JP2007291037A - テトラアミン化合物およびその用途 - Google Patents

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Michiko Tamano
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Abstract

【課題】高い耐熱性を有し、分子が結晶化しにくく、有機EL素子用材料として用いた場合に、低電圧駆動、長寿命などの優れた特性を有するテトラアミン化合物を提供する。
【解決手段】テトラアミン化合物としては、具体的には、例えばN,N’−ジフェル−1,2−フェニレンジアミンと、4−ブロモ−N,N−ジフェニルアニリンのモル比1/2の反応生成物が例示される。
【選択図】なし

Description

本発明は新規なテトラアミン化合物に関し、さらに詳しくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下有機EL素子と略記)に用いた場合、分子の結晶性が低いため、安定した膜を形成でき、さらには耐熱性も高いため、優れた性能(低電圧駆動、長寿命、高安定性)を発揮するテトラアミン化合物に関する。
近年、有機EL素子においては、素子の長寿命化やより低い消費電力での駆動が求められている。素子の寿命や消費電力改善に影響を及ぼす原因は様々な因子が考えられるが(非特許文献1参照)、例えば寿命に関しては、素子を構成する材料の耐熱性や、結晶性が大きな影響を及ぼすものと考えられている。
一般的には、材料の分子構造が対称性の高い構造ほど耐熱性が高くなる傾向にあるが、一方で、対称性の高い構造では、結晶性が高くなり、安定性の高い膜が得られにくい。真空蒸着や、スピンコーティングなどで薄膜を形成し有機EL素子を作成した際に、膜の安定性が低く、容易に結晶化してしまい、素子の寿命が極端に短いという問題点を有していた。
有機EL素子用の材料の内、正孔注入性や正孔輸送性を有する材料として、トリフェニルアミン骨格を部分構造に含む材料が知られている。例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1、1−ビフェニル−4、4’−ジアミン(TPD)やN,N’―(1―ナフチル)―N,N’―ジフェニル―1,1’―ビフェニル−4,4’―ジアミン(NPD)といったジアミン類が知られているが、これらの材料は耐熱性が低く、EL素子の寿命が短かった。
トリフェニルアミン骨格を部分構造に持つジアミン類のその他の例としては、o−フェニレンジアミン構造を持つ材料が電子写真感光体として用いられている(特許文献1参照)。o−結合のフェニレンジアミンはp−結合のフェニレンジアミンよりも対称性が低く、安定な膜を形成しやすいが、耐熱性については明らかにされていない。
低消費電力、低駆動電圧化のため、陽極(ITO)と正孔輸送層の間に正孔注入層を設けた有機EL素子が提案されている。この正孔注入層にはイオン化ポテンシャルの小さな化合物が適しているが、スターバーストアミンとして、4,4’,4 ' '−トリス[N−(3−トリル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(MTDATA)(特許文献2参照)やフェニレンジアミン構造を有するテトラアミンとして、N,N’−ビス[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]−N,N’−ジフェニル−1,4−ベンゼンアミン(特許文献3、4参照)の利用が提案されている。しかしながら、いずれの材料も、結晶性や、耐熱性に問題があり、実用的な性能を発揮できていない。
一方で、上記の問題を解決するために、分子の対称性を少なくした、m−フェニレンジアミン構造を有するテトラアミン化合物として、N,N’−ビス[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]−N,N’−ジフェニル−1,3−ベンゼンアミンが開示されている(特許文献5参照)。この化合物は分子の対称性が低く、低結晶性で安定な膜を形成する材料と考えられるが、素子の発光効率や発光寿命は未だ十分ではない。
時任静士、安達千波矢、村田英幸共著,有機ELディスプレイ,オーム社,2004年発行,139頁 特開平7−157454号公報 特開平4−308688号公報 特開平11−251068号公報 WO91/003142号パンフレット 特開平10−092581号公報
本発明の課題は、高い耐熱性を有し、分子が結晶化しにくく、有機EL素子用材料として用いた場合に、低電圧駆動、長寿命などの優れた特性を有するテトラアミン化合物を提供することである。また、EL素子を構成する材料のうち、特に、正孔注入輸送層として用いた場合に、素子の長寿命化、低電圧駆動化が達成される上記化合物を提供することである。
本発明者らは、前記諸問題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記一般式[1]で表されるテトラアミン化合物に関する。
一般式[1]
Figure 2007291037
(式中、Ar1、および、Ar2 は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいフェニレン基であり、
1〜R34は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、または、置換基を有しても良い炭素数2〜18の複素環基である。R2〜R31は隣接するもの同士が結合して新たな環を形成しても良い。)
また本発明は、Ar1、および、Ar2が、置換基を有しても良いp−フェニレン基であることを特徴とする上記テトラアミン化合物に関する。
また本発明は、イオン化ポテンシャルが5.0〜5.5eVであることを特徴とする上記テトラアミン化合物に関する。
また本発明は、上記テトラアミン化合物を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料に関する。
また、本発明は、一対の電極間に発光層または発光層を含む複数層の有機層を形成してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機層の少なくとも一層が、上記有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
また、本発明は、陽極と発光層との間に正孔注入層および/または正孔輸送層を有し、前記正孔注入層および/または正孔輸送層が、請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含んでなる上記有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明のテトラアミン化合物を有機EL素子用材料として用いた有機EL素子は、薄膜の安定性が非常に高く、低い駆動電圧で発光し、かつ、長寿命であるため、壁掛けテレビ等のフラットパネルディスプレイや平面発光体として好適に使用することができ、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が可能である。
以下、詳細にわたって本発明を説明する。まず、一般式[1]で表されるテトラアミン化合物について説明する。
Ar1、Ar2 は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいフェニレン基である。ここでいうフェニレン基とは、o−、p−、m−フェニレン基のいずれであってもよいが、好ましくは、p−フェニレン基である。以下にその理由を説明する。
本発明の特徴として、対称性を少なくして、薄膜を形成した際の分子の結晶化を抑制することがあげられるが、一般式[1]の構造には既にo−フェニレンジアミン構造が含まれており、その効果は十分達成されている。Ar1、Ar2 をo−、あるいはm−フェニレン基として、これ以上対称性を崩してしまうと、逆に耐熱性が下がってしまう懸念があるためである。
また、Ar1、Ar2 が有してもよい置換基としては、特に制限はないが、ハロゲン原子や1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、1価の複素環基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などがあげられる。ここで、アリールオキシ基やアリールチオ基などにおけるアリールは、芳香族炭化水素および芳香族複素環を表す。
ここでいう、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられる。
1価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基を指し、そのようなものとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基があげられる。
したがって、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といった炭素数1〜18のアルキル基があげられる。
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といった炭素数2〜18のアルケニル基があげられる。
また、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といった炭素数2〜18のアルキニル基があげられる。
また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基といった炭素数3〜18のシクロアルキル基があげられる。
1価の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜18の1価の単環、縮合環、環集合炭化水素基があげられる。
ここで、炭素数6〜18の1価の単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の炭素数6〜18の1価の単環芳香族炭化水素基があげられる。
また、1価の縮合環炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、9−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の炭素数10〜18の1価の縮合環炭化水素基があげられる。
また、1価の環集合炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、ターフェニル基等の炭素数12〜18の1価の環集合炭化水素基があげられる。
1価の複素環基の複素環基としては、脂肪族複素環基、芳香族複素環基があげられる。
脂肪族複素環基としては、2−ピラゾリノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、2−モルホリニル基といった炭素数3〜18の1価の脂肪族複素環基があげられる。
また、芳香族複素環基としては、トリアゾリル基、3−オキサジアゾリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピローリル基、2−ピローリル基、3−ピローリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、3−ピラゾリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、N−インドリル基、N−カルバゾリル基、N−アクリジニル基、(2,2’−ビチエニル)−4−イル基といった炭素数2〜18の1価の芳香族複素環基があげられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基といった炭素数1〜8のアルコキシル基があげられる。
アリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基といった炭素数6〜14のアリールオキシ基があげられる。
アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基といった炭素数1〜8のアルキルチオ基があげられる。
アリールチオ基としては、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基といった炭素数6〜14のアリールチオ基があげられる。
置換アミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ビス(m−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−ビフェニリル)アミノ基、ビス[4−(4−メチル)ビフェニリル]アミノ基、N−α−ナフチル−N−フェニルアミノ基、N−β−ナフチル−N−フェニルアミノ基等の炭素数2〜16の置換アミノ基があげられる。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、アニソイル基、シンナモイル基等の炭素数2〜14のアシル基があげられる。
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2〜14のアルコキシカルボニル基があげられる。
アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜14のアリールオキシカルボニル基があげられる。
アルキルスルホニル基としては、メシル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基等の炭素数2〜14のアルキルスルホニル基があげられる。
アリールスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の炭素数2〜14のアリールスルホニル基があげられる。
以上説明した、Ar1、Ar2が有してもよい置換基は、置換基同士が結合し、環を形成していても良い。
Ar1、Ar2が有してもよい置換基のうち特に好ましいものとしては、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基、トリル基、フッ素原子があげられる。
次に、一般式[1]の中のR1からR34について説明する。
1〜R34は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、置換基を有しても良い炭素数2〜18の複素環基をあらわす。
ハロゲン原子とは、前述のものを表し、置換基を有しても良い炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、置換基を有しても良い炭素数2〜18の複素環基とは、それぞれ、前述したものの内、該当する炭素数の基をあらわす。
有してもよい置換基としては、Ar1、Ar2が有してもよい置換基と同様のものがあげられる。
1〜R34の好ましいものとしては、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基、トリル基、ビフェニリル基等があげられる。また、以下に説明するような置換基同士が結合して新たな環を形成する場合も好ましい例としてあげられる。
すなわち、一般式[1]のo−フェニレンジアミン部位以外についている置換基であるR2〜R31は隣接するもの同士が結合して新たな環を形成しても良い。新たに形成される環としては特に制限はないが、芳香環を形成してナフタレン環、フェナントレン環などの縮合環となる場合が好ましい。化合物の耐熱性を向上させる効果があるためである。
以上、本発明に用いる一般式[1]で表されるテトラアミン化合物について説明したが、これらのテトラアミン化合物を有機EL素子用材料として用いる場合には、化合物の分子量としては、1500以下が好ましく、1300以下がより好ましく、1200以下がさらに好ましく、1100以下が特に好ましい。この理由として、分子量が大きいと、蒸着によって素子を作成する場合の蒸着性が悪くなる懸念があるためである。
本発明の化合物の代表例を、以下の表1示すが、本発明は、この代表例に限定されるものではない。
尚、表1中では一般式[1]を以下の一般式[2]のように置き換えて、あらわすこととする。
一般式[2]
Figure 2007291037
表1
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
ところで、本発明のテトラアミン化合物は、種々の用途に用いることができる。増感効果、発熱効果、発色効果、退色効果、蓄光効果、相変化効果、光電変換効果、光磁気効果、光触媒効果、光変調効果、光記録効果、ラジカル発生効果等の機能を発現する材料として、あるいは逆にこれらの効果を受けて発光機能を有する材料としても用いることができる。より具体的には、発光材料、光電変換材料、光記録材料、画像形成材料、フォトクロミック材料、有機EL材料、光導電材料、二色性材料、ラジカル発生材料、酸発生材料、塩基発生材料、蓄光材料、非線形光学材料、第2高調波発生材料、第3高調波発生材料、感光材料、光吸収材料、近赤外吸収材料、フォトケミカルホールバーニング材料、光センシング材料、光マーキング材料、光化学治療用増感材料、光相変化記録材料、光焼結記録材料、光磁気記録材料、光線力学療法用色素等があげられる。
これらあげた種々の用途のうち、特に好ましくは、有機EL材料(有機EL用材料、有機EL素子用材料)として用いられる。
