JP2006304166A - 撮像装置及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高輝度光の入射位置に合わせて、撮像素子の撮像データの転送順序を変更することで、高輝度光の漏れ光による回路の誤動作を抑制し、白黒反転現象の発生を抑制した撮像装置とその駆動方法を提供する。
【解決手段】 撮像素子の撮像データを、高輝度光が入射している側から読み出す。
【選択図】 図1
【解決手段】 撮像素子の撮像データを、高輝度光が入射している側から読み出す。
【選択図】 図1
Description
本発明は、撮像装置および撮像装置の駆動方法に関し、特に、撮像出力の転送順序を切換可能な全画素同時露光方式の順次転送型撮像素子を備えた撮像装置および撮像装置の駆動方法に関する。
監視カメラ等の撮像装置において、特に屋外を撮影する際には、太陽や夜間照明用ライト、車のヘッドライト等の非常に高輝度な物体を良好に撮影すると共に、影となる部分も撮影する必要があるため、適正な出力信号を得ることができる入射光量範囲、すなわちダイナミックレンジの広い撮像素子が必要となる。これを実現するために、対数変換方式のCMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor)型撮像素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、特に移動する物体の形状を歪みなく撮影するためには、典型的な順次転送型撮像素子であるCMOS型撮像素子で一般的に行われている、露光と撮像データ読み出しを画素の行毎に時系列で行う、いわゆるローリングシャッタ方式ではなく、全画素同時露光(いわゆるグローバルシャッタ)方式が望ましいため、そのための回路が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、グローバルシャッタ方式の撮像素子で課題となる、リセット用トランジスタのリーク電流によるシェーディングノイズ対策案として、リセット用トランジスタのリセット電圧を2値化する方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。
また、後段での画像処理や画像表示の簡便性のために、撮像データの転送順序を切換可能とした撮像素子が提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。
特開平11−298798号公報
特開2002−77733号公報
特開2004−349907号公報
特開2001−292962号公報
特開2003−309771号公報
しかしながら、これらの種々の電気的対応を施した撮像素子においても、非常に輝度の高い被写体を撮影した場合に、高輝度光の漏れ光によって回路の誤動作が起き、非常に輝度の高い被写体であるにも関わらず、真っ黒な被写体であるかのごとき画像データになってしまう、いわゆる白黒反転という不具合現象が発生する場合がある。図8を用いて、白黒反転現象について説明する。
図8(a)は、例として、高輝度被写体の代表である太陽SUNが、撮像光学系201を通して撮像素子100上に結像する場合を示している。図8(b)は、撮像素子100の撮像面100a上の輝度分布を示している。太陽SUNの像IM001が撮像面100aの中央より図8において下側に入射している。この時、理想的な撮像が行われれば、図8(c)のように太陽に相当する部分が全て明るくなった画像が得られ、像IM001の中心を通る水平X行目の輝度分布データは、図8(d)のように太陽に相当する輝度領域は全域高輝度を表す輝度分布を示すはずである。
しかしながら、例えば太陽のように非常に輝度の高い被写体の場合は、図8(e)のように、像IM001の中心部IM002が真っ黒になる白黒反転現象が発生し、像IM001の中心を通る水平X行目の輝度分布データは図8(f)のように中央が凹になった形状になる。これが「白黒反転」である。
本出願人による検討の結果、以上に述べた白黒反転現象は、高輝度光の漏れ光が画素を構成するトランジスタに入射することにより回路が誤動作することで発生している可能性が高いことが分かっている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、高輝度光の入射位置に合わせて、撮像素子の撮像データの転送順序を変更することで、高輝度光の漏れ光による回路の誤動作を抑制し、白黒反転現象の発生を抑制した撮像装置とその駆動方法を提供することを目的とする。
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
(請求項1)
被写体を撮像するための撮像光学系と、
