JP2007282552A - 細胞分離方法および細胞分離システム - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便かつ大量に、所望の比重を有する細胞を簡便に調製する方法を提供すること。
【解決手段】所望の比重の細胞を分画するための方法であって、A)該細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを、該サンプルを収容することができる空間を有する遠心分離用ボウル内で、遠心分離により密度勾配分離する工程とB)該遠心分離中に該細胞より比重の重い液体を流入し、流出した細胞を回収する工程とを包含する、方法によって上記課題が解決された。
【選択図】なし

Description

本発明は、細胞の調製に関する。より詳細には、本発明は、細胞を分離するための方法およびシステムに関する。
細胞の精製(純化)は、通常の生体物質とは異なり、「活きている」状態を保つ必要があることから、非常に困難であり、あまり効率のよい方法が提示されていない。
細胞の分離・純化方法として、例えば、アフェレーシスがある。アフェレーシスは、全血をその種々の血液成分、即ち赤血球のような高密度成分、リンパ球や顆粒球の如き白血球や血小板のような少なくとも1つの中間密度成分、及び血漿のような低密度成分に分離し、所望とする血液成分を採取するための方法である。アフェレーシスを行う方式には種々のものがあるが、そのうちの有力なものに、遠心分離を用い、全血を断続的に処理する間歇血流方式がある。
いわゆる「サージ」技術では、全血を採取して遠心分離器内において高密度、中間密度及び低密度の各成分に同心円状に分離(いわゆる「ドロー」ステップ)し血漿を分取した後に、遠心分離器を介して血漿をサージ流量、即ち時間と共に増大する流量で供給する。サージを行うことにより、主として血小板と白血球の混合物からなるバフィコートとして存在する中間密度成分から、血小板を優先的に追い出すことが可能になり、濃厚血小板製剤を増大した収量で得られるようになる。
特許文献1(特許第2776988号(PCT/US94/01107))では、血小板をサージ技術を用いて遠心分離器から追い出す前に、遠心分離器を介して血漿を短期間一定速度で循環させる(いわゆる「ドウェル」ステップ)ことにより、比重が近接している血小板と白血球をバフィコート内で整列させ、両者の分離を改善することに成功している。通常の間歇血流方式では、所要成分を分取した後、主として赤血球からなる残余の血液成分は供血者に戻される(いわゆる「リターン」ステップ)。
特許文献2(特開平7−284529号公報)では、全血液をより低い濃度の成分(血漿、血小板等)とより高い濃度の成分(RBC)とに分離し、かつボウルの回転を停止させる必要無く両方の低い及び高い濃度の成分を収集する遠心機ボウル及び方法を提供するために、互に等しい長さの半径方向伸長部を有する上方及び下方の半径方向伸長通路P1、P2を設けることにより達成され、これにより流体がこぼれることなくその流れ方向の逆転を可能にする工程が提案された。
特許文献2では、追加の通路が遠心機ボウルの底部に設けられて、該ボウル内で分離される全血液中のより高い濃度の分離物(denser fraction)(例えばRBC)の収集を可能にすることにより、血漿や血小板等のより低い濃度成分の最終部分が、出口ポートを介して通路により変位されるとき、抗凝血性の全血液の供給を中断する必要がなくなった。しかし、特許文献2では、所望の細胞を分離・純化することは達成されていない。現状の装置の操作は「押し出し方式」なのでボウルサイズの容量がサンプルの最小容量であった。つまり125ml以下のサンプルは処理できない。また押し出し方式では、全血から有核細胞を取り出す用途のみであり、応用が限られていた。現状の装置では、「赤血球による押し出し方式」によって細胞分画を回収するため、サンプルには、ボウルの容積に対して十分に多量の赤血球が含まれている必要があった。
特許第2776988号公報 特開平7−284529号公報
本発明は、幹細胞などの任意の細胞を、粗試料(例えば、脂肪吸引排液、臍帯血など)から簡便に分離・濃縮するための技術を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を、所望の比重の細胞を分画するための方法であって、A)該細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを、該サンプルを収容することができる空間を有する遠心分離用ボウル内で、遠心分離により密度勾配分離する工程とB)該遠心分離中に該細胞より比重の重い液体を流入し、流出した細胞を回収する工程を包含する、方法によって解決した。従って、本発明は以下を提供する。
(1)所望の比重の細胞を分画するための方法であって、
A)上記細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを、上記サンプルを収容することができる空間を有する遠心分離用ボウル内で、遠心分離により密度勾配分離する工程と
B)上記遠心分離中に上記細胞より比重の重い比重液を流入し、流出した細胞を回収する工程とを包含する、方法。
(2)上記遠心分離用ボウルは、上記サンプルを収容するに十分な空間を有する、項目1に記載の方法。
(3)上記遠心分離用ボウルは上記サンプルを収容するに十分な空間と、上記空間に流体連絡する上記比重液の流入口と、上記空間に流体連絡する上記細胞を含む流体を流出させる流出口を含む、項目1に記載の方法。
(4)上記密度勾配分離用の媒体の流入口は、上記ボウル内の高比重側の層に配置され、ここで、高比重側の層は、ボウルの回転軸から遠い距離に配置され、上記ボウルは、上記ボウル内の低比重側の層を通過させることなく、上記高比重側の層に媒体を流入・配置させることを特徴とする、項目1に記載の方法。
(5)上記分画は、閉鎖系において行われる、項目1に記載の方法。
(6)上記遠心分離用ボウルは、
(a)長手方向軸線の回りに回転可能のボウル本体であって、
(i)上記軸線から半径方向へ伸びる上方壁と、
(ii)上記軸線から半径方向へ伸びる下方壁と、
(iii)上記上方および下方壁に接続された側壁、および
上方壁を貫通して形成された孔と、を有する、ボウル本体と、
(b)ステータ側部およびロータ側部を有し上記孔を覆う回転式シール組立体であって、上記ロータ側部が上記ボウル本体へ取付けられた、シール組立体と、
(c)上記シール組立体のステータ側に夫々取付けられた入口ポートおよび出口ポートと、
(d)上記ボウル本体内に設けられたコアであって、先端部の方へ長手方向に伸びる側壁と、上方および下方の半径方向へ伸びる各壁とを有する、コアと、
(e)上記ボウル本体の側壁とコアの側壁とにより画成された分離室と、
(f)上記入口ポートからボウル本体の下方壁に隣接した先端部まで長手方向へ伸びる入口管と、
(g)コアの上方壁およびボウル本体の上方壁に隣接して形成された収集室と、
(h)コア側壁の先端部およびボウル本体の下方壁の一部に隣接して形成された導入室と、
(i)上記分離室を上記出口ポートへ流体的に連通する、上方の半径方向に伸長する収集通路と、
(j)上記導入室を上記入口管の先端部へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する収集通路と、
(k)上記下方の導入室を上記分離室へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する分離通路と、
を具備することを特徴とする遠心分離用ボウル。
(7)さらに、上記サンプルを濃縮する工程を包含する、項目1に記載の方法。
(8)上記濃縮は、遠心分離用ボウル中で10〜100ml/minの流速で濃縮される、項目7に記載の方法。
(9)上記密度勾配遠心分離において、比重液が10〜100ml/minの速度で流入されることを特徴とする、項目1に記載の方法。
(10)上記密度勾配遠心分離において、比重液が50ml/minの速度で流入されることを特徴とする、項目1に記載の方法。
(11)上記密度勾配遠心分離は、200×g〜1200×gで遠心分離されることを特徴とする、項目1に記載の方法。
(12)上記密度勾配遠心分離は、400×gで遠心分離されることを特徴とする、項目1に記載の方法。
(13)上記密度勾配遠心分離において、所望の細胞回収に適した比重液が使用される、項目1に記載の方法。
(14)上記比重液は、単糖類、二糖類または多糖類の水溶液である、項目13に記載の方法。
(15)上記比重液は、Ficoll、Percollおよびショ糖溶液からなる群より選択される、項目13に記載の方法。
(16)上記密度勾配遠心分離において、比重液として20℃における比重が1.050〜1.100である液が使用される、項目1に記載の方法。
(17)上記密度勾配遠心分離において、比重液として20℃における比重が1.077である液が使用される、項目1に記載の方法。
(18)上記密度勾配遠心分離において、比重液を遠心分離用ボウルの容積の二分の一から四倍で使用する、項目1に記載の方法。
(19)上記密度勾配遠心分離において、比重液を遠心分離用ボウルの容積の二分の一から一倍で使用する、項目1に記載の方法。
(20)所望の比重の細胞を分画するためのシステムであって、
A)上記細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルに適合した密度勾配遠心分離装置と
B)サンプルを収容することができる空間を有する遠心分離用ボウルと、
C)上記細胞の比重を分離することができる比重液と
D)流出した液を受容する容器と
を備える、システム。
(21)上記比重液は、非有核細胞と有核細胞とを分離することができることを特徴とする、項目20に記載のシステム。
(22)上記遠心分離用ボウルは、上記サンプルを収容するに十分な空間を有する、項目20に記載のシステム。
(23)上記遠心分離用ボウルは上記サンプルを収容するに十分な空間と、上記空間に流体連絡する上記密度勾配分離用の媒体の流入口と、上記空間に流体連絡する上記細胞を含む流体を流出させる流出口を含む、項目20に記載のシステム。
(24)上記密度勾配分離用の媒体の流入口は、上記ボウル内の高比重側の層に配置され、ここで、高比重側の層は、ボウルの回転軸から遠い距離に配置され、上記ボウルは、上記ボウル内の低比重側の層を通過させることなく、上記高比重側の層に媒体を流入・配置させることを特徴とする、項目20に記載のシステム。
(25)閉鎖系である、項目20に記載のシステム。
(26)上記遠心分離用ボウルは、
(a)長手方向軸線の回りに回転可能のボウル本体であって、
(i)上記軸線から半径方向へ伸びる上方壁と、
(ii)上記軸線から半径方向へ伸びる下方壁と、
(iii)上記上方および下方壁に接続された側壁、および
上方壁を貫通して形成された孔と、を有する、ボウル本体と、
(b)ステータ側部およびロータ側部を有し上記孔を覆う回転式シール組立体であって、上記ロータ側部が上記ボウル本体へ取付けられた、シール組立体と、
(c)上記シール組立体のステータ側に夫々取付けられた入口ポートおよび出口ポートと、
(d)上記ボウル本体内に設けられたコアであって、先端部の方へ長手方向に伸びる側壁と、上方および下方の半径方向へ伸びる各壁とを有する、コアと、
(e)上記ボウル本体の側壁とコアの側壁とにより画成された分離室と、
(f)上記入口ポートからボウル本体の下方壁に隣接した先端部まで長手方向へ伸びる入口管と、
(g)コアの上方壁およびボウル本体の上方壁に隣接して形成された収集室と、
(h)コア側壁の先端部およびボウル本体の下方壁の一部に隣接して形成された導入室と、
(i)上記分離室を上記出口ポートへ流体的に連通する、上方の半径方向に伸長する収集通路と、
(j)上記導入室を上記入口管の先端部へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する収集通路と、