有機EL素子用材料として用いる等の場合には、特に、高純度の材料が要求されるが、このような場合に、本発明のテトラアミン化合物は、昇華精製法や再結晶法、再沈殿法、ゾーンメルティング法、カラム精製法、吸着法など、あるいはこれら方法を組み合わせて行うことができる。これら精製法の中でも再結晶法によるのが好ましい。昇華性を有する化合物においては、昇華精製法によることが好ましい。昇華精製においては、目的化合物が昇華する温度より低温で昇華ボートを維持し、昇華する不純物を予め除去する方法を採用するのが好ましい。また昇華物を採集する部分に温度勾配を施し、昇華物が不純物と目的物に分散するようにするのが望ましい。以上のような昇華精製は不純物を分離するような精製であり、本発明に適用しうるものである。また、昇華精製を行うことにより、材料の蒸着性の難易度を予測するのに役立つ。
ここで、本発明のテトラアミン化合物を用いて作成することができる有機EL素子について詳細に説明する。
有機EL素子は、陽極と陰極間に一層または多層の有機層を形成した素子から構成されるが、ここで、一層型有機EL素子とは、陽極と陰極との間に発光層のみからなる素子を指す。一方、多層型有機EL素子とは、発光層の他に、発光層への正孔や電子の注入を容易にしたり、発光層内での正孔と電子との再結合を円滑に行わせたりすることを目的として、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子注入層などを積層させたものを指す。したがって、多層型有機EL素子の代表的な素子構成としては、(1)陽極/正孔注入層/発光層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極、(4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極、(5)陽極/正孔注入層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(7)陽極/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(8)陽極/発光層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層した素子構成が考えられる。
また、上述した各有機層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されても良く、いくつかの層が繰り返し積層されていても良い。そのような例として、近年、光取り出し効率の向上を目的に、上述の多層型有機EL素子の一部の層を多層化する「マルチ・フォトン・エミッション」と呼ばれる素子構成が提案されている。これは例えば、ガラス基板/陽極/正孔輸送層/電子輸送性発光層/電子注入層/電荷発生層/発光ユニット/陰極から構成される有機EL素子に於いて、電荷発生層と発光ユニットの部分を複数層積層するといった方法があげられる。
本発明のテトラアミン化合物(有機EL素子用材料)は、上述したいかなる層に用いても構わないが、特に正孔注入層、正孔輸送層、発光層に好適に使用することができる。正孔輸送層、正孔注入層として用いる場合には、イオン化ポテンシャルが、5.0〜5.5eVであることが好ましく、5.2〜5.4eVであることがさらに好ましい。この範囲にあることで、正孔の注入あるいは輸送がスムーズに行われる。
また、本発明の有機EL素子用材料は、単一の化合物での使用はもちろんのこと、2種類以上の化合物を組み合わせて、すなわち混合、共蒸着、積層するなどして使用することが可能である。さらに、上述した正孔注入層、正孔輸送層、発光層において、他の材料と共に用いても構わない。
正孔注入層には、発光層に対して優れた正孔注入効果を示し、かつ陽極界面との密着性と薄膜形成性に優れた正孔注入層を形成できる正孔注入材料が用いられる。また、このような材料を多層積層させ、正孔注入効果の高い材料と正孔輸送効果の高い材料とを多層積層させた場合、それぞれに用いる材料を正孔注入材料、正孔輸送材料と呼ぶことがある。本発明の有機EL素子用材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料いずれにも好適に使用することができる。これら正孔注入材料や正孔輸送材料は、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが通常5.5eV以下と小さい必要がある。このような正孔注入層としては、より低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さらに正孔の移動度が、例えば104 〜106 V/cmの電界印加時に、少なくとも10-6cm2 /V・秒であるものが好ましい。本発明の有機EL素子用材料と混合して使用することができる、他の正孔注入材料および正孔輸送材料としては、上記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において正孔の電荷輸送材料として慣用されているものや、有機EL素子の正孔注入層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
このような正孔注入材料や正孔輸送材料としては、具体的には、例えばトリアゾール誘導体(米国特許3,112,197号明細書等参照)、オキサジアゾール誘導体(米国特許3,189,447号明細書等参照)、イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報等参照)、ポリアリールアルカン誘導体(米国特許3,615,402号明細書、同第3,820,989号明細書、同第3,542,544号明細書、特公昭45−555号公報、同51−10983号公報、特開昭51−93224号公報、同55−17105号公報、同56−4148号公報、同55−108667号公報、同55−156953号公報、同56−36656号公報等参照)、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細書、同第4,278,746号明細書、特開昭55−88064号公報、同55−88065号公報、同49−105537号公報、同55−51086号公報、同56−80051号公報、同56−88141号公報、同57−45545号公報、同54−112637号公報、同55−74546号公報等参照)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報等参照)、アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同第3,180,703号明細書、同第3,240,597号明細書、同第3,658,520号明細書、同第4,232,103号明細書、同第4,175,961号明細書、同第4,012,376号明細書、特公昭49−35702号公報、同39−27577号公報、特開昭55−144250号公報、同56−119132号公報、同56−22437号公報、西独特許第1,110,518号明細書等参照)、アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501号明細書等参照)、オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号明細書等に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報等参照)、フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照)、ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明細書、特開昭54−59143号公報、同55−52063号公報、同55−52064号公報、同55−46760号公報、同55−85495号公報、同57−11350号公報、同57−148749号公報、特開平2−311591号公報等参照)、スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報、同第61−228451号公報、同61−14642号公報、同61−72255号公報、同62−47646号公報、同62−36674号公報、同62−10652号公報、同62−30255号公報、同60−93455号公報、同60−94462号公報、同60−174749号公報、同60−175052号公報等参照)、シラザン誘導体(米国特許第4,950,950号明細書)、ポリシラン系(特開平2−204996号公報)、アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報)、特開平1−211399号公報に開示されている導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等をあげることができる。
正孔注入材料や正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物(特開昭63−2956965号公報)、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特開昭53−27033号公報、同54−58445号公報、同54−149634号公報、同54−64299号公報、同55−79450号公報、同55−144250号公報、同56−119132号公報、同61−295558号公報、同61−98353号公報、同63−295695号公報等参照)を用いることもできる。例えば、米国特許第5,061,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有する4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル等や、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン等をあげることができる。また、正孔注入材料として銅フタロシアニンや水素フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体もあげられる。さらに、その他、芳香族ジメチリデン系化合物、p型Si、p型SiC等の無機化合物も正孔注入材料や正孔輸送材料として使用することができる。
芳香族三級アミン誘導体の具体例としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−フェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−フェニル)−N,N’−ジ(1−ナフチル)ベンジジン、N,N’−ビス(4’−フェニル(1−ナフチル)アミノ−4−フェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ビス(4’−フェニル(1−ナフチル)アミノ−4−フェニル)−N,N’−ジ(1−ナフチル)ベンジジン等があげられ、これらは正孔注入材料、正孔輸送材料いずれにも使用することができる。
本発明の化合物(有機EL素子用材料)とともに用いる正孔注入材料、正孔輸送材料はさらに以下一般式[3]〜[8]のようなものを用いることが出来る。
一般式[3]
Figure 2007291037
(式中、Ra11〜Ra14は、それぞれ独立に、水素原子、アルコキシル基、もしくはシアノ基を表すが、全てが同時に水素原子となることはない。)
ここで、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、2−ボルニルオキシ基、2−イソボルニルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基等の炭素数1〜18のアルコキシル基があげられる。特に一般式[3]のRa11〜Ra14の好ましい組み合わせとしては、Ra11〜Ra14が全てメトキシ基、エトキシ基、もしくはシアノ基の場合であることが好ましい。
一般式[4]
Figure 2007291037
(式中、Z21は連結基であり、単結合、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、酸素原子、硫黄原子のいずれかを表す。Ra21〜Ra26は、それぞれ独立に、1価の芳香族炭化水素基を表す。)
一般式[4]中、Z21の連結基としては、単結合、ビニレン基、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、9,10−フェナントリレン基、9,10−アンスリレン基が好ましく、単結合、ビニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基がさらに好ましい。また、Ra21〜Ra26としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、およびp−ビフェニリル基より選ばれる1価の芳香族炭化水素基が好ましい。
一般式[5]
Figure 2007291037
(式中、Z31は連結基であり、単結合、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、酸素原子、硫黄原子のいずれかを表す。Ra31〜Ra36は、それぞれ独立に、1価の芳香族炭化水素基を表す。)
31の連結基としては、単結合、ビニレン基、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、9,10−フェナントリレン基、9,10−アンスリレン基が好ましく、単結合、ビニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基がさらに好ましい。また、Ra31〜Ra36としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、およびp−ビフェニリル基より選ばれる1価の芳香族炭化水素基が好ましい。
一般式[6]
Figure 2007291037
(式中、Ra41〜Ra48は、それぞれ独立に、1価の芳香族炭化水素基を表す。)
a41〜Ra48としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、およびp−ビフェニリル基より選ばれる1価の芳香族炭化水素基が好ましい。
一般式[7]
Figure 2007291037
(式中、Ra51〜Ra56は、それぞれ独立に、1価の芳香族炭化水素基を表す。)
a51〜Ra56としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、およびp−ビフェニリル基より選ばれる1価の芳香族炭化水素基が好ましい。
一般式[8]
Figure 2007291037
(式中、Ra61〜Ra64は、それぞれ独立に、1価の芳香族炭化水素基を表し、pは1〜4の整数を表す。)
a61〜Ra64としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、およびp−ビフェニリル基より選ばれる1価の芳香族炭化水素基が好ましい。
以上述べた一般式[3]〜[8]で示した化合物は特に正孔注入材料として、好適に用いられる。以下の表2に特に好ましい例を示す。
表2
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
また、本発明の化合物(有機EL素子用材料)と共に用いることが出来る正孔輸送材料としては、下記表3に示す公知の化合物もあげられる。
表3
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
上記説明した正孔注入層を形成するには、上述の化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により薄膜化するが、正孔注入層の膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。
一方、電子注入層には、発光層に対して優れた電子注入効果を示し、かつ陰極界面との密着性と薄膜形成性に優れた電子注入層を形成できる電子注入材料が用いられる。そのような電子注入材料の例としては、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ペリレンテトラカルボン酸誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、シロール誘導体、トリアリールホスフィンオキシド誘導体、カルシウムアセチルアセトナート、酢酸ナトリウムなどがあげられる。また、セシウム等の金属をバソフェナントロリンにドープした無機/有機複合材料(高分子学会予稿集,第50巻,4号,660頁,2001年発行)や、第50回応用物理学関連連合講演会講演予稿集、No.3、1402頁、2003年発行記載のBCP、TPP、T5MPyTZ等も電子注入材料の例としてあげられるが、素子作成に必要な薄膜を形成し、陰極からの電子を注入できて、電子を輸送できる材料であれば、特にこれらに限定されるものではない。
