JP2007284419A - 有機過酸化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】供給される原料の加熱に供するエネルギーを削減でき、熱回収する熱交換設備の設置基数が少なく設備投資も抑えられる有機過酸化物の製造方法。
【解決手段】A工程〜D工程を含む。
A工程:反応器をn+1個(但しnは正の整数)の反応区分に分割した多段反応を行う B工程:第m番目(但しmはm≦nである正の整数であって、少なくとも1ヶ所以上が指定される)の反応区分の出口反応液と、一部が第1反応区分に供給される原料液とで熱交換を行い、熱回収する
C工程:第1反応区分の反応温度を供給原料の加熱に要するエネルギーが必要最少となる温度とし、かつ、第m+1番目の反応区分の反応温度を熱回収後の第m番目の反応区分出口液温度で熱バランスするように制御する
D工程:第1および第m+1番目の反応区分以外の各区分の運転温度を前段の反応区分の出口液温度で熱バランスする温度以下の反応温度とする
【選択図】図1
【解決手段】A工程〜D工程を含む。
A工程:反応器をn+1個(但しnは正の整数)の反応区分に分割した多段反応を行う B工程:第m番目(但しmはm≦nである正の整数であって、少なくとも1ヶ所以上が指定される)の反応区分の出口反応液と、一部が第1反応区分に供給される原料液とで熱交換を行い、熱回収する
C工程:第1反応区分の反応温度を供給原料の加熱に要するエネルギーが必要最少となる温度とし、かつ、第m+1番目の反応区分の反応温度を熱回収後の第m番目の反応区分出口液温度で熱バランスするように制御する
D工程:第1および第m+1番目の反応区分以外の各区分の運転温度を前段の反応区分の出口液温度で熱バランスする温度以下の反応温度とする
【選択図】図1
Description
本発明は、有機過酸化物の製造方法に関する。さらに詳しくは、有機物を酸化して有機化酸化物を得る有機過酸化物の製造方法であって、少なくとも一部が第1反応器に供給される原料の加熱に供するエネルギーを削減でき、かつ熱回収に必要な熱交換設備の設置基数が少なく、さらに伝熱面積が小さくて済むという、優れた有機過酸化物の製造方法に関するものである。
有機物の酸化によって有機過酸化物を得る反応は一般に発熱反応であり、有機過酸化物濃度と操作温度によって得られる有機過酸化物の選択率が影響を受けるため、多段反応設備を採用し、有機過酸化物濃度の低い前段領域では温度を高く、有機過酸化物濃度の高い後段領域では温度を低く、順次反応器の温度を高温から低温側に下げて運転することが多い。しかし、従来の反応装置および操作条件は、有機過酸化物を高収率で得ることを目的に、第1反応器の反応温度は熱バランスが考慮されずに高く設定されるため、第1反応器に供給される原料の予熱に多くのエネルギーを要し、後段の反応器で余剰の反応熱を除熱するため不経済な運転となっていた。
一方、酸化反応に限らず発熱反応で生じた除熱されるべき熱量を原料の予熱に利用することで熱回収する方法は公知である。例えば、有機過酸化物とプロピレンを反応させてプロピレンオキサイドとアルコール類を生成するプロピレンオキサイドの反応設備において、多段反応器の出口液と少なくとも一部が第1反応器に供給される原料液の熱交換を行い、省エネルギー化を図る方法(特許文献1参照)が示されている。しかし、エポキシ反応を対象としたこの方法は、一般に触媒活性に応じて反応温度を調整する必要があり反応熱の利用に制限があること、熱交換設備の設置基数が多いこと、場合によっては回収すべき熱源と被加熱側の温度差が小さくなること等、必要伝熱面積が大きくなったりするため、結果として設備費負担が増加する等の問題があり、酸化反応に適応できる一層の改良が望まれていた。
