JP2007286245A - 記録用紙 - Google Patents

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Kunihiro Takahashi
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Tomofumi Tokiyoshi
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Abstract

【課題】電子写真法により画像を形成する際に、用紙中に含まれる磁性材料に起因する転写抜けを抑制する記録用紙を提供すること。
【解決手段】磁性材料を含み、少なくとも一方の用紙表面と前記磁性材料との最短距離の最小値が5μm以上であることを特徴とする記録用紙である。
【選択図】なし

Description

本発明は、トナーやインク等の一般的な記録材により印刷が可能であると共に、磁気的手段により情報を記録・再生することができる磁性材料を含む記録用紙に関するものである。
紙幣や有価証券等のような特殊な文書(特殊文書)においては、偽造の防止が極めて重要である。このような特殊文書における偽造防止のために、特殊文書中に磁気的手段により検知可能な磁性材料等からなる金属繊維をすき込んだり埋め込んだりする技術が従来より知られている(特許文献1、2等参照)。
一方、近年、コンピュータや複合機およびネットワークの普及により、膨大な情報の中から所望の情報を容易に取得し、取得した情報を印刷、複写することが可能となってきた。このため、秘匿性の高い情報が不正に複写もしくは印刷された印刷物が持ち出されることによって機密情報が漏洩するという問題がクローズアップされつつある。そこで、秘匿性の高い情報が不正に複写もしくは印刷された印刷物が持ち出されることによって機密情報が漏洩することを防止するために情報のセキュリティーを強化した種々の装置や方法が提案されている。
例えば、固有の識別情報が記録可能な磁性体を含む印刷用紙と、この識別情報を読み取って、印刷用紙に印刷された情報の正当性を判断する情報読取装置とを組合わせて利用することにより情報のセキュリティーを強化する方法が提案されている(特許文献3,4参照)。
特開平10−143708号公報 特開平7−32778号公報 特開2004−284053号公報 特開2004−285524号公報
上述したような偽造防止に利用される特殊文書や印刷用紙においては、用紙中に磁性材料等の金属繊維が漉き込まれたり埋め込まれるため、用紙全面に外圧を加えた場合に、磁性材料配合部周辺の用紙表面に加わる押圧力に対して、磁性材料が配合されていない部分周辺の用紙表面に加わる押圧力は相対的に低くなる。このような用紙面内における押圧力の差は、予め所定の情報が印刷されており、複写機等による上書き印刷を想定していない特殊文書においては特に問題となることはなかった。
しかし、特許文献3、4等に示される技術で使用される印刷用紙は、その利用に際して電子写真法等により画像が形成される。それゆえ、転写部において用紙表面に圧力が加わると、磁性材料が配合された箇所とそうでない箇所とで用紙表面に対する押圧力に差が生じるため転写抜けが発生し易くなる。
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、電子写真法により画像を形成する際に、用紙中に含まれる磁性材料に起因する転写抜けを抑制する記録用紙を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1>
磁性材料を含み、少なくとも一方の用紙表面と前記磁性材料との最短距離の最小値が5μm以上であることを特徴とする記録用紙である。
<2>
前記磁性材料が少なくとも大バルクハウゼン効果を起こすことを特徴とする<1>に記載の記録用紙である。
以上に説明したように本発明によれば、電子写真法により画像を形成する際に、用紙中に含まれる磁性材料に起因する転写抜けを抑制する記録用紙を提供することができる。
本発明の記録用紙は、磁性材料を含み、少なくとも一方の用紙表面と前記磁性材料との最短距離の最小値が5μm以上であることを特徴とする。
従って、本発明の記録用紙を利用すれば電子写真法により画像を形成する際に、用紙中に含まれる磁性材料に起因する転写抜けを抑制することができる。なお、本発明の記録用紙は転写抜けが抑制できるため電子写真用転写紙として用いることが好適であるが、これに限定されるものではなく、公知の記録方法に利用でき、例えば、インクジェット用記録紙としても用いることができる。
用紙表面と磁性材料との最短距離の最小値は上述したように5μm以上であることが必要であるが、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましい。用紙表面と磁性材料との最短距離の最小値が5μm未満の場合には、電子写真方式の画像形成装置により画像を形成する際に、転写部において感光体や中間転写体により記録用紙が押圧された場合に用紙面内において押圧力分布が発生するため転写抜け(いわゆる白抜け)が発生してしまう。