上記電子注入材料の中で好ましいものとしては、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体、シロール誘導体、トリアリールホスフィンオキシド誘導体があげられる。本発明に使用可能な好ましい金属錯体化合物としては、8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体が好適である。8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体の具体例としては、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(5−シアノ−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)クロロアルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(o−クレゾラート)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(2−メチル−5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2、4−ジメチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2、5−ジメチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム等のガリウム錯体化合物の他、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛等の金属錯体化合物があげられる。
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、好ましい含窒素五員環誘導体としては、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体があげられ、具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5 −フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert− ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等があげられる。
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、特に好ましいオキサジアゾール誘導体としては下記一般式[9]で表されるオキサジアゾール誘導体を示すことができる。
一般式[9]
Figure 2007291037
(式中、Arr1およびArr2は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い、1価の芳香族炭化水素基もしくは1価の含窒素芳香族複素環基を表す。)
1価の含窒素芳香族複素環基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、3−ピリダジル基、4−ピリダジル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、2−ピラジル基、1−イミダゾリル基等の1価の含窒素単環芳香族複素環基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、2−キナゾリル基、4−キナゾリル基、5−キナゾリル基、2−キノキサリル基、5−キノキサリル基、6−キノキサリル基、1−インドリル基、9−カリバゾリル基等の1価の含窒素縮合環芳香族複素環基、2,2’−ビピリジル−3−イル基、2,2’−ビピリジル−4−イル基、3,3’−ビピリジル−2−イル基、3,3’−ビピリジル−4−イル基、4,4’−ビピリジル−2−イル基、4,4’−ビピリジル−3−イル基等の1価の含窒素環集合芳香族複素環基があげられ、さらに、これら1価の含窒素芳香族複素環基上の水素原子は、1価の脂肪族炭化水素基もしくは1価の芳香族炭化水素基で置換されていても良い。
一般式[9]中、Arr1およびArr2として、好ましい1価の芳香族炭化水素基としては、1価の脂肪族炭化水素基もしくは1価の含窒素芳香族複素環基で置換されていても良い、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、およびp−ビフェニリル基があげられ、また好ましい1価の含窒素芳香族複素環基としては、1価の脂肪族炭化水素基もしくは1価の芳香族炭化水素基で置換されていても良い、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2,2’−ビピリジル−3−イル基、および2,2’−ビピリジル−4−イル基があげられる。
以下、表4に本発明に使用可能なオキサジアゾール誘導体の具体例を示す。
表4
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、特に好ましいトリアゾール誘導体としては、下記一般式[10]で表されるトリアゾール誘導体があげられる。
一般式[10]
Figure 2007291037
(式中、Art1〜Art3は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い、1価の芳香族炭化水素基もしくは1価の含窒素芳香族複素環基を表す。)
ここで、Art1およびArt2として、好ましい1価の芳香族炭化水素基としては、1価の脂肪族炭化水素基もしくは1価の含窒素芳香族複素環基で置換されていても良い、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、およびp−ビフェニリル基があげられ、また好ましい1価の含窒素芳香族複素環基としては、1価の脂肪族炭化水素基もしくは1価の芳香族炭化水素基で置換されていても良い、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2,2’−ビピリジル−3−イル基、および2,2’−ビピリジル−4−イル基があげられる。また、Art3として、好ましい1価の芳香族炭化水素基としては、1価の脂肪族炭化水素基もしくは1価の含窒素芳香族複素環基で置換されていても良い、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、およびp−ビフェニリル基があげられ、また好ましい1価の含窒素芳香族複素環基としては、1価の脂肪族炭化水素基もしくは1価の芳香族炭化水素基で置換されていても良い、2−ピリジル基、3−ピリジル基、および4−ピリジル基があげられる。
以下、表5に本発明に使用可能なトリアゾール誘導体の具体例を示す。
表5
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、特に好ましいシロール誘導体としては、下記一般式[11]で表されるシロール誘導体があげられる。
一般式[11]
Figure 2007291037
(式中、Rp1およびRp2は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基もしくは1価の含窒素芳香族複素環基を表す。Arp1〜Arp4は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い、1価の芳香族炭化水素基もしくは1価の含窒素芳香族複素環基を表す。Rp1、Rp2、Arp1〜Arp4の隣接した基同士は互いに連結して環を形成しても良い。)
ここで、Rp1およびRp2として、好ましい1価の脂肪族炭化水素基としては、1価の芳香族炭化水素基もしくは1価の含窒素芳香族複素環基で置換されていても良い、メチル基、エチル基、プロピル基、およびブチル基があげられ、好ましい1価の芳香族炭化水素基としては、1価の脂肪族炭化水素基もしくは1価の含窒素芳香族複素環基で置換されていても良い、フェニル基、m−ビフェニリル基、およびp−ビフェニリル基があげられ、好ましい1価の含窒素芳香族複素環基としては、1価の脂肪族炭化水素基もしくは1価の芳香族炭化水素基で置換されていても良い、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基があげられる。また、Arp1〜Arp4として、好ましい1価の芳香族炭化水素基としては、1価の脂肪族炭化水素基もしくは1価の含窒素芳香族複素環基で置換されていても良い、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、およびp−ビフェニリル基があげられ、また好ましい1価の含窒素芳香族複素環基としては、1価の脂肪族炭化水素基もしくは1価の芳香族炭化水素基で置換されていても良い、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2,2’−ビピリジル−3−イル基、および2,2’−ビピリジル−4−イル基があげられる。
以下、表6に本発明に使用可能なシロール誘導体の具体例を示す。
表6
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、好ましいトリアリールホスフィンオキシド誘導体としては、特開2002−63989号公報、特開2004−95221号公報、特開2004−203828号公報、特開2004−204140号公報記載のトリアリールホスフィンオキシド誘導体や下記一般式[12]で表されるトリアリールホスフィンオキシド誘導体を示すことができる。
一般式[12]
Figure 2007291037
(式中、Arq1〜Arq3は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い1価の芳香族炭化水素基を表す。)
ここでArq1〜Arq3として、好ましい1価の芳香族炭化水素基としては、1価の脂肪族炭化水素基もしくは1価の含窒素芳香族複素環基で置換されていても良い、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、およびp−ビフェニリル基があげられる。
以下、表7に本発明に使用可能なトリアリールホスフィンオキシド誘導体の具体例を示す。
表7
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
Figure 2007291037
さらに、正孔阻止層には、発光層を経由した正孔が電子注入層に達するのを防ぎ、薄膜形成性に優れた層を形成できる正孔阻止材料が用いられる。そのような正孔阻止材料の例としては、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物や、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(4−フェニルフェノラート)ガリウム等のガリウム錯体化合物、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)等の含窒素縮合芳香族化合物があげられる。
本発明の有機EL素子の発光層としては、以下の機能を併せ持つものが好適である。
注入機能;電界印加時に陽極または正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極または電子注入層より電子を注入することができる機能
輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能
発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能
ただし、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさには、違いがあってもよく、また正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があってもよいが、どちらか一方の電荷を移動することが好ましい。
有機EL素子の発光材料は主に有機化合物であり、具体的には所望の色調により、次のような化合物が用いられる。
たとえば、紫外域から紫色の発光を得る場合には、下記一般式[13]で表される化合物が好適に用いられる。
一般式[13]
Figure 2007291037
(式中、X1は下記一般式[14]で表される基を示し、X2は、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基のいずれかを示す。〕
一般式[14]
Figure 2007291037
(式中、mは2〜5の整数を示す)
この一般式[13]のX1で表されるフェニレン基、およびX2で表されるフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基は、単数または複数の炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、水酸基、スルホニル基、カルボニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基またはジフェニルアミノ基等の置換基で置換されていてもよい。また、これら置換基が複数ある場合には、それらが互いに結合し、環を形成していてもよい。さらに、X1で表されるフェニレン基は、パラ位で結合したものが、結合性が良く、かつ平滑な蒸着膜が形成し易いことから好ましい。上記一般式[13]で表される化合物の具体例を示せば、下記のとおりである(ただし、Phはフェニル基を表す)。
Figure 2007291037
Figure 2007291037
これら化合物の中では、特にp−クォーターフェニル誘導体、p−クインクフェニル誘導体が好ましい。
また、可視域、特に青色から緑色の発光を得るためには、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物を用いることができる。これら化合物の具体例としては、例えば特開昭59−194393号公報に開示されている化合物をあげることができる。さらに他の有用な化合物は、ケミストリー・オブ・シンセティック・ダイズ(1971)628〜637頁および640頁に列挙されている。
前記金属キレート化オキシノイド化合物としては、例えば、特開昭63−295695号公報に開示されている化合物を用いることができる。その代表例としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体や、ジリチウムエピントリジオン等が好適な化合物としてあげることができる。
また、前記スチリルベンゼン系化合物としては、例えば、欧州特許第0319881号明細書や欧州特許第0373582号明細書に開示されているものを用いることができる。そして、特開平2−252793号公報に開示されているジスチリルピラジン誘導体も、発光層の材料として用いることができる。このほか、欧州特許第0387715号明細書に開示されているポリフェニル系化合物も発光層の材料として用いることができる。
さらに、上述した蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物およびスチリルベンゼン系化合物等以外に、例えば12−フタロペリノン(J. Appl. Phys.,第27巻,L713(1988年))、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(以上Appl. Phys. Lett.,第56巻,L799(1990年))、ナフタルイミド誘導体(特開平2−305886号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−189890号公報)、オキサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報、または第38回応用物理学関係連合講演会で浜田らによって開示されたオキサジアゾール誘導体)、アルダジン誘導体(特開平2−220393号公報)、ピラジリン誘導体(特開平2−220394号公報)、シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公報)、ピロロピロール誘導体(特開平2−296891号公報)、スチリルアミン誘導体(Appl. Phys. Lett., 第56巻,L799(1990年)、クマリン系化合物(特開平2−191694号公報)、国際特許公報WO90/13148やAppl. Phys. Lett.,vol58,18,P1982(1991)に記載されているような高分子化合物、9,9’,10,10’−テトラフェニル−2,2’−ビアントラセン、PPV(ポリパラフェニレンビニレン)誘導体、ポリフルオレン誘導体やそれら共重合体等、例えば、下記一般式[15]〜一般式[17]の構造(一般式[16]および一般式[17]は各ユニットモノマーの構造を示すのみで、その重合形態を示したものではない。)をもつものや、
一般式[15]
Figure 2007291037
(式中、Rx1およびRX2は、それぞれ独立に、1価の脂肪族炭化水素基を、n1は、3〜100の整数を表す。)
一般式[16]
Figure 2007291037
(式中、Rx3およびRX4は、それぞれ独立に、1価の脂肪族炭化水素基を、n2およびn3は、それぞれ独立に、3〜100の整数を表す。)
一般式[17]
Figure 2007291037
(式中、RX5およびRX6は、それぞれ独立に、1価の脂肪族炭化水素基を、n4およびn5は、それぞれ独立に、3〜100の整数を表す。Phはフェニル基を表す。)
9,10−ビス(N−(4−(2−フェニルビニル−1−イル)フェニル)−N−フェニルアミノ)アントラセン等も発光層の材料として用いることができる。さらには、特開平8−12600号公報に開示されているような下記一般式[18]で示されるフェニルアントラセン誘導体も発光材料として用いることができる。
一般式[18]

