JP2007282093A - クロック信号発生装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ネットワークを伝送されたパケットのバースト遅延や到着順序の逆転が起きても受信側において正確な周波数の主データ再生用のクロック信号を発生することができるクロック信号発生装置及び方法を提供する。
【解決手段】受信パケットのうちの特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットのタイムスタンプを送信タイムスタンプとして抽出し、クロック信号に同期して特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットの受信時刻を示すタイムスタンプを受信タイムスタンプとして発生し、送信タイムスタンプの時間間隔と受信タイムスタンプの時間間隔とが一致するようにクロック信号の周波数を調整する。
【選択図】図3
【解決手段】受信パケットのうちの特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットのタイムスタンプを送信タイムスタンプとして抽出し、クロック信号に同期して特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットの受信時刻を示すタイムスタンプを受信タイムスタンプとして発生し、送信タイムスタンプの時間間隔と受信タイムスタンプの時間間隔とが一致するようにクロック信号の周波数を調整する。
【選択図】図3
Description
本発明は、IPネットワーク等のネットワークを介して伝送されたパケットのデータを再生するためのクロック信号を発生するクロック信号発生装置及び方法に関する。
主データとして音声データ等のリアルタイムデータを有するパケットのIPネットワークを介した伝送においては、送信側のマスタ装置におけるマスタクロック信号が、受信側の各スレーブ装置におけるスレーブクロック信号に対して基準となり、スレーブ装置においてはマスタクロック信号に同期したスレーブクロック信号に応じて受信パケット内のデータの再生の際のタイミングがとられる(例えば、特許文献1参照)。マスタ装置では、IPネットワークを介してスレーブ装置各々へ送信するパケットにパケット送信時の時刻情報が付与される。その時刻情報はマスタクロック信号に基づいて生成される。スレーブ装置では、スレーブクロック信号に基づいて生成したパケット受信時の時刻情報と受信パケットから抽出した送信時刻情報により、マスタクロック信号とスレーブクロック信号との周波数のズレを検出し、スレーブクロック信号の周波数を補正することが行われる。これにより、マスタ装置とスレーブ装置とのクロック周波数を一致させることで、リアルタイムデータ再生用の同期クロック伝送が実現される。
図1は、マスタ装置及びスレーブ装置間における同期クロック伝送の概略を示している。マスタ装置1は、マスタクロック信号を発生するマスタクロック発生器11と、マスタクロック信号のパルスを計数するカウンタ12と、カウンタ12の数十ビットからなる計数値に応じてパケットに送信時の時刻情報(以降、送信タイムスタンプ)を発生するタイムスタンプ発生器13と、送信パケットの順次番号であるシーケンス番号を発生するシーケンス番号発生器14と、を備えている。よって、マスタ装置1からスレーブ装置2にIPネットワーク3を介して送信されるパケットのヘッダには、その送信時の送信タイムスタンプと共にn,n+1,n+2の如くシーケンス番号が付与される。そのパケットのヘッダは例えば、RTP(real-time transport protocol)ヘッダである。
図1のスレーブ装置2は、スレーブクロック信号を発生するスレーブクロック発生器21と、スレーブクロック信号のパルスを計数するカウンタ22と、カウンタ22の数十ビットからなる計数値に応じてパケットの受信時の時刻情報(以降、受信タイムスタンプ)を発生するタイムスタンプ発生器23と、今回パケット受信時の受信タイムスタンプを記憶するメモリ24,前回パケット受信時の受信タイムスタンプを記憶するメモリ25と、受信タイムスタンプ間隔を算出する受信タイムスタンプ間隔算出器26と、今回パケット受信時にそのパケットから抽出した送信タイムスタンプを記憶するメモリ27と、前回パケット受信時にそのパケットから抽出した送信タイムスタンプを記憶するメモリ28と、送信タイムスタンプ間隔を算出する送信タイムスタンプ間隔算出器29と、受信タイムスタンプ間隔と送信タイムスタンプ間隔との差分を算出して差分信号を出力する周波数差分算出器30と、差分信号に応じた周波数制御信号を発生してそれをスレーブクロック発生器21に供給することによりスレーブクロック発生器21から発生されるスレーブクロック信号の周波数を調整する利得調整器31と、を備えている。
