JP2007291369A - ポリアルキレングリコール系共重合体、単量体及びその製造方法 - Google Patents

ポリアルキレングリコール系共重合体、単量体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い洗浄力が要求される洗浄用ビルダー等の用途において有用であり、その場合、親水性や疎水性の汚れといった種々の汚れに対応することができ、再汚染防止能等の特性に優れ、しかもポリアルキレングリコール系共重合体が用いられる種々の用途に好適に適用することができるポリアルキレングリコール系共重合体、その原料として有用である単量体及びその製造方法、並びに、その用途を提供する。
【解決手段】ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)由来の構成単位(a)、及び、不飽和カルボン酸系単量体(B)由来の構成単位(b)を有するポリアルキレングリコール系共重合体であって、上記ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)は、少なくとも3本のポリアルキレングリコール鎖を有し、不飽和結合と窒素原子との間に少なくとも1本のポリアルキレングリコール鎖の分岐構造を有するものであるポリアルキレングリコール系共重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアルキレングリコール系共重合体に関する。より詳しくは、液体や粉体の洗浄用ビルダー、水処理剤や繊維処理剤等に好適であり、例えば、洗浄用ビルダーとして用いると、高い洗浄力を発揮するポリアルキレングリコール系共重合体、その原料として用いることができる単量体、その製造方法及び用途に関する。
ポリアルキレングリコール系共重合体は、オキシアルキレン基等の水溶性を発現する部位に起因して種々の特性を発揮することになり、例えば、高分子系洗浄用ビルダーとして有用なものである。洗浄用ビルダーとして作用する場合、親水性や疎水性の汚れといった種々の汚れに対応する必要があり、そのような汚れ成分を水中に分散させ、その状態を保つといった機能や、液体洗剤に適用する場合にはそれに対する相溶性に優れるといった機能が求められることになる。このように、ポリアルキレングリコール系共重合体は、洗剤中の成分として漂白剤とともに重要な役割を果たしており、その機能・性能を向上させたり、新たな機能を付加させたりするための研究開発が盛んに行われている。またポリアルキレングリコール系共重合体は、洗浄用ビルダー用途以外にも、水処理剤や繊維処理剤等の種々の工業分野における処理剤として用いることができる可能性をもつものとして注目されているものである。
従来のポリアルキレングリコール系共重合体としては、2本のポリアルキレングリコール鎖を有するアリルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体及び二塩基酸系単量体を用いて得られる共重合体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。これは、無機顔料分散剤として有用なものである。このような共重合体は、水酸基等の活性水素を有する単量体にポリアルキレングリコール鎖を形成して共重合することによって得ることができるが、通常ではポリアルキレングリコール鎖が形成されることになる単量体には2つの活性水素しか存在しないため、1つの単量体単位に2本のポリアルキレングリコール鎖を有する構造となる。無機顔料分散剤としては、このような構造によって有用な特性を発揮することになるものと考えられるが、親水性や疎水性の汚れといった種々の汚れに対応する洗浄用ビルダーとして好適に適用し、その他の種々の分野においても更に優れた性能を発揮させるために、共重合体におけるポリアルキレングリコール鎖の構造やその他の構造を工夫する余地があった。
またポリアルキレンイミン系不飽和単量体とその他の単量体とを共重合してなる共重合体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。例えば、ポリアルキレンイミン−アルキレンオキサイド付加物の末端水酸基に対して、アリルグリシジルエーテル等を反応させてマクロマー化した後、不飽和カルボン酸系単量体と共重合させた共重合体が記載されている。このような共重合体においては、ポリアルキレンイミンに多数のポリアルキレングリコール鎖が結合し、そのポリアルキレングリコール鎖の末端にアリルグリシジルエーテルに由来する二重結合が存在する構造となっている。この場合、共重合体の1つの単量体単位が多数のポリアルキレングリコール鎖を有することになり、構造的に疎水性の汚れに対しても対応することができるようになる。一方で、このような共重合体においては、構造的に不飽和カルボン酸系単量体単位の比率を制御しにくいという面があった。不飽和カルボン酸系単量体単位の比率を上げようとする場合、通常では架橋構造を形成することによって分子量が上がってしまうことになる。ポリアルキレングリコール系共重合体においては、ポリアルキレングリコール鎖と不飽和カルボン酸系単量体単位との比率を調整し、性能バランスを図ることも重要である。ここに開示された技術は、ポリアルキレングリコール鎖を増やすという面では有用であるが、共重合体の性能・特性をより向上させるために不飽和カルボン酸系単量体単位の比率を調整するという場合において、共重合体の調製や共重合体の安定性を向上させるための工夫の余地があった。
更に、アクリル酸等の不飽和親水性単量体と1本のポリアルキレングリコール鎖を有するオキシアルキル化単量体を共重合することにより製造される親水性共重合体を含有する水性洗剤スラリー組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。このような親水性共重合体としては、アリルアルコールのエチレンオキサイド付加体とアクリル酸の共重合体が記載されている。しかしながら、このような親水性共重合体においては、1つの単量体単位に1本のポリアルキレングリコール鎖を有するだけであり、ポリアルキレングリコール鎖が効率的に作用を発揮することにはならない。またこのような場合、ポリアルキレングリコール鎖を増やせば、不飽和カルボン酸系単量体単位の比率は低下することになる。したがって、ポリアルキレングリコール鎖に起因する特性を充分に発揮させるという面において、またポリアルキレングリコール鎖と不飽和カルボン酸系単量体単位の比率を調整するという面において工夫の余地があるものであった。
特開昭59−25839号公報(第1−3頁) 特開2005−139430号公報(第2、3頁) 特表平11−505867号公報(第2、3頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高い洗浄力が要求される洗浄用ビルダー等の用途において有用であり、その場合、親水性や疎水性の汚れといった種々の汚れに対応することができ、再汚染防止能等の特性に優れ、しかもポリアルキレングリコール系共重合体が用いられる種々の用途に好適に適用することができるポリアルキレングリコール系共重合体、その原料として有用である単量体及びその製造方法、並びに、その用途を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、洗浄用ビルダー等の用途において好適なポリアルキレングリコール系共重合体について種々検討したところ、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)由来の構成単位(a)、及び、不飽和カルボン酸系単量体(B)由来の構成単位(b)を有するポリアルキレングリコール系共重合体とすれば、ポリアルキレングリコール鎖と(メタ)アクリル部位とを有することになり、両方ともに親水性の特性をもつものであるが、ポリアルキレングリコール鎖のほうがイオン解離しないことから(メタ)アクリル部位よりも疎水性の特性を持ち、疎水性の成分(汚れ等)に対して相互作用することができ、また(メタ)アクリル部位に起因する特性も発揮することができることに着目した。そして、1つの単量体単位が少なくとも3本のポリアルキレングリコール鎖を有する構造とし、不飽和結合と窒素原子との間に少なくとも1本のポリアルキレングリコール鎖の分岐構造を有するものとすれば、上記課題をみごとに解決できることに想到した。同じポリアルキレングリコール鎖の量であっても枝分かれ構造に起因して共重合体の構造が立体的なものとなり、ポリアルキレングリコール系共重合体の性能・特性に好影響を与えることになる。また不飽和結合と窒素原子との間に少なくとも1本のポリアルキレングリコール鎖の分岐構造を有するものとすることによって、ポリアルキレングリコール鎖の末端に1つの二重結合を有する部位が結合するというような従来の共重合体における構造ではなく、1つの二重結合を有する部位にポリアルキレングリコール鎖が複数結合するというような構造となる。これによって、共重合体の性能・特性をより向上させるために不飽和カルボン酸系単量体単位の比率、特に(メタ)アクリル比率を調整するという場合において、共重合体の調製や共重合体の安定性を向上させることが可能となる。
更に、このようなポリアルキレングリコール系共重合体を調製するうえで、少なくとも3本のポリアルキレングリコール鎖を有し、不飽和結合と窒素原子との間に少なくとも1本のポリアルキレングリコール鎖の分岐構造を有するという構造の単量体が新規なものであり、ポリアルキレングリコール鎖を複数持つ単量体として有用であること等も見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)由来の構成単位(a)、及び、不飽和カルボン酸系単量体(B)由来の構成単位(b)を有するポリアルキレングリコール系共重合体であって、上記ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)は、少なくとも3本のポリアルキレングリコール鎖を有し、不飽和結合と窒素原子との間に少なくとも1本のポリアルキレングリコール鎖の分岐構造を有するものであるポリアルキレングリコール系共重合体である。
本発明はまた、上記ポリアルキレングリコール系共重合体を製造する方法であって、上記製造方法は、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)と不飽和カルボン酸系単量体(B)とを共重合する工程を含むポリアルキレングリコール系共重合体の製造方法でもある。
本発明は更に、下記一般式(1);
Figure 2007291369
(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。R、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。Xは、メチレン基又はカルボニル基を表す。l、m及びnは、オキシアルキレンの平均付加モル数であり、l+m+nが3〜300である。)で表されることを特徴とするポリアルキレングリコール系単量体でもある。
