JP2007283382A - 鋳造用中子、精密鋳造用中子及び該精密鋳造用中子を用いて製造した精密鋳造品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械的強度が高く、機械加工が可能で、製品鋳造後の取り除きも容易で、かつ溶湯金属とも反応しない精密鋳造用中子、該精密鋳造用中子を用いて製造した精密鋳造品を提供する。
【解決手段】 Alの含有量が10〜50質量%となるように、Alと、Fe、Co、Niから選ばれる一種又は二種以上の元素とを配合した原料より製造するようにした。
【選択図】 なし

Description

本発明は、鋳造用中子、精密鋳造用中子及び該精密鋳造用中子を用いて製造した精密鋳造品に関する。
精密鋳造品として、例えばガスタービンに用いられる動翼がある。ガスタービンは、作動流体を燃焼器で燃焼させて高温高圧の作動流体とし、この作動流体によりタービンを回転させるようにしている。すなわち、圧縮機で圧縮した作動流体を燃焼器で燃焼させ、エネルギーを高め、そのエネルギーをタービンで回収して回転力を生じさせ、それによって発電を行うようにしている。タービン部には、タービンロータが設けられ、該タービンロータの外周には、ガスタービン動翼が少なくとも一以上設けられている。
ここで、ガスタービン動翼は、高温にさらされる。その対策として、ガスタービン動翼には冷却用の冷却媒体を流すことが行われている。このため、ガスタービン動翼には、内部冷却構造が設けられている。そして、このような内部冷却構造を構成するために、冷却媒体の流通路と同形状をした中子を配置し、鋳造後その中子を取り除くようにしている。
中子としては、従来セラミックス粒子を用いたセラミックス中子が用いられている(特許文献1)。しかし、セラミックス中子は、鋳造時に割れたり、折れたり等することがあり、歩留まりを向上させるにあたっての障害となっていた。また、セラミックス中子は、切削、研磨等の機械加工を施すことができず、ハンドリング性が悪かった。
このため、セラミックス中子を代替する別素材の中子が要請されていた。なお一方、セラミックス中子は、アルカリ中で300℃程度に加熱すると速やかに流しだすことができるという利点もあり、これを代替するものには同等の利点が必要である。さらに、溶湯金属とも反応しないといった特性も必要である。
特開平5−330957号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、機械的強度が高く、機械加工が可能で、製品鋳造後の取り除きも容易で、かつ溶湯金属とも反応しない鋳造用中子、精密鋳造用中子及び該精密鋳造用中子を用いて製造した精密鋳造品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る鋳造用中子は、Alと、Fe、Co、Niから選ばれる一種又は二種以上の元素とを配合した原料より製造したことを特徴とする。本発明に係る鋳造用中子は、Alの含有量が10〜50質量%であることが好適である。
さらに、本発明に係る鋳造用中子は、その好適な実施の形態で、Alの含有量が10〜30質量%となるように、AlとFeとを配合した原料より製造することが好ましい。
また、本発明に係る鋳造用中子は、他の好適な実施の形態で、Alの含有量が10〜30質量%となるように、Al粉末とFe粉末とを配合し、射出成形・焼結を経て製造されることを特徴とする。上記Al粉末とFe粉末とは、それぞれ、純Al粉末と純Fe粉末であることが好適である。純金属粉末(Co、Niも該当)は、99.99%以上の純度であることが好ましく、これにより、不純物の混入を極力回避でき、融点が上がり、高温強度を維持できる。
また、本発明に係る鋳造用中子は、他の好適な実施の形態で、Alの含有量が25〜35質量%となるように、AlとNiとを配合した原料より製造したことを特徴とする。この形態では、本発明に係る鋳造用中子は、溶解・凝固法による成型を経て製造されることが好ましい。また、この形態には、溶解・凝固法ではなく、Al粉末とNi粉末を原料とし、射出成型、真空焼結を経て製造される鋳造用中子も含まれる。
また、本発明に係る鋳造用中子は、他の好適な実施の形態で、Alの含有量が20〜50質量%となるように、AlとCoとを配合した原料より製造したことを特徴とする。この実施の形態では、Al粉末とCoの粉末を原料とし、射出成型、真空焼結を経て製造されることが好適である。
さらにまた、本発明に係る鋳造用中子は、上記いずれかの鋳造用中子であって、精密鋳造用中子として製造されることが好ましい。