全画素同時露光方式の順次転送型撮像素子であって、前記撮像光学系により結像された被写体像を撮像して撮像データを出力する撮像素子とを備えた撮像装置において、
前記撮像素子は、撮像出力の転送順序を切り換え可能であり、
前記撮像素子の撮像面上の被写体像の輝度分布を測定する輝度分布測定手段と、
前記輝度分布測定手段で測定された輝度分布に基づいて、前記撮像面上の高輝度領域を検知する高輝度領域検知手段と、
前記高輝度領域検知手段の検知結果に基づいて、前記撮像素子の撮像出力の転送順序を決定する転送順序決定手段とを有することを特徴とする撮像装置。
被写体を撮像するための撮像光学系と、
全画素同時露光方式の順次転送型撮像素子であって、前記撮像光学系により結像された被写体像を撮像して撮像データを出力する撮像素子とを備えた撮像装置において、
前記撮像素子は、撮像出力の転送順序を切り換え可能であり、
前記撮像素子の撮像面上の被写体像の輝度分布を測定する輝度分布測定手段と、
前記輝度分布測定手段で測定された輝度分布に基づいて、前記撮像面上の高輝度領域を検知する高輝度領域検知手段と、
前記高輝度領域検知手段の検知結果に基づいて、前記撮像素子の撮像出力の転送順序を決定する転送順序決定手段とを有することを特徴とする撮像装置。
(請求項2)
前記輝度分布測定手段は、前記撮像素子により、輝度分布の測定を行うための予備露光を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
前記輝度分布測定手段は、前記撮像素子により、輝度分布の測定を行うための予備露光を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
(請求項3)
高輝度領域を検知するための基準となる基準輝度データを記憶する記憶手段を有し、
前記高輝度領域検知手段は、前記予備露光によって得られる撮像出力と、前記記憶手段に記憶された基準輝度データとを比較することで、高輝度領域を検知することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
高輝度領域を検知するための基準となる基準輝度データを記憶する記憶手段を有し、
前記高輝度領域検知手段は、前記予備露光によって得られる撮像出力と、前記記憶手段に記憶された基準輝度データとを比較することで、高輝度領域を検知することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
(請求項4)
高輝度領域を検知するための基準となる基準輝度データを記憶する記憶手段を有し、
前記高輝度領域検知手段は、前記予備露光によって得られる撮像出力のうち、前記記憶手段に記憶された基準輝度データを超える輝度を有する領域内の輝度分布の状況により高輝度領域を検知することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
高輝度領域を検知するための基準となる基準輝度データを記憶する記憶手段を有し、
前記高輝度領域検知手段は、前記予備露光によって得られる撮像出力のうち、前記記憶手段に記憶された基準輝度データを超える輝度を有する領域内の輝度分布の状況により高輝度領域を検知することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
(請求項5)
受光面が前記撮像素子と略同一範囲を睨み、かつ、複数の領域に分割された測光素子を有し、
前記輝度分布測定手段は、前記測光素子により輝度分布を測定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
受光面が前記撮像素子と略同一範囲を睨み、かつ、複数の領域に分割された測光素子を有し、
前記輝度分布測定手段は、前記測光素子により輝度分布を測定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
(請求項6)
前記転送順序決定手段は、前記撮像出力の転送方向を変更することで転送順序を切り換えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
前記転送順序決定手段は、前記撮像出力の転送方向を変更することで転送順序を切り換えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
(請求項7)
被写体を撮像するための撮像光学系と、
全画素同時露光方式の順次転送型撮像素子であって、前記撮像光学系により結像された被写体像を撮像して撮像出力する撮像素子とを備えた撮像装置の制御方法において、
前記撮像素子の撮像面上の被写体像の輝度分布を測定する輝度測定工程と、
前記輝度測定工程で測定された輝度分布に基づいて前記撮像面上の高輝度領域を検知する検知工程と、
