JP2007300054A - 車載用車両認識装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な構成にて小型化可能な車載用車両認識装置を提供する。
【解決手段】画像センサにより車両前方の進行方向を撮像し、撮像データから先行車の尾灯を検出して先行車を認識する際に、画像センサでの各画素を構成する受光素子において、シリコン基板20での受光素子形成領域に浅いPN接合部と深いPN接合部を形成し、浅いPN接合部を構成するP型領域22とN型領域21との間に流れる、短波長の光の強度に応じた電流の出力と、深いPN接合部を構成するP型シリコン基板20とN型領域21との間に流れる、長波長の光の強度に応じた電流の出力との比により白色光と先行車の尾灯からの赤色光を判別する。
【選択図】図4

Description

本発明は、車載用車両認識装置に関するものである。
車載用車両認識装置において、夜間、前方に存在する車両を検出する場合、対向車での光源である前照灯(ヘッドランプ)または先行車の光源である尾灯(テールランプ)を認識する手法がある。
対向車の前照灯(ヘッドランプ)は比較的明るいため認識しやすいが、先行車の尾灯(テールランプ)は暗いため反射板や外乱光を他車の尾灯(テールランプ)と誤認識してしまう場合がある。そのため、先行車の尾灯(テールランプ)と他の光とを識別するため、尾灯(テールランプ)が赤色であることを利用して尾灯(テールランプ)の赤色光と外乱光である白色光とを判別する方法が採られる場合がある。
従来、赤色光・白色光の判別認識を行なう手段としては、特許文献1のように、受光素子(画素)およびレンズを2つずつ用いて、一方の受光素子(画素)については光学的な色フィルタを装着し、レンズを通して全く同一の画角・画像をとる構成とする。そして、色フィルタが有る受光素子の出力と、色フィルタの無い受光素子の出力を比較する。これにより赤色光と白色光の判別を行うことができる。
特表2001−519744号公報
ところがこのようにすると、2つの光学系が必要となり、またその光学系は同一の画角を構成する必要があることから、レンズの組付けに高い組み立て精度を必要とするとともに大型化を招くという問題があった。
本発明はこのような背景の下になされたものであり、その目的は、新規な構成にて小型化可能な車載用車両認識装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、画像センサでの各画素を構成する受光素子において、半導体基板での受光素子形成領域に浅いPN接合部と深いPN接合部を形成し、浅いPN接合部を構成する第1導電型の不純物拡散領域と第2導電型の不純物拡散領域との間に流れる、短波長の光の強度に応じた電流の出力と、深いPN接合部を構成する第1導電型の不純物拡散領域と第2導電型の不純物拡散領域との間に流れる、長波長の光の強度に応じた電流の出力との比により白色光と先行車の尾灯からの赤色光を判別するようにしたことを特徴とする車載用車両認識装置をその要旨とする。
請求項1に記載の発明によれば、浅いPN接合部を構成する第1導電型の不純物拡散領域と第2導電型の不純物拡散領域との間に流れる、短波長の光の強度に応じた電流の出力と、深いPN接合部を構成する第1導電型の不純物拡散領域と第2導電型の不純物拡散領域との間に流れる、長波長の光の強度に応じた電流の出力との比により、白色光と先行車の尾灯からの赤色光が判別される。よって、1つの画素で色フィルタを使用せずに白色光と赤色光を判別でき、組み立て容易であるとともに小型化を図ることが可能となる。
ここで、請求項2に記載のように、請求項1に記載の車載用車両認識装置において、第1導電型の不純物拡散領域となる第1導電型のシリコン基板の表層部に第2導電型の不純物拡散領域を形成するとともに、当該第2導電型の不純物拡散領域においてシリコン基板の表層部に前記第2導電型の不純物拡散領域よりも浅い第1導電型の不純物拡散領域を形成して、第2導電型の不純物拡散領域の底面と第1導電型のシリコン基板との界面にて深いPN接合部を形成するとともに第1導電型の不純物拡散領域の底面と第2導電型の不純物拡散領域との界面にて浅いPN接合部を形成すると、実用上好ましいものとなる。
請求項3に記載の発明では、画像センサでの各画素を、短波長の光の強度に応じた出力の第1受光素子と、第1受光素子に対し横方向に配置され、長波長の光の強度に応じた出力の第2受光素子とで構成し、この異なる分光感度特性をもつ第1および第2受光素子の出力の比により白色光と先行車の尾灯からの赤色光を判別するようにしたことを特徴とする車載用車両認識装置をその要旨とする。
