次に本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して具体的に説明する。
〔第1実施形態〕
本実施形態では、4つの感光体からなる像担持体を備えた、タンデム方式の画像形成装置に関するものである。
{画像形成装置の全体構成}
まず、画像形成装置の全体構成について、画像形成動作とともに説明する。本実施形態の画像形成装置は、図1の左よりイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー像を形成する各画像形成部Pa,Pb,Pc,Pdが略水平に配置されている。各画像形成部はトナーの色が異なる以外は同じ構成である。そこで、以下、図面に付している符号a,b,c,dを省略して説明する。
本実施形態の画像形成装置は、図1に示すように、ベルト状弾性中間転写体、すなわち、無端状の弾性中間転写ベルト181を備えている。この中間転写ベルト181は支持体として駆動ローラ125、テンションローラ126、及びバックアップローラ129に巻回されている。中間転写ベルト181の水平部に沿って、4個の画像形成部Pが直列状に配設されている。
各画像形成部Pは、回転可能に配置された像担持体であるドラム状の電子写真感光体(以下「感光体ドラム」という)101を備えている。感光体ドラム101の周囲には、一次帯電ローラ122、現像器123、及びクリーニング装置112等のプロセス手段が配置されている。
各画像形成部Pa〜Pdに配置した現像器123にはそれぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー及びブラックトナーが収納されている。
感光体ドラム101は一次帯電ローラ122によって一様に負極性に帯電され、露光装置111から画像信号がポリゴンミラー等を介して感光体ドラム101上に投射されて静電潜像が形成される。ついで、現像器123からトナーが供給されて静電潜像がトナー像として現像される。このトナー像は感光体ドラム101の回転に伴って、感光体ドラム101と中間転写ベルト181とが当接する一次転写部T1に到来すると、図示しないバイアス用電源から一次転写ローラ124に正極性の転写バイアスが印加される。これにより、各感光体ドラム101のトナー像が中間転写ベルト181へ順次重ね合わされた状態で転写され、カラー画像が形成される。
上記中間転写ベルト181へのトナー像の転写と同期するように後述するシート給送装置によりペーパーデッキ401から送り出された記録材であるシートSが二次転写部T2に給送される。そして、バイアス用電源141から二次転写ローラ140に正極性の転写バイアスが印加され、その電界により中間転写ベルト181上のトナー像がシートS上に転写される。
なお、転写バイアスの決定方法は後述する。
そして、トナー像が転写されたシートSは定着部211に搬送され、熱と圧力によってトナー像がシートS上に固着され、排出トレイ212へと排出される。
一方、一次転写部T1において感光体ドラム101から中間転写ベルト181へ転写しきれなかった転写残トナーはクリーニング装置112によってクリーニングされる。また、二次転写部T2において、中間転写ベルト181からシートSへ転写しきれなかった転写残トナーは、ベルトクリーニング装置116によってクリーニングされる。
{シート給送装置}
次にシート(記録材)を二次転写部T2へ給送するシート給送装置(記録材給送手段)について説明する。本実施形態におけるシート給送装置はエアー給送方式の分離給送方式を用いたものである。
図2はペーパーデッキ401の斜視説明図を示す。ペーパーデッキ401は収納庫402内に昇降可能に設けられたシート積載部である中板403上にシート束Sを積載収納するようになっている。収納庫402の両側下縁部にはレール404,405(レール404は図1に図示)を備え、装置本体に対して正面側(図1の紙面手前方向)に引き出し可能となっている。収納庫402内に積載収納されたシート束Sはその先端部(シート給送方向下流側端部)をプレ分離板406により、後端部(シート給送方向上流側端部)は後端規制板412により規制されている。また、シート側端部はサイド規制板410,411によって所定位置に規制されている。