図1においては、先ず、シーケンス番号n,n+1のパケットの送信タイムスタンプに応じて送信タイムスタンプ間隔Y−Xが送信タイムスタンプ間隔算出器29によって算出され、そのパケットの受信時の受信タイムスタンプに応じて受信タイムスタンプ間隔y−xが受信タイムスタンプ間隔算出器26によって算出される。それらの算出値に応じて送受信タイムスタンプ間隔の差分(Y−X)−(y−x)が周波数差分算出器30によって算出される。
図2はマスタ装置からシーケンス番号0〜6のパケットが所定の送信間隔でスレーブ装置に送信された場合の送信タイムスタンプ、受信タイムスタンプ、送信タイムスタンプ間隔、受信タイムスタンプ間隔及び受信タイムスタンプ間隔と送信タイムスタンプ間隔との差分(送受信タイムスタンプ差分)を例として示している。
理想的にはパケットの送信間隔とその受信間隔は同じである。従って、マスタークロック信号とスレーブクロック信号との周波数が完全に一致していれば、送信タイムスタンプ間隔と受信タイムスタンプ間隔とは等しくなるため、差分は生じない。逆に、差分が生じた場合は、周波数が一致していないことになる。周波数の不一致が生じた場合には、送受信タイムスタンプ差分が利得調整器31を介してスレーブクロック発生器21にフィードバックされ、スレーブクロック信号の周波数の補正が行われる。
特表2002−515718号公報
しかしながら、図2に示したように、IPネットワークを介した各パケットの伝送においては到達遅延時間(図2のd0〜d6)にはバラツキがある。これをIPネットワーク上のジッタと称する。このジッタによりミクロ的には送信間隔と受信間隔とは必ずしも同じにはならず、むしろ一致することはほとんどない。従って、マスタークロック信号の周波数とスレーブクロック信号の周波数とが完全に一致している場合でも、送信タイムスタンプ間隔と受信タイムスタンプ間隔とが一致することはなく、周波数不一致として見えてしまう。そのため、上記したようなスレーブクロック信号の周波数の補正を行なうと、誤った補正を行なうことになり、互いの周波数の誤差が却って大きくなってしまう。特に、図2のシーケンス番号1のパケットのようなバースト遅延や、図2のシーケンス番号4及び5のパケットのようなパケットの到達順序の逆転が発生した場合は影響が大きくなる。
そこで、本発明の目的は、ネットワークを介して伝送されたパケットにバースト遅延や到着順序の逆転が起きた場合であっても受信側において正確な周波数の主データ再生用のクロック信号を発生することができるクロック信号発生装置及び方法を提供することである。
本発明のクロック信号発生装置は、ネットワークを介して伝送され、かつ主データと共に送信時刻を示すタイムスタンプ及び送信順番を示すシーケンス番号を含むパケットを受信するパケット受信部と、前記パケット受信部にて受信されたパケットのうちの特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットのタイムスタンプを送信タイムスタンプとして抽出する抽出手段と、主データ再生用のクロック信号を発生するクロック発生手段と、前記クロック信号に同期して前記特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットの受信時刻を示すタイムスタンプを受信タイムスタンプとして発生する手段と、前記送信タイムスタンプの時間間隔と前記受信タイムスタンプの時間間隔とが一致するように前記クロック信号の周波数を調整する周波数調整手段と、を備えたことを特徴としている。
本発明のクロック信号発生方法は、ネットワークを介して伝送され、かつ主データと共に送信時刻を示すタイムスタンプ及び送信順番を示すシーケンス番号を含むパケットを受信してその主データ再生用のクロック信号を発生するクロック信号発生方法であって、受信パケットのうちの特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットのタイムスタンプを送信タイムスタンプとして抽出し、前記クロック信号に同期して前記特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットの受信時刻を示すタイムスタンプを受信タイムスタンプとして発生し、前記送信タイムスタンプの時間間隔と前記受信タイムスタンプの時間間隔とが一致するように前記クロック信号の周波数を調整することを特徴としている。