請求項3に記載の発明によれば、画像センサでの各画素に配置された異なる分光感度特性をもつ第1および第2受光素子の出力の比により白色光と先行車の尾灯からの赤色光が判別される。よって、1つの画素で白色光と赤色光を判別でき、小型化を図ることが可能となる。
ここで、請求項4に記載のように、請求項3に記載の車載用車両認識装置において第2受光素子は、基板に、長波長の光以外の光も光電変換可能な受光部が形成され、当該受光部上に長波長の光のみを通す色フィルタが配置されてなる構成とするとよく、特に、請求項5に記載のように、前記長波長の光のみを通す色フィルタは、ポリマー自身で構成する、あるいは、染料または顔料を含んだポリマーで構成すると、一般的なカラー画像センサに用いられるような色フィルタを使用することにより、特殊な工程を使わずに色分離を行うことができる。
請求項6に記載のように、請求項4に記載の車載用車両認識装置において長波長の光のみを通す色フィルタは、CMOS集積回路を形成する工程で形成される膜にて構成されていたり、請求項7に記載のように、請求項4に記載の車載用車両認識装置において長波長の光のみを通す色フィルタは、前記受光部またはCMOS半導体回路を保護する保護膜を兼ねていると、通常のCMOS集積回路を形成する工程において、例えば、保護膜にて色フィルタを構成することにより特殊な工程を使わずに色分離を行うことができる。
請求項8に記載のように、請求項4に記載の車載用車両認識装置において長波長の光のみを通す色フィルタは、前記受光部上に形成されるマイクロレンズを兼ねていると、通常の画像センサにて形成するマイクロレンズに色フィルタ機能を持たせることにより、特殊なフィルタ形成工程を使わずに色分離を行うことができる。
請求項9に記載のように、請求項3〜8のいずれか1項に記載の車載用車両認識装置において同一画素内に、2つの第1受光素子と2つの第2受光素子を、互いに交差するようにして配置すると、画素に投影された像が小さい場合においても、第1および第2受光素子の両方に同程度に光が当たるため、同一位置信号と見なすことができる。
請求項10に記載のように、請求項3〜9のいずれか1項に記載の車載用車両認識装置において第1受光素子と第2受光素子の出力は、画像センサとして同一位置の画素信号として処理されるとよく、また、請求項11に記載のように、請求項3〜10のいずれか1項に記載の車載用車両認識装置において第1受光素子と第2受光素子の出力は、画像センサとして同一時間の画素信号として処理されるものとする。即ち、第1および第2受光素子が互いに接近しているので同一画素に投影された像においては同一位置の信号として処理することができる。また、読み込むタイミングを同じにすることにより、同一時間の信号であると見なすことができる。
また、請求項12に記載のように、請求項3〜11のいずれか1項に記載の車載用車両認識装置において、画素への光をぼかして前記第1受光素子および第2受光素子に光が回り込むようにすると、結像面積が小さい場合(遠くの光の場合)、像を大きくして第1および第2の受光素子に当てることができる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
本実施形態においては車両用ライト制御装置に適用しており、図1には全体の概略構成を示す。
図1において、車両1のルームミラー2の裏面には画像センサ(カメラ)3が設けられている。この画像センサ3により、車両1の進行方向における前方を撮像することができるようになっている。画像センサとして、CCDやC−MOSが挙げられる。画像センサ3はマイクロプロセッサ4に接続され、画像センサ3により撮像された撮像データがマイクロプロセッサ4に送られる。マイクロプロセッサ4は当該撮像データから各種の処理を実行する。
本実施形態の車両用ライト制御装置においては、画像センサ3とマイクロプロセッサ4により車載用車両認識装置が構成され、画像センサ3により車両前方の進行方向が撮像され、マイクロプロセッサ4により撮像データから先行車の尾灯を検出して先行車を認識することができるようになっている。
マイクロプロセッサ4にはライト制御用の電子制御装置(ECU)5が接続されている。電子制御装置5にてヘッドランプ6を制御することができる。つまり、電子制御装置5はマイクロプロセッサ4による先行車の認識結果に基づいてヘッドランプ6をハイビーム/ロービームに制御するようになっている。
図2は、本実施形態における車載用車両認識装置の光学系の構成図である。図3は、画像センサ3におけるセンサチップの斜視図である。図4はセンサチップにおける1画素中の受光素子の縦断面図である。