積載されているシート束Sのシート給送方向下流側には、最上位のシートをエアーで吸着して送り出すためのシート吸着搬送手段であるシート給送部409が設けられている。このシート給送部409は、不図示の吸引手段に連結されてシート束上方で吸引静圧を発生可能な吸引ダクト408を備え、また吸引ダクト408を取り囲むように多数の孔を具備する吸着ベルト407がシート給送方向に給送回転可能に配設されている。
そして、シート給送部409では吸引ダクト408によりシートを吸着ベルト407に吸着させて、吸着ベルト407を回転させることによりシートを給送する。
(エアー吹き付け手段)
本実施形態のシート給送装置はシート積載部に積載されたシート束の側面にエアー吹き付け手段によってエアーを吹き付けて捌いて分離給送する。ここで、図3を参照してエアー浮き付け手段の構成について説明する。なお、図3は図2をシート給送方向からみたときのエアー吹き付け手段の断面説明図である。
ここで、1枚当たりのシートが受けるエアーの風圧、エアーを受ける時間(被風時間)は、シートの坪量や表面性によって変更される。つまり、シートの坪量が大きい場合には、シートの重さに対応するために、吹き付けファン417の回転数を上げて風圧を高くする。反対に、シートの坪量が小さい場合には、エアーによりシートに皺が生ずることを防止するため、吹き付けファン417の回転数を落として、風圧を小さくする。また、コート紙の様に、表面の付着力の高いシートを使用する場合には風圧を高くする。また、シートの坪量が小さい場合、1回の送風によりエアーを受けるシートの枚数が多くなるため、ペーパーデッキ401に積載されるシートが給送されるまでにエアーを受ける合計時間は長くなる。また、吹き付けファン417により送られるエアーの温度は、雰囲気温度に応じて変化する。
サイド規制板410の内部にはエアー吹き付け手段が設けられている。このエアー吹き付け手段はエアーの供給源である吹き付けファン417(図2に図示)と、このファン417に連結され、一端を収納庫402内に積載収納されたシート束Sの側端に向かって開放された開口414を具備する吹き付けダクト413を備えている。これにより、シート束Sの側端に向けて開口414からエアーが吹き付けられてシートが捌かれる。なお、エアー吹き付け手段のエアー供給源はシロッコファン等のファンでも良いし、コンプレッサを用いても良い。
また、図3に示すように、シート束Sの側端と開口414との間を略鉛直方向に図示しない駆動源(例えばモータやソレノイド等)により移動可能な被風時間可変手段であるシャッタ415が配置されている。そして、前記シャッタ415を上方に移動させると積載されたシート束側面にシャッタ開口416からエアーを吹き付けることができる。一方、図3(d)に示すように、シャッタ開口416が吹き付けダクト413の開口414とずれると積載されたシート束側面にエアーが当たらなくなる。したがって、前記シャッタ415を上下(開閉)させることで、積載されたシート束にエアーを吹き付ける時間、すなわち被風時間を調整することができる。また、風圧は図4に示す様に吹き付けファン417の回転数を制御することで調整可能となっている。
(転写バイアス変化手段)
本実施形態の画像形成装置の転写バイアスVtを決定する方法について説明する。転写電圧Vtは、二次転写部T2の分担電圧Vbと、記録材Pの分担電圧Vpの和として得られる。
二次転写ローラ140は、製造時の抵抗ばらつきを抑えることが難しいうえ、雰囲気環境の温湿度変化や耐久劣化などにより抵抗が変化してしまう。そこで、通常の二次転写時以外のタイミングで、所定の電圧を二次転写ローラ140に印加した電流値を検知し、二次転写部T2の分担電圧Vbを求める。
また、シートは、ペーパーデッキ401内で、吹き付けエアーに影響を受け、シートの水分量が低下する。このとき、図5に示すように、二次転写部において同一のバイアス値転写バイアスを印加していると、転写バイアスのミスマッチによる転写性がダウンしてボソ画像となる転写不良が生ずる可能性がある。
そこで、予め定められている記録材Pの分担電圧Vpを、1枚当たりのシートが受けるエアーの温度、風量、エアーを受ける時間(被風時間)に基づいて補正するためのバイアス変更手段が設けられている。
まず、二次転写部T2の分担電圧Vbの決定方法について詳細を説明する。
二次転写が行われていない時に中間転写ベルト181を回転させて、二次転写ローラ140にモニタ電圧として、+1kV、+2kVを印加する。この時に二次転写ローラ140を流れる電流値を電流検知部204で検知する。