(k)上記下方の導入室を上記分離室へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する分離通路と、
を具備することを特徴とする、項目20に記載のシステム。
(27)上記密度勾配遠心分離装置は、上記細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを10〜100ml/minの流速で濃縮することに適合される、項目20に記載のシステム。
(28)上記密度勾配遠心分離装置は、上記細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを約20ml/minで濃縮し、上記比重液を10〜100ml/minの速度で流入することに適合される、項目20に記載のシステム。
(29)上記密度勾配遠心分離装置は、200×g〜1200×gで遠心分離されることに適合される、項目20に記載のシステム。
(30)上記比重液の比重が1.050〜1.100である、項目20に記載のシステム。
(31)上記比重液が20℃における比重が1.077である、項目20に記載のシステム。
(32)上記密度勾配遠心分離において、比重液を遠心分離用ボウルの容積の二分の一から四倍で使用する、項目20に記載のシステム。
(33)上記密度勾配遠心分離において、比重液を遠心分離用ボウルの容積の二分の一から一倍で使用する、項目20に記載のシステム。
(34)幹細胞を含む組成物を生産するための方法であって、
A)幹細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを密度勾配遠心分離して上記幹細胞を含む画分を生成し流出させる工程と
B)流出した上記画分を収集する工程と
を包含する、方法。
(35)上記サンプルを幹細胞について濃縮する工程をさらに包含する、項目34に記載の方法。
(36)上記サンプルは、脂肪由来細胞懸濁液、吸引脂肪由来細胞懸濁液、臍帯血および全血からなる群より選択される、項目1〜19、34および35のいずれか1項に記載の方法。
(37)上記サンプルは、吸引脂肪由来細胞懸濁液である、項目1〜19、34および35および36のいずれか1項に記載の方法。
(38)項目1〜19、34および35、36および37のいずれか1項に記載の方法によって分画された細胞を含む組成物。
(39)所望の比重を有する細胞を分画するための、サンプルを収容することができる空間を有する遠心分離用ボウルおよび密度勾配遠心分離システムの使用。
(40)上記所望の細胞は幹細胞である、項目39に記載の使用。
(41)上記遠心分離用ボウルは上記サンプルを収容するに十分な空間と、上記空間に流体連絡する上記密度勾配分離用の媒体の流入口と、上記空間に流体連絡する上記細胞を含む流体を流出させる流出口を含み、上記密度勾配分離用の媒体の流入口は、上記ボウル内の高比重側の層に配置される、項目39に記載の使用。
以下に、本発明の好ましい実施形態を示すが、当業者は本発明の説明および当該分野における周知慣用技術からその実施形態などを適宜実施することができ、本発明が奏する作用および効果を容易に理解することが認識されるべきである。
本発明により、予想外に、所望の比重の細胞を簡便に効率よく分離、純化することができるようになった。本発明の技術で、遠心しながら密度勾配分離を行うためサンプル量の制限がなくなった。また押し出し方式では、全血から有核細胞を取り出す用途のみであったが、本発明の技術で全血以外のサンプル処理が可能となった。
以下に本発明を、必要に応じて、添付の図面を参照して例示の実施例により記載する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現(英語の冠詞など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
(用語)
以下に本明細書において使用される用語を説明する。
(細胞生物学)
本明細書において使用される「細胞」は、当該分野において用いられる最も広義の意味と同様に定義され、代表的には単細胞生物自体、または多細胞生物の組織の構成単位であって、外界を隔離する膜構造に包まれ、内部に自己再生能を備え、遺伝情報およびその発現機構を有する生命体をいう。本明細書において使用される細胞は、天然に存在する細胞であっても、人工的に改変された細胞(例えば、融合細胞、遺伝子改変細胞)であってもよい。
本明細書において「有核細胞」とは、核を有する任意の細胞を指し、例えば、幹細胞、分化細胞などを挙げることができる。
本明細書において「非有核細胞」とは、核を有しない任意の細胞を指し、例えば、赤血球などを挙げることができる。
本明細書において「幹細胞」とは、自己複製能を有し、多分化能(すなわち多能性)(「pluripotency」)を有する細胞をいう。幹細胞は通常、組織が傷害を受けたときにその組織を再生することができる。本明細書では幹細胞は、ES細胞または組織幹細胞(組織特異的幹細胞または体性幹細胞ともいう)であり得るがそれらに限定されない。また、上述の能力を有している限り、人工的に作製した細胞(たとえば、本明細書において記載される融合細胞、再プログラム化された細胞など)もまた、幹細胞であり得る。ES細胞とは初期胚に由来する多能性幹細胞をいう。ES細胞は、1981年に初めて樹立され、1989年以降ノックアウトマウス作製にも応用されている。1998年にはヒトES細胞が樹立されており、再生医学にも利用されつつある。組織幹細胞は、ES細胞とは異なり、分化の方向が限定されている細胞であり、組織中の特定の位置に存在し、未分化な細胞内構造をしている。従って、組織幹細胞は多能性のレベルが低い。組織幹細胞は、核/細胞質比が高く、細胞内小器官が乏しい。組織幹細胞は、概して、多分化能を有し、細胞周期が遅く、個体の一生以上に増殖能を維持する。幹細胞が比重により分離することができることは従来知られていなかった。
本明細書において「多能性」または「多分化能」とは、互換可能に用いられ、細胞の性質をいい、1以上、好ましくは2以上の種々の組織または臓器に分化し得る能力をいう。従って、「多能性」および「多分化能」は、本明細書においては特に言及しない限り「未分化」と互換可能に用いられる。通常、細胞の多能性は発生が進むにつれて制限され、成体では一つの組織または器官の構成細胞が別のものの細胞に変化することは少ない。従って多能性は通常失われている。とくに上皮性の細胞は他の上皮性細胞に変化しにくい。これが起きる場合通常病的な状態であり、化生(metaplasia)と呼ばれる。しかし間葉系細胞では比較的単純な刺激で他の間葉性細胞にかわり化生を起こしやすいので多能性の程度は高い。ES細胞は、多能性を有する。組織幹細胞は、多能性を有する。本明細書において、多能性のうち、受精卵のように生体を構成する全ての種類の細胞に分化する能力は全能性といい、多能性は全能性の概念を包含し得る。ある細胞が多能性を有するかどうかは、たとえば、体外培養系における、胚様体(Embryoid Body)の形成、分化誘導条件下での培養等が挙げられるがそれらに限定されない。また、生体を用いた多能性の有無についてのアッセイ法としては、免疫不全マウスへの移植による奇形種(テラトーマ)の形成、胚盤胞への注入によるキメラ胚の形成、生体組織への移植、腹水への注入による増殖等が挙げられるがそれらに限定されない。
由来する部位により分類すると、組織幹細胞は、例えば、皮膚系、消化器系、骨髄系、神経系などに分けられる。皮膚系の組織幹細胞としては、表皮幹細胞、毛嚢幹細胞などが挙げられる。消化器系の組織幹細胞としては、膵(共通)幹細胞、肝幹細胞などが挙げられる。骨髄系の組織幹細胞としては、造血幹細胞、間葉系幹細胞などが挙げられる。神経系の組織幹細胞としては、神経幹細胞、網膜幹細胞などが挙げられる。
本明細書において「単離された」または「分離された」とは、通常の環境において天然に付随する物質が少なくとも低減されていること、好ましくは実質的に含まないことをいう。従って、単離された細胞とは、天然の環境において付随する他の物質(たとえば、他の細胞、タンパク質、核酸など)を実質的に含まない細胞をいう。
本発明で用いられる細胞は、どの生物由来の細胞(たとえば、任意の種類の多細胞生物(例えば、動物(たとえば、脊椎動物、無脊椎動物)、植物(たとえば、単子葉植物、双子葉植物など)など))でもよい。好ましくは、脊椎動物(たとえば、メクラウナギ類、ヤツメウナギ類、軟骨魚類、硬骨魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳動物など)由来の細胞が用いられ、より好ましくは、哺乳動物(例えば、単孔類、有袋類、貧歯類、皮翼類、翼手類、食肉類、食虫類、長鼻類、奇蹄類、偶蹄類、管歯類、有鱗類、海牛類、クジラ目、霊長類、齧歯類、ウサギ目など)由来の細胞が用いられる。さらに好ましくは、霊長類(たとえば、チンパンジー、ニホンザル、ヒト)由来の細胞が用いられる。最も好ましくはヒト由来の細胞が用いられる。
本明細書において「比重」は、当該分野において用いられるのと同義で用いられ、ある温度で,ある体積を占める物質の質量と,それと同体積の標準物質の質量との比をいう。液体・固体に対しては標準物質として通常4℃における水を採用する。比重の測定は、ボーメ比重計により直接測定することができるが、密度測定によって換算しても良い。密度測定のためには物体の質量と体積を測定し、通常物体の質量と,同体積の水の質量とを同時に測り,その温度における水の密度の値ρを用いて試料の密度を求めることができる。液体の密度は通常、比重びんまたは浮き秤を用いて測定することができる。あるいは、連通管に入れた2液体の液柱の高さが密度に反比例することを利用することもできる。
本明細書において、細胞の比重は、当該分野において公知の任意の手法(例えば、J. clinical Apheresis 16:186−191(2001) Yoshiro Ito, Kazufusa Shinomiya.を参照のこと)を用いて決定することができる。この文献では、比重液の比重を少しずつ変えながら回収できた細胞を解析している。
本明細書において「比重液」とは、所望の比重を有する任意の液体を言う。本明細書において「比重液」は、本明細書では、「密度勾配遠心分離用流体」、「密度勾配遠心分離媒体」などと交換可能に用いられる。所望の細胞回収に適した比重液としては、比重液として20℃における比重が1.050〜1.100である液が通常使用され、このような流体としては、例えば、Ficoll、Percollおよびショ糖溶液などを挙げることができるがそれらに限定されない。最も好ましい実施形態では、比重液として20℃における比重が1.077である液体が使用され得る。本発明において、比重液は、任意の容積で用いられるが、例えば、通常遠心分離用ボウルの容積の二分の一から四倍で使用され、好ましくは、比重液を遠心分離用ボウルの容積の二分の一から一倍で使用される。
本明細書において「非有核細胞と有核細胞とを分離することができる比重液」とは、赤血球などの非有核細胞と、幹細胞等の有核細胞とを分離することができる任意の密度勾配遠心分離のための流体を言う。沈降時間と遠心分離速度の調整によって、99%以上の赤血球が除去され有核細胞の殆どは、遠心上清に回収される。ベリタス社から販売されるRosetteSepと併用すると、効果的に細胞分離をすることができる。ベリタス社からは、Ficoll−Paque Plus RosetteSep を用いた目的細胞濃縮操作用比重液なども販売されている。
本明細書において「密度勾配遠心分離」または「密度勾配分離」とは、物質の浮遊密度の差に基づいた密度勾配を作らせることによって分析を行う遠心分離法をいう。平衡密度勾配遠心法(equilibrium density−gradient centrifugation method)、ショ糖密度勾配遠心法(sucrose density−gradient centrifugation method)などがある。
