JP2007290931A - スクライブ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】改質部が位置精度よく形成できるスクライブ装置を提供すること。
【解決手段】レーザ光源2からレーザ光を照射し、集光レンズ9でワーク10の内部に集光して改質部を形成して、スクライブする。改質部のワーク10の表面からの深さを精度良く形成するため、集光レンズ9とワーク10との距離を測長器12で測定する。設定値との差分に相当する距離、ワーク10を光軸8方向に移動して、集光レンズ9とワーク10との距離を設定値に近づける。このとき、間隔調整テーブル22を作動してワーク10を移動し、集光レンズ9とワーク10との距離を設定値に近づける。
【選択図】図1

Description

本発明は、スクライブ装置に関するものである。
光透過性のある基板を品質良く切断するために、レーザ光を基板に照射して基板内部に改質領域(以下、改質部と称す。)を形成するレーザスクライブ方法が特許文献1に開示されている。それによると、パルス幅が1μs以下のレーザ光を出射し、集光レンズで基板内部に集光し、集光点におけるピークパワー密度を1×108(W/cm2)以上にする。これにより、加工対象物の内部に多光子吸収による改質部を形成するものである。
また、このレーザスクライブ方法において、加工対象物の内部に形成される改質部あるいはこれを起点として形成される改質部の大きさは、集光レンズの特性と、レーザ光のピークパワー密度に依存する。例えば、上記特許文献1に示されたガラス(厚さ700μm)をYAGレーザを用いて切断する実施例では、集光レンズの開口数が0.55の場合、ピークパワー密度がおよそ1×1011(W/cm2)では、改質部の大きさは、およそ100μmである。また、ピークパワー密度がおよそ5×1011(W/cm2)では、およそ250μmである。基板の内部に改質部を配列して形成し、改質部を押圧することで、基板を改質部に沿って品質良く分断することができる。
この、レーザ光スクライブ方法を用いて、基板の厚み方向に位置精度良く改質領域を形成する方法が特許文献2に開示されている。この方法によれば、スクライブ用のレーザ光と同じ光軸に基板表面位置検出用レーザを射出し、基板表面から反射した光を用いて、照射レンズと基板の距離を測長している。
照射レンズには、照射レンズをレーザ光の光軸方向に移動させるアクチュエータが配置され、照射レンズと基板との距離を所定の間隔にして、スクライブレーザ光を照射してスクライブしている。
特開2002−192371号公報 特開2005−193285号公報
基板の厚み方向に複数の変質部を形成するときに、レーザ光を一点に集中して照射し、対物レンズを上下動して変質部を形成する。このとき、照射レンズの光軸がレーザ光の光軸に対して傾きが生じ、照射レンズの焦点の位置が移動する。照射レンズの焦点の位置が移動すると、改質部が形成される場所が基板の水平方向に移動して、位置精度が悪くなる要因となっていた。
本発明は、上記課題を考慮してなされたものであり、改質部が位置精度よく形成できるスクライブ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のスクライブ装置は、可視光を透過する基板にレーザ光を照射してスクライブするスクライブ装置であって、基板の内部にレーザ光を集光して改質部を形成するレーザ光投光部と、基板とレーザ光投光部との間隔を測定する測定部と、測定部で測定した間隔を用いて、基板とレーザ光投光部との間隔を調整する間隔調整部とを有し、間隔調整部は基板を移動して基板とレーザ光投光部との間隔を調整することを特徴とする。
このスクライブ装置によれば、レーザ光投光部が基板の内部にレーザ光を集光して改質部を形成する。測定部が基板とレーザ光投光部との間隔を測定し、間隔調整部が基板とレーザ光投光部との間隔を調整する。間隔調整部は、基板を移動して基板とレーザ光投光部との間隔を調整する。基板とレーザ光投光部との間隔を調整するために、レーザ光投光部を動かすときは、レーザ光の光軸と基板とのなす角度が変わる可能性がある。レーザ光の光軸と基板とのなす角度が変わるとき、変わる角度と基板とレーザ光投光部との間隔とを積算した量に相当する距離分、レーザ光が集光する位置が基板の平面方向に移動する。