かかる本発明によれば、受信パケットのうちの特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットのタイムスタンプを送信タイムスタンプとして抽出し、クロック信号に同期して特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットの受信時刻を示すタイムスタンプを受信タイムスタンプとして発生し、送信タイムスタンプの時間間隔と受信タイムスタンプの時間間隔とが一致するようにクロック信号の周波数を調整するので、ネットワークを介して伝送されたパケットにバースト遅延や到着順序の逆転が起きた場合であっても受信側において正確な周波数の主データ再生用のクロック信号を発生することができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図3は本発明のクロック信号発生装置及び方法が適用されたパケット伝送システムを示している。このシステムは、基準となるマスタクロック信号を発生するマスタ装置51と、パケットの受信のためにマスタクロック信号に同期したスレーブクロック信号を発生するスレーブ装置52と、マスタ装置51から送信されたパケットをスレーブ装置52へ伝送するためのIPネットワーク53と、を備えている。
マスタ装置51は、マスタクロック発生器61、タイムスタンプ発生器62、シーケンス番号発生器63、パケット生成部64、ヘッダデータ挿入部65、及びパケット送信部66を備えている。
マスタクロック発生器61はマスタクロック信号を発生してタイムスタンプ発生器62に供給する。タイムスタンプ発生器62は、マスタクロック発生器61からのマスタクロック信号のパルスを計数するカウンタを含み、そのカウンタの計数値に応じてパケットに送信時の送信タイムスタンプ(送信時刻)を発生する。シーケンス番号発生器63は送信パケットの順次番号であるシーケンス番号を発生する。パケット生成部64は音声データ等のリアルタイムデータのパケットを生成する。ヘッダデータ挿入部65は、タイムスタンプ発生器62、シーケンス番号発生器63及びパケット生成部64に接続され、パケット生成部64によって生成されたパケットに送信タイムスタンプ及びシーケンス番号を挿入する。パケット送信部66はヘッダデータ挿入部66から出力されたヘッダを備えたパケットをIPネットワーク53に送出する。
よって、マスタ装置51からスレーブ装置52にIPネットワーク53を介して送信されるパケットのヘッダ(RTPヘッダ)には、そのパケット送信時の送信タイムスタンプとシーケンス番号とが含まれている。
スレーブ装置52は、パケット受信部71、抽出部72、番号判別部73、タイムスタンプ保持部74,75、送信タイムスタンプ間隔算出器76、スレーブクロック発生器77、タイムスタンプ発生器78、受信タイムスタンプ設定部79、タイムスタンプ保持部80,81、受信タイムスタンプ間隔算出器82、周波数差分算出器83、平滑器84及び利得調整器85を備えている。
パケット受信部71は、IPネットワーク53を介して伝送されてきたパケットを受信する。抽出部72はパケット受信部71によって受信されたパケットのヘッダからタイムスタンプ及びシーケンス番号を抽出する。番号判別部73は、抽出部72に接続され、抽出部72によって抽出されたシーケンス番号が特定の番号であるか否かを判別する。ここで、特定の番号は16ビットからなるシーケンス番号の下位5ビットが全て0である番号とする。タイムスタンプ保持部74は抽出部72及び番号判別部73に接続され、番号判別部73によってシーケンス番号が特定の番号であると判別されたときの抽出部72による抽出送信タイムスタンプを保持する。タイムスタンプ保持部75はタイムスタンプ保持部74によって前回保持された送信タイムスタンプを保持する。送信タイムスタンプ間隔算出器76はタイムスタンプ保持部74,75に保持されている送信タイムスタンプの時間間隔を算出する。