A1−L−A2
(式中、A1及びA2は、それぞれ独立に、モノフェニルアントリル基またはジフェニルアントリル基を示し、これらは同一でも異なっていてもよい。Lは、単結合または2価の連結基を表す。)
ここで、Lで示される2価の連結基としては、置換基を有しても良い2価の単環もしくは縮合環芳香族炭化水素基が好ましい。特に、以下の一般式[19]ないし一般式[20]で表されるフェニルアントラセン誘導体は好適である。
一般式[19]
Figure 2007291037
(式中、RZ1〜RZ4は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、1価の芳香族炭化水素基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ジアリールアミノ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r1〜r4は、それぞれ独立に、0又は1〜5の整数を表す。r1〜r4が、それぞれ独立に、2以上の整数であるとき、RZ1同士、RZ2同士、RZ3同士、RZ4同士は各々同一でも異なるものであってもよく、RZ1同士、RZ2同士、RZ3同士、RZ4同士は結合して環を形成してもよい。L1は単結合又は置換基を有しても良い2価の単環もしくは縮合環芳香族炭化水素基を表し、置換基を有しても良い2価の単環もしくは縮合環芳香族炭化水素基は、アルキレン基、−O−、−S−又は−NR−(ここでRはアルキル基又はアリール基を表す)が介在するものであってもよい。)
一般式[20]
Figure 2007291037
(式中、RZ5及びRZ6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、1価の芳香族炭化水素基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ジアリールアミノ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r5及びr6は、それぞれ独立に、0又は1〜5の整数を表す。r5及びr6が、それぞれ独立に、2以上の整数であるとき、RZ5同士及びRZ6同士は各々同一でも異なるものであってもよく、RZ5同士及びRZ6同士は結合して環を形成してもよい。L2は単結合又は置換基を有しても良い2価の単環もしくは縮合環芳香族炭化水素基を表し、置換基を有しても良い2価の単環もしくは縮合環芳香族炭化水素基は、アルキレン基、−O−、−S−又は−NR−(ここでRはアルキル基又はアリール基を表す)が介在するものであってもよい。)
前記一般式[19]の内、下記一般式[21]ないし一般式[22]で表されるフェニルアントラセン誘導体がさらに好適である。
一般式[21]
Figure 2007291037
(式中、RZ11〜RZ30は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、1価の芳香族炭化水素基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ジアリールアミノ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。また、RZ11〜RZ30は、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。k1は、0〜3の整数を表す。)
一般式[22]
Figure 2007291037
(式中、RZ31〜RZ50は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、1価の芳香族炭化水素基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ジアリールアミノ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。また、RZ31〜RZ50は、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。k2は、0〜3の整数を表す。)
また、前記一般式[20]の内、下記一般式[23]で表されるフェニルアントラセン誘導体はさらに好適である。
一般式[23]
Figure 2007291037
(式中、RZ51〜RZ60は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、1価の芳香族炭化水素基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ジアリールアミノ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。また、RZ51〜RZ60は、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。k3は、0〜3の整数を表す。)
上記一般式[21]〜一般式[23]の具体例としては、下記化合物があげられる。
Figure 2007291037