一方、基板とレーザ光投光部との間隔を調整するために、基板を移動するとき、レーザ光の光軸と基板のなす角度が変わることがない。したがって、基板とレーザ光投光部との間隔を調整するとき、レーザ光投光部を移動する方法に比べて、基板を移動する方法の方が、レーザ光を集光する位置が変わりにくい。その結果、位置精度良くレーザ光を集光して改質部を形成し、スクライブすることができる。
本発明のスクライブ装置では、間隔調整部は、基板を移動するテーブルを備え、テーブルは圧電素子を有し、圧電素子を伸縮して基板を移動することを特徴とする。
このスクライブ装置によれば、基板を移動するテーブルを備えており、テーブルは圧電素子により駆動される。圧電素子は、電気信号に早く応答することから、基板とレーザ光投光部との間隔を短い時間で調整することができる。
本発明のスクライブ装置は、改質部を形成する場所にレーザ光を集光するように、基板を移動する基板移動部をさらに備えていることを特徴とする。
このスクライブ装置によれば、改質部を形成する場所にレーザ光が集光するように、基板移動部が基板を移動する。従って、基板の所定の場所に改質部を形成することができる。
本発明のスクライブ装置は、基板移動部は、間隔調整部の機能のうち、基板を移動する機能を兼ねていることを特徴とする。
このスクライブ装置によれば、基板移動部は基板とレーザ光投光部との間隔を調整するために、基板を移動する機能と、改質部を形成する場所を、レーザ光を集光する場所に移動する機能を備えている。従って、基板移動部は基板とレーザ光投光部との間隔を調整するために、基板を移動する機能を有する部位と、改質部を形成する場所を、レーザ光を集光する場所に移動する機能を有する部位とを別に設ける場合に比べて構成を容易にできスクライブ装置を製造しやすい構成とすることができる。その結果、生産性良く製造できるスクライブ装置とすることができる。
本発明のスクライブ装置では、測定部は、基板にレーザ光を照射する場所の、基板とレーザ光投光部との間隔を測定することを特徴とする。
このスクライブ装置によれば、測定部が基板とレーザ光投光部との間隔を測定するとき、基板にレーザ光を照射する場所の、基板とレーザ光投光部との間隔を測定している。従って、レーザ光を照射する場所以外の場所を測定する場合に比べて、精度よく基板とレーザ光投光部との間隔を測定することができる。
以下、本発明を具体化した実施例について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るレーザスクライブ方法について図1〜図4に従って説明する。
最初にレーザスクライブ装置について説明する。図1は、レーザスクライブ装置の構成を示す概略図である。
図1に示すように、レーザスクライブ装置1は、レーザ光を出射するレーザ光源2及び、出射されたレーザ光をワークに照射する光学経路部3からなるレーザ光投光部4と、光学経路部3に対してワークを相対的に移動させるテーブル部5と、動作を制御する制御装置6を主として構成されている。
レーザスクライブ装置1は、レーザ光源2を備えている。レーザ光源2は、出射するレーザ光を加工対象物の内部に集光して多光子吸収による改質部を形成できる光源であれば良い。本実施形態において、例えば、レーザ光源2はLD励起Nd:YAG(Nd:Y3Al312)のレーザ媒質からなり、第3高調波(波長:355nm)のQスイッチパルス発振のレーザ光を出射する発光条件を採用した。パルス幅はおよそ14ns(ナノ秒)、パルス周期は10kHz、出力はおよそ60μJ/パルスのレーザ光を出射する発光条件を採用した。
光学経路部3はダイクロイックミラー7を備えている。ダイクロイックミラー7は、レーザ光源2から照射されるレーザ光の光軸8上に配置されている。ダイクロイックミラー7はレーザ光源2から照射されるレーザ光を反射して、光軸8の進行方向を変更する。ダイクロイックミラー7に反射したレーザ光が通過する光軸8上に集光レンズ9が配置されている。テーブル部5にはワーク10が配置され、集光レンズ9で集光されたレーザ光がワーク10に照射されるようになっている。
集光レンズ9には、支持部材11を介して測定部としての測長器12が配置されている。測長器12の内部には、レーザ光を照射するユニットと、受光素子配列して形成されたラインセンサが配置されている。測長器12から照射されるレーザ光13がワーク10に反射して、反射する光の反射位置をラインセンサが検出して測長器12とワーク10との距離を測定するようになっている。