かかる状況において、本発明は、有機物を酸化して有機過酸化物を得る有機過酸化物の製造方法であって、少なくとも一部が第1反応器に供給される原料の加熱に供するエネルギーを削減でき、かつ熱回収する熱交換設備の設置基数が少なく設備投資も抑えられるという、優れた有機過酸化物の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、
(1)有機物を含酸素ガスによって酸化し、有機過酸化物を得る有機過酸化物の製造方法であって、下記A工程〜D工程を含むことを特徴とする有機過酸化物の製造方法、
A工程:反応器を少なくともn+1個(但しnは正の整数)の反応区分に分割した多段反応を行う工程
B工程:第m番目(但しmはm≦nである正の整数であって、少なくとも1ヶ所以上が指定される)の反応区分の出口反応液と、少なくとも一部が第1反応区分に供給される原料液とで熱交換を行い、熱回収する工程
C工程:第1反応区分の反応温度を供給原料の加熱に要するエネルギーが必要最少となる温度とし、かつ、第m+1番目の反応区分の反応温度を熱回収後の第m番目の反応区分出口液温度で熱バランスするように制御する工程
D工程:第1および第m+1番目の反応区分以外の各区分の運転温度をそれぞれ前段の反応区分の出口液温度で熱バランスする温度以下の反応温度とする工程
(2)前記第m番目の反応区分が最も反応温度の高い反応区分を含み、2ヶ所以上において熱回収される場合は温度の高い順に選定される(1)の有機化酸化物の製造方法、
(3)前記主たる有機物がアルキルベンゼンで、有機過酸化物がアルキルベンゼンハイドロパーオキサイドである(1)または(2)の有機過酸化物の製造方法、
(4)前記主たる有機物がエチルベンゼンまたはクメンで、有機過酸化物がエチルベンゼンハイドロパーオキサイドまたはクメンハイドロパーオキサイドである(1)、(2)、(3)のいずれかの有機過酸化物の製造方法、
に係るものである。
(1)有機物を含酸素ガスによって酸化し、有機過酸化物を得る有機過酸化物の製造方法であって、下記A工程〜D工程を含むことを特徴とする有機過酸化物の製造方法、
A工程:反応器を少なくともn+1個(但しnは正の整数)の反応区分に分割した多段反応を行う工程
B工程:第m番目(但しmはm≦nである正の整数であって、少なくとも1ヶ所以上が指定される)の反応区分の出口反応液と、少なくとも一部が第1反応区分に供給される原料液とで熱交換を行い、熱回収する工程
C工程:第1反応区分の反応温度を供給原料の加熱に要するエネルギーが必要最少となる温度とし、かつ、第m+1番目の反応区分の反応温度を熱回収後の第m番目の反応区分出口液温度で熱バランスするように制御する工程
D工程:第1および第m+1番目の反応区分以外の各区分の運転温度をそれぞれ前段の反応区分の出口液温度で熱バランスする温度以下の反応温度とする工程
(2)前記第m番目の反応区分が最も反応温度の高い反応区分を含み、2ヶ所以上において熱回収される場合は温度の高い順に選定される(1)の有機化酸化物の製造方法、
(3)前記主たる有機物がアルキルベンゼンで、有機過酸化物がアルキルベンゼンハイドロパーオキサイドである(1)または(2)の有機過酸化物の製造方法、
(4)前記主たる有機物がエチルベンゼンまたはクメンで、有機過酸化物がエチルベンゼンハイドロパーオキサイドまたはクメンハイドロパーオキサイドである(1)、(2)、(3)のいずれかの有機過酸化物の製造方法、
に係るものである。
前記A工程〜D工程を含む方法により、第m番目の反応区分の反応液と熱が不足する第1反応器に少なくとも一部が供給される供給原料との熱交換を回収熱量最大の条件で実施できる。また、第m番目の反応区分が反応温度の高い順に選定される場合は、供給原料との温度差を最大の条件で実施することが可能となり、温度の高い熱源を最大限利用できる。したがって、少なくとも一部が第1反応器に供給される原料の加熱に供するエネルギーを削減でき、かつ熱回収に必要な熱交換設備の設置基数が少なく設備投資も抑えられ、さらに第m番目の反応区分が反応温度の高い順に選定される場合は、熱交換器の伝熱面積が小さくて済むという、優れた有機過酸化物の製造方法を提供することができた。