また、同様の観点から用紙表面と磁性材料との最短距離の最小値は用紙の両面において5μm以上であることが特に好ましい。この場合、用紙の表裏いずれの面を利用しても転写抜けの発生を防止することができる。
なお、転写抜けを防止する観点からは用紙表面と磁性材料との最短距離の最小値は大きければ大きい程好ましいが、実用上は150μm以下であることが好ましい。
次に、用紙表面と磁性材料との最短距離の測定方法について説明する。測定に際しては、磁性材料が存在する部分周辺の用紙断面を観察するため、記録用紙を切断して断面を露出した断面サンプルを作製する。断面サンプルの作製は特に限定されず、樹脂含浸法、切断法、凍結割断法などが利用できる。
なお、本発明に用いられる磁性材料の形状は特に限定されないが、長さが数ミリ以上の線状の磁性材料(以下、「磁性体線材」と称す場合がある)が好適に利用される。それゆえ、1本の磁性体線材について、図1に示すように3つの断面サンプルを作製した。
図1は断面サンプルを作製する際の断裁位置を説明するための模式図であり、記録媒体中の磁性体線材の紙面方向における配置について示した図である。図中、10は磁性体線材を表し、点線は断面サンプルを作製する際の断裁位置を示す。図1に示すように、断面サンプルは、1本の磁性体線材について、磁性体線材10の両端部近傍および中央部の断面が露出するように断裁することにより作製した。断面サンプルの採取位置は、通常は前述した方法で行われるが、目視あるいは光学的に磁性材料の最も用紙表面に近い部分が判明すれば、その位置で断面サンプルを採取することもできる。
続いて、断面サンプルの断面を走査電子顕微鏡(SEM)により100〜1000倍程度の倍率で観察し、観察された画像を画像処理ソフト(DIPP−98、株式会社ディテクト製)でパルプ材からなる領域と非パルプ材(磁性材料)からなる領域とに二値化処理して得られた画像から、用紙表面と磁性材料との最短距離を測定した。二値化の方法は、「判別および最小2乗基準に基づく自動しきい値選定法(電子通信学会論文誌, Vol.J63−D, No.4, pp.349−356)」、「ディジタル画像処理の基礎と応用(酒井 幸市著)」に記載されている方法を利用した。
なお、用紙表面と磁性材料との最短距離は、2値化処理により得られた画像を基に、図2に示すようにして測定した。図2は、用紙表面と磁性材料との最短距離の測定方法について示す模式図であり、磁性材料の断面が露出した断面サンプルの断面について示したものである。図中、12は磁性材料を表し、20は用紙表面を表す。図2に示すように用紙表面20と磁性材料12との最短距離は、両矢印Aで示されるように、用紙表面20から磁性材料12までの間に直線を引いた場合に最も短くなる距離として求めた。
ここで、用紙片面当たりの測定数は、1枚の用紙中に含まれる各々の磁性体線材について図1に示すように1本当り3箇所測定(合計15箇所)測定し、全測定値のうちの最も小さい値を「用紙表面と磁性材料との最短距離の最小値」とした。
次に、本発明の記録用紙の構成材料や、製造方法、諸物性等についてより詳細に説明する。
−磁性材料−
本発明の記録用紙に含有される磁性材料は、大バルクハウゼン効果を起こすものであることが特に好ましい。ここで、大バルクハウゼン効果について簡単に説明する。図3は、大バルクハウゼン効果を説明するための図である。大バルクハウゼン効果は、図3(a)に示すようなB−H特性、つまり、ヒステリシスループがほぼ長方形で、保磁力(Hc)が比較的小さな材料、例えば、Co−Fe−Ni−B−Siからなるアモルファス磁性材料を交番磁界中においた際に、急峻な磁化反転が起きる現象である。このため、励磁コイルに交番電流を流して交番磁界を発生させ、その交番磁界中に磁性材料を置くと、磁化反転時に、磁性材料の近傍に配置した検知コイルにパルス状の電流が流れることとなる。
例えば、励磁コイルにより図3(b)の上段に示すような交番磁界を発生させた場合、検知コイルには、図3(b)の下段に示すようなパルス電流が流れることとなる。
ただし、検知コイルに流れる電流には、交番磁界によって誘導される交番電流も流れており、パルス電流は、この交番電流に重畳されて検出されることとなる。また、複数の磁性材料を含むものを交番磁界中に置いた場合には、複数のパルス電流が重畳され、図3(c)に示すような電流が検出される。
本発明の記録用紙の内部に含有される磁性材料としては、一般には永久磁石、例えば希土類系のネオジュウム(Nd)-鉄(Fe)-ボロン(B)を主成分としたもの、サマリウム(Sm)-コバルト(Co)を主成分としたもの、アルニコ系のアルミ(Al)-ニッケル(Ni)-コバルト(Co)を主成分としたもの、フェライト系のバリュウム(Ba)又はストロンチウム(Sr)と酸化鉄(Fe23)を主成分としたものや、その他に軟質磁性材料、酸化物軟質磁性材料等があるが、基本組成がFe-Co-SiやCo−Fe−Ni系であるアモルファス磁性材料を用いることが好ましい。