集光レンズ9とダイクロイックミラー7とを通過する光軸8の延長線上にあって、ダイクロイックミラー7に対して集光レンズ9の反対側には、撮像装置14を備えている。撮像装置14は、例えば、図示しない同軸落射型光源とCCD(Charge Coupled Device)が組み込まれたものである。同軸落射型光源から出射した可視光は、集光レンズ9を透過してワーク10を照射する。撮像装置14は、集光レンズ9とダイクロイックミラー7とを通してワーク10を撮像することが可能となっている。
テーブル部5は、基台15を備えている。基台15のレーザ光投光部4側には、レール16が凸設して配置されており、レール16上にはX軸スライド17が配置されている。X軸スライド17は、図示しない直動機構を備え、レール16上のX方向に移動可能となっている。
直動機構は、例えばX方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が所定のパルス信号を受けて所定のステップ単位で正逆転する図示しないX軸モータに連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号がX軸モータに入力されると、X軸モータが正転又は反転して、X軸スライド17が同ステップ数に相当する分だけ、X方向に沿って往動又は復動するようになっている。
X軸スライド17のレーザ光投光部4側にはレール18が凸設して配置されており、レール18上にはY軸スライド19が配置されている。Y軸スライド19は、X軸スライド17と同様な直動機構を備え、レール18上をY方向に移動可能となっている。
Y軸スライド19のレーザ光投光部4側にはガイド20が配置されており、ガイド20に挟持されるように基板移動部としてのZ軸スライド21が配置されている。Z軸スライド21は、X軸スライド17と同様な直動機構21aを備え、ガイド20に沿ってZ方向に移動可能となっている。
Z軸スライド21のレーザ光投光部4側にはテーブルとしての間隔調整テーブル22が配置され、間隔調整テーブル22のレーザ光投光部4側にはステージ23が配置されている。間隔調整テーブル22は応答性良くステージ23を動作できれば良く、本実施形態では、例えば、圧電材料と電極を積層して形成される圧電素子を用いて形成している。
ステージ23の上面には図示しない吸引式のチャック機構が設けられている。そして、ワーク10を載置すると、チャック機構によって、ワーク10がステージ23上の所定の位置に位置決めされ固定されるようになっている。
制御装置6は、メインコンピュータ24を備えている。メインコンピュータ24は内部に図示しないCPU(Central Processing Unit)やメモリーを備えている。CPUはメモリー内に記憶されたプログラムソフトに従って、レーザスクライブ装置1におけるレーザ光を照射する動作の制御や、ワーク10にレーザ光を照射する場所を制御する機能を有するものである。
メインコンピュータ24は、図示しない入出力インターフェースを備え、入力装置25、表示装置26、レーザ制御装置27、画像処理装置28、ステージ制御装置29、測定部としての間隔計測装置30、間隔調整部としての間隔制御装置31と接続されている。
入力装置25は、レーザ加工の際に用いられる各種加工条件のデータを入力する装置であり、表示装置26はレーザ加工時の各種情報を表示する装置である。CPUは、入力される各種加工条件とプログラムソフトとに従って、レーザ加工を行い、加工状況を表示装置26に表示する。操作者が表示装置26に表示される各種情報を見て、レーザ加工状況を確認して操作するようになっている。
レーザ制御装置27は、レーザ光源2を駆動するパルス信号のパルス幅、パルス周期、出力の開始と停止、等を制御する装置であり、メインコンピュータ24の制御信号により制御される。
画像処理装置28は、撮像装置14から出力される画像データを演算する機能を備えている。ステージ23にワーク10を配置し、撮像装置14で撮像した画像を観察するとき、Z軸スライド21を操作して、集光レンズ9とワーク10との距離を変えることにより画像が鮮明になるときとぼやけるときが存在する。集光レンズ9を移動して、ワーク10のステージ23側の面に焦点が合うときと、ワーク10の光学経路部3側の面に焦点が合うときに、撮像される画像が鮮明になる。一方、焦点が合っていないとき、撮像される画像は、ぼやけた画像となる。
