られない機能を有する紙炭が得られることを見出した。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
本発明の紙炭は、紙類を過熱水蒸気中で炭化した紙炭であって、細孔径10〜10nmの細孔の累積細孔容積が、3000mm/g〜4000mm/gである。
上記紙炭は、タール除去剤として用いることができる。
このような紙炭は、紙類を水で湿潤させて成形する工程と、前記乾燥させた紙類を過熱水蒸気中で炭化する工程とを含む紙炭の製造方法により製造することができる。
本発明は、古紙を水湿潤させ、成形・乾燥したものを、過熱水蒸気を用いて炭化することで、タール分を有効に分離・回収できる紙炭を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
[原料]
本発明の紙炭を製造する原料としては、ダンボール紙、新聞や雑誌、オフィスペーパー、カタログ、チラシなどの紙類が挙げられる。これらの紙類は、廃棄物として回収されるものである。これらの紙類のうち、好ましいのは、新聞や雑誌のように、水に湿潤しやすく、成形しやすい紙類である。
[製造方法]
紙類は、そのまま用いてもよいが、成形しやすくするために、事前に適当な大きさに切断したものを用いてもよい。この紙類に水を加えて、紙類を湿潤させる。加える水の量は、紙類が成形できる程度であればよく、紙の種類、乾燥度等に応じて適宜調整する。次に、湿潤させた紙類を成形する。成形は、公知の成形手段を用いて行えばよい。その形状も、球形、方形等、使用目的に応じて適宜選択できる。次に、成形した紙類を乾燥させてもよい。乾燥条件は、含水量に応じて適宜選択する。
成形・乾燥させた紙類を、過熱水蒸気中で炭化させる。炭化装置は、公知の炭化装置を用いればよく、バッチ式であっても、連続式であってもよい。例えば、図1に示すような炭化装置を用いる。図1の炭化装置は、バッチ式の炭化装置の一例であり、水を収納する水タンクと、一定量の水を炭化炉に供給する定量ポンプと、水を蒸気化し、過熱水蒸気を発生する電気炉を含む炭化炉と、炭化炉内の温度を測定する温度計と、前記炭化炉に管路を介して接続され、炭化処理の進行に伴い炭化炉内に発生した余剰水蒸気を冷却し、余剰水を回収するとともに、含まれる気体成分を排出する余剰水蒸気処理手段とを含んでいる。
炭化条件は、炭化が極端に進行しない条件を選択する。例えば、773Kで1時間程度の炭化処理をする。
[紙炭]
本発明の紙炭は、紙の原料のセルロース繊維が適度な間隔で折り重なった状態で、炭化している。また、本発明の紙炭では、細孔径10〜10nmの細孔の累積細孔容積が、3000mm/g〜4000mm/gである。
このような本発明の紙炭を用いて、タールを吸着させると、2〜4kg/kg−吸着剤と、きわめて多量のタールを吸着する。また、タール・水混合系において、本発明の紙炭を用いると、水はほとんど吸着せずに、タールのみを吸着する。すなわち、本発明の紙炭は、水共存下におけるタール分を有効に分離・回収する。したがって、本発明の紙炭は、有機性廃棄物の水熱処理や海洋において流出した重油の回収等に有用である。特に、亜臨界水を用いる有機性廃棄物の水熱処理を行う場合に、本発明の紙炭を反応装置内に入れて処理を行うと、紙炭が発生するタール分を有効に除去する。この結果、配管の閉塞、生成物への混入、環境へ排出などの問題を生じない処理が行える。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
[紙炭の製造]
週刊誌、新聞紙をそれぞれ約5×10cmに切断したものに、超純水を加えて、湿潤させた。湿潤させた紙類を手で丸めて、約1cm径の球形に成形した。成形した紙類は、333Kで3日間乾燥させた。乾燥した紙類は、図1に示すバッチ型炭化装置を用いて炭化を行った。炭化は、昇温時間時間30分で423Kから目的炭化温度773Kに昇温した後、60分間この温度を維持させて行った。炭化処理後、約30分で降温させた。過熱水蒸気の流量は、1g/minであった。また、過熱水蒸気の流入は、熱分解が開始されると考えられる423Kを始点・終点として、操作した。この処理により本発明の実施例である紙炭(週刊誌)と、紙炭(新聞紙)とを得た。
[試料]
試料として、上記で得られた紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)に加え、比較例として、イソライトCG4(イソライト工業(株)製)、ヤシガラ活性炭GA4−8((株)キャタラー製)、竹炭(市販品)、ロータリーキルン式炭化装置(ジョンソンボイラー(株)製)を用いて、623K、723Kの過熱水蒸気で作成した炭化木炭(ヒノキ)(以下、「木炭623K」、「木炭723K」という)、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)を用いた。
[タール分]
タール分として、木タール分(大幸薬品(株)製)を用いた。なお、このタール分は、蒸留操作により373K以下の低沸点成分は除去されている。
[物性値、元素分析]
(物性値)
イソライトCG4の物性値を表1に示す。
(元素分析)