磁性材料の形状としては、大バルクハウゼン効果を起こすのに適した縦長の形状(線状)であれば特に限定されないが、大バルクハウゼン効果を起こすには、断面積に対して所定の長さが必要となってくることから、基本的にはワイヤ状や帯状であることが好ましく、ワイヤ状であることがより好ましい。
磁性材料がワイヤ状である場合には、上述のように、大バルクハウゼン効果を起こすためにその直径は10μm以上であることが好ましい。また、最大直径としては特に限定はされないが、記録用紙表面に磁性体線材が露出することを抑制するために、その直径は記録用紙の厚みに依存し、例えば90μm前後の厚さの記録用紙の場合には、60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
磁性体線材の長さは、大バルクハウゼン効果を起こすために10mm以上が好ましい。なお磁性体線材の最大長については、内部に含有されたときに、記録用紙から露出されない程度の長さであればよく、特に限定はされないが、430mm以下であることが好ましい。
なお、磁性体線材の直径や長さは、記録用紙中に含まれる全ての磁性体線材の直径や長さが上述した範囲を満たすことが好ましいが、値に分布がある場合には、平均値として上述した範囲を満たすことが好ましい。
本発明の記録用紙には磁性材料以外にパルプ繊維が主成分として含まれ、その他にも必要に応じて通常の紙媒体に用いられる各種材料が含まれる。また、本発明の記録用紙の層構成は特に限定されるものではないが、パルプ繊維を主成分として含む紙基材を少なくとも有し、紙基材は2層以上の多層構成であってもよい。なお、磁性材料は、用紙表面と磁性材料との最短距離の最小値が5μm以上となる位置に含まれていれば、用紙中のいずれの位置に存在してもよいが、基本的には紙基材中に含まれることが特に好ましく、以下の説明においては紙基材中に磁性材料が含まれることを前提として説明する。
ここで、用紙表面と磁性材料との最短距離の最小値を5μm以上とするためには、紙基材は紙厚方向に積層された3以上の層から構成され、最外層を除く層に磁性材料が含まれることが好ましく、記録用紙の製造性も考慮すれば、紙基材が3層からなり、中央の層に磁性材料が含まれることが特に好ましい。
なお、紙基材が2層の場合には、一方の層にのみ磁性材料が含まれる。この場合、磁性材料が含まれない他方の層が設けられた側の用紙表面と磁性材料との最短距離の最小値を5μm以上に制御することが容易である。
また、紙基材の片面または両面に塗工層を設けることも好適である。塗工層の形成は、磁性材料が紙基材の表面近傍に位置する場合や、紙基材が単層である場合に特に有効である。
一方、抄紙後から乾燥終了までの間は、抄紙後に得られた湿紙はある程度の流動性を有しているため、時間と共にパルプ繊維よりも比重の大きい磁性材料が重力方向に沈降する。このため、紙料スラリーの固形分濃度や抄紙から乾燥までの時間を調整することによって、磁性材料の沈降速度や沈降時間を制御すれば、少なくとも片方の用紙表面と磁性材料との最短距離の最小値を5μm以上とすることもできる。この方法は紙基材が単層である場合のみならず、更に塗工層も設けない場合において特に有効である。
なお、紙基材が単層で、且つ、塗工層も設けない場合においては、紙厚を厚くしたり坪量を大きくすることも更に有効である。具体的に言えば、紙厚は60μm以上であることが好ましく、80μm以上であることがより好ましく、坪量としては60g/m2以上であることが好ましく、70g/m2以上であることがより好ましい。但し、実用上、紙厚は300μm以下であることが好ましく、坪量は270g/m2以下であることが好ましい。
紙基材の主成分として用いられるパルプ繊維としては、特に限定されるものではないが、例えば、広葉樹および/または針葉樹のクラフトパルプ繊維、サルファイトパルプ繊維、セミケミカルパルプ繊維、ケミグラウンドパルプ繊維、砕木パルプ繊維、リファイナーグラウンドパルプ繊維、サーモメカニカルパルプ繊維等を使用することが好ましい。また、これらの繊維中のセルロースあるいはヘミセルロースを化学的に修飾した繊維も必要に応じて使用することができる。
さらに、綿パルプ繊維、麻パルプ繊維、ケナフパルプ繊維、バガスパルプ繊維、ビスコースレーヨン繊維、再生セルロース繊維、銅アンモニアレーヨン繊維、セルロースアセテート繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、フルオロカーボン系繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、金属繊維、シリコンカーバイド繊維等の各繊維を、単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。
また、必要に応じて、上記パルプ繊維にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の合成樹脂を含浸あるいは熱融着させて得られた繊維を使用することでテーバー摩耗量、及び内部結合強度を向上させることができる。