ワーク10を光軸8の方向に移動して、撮像装置14が撮像する画像が鮮明になるワーク10の位置を、内蔵する位置センサで検出することにより、ワーク10の厚みを測定することが可能となる。
ステージ制御装置29は、X軸スライド17とY軸スライド19とZ軸スライド21との位置の検出と移動制御を行なう。X軸スライド17とY軸スライド19とZ軸スライド21とには図示しない位置センサが内蔵されており、ステージ制御装置29は位置センサの出力を検出することにより、X軸スライド17とY軸スライド19とZ軸スライド21との位置を検出する。ステージ制御装置29は、X軸スライド17とY軸スライド19との位置情報を取得し、メインコンピュータ24から指示される位置情報とを比較し、差に相当する距離に対応して、X軸スライド17とY軸スライド19とZ軸スライド21とを駆動して移動する。ステージ制御装置29はX軸スライド17とY軸スライド19とZ軸スライド21とを駆動して、所望の位置にワーク10を移動することが可能となっている。
間隔計測装置30は、測長器12の制御を行なう。測長器12は、測長器12とワーク10との距離を計測し、計測値に相当する計測信号を出力する。間隔計測装置30は測長器12が出力する計測信号を入力し測長器12とワーク10との距離に相当する第1の距離データに変換する。間隔計測装置30は、測長器12と集光レンズ9との間の距離と第1の距離データとを加算して、集光レンズ9とワーク10との間の距離である対物距離32に相当する第2の距離データをメインコンピュータ24に出力する。測長器12と間隔計測装置30とで対物距離32を測定する測定部を構成している。
間隔制御装置31は、間隔調整テーブル22を制御する装置であり、間隔調整テーブル22を駆動する駆動信号を出力する。間隔調整テーブル22は駆動信号を入力し、駆動信号に相当する量の伸縮をしてステージ23を移動する。
レーザ制御装置27がレーザ光源2を制御しレーザ光を発光させる。間隔計測装置30がワーク10の集光レンズ9側に向かう面の光軸方向の位置を検出する。ステージ制御装置29と間隔制御装置31とがレーザ光を集光する光軸方向の位置を制御する。ステージ制御装置29がワーク10をXY方向に移動して、ワーク10にレーザ光が照射される位置を制御する。上述した制御を行い所望の位置にレーザ光を集光して照射することが可能となっている。
X軸スライド17とY軸スライド19とを移動するとき、X軸スライド17とY軸スライド19はZ方向に変動して移動する。さらに、ワーク10の厚さがワーク10の場所により異なるとき、厚さの変動の影響を受けるため、対物距離32が変動する。間隔計測装置30は対物距離32を測定し、メインコンピュータ24に対物距離32に相当する第2の距離データをメインコンピュータ24に出力する。メインコンピュータ24は、第2の距離データの情報を受け取り、対物距離32が設定した距離に対して変動する距離に相当する距離分補正するように、間隔調整テーブル22を伸縮する指示情報を間隔制御装置31に出力する。間隔制御装置31は指示情報により間隔調整テーブル22を伸縮させて、対物距離32が所定の距離になるようにする。従って、X軸スライド17とY軸スライド19とを移動するとき、X軸スライド17とY軸スライド19との直進性や、ワーク10の厚さの変動があっても、対物距離32が所定の距離になるようになっている。
ここで、多光子吸収による改質部の形成について説明する。集光レンズ9によって集光されたレーザ光は、ワーク10に入射する。そして、ワーク10がレーザ光を透過する材料であっても、材料の吸収バンドギャップEgよりも光子のエネルギーhνが非常に大きいとき、ワーク10は光子エネルギーを吸収する。これを多光子吸収と言い、レーザ光のパルス幅を極めて短くすることでエネルギーを高めて、多光子吸収をワーク10の内部に起こさせると、多光子吸収のエネルギーが熱エネルギーに転化せずに、永続的な構造変化が誘起された領域が形成される。
本実施形態では、この構造変化領域を改質部と呼ぶ。改質部のうち、大きく構造変化した結果複数のクラックが形成された領域をクラック部と呼ぶ。クラック部は、ワーク10の材質により形態が異なり、例えば石英ガラスでは、ひとつの空洞が形成される。