図2において、レンズ15とセンサチップ10を具備している。レンズ15の焦点位置にセンサチップ10が配置されている。そして、画像センサ3において車両前方からの光がレンズ15を通してセンサチップ10に集光して、マイクロプロセッサ4において車両前方に存在する車両における光源である尾灯(テールランプ)を検知して車両を検出することができるようになっている。
図3において、センサチップ10には、画素を構成する受光素子11が多数形成されている。本実施形態では受光素子としてフォトダイオードを使用している。
図4において、第1導電型のシリコン基板としてのP型シリコン基板20の上面においてその表層部には第2導電型の不純物拡散領域としてのN型領域21が深く形成されている。N型領域21においてP型シリコン基板20の表層部には第1導電型の不純物拡散領域としてのP型領域22がN型領域21よりも浅く形成され、N型領域21の底面とP型シリコン基板20との界面にて深いPN接合部が形成されるとともにP型領域22の底面とN型領域21との界面にて浅いPN接合部が形成されている。
このようにして、シリコン基板20の上面から深い位置にP型領域(20)とN型領域21の界面が位置するとともに、シリコン基板20の上面から浅い位置にN型領域21とP型領域22の界面が位置しており、基板での受光素子形成領域において浅いPN接合部(青〜緑受光部)と深いPN接合部(赤受光部)が形成されている。
P型シリコン基板20の下面(裏面)には第1のアノード電極23が形成されている。P型シリコン基板20の上面にはカソード電極24および第2のアノード電極25が配置され、カソード電極24はN型領域21と電気的に接続され、第2のアノード電極25はP型領域22と電気的に接続されている。そして、カソード電極24と第2のアノード電極25によりN型領域21とP型領域22との間に流れる電流を取り出すことができるようになっている。また、カソード電極24と第1のアノード電極23によりP型シリコン基板20とN型領域21との間に流れる電流を取り出すことができるようになっている。
次に、車載用車両認識装置(車両用ライト制御装置)の作用について説明する。
画像センサ3は車両前方の進行方向を撮像している。ここで、図4において、光は波長によりシリコンでの到達深さが異なる。波長が長いほど、光子はシリコン中へ深く入り、電子・正孔対ができ光電流として出力される。よって、画像センサ3での各画素を構成する受光素子11においては、半導体基板としてのシリコン基板20での受光素子形成領域において、浅いPN接合部で短波長の光が検出され、また、深いPN接合部で長波長の光が検出される。つまり、浅い位置のPN接合部で青〜緑色検出用の受光素子を構成することができるとともに、深い位置のPN接合部で赤色検出用の受光素子を構成することができる。
1画素中に実質的に2つの受光素子を形成すると、その分光感度特性は、図5に示すようになる。
光源の分光放射強度は、白色光と赤色光とで概略図7である。そのため、図5のような分光感度特性を持った受光素子で白色光と赤色光を受けた場合、その受光素子出力を比較すると、概略、図6のようになる。よって、深いPN接合部と浅いPN接合部の出力を比較することにより、受光した光が白色光か赤色光かを判別することができる。つまり、浅いPN接合部での短波長の光(青〜緑の光)と、深いPN接合部での長波長の光(赤色光)の比率をとると、白色光については浅いPN接合部での短波長の光(青〜緑の光)の出力と、深いPN接合部での長波長の光(赤色光)の出力の比が「1」に近い値をとり、赤色光については深いPN接合部での長波長の光(赤色光)の出力に比べ浅いPN接合部での短波長の光(青〜緑の光)の出力が小さい。これにより、白色光と先行車の尾灯からの赤色光を判別することができる。
具体的には、画像センサ3での浅いPN接合部において短波長の光を、深いPN接合部において長波長の光を検出した後に、マイクロプロセッサ4は浅いPN接合部での短波長の光と深いPN接合部での長波長の光の比率を求め、その比率がほぼ等しいならば白色光であるとし、赤受光部出力よりも青〜緑受光部出力が小さい場合には赤色光と判別する。
より具体的な画像例を用いて以下説明する。
今、夜間において図8に示すように反射板50が設置されている道路を走行し、先行車30および対向車40が在り、尾灯(テールランプ)31および前照灯(ヘッドランプ)41が点灯している。画像センサ3により撮像してマイクロプロセッサ4で処理することにより、図9に示すように、赤色光を抽出して先行車の尾灯31を検出することができ、これにより夜間走行において先行車が在ることを認識できる。