また、更に上記パルプ繊維に、上質系および中質系の古紙パルプを配合することもできる。古紙パルプの配合量としては、用途や目的等に応じて決定されるが、例えば、資源保護の観点から古紙パルプを配合する場合には、紙基材に含まれる全パルプ繊維に対して10質量%以上、好ましくは30質量%以上配合することが好ましい。さらに資源保護の観点からいわゆる森林認証された認証林、植林木または間伐材チップから得られたパルプを使用することが好ましい
本発明の記録用紙に用いられる紙基材には、不透明度、白さ、及び表面性を調製するために、必要に応じて填料を添加してもよい。
上記紙基材に使用可能な填料の種類は特に限定されるものではなく、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、チョーク等の炭酸カルシウム系填料や、カオリン、焼成クレー、パイロフィライト、セリサイト、及びタルク等のケイ酸類や二酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ホワイトカーボン、サポナイト、ドロマイト、カルシウムモンモリロナイト、ソジウムモンモリロナイト、ベントナイト等の無機填料、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、キトサン粒子、セルロース粒子、ポリアミノ酸粒子、およびスチレン等の有機填料を使用できる。なお、電子写真方式における画質維持性および白色度向上の観点から中性抄紙での炭酸カルシウムの配合が好ましい。
さらに、本発明の記録用紙を構成する紙基材には、サイズ剤等の各種薬品を内添または外添させることができる。
紙基材に添加可能なサイズ剤の種類としては、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等のサイズ剤を挙げることができる。さらに、硫酸バンド、カチオン化澱粉などのサイズ剤と、定着剤とを組み合わせて使用してもよい。
上記サイズ剤の内、電子写真方式の画像形成装置において、画像が形成された後の記録用紙の保存性の観点から、中性サイズ剤、例えば、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニルケテンダイマー、中性ロジン、石油サイズ、オレフィン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂等を用いることが好ましい。また、表面サイズ剤として、酸化変性澱粉、酵素変性澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース変性体、スチレンアクリル系ラテックス、スチレンマレイン酸系ラテックス、アクリル系ラテックスなどを単独もしくは組み合わせて使用することができる。
さらに、本発明の記録用紙を構成する紙基材には、紙力増強剤を内添あるいは外添することができる。
紙力増強剤としては、でんぷん、変性でんぷん、植物ガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸エステル尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ジアルデヒドでんぷん、ポリエチレンイミン、エポキシ化ポリアミド、ポリアミド−エピクロルヒドリン系樹脂、メチロール化ポリアミド、キトサン誘導体等が挙げられ、これらの材料を単独あるいは混合して使用することができる。
また、この他にも、染料、pH調整剤等、通常の紙媒体に配合される各種助剤を適宜使用しても構わない。
本発明の記録用紙は、上記紙基材を構成する主材料と、その他の材料とを混合して、これらを抄紙することによって作製した複数の紙基材(但し、複数の紙基材のうち少なくとも1つの紙基材が磁性材料を含む)同士を貼り合わせ、更に必要に応じて後述するサイズプレス液の塗布及び顔料塗工層を形成することで作製してもよい。また、上記紙基材を構成する主材料と、上記紙基材を構成するその他の材料と、上記磁性体線材と、を混合してこれらを抄紙または多層抄紙した後に、更に必要に応じて後述するサイズプレス液の塗布及び顔料塗工層を形成することで作製してもよい。
抄紙法としては特に限定するものではない。多層抄紙法または、従来知られている長網抄紙機や、円網抄紙機、ツインワイヤー方式など何れも使用できる。酸性または中性抄紙法いずれでも構わない。
多層抄紙の方法としては、円網多筒抄紙、長網多筒、長網・円網コンビ、マルチヘッドボックス、短網・長網方式いずれの方法を用いても構わないし、例えば石黒三郎著の「最新抄紙技術−理論と実際」(製紙化学研究所,1984)に詳しく記載されている方法いずれを用いても構わないし、丸網を複数連ねた丸網多筒式等を用いてもよい。
また、上記紙基材の表面(複数の紙基材によって記録用紙を構成する場合には、最表面層の紙基材の表面)には、下記に示すサイズプレス液を塗布することが好ましい。