本明細書において「細胞より比重の重い液体」とは、分離を目的とする細胞の比重より重い任意の液体をいい、好ましくは、細胞に適合する液体である。そのような液体は、水溶液、懸濁液、混合液等であり得る。このような密度勾配遠心分離において、比重液は50ml/minの速度で流入され得る。密度勾配遠心分離は、200×g〜1200×gで遠心分離されることが通常であるが、それに限定されない。好ましくは、約400×gで遠心分離される。
本明細書において「流出」とは、密度勾配遠心分離において容器から流れて外へ出ることをいう。
本明細書において「閉鎖系」とは、外界と物質のやりとりのない系(closed system)であり、閉じた系をいう。
本明細書において「サンプル」とは、所望の比重の細胞を抽出するために用いられる材料をいう。
本明細書において「サンプルを収容するに十分な空間」とは、分離を目的とする所望の細胞を含むサンプルを、充分な分離をするのに必要な空間をいう。そのような空間は、細胞分離のための容器またはボウル中に存在する。最低でもサンプル中の細胞ペレットの体積は必要である。おそらくどんなに細胞が多くても遠心すれば10ml以上になることはないと考えられるがそれに限定されない。例示的な体積としては、10ml〜250mlくらいが挙げられる。
本明細書において「ボウル」または「容器」は、交換可能に用いられ、細胞の分離のために用いられる任意の容器をいう。そのようなボウルまたは容器としては、ヘモネティクス(Haemonetics)等から市販される細胞分離用装置(血液分離装置等)に付属の容器などを挙げることができる。このような容器は、(a)長手方向軸線の回りに回転可能のボウル本体であって、(i)該軸線から半径方向へ伸びる上方壁と、(ii)該軸線から半径方向へ伸びる下方壁と、(iii)該上方および下方壁に接続された側壁、および上方壁を貫通して形成された孔と、を有する、ボウル本体と、(b)ステータ側部およびロータ側部を有し該孔を覆う回転式シール組立体であって、該ロータ側部が該ボウル本体へ取付けられた、シール組立体と、(c)該シール組立体のステータ側に夫々取付けられた入口ポートおよび出口ポートと、(d)該ボウル本体内に設けられたコアであって、先端部の方へ長手方向に伸びる側壁と、上方および下方の半径方向へ伸びる各壁とを有する、コアと、(e)該ボウル本体の側壁とコアの側壁とにより画成された分離室と、(f)該入口ポートからボウル本体の下方壁に隣接した先端部まで長手方向へ伸びる入口管と、(g)コアの上方壁およびボウル本体の上方壁に隣接して形成された収集室と、(h)コア側壁の先端部およびボウル本体の下方壁の一部に隣接して形成された導入室と、(i)該分離室を該出口ポートへ流体的に連通する、上方の半径方向に伸長する収集通路と、(j)該導入室を該入口管の先端部へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する収集通路と、(k)該下方の導入室を該分離室へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する分離通路とを備え得る。
本明細書において「ボウル(容器)内の高比重側の層」とは、細胞の分離を目的とする場合に、使用されるボウルまたは容器中で、分離のために使用される層が2種類以上あるばあい、高比重側をいう。通常比重が高い方の層が、遠心分離により中心からより遠距離に配置される。ボウルの回転軸から遠い距離に配置され、該ボウルは、該ボウル内の低比重側の層を通過させることなく、該高比重側の層に媒体を流入・配置させる。
本明細書において「濃縮」とは、細胞について言及する場合、細胞が含まれるサンプル中における細胞の密度を上昇させることをいう。濃縮は、例えば、遠心分離により細胞を一定の場所に寄せ、細胞のない部分を捨てることによって達成され得る。本発明では、濃縮は、遠心分離用ボウル中で10〜100ml/minの流速で通常行われる。
本明細書において「流体連絡」は、任意の流体が、相互に交通できることをいい、好ましくは、細胞を含む流体が連絡可能なことをいう。
(好ましい実施形態の説明)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
(細胞分画法)
一つの局面において、本発明は、所望の比重の細胞を分画するための方法を提供する。本発明のこの方法は、A)所望の比重の細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを、該サンプルを収容することができる空間を有する遠心分離用ボウルまたは容器内で、遠心分離により密度勾配分離する工程とB)該遠心分離中に該細胞より比重の重い液体を流入し、流出した細胞を回収する工程とを包含する。従って、このボウルまたは容器は、通常、サンプルを収容した後、細胞より比重の重い液体を流入させるポートと流出した細胞を回収するためのポートの2つのポートを備え得る。あるいは、これらのポートは1つの共通したポートであってもよい。そのような場合は、流出および流入の際の容器またはボウルの方向を変更することによって、流出および流入の工程を実施することができる。
従って、本発明において使用される遠心分離用ボウルは、通常、サンプルを収容するに十分な空間を有する。サンプルを収容するに十分な空間は、ボウルによって変動するが、例えば、10cm〜250cmのような容積を挙げることができる。サンプルを収容するに十分な空間であるかどうかの判断は、例えば、十分かどうかは、取り扱うサンプル中の細胞ペレットの体積以上であることという基準を用いて判定することができる。
従って、1つの実施形態では、本発明において使用される遠心分離用ボウルは、サンプルを収容するに十分な空間と、サンプルを収容するに十分な空間に流体連絡する、密度勾配分離用の媒体の流入口と、サンプルを収容するに十分な空間に流体連絡する、細胞を含む流体を流出させる流出口を含む。
この実施形態において好ましくは、密度勾配分離用の媒体の流入口は、ボウル内の高比重側の層に配置され、ここで、高比重側の層は、ボウルの回転軸から遠い距離に配置され、ボウルは、そのボウル内の低比重側の層を通過させることなく、高比重側の層に媒体を流入・配置させることができる。
本発明の分画は、開放系で行われても良いが、好ましくは、分画は、閉鎖系において行われる。コンタミネーション(汚染)を防ぐことができるからである。
本発明において用いられる遠心分離用ボウルとしては、遠心分離を実行できる限り、どのような形態のものであっても良いが、例えば、ヘモネティクス社が販売している血液分離機において用いられるボウルなどを使用することができる。
1つの好ましい実施形態では、本発明の遠心分離用ボウルは、(a)長手方向軸線の回りに回転可能のボウル本体であって、(i)該軸線から半径方向へ伸びる上方壁と、(ii)該軸線から半径方向へ伸びる下方壁と、(iii)該上方および下方壁に接続された側壁、および上方壁を貫通して形成された孔と、を有する、ボウル本体と、(b)ステータ側部およびロータ側部を有し該孔を覆う回転式シール組立体であって、該ロータ側部が該ボウル本体へ取付けられた、シール組立体と、(c)該シール組立体のステータ側に夫々取付けられた入口ポートおよび出口ポートと、(d)該ボウル本体内に設けられたコアであって、先端部の方へ長手方向に伸びる側壁と、上方および下方の半径方向へ伸びる各壁とを有する、コアと、(e)該ボウル本体の側壁とコアの側壁とにより画成された分離室と、(f)該入口ポートからボウル本体の下方壁に隣接した先端部まで長手方向へ伸びる入口管と、(g)コアの上方壁およびボウル本体の上方壁に隣接して形成された収集室と、(h)コア側壁の先端部およびボウル本体の下方壁の一部に隣接して形成された導入室と、(i)該分離室を該出口ポートへ流体的に連通する、上方の半径方向に伸長する収集通路と、(j)該導入室を該入口管の先端部へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する収集通路と、(k)該下方の導入室を該分離室へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する分離通路と、を具備する。
このような形態を有するボウルとしては、例えば、ヘモネティクス社から入手可能な971Jなどを挙げることができる。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、サンプルを濃縮する工程をさらに包含してもよい。濃縮工程を包含することにより、密度の高い細胞画分を調製することができるからである。サンプルの濃縮は、通常の遠心分離において、遠心分離後に上清を取り除くことによって達成することができる。あるいは、遠心分離をしながら、サンプルを順次追加流入させ、目的物(例えば、細胞)を含まない成分を流出させることによって達成される。あるいは、この改変方法によって達成することができる。
1つの実施形態において、濃縮が、遠心分離をしながら、サンプルを順次追加流入させ、目的物(例えば、細胞)を含まない成分を流出させることによって達成される場合、濃縮は、971Jを使用する場合、遠心分離用ボウル中で10〜100ml/minの流速で達成され得る。好ましくは、971Jを使用する場合濃縮における流速は、20〜80ml/min、40〜60ml/min、約50ml/mlなどを挙げることができる。このような流速は、使用するボウルによって変動し得る。
本発明において、密度勾配遠心分離は、所望の比重の物体を分離できる条件である限り、どのような条件を採用しても良い。通常、密度勾配遠心分離は、200×g〜1200×gで遠心分離され得る。この条件において、細胞が都合よく分離されることが多いことが分かっているからである。より好ましくは、密度勾配遠心分離は、約400×gで遠心分離され得る。この条件において、幹細胞が都合よく分離されることが本発明において判明したからである。遠心分離の条件の調節は、当該分野における周知の技術を用いて達成することができる。そのような技術は、実際に使用する遠心分離機を調節することによって達成され得るから、本明細書において詳述する必要はない。
本発明において用いられる密度勾配遠心分離では、所望の細胞回収に適した比重液が使用されることが意図される。そのような比重液は、所望の細胞の回収に適している限り、どのような比重液を用いても良い。そのような比重液を選択の実行は、所望の細胞の比重を特定し、その細胞に対して適合性である流体または固体(例えば、栄養成分、pH、等張性などが適切な流体または固体)を選択することによって達成することができる。
1つの実施形態において、本発明の目的に適した比重液としては、Ficoll(例えば、Amershamから入手可能なFicoll−Paque PLUS(100 mlのFicoll−Paque PLUS水溶液中には、Ficoll PM 400(5.7 g)、ジアトリゾア酸ナトリウム(Sodium diatrizoate)(9 g)、EDTA(0.0231 g)が含まれている。 Ficoll PM 400はショ糖をエピクロロヒドリン架橋した分子量約40万の水溶性物質である。ジアトリゾア酸ナトリウムは溶液の比重を高めるために添加している。))、Percoll、Nycodenz(登録商標)(Daiichi Pure Chemicals Co.,Ltd. )およびショ糖溶液(例えば、所望の比重に調整したもの)を挙げることができる。
Ficoll−Paque PLUSを使用する場合、使用できる凝集阻害剤としては、ヘパリン、EDTA、ACD(acid citrate dextrose)、CPD(citrate phosphate dextrose)などを挙げることができる。 Ficoll−Paque PLUSは温度が高くなると密度が低下するので、リンパ球がFicoll−Paque PLUS層に浸透しやすくなる。また、高温処理は細胞の生存率にも大きく影響しますので、18〜20℃で操作することが好ましい。
1つの好ましい実施形態では、本発明の方法における密度勾配遠心分離において、比重液として20℃における比重が1.050〜1.100である液が使用され得る。より好ましくは、比重液として20℃における比重は、1.077であり得る。20℃において比重が1.077である比重液としては、例えば、Ficoll(例えば、Ficoll−Paque PLUS)を挙げることができる。