本発明はそして、上記ポリアルキレングリコール系共重合体を含む洗浄用ビルダー、水処理剤又は繊維処理剤でもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明のポリアルキレングリコール系共重合体は、ポリアルキレングリコール鎖を有する構成単位(a)、及び、カルボン酸基又はその塩を有する構成単位(b)を必須とし、必要に応じてその他の構成単位を有することによって構成されることになる。
上記ポリアルキレングリコール鎖を有する構成単位(a)は、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)に由来する構造を有するものであればよく、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)が重合して形成されることが好ましいが、ポリアルキレングリコール鎖を有しない不飽和単量体を重合した後又は重合中に形成されるようにすることもできる。
上記ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)は、少なくとも3本のポリアルキレングリコール鎖を有し、不飽和結合と窒素原子との間に少なくとも1本のポリアルキレングリコール鎖の分岐構造を有するものである。
上記少なくとも3本のポリアルキレングリコール鎖を有し、不飽和結合と窒素原子との間に少なくとも1本のポリアルキレングリコール鎖の分岐構造を有するとは、3本以上のポリアルキレングリコール鎖のうち少なくとも1本のポリアルキレングリコール鎖は、不飽和単量体(A)における不飽和結合と窒素原子との間にある炭素原子等に結合し、その他のポリアルキレングリコール鎖は、不飽和単量体(A)における不飽和結合と窒素原子との間には結合せず、窒素原子に炭素原子等を介して結合する構造となっていることを意味する。不飽和単量体(A)の好ましい形態としては、不飽和結合を有するとともに、窒素原子を有する基を持ち、合計3個以上の活性水素を有するように、水酸基やアミノ基、イミノ基等の活性水素を有する官能基を1つもしくは複数有し、当該活性水素を有する官能基が不飽和結合と窒素原子との間にある炭素原子に結合した構造を持つ単量体を出発原料としたときに、当該単量体における水酸基等に対してオキシアルキレン基が付加した構造を有するようにしたものが挙げられる。
本発明においては、1つの単量体に少なくとも3本のポリアルキレングリコール鎖を有することによって、ポリアルキレングリコール鎖の割合を高めることができ、これが、洗浄力、再汚染防止能の向上に重要である。また、分岐構造に特定することによって、ポリアルキレングリコール鎖の末端に1つの二重結合を有する部位が結合するというような従来の共重合体における構造ではなく、1つの二重結合を有する部位にポリアルキレングリコール鎖が複数結合するというような構造となり、これによって、不飽和カルボン酸系単量体単位の比率、特に(メタ)アクリル比率を調整するという場合において、共重合体の調製や共重合体の安定性を向上させることが可能になる。
上記ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)は、1つの単量体当たり1個(平均1個)の不飽和基を有するものであることが好ましい。このような単量体を用いて共重合反応を行うことにより、架橋構造を形成することが抑制され、共重合において上記不飽和カルボン酸系単量体(B)の質量比を大きくしても、ゲル化や水溶性の低下を引き起こさない共重合体を得ることができる。
上記ポリアルキレングリコール鎖は、通常ではオキシアルキレン基が2つ以上付加して鎖状の形態で形成されることになるが、オキシアルキレン基が1つにより形成されていてもよい。オキシアルキレン基が2つ以上付加して形成される鎖では、1種又は2種以上のオキシアルキレン基により形成されることになり、2種以上のオキシアルキレン基により形成される場合には、2種以上のオキシアルキレン基がランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。なお、上記不飽和単量体(A)内に存在する少なくとも3本の上記ポリアルキレングリコール鎖は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記不飽和単量体(A)における、オキシアルキレン基の平均付加モル数としては、1〜100とすることが好ましい。1より少ないと、疎水性の汚れ等に充分対応できないおそれがある。100を超えると、これらの単量体の重合性が低下するおそれがある。より好ましくは、5以上であり、更に好ましくは、25以上である。また、より好ましくは、80以下であり、更に好ましくは、60以下である。なお、平均付加モル数とは、該不飽和単量体(A)が有するポリアルキレングリコール鎖1モル中において付加している当該オキシアルキレン基のモル数の平均値を意味する。
上記不飽和単量体(A)では、上記ポリアルキレングリコール鎖は、オキシエチレン基を主体とするものであることが好ましい。この場合、「主体」とは、オキシアルキレン基が上記不飽和単量体(A)中に2種以上存在するときに、全オキシアルキレン基の存在数において、大半を占めるものであることを意味する。これにより、ポリアルキレングリコール系共重合体の親水性が向上して作用効果が充分に発揮されることになる。
上記オキシアルキレン基において、上記「大半を占める」ことを全オキシアルキレン基100モル%中のオキシエチレン基のモル%で表すとき、50〜100モル%が好ましい。50モル%未満であると、本発明の共重合体の親水性が低下するおそれがある。より好ましくは、60モル%以上であり、更に好ましくは、70モル%以上、特に好ましくは、80モル%以上、最も好ましくは、90モル%以上である。100モル%のとき、本発明のポリアルキレングリコール系共重合体、ポリアルキレングリコール系単量体、ポリアルキレングリコール鎖を、それぞれポリエチレングリコール(PEG)系共重合体、ポリエチレングリコール(PEG)系単量体、ポリエチレングリコール(PEG)鎖ともいう。
上記ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)は、下記一般式(1);
Figure 2007291369
(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。R、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。Xは、メチレン基又はカルボニル基を表す。l、m及びnは、オキシアルキレンの平均付加モル数であり、l+m+nが3〜300である。)で表されることが好ましい。
上記式中、l+m+nが3〜300である代わりに、l、m及びnが、同一又は異なって、1〜100であることもまた、本発明の好ましい形態である。
上記一般式(1)におけるXは、メチレン基であることが好ましい。
Xがメチレン基であることにより、耐加水分解性が向上する。したがって、共重合体水溶液として保存する場合や、液体洗剤や水処理薬剤溶液等の水溶液形態の製品に添加する場合、洗濯水や冷却水系、ボイラー水系、繊維処理水中等に添加した場合等においても、極めて加水分解されにくくなり、共重合体本来の性能を発揮できる。
上記ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)は、下記一般式(2);
Figure 2007291369
(式中、l、m及びnは、オキシアルキレンの平均付加モル数であり、l+m+nが3〜300である。)で表されることが更に好ましい。
上記式中、l+m+nが3〜300である代わりに、l、m及びnが、同一又は異なって、1〜100であることもまた、本発明の好ましい形態である。より好ましい形態としては、m及びnが、同一又は異なって、2〜100の形態である。
上記一般式(2)で表される不飽和単量体により、本発明のポリアルキレングリコール系共重合体の親水性と疎水性汚れに対する適応性とが充分に発揮され、種々の用途への適応性が向上するという作用効果がより充分に発揮されることになる。
ここで、例えば、lが5、m及びnが6であるときを示すと、上記ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)は、下記式(3)のように表される。
Figure 2007291369
本発明の不飽和カルボン酸系単量体(B)由来の構成単位(b)は、不飽和カルボン酸系単量体(B)に由来する構造を有するものであればよい。
本発明の不飽和カルボン酸系単量体(B)は、不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体等が挙げられる。好ましくは、不飽和モノカルボン酸系単量体を必須とすることであり、より好ましくは、(メタ)アクリル酸を必須とすることである。
上記構成単位(b)によって、本発明のポリアルキレングリコール系共重合体に充分な親水性が付与されるとともに、ポリアルキレングリコール鎖による作用、すなわち疎水性の汚れに対する相互作用による再付着等を防止する作用効果も発揮されることになる。
上記不飽和カルボン酸系単量体(B)としては、重合性不飽和基とカルボン酸基とを有する単量体であればよいが、不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体等が好適である。
上記不飽和モノカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基とカルボン酸基とを1つずつ有する単量体であればよく、好ましい形態としては、下記一般式(4)で表される化合物である。
Figure 2007291369
上記一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Mは、水素原子、又は、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基(プロトン化された有機アミン)を表す。
上記一般式(4)のMにおける金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の一価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の二価の金属原子;アルミニウム、鉄等の三価の金属原子等が好適である。また、有機アミン基(プロトン化された有機アミン)としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンや、トリエチルアミン等が好適である。更に、アンモニウムであってもよい。このような不飽和モノカルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等;これらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が好適である。これらの中でも、洗浄用ビルダーとして用いる場合としては、分散性能の向上の面から、(メタ)アクリル酸、その一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等を用いることが好ましく、不飽和カルボン酸系単量体(B)として好適である。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基を1つとカルボン酸基を2つとを有する単量体であればよいが、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩(有機アミン塩)等、又は、それらの無水物が好適である。