また、良好な二次転写を行うために二次転写ローラ140に流すべき電流値である目標電流値が予めメモリー205に定められている。転写バイアス制御部203は、電流検知部204の検知結果に基づき、目標電流値を流すための、二次転写部T2の分担電圧Vbを求める。本実施例では、+1kVを印加した時の電流値は30μA、+2kVを印加した時の電流値は60μAであった。これらの関係から、図5示す電圧−電流値の関係が得られる。図5の関係に基づき、本実施例の目標電流値50μAに対応するVbとして、1700Vが得られる。
次に、記録材Pの分担電圧Vpの決定方法を説明する。
バイアス変更手段は、具体的には、図6に示すように、吹き付けエアーの温度を検知する温度センサ200、吹き付けエアーの風圧を検知する風圧センサ201が設けられる。更に、シャッタ415の上下により積載シート束のエアー被風時間を検知する被風時間センサ202が設けられている。表1はシートの種類と、シートの分担電圧Vpの関係を示す表である。
そして、前記各センサの検知信号を受け、検知結果に基づいて転写バイアスを変更する転写バイアス制御部203が設けられる。なお、風圧は、図4に示す様に、吹き付けファン411の回転数に応じて変化し、風圧センサ201は吹き付けファン411の回転数から風圧を検知する。ここで、図4に示される風圧は、KANOMAX製クリモマスター風速計(Model 6551)を用いて測定した。
そして、図7に示すように、前記水分量の低下に伴い、シートの分担電圧Vpを上げ(絶対値、以下同様の表現をする)、二次転写ローラ140に印加する転写バイアスを上げていく。具体的には、図8に示すように、画像記録のジョブが開始されると(S1)、吹き付けファン417によってエアーが吹き付けられるシート1枚あたりの被風時間、エアーの風圧、エアーの温度情報を取得する(S2)。そして、これら情報に基づいて、分担電圧Vpに適切な補正値を加え、二次転写バイアス値を変更する(S3)。これにより、シート水分量に適した値の二次転写バイアスが印加されるようになり、画像不良の発生が防止される。
ここで、本実施形態の画像形成装置で吹き付けファン417による風圧、被風時間を変化させた場合の二次転写部での転写バイアスの値の具体例を表2、表3を用いて説明する。風圧、被風時間、エアーの温度と、補正値の関係を示した表である。
本実施形態の画像形成装置では、ペーパーデッキ401に積載されたシート束から1枚のシートを給送するごとに、シート束の最上部近傍にエアーを2秒吹き付ける。また、シート束の高さ方向で、シート束がエアーを受ける高さは一定に保たれる。したがって、シートが薄いほど(坪量が小さいほど)、シート束から1枚のシートを給送するためにエアーが吹き付けられるシートの数(浮上枚数)は多くなり、給送されるまでの間にエアーが吹き付けられる時間、つまり、被風時間が長くなる。
なお、前記エアーの風圧と、ジョブ中にシートがエアーの影響を受ける浮上枚数は、表4に示すように、シートの種類ごとに本体内に予め設定値を持っている。表4はシートの種類と浮上枚数の関係を示す表である。
また、被風時間、風圧、エアーの温度と、補正値の関係は、表2及び表3に示すとおりである。上述の様に、シート束から1枚のシートを給送するごとに、シートの種類に関わらず、シート束の最上部近傍にエアーを2秒吹き付ける。したがって、シートの最も上にあるシートの被風時間は2秒である。また、上から2番目にあるシートは、給送されるまでに、2回、エアーを吹き付けられるので、被風時間は4秒となる。同様に、シートの位置が1枚下がるごとに、被風時間は2秒づつ加算される。シートの位置が浮上枚数に達するまで、2秒ずつ加算される。
A.エアーの温度が25℃の場合
(1) シートが坪量80gの普通紙である場合
風圧は400Paに設定される。また、浮上枚数は20枚である。被風時間が2秒増すごとに、シートの分担電圧Vpに加算する補正値は+20Vずつ増加される。
坪量80gの普通紙の分担電圧Vpは500Vである。したがって、被風時間が2秒である、シート束の最も上にあるシートの分担電圧Vpは、+520V(=500V+20V)とされる。被風時間が4秒になる、シート束の上から2枚目のシートの分担電圧Vpは、+540V(=500V+20V×2)となる。
(2) シートが坪量209gの普通紙である場合