このような改質部を形成するためのレーザ光の照射条件は、加工対象物ごとにレーザ光の出力やパルス幅、パルス周期、レーザスキャン速度等の設定が必要になる。特に、レーザ光源2が照射するレーザ光の出力は、ダイクロイックミラー7や集光レンズ9のような光軸8上に配置される透過性物質による吸収で減衰することを考慮する必要がある。従って、実際の加工対象物を用いた予備試験を実施して、最適な照射条件を導くことが望ましい。
(レーザスクライブ方法)
次に本発明のレーザスクライブ方法について図2〜図4にて説明する。図2は、レーザスクライブ方法のフローチャートであり、図3及び図4はレーザスクライブ方法を説明する図である。
図2のフローチャートにおいて、ステップS1は基板配置工程に相当し、基板をレーザスクライブ装置1に配置する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は、開始位置合わせ工程に相当し、改質部を形成する最初の場所にレーザ光を集光することができる集光レンズ9の位置に集光レンズ9を移動する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は、間隔計測工程に相当し、基板と集光レンズ9との間隔である対物距離32を計測する工程である。次にステップS4に移行する。ステップS4は、間隔調整工程に相当し、間隔調整テーブル22を伸縮して対物距離32を所定の間隔となるように制御する工程である。次にステップS5に移行する。ステップS5は、レーザ光照射工程に相当し、基板にレーザ光を集光して改質部を形成する工程である。ステップS6は、改質部を形成する予定の領域総てに改質部を形成したか判断する工程である。改質部を形成する予定の領域に、まだ、改質部が形成されていない領域が残っているときは(NOのとき)、ステップS7に移行する。改質部を形成する予定の領域総てに改質部が形成されているときは(YESのとき)、ステップS8に移行する。ステップS7は、基板移動工程に相当し、改質部を形成する次の場所にレーザ光を集光する位置に集光レンズ9を移動する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS8は、分断工程に相当し、改質部に沿って、基板を分断する工程である。
次に、図3〜図4を用いて、図2に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。
図3(a)及び(b)はステップS1及びステップS2に対応する図である。図3(a)に示すように、ステージ23に基板35を配置して、最初に改質部を形成する予定の場所にレーザ光を集光することができる集光レンズ9の位置に集光レンズ9を移動する。図3(b)は図3(a)に示す基板35を集光レンズ9側から見た図であり、分断予定面36に沿ってスクライブを実施していく。
図3(c)はステップS3に対応する図である。測長器12からレーザ光13を基板35に照射し、基板35の表面35aで乱反射する光を、測長器12が受光する。測長器12が受光するレーザ光13の位置から測長器12と表面35aとの距離を計測し、計測値に相当する計測信号を出力する。図1に示す間隔計測装置30は測長器12が出力する計測信号を入力し、計測信号を測長器12と表面35aとの距離に相当する第1の距離データに変換する。間隔計測装置30は、測長器12と集光レンズ9との間の距離と第1の距離データとを加算して、集光レンズ9と表面35aとの間の距離である対物距離32に相当する第2の距離データをメインコンピュータ24に出力する。
図3(d)はステップS4に相当する図である。ステップS3で図1に示すメインコンピュータ24には、集光レンズ9と表面35aとの間の距離である対物距離32に相当する第2の距離データが入力される。メインコンピュータ24は、入力される第2の距離データと予定の場所に改質部を形成するときにおける対物距離32の設定値とを比較する。
メインコンピュータ24は、第2の距離データと対物距離32との差に相当する距離を補正するように、間隔調整テーブル22を伸縮する指示情報を図1に示す間隔制御装置31に出力する。間隔制御装置31は駆動信号を間隔調整テーブル22に出力して、間隔調整テーブル22が伸縮する。間隔調整テーブル22が伸縮して、対物距離32は所定の距離となる。
図4(a)はステップS5に相当する図である。集光レンズ9は、レーザ光37を基板35の内部に集光する。レーザ光37が集光される場所には、改質部38が形成され、改質部38の中央にはクラック部39が形成される。
