JP2007281065A - 磁気遮蔽材及び当該磁気遮蔽材から成る磁気遮蔽物 - Google Patents
磁気遮蔽材及び当該磁気遮蔽材から成る磁気遮蔽物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】より効果が得られるように、従来、軟磁性材料では実現困難であった、高透磁率、高磁束密度の両立を可能にした軟磁性合金の構成を示した磁気遮蔽材及び当該磁気遮蔽材から成る磁気遮蔽物を提供する。
【解決手段】Fe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して扁平に形成した軟磁性合金1を二枚用意し、これらの間にPET樹脂層2から成るスペーサーを介在させてこれらを貼り合わせて可撓性のある扁平なシート状に設けた。
【選択図】図1
【解決手段】Fe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して扁平に形成した軟磁性合金1を二枚用意し、これらの間にPET樹脂層2から成るスペーサーを介在させてこれらを貼り合わせて可撓性のある扁平なシート状に設けた。
【選択図】図1
Description
この発明は、電子機器、通信機器、パソコンなど通電された各種機器等から発生する主に低周波の磁気を遮蔽する磁気遮蔽材及び当該磁気遮蔽材から成る磁気遮蔽物に関するものである。
従来、電子機器、通信機器、パソコンなど通電された各種機器等から発生する低周波磁気が人体に悪影響を与える観点から、また、機器等によっては隣接するもの同士が相互に干渉し合って、不都合な結果を招くことから、様々な磁気遮蔽材、磁気シールドが考えられている。
ナノテクノロジー(超微細技術、以下、同じ)の結晶技術により磁気遮蔽材を形成して磁気遮蔽する場合、発生した磁気を熱エネルギーに変換し、吸収することにより行っている。また、図15に示すように、磁気遮蔽材Zを被遮蔽物21(ケーブル)に接近させ(図15における矢印方向)、図16に示すように、磁気遮蔽材Zを被遮蔽物21に巻きまわした際、擬似的に抵抗成分R、Lが増加発生し(図16における点線による四角形22の中)、インピーダンス成分を新たに追加したような効果が生ずる。この時、磁気は、電気とは逆方向のインピーダンスの高い方に流れる傾向があり、これによって、磁気が流れる磁路を作るので、磁気遮蔽材を形成する物質の透磁率が問題となる。
そして、磁気遮蔽材におけるシールド率は以下の式により求められる。
シールド率(S)=
1+0.96×磁気遮蔽材の透磁率(μ)×磁気遮蔽材の厚みの長さ(t)/磁気遮蔽材の辺の長さ(D)
シールド率(S)=
1+0.96×磁気遮蔽材の透磁率(μ)×磁気遮蔽材の厚みの長さ(t)/磁気遮蔽材の辺の長さ(D)
よって、シールドされた場合の磁気の減衰は、基本的に磁気シールド(磁気遮蔽)の対象磁界での磁気遮蔽材の透磁率と厚みに影響される。最もシンプルな静磁界の場合、その静磁界が直方体ならば、
磁気遮蔽材の透磁率(μ)×直方体の厚みの長さ(t)/直方体の辺の長さ(D)によって決まる。
磁気遮蔽材の透磁率(μ)×直方体の厚みの長さ(t)/直方体の辺の長さ(D)によって決まる。
この磁気遮蔽材の透磁率(μ)は、B−H(外部磁界−材料の磁化)特性の曲線が飽和に近づいた場合、当該磁気遮蔽材の透磁率(μ)が下がることとも相俟って、当該磁気遮蔽材の磁化の限界である飽和磁束密度(Bs)×厚みの長さ(t)を超える磁束が発せられるとシールドができず、磁界が漏洩することを表している。この場合、磁気遮蔽材の飽和磁束密度(Bs)が高く、厚みの長さ(t)が高ければ(枚数を重ねるなど)、防ぐことが出来る。しかし、このことは、経済性とのバランスの問題ともなる。