木タール分、木炭623K、木炭723K、ヤシガラ活性炭、竹炭、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)、紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)、週刊誌、新聞紙の元素組成を、全自動元素分析装置(PE2400 Series II CHNS/O、Perkin Elmer(株)製)を用いて、行った。分析条件は、測定方式:静的燃焼、フロンタルクロマトグラフィー、高感度熱伝導率検出器(TCD)、燃焼温度:1248K、還元温度:773K、キャリアガス:ヘリウム、サンプル重量:1.5〜2.0(mg)、分析時間:8分であった。結果を表2と表3に示す。
この表において、炭素、水素、窒素以外はOtherで表している。窒素は、全ての結果において0.5wt%以下であることから、この表に含まれていない。また、炭化物に含まれる灰分は多くないと考えられた。したがって、Otherは、酸素元素の比率であるとみなした。
表2から、木タール分は、Otherの比率が多いことがわかる。これは、木タール分の主な原因物質であるリグニンに含有される酸素原子が多く残留しているためであると考えられた。元素分析に用いた試料はいずれも7割以上が炭素で構成されている。試料の元素組成では顕著な差は見られなかった。ヤシガラ活性炭と紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)は、炭素元素の比率が高く、他の試料に比べて炭化が進行していることがわかった。
表3は、紙炭の炭化前後における収率、元素分析結果より計算した炭化物の元素残存率を示す表である。なお、計算は次式を用いた。
(元素残存率)[wt%]=(炭化物重量×炭化物元素比率)/(原料重量×原料元素比率)
表2から明らかなように、炭化前の週刊誌・新聞紙、炭化後の紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)の元素組成はそれぞれほぼ等しいことがわかる。これは、週刊誌・新聞紙の原料がリグニンを含むセルロースを主成分とする木材の繊維であるためと考えられた。また、表3から明らかなように、炭化条件が同じなので、週刊誌と新聞紙とでは、大きな差はなかった。
[マクロ構造の観察]
イソライトCG4、ヤシガラ活性炭、木炭623K、木炭723K、竹炭、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)、紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)、週刊誌、新聞紙のマクロ構造を、JSM−6700型電界放射走査電子顕微鏡(日本電子データム(株)、日本ハイテック(株)製)を用いて観察した。結果を図2〜10に示す。
図2から、イソライトCG4は、表面に小さな孔が無数に開いていることがわかる。図3から、ヤシガラ活性炭は、表面にあまり大きな亀裂は見られず、小さな細孔が開いていることが確認できる。図4、図5から、木炭623Kと木炭723Kとは、ともに表面に大きな亀裂があり、細孔が存在することがわかる。また、木炭723Kのほうが、木炭623Kに比べて表面の破壊が進んでいることもわかる。図6から、竹炭は、ヤシガラ活性炭の表面構造に類似し、小さな細孔が存在していることがわかる。図7、8、9から、紙炭では、折り重なった繊維が層状の構造をとっていることがわかる。これは、図10の週刊誌、新聞紙のマクロ構造において、折り重なったセルロース繊維の間を埋めていた構成物質が炭化過程で分解・ガス化され、残った繊維の間が空洞になったためであると考えられる。なお、図7、8、9から明らかなように、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)の繊維間の間隔は、紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)のそれより小さい。これは、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)炭化前に物理的により強力に圧縮されたためであると考えられた。
[細孔径分布]
水銀ポロシメータ(Pascal140、Pascal240、(株)アムコ製)を用いて、イソライトCG4、ヤシガラ活性炭、木炭623K、木炭723K、竹炭、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)、紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)の細孔径を測定した。まず、Pascal140を用いて、真空下において試料容器に水銀を注入した後、減圧状態から徐々に大気圧に戻す過程の測定(マクロ孔測定)を行った。次に、Pascal240に試料容器を付け替えて、油圧ポンプで加圧し、メソ孔領域を測定した。次式を用いて細孔半径を求めた。
細孔半径と圧力の近似式:R=7.5im/P
R:半径(nm)、P:圧力(kg/cm
細孔径の測定から求めた、各試料における累積細孔容積の比較と細孔容積分布の比較の結果を、図11、図12に示す。
図11から、木炭623K、木炭723K、紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)では、細孔が他の試料に比べて発達していることがわかる。