さらには、以下の化合物も具体例としてあげられる。
Figure 2007291037
また、下記一般式[24]で示されるアミン化合物も発光材料として有用である。
一般式[24]
Figure 2007291037
(式中、hは、価数であり1〜6の整数を表す。E1は、n価の芳香族炭化水素基、E2は、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表す。)
ここで、E1で示されるn価の芳香族炭化水素基の母体構造としては、ナフタレン、アントラセン、9−フェニルアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、ナフタセン、ピレン、ペリレン、ビフェニル、ビナフチル、ビアンスリルが好ましく、E2で示されるアミノ基としては、ジアリールアミノ基が好ましい。また、nは、1〜4が好ましく、特に2であることが最も好ましい。一般式[24]の内、特に以下の一般式[25]〜一般式[34]で表されるアミン化合物は好適である。
一般式[25]
Figure 2007291037
(式中、Ry1〜Ry8は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、もしくは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表すが、Ry1〜Ry8の内、少なくとも一つは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表す。Ry1〜Ry8は同一でも異なるもので良く、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。)
一般式[26]
Figure 2007291037
(式中、Ry11〜Ry20は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、もしくは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表すが、Ry11〜Ry20の内、少なくとも一つは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表す。Ry11〜Ry20は同一でも異なるもので良く、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。)
一般式[27]
Figure 2007291037
(式中、Ry21〜Ry34は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、もしくは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表すが、Ry21〜Ry34の内、少なくとも一つは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表す。Ry21〜Ry34は同一でも異なるもので良く、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。)
一般式[28]
Figure 2007291037
(式中、Ry35〜Ry52は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、もしくは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表すが、Ry35〜Ry52の内、少なくとも一つは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表す。Ry35〜Ry52は同一でも異なるもので良く、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。)
一般式[29]
Figure 2007291037
(式中、Ry53〜Ry64は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、もしくは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表すが、Ry53〜Ry64の内、少なくとも一つは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表す。Ry53〜Ry64は同一でも異なるもので良く、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。)
一般式[30]
Figure 2007291037
(式中、Ry65〜Ry74は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、もしくは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表すが、Ry65〜Ry74の内、少なくとも一つは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表す。Ry65〜Ry74は同一でも異なるもので良く、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。)
一般式[31]
Figure 2007291037
(式中、Ry75〜Ry86は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、もしくは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表すが、Ry75〜Ry86の内、少なくとも一つは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表す。Ry75〜Ry86は同一でも異なるもので良く、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。)
一般式[32]
Figure 2007291037
(式中、Ry87〜Ry96は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、もしくは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表すが、Ry87〜Ry96の内、少なくとも一つは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表す。Ry87〜Ry96は同一でも異なるもので良く、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。)
一般式[33]
Figure 2007291037
(式中、Ry97〜Ry110は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、もしくは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表すが、Ry97〜Ry110の内、少なくとも一つは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表す。Ry97〜Ry110は同一でも異なるもので良く、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。)
一般式[34]
Figure 2007291037
(式中、Ry111〜Ry128は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、もしくは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表すが、Ry111〜Ry128の内、少なくとも一つは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表す。Ry111〜Ry128は同一でも異なるもので良く、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。)
上述した一般式[29]および一般式[31]のアミン化合物は、黄色〜赤色発光を得る場合、好適に用いることができる。以上述べた一般式[24]〜一般式[34]で表されるアミン化合物の具体例として下記構造の化合物をあげることができる(ただし、Phはフェニル基を表す)。
Figure 2007291037


Figure 2007291037


Figure 2007291037


Figure 2007291037


Figure 2007291037
また、上記一般式[24]〜一般式[34]において、アミノ基の代わりに、下記一般式[35]ないし一般式[36]で表されるスチリル基を少なくとも一つ含有する化合物(例えば、欧州特許第0388768号明細書、特開平3−231970号公報などに開示のものを含む)も発光材料として好適に用いることができる。
一般式[35]
Figure 2007291037
(式中、Ry129〜Ry131は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、1価の芳香族炭化水素基を表す。Ry129〜Ry131は、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。)
一般式[36]
Figure 2007291037
(式中、Ry132〜Ry138は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、1価の芳香族炭化水素基を表す。Ry134〜Ry138は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、1価の芳香族炭化水素基、もしくは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基を表すが、Ry134〜Ry138の内、少なくとも一つは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基から選ばれるアミノ基である。Ry132〜Ry138は、隣り合う基同士が連結し、環を形成していても良い。)
以上述べた一般式[35]ないし一般式[36]で表されるスチリル基を少なくとも一つ含有する化合物の具体例として下記構造の化合物をあげることができる(ただし、Phはフェニル基を表す)。
Figure 2007291037