別の実施形態では、使用される比重液は、非有核細胞と有核細胞とを分離することができるものであり得る。ここで、非有核細胞としては、例えば、赤血球を挙げることができる。有核細胞は通常の細胞(例えば、幹細胞、分化細胞(例えば、リンパ球)など)を挙げることができる。
1つの実施形態では、本発明において実施される密度勾配遠心分離において、比重液を遠心分離用ボウルの容積の二分の一から四倍で使用することが好ましいがこれに限定されない。使用される流体の体積が二分の一より少ないと、充分な純化・分離が行うことが難しくなる。使用される流体の体積が四倍以上になると、得られる濃縮産物における細胞の密度が薄くなる。より好ましくは、密度勾配遠心分離において、比重液を遠心分離用ボウルの容積の二分の一から一倍で使用することが有利であり得るがこれに限定されない。
(細胞分画システム)
別の局面において、本発明は、所望の比重の細胞を分画するためのシステムを提供する。このシステムは、A)該細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルに適合した密度勾配遠心分離装置と、B)サンプルを収容することができる空間を有する遠心分離用ボウルと、C)該細胞の比重を分離することができる比重液と、D)流出した液を受容する容器とを備える。このような密度勾配遠心分離装置としては、密度勾配遠心分離において通常使用される加速度を達成することができる限り、通常の遠心分離機を使用することができる。通常、このような遠心分離機は、サンプルを収容することができる空間を有する遠心分離用ボウルと適合していることが好ましい。従って、市販の遠心分離機を用いる場合は、それに付属するか適合する遠心分離用ボウルを使用することが有利であり得るがそれに限定されない。細胞の比重を分離することができる比重液については、本明細書において別途(例えば、(細胞分画法)の節)詳述したように、所望の比重の細胞を分離することができる限り、どのような流体をも用いることができる。例えば、非有核細胞と有核細胞とを分離することができるものを使用しても良いがそれに限定されない。流出した液を受容する容器としては、流出した液に通常含まれることが期待される細胞と適合性である限り、どのような容器であっても良いことが理解される。このような容器はディスポーザブルであっても良いし、リサイクルされても良い。リサイクルされる場合は、十分に滅菌(例えば、オートクレーブ、乾熱滅菌、γ線照射など)することが好ましい。ディスポーザブルのものを使用する際も、滅菌しておくべきである。
1つの実施形態では、本発明のシステムにおいて備えられる遠心分離用ボウルは、通常サンプルを収容するに十分な空間を有する。サンプルを収容するに十分な空間は、ボウルによって変動するが、例えば、10cm〜250cmのような容積を挙げることができる。サンプルを収容するに十分な空間であるかどうかの判断は、上述されているように、当該分野において周知の技法を用いて下すことができる。
1つの実施形態では通常、本発明において使用される遠心分離用ボウルは、サンプルを収容するに十分な空間と、サンプルを収容するに十分な空間に流体連絡する、密度勾配分離用の媒体の流入口と、サンプルを収容するに十分な空間に流体連絡する、細胞を含む流体を流出させる流出口を含む。
この実施形態において好ましくは、密度勾配分離用の媒体の流入口は、ボウル内の高比重側の層に配置され、ここで、高比重側の層は、ボウルの回転軸から遠い距離に配置され、ボウルは、そのボウル内の低比重側の層を通過させることなく、高比重側の層に媒体を流入・配置させることができる。
本発明のシステムは、開放系であっても良いが、好ましくは、本発明のシステムは、閉鎖系のものが有利である。コンタミネーション(汚染)を防ぐことができるからである。閉鎖系を実現するには、例えば、濃縮、密度分離、洗浄のプロセスを、ボウルを交換せずに連続で実施するようなプログラムという技術を用いることができる。
本発明のシステムに備えられる遠心分離用ボウルとしては、遠心分離を実行できる限り、どのような形態のものであっても良いが、例えば、ヘモネティクス社が販売しているシステム(型番CCS、ACP215)などを使用することができる。
1つの好ましい実施形態では、本発明のシステムにおいて用いられ得る遠心分離用ボウルは、(a)長手方向軸線の回りに回転可能のボウル本体であって、(i)該軸線から半径方向へ伸びる上方壁と、(ii)該軸線から半径方向へ伸びる下方壁と、(iii)該上方および下方壁に接続された側壁、および上方壁を貫通して形成された孔と、を有する、ボウル本体と、(b)ステータ側部およびロータ側部を有し該孔を覆う回転式シール組立体であって、該ロータ側部が該ボウル本体へ取付けられた、シール組立体と、(c)該シール組立体のステータ側に夫々取付けられた入口ポートおよび出口ポートと、(d)該ボウル本体内に設けられたコアであって、先端部の方へ長手方向に伸びる側壁と、上方および下方の半径方向へ伸びる各壁とを有する、コアと、(e)該ボウル本体の側壁とコアの側壁とにより画成された分離室と、(f)該入口ポートからボウル本体の下方壁に隣接した先端部まで長手方向へ伸びる入口管と、(g)コアの上方壁およびボウル本体の上方壁に隣接して形成された収集室と、(h)コア側壁の先端部およびボウル本体の下方壁の一部に隣接して形成された導入室と、(i)該分離室を該出口ポートへ流体的に連通する、上方の半径方向に伸長する収集通路と、(j)該導入室を該入口管の先端部へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する収集通路と、(k)該下方の導入室を該分離室へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する分離通路と、を具備する。追加の通路が遠心機ボウルの底部に設けられて、該ボウル内で分離される全血液中のより高い濃度の分離物(denserfraction)(例えばRBC)の収集を可能にする。
この追加通路は、固定入口管の先端部において半径方向外方へ伸びる連通チャネルまたは通路を設けることにより形成される。この半径方向伸長部は、上方及び下方の平坦なディスク状部材により形成され、該ディスク状部材は入口管の先端部に従属して、ボウルの底部に形成された導入室まで外方へ伸びている。これらの部 材は、上述した在来型の従来技術の遠心機ボウル内の上方収集通路と同じ距離だけ半径方向外方へ伸びている。もし望むなら、在来型の出力ポート内へ塩水の如きより低い濃度の成分流体または生理的溶液を導入することによりボウルが回転している間に、より高い濃度の血液成分が収集可能である。出口ポートに入る流体 は、逆方向へ移動して分離室へ至り、これによりより高い濃度の成分が分離室から取り出されて導入室へ至り、更に入力管の先端部の追加の通路から入力ポートへ至り収集または採集される。
この実施形態を、図4を参酌して説明する。遠心機ボウル10がチャック(図示せず)内に保持され、該チャックはスピンドルに取付けられてモータ(同じく図示せず)により駆動される。ボウルは、ロータ即ちボウル本体部分14と、ステータ部分12とからなり、該本体部分14内で血液成分などの細胞含有サンプルが分離される。ステータ部分12は入力ポート16および出力ポート18を有する。回転式シール20はステータ12をロータ14へ連結する。入力ポート16の一方は、第1の蠕動ポンプ(図示せず)を介して、ドナーからの全血液源へ接続され、かつその他方はロータ14内の分別容積部(「分別」とは、混合物を次々と段階的に分離すること)と流体連通する。必要に応じて抗凝血薬が、遠心機ボウル内へ入る前に全血液と混合される。ロータ14は一定の速度で回転され、種々の血液分離物が出力ポート18で集められて、三方クランプ/スイッチ(図示せず)の設定に応じたプラスチック配管を介して流れを分岐することにより、プラスチックのバッグの如き適当な容器(図示せず)へ指向される。
遠心機ボウル内の分別は、分離されるおよび収集される異なった細胞成分の相対的濃度および寸法により決定される。種々の細胞分離物は、ボウルのより低い部分から前進的に変位されることにより、該遠心機ボウルの出力ポート18を通って流れる。
ボウル10は2つの大きな構成部分からなる。1つはそれ自体回転するボウル本体22であり、その内部に設けた円錘形コア24は中心長手方向軸線Aに関して該ボウル本体22と同軸的に取付けられる。他の1つは回転式シールおよびヘッダの組立体12であり、該組立体12はボウル本体14の頂部に設けられる。
ボウル本体14は、3つの室C1、C2およびC3に分割される。第1の室C1は環状の上部収集室であり、出力ポート18に通ずる上方で半径方向に伸びた収集通路P1に隣接している。第2の室C2は下方の環状の導入室であり、ボウルの底部で入口管26の先端部において、下方で半径方向に伸びる収集通路P2に隣接している。第3の室C3はコア24のテーパ状の長手方向に伸びる円筒形壁24aとボウル本体14の側壁22aとの間に形成された分離室である。
室C1およびC2は夫々、ボウル本体壁22aおよびコア壁24a間に形成された通路P4およびP3により室C3に連通される。固定の入力ポート16を介してボウル本体14内へ導入された抗凝血性の全血液は、固定の入口管26によりボウル本体の底部に導入される。この入口管26は中心長手方向軸線Aに沿って下方の導入室C2へ伸びている。
導入室C2内の全血液は、下方のボウル本体壁22bの内面とコア24の下方の半径方向に伸びる壁24bとの間に形成された1つまたはそれ以上の半径方向に伸びる導入通路P3を介して分離室C3に導入される。このコア24の下方半径方向に伸びる壁24bは下方ボウル本体壁22bに平行に伸びて、ボウルの伸びた外径において狭い入口E1を形成し、この入口E1を介して導入室C2からの全血液が分離室C3へ導入される。
分離室C3内の分離された、より低い濃度の全血液成分などの細胞含有サンプルは、コア24およびボウル本体22の各半径方向内方へ伸びる壁部分24Cおよび22C間に形成された通路P4を介して収集室C1へ導入され、更に上部収集通路P1へ導かれ、そこから出力ポート18へ至る。上部収集通路P1は一対の対向かつ半径方向外方へ伸びる傾斜部材30、32により形成され、これらの部材30、32は、出力ポート18に接続された長手方向へ伸びる同軸的通路P5に通じている。
好ましくは、ボウル10、相互接続管および容器を含む遠心機システムは、使用前に一緒に接続されかつ滅菌され、緊急の使用に備えて滅菌状態になっている。回転式シール組立体以外の全ての部品は、(ボウル用の)ポリカーボネートまたは(管および容器用の)ポリエチレンの如き通常は血液と化学反応しない(blood−compatible)プラスチックから作られている。
本発明によれば、遠心機ボウルの底部に設けられた通路P2は、隣接した導入室C2と関連して、全血液成分などの細胞含有サンプルのうち室C3内で分離されるより高い濃度の分離物(例えばRBC)の収集を可能にする。
この追加的通路P2は固定の入口管26の先端部において、半径方向外方へ伸びた連通チャネルまたは伸長部38を提供することにより形成される。この半径方向伸長部38は、上部および下部の平面状ディスク状部材40、42により形成され、該ディスク部材40、42は入口管26の先端部に従属して、上述した在来型従来技術遠心機ボウルの上部収集通路P1の半径方向伸長部R2′と同じ半径方向距離R1′だけ外方へ伸びている。
もし望むなら、血漿または(塩水(saline)のような)生理的溶液流体の如きより低い濃度の成分流体を在来型出力ポート18に導入することにより、ボウルが回転している間に、RBCの如きより高い濃度の血液成分などの細胞含有サンプルが収集される。出力ポート18に入る流体は、同軸的通路P5を逆方向へ下方へ移動して、半径方向通路P1を通り、更に収集室C1および半径方向通路P4を通って、分離室C3に入る。これにより、分離室C3からより高い濃度の成分が取り出されて半径方向通路P3を介して導入室C2へ至る。流体は、導入室C2から追加的通路P2を通って入力管26の先端部に至り、そこから入力ポート16を通って収集または採集される。