図12から、竹炭はメソ孔が、木炭623K、木炭723K、イソライトCG4、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)、紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)は、細孔径100nm〜100000nm(0.1μm〜100μm)の範囲のマクロ孔が発達していることがわかる。また、ヤシガラ活性炭には、メソ孔、マクロ孔の顕著な発達は見られなかった。
紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)、紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)は、同じ範囲のマクロ孔が発達しているが、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)の累積細孔容積は、紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)のそれより小さかった。
[タール吸着評価]
15mm径×105mmの試験管に、十分な量の木タール分を注入し、秤量した試料(イソライトCG4、ヤシガラ活性炭、木炭623K、木炭723K、竹炭、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)、紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙))を投入した。所定の時間(1分〜120分)経過後、試料を取り出し、表面に付着した木タール分を除去し、秤量したサンプル瓶に入れて質量を測定した。
また、吸水能力を調べるために、超純水を用いて同様の実験を行った。
結果を図13〜図19に示す。
図13は、各試料によるタール吸着量の経時変化を示す図である。図13から、紙炭(週刊誌)が最も高い性能を示した。紙炭(週刊誌)のタール吸着量は、イソライトCG4の5倍程度であった。また、紙炭(新聞紙)のタール吸着量も他の試料に比べ優れていることがわかった。木炭623K、木炭723K、竹炭、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)、紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)を比較する。紙炭では、それぞれが有する細孔径の範囲はほぼ同一であるが、累積細孔容積の大きい本発明の紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)のほうがタール吸着量が多い。また、木材の繊維を主成分とする本発明の紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)のほうが、累積細孔容積のより大きい木炭より多くのタール分を吸着するのは、本発明の紙炭では繊維が折り重なって網目構造を形成していることによると考えられる。次に、累積細孔容積が同程度で、細孔径の範囲が異なる竹炭と紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)とを比較すると、タール分の吸着には、径の大きさが100nm以上の細孔が影響すると思われる。
図14〜図19は、イソライトCG4、木炭623K、木炭723K、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)、紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)のタール分と水の吸着量を比較したグラフである。図14から、タール分の吸着はそれほど早くないが、水を瞬時に吸収することがわかる。図15、16から、木炭は、木炭と同質量の水を吸収することがわかる。図17〜19から、紙炭は、タール分を吸着するが、水はほとんど吸収しないことがわかる。
[水共存下におけるタール吸着評価]
10×10−6のコニカルビーカに超純水50g、水2.0g、木タール分2.0gを入れ、マグネチックスターラで均一に攪拌した後、各試料(イソライトCG4、ヤシガラ活性炭、木炭623K、木炭723K、竹炭、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)、紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙))2.0gをそれぞれ投入し、攪拌する。所定時間(3分〜30分)経過後、試料を取り出し、秤量したサンプル瓶に入れ、3日間333Kで乾燥した後、質量を測定した。実験前後での質量の差から木タール分の吸着量を算出し、経時変化を測定した。また、乾燥前の試料の質量を測定し、乾燥前後での質量の差を吸収された超純水の質量とした。吸着実験は、298Kで行った。