つまり、対向車の前照灯(ヘッドランプ)41は比較的明るいため認識しやすいが、先行車の尾灯(テールランプ)31は暗いため反射板50や外乱光を他車の尾灯と誤認識しやすいが、本実施形態においては尾灯が赤色であることを利用して先行車の尾灯と他の光とを識別することができる(尾灯の赤色光と外乱光である白色光とを判別することができる)。
この車載用車両認識装置における結果に基づいて車両用ライト制御装置はヘッドランプ6を制御する。例えば、夜間において先行車が在ると自車の前照灯(ヘッドライト)をロービームにする。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)車載用車両認識装置の構成として、画像センサ3により車両前方の進行方向を撮像し、撮像データから先行車30の尾灯31を検出して先行車30を認識する際に、画像センサ3での各画素を構成する受光素子11において、半導体基板としてのシリコン基板20での受光素子形成領域に浅いPN接合部と深いPN接合部を形成し、浅いPN接合部を構成するP型領域(第1導電型の不純物拡散領域)22とN型領域(第2導電型の不純物拡散領域)21との間に流れる、短波長の光の強度に応じた電流の出力と、深いPN接合部を構成するP型シリコン基板(第1導電型の不純物拡散領域)20とN型領域(第2導電型の不純物拡散領域)21との間に流れる、長波長の光の強度に応じた電流の出力との比により白色光と先行車30の尾灯31からの赤色光を判別するようにした。よって、1つの画素で色フィルタを使用せずに白色光と赤色光を判別でき、その結果、共通のレンズ15(図2参照)を用い、2つの光学系を不要にでき組み立て容易であるとともに小型化可能な車載用車両認識装置を提供することができる。
詳しくは、従来、光学系レンズは、色フィルタが有る受光素子(画素)と色フィルタの無い受光素子(画素)とで全く同一の画角・画像をとる必要があるため、レンズ形状およびレンズ組付に高精度が要求される。即ち、2つの受光素子(画素)、色フィルタ、レンズ等が必要となるため大型化を招き、組付け部品も増え、実装時の高精度組み付けという影響でコストも上がるという問題があった。これに対し、本実施形態においては、車両認識装置に使われる画像センサの各画素を、深さ方向に分割して、各画素(受光素子11)で分光感度特性が異なる受光部を形成することにより、同一画素内で、車両ランプの赤色光・白色光を判別・認識できる。つまり、受光素子は深さにより分光感度特性が異なることを考慮し、同一画素内で縦方向に分光感度特性の異なる受光部を形成することにより、従来のような色フィルタおよび複数の受光素子(画素)を使用せずに白色光と赤色光を判別でき、高精度な組付け精度を必要とせず、小型で、低コストな車両認識装置を構成することができる。
(2)特に、P型領域となるP型シリコン基板20の表層部に、N型領域21を形成するとともに、N型領域21においてシリコン基板20の表層部にN型領域21よりも浅いP型領域22を形成して、N型領域21の底面とP型のシリコン基板20との界面にて深いPN接合部を形成するとともにP型領域22の底面とN型領域21との界面にて浅いPN接合部を形成したので、光軸を1つにすることができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。
本実施形態における車載用車両認識装置も、画像センサ3により車両前方の進行方向を撮像し、撮像データから先行車30の尾灯31を検出して先行車30を認識する装置である。
第1の実施形態においては、多数の画素を配列した画像センサ3での同一画素エリア内に、短波長の光の強度に応じた電気信号と、長波長の光の強度に応じた電気信号とを出力する2つの異なる分光感度特性をもつ受光素子を形成し、その2つの出力信号比により白色光と赤色光(尾灯)を判別した。詳しくは、第1の実施形態においては、シリコン基板に浅い位置のPN接合部と深い位置のPN接合部を形成し、短波長と長波長の分光感度特性を持つ受光素子を構成し、短波長側の光出力と、長波長側の光出力とを比較して白色光と赤色光との判別を行う。このように深さ方向に深さが異なるPN接合を形成する場合には、短波長と長波長の分光感度特性は、ともに、波長に対してなだらかな曲線となりやすく、シャープな立ち上がり、立ち下り特性を得にくく、白色光と赤色光の明確な色分離を行うという点で改良の余地がある。第2の実施形態ではこの点を考慮して構成している。
図10に示すように、画像センサ3での各画素60において、同一画素エリア内に第1および第2受光素子61,62が配置され、各画素60は第1受光素子61と第2受光素子62とで構成されている。第1受光素子61は、短波長の光の強度に応じた電流(電気信号)を出力する。第2受光素子62は、第1受光素子61に対し横方向に隣り合って配置され、長波長の光の強度に応じた電流(電気信号)を出力する。この異なる分光感度特性をもつ第1および第2受光素子61,62の出力の比により白色光と先行車30の尾灯31からの赤色光が判別される。