上記不飽和カルボン酸系単量体(B)としては、これらの他にも、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22個のアルコールとのハーフエステル、不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのハーフアミド、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールとのハーフエステル、マレアミド酸と炭素数2〜4のグリコールとのハーフアミド等が好適である。
上記ポリアルキレングリコール系共重合体を構成することができる構成単位としては、その他の構成単位を含んでいてもよい。その他の構成単位は、その他の単量体に由来する構造を有するものであればよく、その他の単量体が重合して形成されることが好ましいが、不飽和単量体を重合した後又は重合中に重合反応以外の反応により形成されるようにすることもできる。ポリアルキレングリコール系共重合体がその他の構成単位を含むとき、その他の構成単位は1種でもよく、2種以上でもよい。
上記その他の単量体としては、例えば、スチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体;3−メチル−2−ブテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノアリルエーテル、α−ヒドロキシアクリル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和炭化水素;ビニルピロリドン等の窒素原子含有不飽和単量体等が挙げられる。
上記その他の単量体としては、以下のものを用いてもよい。
1,3−ブタジエン、イソプレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;ヘキセン、ヘプテン、デセン、イソブチレン等のα−オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類等。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22個のアルコールとのジエステル、上記不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのジアミド、上記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールとのジエステル。
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホエチルマレイミド、イソプレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩(有機アミン塩)。
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;アリルアルコール等のアリル類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の不飽和アミノ化合物類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のビニルエーテル又はアリルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体;(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸メチルエステル、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の含リン単量体。
本発明はまた、上記ポリアルキレングリコール系共重合体を製造する方法であって、該製造方法は、上記ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)と不飽和カルボン酸系単量体(B)とを共重合する工程を含むポリアルキレングリコール系共重合体の製造方法でもある。
本発明における製造方法の有用性は、再汚染防止能等の基本性能に優れた本発明のポリアルキレングリコール系共重合体を効率よく製造することができることである。
本発明のポリアルキレングリコール系共重合体において、共重合体を形成する各単量体の質量割合としては、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)が1〜99質量%、不飽和カルボン酸系単量体(B)が99〜1質量%であることが好ましい。これらの単量体の質量割合が上記範囲を外れると、各単量体により形成される繰り返し単位が有する機能を有効に発揮させることができなくなり、本発明の作用効果を充分に発現することができないこととなる。より好ましくは、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)が5〜95質量%、不飽和カルボン酸系単量体(B)が95〜5質量%であり、特に好ましくは、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)が20〜50質量%、不飽和カルボン酸系単量体(B)が80〜50質量%である。なお、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)の質量割合は、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)及び不飽和カルボン酸系単量体(B)の質量の合計を100質量%とした場合の質量%である。
また、上記重合方法としては、溶液重合や塊状重合等の方法により行うことができ、特に限定されるものではない。
上記ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)、不飽和カルボン酸系単量体(B)及び共重合に用いることができるその他の単量体の構造、種等については、上述した通りである。
上記ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)は、不飽和化合物にオキシアルキレン基を付加して形成されるものであり、例えば、不飽和化合物が有する活性水素原子をもつ水酸基等の官能基とアルキレンオキシドとを反応させることにより得ることができる。
上記不飽和化合物は、不飽和結合を有するとともに、窒素原子を有する基を持ち、合計3個以上の活性水素を有するように、水酸基やアミノ基、イミノ基等の活性水素を有する官能基を1つもしくは複数有し、当該活性水素を有する官能基の少なくとも1個が不飽和結合と窒素原子との間にある炭素原子等に結合した構造を持つ単量体であればよく、例えば、下記一般式(5);
Figure 2007291369
(式中、R、R及びR10は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。R11及びR12は、同一又は異なって、水酸基を有する有機基を表す。Xは、メチレン基又はカルボニル基を表す。)で表されるものが好ましい。
上記一般式(5)の化合物は、例えば、エポキシ化合物にアルカノールアミンを付加することにより合成される。
エポキシ化合物としては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましい。アルカノールアミンとしては、ジエタノールアミン、ジ−2−プロパノールアミンが好ましい。
例えば、アリルグリシジルエーテルにジエタノールアミンを付加させて得られる上記不飽和化合物は、下記一般式(6);
Figure 2007291369
で表されるものである。
上記共重合する工程は、亜硫酸(塩)、亜硫酸水素塩及び過酸化水素からなる群から選択される少なくとも1種の開始剤を用いて行うことが好ましい。このような開始剤を使用することで、本発明のポリアルキレングリコール系共重合体をより効率よく生産することができる。
上記塩としては、金属原子、アンモニウム又は有機アンモニウムの塩が好適である。
上記金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の一価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の二価の金属原子;アルミニウム、鉄等の三価の金属原子の塩等が好ましい。また、有機アンモニウム(有機アミン)としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンや、トリエチルアミン等が好適である。更に、アンモニウムであってもよい。これらの中でも、ナトリウム塩が好ましい。
本発明の開始剤を用いる量としては、単量体1molに対して1〜20gであることが好ましい。より好ましくは、2〜15gであり、更に好ましくは、3〜10gである。
上記開始剤としては、上記の他に本発明のような共重合方法に用いられるものを使用する、又は、併用することができ、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ピロ亜硫酸塩;2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4′−アゾビス−4−シアノパレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤は、上述の亜硫酸(塩)、亜硫酸水素塩及び過酸化水素からなる群から選択される少なくとも1種の開始剤とともに1種又は2種以上を併用してもよい。
このように上記亜硫酸(塩)、亜硫酸水素塩及び過酸化水素以外にも本発明のような共重合方法に用いられる開始剤であれば使用することができるが、上記亜硫酸(塩)、亜硫酸水素塩及び過酸化水素以外のものを用いる場合には、そのような開始剤の使用量としては、単量体1molに対して、0.1〜20gであることが好ましい。このような範囲とすることで、ポリアルキレングリコール系共重合体を効率よく生産することができる。より好ましくは、0.5〜10gであり、更に好ましくは、1〜5gである。
上記製造方法における開始剤としては、重金属イオンと、亜硫酸(塩)、亜硫酸水素塩及び過酸化水素からなる群から選択される少なくとも1種とを必須として含むことが更に好ましい。
上記開始剤は、重金属イオンを必須成分とし、これともう1種の必須成分として、亜硫酸(塩)、亜硫酸水素塩又は過酸化水素とを組み合わせたものであればよく、亜硫酸(塩)、亜硫酸水素塩又は過酸化水素は、1種又は2種以上が含まれていればよい。このような組み合わせとしては、重金属イオン及び亜硫酸(塩)、重金属イオン及び亜硫酸水素塩、重金属イオン及び過酸化水素等が好適である。
上記開始剤としては、必須成分を含み、得られる重合体の分子量分布を特定値以下にできるものであればその種類や添加量は特に限定されるものではないが、以下のものを好適に用いることができる。