図20に、本発明の紙炭(週刊誌)を用いた液相の経時変化の様子を示した。図20から明らかなように、30分経過時には、油状の木タール分はほぼ吸収されて水相中には存在していないことがわかる。また、図21は、水共存下における各試料のタール吸着量の経時変化を示す図である。本発明の紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)は、測定時間30分のもののみをプロットしている。図21から、木炭723K、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)、紙炭(週刊誌)のプロットが30分経過時に重なっており、グラフの勾配から見ても、タール分の吸着は平衡状態に達していると思われた。しかし、吸着された木タール分は投入された量の約50%弱であった。残りの木タール分は、薄茶色に色づいた水相中に溶解しているか、微小な粒子として浮遊していると考えられた。測定時間を延長しても、水相の色の変化は改善しなかった。
図22〜25は、イソライトCG4、木炭623K、木炭723K、紙炭(ジョンソンボイラー(株))のタール分吸着量と水の吸収量を比較するグラフである。図22から、イソライトCG4は、図14の水の吸収量とほぼ同程度の水が吸収されているが、木タール分は全く吸着されていないことがわかる。これは、吸収された水により、木タール分の吸着が妨げられているためであると考えられる。図23〜25から、木炭623K、木炭723K、紙炭(ジョンソンボイラー(株))は、木タール分の吸着量が増加するにつれて水の吸収量が低下していることがわかる。これは、吸着された木タール分によって水が押し出されたものと考えられる。また、紙炭(ジョンソンボイラー(株))は、タール吸着試験と比較して水が多く吸収されている。これは、吸着された水によって疎水性を示していた表面が被覆され、疎水性を失ったためと考えられた。
[木タール分の分析]
吸着前の木タール成分とタール吸着実験で各試料に吸着された木タール分をガスクロマトグラフ質量分析器(GCMS−QP5050、島津製作所(株)製)により分析・比較した。分析用のカラムは、長さ30m、内径0.25mmのDB−WAX(J&W SCIENTIFIC)を用いた。分析条件を下表に示す。
図26に、木タール分のGC−MS分析結果を、表5にピークの顕著な物質の名称と化学式を示す。
図26、表5から、木タール分には、種々の分子量の大きい有機化合物が含まれていることがわかる。また、各試料で吸着した木タール分をアセトンで抽出し、木タール分と同様に分析したところ、木タール分と同様のピークが得られた。このことから、各試料は、特定成分ではなく、木タール分自体を吸着することがわかった。
[紙炭残留タール分]
本発明の紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)をアセトンで抽出して、紙炭製造時の紙炭にタール分が残存しているかどうかを確認した。タール分は、アセトンには全く回収されなかったため本発明の紙炭(週刊誌)、紙炭(新聞紙)は、タール分が残留していないことがわかった。



図1は、本発明の紙炭を製造する炭化装置の一例を示す図である。 図2は、イソライトCG4表面の走査電子顕微鏡写真である。 図3は、ヤシガラ活性炭表面の走査電子顕微鏡写真である。 図4は、木炭623K表面の走査電子顕微鏡写真である。 図5は、木炭723K表面の走査電子顕微鏡写真である。 図6は、竹炭表面の走査電子顕微鏡写真である。 図7は、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)表面の走査電子顕微鏡写真である。 図8は、紙炭(週刊誌)表面の走査電子顕微鏡写真である。 図7は、紙炭(新聞紙)表面の走査電子顕微鏡写真である。 図7は、週刊誌・新聞紙表面の走査電子顕微鏡写真である。 図11は、各試料における累積細孔容積を比較した図である。 図12は、各試料における細孔容積分布を比較した図である。 図13は、各試料によるタール吸着量の経時変化を示す図である。 図14は、イソライトCG4のタール分と水の吸着量を比較したグラフである。 図15は、木炭623Kのタール分と水の吸着量を比較したグラフである。 図16は、木炭723Kのタール分と水の吸着量を比較したグラフである。 図17は、紙炭(ジョンソンボイラー(株)製)のタール分と水の吸着量を比較したグラフである。 図18は、紙炭(週刊誌)のタール分と水の吸着量を比較したグラフである。 図19は、紙炭(新聞紙)のタール分と水の吸着量を比較したグラフである。 図20は、本発明の紙炭(週刊誌)を用いた液相の経時変化の様子を示したグラフである。 図21は、水共存下における各試料のタール吸着量の経時変化を示す図である。 図22は、イソライトCG4のタール分吸着量と水の吸収量を比較するグラフである。 図23は、木炭623Kのタール分吸着量と水の吸収量を比較するグラフである。 図24は、木炭723Kのタール分吸着量と水の吸収量を比較するグラフである。 図25は、紙炭(ジョンソンボイラー(株))のタール分吸着量と水の吸収量を比較するグラフである。 図26は、木タール分のGC−MS分析結果を示す図である。

Claims (3)

  1. 紙類を過熱水蒸気中で炭化した紙炭であって、細孔径10〜10nmの細孔の累積細孔容積が、3000mm/g〜4000mm/gである紙炭。
  2. タール除去剤として用いる、請求項1に記載の紙炭。
  3. 紙類を水で湿潤させて成形する工程と、
    前記乾燥させた紙類を過熱水蒸気中で炭化する工程と
    を含む紙炭の製造方法。

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