風圧は600Paに設定される。また、浮上枚数は10枚である。被風時間が2秒増すごとに、シートの分担電圧Vpに加算する補正値は30V増加される。
(3) シートが坪量209gのコート紙である場合
風圧は800Paに設定される。また、浮上枚数は10枚である。被風時間が2秒増すごとに、シートの分担電圧Vpに加算する補正値は40V増加される。
B.エアーの温度が40℃の場合は、表3にしたがって、以下の様に制御される。
(1) シートが坪量80gの普通紙である場合
風圧は400Paに設定される。また、浮上枚数は20枚である。被風時間が2秒増すごとに、シートの分担電圧Vpに加算する補正値は+30Vずつ増加される。
(2)シートが坪量209gの普通紙である場合
風圧は600Paに設定される。また、浮上枚数は10枚である。被風時間が2秒増すごとに、シートの分担電圧Vpに加算する補正値は+45Vずつ増加される。
(3)シートが坪量209gのコート紙である場合
風圧は800Paに設定される。また、浮上枚数は10枚である。被風時間が2秒増すごとに、シートの分担電圧Vpに加算する補正値は+60Vずつ増加される。
なお、本実施例では、シートの坪量及び表面性に応じて風圧を変更したが、風圧を固定して、シート束から1枚のシートを給送するごとに、シート束の最上部近傍にエアーを吹き付ける時間を変更することも可能である。風圧を400Paに固定した場合、坪量80gの普通紙を1枚給送する際の吹き付け時間は2秒、坪量209gの普通紙は3秒、坪量209gのコート紙は4秒とすることもできる。
また、本実施形態では連続通紙の場合を記載した。しかし、間欠モードや、途中でユーザがシートを追加した場合、本体内に配設されたシート面位置検知センサとシートがペーパーデッキ内に投入された時期と現在のシート面位置を記憶し、転写バイアス制御部204において転写バイアスを制御することができる。
ペーパーデッキ内に投入された時期と現在のシート面位置から、ある1枚のシートのエアー送風履歴が、分かるので、二次転写部での印加バイアスを制御でき、良好な転写性を得ることが可能となる。
なお、本実施形態ではエアー吹き付けファン417により1枚あたりのシートが受ける被風時間、風圧、エアー温度を検知し、これらの検知情報に基づいて転写バイアスを変化させるようにしている。しかし、前記被風時間、風圧、エアー温度の少なくとも1つに応じて二次転写部での転写バイアスを変化させるようにしてもシートの水分量に応じた転写バイアスに設定することは可能である。
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態に係る装置について図9乃至図12を参照して説明する。なお、本実施形態の装置の基本構成は前述した実施形態と同一であるため重複する説明は省略し、ここでは本実施形態の特徴となる構成について説明する。また、前述した実施形態と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
本実施形態では、図9A及び図9Bに示すように、吹き付けダクト413および上下移動可能なシャッタ415をシート給送方向のシート束先端側(シート給送方向下流側端部側)に備えている。
また不図示の分離ファンに連結された分離ダクト418に分離ノズル419が設けられていて、該分離ノズル419により吸着ベルト407に向かって斜めに分離エアーを供給する構成となっている。この分離エアーは最上位シートのみを吸着ベルト407に吸着させ、次シート以下を分離、落下させるのに有効に働く。
本実施形態のエアーの風圧は400Pa、温度は25℃であり、本実施形態で使用したシート(坪量80g普通紙)が、エアーにより浮上するシートの枚数は20枚である。1枚のシートを給送するために、シート束へ2秒間、エアーを吹き付ける。
本実施形態では吹き付けダクト413および上下移動可能なシャッタ415と分離エアーを供給する分離ノズルをシート給送方向のシート束先端側に備えている。このため、図10に示すように、積載されたシートのうち、エアーが吹き付けられるシート束先端側の水分量低下が著しく、シート束後端側(シート給送方向上流側端部側)の水分量変化はほとんどない。ゆえにシート束先端側から吹き付けエアーの影響で水分量が低下する箇所までが、二次転写部T2で印加するバイアスのミスマッチにより画像不良を引き起こす。