さらにまた、本発明は別の側面で精密鋳造品であり、上記精密鋳造用中子を用いて製造したことを特徴とする。このような精密鋳造品としては、ガスタービン動翼、ガスタービン静翼、ガスタービン燃焼器、及びガスタービン分割環を挙げることができる。
本発明によれば、機械的強度が高く、機械加工が可能で、製品鋳造後の取り除きも容易で、かつ溶湯金属とも反応しない鋳造用中子、精密鋳造用中子、該精密鋳造用中子を用いて製造した精密鋳造品が提供される。
以下に、本発明に係る精密鋳造用中子、該精密鋳造用中子を用いて製造した精密鋳造品について、その実施の形態を説明する。
本発明に係る精密鋳造用中子は、Alの含有量が10〜50質量%となるように、Al粉末と、Fe、Co、Niのうち少なくとも一の粉末、好適には、純Al粉末と、純Fe、純Co、純Niのうち少なくとも一の粉末とを配合し、射出成形・焼結を経て製造される。Fe、Co、Niは、周期律表では、遷移元素として位置づけられ、特に鉄族に含まれる。本発明では、この鉄族に含まれる元素が、Alと反応し酸に溶解し易い金属間化合物を形成するという属性を備えている点を積極的に活かしている。なお、Feは、コスト的に有利である。しかし、適用対象に応じ(より高強度な中子にするには、Co、Niがよいそうですが、今回強度データがございませんので、現行のままでも結構でございます)、Co、Niを採用する。Fe、Co、Niは、適用対象に応じ、二種以上を併用することもできる。
Alの含有量が10質量%以上であれば、十分な耐酸化性を得られる。後述するロストワックス法などで、精密鋳造を行う場合、セラミック鋳型を焼成する工程があるが、この際、中子の酸化を十分回避できる。
また、Alの含有量が50質量%を越えなければ、Fe、Co、Niの含有量が十分となり、融点が1400℃を越え、中子の耐熱性も問題はなく、好適に鋳造が可能となる。また、製品鋳造後、本発明に係る精密鋳造用中子は、塩酸、硝酸等によって溶かし、除去することができる。この特性を損なわないために、Crのような耐酸性を上げる要素は混合しないようにする。
Fe、Co、Niのうち、Feのみを用いる場合には、Alの含有量は、30質量%までが好ましい。Al含有量がこの範囲内であれば酸に容易に溶解し、かつ融点が1400℃以上となるからである。
Fe、Co、Niのうち、Niのみを用いる場合には、Alの含有量は、25〜35質量%が好ましい。Al含有量がこの範囲内であれば酸に容易に溶解し、かつ融点が1400℃以上となるからである。
Fe、Co、Niのうち、Coのみを用いる場合には、Alの含有量は、20〜50質量%が好ましい。Al含有量がこの範囲内であれば酸に容易に溶解し、かつ融点が1400℃以上となるからである。
本発明に係る精密鋳造用中子を、金属射出成形(MIM、メタル・インジェクション・モールデイング)によって製造する一実施の形態を次に説明する。
まず、純Al粉末、及び純Fe粉末、純Co粉末又は純Ni粉末のうち少なくともいずれか一を混合し、これらにさらに有機系バインダーを混合する。有機系バインダーとしては、プラスチックポリマー、ワックス及びそれらの混合物などを用いることができる。
有機系バインダーの混合割合としては、金属粉末の全体に対し、50〜70体積%が好適である。
純Al粉末、及び純Fe粉末、純Co粉末又は純Ni粉末のうち少なくともいずれか一、並びに有機系バインダーの混合物を混練し、全量の90質量%以上が、40μm以下、好適には20μm以下の粒径となるまで造粒する。粒径が大きいと、射出成形が困難となるからである。
そして、造粒物を、金型を用いて射出成形する。そして、この成形体に加熱等を行い、有機系バインダーを除去する脱脂工程を行う。
その後、900℃〜1400℃で焼結を行う。その後、サイジング加工等を行い、本発明の精密鋳造用中子を得ることができる。
なお、本発明に係る精密鋳造用中子は、高い寸法精度をもつ中子が安価に製造可能であることから、金属射出成形により製造することが好適であるが、粉末冶金、原料金属を溶かし出し後に加工成形する(溶解・凝固法)といったことも可能である。
本発明に係る精密鋳造用中子を、溶解・凝固法によって製造する一実施の形態を次に説明する。
まず、純Al、及び純Fe、純Co又は純Niのうち少なくともいずれか一を秤量・混合する。原料となる金属には粉状、粒状、ペレット状、塊状等、いずれを用いても良い。
上記を溶解るつぼに入れ、真空溶解炉にて1500℃に加熱し溶解させ、アルミナパイプに鋳造する。
鋳造後、溶解炉より取り出し、目的とする強度を得るために900℃〜1400℃にて熱処理を実施後、加工成形することで本発明の精密鋳造用中子が得られる。
次いで、本発明に係る精密鋳造用中子を用い、いわゆるロストワックス法により精密鋳造品を製造する方法について説明する。