スレーブクロック発生器77は、スレーブクロック信号を発生する。タイムスタンプ発生器78は、スレーブクロック発生器77からのスレーブクロック信号のパルスを計数するカウンタを含み、そのカウンタの計数値に応じてタイムスタンプを発生する。受信タイムスタンプ設定部79は、パケット受信部71及びタイムスタンプ発生器78に接続され、パケット受信部71によってパケットが受信されたときのタイムスタンプ発生器78の発生タイムスタンプを受信タイムスタンプとして出力する。タイムスタンプ保持部80は番号判別部73及び受信タイムスタンプ設定部79に接続され、番号判別部73によってシーケンス番号が特定の番号であると判別されたときに受信タイムスタンプ設定部79から出力されている受信タイムスタンプを保持する。タイムスタンプ保持部81はタイムスタンプ保持部80によって前回保持された受信タイムスタンプを保持する。受信タイムスタンプ間隔算出器82はタイムスタンプ保持部80,81に保持されている受信タイムスタンプの時間間隔を算出する。
周波数差分算出器83は、送信タイムスタンプ間隔算出器76及び受信タイムスタンプ間隔算出器82に接続され、送信タイムスタンプ間隔と受信タイムスタンプ間隔との差分を算出して差分信号を出力する。平滑器84は周波数差分算出器83から出力される差分信号をディジタル処理により平滑化する。利得調整器85は平滑器84に接続され、平滑器84によって平滑化された差分信号をアナログ信号に変換して周波数制御信号を得てそれをスレーブクロック発生器77に供給することにより、スレーブクロック発生器77から発生されるスレーブクロック信号の周波数を調整する。
かかる構成のパケット伝送システムのスレーブ装置52においては、パケット受信部71によって受信されたパケットは抽出部72及び受信タイムスタンプ設定部79に供給される。抽出部72はその受信パケットのヘッダからタイムスタンプ及びシーケンス番号を抽出する。抽出されたシーケンス番号は番号判別部73に供給され、番号判別部73において今回抽出されたシーケンス番号が特定の番号であるか否かが判別される。上記したようにシーケンス番号の下位5ビットが全て0である番号であるならば、今回抽出されたシーケンス番号は特定の番号であると判別される。マスタ装置51のパケット送信間隔が1msである場合には、特定のシーケンス番号が判定される間隔は、パケットの送信間隔で32msである。すなわち、受信パケットから特定の番号のシーケンス番号を抽出することにより、毎回のパケット送信間隔ではなく複数のパケット送信間隔を検出することが行われている。
また、特定のシーケンス番号が判別されるパケットの間隔は、マスタ装置51からシーケンス番号順に順次送信されたパケット間の最大到達間隔よりも大なる時間とする。図4に示すように、毎回のパケット送信間隔を1ms、シーケンス番号0のパケットの到達遅延時間が0ms、その次のシーケンス番号1のパケットの到達遅延時間が最大となり、20msであるとした場合に、送信されたパケット間の最大到達間隔は21msであり、特定の番号が判別されるパケットの間隔はそのパケット間の最大到達間隔より大の32msである。
今回抽出されたシーケンス番号が特定の番号である場合には、今回抽出された送信タイムスタンプがタイムスタンプ保持部74に保持され、それまでタイムスタンプ保持部74に保持されていた前回抽出の送信タイムスタンプがタイムスタンプ保持部75に保持される。一方、そのとき、受信タイムスタンプ設定部79から出力されている受信タイムスタンプがタイムスタンプ保持部80に保持され、それまでタイムスタンプ保持部80に保持されていた前回の受信タイムスタンプがタイムスタンプ保持部81に保持される。
今回保持の送信タイムスタンプと前回保持の送信タイムスタンプとの時間間隔が送信タイムスタンプ間隔算出器76によって算出され、今回保持の受信タイムスタンプと前回保持の受信タイムスタンプとの時間間隔が受信タイムスタンプ間隔算出器82によって算出される。送信タイムスタンプ間隔算出器76によって算出された送信タイムスタンプ時間間隔と受信タイムスタンプ間隔算出器82によって算出された受信タイムスタンプ時間間隔との間に時間差が存在すると、それが周波数差分算出器83から差分信号として出力される。差分信号は平滑器84によって平滑化されて利得調整器85に供給される。平滑器84によって平滑化された差分信号に応じた周波数制御信号が利得調整器85から発生され、その周波数制御信号に応じてスレーブクロック発生器77の発生スレーブクロック信号の周波数が調整される。すなわち、発生スレーブクロック信号の周波数は送信タイムスタンプ間隔算出器76によって算出された送信タイムスタンプ時間間隔と受信タイムスタンプ間隔算出器82によって算出された受信タイムスタンプ時間間隔との間に時間差が減少されるように調整される。