サイズプレス液に用いるバインダは、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉などの未加工澱粉を始めとして、加工澱粉として酵素変性澱粉、燐酸エステル化澱粉、カチオン化澱粉、アセチル化澱粉などを使用することができる。また、その他にもポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、グアーガム、カゼイン、カードランなどの水溶性高分子及びそれらの誘導体などを単独あるいは混合して使用することができるが、これに限定されるものではない。ただし、製造コストの観点からは、より安価である澱粉を使用する場合が多い。
また、本発明の記録用紙には磁性材料が含まれるため、磁性材料の表面が樹脂や金属酸化物等からなる絶縁層等により被覆されていない場合には、磁性材料周辺の電気抵抗が低下し易くなる。それゆえ、電子写真法により画像を形成する場合には、感光体や中間転写体表面に形成されたトナー像を転写する際に磁性材料が存在する部位の周辺では局所的な転写不良が発生し、画像の白抜けが発生してしまう場合がある。
このような観点からは、記録用紙の表面抵抗率や体積抵抗率を白抜けが発生しにくいように所定の範囲に調整することが好適である。このような抵抗調整を行うためには、本発明の記録用紙に、抵抗調整剤として塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウム等の無機物や、アルキルリン酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、スルホン酸ナトリウム塩、及び第4級アンモニウム塩等の有機系の材料を単独もしくは混合して使用することができる。また、これら抵抗調整剤を記録用紙に含有させる方法としては、これらの無機物や有機材料を上記サイズプレス液中に含有させて、上記紙基材表面に塗布するようにすればよい。
上記サイズプレス液を上記紙基材表面(複数の紙基材によって記録用紙が構成される場合には、最表面の紙基材の表面)に塗布する方法としては、サイズプレスのほか、シムサイズ、ゲートロール、ロールコータ、バーコータ、エアナイフコータ、ロッドブレードコータ、ブレードコータ等の通常使用されている塗工手段を用いることができる。
さらに、本発明の記録用紙には、少なくとも片面に主として接着剤と顔料からなる顔料塗工層用塗布液を塗工することにより顔料塗工層を形成してコート紙として用いることも可能である。
また、高光沢画像を得るために、この顔料塗工層上に樹脂層を設ける事も可能である。
樹脂層として用いられる樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂であれば特に限定はなく、例えばエステル結合を有する樹脂;ポリウレタン樹脂;尿素樹脂等のポリアミド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロビオン酸ビニル共重合体樹脂;ポリビニルブチラール等のポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂;ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体樹脂、アクリル樹脂などを例示することができる。
顔料塗工層用塗布液に含まれる接着剤としては、水溶性及び水分散性の何れか一方または双方の高分子化合物が用いられ、例えば、カチオン性澱粉、両性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エステル化澱粉、エ−テル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白、天然ゴム等の天然あるいは半合成高分子化合物、ポリビニルアルコール、イソプレン、ネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリアルケン類、ビニルハライド、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテル等のビニル系重合体や共重合体類、スチレン−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系等の合成ゴムラテックス、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂等の合成高分子化合物等を用いることができる。そしてこれらの中から、記録用紙の品質目標に応じて1種あるいは2種以上が適宜選択して使用される。
また、顔料塗工層用塗布液に含まれる顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、構造性カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、微粒子状珪酸カルシウム、微粒子状炭酸マグネシウム、微粒子状軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂並びにそれらの微小中空粒子や貫通孔型の有機顔料等が挙げられ、これらの中から1種あるいは2種以上が用いられる。