具体例を挙げると、第1受光素子61は、例えば500nmの緑色の光を短波長の光としてその強度に応じた電気信号を出力する。また、第2受光素子62は、例えば700nmの赤色の光を長波長の光としてその強度に応じた電気信号を出力する。
第2受光素子62に関して、図11に示す構成となっている。図11において、P型シリコン基板70の表層部の所定領域にN型不純物拡散領域71が形成され、これにより、長波長の光以外の光も光電変換可能な受光部62aが構成されている。シリコン基板70上には配線72が配置されるとともにその上に遮光膜73が配置され、さらにその上は2層の絶縁膜74にて覆われている。絶縁膜74の上面は平坦化され、その平坦面には色フィルタ75および保護膜76が形成され、色フィルタ75は受光部62aの真上に位置している。そして、色フィルタ75を通して長波長の光が受光部62aに受光される。この色フィルタ75は、ポリマー自身で構成する、あるいは、染料または顔料を含んだポリマーで構成している。
このように、第2受光素子62について、基板70に、長波長の光以外の光も光電変換可能な受光部62aが形成され、この受光部62a上に長波長の光のみを通す色フィルタ75が配置されている。第1受光素子61については、緑色フィルタが設置され、緑色の光のみを光電変換するようになっている。
図12には色フィルタを受光部上に配置して、異なる分光感度特性を持たせた場合の各受光素子の分光感度特性を示す。図13には、その受光素子での白色光と赤色光の各受光素子での出力比の原理を示す。
図14には、後段の信号処理回路を示す。図14において、センサチップ10の各画素60に対しシフトレジスタ80とシフトレジスタ81が接続されている。各画素60での受光に伴う電気信号(データ)がアンプ82を通して処理回路83に送られる。
次に、作動について説明する。
同一画素内に、異なる分光感度特性を持った受光素子61,62を配置したため、その画素60に投影された像においては、両受光素子61,62が互いに接近しているので後段の処理回路83において、同一位置の信号として処理することができる。また、読み込みタイミングは同じであるので、同一時間の信号であると見なすことができる。
例えば、図12に示すような分光輝度特性を持った白色光と赤色光が、その画素60上に結像した場合、次のようになる。
図13に示すように、緑色フィルタがかかった受光素子と赤色フィルタがかかった受光素子の出力は、白色光の場合は、ほぼ同一となるが、赤色光の場合は、赤色フィルタがかかった受光素子の方が大きくなる。よって、その出力比を比較することにより、白色光か赤色光かを判別することができる。
このようにして、図13に示すように第1と第2受光素子61,62の出力比を比較することにより、白色光と赤色光を判別することができる。その結果、同一画素内に、異なる分光感度特性を持つ受光素子61,62を形成し、それを1画素として後段にて処理することにより、第1の実施の形態のように深さ方向で特性の異なる受光部を構成する場合に比べ、より明確に色分離して白色光と赤色光を判別することができる。
また、従来、2つのレンズ、2つの受光素子(画素)を使用した場合、レンズの光学的なずれや、読み込みタイミングのずれなどから、同一の位置・時間信号として扱う場合、誤差が生じる。これに対し第1および第2の実施形態では、同一画素内に2つの分光感度特性を持った素子を形成することにより、結像した画像の位置の同一性および同時性が保たれ、これにより、誤差が生じることなく同一の位置・時間信号として扱うことができる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(3)図10に示したように、画像センサ3での各画素60を、短波長の光の強度に応じた出力の第1受光素子61と、第1受光素子61に対し横方向に配置され、長波長の光の強度に応じた出力の第2受光素子62とで構成し、この異なる分光感度特性をもつ第1および第2受光素子61,62の出力の比により白色光と先行車30の尾灯31からの赤色光を判別するようにした。よって、画像センサでの各画素に配置された異なる分光感度特性をもつ第1および第2受光素子61,62の出力の比により白色光と先行車の尾灯からの赤色光が判別される。よって、1つの画素で白色光と赤色光を判別でき、小型化を図ることが可能となる。また、共通のレンズ15(図2参照)を用い、2つの光学系を不要にでき組み立て容易である。