まず、金型内に本発明に係る精密鋳造用中子を支持し、ワックスを射出成形して、ろう型を作製する。ガスタービン動翼であれば、ろう成形翼に、ろう成形の湯口、せきを取り付け、組み立てる。
このろう型に、スラリーへのデイッピング、サンデイング、乾燥を繰り返して、セラミック鋳型を作製する。次いで、このセラミックス鋳型を加熱し、中のろう型を溶出させる。そして、セラミック鋳型を焼成する。
そして、セラミック鋳型を予熱し、炉内にセットし、溶湯を鋳入する。ガスタービン動翼であれば、Ni基もしくはCo基超合金などの耐熱合金の溶湯を鋳入する。その後、凝固を確認し、型ばらしにより、鋳造品を取り出す。湯口、せきも切断する。
さらに、室温〜100℃の塩酸又は硝酸溶液中に鋳造品を浸漬し、本発明に係る精密鋳造用中子を溶出させる。
最終的に、仕上げ、検査を経て精密鋳造品の完成品を得る。なお、精密鋳造品としては、ガスタービン動翼、ガスタービン静翼、ガスタービン燃焼器、ガスタービン分割環等を挙げることができる。
本発明に係る精密鋳造用中子は、金属製であり、セラミックスに比べてはるかに機械的強度が高い。また、切削、研磨等の機械加工が可能である。また、上記したように製品鋳造後の取り除きも、塩酸、硝酸等で容易に行うことができる。さらに、溶湯金属(Ni基もしくはCo基超合金など)とも反応しない。
実施例
以下に本発明に係る鋳造用中子を作製し、その特性を試験した実施例についてその結果を示す。
実施例1
融点測定
作製試料
Fe、Ni及びCo粉末とAl粉末を表1に示す各種配合比にて混合の後、総粉末体積と同体積の有機系バインダーを混合、射出成形の後、1100℃×2時間の加熱を行い焼結させた。得られた焼結体(Φ2×15)の融点測定結果を表1に示す。
融点測定結果
Figure 2007283382
実施例2
酸への溶解
上記焼結体を30質量%塩酸へ浸漬し、すべてが溶解するまでの時間を測定した。結果を表2に示す。
塩酸浸漬試験結果
Figure 2007283382

Claims (20)

  1. Alと、Fe、Co、Niから選ばれる一種又は二種以上の元素と、不可避的不純物とからなることを特徴とする鋳造用中子。
  2. Alの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする請求項1の鋳造用中子。
  3. 10〜30質量%のAlと、70〜90質量%のFeと、不可避的不純物とからなることを特徴とする請求項1の鋳造用中子。
  4. 25〜35質量%のAlと、65〜75質量%のNiと、不可避的不純物とからなることを特徴とする請求項1の鋳造用中子。
  5. 20〜50質量%のAlと、50〜80質量%のCoと、不可避的不純物とからなることを特徴とする請求項1の鋳造用中子。
  6. Alと、Fe、Co、Niから選ばれる一種又は二種以上の元素とを配合した原料より製造したことを特徴とする鋳造用中子。
  7. Alの含有量が10〜50質量%であることを特徴とする請求項6の鋳造用中子。
  8. Alの含有量が10〜30質量%となるように、AlとFeとを配合した原料より製造したことを特徴とする請求項6の鋳造用中子。
  9. 溶解・凝固法による成型を経て製造されることを特徴とする請求項8の鋳造用中子。
  10. Alの含有量が10〜30質量%となるように、Al粉末とFe粉末とを配合し、射出成形・焼結を経て製造されることを特徴とする鋳造用中子。
  11. Alの含有量が25〜35質量%となるように、AlとNiとを配合した原料より製造したことを特徴とする請求項6の鋳造用中子。
  12. 溶解・凝固法による成型を経て製造されることを特徴とする請求項11の鋳造用中子。
  13. Al粉末とNi粉末を原料とし、射出成型、焼結を経て製造されることを特徴とする請求項11の鋳造用中子。
  14. Alの含有量が20〜50質量%となるように、AlとCoとを配合した原料より製造したことを特徴とする請求項6の鋳造用中子。
  15. Al粉末とCoの粉末を原料とし、射出成型、焼結を経て製造されることを特徴とする請求項14の鋳造用中子。
  16. 溶解・凝固法による成型を経て製造されることを特徴とする請求項14の鋳造用中子。
  17. 純金属粉末を用いることを特徴とする請求項6〜16のいずれかの鋳造用中子。
  18. 請求項1〜17のいずれかの精密鋳造用中子。
  19. 請求項18の精密鋳造用中子を用いて製造したことを特徴とする精密鋳造品。
  20. ガスタービン動翼、ガスタービン静翼、ガスタービン燃焼器、及びガスタービン分割環のいずれかである請求項19の精密鋳造品。
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