前記撮像素子の撮像データを、前記検知工程で検知された高輝度領域近傍から順次転送する転送工程とを含むことを特徴とする撮像装置の制御方法。
被写体を撮像するための撮像光学系と、
全画素同時露光方式の順次転送型撮像素子であって、前記撮像光学系により結像された被写体像を撮像して撮像出力する撮像素子とを備えた撮像装置の制御方法において、
前記撮像素子の撮像面上の被写体像の輝度分布を測定する輝度測定工程と、
前記輝度測定工程で測定された輝度分布に基づいて前記撮像面上の高輝度領域を検知する検知工程と、
前記撮像素子の撮像データを、前記検知工程で検知された高輝度領域近傍から順次転送する転送工程とを含むことを特徴とする撮像装置の制御方法。
請求項1に記載の発明によれば、被写体像の輝度分布から高輝度光が入射している領域を検出し、検知結果に基づいて撮像素子の撮像出力転送順序を決定することで、高輝度光の漏れ光による回路の誤動作を極力防止し、白黒反転現象の発生を抑制した撮像装置を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、撮像素子の予備露光により高輝度光が入射している領域を検出し、検知結果に基づいて撮像素子の撮像出力転送順序を決定することで、高輝度光の漏れ光による回路の誤動作を極力防止し、白黒反転現象の発生を抑制した撮像装置を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、被写体像の輝度分布を基準データと比較することで高輝度光が入射している領域を検出し、検知結果に基づいて撮像素子の撮像出力転送順序を決定することで、高輝度光の漏れ光による回路の誤動作を極力防止し、白黒反転現象の発生を抑制した撮像装置を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、被写体像の輝度分布が基準データを超える領域の輝度分布から高輝度光が入射している領域をより正確に検出し、検知結果に基づいて撮像素子の撮像出力の転送順序を決定することで、高輝度光の漏れ光による回路の誤動作を極力防止し、白黒反転現象の発生を抑制した撮像装置を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、撮像素子とは別設の測光素子により高輝度光が入射している領域を検出し、検知結果に基づいて撮像素子の撮像出力転送順序を決定することで、高輝度光の漏れ光による回路の誤動作を極力防止し、白黒反転現象の発生を抑制した撮像装置を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、撮像出力の転送方向を変えることにより転送順序を変更することで、複雑な構成の回路を必要とせず、簡単な制御で、高輝度光の漏れ光による回路の誤動作を極力防止し、白黒反転の発生を抑制した撮像装置を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、撮像出力の転送方向を変えることにより転送順序を変更することで、複雑な構成の回路を必要とせず、簡単な制御で、高輝度光の漏れ光による回路の誤動作を極力防止し、白黒反転の発生を抑制した撮像装置を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、被写体像の輝度分布から高輝度光が入射している領域を検出し、検知結果に基づいて撮像素子の撮像出力の転送を高輝度領域近傍から行うことで、高輝度光の漏れ光による回路の誤動作を極力防止し、白黒反転現象の発生を抑制した撮像装置の駆動方法を提供することができる。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
まず、「白黒反転」現象の発生のメカニズムを、図9を用いて説明する。
図9は、CMOS型撮像素子に代表される順次転送型の、グローバルシャッタ方式の撮像素子を構成する画素の回路例である。動作を簡単に説明すると、図示しない撮像光学系によって撮像素子100上に結像された被写体からの光は、画素101の光電変換回路101aで光電変換され、グローバルシャッタ開期間中、キャパシタC1に蓄積される。グローバルシャッタ閉のタイミングでφSWが一定期間オンされてトランジスタT5が一定期間オンされ、キャパシタC1とC2の容量比に従って、C1に蓄積された電荷がC2に転送される。これで、全画素同時に撮像データが記憶されたことになる。
図9は、CMOS型撮像素子に代表される順次転送型の、グローバルシャッタ方式の撮像素子を構成する画素の回路例である。動作を簡単に説明すると、図示しない撮像光学系によって撮像素子100上に結像された被写体からの光は、画素101の光電変換回路101aで光電変換され、グローバルシャッタ開期間中、キャパシタC1に蓄積される。グローバルシャッタ閉のタイミングでφSWが一定期間オンされてトランジスタT5が一定期間オンされ、キャパシタC1とC2の容量比に従って、C1に蓄積された電荷がC2に転送される。これで、全画素同時に撮像データが記憶されたことになる。