この差分信号の平滑化により、IPネットワークを介したパケットの伝送における到達遅延時間のバラツキ、すなわちジッタによって受信タイムスタンプを過度に補正するという悪影響を低減させることができる。
上記したように、IPネットワーク53上でのパケット間の最大到達間隔よりも大きくなるように特定のシーケンス番号が設定されると、パケット間の到達順序の逆転は起こらない。例えば、パケット送信間隔が1msである場合にはシーケンス番号の下位5ビットが全て0のパケットの送信間隔は図5に示すように、32msとなる。IPネットワーク53上でのパケット到達遅延時間が最大で20msである場合には、この32ms毎に送信されてスレーブ装置52に到達するパケット間の到達順序の逆転はなくなる。従って、パケットの到達順序逆転に対応した回路は不要となる。また、逆転がないため、受信パケットの前後のシーケンス番号パケットの受信履歴検索回路も必要なくなる。
従来の受信パケット毎の送信タイムスタンプの差分算出方法では、受信パケットの前後のシーケンス番号パケットの受信履歴を検索し、履歴があれば送受信タイムスタンプ間隔を算出したが、タイムスタンプ保持部74には今回抽出されたシーケンス番号が特定の番号であるパケットの送信タイムスタンプが保持され、タイムスタンプ保持部75には前回抽出されたシーケンス番号が特定の番号であるパケットの送信タイムスタンプが保持されるので、それらの差分が送信タイムスタンプ間隔算出器76で算出される。よって、受信パケットの前後のシーケンス番号パケットの受信履歴を検索する必要がなくなる。
番号判別部73においては、抽出部72によって抽出されたシーケンス番号が特定の番号である場合に、その特定の番号が所定の差分で変化している否かが判別される。特定の番号が0,32,64,96,……である場合には、シーケンス番号32の後にはシーケンス番号64が特定の番号として判別される筈であるが、図5に示すように、そのシーケンス番号のパケットがIPネットワーク53上で欠落してしまいスレーブ装置52に到達せず、シーケンス番号96が特定の番号として判別された場合には、番号判別部73の指示に応じて送信タイムスタンプ間隔算出器76は送信タイムスタンプの時間間隔の算出を停止する。
このように、かかるスレーブ装置52においては、IPネットワーク上でのパケット到達遅延時間が想定される最大時間範囲内であれば、パケット到達順序の逆転対応回路を不要としても問題がないため、回路規模を小さくすることができる。
また、特定のシーケンス番号のパケットのみを用いて送信タイムスタンプの時間間隔を算出し、受信タイムスタンプの時間間隔との差分信号を生成することにより、差分信号を平滑化する区間における差分算出回数が減り、平滑器84における差分値を蓄積するための内部メモリ容量を小さくすることができる。上記のように、シーケンス番号の下位5ビットが全て0のパケットのみを判別するようにした場合には、差分算出回数は1/32となるため、平滑器84の内部メモリの容量も1/32となる。
更に、受信パケット毎に送受信タイムスタンプの時間間隔の差分を算出する場合には、パケット欠落が発生したならば、必ず欠落による差分算出の無効区間が発生していた。しかしながら、特定のシーケンス番号のパケットのみをクロック同期のために用いることにより、当該パケットが欠落しない限りは影響を受けないことより、パケット欠落の影響を受ける確率を低減させることができる。
なお、上記した実施例においては、シーケンス番号の下位5ビットが全て0のパケットを用いて、送信間隔が1ms、IPネットワーク53上でのパケット到達遅延時間が最大で20msの場合について説明をしたが、特定シーケンス番号を変更することにより、送信間隔や、パケット到達遅延時間が大きなネットワークについても本発明の適用は可能である。例えば、送信間隔が0.5ms、パケット到達遅延時間が最大で40msであるIPネットワークについては、80パケット間の到達順序逆転の可能性があるため、それ以上の差分算出区間を設定すれば良く、特定シーケンス番号を下位7ビットが全て0のパケット(128パケット毎)とすることで本発明の適用が可能となる。
また、上記した実施例においては、タイムスタンプ、シーケンス番号を利用したIPネットワークでの同期クロック伝送方式について説明したが、マスタ装置の送信間隔を一定とすることで送信タイムスタンプ間隔も一定となるため、シーケンス番号情報だけで同期クロック伝送が実現可能となる。