1つの実施形態では、本発明のシステムに備えられる密度勾配遠心分離装置は、該細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを10〜100ml/minの流速で濃縮することに適合される。このような密度勾配遠心分離装置は、所望の流速で濃縮することができる限り、どのようなものであってもよい。例えば、ヘモネティクス社から市販される、血液分離(アフェレーシス)装置を用いても良いがこれに限定されない。
好ましい実施形態では、本発明のシステムにおいて用いられる密度勾配遠心分離装置は、該細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを約20ml/minで濃縮し、前記比重液を10〜100ml/minの速度で流入することに適合される。このような密度勾配遠心分離装置は、所望の流速で濃縮することができる限り、どのようなものであってもよい。例えば、ヘモネティクス社から市販される、血液分離(アフェレーシス)装置を用いても良いがこれに限定されない。
1つの実施形態において、本発明において用いられる密度勾配遠心分離装置は、200×g〜1200×gで遠心分離されることに適合される。この条件において、細胞が都合よく分離されることが多いことが分かっているからである。より好ましくは、密度勾配遠心分離は、約400×gで遠心分離され得る。この条件において、幹細胞が都合よく分離されることが本発明において判明したからである。遠心分離の条件の調節は、当該分野における周知の技術を用いて達成することができる。そのような遠心分離機としては、例えば、ヘモネティクス社から市販されるアフェレーシス装置などを挙げることができるがそれに限定されない。
本発明において用いられる所望の細胞回収に適した比重液は、所望の細胞の回収に適している限り、どのような比重液を用いても良い。そのような比重液を選択の実行は、所望の細胞の比重を特定し、その細胞に対して適合性である流体または固体(例えば、栄養成分、pH、等張性などが適切な流体または固体)を選択することによって達成することができる。あるいは、そのような比重液は、予め複数種類をセットにしてシステムに備えていても良い。
1つの実施形態では、比重液の比重は、1.050〜1.100であり得る。より好ましくは、本発明において用いられる比重液が20℃における比重が1.077である。
別の実施形態では、本発明の密度勾配遠心分離において、通常、比重液は、遠心分離用ボウルの容積の二分の一から四倍で使用され得る。好ましくは、前記密度勾配遠心分離では、比重液は、遠心分離用ボウルの容積の二分の一から一倍で使用され得る。
(細胞組成物生産法)
別の局面において、本発明は、幹細胞を含む組成物を生産するための方法を提供する。この方法は、A)幹細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを必要に応じて濃縮し、密度勾配遠心分離して該幹細胞を含む画分を生成し流出させる工程とB)流出した該画分を収集する工程とを包含する。
本発明の実施形態では、特に、幹細胞を含むサンプルとしては、脂肪由来細胞懸濁液、吸引脂肪由来細胞懸濁液、臍帯血、全血などを挙げることができる。好ましい実施形態では、吸引脂肪由来細胞懸濁液をサンプルとして用いる。従来吸引脂肪由来細胞懸濁液を幹細胞の供給源として効率よく幹細胞の純化・分離を行った例はなく、本発明は、その簡便さおよび回収率の高さから、幹細胞調製のための画期的な技術を提供するといえる。
別の局面において、本発明は、本発明の細胞組成物生産法によって生産された組成物を提供する。あるいは、本発明は、本発明の細胞の分画方法によって調製され分画された細胞を含む組成物を提供する。このような組成物は、従来提供されていなかったことから、本発明な新規な技術を提供するといえる。
本明細書において「脂肪吸引廃液」とは、(1)脂肪吸引時に一緒に吸引された液体(例えば、トゥメセント液および血液を含む)または、(2)吸引脂肪を液体(例えば、生理食塩水)で洗浄する際に生じた廃液をいう。本方法において用いる脂肪吸引廃液としては、脂肪吸引時に一緒に吸引された液体(例えば、トゥメセント液および血液が挙げられるが、これらに限定されない)または、吸引脂肪を液体で洗浄する際に生じた廃液が挙げられるが、これらに限定されない。
脂肪吸引方法は、当業者に周知である技術を用いて、実施することができる。脂肪吸引方法に用いられる装置としては、例えば、ケイセイ脱脂吸引機サルポンプSAL76−A(ケイセイ医科工業(株)、東京都文京区本郷3-19-6)が挙げられるが、これらに限定されない。例えばヒトの場合、0.0001%アドレナリン入り生理食塩水などの液体を、予定吸引脂肪量の等量から2倍量、脂肪組織内に注入し、その後、内径2−3mmのカニューレ(金属製吸引管)を用いて、−250〜900mmHg程度の陰圧で吸引することによって行う。
吸引した脂肪細胞を洗浄する液体として通常は、生理食塩水が用いられる。しかし、生理食塩水以外にも、単離すべき幹細胞に悪影響を与えない液体であれば、任意の液体が使用可能である。具体的には、例えば、リンゲル液、および哺乳動物培養培地(例えば、DMEM、MEM、M199、およびMCDB153など)のような、任意の等張液が使用可能である。
脂肪吸引廃液から幹細胞を調製する場合、必要に応じて、脂肪吸引廃液にコラゲナーゼなどの酵素処理を行なうことも可能である。しかし、脂肪吸引廃液中に含まれるコラーゲンの量は、脂肪組織と比較して少ないため、幹細胞調製の原料として脂肪吸引廃液を用いる場合、コラゲナーゼ処理に必要とされる時間、および/または酵素処理に必要とされる酵素量が、脂肪組織の場合と比較して、より少ない。
脂肪吸引廃液を遠心分離して細胞画分を得る工程においては、細胞画分と、その他の成分(例えば、血漿、手術時に注入した生理食塩水、麻酔薬、止血薬、破壊された脂肪細胞から漏出した脂質成分)を分離する任意の条件を用いることができる。例えば、400〜800×gでの5〜15分程度の遠心分離を用いることが可能である。
本明細書において「間葉系幹細胞」とは、間葉に見出される幹細胞をいう。本明細書ではMSCと略されることがある。ここで、間葉とは、多細胞動物の発生各期に認められる、上皮組織間の間隙をうめる星状または不規則な突起をもつ遊離細胞の集団と,それに伴う細胞間質によって形成される組織をいう。間葉系幹細胞は、増殖能と、骨細胞、軟骨細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞(心筋細胞を含む)、ストローマ細胞、腱細胞、脂肪細胞への分化能を有する。間葉系幹細胞は、患者から採取した骨髄細胞等を培養または増殖、軟骨細胞あるいは骨芽細胞に分化させるために使用され、または歯槽骨、関節症等の骨、軟骨、関節などの再建材料として使用されており、その需要は大きい。また、間葉系幹細胞は、血液細胞、リンパ系細胞へも分化し得ることから、その需要がますます高まっている。間葉系幹細胞は、脂肪吸引廃液から分離することができる。
本明細書において「所望の部位」とは、被検体における任意の部位であって、処置が望まれる部位をいう。本発明では、そのような所望の部位は、被検体における任意の臓器、組織における部位が選択され得ることが理解される。
単離された細胞画分を密度勾配遠心分離にかけて比重による細胞分離を行う工程では、細胞画分を、例えば、密度勾配遠心分離法によって、その比重によって分離する。その媒体としては、密度勾配遠心分離法に使用可能な媒体を用いる。好ましい媒体は、20℃での比重が1.076〜1.078 g/mlである。また、好ましい媒体のpHは、4.5〜7.5である。また、媒体中の好ましいエンドトキシンレベルは0.12 EU/ml以下である。代表的な媒体としては、スクロース、フィコール(スクロースとエピクロロヒドリンの共重合物)、およびパーコール(ポリビニルピロリドンの被膜を有するコロイド状シリカ製品)が挙げられるが、これらに限定されない。フィコールは、例えば、Ficoll−Paque PLUS(ファルマシアバイオテク株式会社、東京)、Histopaque−1077(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社、東京)、およびリンフォプレップ(Lymphoprep)(登録商標)(ニコメッド、オスロ(ノルウェー))など名称の製品が市販されている。パーコールは、Percoll(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社、東京)という名称の製品が市販されている。
比重による遠心分離の条件は、Ficoll−Paque PLUSを媒体として用いる場合、400×g、30〜40分であり、ヒストパックを媒体として用いる場合、370g×g、約30分であり、リンフォプレップを媒体として用いる場合、800g、約20分または1100g、約10分である。
この比重による遠心分離において、通常最も多い細胞は、赤血球細胞であり、赤色の細胞層として確認することができる。幹細胞は、赤血球よりも比重が軽いため、幹細胞を分離する場合には、赤血球よりも軽い細胞層を収集する。好ましくは、比重1.050〜1.075の範囲の細胞層を収集する。
おおまかな細胞の比重は、パーコール、レディグラッドのような密度勾配遠心分離媒体を塩化ナトリウム溶液やスクロース溶液で調製し、収集した細胞と共にデンシティーマーカービーズ(density marker beads)を加えて遠心し、ビーズによって分けられた5−10層のうち、どの層に細胞があるかを確認することで、調べることが可能である。
また、層に分離した細胞の回収は、例えば、ピペットを用いて行なうことができる。
比重による遠心分離においては、本明細書において別の箇所に記載されたことに加えて、セルセパレーター(例えば、血液成分分離装置ASTEC204、(株)アムコ)を使用することも可能である。
収集された細胞を培養する培地としては、例えば、DMEM、M199、MEM、HBSS、Ham’s F12、BME、RPMI1640、MCDB104、MCDB153(KGM)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい倍地としては、DMEM、およびM199が挙げられる。
脂肪吸引廃液を得るための手段としては、減圧によって生体内から脂肪を吸引する手段が挙げられる。例えば、そのような手段としては、脂肪吸引手術(手動の陰圧注射器を用いる脂肪吸引手術、および電動の脂肪吸引器を用いる脂肪吸引手術)、ならびに皮膚を切開することによる除脂術が挙げられるが、これらに限定されない。
脂肪吸引廃液を遠心分離して細胞画分を得る手段、および細胞画分を密度勾配遠心分離にかけて比重による細胞分離を行う手段としては、遠心分離装置が挙げられる。脂肪吸引廃液を遠心分離して細胞画分を得る場合、その条件としては、200〜1200×g、3〜60分間の遠心分離が挙げられ、好ましくは260〜900×g、3〜30分間の遠心分離、より好ましくは400〜800×g、3〜15分間の遠心分離、最も好ましくは400g、5〜10分間の遠心分離を行う。また、フィコールを用いて、細胞画分を密度勾配遠心分離にかけて比重による細胞分離を行う場合、その条件としては、200〜1200×g、10〜60分間の遠心分離が挙げられ、好ましくは260〜900×g、10〜60分間の遠心分離、好ましくは370〜1100×g、10〜60分間の遠心分離、より好ましくは400〜800×g、10〜40分間の遠心分離、最も好ましくは400×g、30〜40分間の遠心分離を行う。また、このシステムは、必要に応じて、特定の比重の細胞層を収集する手段を備える。好ましくは、収集される細胞層は、赤血球よりも比重が軽い細胞層である。そのような手段としては、手動ピペッター、手動アスピレーター、自動ピペッター、および自動アスピレーターが挙げられるが、これらに限定されない。