上記顔料塗工層用塗布液中の顔料に対する接着剤の配合割合は、顔料100質量部に対して5〜50質量部の範囲内にあることが好ましい。接着剤の顔料100質量部に対する配合割合が5質量部未満では、塗工層の塗膜強度が低く紙粉が発生するという問題がある。一方、それが50質量部を超えると、接着剤が過剰でコストアップとなり実用性が低くなる。
上記顔料塗工層用塗布液中には、更に、各種助剤、例えば界面活性剤、pH調節剤、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、分散剤、流動変性剤、導電防止剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、酸化防止剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、滑剤、防腐剤、及び香料等を必要に応じて適宜添加することも可能である。
上記顔料塗工層用塗布液の上記記録用紙への塗工量については、本発明の記録用紙の使用目的に応じて適宜に選択されるものであるが、一般的には、記録用紙表面の凹凸を完全に覆う程度の量が必要であり、乾燥質量で片面当り2〜20g/m2 、コスト面を考慮すると2〜8g/m2が好ましい。
上記顔料塗工層用塗布液を、上記サイズプレス液が塗布された上記紙基材表面に更に塗布する方法としては一般に公知の塗被装置、例えばブレードコータ、エヤーナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイコータ、グラビアコータ、チャンプレックスコータ、ブラシコータ、ツーロールあるいはメータリングブレード式のサイズプレスコータ、ビルブレードコータ、ショートドウェルコータ、ゲートロールコータ等を適宜用いることができる。
顔料塗工層は、紙基材上に設けられることで、記録用紙の片面或いは両面の表面層として形成され、表面層は1層あるいは必要に応じて2層以上の中間層を設け、多層構造とすることも可能である。なお記録用紙の両面へ塗工、又は多層構造にする場合、各々の塗工層を形成するための塗布液の量が同一、且つ塗布液に含まれる上記材料の種類及び含有量が同一である必要はなく、上記規定範囲を満たす範囲内で所要の品質レベルに応じて適宜調整して配合すればよい。
また記録用紙の一方の面に顔料塗工層を設けた場合、他方の面に合成樹脂層や接着剤と顔料等からなる塗被層、または帯電防止層等を設けて、カール発生防止、印刷適性付与、及び給排紙適性等を付与することも可能である。
さらに記録用紙の上記他方の面に種々の加工、例えば粘着、磁性、難燃、耐熱、耐水、耐油、防滑等の後加工を施すことにより、各種の用途適性を付加することも勿論可能である。
本発明の記録用紙は、紙基材表面に上記サイズ剤や、サイズプレス液や、上記顔料塗工層用塗布液等が必要に応じて塗布された後に、スーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトカレンダ等の平滑化処理装置を用いて平滑化処理するのが好ましい。また、オンマシンやオフマシンで適宜平滑化が施されてもよく、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も通常の平滑化処理装置に準じて適宜調節されるようにすればよい。
本発明の記録用紙の坪量(JIS P−8124)は特に規定しないが、好ましくは60g/m2以上であることが望ましい。坪量が60g/m2を下回ると、記録用紙のこしが小さくなることより、電子写真方式の画像形成装置に用いられたときに、記録用紙上に転写されたトナー像を記録用紙上に定着させる定着工程における、定着装置への巻き付きや、定着装置からの剥離不良にともなう画像欠陥を発生させやすくなるという問題がある。また、同様に、坪量が60g/m2を下回ると、電子写真方式やインクジェット方式の画像形成装置に用いられたときに、記録用紙中に含有されている磁性材料が記録用紙表面から5μm未満の範囲内に存在し易くなるため、転写抜けが発生してしまう場合がある。
さらに、本発明の記録用紙は、防湿包装によって密閉された状態から開封された直後の製品水分率が適切な範囲内、具体的には好ましくは3〜6.5質量%、より好ましくは4.5〜5.5質量%程度の範囲内に収まるように、紙基材を抄紙するときに抄紙機等により含水量が調整されていることが好ましい。また、作製された記録用紙の保管時に吸脱湿が発生しないように、作製された記録用紙は、所定枚数毎にポリエチレンラミネート紙等の防湿包装紙やポリプロピレン等の材料を用いて包装することが望ましい。
以下に、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)90質量部、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)10質量部、及び直径16μm長さ30mmの磁性体線材(組成:Feベース)5質量部を混合したパルプスラリー中に、パルプ固形分100質量部に対して、カチオン化デンプン(商品名:MS4600、日本食品化学工業(株)製)0.20質量部、およびアルケニル無水コハク酸(ファイブラン81、王子ナショナル(株)製)0.08質量部を添加した。