(4)図11に示したように、第2受光素子62は、基板70に、長波長の光以外の光も光電変換可能な受光部62aが形成され、受光部62a上に長波長の光のみを通す色フィルタ75が配置されて構成している。特に、この色フィルタ75は、ポリマー自身で構成する、あるいは、染料または顔料を含んだポリマーで構成したので、一般的なカラー画像センサに用いられるような色フィルタを使用することにより、特殊な工程を使わずに色分離を行うことができる。
(5)図14に示したように、第1受光素子61と第2受光素子62の出力は、画像センサとして同一位置の画素信号として処理される。また、第1受光素子61と第2受光素子62の出力は、画像センサとして同一時間の画素信号として処理される。即ち、第1および第2受光素子61,62が互いに接近しているので同一画素に投影された像においては同一位置の信号として処理することができる。また、読み込むタイミングを同じにすることにより、同一時間の信号であると見なすことができる。
以下、別例について説明する。
図11に代わり、図15や図16に示す構成としてもよい。
図15において、長波長のみを通す色フィルタ77は、CMOS集積回路を形成する工程で形成される膜にて構成されている(兼ねている)。あるいは、色フィルタ77は、受光部62aまたはCMOS半導体回路を保護する保護膜を兼ねていてもよい。このように、通常のCMOS集積回路を形成する工程において、例えば保護膜にて、色フィルタ77を構成することにより、特殊な工程を使わずに色分離を行うことができる。
図16において、長波長の光のみを通す色フィルタ78は、受光部62a上に形成されるマイクロレンズを兼ねている。これにより、通常の画像センサにて形成するマイクロレンズに色フィルタ機能を持たせることにより、特殊なフィルタ形成工程を使わずに色分離を行なうことができる。
また、図10においては、短波長の光の強度に応じた電流を出力する第1受光素子61と、長波長の光の強度に応じた電流を出力する第2受光素子62は、同一画素内で隣り合って配置されていた。これに対し、図17に示すように市松模様となるようにして、即ち、同一画素内に、2つの第1受光素子61と2つの第2受光素子62を、互いに交差するようにして配置する。これにより、画素に投影された像が小さい場合においても両方の受光素子61,62に同程度に光が当たるため同一位置の信号と見なすことができる。
また、さらに投影される像が小さいことが要求される場合(遠くの場合)、図18(b)に示すように、意図的に焦点をぼかして異なる分光感度の受光素子61,62に同程度に光が当たるようにしてもよい(像を大きくして第1および第2の受光素子61,62に当てる)。即ち、第1受光素子61および第2受光素子62と光学系に配したレンズとの関係において焦点をずらし、これにより、画素への光をぼかして第1受光素子61および第2受光素子62に光が回り込むようにする。焦点をずらす代わりにレンズと受光素子61,62との間に拡散部材等を配置してぼかすようにしてもよい。
詳しくは、図18(a)に示すように、符号90で示す光の当たる領域、即ち、結像面積が小さい場合(遠くの光の場合)、受光素子61(または受光素子62)に光がまたぐ場合があり、その場合出力比に誤差が生じる。これに対し、図18(b)に示すように、画素への光をぼかすことにより、符号91で示すぼかさない場合の光の当たる領域を、符号92で示すようにぼかした領域として、両方の受光素子61,62に同様に光りが当たることとなり、上記のような誤差を低減させることができる。図10の場合も同様である。
実施形態における車両用ライト制御装置の全体の概略構成図。 車載用車両認識装置の光学系の構成図。 第1の実施形態での画像センサにおけるセンサチップの斜視図。 センサチップにおける1画素中の受光素子の縦断面図。 感度領域に対する相対感度を示す分光感度特性図。 白色光、赤色光についての出力を示す出力特性図。 感度領域に対する相対出力を示す光源分光放射強度特性図。 車両前方の進行方向を示す図。 処理後の画像を示す図。 第2の実施形態におけるセンサチップの斜視図。 センサチップの縦断面図。 分光感度特性図。 白色光、赤色光についての出力を示す出力特性図。 車載用車両認識装置の回路構成図。 別例のセンサチップの縦断面図。 別例のセンサチップの縦断面図。 別例のセンサチップの斜視図。 (a),(b)は焦点をずらさない場合とずらした場合についてのセンサチップの画素での結像図。
符号の説明
3…画像センサ、4…マイクロプロセッサ、10…センサチップ、11…受光素子、20…P型シリコン基板、21…N型領域、22…P型領域、60…画素、61…第1受光素子、62…第2受光素子、75,77,78…色フィルタ。