上記開始剤に必須として含まれる金属イオンとは、比重が4g/cm以上の金属を意味する。上記金属イオンとしては、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等が好ましい。これらの重金属は1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、鉄がより好ましい。
上記重金属イオンのイオン価は特に限定されるものではなく、例えば、重金属として鉄が用いられる場合、開始剤における鉄イオンとしては、Fe2+であっても、Fe3+であってよく、これらが組み合わされていてもよい。
上記重金属イオンは、開始剤にイオンの形態として含まれるものであれば特に限定されないが、重金属化合物を溶解してなる溶液を用いる方法を用いると、取り扱い性に優れるため好適である。その際に用いる重金属化合物は、開始剤に含有することを所望する重金属イオンを含むものであればよく、用いる開始剤に応じて決定することができる。
上記重金属イオンとして鉄を用いる場合、モール塩(Fe(NH(SO・6HO)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄等の重金属化合物等を用いることが好ましい。また、重金属イオンとしてマンガンを用いる場合、塩化マンガン等を好適に用いることができる。これらの重金属化合物を用いる場合においては、いずれも水溶性の化合物であるため、水溶液の形態として用いることができ、取り扱い性に優れることになる。なお、上記重金属化合物を溶解してなる溶液の溶媒としては、水に限定されるものではなく、本発明の水溶性重合体の製造において、重合反応を妨げるものでなく、かつ、重金属化合物を溶解するものであればよい。
上記重金属イオンは、本発明における重合工程において、触媒量含まれていることが好ましい。本明細書でいう触媒量とは、触媒として、最終目的物にとりこまれるものでなく作用するものであり、具体的には、100ppm以下であり、好ましくは、10ppm以下であり、より好ましくは5ppm以下である。
上記共重合方法においては、連鎖移動剤も必要に応じて使用することができる。このような連鎖移動剤としては、本発明のような共重合方法に用いられるものを適宜選択して使用することができる。
上記重合開始剤及び連鎖移動剤の反応容器への添加方法としては、滴下、分割投入等の連続投入方法を適用することができる。また、連鎖移動剤を単独で反応容器へ導入してもよく、単量体成分を構成する上記ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)や不飽和カルボン酸系単量体(B)、溶媒等とあらかじめ混同しておいてもよい。
上記共重合方法において、単量体成分や重合開始剤等の反応容器への添加方法としては、反応容器に単量体成分の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体成分の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法、反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体成分と重合開始剤の全量を添加する方法等が好適である。このような方法の中でも、得られる共重合体の洗浄用ビルダーとして用いる場合の分散性を向上することができうることから、重合開始剤と単量体成分を反応容器に逐次滴下する方法で共重合を行うことが好ましい。
上記共重合方法は、回分式でも連続式でも行うことができる。また、共重合の際、必要に応じて使用される溶媒としては、本発明のような共重合方法に用いられるものを使用でき、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;グリセリン;ポリエチレングリコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の芳香族又は脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、単量体成分及び得られる共重合体の溶解性の点から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールからなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
上記溶媒の使用量としては、単量体成分100質量%に対して40〜200質量%が好ましい。より好ましくは、45質量%以上であり、更に好ましくは、50質量%以上である。また、より好ましくは、180質量%以下であり、更に好ましくは、150質量%以下である。溶媒の使用量が10質量%未満であると、得られる共重合体の分子量が高くなるおそれがあり、200質量%を超えると、得られる共重合体の濃度が低くなり、溶媒除去が必要となるおそれがある。なお、溶媒は、重合初期に一部又は全量を反応容器内に仕込んでおけばよいが、溶媒の一部を重合反応中に反応系内に添加(滴下)してもよいし、単量体成分や開始剤等を予め溶媒に溶解させた形で、これらの成分と共に重合反応中に反応系内に添加(滴下)してもよい。
上記共重合方法において、共重合温度等の共重合条件としては、用いられる共重合方法、溶媒、重合開始剤により適宜定められるが、共重合温度としては、通常、0℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは、40℃以上であり、更に好ましくは、60℃以上であり、特に好ましくは、80℃以上である。また、より好ましくは、130℃以下であり、更に好ましくは、120℃以下であり、特に好ましくは、110℃以下である。
上記共重合温度は、重合反応において、常にほぼ一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間又は昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応中に経時的に温度変動(昇温又は降温)させてもよい。
上記共重合時間としては、30〜300分であることが好ましい。より好ましくは、60〜260分であり、更に好ましくは、120〜210分である。
上記共重合方法における反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下の何れであってもよいが、得られる共重合体の分子量の点で、常圧下、又は、反応系内を密閉し、加圧下で行うのが好ましい。また、加圧装置や減圧装置、耐圧性の反応容器や配管等の設備の点で、常圧(大気圧)下で行うのが好ましい。
反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でもよいが、不活性雰囲気とするのが好ましく、例えば、重合開始前に系内を窒素等の不活性ガスで置換することが好ましい。
上記共重合における重合中のpHは、酸性が好ましい。特に、上記開始剤として、過硫酸塩と亜硫酸水素塩とを併用する場合は、酸性条件下で行うことが好ましい。酸性条件下で行うことによって、重合反応系の水溶液の粘度の上昇を抑制し、共重合体を良好に製造することができる。また、高濃度の条件下で重合反応を進行させることができるので、製造効率を大幅に上昇することができ、最終固形分濃度が40%以上の高濃度重合とすることができ、含まれる残存モノマーの総濃度が15000ppm以下のものを得ることができる。更に、ポリアルキレングリコール系単量体の重合性を向上することができる。
上記酸性条件としては、重合中の反応溶液の25℃でのpHが1〜6であることが好ましい。より好ましくは、5以下であり、更に好ましくは、3以下である。
上記共重合方法により得られる共重合体は、そのままでも洗浄用ビルダーの主成分等として用いることができるが、必要に応じて、更にアルカリ性物質で中和して用いてもよい。アルカリ性物質としては、一価金属及び二価金属の水酸化物、塩化物及び炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アンモニウム(有機アミン)等を用いることが好ましい。
共重合を行う際の中和率は、開始剤によって適宜変更できる。例えば、過硫酸塩と亜硫酸水素塩とを併用する場合は、上記不飽和カルボン酸系単量体(B)及び上記その他の単量体であって塩を形成し得るものにおいて、上記不飽和カルボン酸系単量体(B)及び塩を形成し得るその他の単量体の中和率を0〜60mol%として単量体成分の共重合を行うことが好ましい。上記不飽和カルボン酸系単量体(B)及び塩を形成し得るその他の単量体の中和率は、上記不飽和カルボン酸系単量体(B)及び塩を形成し得るその他の単量体の全モル数を100mol%としたときに、塩を形成している上記不飽和カルボン酸系単量体(B)及びその他の単量体のmol%で表されることになる。上記不飽和カルボン酸系単量体(B)及び塩を形成し得るその他の単量体の中和率が60mol%を超えると、共重合工程における重合率が上がらず、得られる共重合体の分子量が低下したり、製造効率が低下したりするおそれがある。より好ましくは、50mol%以下であり、更に好ましくは、40mol%以下、特に好ましくは、30mol%以下であり、より特に好ましくは、20mol%以下であり、最も好ましくは、10mol%以下である。
上記不飽和カルボン酸系単量体(B)及び塩を形成し得るその他の単量体の中和率を0〜60mol%として共重合を行う方法としては、例えば、上記塩を形成し得るその他の単量体を使用しない場合、全て酸型である不飽和カルボン酸系単量体(B)、すなわち全ての不飽和カルボン酸系単量体(B)において上記一般式(4)におけるMが水素原子であるものを中和せずに共重合に付することにより行う方法や、不飽和カルボン酸系単量体(B)をアルカリ性物質を用いてナトリウム塩やアンモニウム塩等の塩の形態に中和するときに中和率を0〜60mol%としたものを共重合に付することにより行う方法等が好適である。
本発明の共重合体は、例えば、上述したように単量体成分を共重合してなるが、このような共重合体の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリアクリル酸換算での重量平均分子量(Mw)としては、1000以上であることが好ましく、また、100000以下であることが好ましい。1000未満であると、共重合体の分散性能やキレート性能が低下するおそれがあり、また、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)由来の構成単位(a)を有さない重合体が増加し、再汚染防止能が低下するおそれがある。100000を超えると、共重合体の分散性能が低下するおそれがある。より好ましくは、3000以上であり、最も好ましくは5000以上である。また、より好ましくは、80000以下であり、最も好ましくは、30000以下である。なお、本明細書中、共重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)による測定値である。なお、測定条件、装置等を例示すれば、以下の通りである。
測定装置:昭和電工社製「Shodex SYSTEM−21」
カラム:昭和電工社製「Asahipak GF−710 HQ」及び「Asahipak GF−310 HQ」をこの順で接続したもの