Figure 2007291037


Figure 2007291037


Figure 2007291037


Figure 2007291037


Figure 2007291037
また、特開平5−258862号公報等に記載されている一般式(Rs−Q)2 −Al−O−L3(式中、L3はフェニル部分を含んでなる炭素原子6〜24個の炭化水素であり、O−L3はフェノラート配位子であり、Qは置換8−キノリノラート配位子を示し、Rsはアルミニウム原子に置換8−キノリノラート配位子が2個を上回り結合するのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラート環置換基を示す〕で表される化合物もあげられる。具体的には、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(パラ−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等があげられる。
このほか、特開平6−9953号公報等によるドーピングを用いた高効率の青色と緑色の混合発光を得る方法があげられる。この場合、ホストとしては、上記の発光材料、ドーパントとしては青色から緑色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系あるいは上記のホストとして用いられているものと同様な蛍光色素をあげることができる。具体的には、ホストとしてジスチリルアリーレン骨格の発光材料、特に好ましくは4,4’−ビス(2,2−ジフエニルビニル)ビフェニル、ドーパントとしてはジフェニルアミノビニルアリーレン、特に好ましくは例えばN,N−ジフェニルアミノビニルベンゼンをあげることができる。
白色の発光を得る発光層としては特に制限はないが、下記のものを用いることができる。
有機EL積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)。
同じくトンネル注入を利用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3−230584号公報)。
二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2−220390号公報および特開平2−216790号公報)。
発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる材料で構成されたもの(特開平4−51491号公報)。
青色発光体(蛍光ピーク380〜480nm)と緑色発光体(480〜580nm)とを積層させ、さらに赤色蛍光体を含有させた構成のもの(特開平6−207170号公報)。
青色発光層が青色蛍光色素を含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、さらに緑色蛍光体を含有する構成のもの(特開平7−142169号公報)。
これらの中では、上記の構成のものが特に好ましい。
さらに、発光材料として、例えば、下記に示す公知の化合物が好適に用いられる(ただし、Phはフェニル基を表す)。
Figure 2007291037


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Figure 2007291037


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また、本発明の有機EL素子では、リン光発光材料を用いることができる。本発明の有機EL素子に使用できるリン光発光材料またはドーピング材料としては、例えば有機金属錯体があげられ、ここで金属原子は通常、遷移金属であり、好ましくは周期では第5周期または第6周期、族では6族から11族、さらに好ましくは8族から10族の元素が対象となる。具体的にはイリジウムや白金などである。また、配位子としては2−フェニルピリジンや2−(2’―ベンゾチエニル)ピリジンなどがあり、これらの配位子上の炭素原子が金属と直接結合しているのが特徴である。別の例としてはポルフィリンまたはテトラアザポルフィリン環錯体などがあり、中心金属としては白金などがあげられる。例えば、下記に示す公知の化合物がリン光発光材料として好適に用いられる(ただし、Phはフェニル基を表す)。
Figure 2007291037