次に、垂直走査回路102により各水平行の中の読み出し行のφVがオンされてトランジスタT3がオンされ、トランジスタT4を介して、キャパシタC2に記憶された撮像データが、後述するサンプルホールド回路105に転送される。出力後、φRSがオンされてトランジスタT6がオンされ、キャパシタC2を放電リセットする。以上が正常な動作である。
入射光が非常に高輝度の場合、上述のように全画素同時に撮像データがキャパシタC2に記憶されてから、サンプルホールド回路105に出力されるまでに、例えばトランジスタT5やT6に高輝度光の漏れ光が入射すると、トランジスタT5やT6が誤動作してキャパシタC2に記憶されている電荷を放電してしまう。漏れ光による誤動作の度合いが強過ぎると、キャパシタC2に記憶された電荷は完全に放電されてしまい、暗黒状態と同じ画像データとなる。これが、「白黒反転」である。
通常は、サンプルホールド回路105への画像データの転送は、撮像素子100の水平行毎に順に行われるので、転送の順番が遅い水平行ほど高輝度光の漏れ光による放電の度合いが強くなり、白黒反転の量も大きくなる。
もちろん、このようなトランジスタの誤動作を防ぐために、画素101のパターン設計では、遮光パターンを用いて遮光が行われるが、感度を確保するために、光電変換回路101a中のフォトダイオード部は開口を極力大きくする必要があり、かつ、最近の撮像素子は非常に小型化されているため、遮光パターンによる遮光率は相対的に低くなり、漏れ光がトランジスタに入射することを完全に抑制することは困難で、漏れ光による誤動作は防ぎきれない。
そこで、本発明の実施の形態においては、高輝度光が入射したことを検知して、高輝度光が入射している領域あるいはその近傍の撮像素子100の端の水平行からサンプルホールド回路105への出力を行うことで、撮像データをキャパシタC2に保持する必要のある時間を短くして、高輝度光の漏れ光によるキャパシタC2の放電の影響をなくし、白黒反転を抑制する。以下、本発明の実施の形態を詳述する。
まず、本発明に係る撮像装置1の第1の実施の形態について図1乃至図4を用いて説明する。図1は、本発明に係る撮像装置1の第1の実施の形態を示す模式図である。
図1で、鏡胴20内には撮像光学系201が設けられ、筐体10内で、撮像光学系201の結像面位置に、撮像面100aが光軸202に垂直となるように、撮像素子100が配置されている。撮像素子100は、基板110上にハンダ付け等で電気的に接続され、同様に基板110上に配置された高輝度領域検知部120、信号処理手段140や、その他の撮像装置1を構成する図示しない回路素子と電気的に接続されている。撮像素子100は、本発明における輝度分布測定手段として機能するものである。
図2は、図1に示した撮像素子100およびその周辺の回路構成の例を示すブロック図である。図中、図1と同じ部分には同じ番号を付与した。
図2で、撮像素子100の撮像面100a上には、画素101が複数個2次元に配列され、各画素には、2次元配列の水平行と垂直列のアドレスが割り付けられている。各画素は、垂直走査回路102と垂直転送線106とにそれぞれ接続され、全画素同時露光が行われて各画素毎に撮像データが保持された後、垂直走査回路102で指定された水平行の撮像データが、垂直転送線106を介して同時にサンプルホールド回路105に転送され、水平走査回路103の動作によって、出力回路104から撮像出力131として順次出力される。
本実施の形態に係る撮像素子100は、撮像出力131の転送順序を切り換え可能である。通常の撮像素子では、撮像データの転送順序は、最上行から最下行に向けて順次転送を行うか、または最下行から最上行に向けて順次転送を行うかのどちらか一方に固定されているのが一般的であるが、垂直走査回路の設計によっては、例えば、制御信号によりシフト方向を逆転させる論理回路によって構成された双方向シフトレジスタを用いる等により、最上行から最下行に向けてと、最下行から最上行に向けての、双方向に転送可能にすることも、さほどの困難なく可能であるし、垂直走査回路にアドレスレコーダ回路を設ける等してランダムアクセス機能を持たせることで、任意の行から任意の順序で転送を行うことも可能である。