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=7/3(体積比)
流速:0.5mL/分
温度:40℃
検量線:ポリアクリル酸標準サンプル(創和科学株式会社製)を用いて作成
検出器:RI、UV(検出波長:210nm)
本発明は更に、下記一般式(1);
Figure 2007291369
(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。R、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。Xは、メチレン基又はカルボニル基を表す。l、m及びnは、オキシアルキレンの平均付加モル数であり、l+m+nが3〜300である。)で表されることを特徴とするポリアルキレングリコール系単量体でもある。
上記式中、l+m+nが3〜300である代わりに、l、m及びnが、同一又は異なって、1〜100であることもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明におけるポリアルキレングリコール系単量体の有用性は、この単量体から形成される重合体において、重合体中のポリアルキレングリコール鎖の量を制御できることになる。
また疎水性汚れに対する適応性を発揮することができる。特に不飽和カルボン酸系単量体(B)とともに共重合するとき、不飽和カルボン酸系単量体単位の比率、特に(メタ)アクリル比率を調整する場合において共重合体の調製や共重合体の安定性を向上させることが可能になり、再汚染防止能等の基本性能に優れた本発明のポリアルキレングリコール系共重合体を効率よく製造することができることになる。
上記一般式(1)におけるXは、メチレン基であることが好ましい。
また上記ポリアルキレングリコール系単量体は、下記一般式(2);
Figure 2007291369
(l、m及びnは、オキシアルキレンの平均付加モル数であり、l+m+nが3〜300である。)で表されることが好ましい。
上記式中、l+m+nが3〜300である代わりに、l、m及びnが、同一又は異なって、1〜100であることもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明はまた、ポリアルキレングリコール系共重合体を含む洗浄用ビルダー、水処理剤又は繊維処理剤でもある。本発明の洗浄用ビルダー、水処理剤又は繊維処理剤の有用性は、上記ポリアルキレングリコール系共重合体を含むために、親水性や疎水性の汚れといった種々の汚れに対応することができ、再汚染防止能等の特性に優れている点である。
上記洗浄用ビルダーとは、液体洗剤用ビルダーも含むものであり、洗浄中の衣類等に汚れが再付着するのを防止するための作用を発揮するものである。ポリアルキレングリコール系共重合体が汚れの再付着を防止する場合、ポリアルキレンオキシド基や上記不飽和カルボン酸系単量体等により形成される立体構造に起因する反発作用とともに、上記不飽和カルボン酸系単量体やその他の単量体に由来する親水性基を有するときには汚れの分散作用が発揮されることになる。
上記洗浄用ビルダーは、界面活性剤との相溶性に優れ、得られる洗剤が高濃度の液体洗剤となる点から、液体洗剤用ビルダーとして好適に用いることができる。界面活性剤との相溶性に優れることにより、液体洗剤に用いた場合の透明性が良好となり、濁りが原因として起こる液体洗剤の分離の問題を防ぐことができる。また、相溶性が優れることにより、高濃度の液体洗剤とすることができ、液体洗剤の洗浄能力を向上することができる。
上記洗浄用ビルダーは、再汚染防止能に優れ、更に、長期間保存した場合の性能低下や低温で保持した場合の不純物析出等が生じにくい極めて高品質剤性能で安定性に優れた洗浄用ビルダーとすることができる。
本発明のポリアルキレングリコール系共重合体を洗浄用ビルダーとして用いる場合、再汚染防止能が、60%以上であることが好ましい。より好ましくは、70%以上であり、更に好ましくは、75%以上である。なお、再汚染防止能は、以下の方法により求めることができる。
<再汚染防止能>
(1)Test fabric社より入手したポリエステル布を5cm×5cmに切断し、白布を作成する。この白布を予め日本電色工業社製の測色色差計SE2000型を用いて、白色度を反射率にて測定する。
(2)塩化カルシウム2水和物4.41gに純水を加えて15kgとし、硬水を調製する。
(3)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.0g、炭酸ナトリウム6.0g、硫酸ナトリウム2.0g、ポリアクリル酸ナトリウム(Mw5000)0.4gに純水を加えて100.0gとし、界面活性剤水溶液を調製する。
(4)ターゴットメーターを25℃にセットし、硬水1Lと界面活性剤水溶液5g、固形分換算で2質量%の重合体水溶液1g、ゼオライト0.15g、カーボンブラック0.25gをポットに入れ、100rpmで1分間攪拌する。その後、白布10枚を入れ100rpmで10分間攪拌する。
(5)手で白布の水を切り、25℃にした水道水1Lをポットに入れ、100rpmで2分間攪拌する。これを2回行う。
(6)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、上記測色色差計にて再度白布の白度を反射率にて測定する。
(7)以上の測定結果から下式により再汚染防止率を求める。
再汚染防止率(%)=(洗浄後の白色度)/(原白布の白色度)×100
上記洗浄用ビルダー中におけるポリアルキレングリコール系共重合体の含有割合としては、例えば、洗浄用ビルダー100質量%に対して、0.1〜80質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、洗浄剤組成物として用いた場合の洗浄力が不充分になるおそれがあり、80質量%を超えると、不経済になるおそれがある。ポリアルキレングリコール系共重合体の量は、より好ましくは、1質量%以上、更に好ましくは、5質量%以上である。また、より好ましくは、70質量%以下であり、更に好ましくは、65質量%以下である。
本発明のポリアルキレングリコール系共重合体を洗浄用ビルダーとして用いる場合に、洗浄用ビルダーを含む洗浄剤組成物としては、粉末洗剤組成物であってもよいし、液体洗剤組成物であってもよい。該洗浄剤組成物には、洗浄用ビルダー以外に、通常、洗剤に用いられる添加剤を用いることができる。添加剤としては、アルカリビルダー、キレートビルダー、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の汚染物質の再沈着を防止するための再付着防止剤、ベンゾトリアゾールやエチレン−チオ尿素等のよごれ抑制剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、pH調節のためのアルカリ性物質、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、溶媒等が好適である。また、粉末洗剤組成物の場合にはゼオライトを配合することが好ましい。
上記洗浄用ビルダーの配合割合は、通常、洗浄剤組成物100質量%に対して0.1〜20質量%が好ましい。より好ましくは、0.2質量%以上、15質量%以下であり、更に好ましくは、0.3質量%以上、10質量%以下であり、特に好ましくは、0.4質量%以上、8質量%以下であり、最も好ましくは、0.5質量%以上、5質量%以下である。洗浄用ビルダーの配合割合が0.1質量%未満であると、充分な洗剤性能を発揮できなくなるおそれがあり、20質量%を超えると、経済性が低下するおそれがある。
上記洗浄剤組成物における上記ポリアルキレングリコール系共重合体の配合形態は、液状、固形状等のいずれであってもよく、洗剤の販売時の形態(例えば、液状物又は固形物)に応じて決定することができる。重合後の水溶液の形態で配合してもよいし、水溶液の水分をある程度減少させて濃縮した状態で配合してもよいし、乾燥固化した状態で配合してもよい。
なお、上記洗浄剤組成物は、家庭用洗剤の合成洗剤、繊維工業その他の工業用洗剤、硬質表面洗浄剤のほか、その成分の1つの働きを高めた漂白洗剤等の特定の用途にのみ用いられる洗剤も含む。本発明のポリアルキレングリコール系共重合体は、キレート能に優れるため、微量金属を捕捉することにより、過酸化水素を安定でき、漂白剤の安定化能に優れることから、好適に用いることができる。
上記界面活性剤は、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種であり、これらの界面活性剤は1種又は2種以上を使用することができる。2種以上使用する場合、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤とを合わせた使用量は、全界面活性剤100質量%に対して50質量%以上が好ましい。より好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、70質量%以上であり、特に好ましくは、80質量%以上である。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸又はエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステル又はその塩、アルケニルリン酸エステル又はその塩等が好適である。
上記アニオン系界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が好適である。上記ノニオン系界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
上記カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が好適である。
上記両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。
上記カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
上記界面活性剤の配合割合は、通常、洗浄剤組成物100質量%に対して10〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは、15質量%以上、50質量%以下であり、更に好ましくは、20質量%以上、45質量%以下であり、特に好ましくは、25質量%以上、40質量%以下である。界面活性剤の配合割合が10質量%未満であると、充分な洗浄力を発揮できなくなるおそれがあり、60質量%を超えると、経済性が低下するおそれがある。
上記洗浄剤組成物が液体洗剤組成物である場合、液体洗剤組成物に含まれる水分量は、通常、液体洗剤組成物100質量%に対して0.1〜75質量%が好ましい。より好ましくは、0.2質量%以上、70質量%以下であり、更に好ましくは、0.5質量%以上、65質量%以下であり、特に好ましくは、0.7質量%以上、60質量%以下であり、より特に好ましくは、1質量%以上、55質量%以下であり、最も好ましくは、1.5質量%以上、50質量%以下である。