有機物を含酸素ガスにより酸化する反応としては、例えばアルキルベンゼンを酸化してアルキルベンゼンハイドロパーオキサイドを得る酸化反応等がある。特にエチルベンゼンを酸化してエチルベンゼンハイドロパーオキサイドを得る酸化反応や、クメンを酸化してクメンハイドロパーオキサイドを得る酸化反応は工業的に広く用いられていることから、含酸素ガスにより有機物を酸化する反応の代表的な例としてあげることができるが、本発明はこれらの反応に限らず広く用いることができる。
通常、有機物を酸化して有機過酸化物を得る反応は、空気や酸素濃縮空気などの含酸素ガスによる自動酸化で行われる。アルカリ水を用いて乳化酸化をしてもよい。
有機物を酸化して有機過酸化物を得る反応の操作圧力は、反応に寄与する酸素を充分供給するために酸素分圧を反応速度に見合った値以上に維持する目的、寄与する有効反応液量を多く得る観点から気体の実体積を圧縮して気泡率を下げる目的等で、工業的には加圧下に実施されることが一般的であるが、加圧下での実施は本発明では必須ではない。また、圧力が高すぎる場合、酸素分圧は反応に影響を与えず、有効反応液量の改善幅が小さくなるばかりか、酸化工程に供給される含酸素ガスの圧縮に多くのエネルギーが必要となるため、大気圧〜5MPaGの間が好ましい。
本発明のA工程は、反応器を少なくともn+1個(但しnは正の整数)の反応区分に分割した多段反応により有機物を酸化し有機過酸化物を得る工程である。反応区分は、一つの反応容器を内部で分割しても良いし、独立した反応器を設置してもよいが、各反応区分の温度管理や酸素濃度管理の観点から独立した反応器とすることが望ましい。本発明で用意されるべき反応区分は2区分以上であることが必須である。一方、得られる有機過酸化物の収率の観点からは、反応の段数を多くすることが好ましいが、設備費が増加することから、3段〜6段の反応器を設置することが現実的である。
本発明のB工程は、第m番目(但しmはm≦nである正の整数であって、少なくとも1ヶ所以上が指定される)の反応区分の出口反応液と、少なくとも一部が第1反応区分に供給される原料液とで熱交換を行い、熱回収する工程である。原料液は、プロセスによっては第1反応区分と他の反応区分とに分割して供給してもよいが、少なくとも一部は第1反応区分に供給される。
本発明は少なくとも第m番目として1ヶ所で熱回収を行うものであるが、前述の原料液の加熱に要する熱量が不足する場合は、2ヶ所以上で熱回収を行ってもよい。
本発明の特徴は、熱が不足する第1反応区分の熱源として、複数ある反応区分のうち、プロセス上の制約があれば、熱回収しやすい任意の反応区分を選択して用いることができる。しかし、プロセス上の制限がなければ、温度の高い反応区分の出口反応液を優先的に利用することで、温度差最大の条件にて、最も効率良く熱回収を行うことが好ましい。すなわち、各反応区分のうち、温度の低い反応区分では加熱側と被加熱側流体の温度差が小さくなり、効率のよい熱回収が行われず、また各反応区分の複数ヶ所に熱交換器を設置した場合は設備費も増大する。熱回収されるべき高温側の反応液は温度の高い反応区分の反応液であることが好ましく、2ヶ所以上で熱回収をおこなう場合は温度の高い順に選択することが好ましい。
有機物を酸化して有機過酸化物を得る多段反応プロセスにおいては、反応生成物の選択率を考慮すると、有機過酸化物濃度の低い第1反応器の運転温度を最も高く設定すること、すなわち、m=1とするのが好適である。このようにして、少なくとも一部が第1反応器に供給される原料の加熱に供するエネルギーを削減でき、かつ熱回収に必要な熱交換設備の設置基数が少なく、さらに伝熱面積が小さくて済むことにより設備投資も抑えられるという優れた特徴を発揮することができる。さらにプロセス全体の熱効率を高めるために、例えば酸化反応器より排出される酸化排ガスと少なくとも一部が第1反応区分に供給される原料液とで熱交換を行って、加熱に要するエネルギーを削減してもよい。