図4(b)はステップS6に相当する図である。図4(b)に示すように、図4(a)に示す集光レンズ9と基板35とを相対移動して分断予定面36の総ての領域に改質部38を形成し、ステップS8に移行する。
図4(c)はステップS8に対応する図である。図4(c)に示すように、基板35を弾性のある台40の上に配置する。基板35の内部に配列して形成されたクラック部39と対応する基板35上の位置に加圧部材41を配置し、加圧部材41を基板35の方向に押圧する。基板35は加圧部材41に押圧された場所が台40に沈み込み、台40と接触する面に張力が作用する。クラック部39は張力がかかり、クラックを起点として破断が進行し分断される。
図4(d)に示すように、その結果、基板35はクラック部39が分断され、二つに分割される。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する
(1)本実施形態によれば、X軸スライド17とY軸スライド19とを移動するとき、X軸スライド17とY軸スライド19とがZ方向に変動するときや、ワーク10の厚さの変動があるとき、対物距離32を間隔計測装置30が検出し、メインコンピュータ24に出力する。メインコンピュータ24が変動する量を演算し、間隔制御装置31が間隔調整テーブル22を駆動して、対物距離32が所定の距離になるようになっている。このとき、集光レンズ9は移動せず、間隔調整テーブル22がワーク10を移動している。
集光レンズ9を移動するとき、集光レンズ9が微動して光軸8が回転し、レーザ光の光軸8とワーク10の上面とのなす角度が変動する可能性がある。レーザ光の光軸8とワーク10の上面とのなす角度が変動するとき、変動する角度と対物距離32との間隔とを積算した量に相当する距離分、レーザ光が集光する位置がワーク10の平面方向に移動する。
一方、対物距離32を調整するために、基板を移動するとき、レーザ光の光軸8とワーク10とのなす角度が変わることがない。したがって、対物距離32を調整するとき、集光レンズ9を移動する方法に比べて、ワーク10を移動する方法の方が、レーザ光を集光する位置が変わりにくい。その結果、位置精度良くレーザ光を集光して改質部38を形成し、スクライブすることができる。
(2)本実施形態によれば、間隔調整テーブル22は圧電素子を用いて形成されている。圧電素子は、印加する電圧に対して応答性良く伸縮する。従って、間隔制御装置31は間隔調整テーブル22を応答性良く駆動することができる。
(3)本実施形態によれば、ワーク10を光軸8方向に移動する手段として、Z軸スライド21と間隔調整テーブル22との二つの手段を用いている。Z軸スライド21の可動範囲は、間隔調整テーブル22より広くすることができるが、駆動信号に対する応答性は間隔調整テーブル22より劣っている。ワーク10を大きく移動するときは、Z軸スライド21を用いてワーク10を移動し、対物距離32の変動に対して応答性良く移動するときは、間隔調整テーブル22を用いている。従って、可動範囲が広く、応答性が良い移動手段とすることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るレーザスクライブ装置について図5のレーザ照射装置の構成を示す概略図を用いて説明する。
尚、本実施形態において、上記第1の実施形態と同様の部材又は部位については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
この実施形態が第1の実施形態と異なるところは、レーザスクライブ装置が間隔調整テーブルを備えず、間隔調整テーブルの機能をZ軸スライド21が実施する点にある。
図5に示すように、レーザスクライブ装置45は間隔調整テーブルを備えず、ワーク10を光軸8方向に移動する手段はZ軸スライド21が実施する様に構成されている。
集光レンズ9とワーク10との距離である対物距離32が変動するとき、対物距離32の変動を測長器12が検出して、間隔計測装置30に出力する。間隔計測装置30は、測長器12と集光レンズ9との間の距離と第1の距離データとを加算して、集光レンズ9とワーク10との間の距離である対物距離32に相当する第2の距離データをメインコンピュータ24に出力する。