上記液体洗剤組成物は、カオリン濁度が200mg/L以下であることが好ましい。より好ましくは、150mg/L以下であり、更に好ましくは、120mg/L以下であり、特に好ましくは、100mg/L以下であり、最も好ましくは、50mg/L以下である。
また、本発明のポリアルキレングリコール系共重合体を洗浄用ビルダーとして液体洗剤組成物に添加する場合としない場合とでのカオリン濁度の変化(差)は、500mg/L以下が好ましい。より好ましくは、400mg/L以下であり、更に好ましくは、300mg/L以下であり、特に好ましくは、200mg/L以下であり、最も好ましくは、100mg/L以下である。カオリン濁度は、例えば、後述のカオリン濁度の測定方法により測定することができる。
<カオリン濁度の測定方法>
厚さ10mmの50mm角セルに均一に攪拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色株式会社製NDH2000(商品名、濁度計)を用いて25℃でのTubidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
上記洗浄剤組成物に配合することができる酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が好適である。中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ及びアルカリセルラーゼが好ましい。
上記酵素の添加量は、洗浄剤組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、洗浄力の向上が見られなくなり、経済性が低下するおそれがある。
上記アルカリビルダーとしては、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩等が好適である。上記キレートビルダーとしては、ジグリコール酸、オキシカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、STPP(トリポリリン酸ナトリウム)、クエン酸等が好適である。本発明における共重合体以外のその他の水溶性ポリカルボン酸系ポリマーを用いてもよい。
本発明の水処理剤は、冷却水系、ボイラー水系等の水系に添加されることにより、例えば炭酸カルシウムやシリカ等のスケール防止性や金属の腐食防止性等にとって有利となる可能性がある。本発明の繊維処理剤は、各種繊維を処理することにより、例えば、吸水性、柔軟性、耐摩耗性、汚れの防止性、触感性等にとって有利となる可能性がある。
水処理剤又は繊維処理剤において、ポリアルキレングリコール系共重合体をそのまま添加してもよく、ポリアルキレングリコール系共重合体以外のその他の成分を含むものを添加してもよい。
洗浄用ビルダー、水処理剤又は繊維処理剤におけるポリアルキレングリコール系共重合体以外の他の組成成分や配合比率としては、それぞれ洗浄用ビルダー、水処理剤又は繊維処理剤に用いることができる各種成分、及び、その配合比率に基づき、本発明の作用効果を損なわない範囲で適宜設定することができる。
本発明の洗浄用ビルダー、水処理剤又は繊維処理剤は、親水性や疎水性の汚れといった種々の汚れに対応することができ、再汚染防止能等の特性に優れるものである。
本発明のポリアルキレングリコール系共重合体は、上述の構成よりなり、液体洗剤への相溶性、洗浄率等の点で優れるとともに、親水性や疎水性の汚れといった種々の汚れに対応することができ、再汚染防止能等において高い基本性能を発揮することができるものである。また、洗浄用ビルダー(液体洗剤用ビルダーも含む)、水処理剤、繊維処理剤等の用途に好適に用いることができるものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
〔ポリアルキレングリコール系単量体の合成〕
製造実施例
還流冷却器、撹拌機を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、ジエタノールアミン(DEA)315.4gを仕込み、撹拌しながら、液温を55℃に調整した。次に、55℃に保持された反応系中に、撹拌しながら、アリルグリシジルエーテル(AGE)342.4gをゆっくりと1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に2時間、反応液を55℃に保持して熟成し、AGE−DEAの反応物(以下AGE−DEAと略す。)を得た。
続いて、撹拌機を備えた容量3750mLのオートクレーブにAGE−DEAを181.1g、水酸化カリウムを10g加え、容器を密封した後、減圧ポンプにて、0.015hPaまで減圧しつつ、110℃に昇温し、30分間撹拌した。その後、窒素を0.3MPaになるまで加えて0.1MPaまで脱気した。これを3度繰り返し、装置内部を窒素置換した。窒素置換後、内部圧力を0.32MPa、110℃とし、エチレンオキサイド(EO)を充填していった。反応中の窒素/EO分圧が爆発危険範囲外になるようにしながら、EO220.7gを充填した。充填後1時間熟成した後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した後、内容物を取り出し、AGE−DEAのEO6モル付加物(以下AGE−DEA−6EO)を得た。
更に、撹拌機を備えた容量3750mLのオートクレーブにAGE−DEA−6EOを405.4g加え、容器を密封した後、減圧ポンプにて、0.015hPaまで減圧しつつ、110℃に昇温し、30分間撹拌した。その後、窒素を0.3MPaになるまで加えて0.1MPaまで脱気した。これを3度繰り返し、装置内部を窒素置換した。窒素置換後、内部圧力を0.5MPa、110℃とし、EOを充填していった。反応中の窒素/EO分圧が爆発危険範囲外になるようにしながら、EO1404.6gを充填した。充填後1時間熟成した後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した後、内容物を取り出し、AGE−DEAのEO45モル付加物(以下AGE−DEA−45EO)を得た。
更に、撹拌機を備えた容量3750mLのオートクレーブにAGE−DEA−45EOを461.7g加え、容器を密封した後、減圧ポンプにて、0.015hPaまで減圧しつつ、110℃に昇温し、30分間撹拌した。その後、窒素を0.3MPaになるまで加えて0.1MPaまで脱気した。これを3度繰り返し、装置内部を窒素置換した。窒素置換後、内部圧力を0.5MPa、125℃とし、EOを充填していった。反応中の窒素/EO分圧が爆発危険範囲外になるようにしながら、EO972.2gを充填した。充填後1時間熟成した後、温度を80℃まで下げ、脱気した。脱気ガスは水中に逃がしつつ、容器内部に窒素を加え、十分窒素置換した後、内容物を取り出し、AGE−DEAのEO150モル付加物(以下AGE−DEA−150EO)を得た。
得られたAGE−DEAとAGE−DEA−6EO、AGE−DEA−45EO、AGE−DEA−150EOについて、H−NMR(溶媒:重水)を測定したところ、AGE−DEAでは3.8ppm付近に2級水酸基に由来するメチン基のピークが確認されたのに対し、AGE−DEA−6EO、AGE−DEA−45EO、AGE−DEA−150EOでは同様のピークは確認されなかった。このことから、AGE−DEA−6EO、AGE−DEA−45EO、AGE−DEA−150EOでは2級水酸基がEO付加反応により消失したと考えられ、1級水酸基と比較してEOが付加しにくい2級水酸基にもEOが付加していると考えられる。
〔ポリアルキレングリコール系共重合体の合成〕
実施例1
還流冷却器、撹拌機を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、脱イオン水145.0g及びモール塩0.0068gを仕込み、撹拌しながら90℃まで昇温して重合反応系とした。次いで、撹拌下、約90℃に保たれた上記重合反応系中に、80%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと略す);270.0g、50%AGE−DEA−45EO水溶液(以下、50%AGE−DEA−45EOと略す);168.0g、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、48%NaOHと略す);12.5g、35%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと略す);69.4g(単量体組成物中の単量体1モルに対して亜硫酸水素ナトリウム8.0gに相当)、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと略す);81.0g(単量体組成物中の単量体1モルに対して過硫酸ナトリウム4.0gに相当)をそれぞれ別個の滴下ノズルから滴下して、反応溶液とした。なお、各成分の滴下開始は同時であり、滴下時間は、80%AA、48%NaOH及び35%SBSは180分間、50%AGE−DEA−45EOは120分間、15%NaPSは210分間とした。また、各水溶液の滴下速度は一定とし、各水溶液の滴下は連続的に行った。
上記15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合完結後、重合体混合物を含む水溶液である重合反応液を放冷し、221.6gの48%NaOHを、撹拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。中和後の重合反応液における固形分濃度は41質量%であった。得られた重合体の重量平均分子量は6000であった。
実施例2
還流冷却器、撹拌機を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、脱イオン水145.0g及びモール塩0.0068gを仕込み、撹拌しながら90℃まで昇温して重合反応系とした。次いで、撹拌下、約90℃に保たれた上記重合反応系中に、80%AA;270.0g、50%AGE−DEA−45EO;168.0g、48%NaOH;12.5g、35%SBS;52.0g(単量体組成物中の単量体1モルに対して亜硫酸水素ナトリウム6.0gに相当)、15%NaPS;81.0g(単量体組成物中の単量体1モルに対して過硫酸ナトリウム4.0gに相当)をそれぞれ別個の滴下ノズルから滴下して、反応溶液とした。なお、各成分の滴下開始は同時であり、滴下時間は、80%AA、48%NaOH及び35%SBSは180分間、50%AGE−DEA−45EOは120分間、15%NaPSは210分間とした。また、各水溶液の滴下速度は一定とし、各水溶液の滴下は連続的に行った。
上記15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合完結後、重合体混合物を含む水溶液である重合反応液を放冷し、221.6gの48%NaOHを、撹拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。中和後の重合反応液における固形分濃度は41質量%であった。得られた重合体の重量平均分子量は9000であった。
実施例3