撮像装置1における撮像動作は、まず、高輝度領域を検知して撮像出力131の転送順序を決定するために、撮像素子100で予備露光が行われ、既定の転送順序で予備露光時の撮像出力131が出力される。予備露光時の露光条件(例えば、絞り値、露出時間等)は、高輝度領域の検知が出来さえすればよく、本露光時の露光条件と同一に合わせなければならないものではない。撮像出力131は、高輝度領域検知部120内の高輝度領域検知手段121に入力され、記憶手段123に記憶されている基準輝度データ134と比較されて、高輝度領域が抽出されて、高輝度領域データ132として出力される。高輝度領域データ132は、転送順序決定手段122に入力されて、撮像画面300上で高輝度領域が存在する場所に応じて転送順序が決定され、転送順序情報133として垂直走査回路102と信号処理手段140に入力される。ここに、基準輝度データ134は、太陽、ガラスや金属表面等の鏡面での太陽の反射像、サーチライトや自動車のヘッドライト等の明るい光源のみがそのレベルを超えるような、非常に強い高輝度を示すデータである。
次に、画像の記録あるいは表示のために、撮像素子100で本露光が行われ、本露光時の撮像出力131が、画像の記録あるいは表示のための信号処理を行う信号処理手段140に入力される。また、撮像出力131の転送順序を示す転送順序情報133も信号処理手段140に入力され、撮像出力131は、転送順序情報133が示す転送順序に基づいて、信号処理手段140で信号処理される。
図3は、本発明に係る撮像装置1の第1の実施の形態における動作の流れを示すフローチャートである。図中、図1および図2と同じ部分には同じ番号を付与した。
図3のステップS101で、撮像素子100で予備露光が行われ(輝度測定工程)、ステップS102で既定の転送順序で予備露光時の撮像出力131が出力される。撮像出力131は、高輝度領域検知部120内の高輝度領域検知手段121に入力され、ステップ103で、記憶手段123に記憶されている基準輝度データ134と比較されて、各行毎に高輝度光が入射している領域が列のアドレス値として抽出され、予備露光の1画面分の全行に対して同じ検知が行われて、画面全体の高輝度領域の水平行と垂直列のアドレス値が高輝度領域データ132として出力される(検知工程)。
高輝度領域データ132は、転送順序決定手段122に入力されて、ステップS104で、図4の説明で後述する方法により転送順序が決定され、転送順序情報133として垂直走査回路102に入力される。ここまでが、予備露光による転送順序決定の流れである。
次に、ステップS105で、撮像素子100で本露光が行われ、ステップS106で、ステップS104で決定された転送順序情報133に従って、本露光時の撮像出力131が転送される(転送工程)。ステップS107で、ステップS104で決定された転送順序情報133に従って、信号処理手段140によって、ステップS106で転送された撮像出力131が信号処理され、ステップS108で、撮像の目的に従って、画像として図示しない表示部に出力されたり、図示しない記録部に画像データとして記録される。ステップS109で、撮像を終了するか否かが判断され、終了する場合(ステップS109;YES)は、そのまま終了し、終了しない場合は、ステップS101に戻って上述の動作を繰り返す。
図4は、本発明に係る撮像装置1の第1の実施の形態での、転送順序決定手段122における転送順序の決定方法を説明する図であり、図4(a)は撮像素子100に高輝度光が入射している場合の予備露光の撮像画面300の模式図、図4(b)は図4(a)の高輝度領域301の中心を通る水平行の輝度分布データの模式図、図4(c)は図4(a)の高輝度領域302の中心を通る水平行の輝度分布データの模式図である。
例えば、図4(a)のように、高輝度光が撮像画面300の上部中央付近301と下部左方302に入射している場合、予備露光の撮像出力131を撮像画面300の最上行U行から転送(図4(a)の破線矢印321方向)した結果、下部左方302の高輝度領域で白黒反転が発生しているとすると、図4(a)の上部中央付近の高輝度領域301のA行の撮像出力131は図4(b)のようになり、下部左方の高輝度領域302のB行の撮像出力131は図4(c)のようになる。これらと基準輝度データ134とが比較されて、撮像出力131の方が大きい領域が高輝度領域311および312として判断される。
予備露光の撮像出力131全部に対して上記の比較を行うと、高輝度領域311は全域が高輝度であるのに対して、高輝度領域312は中央が低輝度となっていわゆるドーナツ状の高輝度領域であることが分かる。このドーナツ状の高輝度領域の中心部が白黒反転が発生している領域である。従って、予備露光でドーナツ状の高輝度領域が検出された場合には、予備露光と同じ転送順序(図4(a)の破線矢印321方向)では本露光でも白黒反転が発生することが予測されるため、ドーナツ状の高輝度領域312に近い側、つまり図4(a)の撮像画面300の最下行L行から撮像出力131の転送を行う(図4(a)の実線矢印322方向)ことで、白黒反転を抑制することができる。