メインコンピュータ24は、入力される第2の距離データと予定の場所に改質部を形成するときの対物距離32とを比較する。メインコンピュータ24は、第2の距離データと対物距離32との差に相当する距離を補正するように、Z軸スライド21を移動する指示情報をステージ制御装置29に出力する。ステージ制御装置29は駆動信号をZ軸スライド21に出力して、Z軸スライド21が移動する。Z軸スライド21が移動して、対物距離32は所定の距離となる。
上述したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)に加えて、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、対物距離32が変動するとき、Z軸スライド21がワーク10を光軸8方向に移動している。従って、第1の実施形態に比べて、ワーク10を光軸8方向に移動する構造が簡易であることから、ワーク10の動作が遅くてもよいときは、生産性よく、レーザスクライブ装置45を製造できる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係るレーザスクライブ装置について図6のレーザ照射装置の構成を示す概略図を用いて説明する。
尚、本実施形態において、上記第1の実施形態と同様の部材又は部位については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
この実施形態が第1の実施形態と異なるところは、対物距離32を計測する場所が、改質部を形成するレーザ光の光軸8に近い点にある。
図6に示すように、レーザスクライブ装置47は、測長用レーザ光源48を備えている。測長用レーザ光源48から照射されるレーザ光49は反射鏡50で反射してビームスプリッタ51に照射される。ビームスプリッタ51はレーザ光49をレーザ光49aとレーザ光49bとに分離する。分離されるレーザ光49aは、反射鏡52に反射されて、ワーク10を照射する。反射鏡52はレーザ光の波長により透過または反射するように形成されており、レーザ光源2から照射されるレーザ光は透過して、測長用レーザ光源48から照射されるレーザ光49aは反射するようになっている。
ワーク10を照射するレーザ光49aは、殆どがワーク10を透過するが、ワーク10で反射するレーザ光49aが存在する。ワーク10で反射したレーザ光49aは、反射鏡52で反射して、ビームスプリッタ51を透過し、レーザ測長器53に到達する。
ビームスプリッタ51で分離されるレーザ光49bは反射鏡54で反射し、ビームスプリッタ51で反射してレーザ測長器53に到達する。
レーザ測長器53には、ワーク10に反射するレーザ光49aと、反射鏡54に反射するレーザ光49bとが入射する。レーザ測長器53は、入射するレーザ光49aとレーザ光49bとが干渉し合い、合成するレーザ光の位相を検出する。
対物距離32が変動するとき、レーザ測長器53に入射するレーザ光49aの位相が変動する。レーザ光49aの位相が変動するとき、レーザ光49aとレーザ光49bとが干渉するレーザ光の位相も変動する。レーザ測長器53は、レーザ光49aとレーザ光49bとが干渉するレーザ光の位相を検出して間隔計測装置55に位相信号を出力する。間隔計測装置55は、入力される位相信号を積算して換算し、対物距離32の変動する量を測定する。
間隔計測装置55は、対物距離32のデータをメインコンピュータ24に出力する。メインコンピュータ24は、入力される対物距離32のデータと対物距離32の設定値とを比較する。
メインコンピュータ24は、対物距離32のデータと対物距離32の設定値との差に相当する距離を補正するように、間隔調整テーブル22を伸縮する指示情報を間隔制御装置31に出力する。間隔制御装置31は駆動信号を間隔調整テーブル22に出力して、間隔調整テーブル22が伸縮する。間隔調整テーブル22が伸縮して、対物距離32は所定の距離となる。
対物距離32が所定の距離となった後、レーザ光源2からレーザ光を照射し、集光レンズ9でワーク10内部に集光して改質部を形成する。切断する予定の面に改質部を配置して形成し、第1の実施形態と同様の方法で分断する。