そこで、シート束先端側からエアーの影響で水分量が低下する箇所まで印加バイアスを上げ、エアーの影響を受けないシート束後端側の、シートの分担電圧Vpには補正値を加えないことで、シートの面内で均一な転写性を得ることが可能となる。
具体的には、図11に示すように、画像記録のジョブが開始されると(S21)、吹き付けファン417によってエアーが吹き付けられるシート1枚あたりの被風時間、エアーの風圧、エアーの温度情報を取得する(S22)。また、二次転写バイアスを変化させる境界領域の情報を取得する(S23)。なお、この境界領域は、風圧等に対応して予め設定しておくことが可能である。そして、これら情報に基づいて、シートの分担電圧Vpに加算する補正値を決定し、二次転写バイアス値を変更する(S24)。これにより、シート水分量に適した値の二次転写バイアスが印加されるようになり、画像不良の発生が防止される。
これを具体的な数値を例示して説明する。連続通紙時の1枚あたりの被風時間と水分量の変化、および二次転写部の印加バイアスの設定値は第1実施形態と同様に図10に示す値である。図10に示すように、水分量変化に伴いシートのシート束先端側の水分量が著しく低下するまでの箇所(ステップS23で取得した境界領域情報に基づく)へ印加する二次転写バイアスを変化させる。そしてシートのシート束後端側の水分量が変化しない箇所へ印加する二次転写バイアスについては変更しない。
上記転写バイアスを変化させる箇所と変化させない箇所でのバイアス差が大きく生じるが、バイアス値を例えば5段階で変化させることで、二次転写バイアスが面内で切り替わる際の濃度段差がなくなる。このため、被風時間の異なる1枚ずつのシートに適正なバイアスを印加することが可能となる。
例えば、風圧400Pa、エアーの温度25℃、被風時間40秒である、坪量80gの普通紙の場合について説明する。1枚のシートを給送するためのエアー吹き付け時間は2秒とする。20秒被風で、図10よりシート束先端側からエアーの影響で水分量が低下する箇所までのバイアスを400V上げる。そして、水分量が低下する箇所と低下しない箇所の境界で、80V(=400V/5)ごとに5段階でバイアスを低下させていく(各バイアスは50mmsecで切り替え)。これにより、濃度差なく面内で均一な転写性を得られる。なお、本実施形態での切り替え境界は、シート先端より50mmの位置である。前記境界は、図12に示すように、風圧ごとに制御部において制御している。
前記エアーの風圧と、1枚あたりの被風時間およびジョブ中にシートがエアーの影響を受ける浮上枚数は、装置環境、シートの種類ごとに制御部内に予め設定値を持っている。
なお、本実施形態では、バイアスを5段階で変化させたが、濃度差が無くなるのであれば、何段階でも良い。上記と同様のシートを用いたい際の例を以下に示す。本実施形態では、風圧はファンの回転数で制御し、シート1枚あたりの被風時間はシャッタの高さで調整している。
他の種類のシートを用いたとき、積載したシートが受ける風圧と被風時間が変化したときに、二次転写バイアス値の変化について具体的に説明する。
(1)坪量209gの普通紙に風圧600Paで、温度25℃のエアーを吹き付けた場合
浮上枚数は10枚とする。1枚のシートを給送するためのエアー吹き付け時間は2秒とする。
ある1枚のシートが受ける被風時間は2秒ごとに積算さる。水分量変化に対応するために、被風時間が2秒増えるごとに二次転写部での印加バイアスを30Vずつ加算していく。水分量が低下する箇所と低下しない箇所の境界は、図12より、シート先端から75mmの位置であり、境界でΔVtotal(=((被風時間/2秒)×30V)/5)ごとに5段階でバイアスを低下させることで、印加バイアスのミスマッチを抑止できる。
(2) 坪量209gのコート紙に風圧800Paで、温度25℃のエアーを吹き付けた場合
浮上枚数は10枚とする。1枚のシートを給送するためのエアー吹き付け時間は2秒とする。
ある1枚のシートが受ける被風時間は2秒ごとに積算さる。水分量変化に対応するために、被風時間が2秒増えるごとに二次転写部での印加バイアスを40Vずつ加算していく。水分量が低下する箇所と低下しない箇所の境界は、図12より、シート先端から75mmの位置であり、境界でΔVtotal(=((被風時間/2秒)×40V)/5)ごとに5段階でバイアスを低下させることで、印加バイアスのミスマッチを抑止できる。