このような細胞混合物または組成物は、医薬として提供され得る。このような医薬は、所望の部位に対応する細胞の欠損または劣化などに伴う疾患、障害または異常状態を処置または予防するため、あるいは美容状態を処置または改善するために用いられる。本発明の医薬には、細胞混合物またはそれを含む組成物のほか、薬学的に受容可能なキャリアが含まれていてもよい。そのようなキャリアとしては、本明細書において記載される任意のキャリアが用いられ、その用途に応じて当業者は含ませるべき成分を改変することができる。
(細胞を用いた治療および予防法)
別の局面において、本発明は、所望の比重を有する細胞の欠損に起因する疾患、障害または異常状態を処置または予防するため、あるいは美容状態を処置または改善するための方法を提供する。この方法は、A)所望の比重を有する細胞(例えば、幹細胞)を含有する組成物を提供する工程、ならびにB)被検体に、該組成物を投与する工程、を包含する。ここで、所望の比重を有する細胞は、本発明において説明した方法によって生産される。
投与の方法もまた、当該分野において公知の任意の方法を用いることができる。そのような方法として、シリンジ、カテーテル、チューブなどを用いての注入が挙げられるがそれらに限定されない。好ましくは、局所注入(皮下注入、筋肉や脂肪など臓器内注入)、静脈内注入、動脈内注入、組織上投与などを用いる。本発明のこの移植による処置または予防方法がもたらす効果としては、例えば、従来技術と比べて有利な点としては、例えば、(1)組織外で再生組織を作る必要がない;(2)より確実に大きな組織の再生が可能である;(3)簡便かつ短時間の処理により実現が可能である;(4)皮膚など臓器を切開する手術を必要とせず、針を刺すことによって細胞および組織を投与(移植)することが可能であることなどが挙げられるがそれらに限定されない。
(使用)
他の局面において、本発明は、所望の比重を有する細胞(たとえば、幹細胞)を分画するための、サンプルを収容することができる空間を有する遠心分離用ボウルおよび密度勾配遠心分離システムの使用に関する。
1つの具体的な実施形態では、本発明の遠心分離用ボウルは前記サンプルを収容するに十分な空間と、該空間に流体連絡する前記密度勾配分離用の媒体の流入口と、該空間に流体連絡する前記細胞を含む流体を流出させる流出口を含み、該密度勾配分離用の媒体の流入口は、前記ボウル内の高比重側の層に配置される。
(キット等)
本発明はまた、本発明の医薬組成物の1つ以上の成分を満たした1つ以上の容器を備えるパッケージ、システムまたはキットを提供する。医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知が、このような容器に任意に付属し得、この通知は、ヒトへの投与に対する製造、使用または販売に関する政府機関による承認を表す。
本明細書において「指示書」は、本発明の医薬などを投与する方法または診断する方法などを医師、患者など投与を行う人、診断する人(患者本人であり得る)に対して記載したものである。この指示書は、本発明の診断薬、医薬などを投与する手順を指示する文言が記載されている。この指示書は、本発明が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局(FDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、いわゆる添付文書(package insert)であり、通常は紙媒体で提供されるが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ(ウェブサイト)、電子メール)のような形態でも提供され得る。
本発明において使用される組成物の量は、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、細胞の形態または種類などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。本発明の処置方法を被験体(または患者)に対して施す頻度もまた、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、および治療経過などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。頻度としては、例えば、毎日−数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回−1ヶ月に1回)の投与が挙げられる。1週間−1ヶ月に1回の投与を、経過を見ながら施すことが好ましい。投与する量は、処置されるべき部位が必要とする量を見積もることによって確定することができる。
以下に本発明の医薬組成物の一般的な調製法を示す。なお、動物薬組成物、医薬部外品、水産薬組成物、食品組成物および化粧品組成物等についても公知の調製法により製造することができる。
本発明の細胞などは、薬学的に受容可能なキャリアと配合し、注射剤、懸濁剤、溶液剤、スプレー剤等の液状製剤として非経口的に投与することができる。薬学的に受容可能なキャリアとしては、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等が挙げられる。また、必要に応じ、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用いることができる。また、本発明の組成物には本発明の細胞以外の物質を配合することも可能である。非経口の投与経路としては、静脈内、筋肉内、皮下投与、皮内投与、粘膜投与、直腸内投与、膣内投与、患部への局所投与、皮膚投与など等が挙げられるがそれらに限定されない。全身投与されるとき、本発明において使用される医薬は、発熱物質を含まない、薬学的に受容可能な水溶液の形態であり得る。そのような薬学的に受容可能な組成物の調製は、pH、等張性、安定性などを考慮することにより、当業者は、容易に行うことができる。
本明細書において(所望の部位に対応する)「細胞の欠損に起因する疾患、障害または異常状態」とは、(所望の部位に対応する)細胞が関与する任意の疾患、障害または異常状態をいう。このような分化細胞としては、好ましくは、間葉系細胞であることが好ましいがそれらに限定されない。これらの(所望の部位に対応する)細胞が、一定の比重を有することから、本発明は、細胞治療において有用である。
1つの実施形態において、本発明が対象とし得る疾患および障害は、循環器系(血液細胞など)であり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、貧血(例えば、再生不良性貧血(特に重症再生不良性貧血)、腎性貧血、癌性貧血、二次性貧血、不応性貧血など)、癌または腫瘍(例えば、白血病)およびその化学療法処置後の造血不全、血小板減少症、急性骨髄性白血病(特に、第1寛解期(High−risk群)、第2寛解期以降の寛解期)、急性リンパ性白血病(特に、第1寛解期、第2寛解期以降の寛解期)、慢性骨髄性白血病(特に、慢性期、移行期)、悪性リンパ腫(特に、第1寛解期(High−risk群)、第2寛解期以降の寛解期)、多発性骨髄腫(特に、発症後早期);心不全、狭心症、心筋梗塞、不整脈、弁膜症、心筋・心膜疾患、先天性心疾患(たとえば、心房中隔欠損、心室中隔欠損、動脈管開存、ファロー四徴)、動脈疾患(たとえば、動脈硬化、動脈瘤)、静脈疾患(たとえば、静脈瘤)、リンパ管疾患(たとえば、リンパ浮腫)が挙げられるがそれらに限定されない。
別の実施形態において、本発明が対象とし得る疾患および障害は、神経系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、痴呆症、脳卒中およびその後遺症、脳腫瘍、脊髄損傷が挙げられるがそれらに限定されない。
別の実施形態において、本発明が対象とし得る疾患および障害は、免疫系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、T細胞欠損症、白血病が挙げられるがそれらに限定されない。
別の実施形態において、本発明が対象とし得る疾患および障害は、運動器・骨格系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、骨折、骨粗鬆症、関節の脱臼、亜脱臼、捻挫、靱帯損傷、変形性関節症、骨肉腫、ユーイング肉腫、骨形成不全症、筋ジストロフィー、骨軟骨異形成症が挙げられるがそれらに限定されない。
別の実施形態において、本発明が対象とし得る疾患および障害は、皮膚系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、無毛症、黒色腫、皮膚悪性リンパ腫、血管肉腫、組織球症、水疱症、膿疱症、皮膚炎、湿疹が挙げられるがそれらに限定されない。
別の実施形態において、本発明が対象とし得る疾患および障害は、内分泌系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、視床下部・下垂体疾患、甲状腺疾患、副甲状腺(上皮小体)疾患、副腎皮質・髄質疾患、糖代謝異常、脂質代謝異常、タンパク質代謝異常、核酸代謝異常、先天性代謝異常(フェニールケトン尿症、ガラクトース血症、ホモシスチン尿症、メープルシロップ尿症)、無アルブミン血症、アスコルビン酸合成能欠如、高ビリルビン血症、高ビリルビン尿症、カリクレイン欠損、肥満細胞欠損、尿崩症、バソプレッシン分泌異常、侏儒症、ウオルマン病(酸リパーゼ(Acid lipase)欠損症)、ムコ多糖症VI型が挙げられるがそれらに限定されない。
別の実施形態において、本発明が対象とし得る疾患および障害は、呼吸器系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、肺疾患(例えば、肺炎、肺癌など)、気管支疾患が挙げられるがそれらに限定されない。
別の実施形態において、本発明が対象とし得る疾患および障害は、消化器系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、食道疾患(たとえば、食道癌)、胃・十二指腸疾患(たとえば、胃癌、十二指腸癌)、小腸疾患・大腸疾患(たとえば、大腸ポリープ、結腸癌、直腸癌など)、胆道疾患、肝臓疾患(たとえば、肝硬変、肝炎(A型、B型、C型、D型、E型など)、劇症肝炎、慢性肝炎、原発性肝癌、アルコール性肝障害、薬物性肝障害)、膵臓疾患(急性膵炎、慢性膵炎、膵臓癌、嚢胞性膵疾患)、腹膜・腹壁・横隔膜疾患(ヘルニアなど)、ヒルシュスプラング病が挙げられるがそれらに限定されない。
別の実施形態において、本発明が対象とし得る疾患および障害は、泌尿器系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、腎疾患(腎不全、原発性糸球体疾患、腎血管障害、尿細管機能異常、間質性腎疾患、全身性疾患による腎障害、腎癌など)、膀胱疾患(膀胱炎、膀胱癌など)が挙げられるがそれらに限定されない。
別の実施形態において、本発明が対象とし得る疾患および障害は、生殖器系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、男性生殖器疾患(男性不妊、前立腺肥大症、前立腺癌、精巣癌など)、女性生殖器疾患(女性不妊、卵巣機能障害、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮癌、子宮内膜症、卵巣癌、絨毛性疾患など)が挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「診断、予防、処置または予後上、再生のために有効な量」とは、それぞれ、診断、予防、処置(または治療)または予後において、医療上有効であると認められる程度の量をいう。このような量は、当該分野において周知の技法を用いて当業者が種々のパラメータを参酌しながら決定することができる。