更に、シーケンス番号の下位数ビットが全て0の場合について説明したが、全て1やそれ以外のパターンを特定シーケンス番号としても良い。また、同時に複数個のシーケンス番号を監視することにより、連続する個々のパケット間、若しくは特定シーケンス番号間隔を短周期とした場合と同等の精度で周波数差分を検出すると共に、長い周期で発生するパケットについてのジッタの影響を平均化して周波数差分として検出する回路を簡易に構成することが可能となる。
また、上記した実施例におけるスレーブクロック信号がマスタクロック信号の周波数の逓倍の信号である場合には、送信タイムスタンプ間隔と逓倍した値と受信タイムスタンプ間隔との差分を算出し、分周した周波数の信号である場合には、受信タイムスタンプ間隔に分周値の逆数を掛けた値と送信タイムスタンプ間隔との差分を算出する必要がある。
以上のように、本発明によれば、受信パケットのうちの特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットのタイムスタンプが送信タイムスタンプとされ、スレーブクロック信号に同期して特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットの受信時刻を示すタイムスタンプが受信タイムスタンプとして発生され、送信タイムスタンプの時間間隔と受信タイムスタンプの時間間隔とが一致するようにスレーブクロック信号の周波数が調整される。よって、ネットワークを介して伝送されたパケットにバースト遅延や到着順序の逆転が起きた場合であっても受信側において正確な周波数の主データ再生用のスレーブクロック信号を発生することができる。
1,51 マスタ装置
2,52 スレーブ装置
3,53 IPネットワーク
11,61 マスタクロック発生器
21,77 スレーブクロック発生器
2,52 スレーブ装置
3,53 IPネットワーク
11,61 マスタクロック発生器
21,77 スレーブクロック発生器
Claims (4)
- ネットワークを介して伝送され、かつ主データと共に送信時刻を示すタイムスタンプ及び送信順番を示すシーケンス番号を含むパケットを受信するパケット受信部と、
前記パケット受信部にて受信されたパケットのうちの特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットのタイムスタンプを送信タイムスタンプとして抽出する抽出手段と、
主データ再生用のクロック信号を発生するクロック発生手段と、
前記クロック信号に同期して前記特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットの受信時刻を示すタイムスタンプを受信タイムスタンプとして発生する手段と、
前記送信タイムスタンプの時間間隔と前記受信タイムスタンプの時間間隔とが一致するように前記クロック信号の周波数を調整する周波数調整手段と、を備えたことを特徴とするクロック信号発生装置。 - 前記シーケンス番号は複数ビットのビットデータからなり、前記特定の番号のシーケンス番号は下位所定数のビットが特定の値であることを特徴とする請求項1記載のクロック信号発生装置。
- 前記特定の番号のシーケンス番号を有するパケットの送信間隔は、前記ネットワークを介したパケット伝送における1のパケットとそれに続いて送信されたパケットとの最大到達間隔よりも大なる時間であることを特徴とする請求項1記載のクロック信号発生装置。
- ネットワークを介して伝送され、かつ主データと共に送信時刻を示すタイムスタンプ及び送信順番を示すシーケンス番号を含むパケットを受信してその主データ再生用のクロック信号を発生するクロック信号発生方法であって、
受信パケットのうちの特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットのタイムスタンプを送信タイムスタンプとして抽出し、
前記クロック信号に同期して前記特定の番号のシーケンス番号を有する受信パケットの受信時刻を示すタイムスタンプを受信タイムスタンプとして発生し、
前記送信タイムスタンプの時間間隔と前記受信タイムスタンプの時間間隔とが一致するように前記クロック信号の周波数を調整することを特徴とするクロック信号発生方法。
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