上記のように、吹き付けエアーが当たり、シートの水分量が減少した箇所にのみ二次転写バイアスを変化させることでシート全体で転写不良のない画像を得ることができる。
本実施例では、1枚のシートを給送するためにエアーを吹き付ける時間を固定し、シート種類に応じて風圧を変更しているが、風圧を固定してエアーを吹き付ける時間をシートの種類に応じて変更する場合にも本実施例の構成は適用できる。
〔第3実施形態〕
次に第3実施形態に係る装置について図13および表5を参照して説明する。表5は温度と被風時間の関係を示した簡略表である。なお、本実施形態の装置の基本構成も前述した実施形態と同一であるため重複する説明は省略し、ここでは本実施形態の特徴となる構成について説明する。また、前述した実施形態と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
図13に示す様に、本実施形態のペーパーデッキのエアー吹き付け部には、熱源421をそなえている。そして、装置内温度に応じて前記熱源を動作させることにより、吹き付けエアーの温度を調節するように構成している。熱源421で加熱されたエアーをシート束へ吹き付けてシートを乾燥させることで、シート同士の付着力を低減させ、シートを安定して給送することができる。
本実施形態の吹き付けエアーの風圧は400Paであり、本実施形態で使用したシート(坪量80g普通紙)が、エアーにより浮上するシートの枚数(枚数被風を受ける)は20枚ずつ(2秒/シート)である。
本実施形態では吹き付けエアーの温度を30℃にしている。連続通紙時の1枚あたりの被風時間と水分量の変化、および二次転写部の印加バイアスの設定値を表5に示す。表5のように、1枚あたりの被風時間が2秒増えるごとに二次転写部の印加バイアスを30Vずつ増やすことで、被風時間の異なる1枚ずつのシートに適正なバイアスを印加することが可能となる。これにより、転写バイアスのミスマッチによる転写不良を抑止できるので、良好な転写性を得ることができる。なお、表5の表は風圧400Paの場合を示している。
なお、前記エアーの風圧、エアーの温度、1枚あたりの被風時間およびジョブ中にシートがエアーの影響を受ける浮上枚数は、環境、紙種ごとに本体内に予め設定値を持っている。
積載したシートに吹き付けるエアーの風圧を400Paとしたときに、エアー温度と被風時間が変化したときの二次転写バイアスの変化について、表5を用いて具体的に説明する。
(1)エアーの温度40℃、被風時間2秒ずつの積算(1枚の給送に、2秒間のエアー吹き付け)/風圧400Pa/浮上枚数10枚の場合
ある1枚のシートが受ける被風時間は2秒ごとに積算さる。水分量変化に対応するために、被風時間が2秒増えるごとに二次転写部での印加バイアスを40Vずつ加算していくことで、印加バイアスのミスマッチを抑止できる。
(2)温度40℃、被風時間4秒ずつの積算(1枚の給送に、4秒間のエアー吹き付け)/風圧400Pa/シート(浮上枚数10枚)の場合
ある1枚のシートが受ける被風時間は4秒ごとに積算さる。水分量変化に対応するために、被風時間が4秒増えるごとに二次転写部での印加バイアスを80Vずつ加算していくことで、印加バイアスのミスマッチを抑止できる。
(3)温度50℃、被風時間2秒ずつの積算(1枚の給送に、2秒間のエアー吹き付け)/風圧400Pa/浮上枚数10枚の場合
ある1枚のシートが受ける被風時間は2秒ごとに積算さる。水分量変化に対応するために、被風時間が2秒増えるごとに二次転写部での印加バイアスを50Vずつ加算していくことで、印加バイアスのミスマッチを抑止できる。
上記のように、吹き付けるエアーの温度が高くなるほど、同じ被風時間でもシートの水分量の減少が大きいため、二次転写バイアスをより高く変化させるようにする。これにより、転写不良のない画像を得ることができる。
〔第4実施形態〕
次に第4実施形態に係る装置について図14乃至図15を参照して説明する。なお、本実施形態の装置の基本構成は前述した実施形態と同一であるため重複する説明は省略し、ここでは本実施形態の特徴となる構成について説明する。また、前述した実施形態と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