これらの混合物の紙料スラリー(固形分濃度1.0質量%)を配向性抄紙機(熊谷理機工業株式会社製)を用いて以下の条件で抄紙した。
<抄紙条件>
・ドラム回転速度:1000m/min
・紙料噴射圧力:1.0kgf/cm2
・紙料噴出角度:60°
・ストローク回数:15
次に、抄紙して得られたシートを、角型シートマシンプレス(熊谷理機工業株式会社製)で10kgf/cm2の圧力で1分間プレスし、その後KRK回転型乾燥機(熊谷理機工業株式会社製)で加熱温度100℃、回転速度100cm/minで乾燥し、坪量101g/m2の記録用紙を得た。
(実施例2)
直径45μm長さ20mmの磁性体線材(組成:Feベース)を用いる以外は実施例1と同様に紙料スラリーを調製し、抄紙条件のストローク回数を17にして、坪量100g/m2の記録用紙を得た。
(実施例3)
直径16μm、長さ30mmの磁性体線材(組成:Feベース)を用いる以外は実施例1と同様に紙料スラリーを調製し、抄紙条件のストローク回数を40にして、坪量258g/m2の記録用紙を得た。
(実施例4)
LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)95質量部、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)5質量部、及び直径16μm長さ30mmの磁性体線材(組成:Coベース)5質量部を混合したパルプスラリー中に、カチオン化デンプン(商品名:MS4600、日本食品化学工業(株)製)0.15質量部、およびアルケニル無水コハク酸(ファイブラン81、王子ナショナル(株)製)0.05質量部を添加した。これらの混合物の紙料スラリー(固形分濃度0.8質量%)を配向性抄紙機(熊谷理機工業株式会社製)を用いて以下の条件で抄紙した。抄紙条件を以下に示す。
<抄紙条件>
・ドラム回転速度:1000m/min
・紙料噴射圧力:1.0kgf/cm2
・紙料噴出角度:60°
・ストローク回数:7回
次に、抄紙して得られたシートを、角型シートマシンプレス(熊谷理機工業株式会社製)で10kgf/cm2の圧力で1分間プレスし、その後KRK回転型乾燥機(熊谷理機工業株式会社製)で加熱温度100℃、回転速度100cm/minで乾燥し、坪量51g/m2の記録用紙を得た。
(実施例5)
実施例4と同様に紙料スラリーを調製し、抄紙条件のストローク回数を35にして、坪量242g/m2の基材を得た。
次に、顔料成分100質量%[軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールT−123、奥多摩工業(株)製)を30質量%、カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード(株)製)を70質量%]に対し、接着剤として酸化デンプン(エースA、王子コーンスターチ(株)製)3質量%(顔料に対する固形比;以下本例において同様)と、合成接着剤(LX430および2507H、配合比20:80、日本ゼオン(株)製)15質量%、および分散剤(アロンT−40、東亜合成(株)製)0.3質量%を配合して、基材に塗工する塗工組成物を調製した。
得られた塗工組成物を、乾燥重量が片面あたり7g/m2となるように、ブレードコータにより得られた基材に両面塗工し、坪量256g/m2の記録用紙を得た。
(実施例6)
実施例1で用いた紙料スラリーから、磁性体線材を除いた紙料スラリー(固形分濃度0.9質量%)を、配向性抄紙機(熊谷理機工業株式会社製)を用いて坪量43g/m2の第1の紙基材層を作製した。抄紙条件を以下に示す。
<抄紙条件>
・ドラム回転速度:1000m/min
・紙料噴射圧力:1.0kgf/cm2
・紙料噴出角度:60°
・ストローク回数:6回
次に、実施例1で用いた紙料スラリー(固形分濃度1.0質量%)を用いて、上記抄紙条件で坪量55g/m2の第2の紙基材層を作製し、第1の紙基材層の表面に積層させた。次に、抄紙して得られたシートを、角型シートマシンプレス(熊谷理機工業株式会社製)で10kgf/cm2の圧力で1分間プレスし、その後KRK回転型乾燥機(熊谷理機工業株式会社製)で加熱温度100℃、回転速度100cm/minで乾燥し、坪量98g/m2の記録用紙を得た。
なお、実施例6の記録用紙については、磁性体線材を含む第2の紙基材層が設けられた側の面を「表面」とし、磁性体線材を含まない第1の紙基材層が設けられた側の面を「裏面」とした。
(実施例7)
実施例6で得られた記録用紙の両面に、実施例5で用いた塗工組成物を乾燥重量が片面あたり7g/m2となるように、ブレードコータにより塗工し、坪量112g/m2の記録用紙(塗工紙)を得た。