還流冷却器、撹拌機を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、脱イオン水120.0g及びモール塩0.0152gを仕込み、撹拌しながら90℃まで昇温して重合反応系とした。次いで、撹拌下、約90℃に保たれた上記重合反応系中に、80%AA;171.4g、50%AGE−DEA−45EO;182.8g、35%SBS;50.0g(単量体組成物中の単量体1モルに対して亜硫酸水素ナトリウム9.0gに相当)、15%NaPS;51.9g(単量体組成物中の単量体1モルに対して過硫酸ナトリウム4.0gに相当)をそれぞれ別個の滴下ノズルから滴下して、反応溶液とした。なお、各成分の滴下開始は同時であり、滴下時間は、80%AA及び35%SBSは180分間、50%AGE−DEA−45EOは60分間、15%NaPSは210分間とした。また、各水溶液の滴下速度は一定とし、各水溶液の滴下は連続的に行った。
上記15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合完結後、重合体混合物を含む水溶液である重合反応液を放冷し、146.7gの48%NaOHを、撹拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。中和後の重合反応液における固形分濃度は40質量%であった。得られた重合体の重量平均分子量は5000であった。
実施例4
還流冷却器、撹拌機を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、脱イオン水120.0g及びモール塩0.0149gを仕込み、撹拌しながら90℃まで昇温して重合反応系とした。次いで、撹拌下、約90℃に保たれた上記重合反応系中に、80%AA;171.4g、50%AGE−DEA−45EO;182.8g、35%SBS;33.3g(単量体組成物中の単量体1モルに対して亜硫酸水素ナトリウム6.0gに相当)、15%NaPS;51.9g(単量体組成物中の単量体1モルに対して過硫酸ナトリウム4.0gに相当)をそれぞれ別個の滴下ノズルから滴下して、反応溶液とした。なお、各成分の滴下開始は同時であり、滴下時間は、80%AA及び35%SBSは180分間、50%AGE−DEA−45EOは60分間、15%NaPSは210分間とした。また、各水溶液の滴下速度は一定とし、各水溶液の滴下は連続的に行った。
上記15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合完結後、重合体混合物を含む水溶液である重合反応液を放冷し、146.7gの48%NaOHを、撹拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。中和後の重合反応液における固形分濃度は41質量%であった。得られた重合体の重量平均分子量は10000であった。
実施例5
還流冷却器、撹拌機を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、脱イオン水143.0g及びモール塩0.0146gを仕込み、撹拌しながら90℃まで昇温して重合反応系とした。次いで、撹拌下、約90℃に保たれた上記重合反応系中に、80%AA;171.4g、50%AGE−DEA−45EO;182.8g、35%SBS;22.2g(単量体組成物中の単量体1モルに対して亜硫酸水素ナトリウム4.0gに相当)、15%NaPS;26.0g(単量体組成物中の単量体1モルに対して過硫酸ナトリウム2.0gに相当)をそれぞれ別個の滴下ノズルから滴下して、反応溶液とした。なお、各成分の滴下開始は同時であり、滴下時間は、80%AA及び35%SBSは180分間、50%AGE−DEA−45EOは60分間、15%NaPSは210分間とした。また、各水溶液の滴下速度は一定とし、各水溶液の滴下は連続的に行った。
上記15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合完結後、重合体混合物を含む水溶液である重合反応液を放冷し、146.7gの48%NaOHを、撹拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。中和後の重合反応液における固形分濃度は40質量%であった。得られた重合体の重量平均分子量は18000であった。
実施例6
還流冷却器、撹拌機を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、脱イオン水120.0g及びモール塩0.0139gを仕込み、撹拌しながら90℃まで昇温して重合反応系とした。次いで、撹拌下、約90℃に保たれた上記重合反応系中に、80%AA;114.3g、50%AGE−DEA−45EO;274.3g、35%SBS;22.7g(単量体組成物中の単量体1モルに対して亜硫酸水素ナトリウム6.0gに相当)、15%NaPS;35.4g(単量体組成物中の単量体1モルに対して過硫酸ナトリウム4.0gに相当)をそれぞれ別個の滴下ノズルから滴下して、反応溶液とした。なお、各成分の滴下開始は同時であり、滴下時間は、80%AA及び35%SBSは180分間、50%AGE−DEA−45EOは60分間、15%NaPSは210分間とした。また、各水溶液の滴下速度は一定とし、各水溶液の滴下は連続的に行った。
上記15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合完結後、重合体混合物を含む水溶液である重合反応液を放冷し、95.2gの48%NaOHを、撹拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。中和後の重合反応液における固形分濃度は40質量%であった。得られた重合体の重量平均分子量は12000であった。
実施例7
還流冷却器、撹拌機を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、脱イオン水120.0g及びモール塩0.0144gを仕込み、撹拌しながら90℃まで昇温して重合反応系とした。次いで、撹拌下、約90℃に保たれた上記重合反応系中に、80%AA;163.8g、50%AGE−DEA−6EO水溶液(以下50%AGE−DEA−6EOと略す);174.2g、35%SBS;34.0g(単量体組成物中の単量体1モルに対して亜硫酸水素ナトリウム6.0gに相当)、15%NaPS;53.0g(単量体組成物中の単量体1モルに対して過硫酸ナトリウム4.0gに相当)をそれぞれ別個の滴下ノズルから滴下して、反応溶液とした。なお、各成分の滴下開始は同時であり、滴下時間は、80%AA及び35%SBSは180分間、50%AGE−DEA−6EOは60分間、15%NaPSは210分間とした。また、各水溶液の滴下速度は一定とし、各水溶液の滴下は連続的に行った。
上記15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合完結後、重合体混合物を含む水溶液である重合反応液を放冷し、140.3gの48%NaOHを、撹拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。中和後の重合反応液における固形分濃度は40質量%であった。得られた重合体の重量平均分子量は21000であった。
実施例8
還流冷却器、撹拌機を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、脱イオン水120.0g及びモール塩0.0148gを仕込み、撹拌しながら90℃まで昇温して重合反応系とした。次いで、撹拌下、約90℃に保たれた上記重合反応系中に、80%AA;163.8g、50%AGE−DEA−6EO;174.2g、48%NaOH;7.6g、35%SBS;51.2g(単量体組成物中の単量体1モルに対して亜硫酸水素ナトリウム9.0gに相当)、15%NaPS;53.0g(単量体組成物中の単量体1モルに対して過硫酸ナトリウム4.0gに相当)をそれぞれ別個の滴下ノズルから滴下して、反応溶液とした。なお、各成分の滴下開始は同時であり、滴下時間は、80%AA、48%NaOH及び35%SBSは180分間、50%AGE−DEA−6EOは60分間、15%NaPSは210分間とした。また、各水溶液の滴下速度は一定とし、各水溶液の滴下は連続的に行った。
上記15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合完結後、重合体混合物を含む水溶液である重合反応液を放冷し、132.7gの48%NaOHを、撹拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。中和後の重合反応液における固形分濃度は40質量%であった。得られた重合体の重量平均分子量は12000であった。
実施例9
還流冷却器、撹拌機を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、脱イオン水149.0g及びモール塩0.0152gを仕込み、撹拌しながら90℃まで昇温して重合反応系とした。次いで、撹拌下、約90℃に保たれた上記重合反応系中に、80%AA;178.7g、50%AGE−DEA−150EO水溶液(以下50%AGE−DEA−150EOと略す);191.0g、35%SBS;23.0g(単量体組成物中の単量体1モルに対して亜硫酸水素ナトリウム4.0gに相当)、15%NaPS;27.0g(単量体組成物中の単量体1モルに対して過硫酸ナトリウム2.0gに相当)をそれぞれ別個の滴下ノズルから滴下して、反応溶液とした。なお、各成分の滴下速度は同時であり、滴下時間は、80%AA及び35%SBSは180分間、50%AGE−DEA−150EOは60分間、15%NaPSは210分間とした。また、各水溶液の滴下速度は一定とし、各水溶液の滴下は連続的に行った。
上記15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合完結後、重合体混合物を含む水溶液である重合反応液を放冷し、153.0gの48%NaOHを、撹拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。中和後の重合反応液における固形分濃度は40質量%であった。得られた重合体の重量平均分子量は25000であった。
比較例1
還流冷却器、撹拌機を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、脱イオン水145.0g及びモール塩0.0068gを仕込み、撹拌しながら90℃まで昇温して重合反応系とした。次いで、撹拌下、約90℃に保たれた上記重合反応系中に、80%AA;270.0g、48%NaOH;12.5g、アリルアルコールのEO15モル付加物の50%水溶液(以下、50%PEA−15EOと略す);168.0g、35%SBS;71.2g(単量体組成物中の単量体1モルに対して亜硫酸水素ナトリウム8.0gに相当)、15%NaPS;83.1g(単量体組成物中の単量体1モルに対して過硫酸ナトリウム4.0gに相当)をそれぞれ別個の滴下ノズルから滴下して、反応溶液とした。なお、各成分の滴下開始は同時であり、滴下時間は、80%AA、48%NaOH及び35%SBSは180分間、50%AGE−DEA−45EOは60分間、15%NaPSは210分間とした。また、各水溶液の滴下速度は一定とし、各水溶液の滴下は連続的に行った。