本明細書において「所望の部位に対応する」とは、細胞、組織、臓器などに言及する場合、本発明における移植または再生などを目的とするときの、目的とする部位から取得したか(例えば、心臓であれば、心臓由来の細胞)または目的とする部位に存在する細胞などと実質的に同じ性質を有する細胞など(例えば、心臓細胞へと分化させた細胞)を包含する。したがって、所望の部位に対応する細胞は、細胞表面マーカーなどの指標において実質的に同一であることによって確認することができる。
本明細書において「インビボ」(in vivo)とは、生体の内部をいう。特定の文脈において、「インビボ」は、目的とする組織または器官が配置されるべき位置(例えば、本明細書にいう所望の部位)をいう。
本明細書において「インビトロ」(in vitro)とは、種々の研究目的のために生体の一部分が「生体外に」(例えば、試験管内に)摘出または遊離されている状態をいう。インビボと対照をなす用語である。
本明細書において「エキソビボ」(ex vivo)とは、遺伝子導入を行うための標的細胞を被験体より抽出し、インビトロで治療遺伝子を導入した後に、再び同一被験体に戻す場合、一連の動作をエキソビボという。
本発明では、インビトロ、インビボまたはエキソビボの用途で、必要に応じて所望の部位に対応する細胞を、本発明の方法を用いて分離することにより使用することができる。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、請求の範囲によってのみ限定される。
以下に示した実施例において使用した試薬は、特に言及しない限り和光純薬、Sigmaから得た。ヒトを対象とする場合は、実施した医療機関における基準または施設における基準あるいは厚生労働省によって規定された基準を満たし、事前に同意を得た上で実験を行った。
(実施例1)
(脂肪吸引廃液の調製)
脂肪吸引手術前に予定吸引脂肪量以上の、トゥメセント液(0.0001%アドレナリンを含む生理食塩水)を皮下脂肪層に注入し(トゥメセント法(tumescent法))、その後、脂肪吸引のために内径2〜3mmのカニューレ(金属製吸引筒)を使用して、脂肪吸引手術を行った。脂肪吸引手術は、当該分野において周知であり、例えば、美容外科手術プラクティス2、市田正成・谷野隆三郎・保阪善昭 共編、文光堂、P429-469に、その方法が記載される。
吸引脂肪を生理食塩水で洗浄した。洗浄によって生じる計5〜10リットル程度の廃液のうち、細胞成分の豊富な最初の1〜2リットルだけを、その後の処理に使用した。
(型番CCSを用いた廃液処理実験)
手順はCCSの装置の操作手順なので記載している手順に基づいて行った。装置自体は回転数は4800rpmで変えることができない設定であった。流速は変えることができた。装置に流し込むだけなので、特別なことをせずに実験を行った。上記プロトコールは、以下の実施例においても原則として共通していた。
脂肪廃液400mlを濃縮した。(濃縮 20ml/min)(回転数:4800rpm;ボウルサイズ:125ml)Ficoll液900mlで置換した。(Ficoll置換 50ml/min)(回転数:4800rpm;ボウルサイズ:125ml)。濃縮時の廃液とFicoll置換時の廃液を50mlずつ回収したサンプルを用意して、それぞれに含まれる赤血球数、有核細胞数を血球計算盤、セルカウンターで測定し、処理前の細胞数と比較して回収率を算出した。
(結果)
結果を以下の表1に示す。
示されるように、密度勾配遠心分離用流体(又は、比重液)の流入量が遠心ボウルサイズを超えた時点で細胞が流出され、63%が回収できた。
積算結果を図1に示す。
従来技術は存在しないが、手作業と比較すると時間の短縮が可能であった。本発明の技術では20分で全工程を完了する。手作業で行うと40分〜60分かかる。また閉鎖系で行うことができるため、その場合は、臨床サンプルの処理に適している。
(所望の比重の細胞の確認)
本実施例で分離・回収された有核細胞は、Ficoll法(用手法)により分離・回収されたそれと同等である。Ficoll法を用いると、所望の比重を持つ細胞分画(ファイコールより軽い細胞)を分離・回収することができる。遠心ボウルによる全血処理では、赤血球と有核細胞とを分離することができるのみであった。従って、遠心ボウルを用いて全血中の所望の比重の細胞を分離・回収することは不可能であった。
従って、本発明(実施例)で分離・回収された細胞は、比重により分画されていることは自明である。また本実施例において、所望し、かつ回収したのは、ファイコールよりも比重の小さい細胞である(種々の参考文献から、CD34+やリンパ球等はファイコールより比重が小さいことは判っている)から、「所望の比重を持つ」と定義することができる。
従って赤血球と有核細胞とを分離することも可能であり、また、実際の細胞治療(特に新鮮細胞の自家移植等)で必要となる細胞もまた、この手法で提供されることが理解される。
(実施例2:再現性をみるためのCCS実験)
実施例1に準じて同様の実験試料を調製した。
(結果)
結果を以下の表2に示す。
示されるように、濃度勾配分離液の流入量がボールサイズを超えた時点で細胞が流出され、97%が回収できた。
表2の結果をグラフにした物を図2に示す。
従来技術は存在しないが、手作業と比較すると時間の短縮が可能であった。本発明の技術では20分で全工程を完了する。手作業で行うと40分〜60分かかる。また閉鎖系で行うことができるため、その場合は、臨床サンプルの処理に適している。
(実施例3:各種比重液を用いたCCS実験)
実施例1に準じて試料を調製した。各液にトリパンブルー(色素)を入れて、どの時点で色素液が出てくるかを見た実験である。
本実施例では、Ficollの他に種々の比重液を使用した。使用した比重液は表3に示す。このほかに、フィコール以外の使用可能な密度勾配遠心分離の媒体としては、パーコール(登録商標)、ヒストパーク(登録商標)、リンフォプレップ、スクロース溶液が挙げられる。これらを用いて細胞層の密度勾配遠心分離を行って、フィコールの場合の結果と比較する。単離した細胞をFACS等で測定することができる。
濃縮時の廃液と各比重液置換時の廃液を50mlずつ回収したサンプルを用意して、それぞれに含まれる赤血球数、有核細胞数を血球計算盤、セルカウンターで測定し、処理前の細胞数と比較して回収率を算出した。
(結果)
結果を表3に示す。表3において、「比濃度」とは、投入したトリパンブルー水溶液の濃度を「1」とした場合の、回収した液のトリパンブルー濃度。 (濃度)回収 /(濃度)投入で示される。「比体積」とは、投入したトリパンブルーの体積 / 遠心ボウルの容積で示される。
積算結果を図3に示す。簡単に言えば、図3は、「比重液(密度勾配遠心分離用液体)はサンプルと混ざらない」ことを意味するデータである。また「均一系の理論値」とは、投入した比重液とボウル内のサンプル液の混合が、比重液の投入速度に比べて十分に速かった場合(ボウル内に液体の濃度勾配が存在しないと仮定した場合)の、ボウルからの流出液中の投入比重液濃度変化のプロファイルである。実験データが、「均一系の理論値」からずれていることでも、「比重液(密度勾配遠心分離用液体)はサンプルと混ざらない」が裏づけられる。
さらに、Ficollを用いた、有核(所望の)細胞の分離・回収プロファイルのデータと、流出液のトリパンブルーの濃度変化のプロファイルの重ね合わせから、サンプル液と比重液の境界線付近に、有核(所望の)細胞が位置していることが判る。
(実施例4:全血 廃液CCS処理実験)
次に、本実施例では、サンプルとして全血を利用して細胞分離実験を行った。
(全血サンプルの調製)
全血はコージンバイオから購入した。ヒト全血、女性、A型であった。購入後は無処理であった。実験条件は実施例1と同じであった。MEK7222とは日本光電の自動血球計算器である。血球の種類別に%を自動で出す機械である。
(実験条件)
全血10ml(実施例4),50ml(実施例5)をCCSでそれぞれ濃縮した。(濃縮 30ml/min)(回転数:4800rpm;ボウルサイズ:125ml)。Ficoll液で置換した。(Ficoll置換50ml/min)(回転数:4800rpm;ボウルサイズ:125ml)ボウルからあふれ出た流出液を50mlずつ500mlまで回収した。それぞれの分画に含まれる赤血球数、有核細胞数を血球計算盤、セルカウンターで測定し、処理前の細胞数と比較して回収率を算出した。また、MEK7222を用いて処理前とFicoll抽出後(全ての分画をmix)の血球分類を行った。
(結果)
結果を以下の表4に示す。
示されるように、全血で10mlという少量サンプルからでも有核細胞が回収できることが示された。従来方法では少量サンプルの処理はできなかったが、本発明の優位性が証明された形になる。
血球分類を行った結果は、表4−2に示す。示されるように、所望の比重を有する細胞が分離されたことが実証された。
(実施例5:全血 廃液CCS処理実験(50ml)
実施例4において記載されるように全血 廃液CCS処理実験を50mlのレベルで行った。結果を表5および図5に示す。
(結果)
結果を以下の表5、5−1に示す。
示されるように、全血で50mlという少量サンプルからでも有核細胞が回収できることが示された。従来方法では少量サンプルの処理はできなかったが、本発明の優位性が証明された形になる。
血球分類を行った結果は、表5−2に示す。示されるように、所望の比重を有する細胞が分離されたことが実証された。
(実施例6:濃縮および密度勾配遠心分離条件の検討)
次に、実施例1〜5における濃縮および密度勾配遠心分離の条件をより詳細に検討する。
(1)濃縮条件の検討
実施例1〜5では、400×g、30分間、濃縮をおこなった。そこで、次に、濃縮の条件を検討する。
400×g 20分間、400×g 30分間、400×g 40分間、60分間および80分間。
(2)遠心分離条件の検討
実施例1〜5では、400×g、30分間、密度勾配のための遠心分離をおこなった。そこで、次に、遠心分離の条件を検討する。
400×g 20分間、400×g 30分間、400×g 40分間、60分間および80分間。フィコールを媒体として使用し、細胞を単離する。細胞の純度をFACSで検討する。400×g 30分間の場合に最も高純度かつ高収率で、所望の比重を有する細胞を単離できる。
(実施例7:臍帯血処理)
次に、具体的なサンプルとして「臍帯血」を用いて実験を行った。全血と同じ容量で実施する(実施例4を参照)。
結果は回収された有核細胞中のCD34陽性細胞の数または%で評価する。60〜80%回収ができることが分かる。ヒトまたはブタの臍帯血を用いて実験すると双方とも同様の回収ができることがわかる。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、簡便な方法で所望の比重を有する細胞(例えば、幹細胞)が提供され得ることを見出した。このような細胞は、再生医療に応用できる。したがって、本発明の産業上の利用は、医薬品業界において見出される。
図1は、実施例1の結果を示す。縦軸は回収率、横軸は流出した密度分離液の量をプロットしている。どちらもボールの容量に達したところから細胞流出が始まり、約60%程度回収できることが示されている。 図2は、実施例2の結果を示す。縦軸は回収率、横軸は流出した密度分離液の量をプロットしている。どちらもボールの容量に達したところから細胞流出が始まり、約60%程度回収できることが示されている。 図3は、実施例3の結果を示す。簡単に言えば、図3は、「比重液(密度勾配遠心分離用液体)はサンプルと混ざらない」ことを意味するデータである。また「均一系の理論値」とは、投入した比重液とボウル内のサンプル液の混合が、比重液の投入速度に比べて十分に速かった場合(ボウル内に液体の濃度勾配が存在しないと仮定した場合)の、ボウルからの流出液中の投入比重液濃度変化のプロファイルである。実験データが、「均一系の理論値」からずれていることでも、「比重液(密度勾配遠心分離用液体)はサンプルと混ざらない」が裏づけられる。 図4は、好ましい実施形態において用いられる本発明の遠心分離用の容器(ボウル)を示す。
符号の説明
10 遠心機ボウル
12 ステータ部分
14 ロータ部分