本発明のC工程は、第1反応区分の反応温度を供給原料の加熱に要するエネルギーが必要最少となる温度とし、かつ、第m+1番目の反応区分の反応温度を熱回収後の第m番目の反応区分出口液温度で熱バランスするように制御する工程である。ここで、第1反応区分の反応温度は、後段の反応と合わせて、所望の生産量を確保できる温度であるが、その際、第1反応区分で設定される温度が本発明のB工程で回収される熱量で充足する場合は、反応温度の変動を吸収するために必要な最少の加熱量となる温度とすることができる。また、B工程で回収される熱量が不足する場合は、後段の反応区分の温度をD工程の条件および、有機過酸化物の収率や取り扱いの安全性から決定される上限温度の範囲で高く設定し、第1反応区分の反応温度を可能な限り低く設定することで、少なくとも第1反応区分に供給される原料液の加熱に供するエネルギーを削減することが可能となる。
本発明のD工程は、第1および第m+1番目の反応区分以外の各区分の運転温度をそれぞれ前段の反応区分の出口液温度で熱バランスする温度以下の反応温度とする工程である。すなわち、反応区分が2区分の場合、本発明のD工程は省略され、反応区分が3区分以上に分割されている場合、第1反応区分と反応温度が熱回収条件で従属的に決定されるm+1番目の区分以外の各反応区分は、前段の反応区分の出口液温度で熱バランスする温度以下の範囲で温度を設定することが可能であり、収率の面から好ましい温度に調整することができる。
以下、本発明を、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
図1に気泡塔酸化反応器を直列に接続し、最も温度の高い第1反応器9の出口液と第1反応器に供給される原料液1との間で熱交換する概念図を示す。
ただし、後段の反応器は必要に応じて設置するものであり、設置しなくてもよい。
このとき、第1および2反応器はプロセス変動に起因する場合を除き、基本的に除熱量Q1=0、Q2=0となるように運転し、負荷調整は熱交換器4のスチーム使用量と第3反応器および後段の反応器の除熱量により適時温度調節することがのぞましい。
このことにより、温度差が最大である、最も温度の高い反応器の出口液と、第1反応器に供給される原料液との間で熱交換を行い、かつ第2反応器も熱的に自立平衡する運転が可能となる。
実施例1
図1に気泡塔酸化反応器を直列に接続し、最も温度の高い第1反応器9の出口液と第1反応器に供給される原料液1との間で熱交換する概念図を示す。
ただし、後段の反応器は必要に応じて設置するものであり、設置しなくてもよい。
このとき、第1および2反応器はプロセス変動に起因する場合を除き、基本的に除熱量Q1=0、Q2=0となるように運転し、負荷調整は熱交換器4のスチーム使用量と第3反応器および後段の反応器の除熱量により適時温度調節することがのぞましい。
このことにより、温度差が最大である、最も温度の高い反応器の出口液と、第1反応器に供給される原料液との間で熱交換を行い、かつ第2反応器も熱的に自立平衡する運転が可能となる。
実施例2
図2および図3に気泡塔酸化反応器を直列に接続し、第1反応器9と第2反応器10の出口液と第1反応器に供給される原料液1との間で熱交換する概念図を示す。
ただし、後段の反応器は必要に応じて設置するものであり、設置しなくてもよい。
このとき、第1、第2および第3反応器はプロセス変動に起因する場合を除き、基本的にQ1=0、Q2=0、Q3=0となるように運転し、負荷調整は熱交換器4のスチーム使用量と後段の反応器の除熱量により適時温度調節することが望ましい。
このことにより、熱回収のための熱交換器の基数は実施例1と比較して多くなるが、反応熱をより多く利用できる運転が可能となる。