Figure 2007291037
さらに、本発明の有機EL素子の陽極に使用される材料は、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、ITO、SnO2 、ZnO等の導電性材料があげられる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることができる。この陽極は、上記発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が10%より大きくなるような特性を有していることが望ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下としてあるものが好ましい。さらに、陽極の膜厚は、材料にもよるが通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
また、本発明の有機EL素子の陰極に使用される材料は、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、アルミニウム/酸化アルミニウム、アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属などがあげられる。この陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。ここで、発光層からの発光を陰極から取り出す場合、陰極の発光に対する透過率は10%より大きくすることが好ましい。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、さらに、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmである。
本発明の有機EL素子を作製する方法については、上記の材料および方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入層、および必要に応じて電子注入層を形成し、最後に陰極を形成すればよい。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で有機EL素子を作製することもできる。
この有機EL素子は、透光性の基板上に作製する。この透光性基板は有機EL素子を支持する基板であり、その透光性については、400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上、好ましくは90%以上であるものが望ましく、さらに平滑な基板を用いるのが好ましい。
これら基板は、機械的、熱的強度を有し、透明であれば特に限定されるものではないが、例えば、ガラス板、合成樹脂板などが好適に用いられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英などで成形された板があげられる。また、合成樹脂板としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリサルフォン樹脂などの板があげられる。
本発明の有機EL素子の各層の形成方法としては、真空蒸着、電子線ビーム照射、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法、もしくはスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれかの方法を適用することができる。有機層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。また特開昭57−51781号公報に開示されているように、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、有機層を形成することができる。各層の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚が厚すぎると一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要となり効率が悪くなり、逆に膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生し、電界を印加しても充分な発光輝度が得にくくなる。したがって、各層の膜厚は、1nmから1μmの範囲が適しているが、10nmから0.2μmの範囲がより好ましい。
また、有機EL素子の温度、湿度、雰囲気等に対する安定性向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、樹脂等により素子全体を被覆や封止を施したりしても良い。特に素子全体を被覆や封止する際には、光によって硬化する光硬化性樹脂が好適に使用される。
本発明の有機EL素子に印加する電流は通常、直流であるが、パルス電流や交流を用いてもよい。電流値、電圧値は、素子破壊しない範囲内であれば特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率良く発光させることが望ましい。
本発明の有機EL素子の駆動方法は、パッシブマトリクス法のみならず、アクティブマトリックス法での駆動も可能である。また、本発明の有機EL素子から光を取り出す方法としては、陽極側から光を取り出すボトム・エミッションという方法のみならず、陰極側から光を取り出すトップ・エミッションという方法にも適用可能である。これらの方法や技術は、城戸淳二著、「有機ELのすべて」、日本実業出版社(2003年発行)に記載されている。
さらに、本発明の有機EL素子は、マイクロキャビティ構造を採用しても構わない。これは、有機EL素子は、発光層が陽極と陰極との間に挟持された構造であり、発光した光は陽極と陰極との間で多重干渉を生じるが、陽極及び陰極の反射率、透過率などの光学的な特性と、これらに挟持された有機層の膜厚とを適当に選ぶことにより、多重干渉効果を積極的に利用し、素子より取り出される発光波長を制御するという技術である。これにより、発光色度を改善することも可能となる。この多重干渉効果のメカニズムについては、J.Yamada等によるAM−LCD Digest of Technical Papers, OD−2,p.77〜80(2002)に記載されている。
以上述べたように、本発明のテトラアミン化合物を用いた有機EL素子は、低い駆動電圧で長時間の発光を得ることが可能である。故に、本有機EL素子は、壁掛けテレビ等のフラットパネルディスプレイや各種の平面発光体として、さらには、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が考えられる。
以下、本発明を実施例で説明する。まず、本発明の化合物の合成例を示す。
合成例
それぞれの化合物は、対応するジブロモ体とアニリン誘導体を反応させ、その後に対応するアミン化合物のブロモ化物を反応させることで得ることが出来た。基本的な、合成スキームは下記式1のとおりである。なお、式中のX1〜X7、Ar1、Ar2は一般式[2]と同様のものを表す。
式1
Figure 2007291037
化合物(1)の合成方法
窒素雰囲気下、1,2−ジブロモベンゼン2.4g(10.2mmol)とアニリン2.0g(21mmol)、酢酸パラジウム0.090g、トリ‐tert‐ブチルホスフィン0.25g、炭酸カリウム8.6gを50mlの4つ口フラスコにいれ、脱水キシレン20mlを加えて、3時間加熱還流した。反応液に塩化アンモニウム水溶液を加えて中和し、有機層をトルエンで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残留物に少量のメタノールを添加して放置すると結晶が析出するので、ろ取乾燥するとN,N'−ジフェニル−1,2−フェニレンジアミン1.5g(収率56%)が得られた。
次に得られたN,N'−ジフェニル−1,2−フェニレンジアミン1.5g(5.8mmol)と4‐ブロモ−N,N−ジフェニルアニリン4.8g(15mmol)、酢酸パラジウム0.26g、トリ‐tert‐ブチルホスフィン0.93g、ナトリウム−tert−ブトキシド1.4gを50mlの4つ口フラスコにいれ、脱水キシレン40mlを加えて、2時間加熱還流した。反応液をメタノール200ml中に注入し、析出した固体をろ取し、熱真空乾燥させた。粗生成物として化合物(1)が4.7g得られた。得られた粗成生物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、さらに昇華精製を行った。この化合物(2)のイオン化ポテンシャルは5.4eV(理研計器製AC−1)であった。化合物はマススペクトル(ブルカーダルトニクス社製、AutoflexII)、1H‐NMR、13C‐NMR(日本電子社製GSX−270)により同定した。
化合物(14)の合成方法
化合物(1)を合成時に得られたN,N'−ジフェニル−1,2−フェニレンジアミン1.5g(5.8mmol)と4−ブロモ−N−フェニル−N−(2−ナフチル)−アニリン6.7g(18mmol)、酢酸パラジウム0.26g、トリ‐tert‐ブチルホスフィン0.93g、ナトリウム−tert−ブトキシド1.4gを50mlの4つ口フラスコにいれ、脱水キシレン40mlを加えて、2時間加熱還流した。反応液をメタノール200ml中に注入し、析出した固体をろ取し、熱真空乾燥させた。粗生成物として化合物(14)が5.4g得られた。得られた粗成生物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、さらに昇華精製を行った。この化合物(14)のイオン化ポテンシャルは5.3eV(理研計器製AC−1)であった。化合物はマススペクトル(ブルカーダルトニクス社製、AutoflexII) 1H‐NMR、13C‐NMR(日本電子社製GSX−270)により同定した。
化合物(29)の合成方法
窒素雰囲気下、1,2−フェニレンジアミン1.1g(10.2mmol)と4−ブロモビフェニル4.9g(21mmol)、酢酸パラジウム0.090g、トリ‐tert‐ブチルホスフィン0.25g、炭酸カリウム8.6gを50mlの4つ口フラスコにいれ、脱水キシレン20mlを加えて、3時間加熱還流した。反応液に塩化アンモニウム水溶液を加えて中和し、有機層をトルエンで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残留物に少量のメタノールを添加して放置すると結晶が析出するので、ろ取乾燥するとN,N'−ビス−(4−ビフェニル)−1,2−フェニレンジアミン2.7g(収率65%)が得られた。
次に得られたN,N'−ビス−(4−ビフェニル)−1,2−フェニレンジアミン2.7g(6.5mmol)と4‐ブロモ−N,N−ジフェニルアニリン5.5g(17mmol)、酢酸パラジウム0.29g、トリ‐tert‐ブチルホスフィン1.0g、ナトリウム−tert−ブトキシド1.6gを50mlの4つ口フラスコにいれ、脱水キシレン70mlを加えて、2時間加熱還流した。反応液をメタノール200ml中に注入し、析出した固体をろ取し、熱真空乾燥させた。粗生成物として化合物(29)が6.2g得られた。得られた粗成生物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、さらに昇華精製を行った。この化合物(2)のイオン化ポテンシャルは5.3eV(理研計器製AC−1)であった。化合物はマススペクトル(ブルカーダルトニクス社製、AutoflexII)、1H‐NMR、13C‐NMR(日本電子社製GSX−270)により同定した。
同様にして、実施例で使用した本発明の化合物を合成することが出来た。表8に各化合物の質量分析結果(ブルカーダルトニクス社製、AutoflexII)を示す。
表8
Figure 2007291037
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。実施例においては、特に断りのない限り、混合比は全て重量比を示す。蒸着(真空蒸着)は10-6Torrの真空中で、基板加熱、冷却等の温度制御なしの条件下で行った。また、素子の発光特性評価においては、電極面積2mm×2mmの有機EL素子の特性を測定した。
実施例1
洗浄したITO電極付きガラス板上に、本発明の化合物(1)を真空蒸着して膜厚60nmの正孔注入層を得た。次いで、N,N’―(1―ナフチル)―N,N’―ジフェニル―1,1’―ビフェニル−4,4’―ジアミン(NPD)を真空蒸着して20nmの正孔輸送層を得た。さらに、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体(Alq3)を真空蒸着して膜厚60nmの電子注入型発光層を作成し、その上に、まずフッ化リチウム(LiF)を1nm、次いでアルミニウム(Al)を200nm蒸着して電極を形成して、有機EL素子を得た。この素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命を測定した。また、100℃の環境で、10mA/cm2の電流密度で100時間連続して発光させ輝度を測定した。結果を表9に示す。
実施例2〜14
表9に示す化合物を用いて正孔注入層を作成した以外は実施例1同様の素子を作成した。この素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命を測定した。また、100℃の環境で、10mA/cm2の電流密度で100時間連続して発光させ輝度を測定した。結果を表9に示す。
比較例
比較例1〜3
以下に示す化合物を用いて正孔注入層を作成した以外は実施例1と同様の素子を作成した。この素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命を測定した。また、100℃の環境で、10mA/cm2の電流密度で100時間連続して発光させ輝度を測定した。結果を表9に示す。
Figure 2007291037
表9
Figure 2007291037
表9から明らかなように、本発明の化合物を用いて作成した素子は、比較例よりも低電圧で駆動でき、また、長寿命で高い輝度が得られた。
実施例15
ITO電極付きガラス板上に、本発明の化合物(35)を1,2−ジクロロエタンに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚50nmの正孔注入層を形成した。次に、Alq3を蒸着して膜厚30nmの電子注入性発光層を作成し、その上に、マグネシウムと銀を10:1で混合した合金で膜厚100nmの電極を形成して有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この素子の直流電圧8.4Vでの発光効率は2.1(lm/W)であった。また、発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
実施例16
ITO電極付きガラス板上に、本発明の化合物(3)を蒸着して膜厚35nmの正孔注入層を形成した。次に、以下に示す化合物(D)とAlq3を1:20の組成比で共蒸着して膜厚35nmの発光層を形成した。さらに、Alq3を蒸着して膜厚30nmの電子注入層を形成した。その上に、フッ化リチウム(LiF)を1nm、さらにアルミニウム(Al)を200nm真空蒸着によって電極を形成して有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この素子は、直流電圧5.0Vでの発光効率は0.61(lm/W)を示した。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
Figure 2007291037
実施例17