本例の転送方法のように、最上行U行から最下行L行に向かって転送を行うか、最下行L行から最上行U行に向かって転送を行うかの2方向の切り換えを行うだけであれば、そのための回路構成は簡単な構成でよく、制御も簡単で、かつ高い白黒反転抑制効果が得られる。
さらに、より確実に白黒反転を抑制するには、第2の転送方法として、ドーナツ状の高輝度領域312に接する行(図4(a)のC行)からドーナツ状の高輝度領域312の中心部方向に向かう方向(図4(a)の白抜き矢印323方向)に撮像データの転送を行い、最上行U行に達したら、最下行L行に戻ってC行までを転送するのがよい。
ドーナツ状の高輝度領域が複数存在する場合は、それら複数のドーナツ状の高輝度領域を含む領域から転送が行われるように、予備露光時の撮像出力131の転送順序(図4(a)の破線矢印321方向)で最初に転送されたドーナツ状の高輝度領域の画面上端にあたる行から、予備露光時の撮像出力131の転送順序(図4(a)の破線矢印321方向)に撮像データの転送を行い、最下行L行に達したら、最上行U行から順次転送を行うか、予備露光時の撮像出力131の転送方向(図4(a)の破線矢印321方向)で最後に転送されたドーナツ状の高輝度領域の画面下端にあたる行から、予備露光時の撮像出力131の転送順序とは逆方向(図4(a)の矢印322方向)に撮像データの転送を行い、最上行U行に達したら、最下行L行から順次転送を行うようにするのが望ましい。
あるいは、第3の転送方法として、まず最初に、ドーナツ状の高輝度領域の存在する水平行のみを予備露光時の撮像出力131の転送順序(図4(a)の破線矢印321方向)あるいはその逆の順序(図4(a)の矢印322方向)で転送し、その後に残りの水平行を、予備露光時の撮像出力131の転送順序(図4(a)の破線矢印321方向)あるいはその逆の順序(図4(a)の矢印322方向)で転送してもよい。この場合、複数の高輝度領域のアドレスを記憶しておき、それに従ってステップ状に走査する必要があるので、上述した実施形態よりも回路構成も制御も若干複雑になるが、白黒反転部を優先して転送することで、特に複数のドーナツ状の高輝度領域が存在する場合等に、より高い白黒反転抑制効果が得られる。
以上のように、本第1の実施の形態によれば、撮像素子100で全画素同時に撮像データが記憶された後、高輝度光が入射している領域の画素での、撮像データの保持時間を最短にすることができ、高輝度光の入射による白黒反転の発生を抑制することができる。
次に、本発明に係る撮像装置1の第2の実施の形態について、図5乃至図7を用いて説明する。図5は、本発明に係る撮像装置1の第2の実施の形態を示す模式図である。図中、図1乃至図4と同じ部分には同じ番号を付与した。
第2の実施の形態において、第1の実施の形態と相違する点は、撮像光学系201の光路中で、撮像素子100の前方に、ハーフミラー等からなる光路分割手段151が設けられ、光路分割手段151によって分割された光路上に測光レンズ152が設けられ、測光レンズ152の結像位置に、受光面が複数の領域に分割された測光素子160が、撮像素子100と略同一範囲を睨むように配置されている点である。光路分割手段151と測光レンズ152とで測光光学系150が構成され、測光光学系150と測光素子160は、本発明における輝度分布測定手段として機能するものである。測光素子160は、基板110上に配置された高輝度領域検知部120と電気的に接続されている。これにより、測光素子160の受光面には、撮像素子100の撮像面100a上に結像される被写体像と同様の輝度分布を有する像が結像され、精度の高い輝度分布測定が可能となる。
本例では、光路分割手段151で撮像光学系201の光路を2分割して、分割された一方の光路上に測光素子160を配置したが、測光素子160が撮像素子100と略同一範囲を睨むように配置されさえすれば、撮像光学系201とは別に測光専用の光学系を持ってもよい。
図6は、図5に示した撮像素子100周辺の回路構成の例を示すブロック図である。図中、図1乃至図5と同じ部分には同じ番号を付与し、その説明を省略する。
高輝度領域を検知して、撮像出力131の転送順序を決定するために、受光面が複数の領域に分割された測光素子160の測光出力171が高輝度領域検知部120内の高輝度領域検知手段121に入力され、記憶手段123に記憶されている基準輝度データ134と比較されて、基準輝度データ134を超える測光出力171を持つ測光素子160上の領域に高輝度領域が存在すると判断して、その領域と略同じ領域を睨む撮像素子100の画素のアドレスが高輝度領域データ132として出力される。ここに、基準輝度データ134は、太陽、ガラスや金属表面等の鏡面での太陽の反射像、サーチライトや自動車のヘッドライト等の明るい光源の存在する領域のみがそのレベルを超えるような、非常に強い高輝度を示すデータである。