図2および図3に気泡塔酸化反応器を直列に接続し、第1反応器9と第2反応器10の出口液と第1反応器に供給される原料液1との間で熱交換する概念図を示す。
ただし、後段の反応器は必要に応じて設置するものであり、設置しなくてもよい。
このとき、第1、第2および第3反応器はプロセス変動に起因する場合を除き、基本的にQ1=0、Q2=0、Q3=0となるように運転し、負荷調整は熱交換器4のスチーム使用量と後段の反応器の除熱量により適時温度調節することが望ましい。
このことにより、熱回収のための熱交換器の基数は実施例1と比較して多くなるが、反応熱をより多く利用できる運転が可能となる。
実施例3
実施例1の概念を採用したプロセスにより、クメンを空気により酸化してクメンハイドロパーオキサイドを得る有機過酸化物の製造を行った。
以下のように、本発明の要件を満たすように条件を設定して酸化反応を行った。塔頂の圧力は0.6MPaG、原料クメン1は、酸化排ガス7と熱交換器2により熱回収を行い、次いで第1反応器出口液5と熱交換器3で熱交換を行った後、加熱器4を通して第1反応器9へ供給した。さらに加熱器4の加熱用スチーム使用量を下げていき、ほぼスチーム使用量がゼロとなった温度を第1反応器の運転温度とした。第2反応器10は、熱回収後の第1反応器出口液6でバランスする温度とした。各反応器の運転温度を表1に、第1反応器9に供給される原料液の加熱に要する134℃のスチーム使用量を表2に示す。
実施例1の概念を採用したプロセスにより、クメンを空気により酸化してクメンハイドロパーオキサイドを得る有機過酸化物の製造を行った。
以下のように、本発明の要件を満たすように条件を設定して酸化反応を行った。塔頂の圧力は0.6MPaG、原料クメン1は、酸化排ガス7と熱交換器2により熱回収を行い、次いで第1反応器出口液5と熱交換器3で熱交換を行った後、加熱器4を通して第1反応器9へ供給した。さらに加熱器4の加熱用スチーム使用量を下げていき、ほぼスチーム使用量がゼロとなった温度を第1反応器の運転温度とした。第2反応器10は、熱回収後の第1反応器出口液6でバランスする温度とした。各反応器の運転温度を表1に、第1反応器9に供給される原料液の加熱に要する134℃のスチーム使用量を表2に示す。
比較例1
熱バランスを考慮せず、生成する有機過酸化物の量が実施例3とほぼ同じになるように各反応器の温度を第1反応器から順次温度を下げるように設定した以外は同じ製造設備を用いて酸化反応を行った。ここで、生成する有機過酸化物の量は、空気供給ライン8から供給した空気中の酸素量と、酸化排ガス7中に残存する酸素量の差として計算した。塔頂の圧力は0.6MPaGであった。各反応器の運転温度を表1に、第1反応器に供給される原料液の加熱に要する134℃のスチーム使用量を表2に示した。
実施例1および比較例1から、本発明の要件を満たす方法により酸化反応を行うことにより、同一生産量で約4T/Hのスチームを節約できることが判った。
熱バランスを考慮せず、生成する有機過酸化物の量が実施例3とほぼ同じになるように各反応器の温度を第1反応器から順次温度を下げるように設定した以外は同じ製造設備を用いて酸化反応を行った。ここで、生成する有機過酸化物の量は、空気供給ライン8から供給した空気中の酸素量と、酸化排ガス7中に残存する酸素量の差として計算した。塔頂の圧力は0.6MPaGであった。各反応器の運転温度を表1に、第1反応器に供給される原料液の加熱に要する134℃のスチーム使用量を表2に示した。
実施例1および比較例1から、本発明の要件を満たす方法により酸化反応を行うことにより、同一生産量で約4T/Hのスチームを節約できることが判った。
1…原料液(原料クメン)、2…熱交換器、3…熱交換器、4…加熱器、5…第1反応器出口液、6…熱回収後の第1反応器出口液、7…酸化排ガス、8…空気供給ライン、9…第1反応器、10…第2反応器、11…第3反応器、12…後段の反応器、13…冷却器、14…反応液
T1:第1反応器の反応温度[℃]
T2:第2反応器の反応温度[℃]