シートは、ペーパーデッキ401内で、エアーの影響を受け、シートの水分量が低下する。特にカール量変化の大きい箇所が二次転写部後端にある時、図14Aのa領域は図14Bに示すように、二次転写時に同一の転写バイアスを印加していると、転写バイアスのミスマッチにより転写性がダウンしてボソ画像(転写不良)が生ずる可能性がある。また、b領域は図14Cに示すように、カール量が徐々に変化する。これにより放電特性がことなってくるため、転写バイアスのミスマッチにより、放電ムラによる画像不良が生ずる可能性がある。
そこで、前記画像不良を抑止するために、本実施形態では前記水分量の水分量の低下およびカール量の増量に伴い、図14Aのa領域では、二次転写部T2で二次転写ローラ140に印加する転写バイアスを上げていく(絶対値、以下同様の表現をする)。また図14Aのb領域では、二次転写ローラ140に印加する転写バイアスを順次下げていく。具体的には、具体的には、図15に示すように、画像記録のジョブが開始されると(S1)、吹き付けファン417によってエアーが吹き付けられるシート1枚あたりの被風時間、エアーの風圧、エアーの温度、シート種類情報を取得する(S2)。そして、これら情報に基づいて図14Aのa領域では、シートの分担電圧Vpへ補正値を加え、転写バイアスを大きくする。図14Aのb領域では、図14Aのa領域に印加する転写バイアスから補正値を引くことで、転写バイアスを順次下げていく(S3)。これにより、シート水分量に適した値の二次転写バイアスが印加されるようになり、画像不良の発生が防止される。
ここで、本実施形態の画像形成装置で吹き付けファン417による風圧、被風時間を変化させた場合の図14Aのa、b領域の二次転写部での転写バイアスの値の具体例を表6、表7、表8を用いて説明する。表6、表7、表8は、風圧、被風時間、カール量と、補正値の関係を示した表である。
本実施形態の画像形成装置では吹き付けファン417によるエアーの風圧は400Pa、温度は25℃である。そして、本実施形態で使用したシート(坪量80g普通紙)が、エアーにより浮上するシートの枚数(枚数被風を受ける)は20枚ずつ(2秒/シート)である。
表6に示すように、1枚あたりの被風時間が2秒増えるごとに図14Aのa領域の転写バイアスを20Vずつ増やすことで、被風時間の異なる1枚ずつのシートに適正なバイアスを印加することが可能となる。
また、被風時間が2秒増加すると、図14Aのb領域のカール量が0.2mmずつ増える(表7参照)。よって、図14Aのb領域に印加する転写バイアスは、図14Aのa領域のへ印加される転写バイアス(分担電圧Vpに補正値を加えた値)から、被風時間2秒増加ごとに、25Vずつ下げた値とする。(表8参照)。この制御により、転写バイアスのミスマッチによる転写不良を減少させて、良好な転写性を得ることができる。
なお、前記エアーの風圧と、1枚あたりの被風時間およびジョブ中にシートがエアーの影響を受ける浮上枚数は、環境、シートの種類ごとに本体内に予め設定値を持っている。
上記と同様のシートを用いたとき、積載したシートが受ける風圧が変化したときに、図14Aの領域a、bの二次転写バイアス値を変化させる。
(1)風圧600Pa、被風時間2秒ずつの積算/エアー温度25℃/浮上枚数10枚の場合
ある1枚のシートが受ける被風時間は2秒ごとに積算さる。水分量変化に対応するために、被風時間が2秒増えるごとに図14Aのa領域の二次転写部での印加バイアスを30Vずつ加算する。 図14Aのb領域に印加する転写バイアスは、図14Aのa領域のへ印加される転写バイアス(分担電圧Vpに補正値を加えた値)から、被風時間2秒増加ごとに、37.5Vずつ下げた値とする。(表8参照)。
(2)風圧600Pa、被風時間4秒ずつの積算/エアー温度25℃/浮上枚数20枚の場合
ある1枚のシートが受ける被風時間は、4秒ごとに積算される。水分量変化に対応するために、被風時間が4秒増えるごとに図14Aのa領域に印加する転写バイアスを60Vずつ加算する。
図14Aのb領域に印加する転写バイアスは、図14Aのa領域のへ印加される転写バイアス(分担電圧Vpに補正値を加えた値)から、被風時間2秒増加ごとに、75Vずつ下げた値とする。(表8参照)。
(3)風圧800Pa、被風時間2秒ずつの積算/エアー温度25℃/浮上枚数10枚の場合
ある1枚のシートが受ける被風時間は、2秒ごとに積算される。前記水分量変化に対応するために、被風時間が2秒増えるごとに図14Aのa領域に印加する転写バイアスを40Vずつ加算する。