Claims (12)

  1. 画像センサ(3)により車両前方の進行方向を撮像し、撮像データから先行車(30)の尾灯(31)を検出して先行車(30)を認識する車載用車両認識装置であって、
    画像センサ(3)での各画素を構成する受光素子(11)において、半導体基板(20)での受光素子形成領域に浅いPN接合部と深いPN接合部を形成し、浅いPN接合部を構成する第1導電型の不純物拡散領域(22)と第2導電型の不純物拡散領域(21)との間に流れる、短波長の光の強度に応じた電流の出力と、深いPN接合部を構成する第1導電型の不純物拡散領域(20)と第2導電型の不純物拡散領域(21)との間に流れる、長波長の光の強度に応じた電流の出力との比により白色光と先行車(30)の尾灯(31)からの赤色光を判別するようにしたことを特徴とする車載用車両認識装置。
  2. 第1導電型の不純物拡散領域となる第1導電型のシリコン基板(20)の表層部に第2導電型の不純物拡散領域(21)を形成するとともに、当該第2導電型の不純物拡散領域(21)においてシリコン基板(20)の表層部に前記第2導電型の不純物拡散領域(21)よりも浅い第1導電型の不純物拡散領域(22)を形成して、第2導電型の不純物拡散領域(21)の底面と第1導電型のシリコン基板(20)との界面にて深いPN接合部を形成するとともに第1導電型の不純物拡散領域(22)の底面と第2導電型の不純物拡散領域(21)との界面にて浅いPN接合部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の車載用車両認識装置。
  3. 画像センサ(3)により車両前方の進行方向を撮像し、撮像データから先行車(30)の尾灯(31)を検出して先行車(30)を認識する車載用車両認識装置であって、
    画像センサ(3)での各画素(60)を、短波長の光の強度に応じた出力の第1受光素子(61)と、第1受光素子(61)に対し横方向に配置され、長波長の光の強度に応じた出力の第2受光素子(62)とで構成し、この異なる分光感度特性をもつ第1および第2受光素子(61,62)の出力の比により白色光と先行車(30)の尾灯(31)からの赤色光を判別するようにしたことを特徴とする車載用車両認識装置。
  4. 前記第2受光素子(62)は、基板(70)に、長波長の光以外の光も光電変換可能な受光部(62a)が形成され、当該受光部(62a)上に長波長の光のみを通す色フィルタ(75)が配置されてなることを特徴とする請求項3に記載の車載用車両認識装置。
  5. 前記長波長の光のみを通す色フィルタ(75)は、ポリマー自身で構成する、あるいは、染料または顔料を含んだポリマーで構成したことを特徴とする請求項4に記載の車載用車両認識装置。
  6. 前記長波長の光のみを通す色フィルタ(77)は、CMOS集積回路を形成する工程で形成される膜にて構成されていることを特徴とする請求項4に記載の車載用車両認識装置。
  7. 前記長波長の光のみを通す色フィルタ(77)は、前記受光部(62a)またはCMOS半導体回路を保護する保護膜を兼ねていることを特徴とする請求項4に記載の車載用車両認識装置。
  8. 前記長波長の光のみを通す色フィルタ(78)は、前記受光部(62a)上に形成されるマイクロレンズを兼ねていることを特徴とする請求項4に記載の車載用車両認識装置。
  9. 同一画素内に、2つの第1受光素子(61)と2つの第2受光素子(62)を、互いに交差するようにして配置してなることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の車載用車両認識装置。
  10. 第1受光素子(61)と第2受光素子(62)の出力は、画像センサとして同一位置の画素信号として処理されることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の車載用車両認識装置。
  11. 第1受光素子(61)と第2受光素子(62)の出力は、画像センサとして同一時間の画素信号として処理されることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の車載用車両認識装置。
  12. 画素への光をぼかして前記第1受光素子(61)および第2受光素子(62)に光が回り込むようにしたことを特徴とする請求項3〜11のいずれか1項に記載の車載用車両認識装置。
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