上述したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3)に加え、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、対物距離32を測定するために、レーザ光49aをワーク10に照射している。レーザ光49aをワーク10に照射する場所は、レーザ光源2が照射するレーザ光がワーク10を照射する場所と同じ場所である。従って、レーザ光源2が照射するレーザ光がワーク10を照射する場所と異なる場所において、対物距離32を測定する場合に比べて、精度良く対物距離32を測定することができる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良などを加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)前記第1の実施形態では、間隔調整テーブル22に圧電素子を用いて形成されているが、圧電素子の他、ボイスコイル、モータを用いた直動機構、静電モータを用いて実現してもよい。ワークの重量や加工速度に合わせて選択しても良い。
(変形例2)前記第1の実施形態では、測長器12に光学式の測長方法を用いたが、静電容量の変化を用いる方法や、磁気を照射して磁場の変化を検出する方法でも良い。ワーク10の材質に合った測長方法を用いても良い。
(変形例3)前記第1の実施形態では、メインコンピュータ24のメモリ内に動作手順に沿ったプログラムを記憶し、プログラムによりレーザスクライブ装置1の制御を行なったが、これに限らず、電気回路にて構成される制御装置にて制御しても良い。周辺機器が手順通りに制御されれば良い。
(変形例4)前記第1の実施形態では、間隔計測装置30が対物距離32を測定し、メインコンピュータ24が対物距離32のデータと設定値との差を補正するように指示データを出力している。間隔制御装置31が間隔調整テーブル22を作動してワーク10を移動している。ワーク10を移動した後、レーザ光源2からレーザ光を照射してワーク10内部に改質部38を形成している。
ワーク10の移動とレーザ光の照射を連続して動作しているが、ワーク10の移動とレーザ光の照射を同時に行なっても良い。工程を連続して行なうことにより、スクライブを早く行なうことができる。従って、生産性良くスクライブすることができる。
第1の実施形態に係るレーザスクライブ装置の構成を示す概略図。 レーザスクライブ方法のフローチャート。 レーザスクライブ方法を説明する図。 レーザスクライブ方法を説明する図。 第2の実施形態に係るレーザスクライブ装置の構成を示す概略図。 第3の実施形態に係るレーザスクライブ装置の構成を示す概略図。
符号の説明
1,45,47…レーザスクライブ装置、4…レーザ光投光部、10…基板としてのワーク、12…測定部としての測長器、21…基板移動部としてのZ軸スライド、22…テーブルとしての間隔調整テーブル、30…測定部としての間隔計測装置、31…間隔調整部としての間隔制御装置、35…基板、38…改質部。

Claims (5)

  1. 可視光を透過する基板にレーザ光を照射してスクライブするスクライブ装置であって、
    前記基板の内部にレーザ光を集光して改質部を形成するレーザ光投光部と、
    前記基板と前記レーザ光投光部との間隔を測定する測定部と、
    前記測定部で測定した前記間隔を用いて、前記基板と前記レーザ光投光部との前記間隔を調整する間隔調整部とを有し、
    前記間隔調整部は前記基板を移動して前記基板と前記レーザ光投光部との前記間隔を調整することを特徴とするスクライブ装置。
  2. 請求項1に記載のスクライブ装置であって、
    前記間隔調整部は、前記基板を移動するテーブルを備え、前記テーブルは圧電素子を有し、前記圧電素子を伸縮して前記基板を移動することを特徴とするスクライブ装置。
  3. 請求項1に記載のスクライブ装置であって、
    前記改質部を形成する場所に前記レーザ光を集光するように、前記基板を移動する基板移動部をさらに備えていることを特徴とするスクライブ装置。
  4. 請求項3に記載のスクライブ装置であって、
    前記基板移動部は、前記間隔調整部の機能のうち、基板を移動する機能を兼ねていることを特徴とするスクライブ装置。
  5. 請求項1に記載のスクライブ装置であって、
    前記測定部は、前記基板にレーザ光を照射する場所の、前記基板と前記レーザ光投光部との間隔を測定することを特徴とするスクライブ装置。
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