図14Aのb領域に印加する転写バイアスは、図14Aのa領域のへ印加される転写バイアス(分担電圧Vpに補正値を加えた値)から、被風時間2秒増加ごとに、50Vずつ下げた値とする。(表8参照)。
〔第5実施形態〕
次に5実施形態に係る装置について図14、図15、表9、表10を参照して説明する。なお、本実施形態の装置の基本構成は前述した実施形態と同一であるため重複する説明は省略し、ここでは本実施形態の特徴となる構成について説明する。また、前述した実施形態と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
本実施例においても、実施例4と同様に、シートのカールを考慮してシート後端部に印加する転写バイアスを小さくするが、本実施例ではエアーの温度が変化する場合について述べる。
なお、転写バイアスの制御方法は、実施例4と同様に、図15のフローチャートに従う。
本実施形態の画像形成装置で吹き付けファン417によるエアーの温度、被風時間に応じた図14Aのa、b領域の転写バイアスの値の具体例を表9、表10、及び表8を用いて説明する。表9、表10、表8は、エアーの温度、被風時間、カール量と、補正値の関係を示した表である。
本実施形態の画像形成装置では吹き付けファン417によるエアーの風圧は400Paである。まず、エアーの温度が30℃の場合を説明する。本実施形態で使用したシート(坪量80g普通紙)であり、エアーにより浮上するシートの枚数は20枚である。
表9に示すように、1枚あたりの被風時間が2秒増えるごとに図14Aのa領域のへ印加する転写バイアスを30Vずつ増やすことで、被風時間の異なる1枚ずつのシートに適正なバイアスを印加することが可能となる。また、この時、図14Aのb領域のカール量が0.3mmずつ増える(表8参照)。
よって、図14Aのb領域に印加する転写バイアスは、図14Aのa領域のへ印加される転写バイアス(分担電圧Vpに補正値を加えた値)から、被風時間2秒増加ごとに、37.5Vずつ下げた値(カール量0.2mmの際の25Vとカール量0.4mmの際の50Vとの中間値)とする(表8参照)。
なお、前記エアーの風圧と、1枚あたりの被風時間およびジョブ中にシートがエアーの影響を受ける浮上枚数は、環境、シートの種類ごとに本体内に予め設定値を持っている。
積載したシートが受けるエアーの温度が変化したときに、図14Aの領域a、bの二次転写バイアス値を変化させる。
(1)エアーの温度40℃、被風時間2秒ずつの積算/風圧400Pa/シート浮上枚数10枚の場合
ある1枚のシートが受ける被風時間は2秒ごとに積算さる。水分量変化に対応するために、被風時間が2秒増えるごとに図14Aのa領域の二次転写部での印加バイアスを40Vずつ加算する。図14Aのb領域に印加する転写バイアスは、図14Aのa領域のへ印加される転写バイアス(分担電圧Vpに補正値を加えた値)から、被風時間2秒増加ごとに、50Vずつ下げた値とする(表8参照)。
(2) 温度40℃、被風時間4秒ずつの積算/風圧400Pa/シート(浮上枚数20枚)の場合
ある1枚のシートが受ける被風時間は、4秒ごとに積算される。水分量変化に対応するために、被風時間が4秒増えるごとに図14Aのa領域に印加する転写バイアスを80Vずつ加算する。
図14Aのb領域に印加する転写バイアスは、図14Aのa領域のへ印加される転写バイアス(分担電圧Vpに補正値を加えた値)から、被風時間4秒増加ごとに、100Vずつ下げた値とする(表8参照)。
(3) 温度50℃、被風時間2秒ずつの積算/シート(浮上枚数10枚)の場合
ある1枚のシートが受ける被風時間は、2秒ごとに積算される。前記水分量変化に対応するために、被風時間が2秒増えるごとに図14Aのa領域へ印加する転写バイアスを50Vずつ加算する。
図14Aのb領域に印加する転写バイアスは、図14Aのa領域のへ印加される転写バイアス(分担電圧Vpに補正値を加えた値)から、被風時間4秒増加ごとに、87.5Vずつ下げた値(カール量0.6mmの際の75Vとカール量0.8mmの際の100Vとの中間値)とする(表8参照)。
〔他の実施形態〕
また、同様に感光体ドラム上のトナー像をシートに直接転写して画像を形成する画像形成装置において、転写バイアスを積載されたシートが受ける吹き付けエアーの被風時間、風圧、エアー温度の少なくとも1つに応じて変化させるようにしてもよい。