高輝度領域データ132は、転送順序決定手段122に入力されて、前述の図4の方法と同様の方法で転送順序が決定され、転送順序情報133として垂直走査回路102に入力される。
図7は、本発明に係る撮像装置1の第2の実施の形態における動作の流れを示すフローチャートである。図中、図5および図6と同じ部分には同じ番号を付与した。
図7のステップS111で、撮像素子100の露光が開始され、ステップS112で測光素子160の露光が行われて、測光素子160の分割された全領域の測光出力171が高輝度領域検知部120内の高輝度領域検知手段121に入力され、ステップ113で、記憶手段123に記憶されている基準輝度データ134と高輝度領域検知手段121で比較されて、高輝度光が入射している領域が測光素子160上のアドレス値として抽出され、測光素子160上のアドレス値に対応する撮像素子100上の水平行と垂直列のアドレス値が高輝度領域データ132として出力される。
高輝度領域データ132は、転送順序決定手段122に入力されて、ステップS114で、高輝度領域に応じて転送順序が決定され、転送順序情報133として垂直走査回路102に入力される。ここまでが、測光素子160の測光出力171を用いた転送順序決定の流れである。
ステップS115で、撮像素子100の露光が終了され、ステップS116で、ステップS114で決定された転送順序情報133に従って、撮像素子100の撮像出力131が転送される。ステップS117で、ステップS114で決定された転送順序情報133に従って、信号処理手段140によって、ステップS116で転送された撮像出力131が信号処理され、ステップS118で、撮像の目的に従って、画像として図示しない表示部に画像として表示されたり、図示しない記録部に画像データとして記録される。ステップS119で、撮像を終了するか否かが判断され、終了する場合(ステップS109;YES)は、そのまま終了し、終了しない場合は、ステップS101に戻って上述の動作を繰り返す。
本第2の実施の形態によれば、撮像素子100の露光と、測光素子160を含む輝度分布測定手段を用いた高輝度領域抽出とを並行して行うため、図3に示した第1の実施の形態の動作よりも、さらに高速な撮像動作が可能となる。
以上に述べたように、本発明によれば、高輝度光の入射位置に合わせて撮像素子の撮像データの転送順序を変更することで、高輝度光の漏れ光による回路の誤動作を抑制し、白黒反転現象の発生を抑制した撮像装置とその駆動方法を提供することができる。
なお、本発明に係る撮像装置を構成する各構成の細部構成、および撮像装置の駆動方法の細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
1 撮像装置
10 筐体
100 撮像素子
101 画素
102 垂直走査回路
103 水平走査回路
104 出力回路
105 サンプルホールド回路
106 垂直転送線
110 基板
120 高輝度領域検知部
121 高輝度領域検知手段
122 転送順序決定手段
123 記憶手段
131 撮像出力
132 高輝度領域データ
133 転送順序情報
134 基準輝度データ
140 信号処理手段
150 測光光学系
151 光路分割手段
152 測光レンズ
160 測光素子
171 測光出力
20 鏡胴
201 撮像光学系
10 筐体
100 撮像素子
101 画素
102 垂直走査回路
103 水平走査回路
104 出力回路
105 サンプルホールド回路
106 垂直転送線
110 基板
120 高輝度領域検知部
121 高輝度領域検知手段
122 転送順序決定手段
123 記憶手段
131 撮像出力
132 高輝度領域データ
133 転送順序情報
134 基準輝度データ
140 信号処理手段
150 測光光学系
151 光路分割手段
152 測光レンズ
160 測光素子
171 測光出力
20 鏡胴
201 撮像光学系
Claims (7)
- 被写体を撮像するための撮像光学系と、
全画素同時露光方式の順次転送型撮像素子であって、前記撮像光学系により結像された被写体像を撮像して撮像データを出力する撮像素子とを備えた撮像装置において、
前記撮像素子は、撮像出力の転送順序を切り換え可能であり、
前記撮像素子の撮像面上の被写体像の輝度分布を測定する輝度分布測定手段と、
前記輝度分布測定手段で測定された輝度分布に基づいて、前記撮像面上の高輝度領域を検知する高輝度領域検知手段と、