なお、実施例7の記録用紙については、磁性体線材を含む第2の紙基材層が設けられた側の面を「表面」とし、磁性体線材を含まない第1の紙基材層が設けられた側の面を「裏面」とした。
(実施例8)
実施例6で作製した磁性体線材を含まない紙料スラリーを用い紙基材層を個別に2つ作製(坪量36g/m2及び37g/m2)し、さらに実施例1で使用した紙料スラリーを用い、坪量32g/m2の紙基材層を作製した。作製した3つの紙基材層を磁性体線材を含む紙基材層を中層として積層し、角型シートマシンプレス(熊谷理機工業株式会社製)で10kgf/cm2の圧力で1分間プレスし、その後KRK回転型乾燥機(熊谷理機工業株式会社製)で加熱温度100℃、回転速度100cm/minで乾燥し、坪量105g/m2の用紙を得た。
(比較例1)
LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)90質量部、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)10質量部、及び直径48μm長さ20mmの磁性体線材(組成:Coベース)5質量部を混合したパルプスラリー中に、パルプ固形分100質量部に対して、カチオン化デンプン(商品名:MS4600、日本食品化学工業(株)製)0.20質量部、およびアルケニル無水コハク酸(ファイブラン81、王子ナショナル(株)製)0.08質量部を添加した。
これらの混合物の紙料スラリー(固形分濃度0.8質量%)を配向性抄紙機(熊谷理機工業株式会社製)を用いて以下の条件で抄紙した。
<抄紙条件>
ドラム回転速度:1000m/min
紙料噴射圧力:1.0kgf/cm2
紙料噴出角度:60°
ストローク回数:7
次に、抄紙して得られたシートを、角型シートマシンプレス(熊谷理機工業株式会社製)で10kgf/cm2の圧力で1分間プレスし、その後KRK回転型乾燥機(熊谷理機工業株式会社製)で加熱温度100℃、回転速度100cm/minで乾燥し、坪量52g/m2の記録用紙を得た。
(比較例2)
実施例6で作製した磁性体線材を含まない紙料スラリーを用いて紙基材層を坪量72g/m2になるように個別に1つ作製し、さらに実施例1で使用した紙料スラリーを用い、紙基材層を個別に2つ作製(坪量16g/m2及び坪量16g/m2)の紙基材層を作製した。作製した3つの紙基材層を磁性体線材を含まない紙基材層を中層として積層し、角型シートマシンプレス(熊谷理機工業株式会社製)で10kgf/cm2の圧力で1分間プレスし、その後KRK回転型乾燥機(熊谷理機工業株式会社製)で加熱温度100℃、回転速度100cm/minで乾燥し、坪量104g/m2の記録用紙を得た。
(比較例3)
実施例6で作製した磁性体線材を含まない紙基材層を坪量224g/m2になるように個別に1つ作製し、さらに実施例1で使用した紙料スラリーを用い、紙基材層を個別に2つ作製(坪量18g/m2及び坪量16g/m2)の紙基材層を作製した。作製した3つの紙基材層を磁性体線材を含まない紙基材層を中層として積層し、角型シートマシンプレス(熊谷理機工業株式会社製)で10kgf/cm2の圧力で1分間プレスし、その後KRK回転型乾燥機(熊谷理機工業株式会社製)で加熱温度100℃、回転速度100cm/minで乾燥し、坪量258g/m2の用紙を得た。
−評価−
評価は、各実施例/比較例で得られた記録用紙を裁断してA4サイズとした用紙を用いて2種類の画像形成装置(富士ゼロックス社製、DocuCenterColor f450(以下、「DCCf450」と略す)およびDocuPrint 180EPS(以下、「DP180EPS」と略す)により普通紙モードにて、ハーフトーン画像(単色黒色 50%)を両面出力した際の転写抜け(いわゆる白抜け)を評価した。
結果を記録用紙の用紙表面と磁性材料との最短距離の最小値等の用紙の諸特性や紙基材の層数、塗工層の有無、磁性材料の組成等と共に以下の表1に示す。
Figure 2007286245
なお、表1中に示す転写抜けの評価は、得られた画像を目視で観察し、以下の基準で評価した。
G0:転写抜け未発生
G1:画像の一部で画像濃度が薄くなっているが印刷物として問題なし
G2:磁性体線材が含まれている部分の用紙表面の画像濃度が全体的に薄くなっているが印刷物として問題無し
G3:画像の一部が白く抜けており印刷物として問題あり
G4:画像が全体的に白く抜けており印刷物として問題あり
断面サンプルを作製する際の断裁位置を説明するための模式図である。 用紙表面と磁性材料との距離の測定方法について示す模式図である。 大バルクハウゼン効果を説明するための図である。
符号の説明
10 磁性体線材
12 磁性材料
20 用紙表面

Claims (2)

  1. 磁性材料を含み、少なくとも一方の用紙表面と前記磁性材料との最短距離の最小値が5μm以上であることを特徴とする記録用紙。
  2. 前記磁性材料が少なくとも大バルクハウゼン効果を起こすことを特徴とする請求項1に記載の記録用紙。
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