16 入力ポート
18 出力ポート
20 回転式シール
22、22′ボウル本体
24、24′ コア
26 入口管
30、32 傾斜部材
38 伸長部
40、42 ディスク部材
C1 収集室
C2 導入室
C3 分離室
P1〜P5 通路

Claims (41)

  1. 所望の比重の細胞を分画するための方法であって、
    A)該細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを、該サンプルを収容することができる空間を有する遠心分離用ボウル内で、遠心分離により密度勾配分離する工程と
    B)該遠心分離中に該細胞より比重の重い比重液を流入し、流出した細胞を回収する工程とを包含する、方法。
  2. 前記遠心分離用ボウルは、前記サンプルを収容するに十分な空間を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記遠心分離用ボウルは前記サンプルを収容するに十分な空間と、該空間に流体連絡する前記比重液の流入口と、該空間に流体連絡する前記細胞を含む流体を流出させる流出口を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記密度勾配分離用の媒体の流入口は、前記ボウル内の高比重側の層に配置され、ここで、高比重側の層は、ボウルの回転軸から遠い距離に配置され、該ボウルは、該ボウル内の低比重側の層を通過させることなく、該高比重側の層に媒体を流入・配置させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記分画は、閉鎖系において行われる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記遠心分離用ボウルは、
    (a)長手方向軸線の回りに回転可能のボウル本体であって、
    (i)該軸線から半径方向へ伸びる上方壁と、
    (ii)該軸線から半径方向へ伸びる下方壁と、
    (iii)該上方および下方壁に接続された側壁、および
    上方壁を貫通して形成された孔と、を有する、ボウル本体と、
    (b)ステータ側部およびロータ側部を有し該孔を覆う回転式シール組立体であって、該ロータ側部が該ボウル本体へ取付けられた、シール組立体と、
    (c)該シール組立体のステータ側に夫々取付けられた入口ポートおよび出口ポートと、
    (d)該ボウル本体内に設けられたコアであって、先端部の方へ長手方向に伸びる側壁と、上方および下方の半径方向へ伸びる各壁とを有する、コアと、
    (e)該ボウル本体の側壁とコアの側壁とにより画成された分離室と、
    (f)該入口ポートからボウル本体の下方壁に隣接した先端部まで長手方向へ伸びる入口管と、
    (g)コアの上方壁およびボウル本体の上方壁に隣接して形成された収集室と、
    (h)コア側壁の先端部およびボウル本体の下方壁の一部に隣接して形成された導入室と、
    (i)該分離室を該出口ポートへ流体的に連通する、上方の半径方向に伸長する収集通路と、
    (j)該導入室を該入口管の先端部へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する収集通路と、
    (k)該下方の導入室を該分離室へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する分離通路と、
    を具備することを特徴とする遠心分離用ボウル。
  7. さらに、前記サンプルを濃縮する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記濃縮は、遠心分離用ボウル中で10〜100ml/minの流速で濃縮される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記密度勾配遠心分離において、比重液が10〜100ml/minの速度で流入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  10. 前記密度勾配遠心分離において、比重液が50ml/minの速度で流入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  11. 前記密度勾配遠心分離は、200×g〜1200×gで遠心分離されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  12. 前記密度勾配遠心分離は、400×gで遠心分離されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  13. 前記密度勾配遠心分離において、所望の細胞回収に適した比重液が使用される、請求項1に記載の方法。
  14. 前記比重液は、単糖類、二糖類または多糖類の水溶液である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記比重液は、Ficoll、Percollおよびショ糖溶液からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
  16. 前記密度勾配遠心分離において、比重液として20℃における比重が1.050〜1.100である液が使用される、請求項1に記載の方法。
  17. 前記密度勾配遠心分離において、比重液として20℃における比重が1.077である液が使用される、請求項1に記載の方法。
  18. 前記密度勾配遠心分離において、比重液を遠心分離用ボウルの容積の二分の一から四倍で使用する、請求項1に記載の方法。
  19. 前記密度勾配遠心分離において、比重液を遠心分離用ボウルの容積の二分の一から一倍で使用する、請求項1に記載の方法。
  20. 所望の比重の細胞を分画するためのシステムであって、
    A)該細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルに適合した密度勾配遠心分離装置と
    B)サンプルを収容することができる空間を有する遠心分離用ボウルと、
    C)該細胞の比重を分離することができる比重液と
    D)流出した液を受容する容器と
    を備える、システム。
  21. 前記比重液は、非有核細胞と有核細胞とを分離することができることを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
  22. 前記遠心分離用ボウルは、前記サンプルを収容するに十分な空間を有する、請求項20に記載のシステム。
  23. 前記遠心分離用ボウルは前記サンプルを収容するに十分な空間と、該空間に流体連絡する前記密度勾配分離用の媒体の流入口と、該空間に流体連絡する前記細胞を含む流体を流出させる流出口を含む、請求項20に記載のシステム。
  24. 前記密度勾配分離用の媒体の流入口は、前記ボウル内の高比重側の層に配置され、ここで、高比重側の層は、ボウルの回転軸から遠い距離に配置され、該ボウルは、該ボウル内の低比重側の層を通過させることなく、該高比重側の層に媒体を流入・配置させることを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
  25. 閉鎖系である、請求項20に記載のシステム。
  26. 前記遠心分離用ボウルは、
    (a)長手方向軸線の回りに回転可能のボウル本体であって、
    (i)該軸線から半径方向へ伸びる上方壁と、
    (ii)該軸線から半径方向へ伸びる下方壁と、
    (iii)該上方および下方壁に接続された側壁、および
    上方壁を貫通して形成された孔と、を有する、ボウル本体と、
    (b)ステータ側部およびロータ側部を有し該孔を覆う回転式シール組立体であって、該ロータ側部が該ボウル本体へ取付けられた、シール組立体と、
    (c)該シール組立体のステータ側に夫々取付けられた入口ポートおよび出口ポートと、
    (d)該ボウル本体内に設けられたコアであって、先端部の方へ長手方向に伸びる側壁と、上方および下方の半径方向へ伸びる各壁とを有する、コアと、
    (e)該ボウル本体の側壁とコアの側壁とにより画成された分離室と、
    (f)該入口ポートからボウル本体の下方壁に隣接した先端部まで長手方向へ伸びる入口管と、
    (g)コアの上方壁およびボウル本体の上方壁に隣接して形成された収集室と、
    (h)コア側壁の先端部およびボウル本体の下方壁の一部に隣接して形成された導入室と、
    (i)該分離室を該出口ポートへ流体的に連通する、上方の半径方向に伸長する収集通路と、
    (j)該導入室を該入口管の先端部へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する収集通路と、
    (k)該下方の導入室を該分離室へ流体的に連通する、下方の半径方向に伸長する分離通路と、
    を具備することを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
  27. 前記密度勾配遠心分離装置は、該細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを10〜100ml/minの流速で濃縮することに適合される、請求項20に記載のシステム。
  28. 前記密度勾配遠心分離装置は、該細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを約20ml/minで濃縮し、前記比重液を10〜100ml/minの速度で流入することに適合される、請求項20に記載のシステム。
  29. 前記密度勾配遠心分離装置は、200×g〜1200×gで遠心分離されることに適合される、請求項20に記載のシステム。
  30. 前記比重液の比重が1.050〜1.100である、請求項20に記載のシステム。
  31. 前記比重液が20℃における比重が1.077である、請求項20に記載のシステム。
  32. 前記密度勾配遠心分離において、比重液を遠心分離用ボウルの容積の二分の一から四倍で使用する、請求項20に記載のシステム。
  33. 前記密度勾配遠心分離において、比重液を遠心分離用ボウルの容積の二分の一から一倍で使用する、請求項20に記載のシステム。
  34. 幹細胞を含む組成物を生産するための方法であって、
    A)幹細胞を含むかまたは含むと予測されるサンプルを密度勾配遠心分離して該幹細胞を含む画分を生成し流出させる工程と
    B)流出した該画分を収集する工程と
    を包含する、方法。
  35. 前記サンプルを幹細胞について濃縮する工程をさらに包含する、請求項34に記載の方法。
  36. 前記サンプルは、脂肪由来細胞懸濁液、吸引脂肪由来細胞懸濁液、臍帯血および全血からなる群より選択される、請求項1〜19、34および35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記サンプルは、吸引脂肪由来細胞懸濁液である、請求項1〜19、34および35および36のいずれか1項に記載の方法。
  38. 請求項1〜19、34および35、36および37のいずれか1項に記載の方法によって分画された細胞を含む組成物。
  39. 所望の比重を有する細胞を分画するための、サンプルを収容することができる空間を有する遠心分離用ボウルおよび密度勾配遠心分離システムの使用。
  40. 前記所望の細胞は幹細胞である、請求項39に記載の使用。
  41. 前記遠心分離用ボウルは前記サンプルを収容するに十分な空間と、該空間に流体連絡する前記密度勾配分離用の媒体の流入口と、該空間に流体連絡する前記細胞を含む流体を流出させる流出口を含み、該密度勾配分離用の媒体の流入口は、前記ボウル内の高比重側の層に配置される、請求項39に記載の使用。
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