前記高輝度領域検知手段の検知結果に基づいて、前記撮像素子の撮像出力の転送順序を決定する転送順序決定手段とを有することを特徴とする撮像装置。 - 前記輝度分布測定手段は、前記撮像素子により、輝度分布の測定を行うための予備露光を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 高輝度領域を検知するための基準となる基準輝度データを記憶する記憶手段を有し、
前記高輝度領域検知手段は、前記予備露光によって得られる撮像出力と、前記記憶手段に記憶された基準輝度データとを比較することで、高輝度領域を検知することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。 - 高輝度領域を検知するための基準となる基準輝度データを記憶する記憶手段を有し、
前記高輝度領域検知手段は、前記予備露光によって得られる撮像出力のうち、前記記憶手段に記憶された基準輝度データを超える輝度を有する領域内の輝度分布の状況により高輝度領域を検知することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。 - 受光面が前記撮像素子と略同一範囲を睨み、かつ、複数の領域に分割された測光素子を有し、
前記輝度分布測定手段は、前記測光素子により輝度分布を測定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。 - 前記転送順序決定手段は、前記撮像出力の転送方向を変更することで転送順序を切り換えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
- 被写体を撮像するための撮像光学系と、
全画素同時露光方式の順次転送型撮像素子であって、前記撮像光学系により結像された被写体像を撮像して撮像出力する撮像素子とを備えた撮像装置の制御方法において、
前記撮像素子の撮像面上の被写体像の輝度分布を測定する輝度測定工程と、
前記輝度測定工程で測定された輝度分布に基づいて前記撮像面上の高輝度領域を検知する検知工程と、
前記撮像素子の撮像データを、前記検知工程で検知された高輝度領域近傍から順次転送する転送工程とを含むことを特徴とする撮像装置の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005126325A JP2006304166A (ja) | 2005-04-25 | 2005-04-25 | 撮像装置及びその制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005126325A JP2006304166A (ja) | 2005-04-25 | 2005-04-25 | 撮像装置及びその制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006304166A true JP2006304166A (ja) | 2006-11-02 |
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ID=37471890
Family Applications (1)
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JP2005126325A Pending JP2006304166A (ja) | 2005-04-25 | 2005-04-25 | 撮像装置及びその制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006304166A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008042714A (ja) * | 2006-08-09 | 2008-02-21 | Olympus Corp | 固体撮像装置 |
JP2008241380A (ja) * | 2007-03-27 | 2008-10-09 | Iwasaki Electric Co Ltd | 等価光幕輝度測定装置、トンネル照明システム及び情報表示システム |
JP2009188650A (ja) * | 2008-02-05 | 2009-08-20 | Olympus Imaging Corp | 撮像装置 |
US11778347B2 (en) | 2021-09-14 | 2023-10-03 | Canon Kabushiki Kaisha | Photoelectric conversion device |
-
2005
- 2005-04-25 JP JP2005126325A patent/JP2006304166A/ja active Pending
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