ITO電極付きガラス板上に、本発明の化合物(14)と本発明の化合物(36)とを1:1の組成比で共蒸着して膜厚80nmの正孔注入層を形成した。次に、以下に示す化合物(E)を蒸着して膜厚20nmの発光層を形成した。さらに、Alq3を蒸着して膜厚20nmの電子注入層を形成した。その上に、フッ化リチウム(LiF)を1nm、さらにアルミニウム(Al)を200nm真空蒸着によって電極を形成して有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この素子は、直流電圧5.3Vでの発光効率は2.1(lm/W)を示した。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
Figure 2007291037
実施例18
ITO電極付きガラス板上に、本発明の化合物(19)を蒸着して膜厚60nmの正孔注入層を形成した。次に、以下に示す化合物(F)と以下に示す化合物(G)とを20:1の組成比で共蒸着して膜厚30nmの発光層を形成した。さらに、Alq3を蒸着して膜厚20nmの電子注入層を形成した。その上に、フッ化リチウム(LiF)を1nm、さらにアルミニウム(Al)を200nm真空蒸着によって電極を形成して有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この素子は、直流電圧6.2Vでの発光効率は5.7(lm/W)を示した。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
Figure 2007291037
実施例19
ITO電極付きガラス板上に、本発明の化合物(21)を蒸着して膜厚35nmの正孔注入層を形成した。次に以下に示す化合物(H)と以下に示す化合物(I)とを20:1の組成比で共蒸着して膜厚35nmの発光層を形成した。さらに、Alq3を蒸着して膜厚30nmの電子注入層を形成した。その上に、フッ化リチウム(LiF)を1nm、さらにアルミニウム(Al)を200nm真空蒸着によって電極を形成して有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この素子は、直流電圧3.5Vでの発光効率は3.1(lm/W)を示した。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
Figure 2007291037
実施例20
ITO電極付きガラス板上に、本発明の化合物(28)を蒸着して膜厚50nmの正孔注入層を形成した。次に、以下に示す化合物(J)とAlq3とを1:1の組成比で共蒸着して膜厚50nmの電子輸送性発光層を形成した。さらに、その上に、マグネシウムと銀を1:3で混合した合金で膜厚200nmの電極を形成して有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この素子の直流電圧8Vでの発光効率は1.0(lm/W)であった。また、発光輝度350(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
Figure 2007291037
実施例21
ITO電極付きガラス板上に、本発明の化合物(29)を蒸着して膜厚50nmの正孔注入層を形成した。次に、化合物(G)と以下に示す化合物(K)とを100:1の組成比で共蒸着して膜厚25nmの発光層を形成した。さらに、BCPを蒸着して膜厚25nmの電子注入層を形成した。その上に、リチウム(Li)を0.5nm、さらに銀を150nm蒸着して有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この素子は、直流電圧10Vでの発光効率は0.87(lm/W)を示した。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
Figure 2007291037
実施例22
ITO電極付きガラス板上に、本発明の化合物(15)を蒸着して膜厚40nmの正孔注入層を形成した。次に、以下に示す化合物(L)を10nm蒸着して正孔輸送層を形成した。さらに以下に示す化合物(M)と以下に示す化合物(N)とを1:9の組成比で共蒸着して膜厚25nmの発光層を形成した。さらにBCPを蒸着して15nmの正孔阻止層を形成した。さらにAlq3を蒸着して膜厚25nmの電子注入層を形成した。その上に、フッ化リチウム(LiF)を1nm、さらにアルミニウム(Al)を100nm蒸着によって陰極を形成して有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この素子は、直流電圧10Vでの外部量子効率は7.1%を示した。また、発光輝度100(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
Figure 2007291037
実施例23
ITO電極付きガラス板上に、本発明の化合物(19)を60nm蒸着して正孔注入層を形成した。さらにAlq3を蒸着して膜厚20nmの発光層を形成した。以下に示す化合物(O)を蒸着して膜厚30nmの電子注入層を形成した。その上に、酸化リチウム(Li2O)を1nm、さらにアルミニウム(Al)を100nm蒸着によって陰極を形成して有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この素子は、この素子は、直流電圧4.5Vでの発光効率は2.1(lm/W)を示した。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
Figure 2007291037
実施例24〜29
電子注入層として化合物(O)のかわりにES11、EP2〜4、EP10、EP22を用いた以外は実施例23と同じ条件で実験を行った。素子作成直後ならびに100℃のオーブン中にて1時間保存後の素子について、実施例23と同様に素子の特性を測定した。その結果、いずれの素子も、電流密度10(mA/cm2)で駆動した際の素子特性は、電圧は4.0(V)以下、輝度は400(cd/m2)以上であり、発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
実施例30
ITO電極付きガラス板上に、銅フタロシアニンを蒸着して膜厚25nmの正孔注入層を形成した。次に、本発明の化合物(1)と以下に示す化合物(P)とを100:8の組成比で共蒸着して膜厚45nmの発光層を形成した。さらに以下に示す化合物(Q)を蒸着して膜厚20nmの電子注入層を形成した。その上に、酸化リチウム(Li2O)を1nm、さらにアルミニウム(Al)を100nm蒸着によって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、直流電圧10Vでの外部量子効率は6.5%を示した。また、発光輝度200(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
Figure 2007291037
実施例31
ITO電極付きガラス板上に、NPDを真空蒸着して膜厚40nmの正孔注入層を得た。次いで、本発明の化合物(14)と以下に示す化合物(R)を98:3の比率で共蒸着して、膜厚40nmの発光層を作成し、次いでAlq3を真空蒸着して膜厚30nmの電子注入層を作成した。その上に、フッ化リチウムを0.7nm、次いでアルミニウムを200nm真空蒸着することで電極を形成して、有機燐光発光素子を得た。この素子は、直流電圧5Vでの発光輝度360(cd/m2)、最大発光輝度87600(cd/m2)の発光が得られた。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの半減寿命は4500時間であった。
Figure 2007291037
実施例32
ITO電極付きガラス板上に、表2中の化合物HIM16を蒸着して膜厚60nmの正孔注入層を形成した後、本発明の化合物(35)を蒸着して膜厚20nmの正孔輸送層を形成した。次に、Alq3を蒸着して膜厚60nmの電子注入性発光層を形成し、その上に、フッ化リチウムを1nm、さらにアルミニウムを200nm真空蒸着によって電極を形成して有機EL素子を得た。この素子の直流電圧5Vでの発光効率は1.8(lm/W)であった。また、発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
実施例33
ITO電極付きガラス板上に、HIM9を蒸着して膜厚50nmの正孔注入層を形成した後、本発明の化合物(3)を20nm蒸着して正孔輸送層を形成した。さらにAlq3を蒸着して膜厚20nmの発光層を形成した。さらに表4中の化合物EX3を蒸着して膜厚30nmの電子注入層を形成した。その上に、酸化リチウムを1nm、さらにアルミニウムを100nm蒸着によって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、直流電圧5.2Vでの発光輝度は880(cd/m2)を示した。また、素子作成直後ならびに100℃のオーブン中にて1時間保存後の素子について、発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命は、5000時間以上であった。
実施例34
ITO電極付きガラス板上に、化合物HIM10を蒸着して膜厚55nmの正孔注入層を形成した後、本発明の化合物(10)を20nm蒸着して正孔輸送層を形成した。さらにAlq3を蒸着して膜厚20nmの発光層を形成した。さらに表5中の化合物ET3を蒸着して膜厚30nmの電子注入層を形成した。その上に、酸化リチウムを1nm、さらにアルミニウムを100nm蒸着によって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、この素子は、直流電圧5Vでの発光輝度は850(cd/m2)を示した。また、素子作成直後ならびに100℃のオーブン中にて1時間保存後の素子について、発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命は、いずれの素子も5000時間以上であった。
実施例35
ITO電極付きガラス板上に、化合物HIM11を蒸着して膜厚60nmの正孔注入層を形成した後、本発明の化合物(8)を15nm蒸着して正孔輸送層を形成した。さらにAlq3を蒸着して膜厚20nmの発光層を形成した。さらに表6中の化合物ES5を蒸着して膜厚30nmの電子注入層を形成した。その上に、酸化リチウムを1nm、さらにアルミニウムを100nm蒸着によって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、この素子は、直流電圧5.0Vでの発光効率は2.1(lm/W)を示した。また、素子作成直後ならびに100℃のオーブン中にて1時間保存後の素子について、発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命は、いずれの素子も5000時間以上であった。
実施例36
ITO電極付きガラス板上に、本発明の化合物(5)を蒸着して膜厚60nmの正孔注入層を形成した後、表2中のHTM9を15nm蒸着して正孔輸送層を形成した。さらにAlq3を蒸着して膜厚20nmの発光層を形成した。さらに表6中の化合物ES5を蒸着して膜厚30nmの電子注入層を形成した。その上に、酸化リチウムを1nm、さらにアルミニウムを100nm蒸着によって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、この素子は、直流電圧5.0Vでの発光効率は2.1(lm/W)を示した。また、素子作成直後ならびに100℃のオーブン中にて1時間保存後の素子について、発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命は、いずれの素子も5000時間以上であった。
実施例37〜41
正孔輸送層としてHTM9のかわりに表2の化合物HTM3、HTM11、HTM14、HTM25、HTM27を用いた以外は実施例36と同じ条件で実験を行った。素子作成直後ならびに100℃のオーブン中にて1時間保存後の素子について、実施例36と同様に素子の特性を測定した。その結果、いずれの素子も、電流密度10(mA/cm2)で駆動した際の素子特性は、電圧は4.0(V)以下、輝度は400(cd/m2)以上であり、発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
実施例41〜45
電子注入層としてES5のかわりにET3、ES2、ES6、EP4、EP11を用いた以外は実施例36と同じ条件で実験を行った。素子作成直後ならびに100℃のオーブン中にて1時間保存後の素子について、実施例36と同様に素子の特性を測定した。その結果、いずれの素子も、電流密度10(mA/cm2)で駆動した際の素子特性は、電圧は4.0(V)以下、輝度は400(cd/m2)以上であり、発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
実施例46〜48
化合物(5)のかわりに本発明の化合物(8)、(18)、(29)を用いた以外は実施例36と同じ条件で実験を行った。素子作成直後ならびに100℃のオーブン中にて1時間保存後の素子について、実施例36と同様に素子の特性を測定した。その結果、いずれの素子も、電流密度10(mA/cm2)で駆動した際の素子特性は、電圧は4.0(V)以下、輝度は400(cd/m2)以上であり、発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命は5000時間以上であった。
以上のように、本発明で示されたテトラアミン化合物を用いることにより、高い性能のEL素子が作成できる。比較化合物に対して格段に高い性能が発揮されることは明らかであり、有機EL素子の低駆動電圧化、長寿命化が達成できる。

Claims (6)

  1. 下記一般式[1]で表されるテトラアミン化合物。
    一般式[1]
    Figure 2007291037



    (式中、Ar1、および、Ar2 は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいフェニレン基であり、
    1〜R34は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、または、置換基を有しても良い炭素数2〜18の複素環基である。R2〜R31は隣接するもの同士が結合して新たな環を形成しても良い。)
  2. Ar1、および、Ar2が、置換基を有しても良いp−フェニレン基であることを特徴とする請求項1記載のテトラアミン化合物。
  3. イオン化ポテンシャルが、5.0〜5.5eVであることを特徴とする請求項1または2記載のテトラアミン化合物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のテトラアミン化合物を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
  5. 一対の電極間に発光層または発光層を含む複数層の有機層を形成してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機層の少なくとも一層が、請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 陽極と発光層との間に正孔注入層および/または正孔輸送層を有し、前記正孔注入層および/または正孔輸送層が、請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含んでなる請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。



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