T3:第3反応器の反応温度[℃]
Q1:第1反応器の除熱量[MW]
Q2:第2反応器の除熱量[MW」
Q3:第3反応器の除熱量[MW]
T1:第1反応器の反応温度[℃]
T2:第2反応器の反応温度[℃]
T3:第3反応器の反応温度[℃]
Q1:第1反応器の除熱量[MW]
Q2:第2反応器の除熱量[MW」
Q3:第3反応器の除熱量[MW]
Claims (4)
- 有機物を含酸素ガスによって酸化し、有機過酸化物を得る有機過酸化物の製造方法であって、下記A工程〜D工程を含むことを特徴とする有機過酸化物の製造方法。
A工程:反応器を少なくともn+1個(但しnは正の整数)の反応区分に分割した多段反応を行う工程
B工程:第m番目(但しmはm≦nである正の整数であって、少なくとも1ヶ所以上が指定される)の反応区分の出口反応液と、少なくとも一部が第1反応区分
C工程:第1反応区分の反応温度を供給原料の加熱に要するエネルギーが必要最少となる温度とし、かつ、第m+1番目の反応区分の反応温度を熱回収後の第m番目の反応区分出口液温度で熱バランスするように制御する工程
D工程:第1および第m+1番目の反応区分以外の各区分の運転温度をそれぞれ前段の反応区分の出口液温度で熱バランスする温度以下の反応温度とする工程 - 前記第m番目の反応区分が最も反応温度の高い反応区分を含み、2ヶ所以上において熱回収される場合は温度の高い順に選定される(1)の有機化酸化物の製造方法。
- 前記有機物が主としてアルキルベンゼンで、有機過酸化物がアルキルベンゼンハイドロパーオキサイドである請求項1または2に記載の有機過酸化物の製造方法。
- 前記有機物が主としてエチルベンゼンまたはクメンで、有機過酸化物がエチルベンゼンハイドロパーオキサイドまたはクメンハイドロパーオキサイドである請求項1から3のいずれかに記載の有機過酸化物の製造方法。
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Cited By (2)
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CN106554298A (zh) * | 2015-09-28 | 2017-04-05 | 万华化学集团股份有限公司 | 一种乙苯氧化制备乙苯氢过氧化物的方法 |
WO2022202128A1 (ja) * | 2021-03-24 | 2022-09-29 | 住友化学株式会社 | クメンハイドロパーオキサイドの製造設備及び製造方法 |
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2007
- 2007-01-22 JP JP2007011126A patent/JP2007284419A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106554298A (zh) * | 2015-09-28 | 2017-04-05 | 万华化学集团股份有限公司 | 一种乙苯氧化制备乙苯氢过氧化物的方法 |
CN106554298B (zh) * | 2015-09-28 | 2019-04-23 | 万华化学集团股份有限公司 | 一种乙苯氧化制备乙苯氢过氧化物的方法 |
WO2022202128A1 (ja) * | 2021-03-24 | 2022-09-29 | 住友化学株式会社 | クメンハイドロパーオキサイドの製造設備及び製造方法 |
KR20230159436A (ko) | 2021-03-24 | 2023-11-21 | 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 | 쿠멘하이드로퍼옥사이드의 제조 설비 및 제조 방법 |
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