上記15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合完結後、重合体混合物を含む水溶液である重合反応液を放冷し、221.6gの48%NaOHを、撹拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。中和後の重合反応液における固形分濃度は41質量%であった。得られた比較重合体の重量平均分子量は5000であった。
比較例2
還流冷却器、撹拌機を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、分子量600のポリエチレンイミンの活性水素にEOを20molずつ付加した化合物(以下、IO620と略す。)を216g仕込んだ。攪拌しながら、40℃まで加熱して、IO620が完全に溶解してから、AGE;6.54gを10分かけてゆっくりと滴下して加えた。その後、均一になるまで30分間攪拌してから60℃まで昇温して、更に60分間反応させた。ここに、純水115.2gとモール塩;0.0279gを加え、90℃まで昇温した。次に約90℃に保持された重合反応液中に、攪拌しながら、80%AA;715.3g、15%NaPS;502.9g、35%SBS;431.1gをそれぞれ別個の滴下ノズルから滴下した。各水溶液の滴下時間は同時であり、滴下時間は、80%AA及び35%SBSは180分間、15%NaPSは190分間とした。また、各水溶液の滴下速度は一定とし、各水溶液の滴下は連続的に行った。しかしながら、上記重合反応ではゲル化物が生成し、水溶性共重合体は得られなかった。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)により行い、下記の測定条件、装置で測定した。
測定装置:昭和電工社製「Shodex SYSTEM−21」
カラム:昭和電工社製「Asahipak GF−710 HQ」及び「Asahipak GF−310 HQ」をこの順で接続したもの
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=7/3(体積比)
流速:0.5mL/分
温度:40℃
検量線:ポリアクリル酸標準サンプル(創和科学株式会社製)を用いて作成
検出器:RI、UV(検出波長:220nm)
<再汚染防止能>
(1)Test fabric社より入手したポリエステル布を5cm×5cmに切断し、白布を作成した。この白布を予め日本電色工業社製の測色色差計SE2000型を用いて、白色度を反射率にて測定した。
(2)塩化カルシウム2水和物4.41gに純水を加えて15kgとし、硬水を調製した。
(3)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.0g、炭酸ナトリウム6.0g、硫酸ナトリウム2.0g、ポリアクリル酸ナトリウム(Mw5000)0.4gに純水を加えて100.0gとし、界面活性剤水溶液を調製した。
(4)ターゴットメーターを25℃にセットし、硬水1Lと界面活性剤水溶液5g、固形分換算で2%の重合体水溶液1g、ゼオライト0.15g、カーボンブラック0.25gをポットに入れ、100rpmで1分間攪拌した。その後、白布10枚を入れ100rpmで10分間攪拌した。
(5)手で白布の水を切り、25℃にした水道水1Lをポットに入れ、100rpmで2分間攪拌した。これを2回行った。
(6)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、上記測色色差計にて再度白布の白度を反射率にて測定した。
(7)以上の測定結果から下式により再汚染防止率を求めた。
再汚染防止率(%)=(洗浄後の白色度)/(原白布の白色度)×100
実施例で得られた本発明の重合体組成物について、それぞれ上記方法に基づき再汚染防止能の測定を行った。その結果を表1にまとめた。
表1から明らかなように、本発明における重合体は、優れた再汚染防止能を有している。
Figure 2007291369
上述した実施例及び比較例から、次のようにいえることがわかった。すなわち、PEG系単量体中のPEG鎖が、1本から3本の分岐構造になることにより、共重合体の再汚染防止率が59.9%から72.7%〜86.1%に向上し、これらの実施例においては、本発明の効果が顕著に現れることになる。このような共重合体は、例えば、洗浄用ビルダーとして洗剤中に添加されることにより、ポリアルキレングリコール鎖の割合が高められているために疎水性の汚れに対応することが可能となり、取り除かれた汚れによる再汚染を防止することから高い洗浄力を発揮する。また、比較例2のように、ポリアルキレンイミンに多数のポリアルキレングリコール鎖が結合し、そのポリアルキレングリコール鎖の末端にアリルグリシジルエーテルに由来する二重結合が存在する構造を有する共重合体は、共重合の際に架橋反応を起こすものであるため、原料のアクリル比率を高めることによりゲル化を生じるが、不飽和結合と窒素原子との間に少なくとも1本のPEG鎖の分岐構造を有する実施例においては、不飽和カルボン酸系単量体単位の比率、特に(メタ)アクリル比率を高めても共重合体の調整や共重合体の安定性についての問題なく、例えば洗浄力が向上することになる。上述した性能・特性を向上させるということは、他の用途においても同様であり、例えば、水処理剤、繊維処理剤等にも好適に用いることができる。
なお、上述した実施例及び比較例から、3本のポリアルキレングリコール鎖を有し、不飽和結合と窒素原子との間に少なくとも1本のポリアルキレングリコール鎖の分岐構造を有するポリアルキレングリコール系単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを共重合して得られるポリアルキレングリコール系共重合体であれば、1つの単量体単位に3本以上のポリアルキレングリコール鎖があることに由来する再汚染防止率を向上する機構、すなわち、疎水性の汚れに対応することができる機構は同様であるといえる。また上述した分岐構造とすれば、ポリアルキレングリコール鎖の末端に1つの二重結合を有する部位が結合するというような従来の共重合体における構造ではなく、1つの二重結合を有する部位にポリアルキレングリコール鎖が複数結合するというような構造となることから、不飽和カルボン酸系単量体単位の比率、特に(メタ)アクリル比率を高めても共重合体の調製や共重合体の安定性が向上したものとなる。これらのことは、上述した実施例及び比較例で明確に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。

Claims (9)

  1. ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)由来の構成単位(a)、及び、不飽和カルボン酸系単量体(B)由来の構成単位(b)を有するポリアルキレングリコール系共重合体であって、
    該ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)は、少なくとも3本のポリアルキレングリコール鎖を有し、不飽和結合と窒素原子との間に少なくとも1本のポリアルキレングリコール鎖の分岐構造を有するものである
    ことを特徴とするポリアルキレングリコール系共重合体。
  2. 前記ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)は、下記一般式(1);
    Figure 2007291369
    (式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。R、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。Xは、メチレン基又はカルボニル基を表す。l、m及びnは、オキシアルキレンの平均付加モル数であり、l+m+nが3〜300である。)で表される
    ことを特徴とする請求項1記載のポリアルキレングリコール系共重合体。
  3. 前記一般式(1)におけるXは、メチレン基であることを特徴とする請求項2記載のポリアルキレングリコール系共重合体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアルキレングリコール系共重合体を製造する方法であって、
    該製造方法は、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体(A)と不飽和カルボン酸系単量体(B)とを共重合する工程を含む
    ことを特徴とするポリアルキレングリコール系共重合体の製造方法。
  5. 前記共重合する工程は、亜硫酸(塩)、亜硫酸水素塩及び過酸化水素からなる群より選択される少なくとも1種の開始剤を用いて行う
    ことを特徴とする請求項4記載の製造方法。
  6. 下記一般式(1);
    Figure 2007291369
    (式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。R、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。Xは、メチレン基又はカルボニル基を表す。l、m及びnは、オキシアルキレンの平均付加モル数であり、l+m+nが3〜300である。)で表される
    ことを特徴とするポリアルキレングリコール系単量体。
  7. 前記一般式(1)におけるXは、メチレン基であることを特徴とする請求項6記載のポリアルキレングリコール系単量体。
  8. 前記ポリアルキレングリコール系単量体は、
    下記一般式(2);
    Figure 2007291369
    (l、m及びnは、オキシアルキレンの平均付加モル数であり、l+m+nが3〜300である。)で表される
    ことを特徴とする請求項7記載のポリアルキレングリコール系単量体。
  9. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアルキレングリコール系共重合体を含むことを特徴とする洗浄用ビルダー、水処理剤又は繊維処理剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010209132A (ja) * 2009-03-06 2010-09-24 Nippon Shokubai Co Ltd ポリオキシアルキレン系重合体およびその製造方法
JP2012131883A (ja) * 2010-12-21 2012-07-12 Kao Corp ポリアルキレングリコール系重合体
JP2014506264A (ja) * 2010-12-17 2014-03-13 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 両性ポリカルボキシレートポリマーを有する洗浄組成物

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