この様な中、磁気遮蔽材として、紙片の一面に微粒子状の軟磁性フェライトを装着し、この紙片を上下面から軟磁性合金で挟んで三層状に設けて磁気遮蔽材を形成したものがある。この磁気遮蔽材による磁気遮蔽の方法は、機器等から発せられる磁力線を透磁性の高い磁性材料で巻きまわして被覆し、うず電流が発生する前に磁化させて磁力線が磁気遮蔽材から漏れないようにするというものである。すなわち、ここで言う磁化とは、磁界を熱エネルギーに変換して消滅させることを言う。
特開2004−193222号公報
しかしながら、上記磁気遮蔽材は、紙片の一面に微粒子状の軟磁性フェライトを装着し、その上下面を軟磁性合金により挟んで三層状に設けると言う構成を採用して磁気遮蔽を行っているが、さらに、より効果を奏することが求められている。
そこで、この発明は、これらの点に鑑みて為されたもので、より効果が得られるように、従来、軟磁性材料では実現困難であった、高透磁率、高磁束密度の両立を可能にした軟磁性合金の構成を示した磁気遮蔽材及び当該磁気遮蔽材から成る磁気遮蔽物を提供して上記課題を解決するものである。
請求項1の発明は、Fe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して扁平に形成した軟磁性合金を二枚用意し、これらの間に非磁性体から成るスペーサーを介在させてこれらを貼り合わせて可撓性のある扁平なシート状に設けた磁気遮蔽材とした。また、請求項2の発明は、Feに,Cu,Nb,Si,Bを添加混合して扁平に形成した軟磁性合金を二枚用意し、これらの間に非磁性体から成るスペーサーを介在させてこれらを貼り合わせて可撓性のある扁平なシート状に設けた磁気遮蔽材とした。
請求項3の発明は、Fe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して扁平に形成した第一の軟磁性合金と、Feに、Cu,Nb,Si,Bを添加混合して上記第一の軟磁性合金と略同形同大に形成した第二の軟磁性合金とを用意し、これらの間に非磁性体から成るスペーサーを介在させてこれらを貼り合わせて可撓性のある扁平なシート状に設けた磁気遮蔽材とした。
また、請求項4の発明は、上記請求項1、2又は3の何れかの扁平なシート状の磁気遮蔽材と、当該磁気遮蔽材と同構造の磁気遮蔽材を別途細長に形成して設け、当該細長に形成した磁気遮蔽材の相対向する長辺を相互に重ねるように折り込んで細長の断面略U字形状に設け、当該断面略U字形状に設けた細長の低周波磁気遮蔽材の凹部に、上記扁平なシート状の磁気遮蔽材の磁力線が発生する方向と直角に接する相対向する二辺の端縁を夫々挿入して挟んでこれらを接合した磁気遮蔽物とした。
請求項1、2、3及び4の各発明によれば、可撓性のあるシート状に設けたので、ハサミで容易に切断等の加工が出来、磁気ノイズ発生源に容易に貼り付け又は巻くなどすることが出来、磁気ノイズを効果的に抑制できる。また、請求項1の発明によれば、Fe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して扁平に形成した軟磁性合金を二枚用意し、これらの間に非磁性体から成るスペーサーを介在させて貼り合わせて可撓性のある扁平なシート状に設けたので、低磁界から中磁界にかけ、遮蔽材の透磁率(μ)が高く、低磁界のシールドに適したものである。
請求項2の発明によれば、Feに,Cu,Nb,Si,Bを添加混合して扁平に形成した軟磁性合金を二枚用意し、これらの間に非磁性体から成るスペーサーを介在させて貼り合わせて可撓性のある扁平なシート状に設けたので、遮蔽材の透磁率(μ)が220,000と極めて高く、磁束密度とバランスの取れた磁性材料となっており、また、遮蔽材のB−H特性が優れており、磁気シールド、0.03μT(マイクロテラ、以下、同じ)以下の場合の使用に適している。
請求項3の発明によれば、Fe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して扁平に形成した第一の軟磁性合金と、Feに、Cu,Nb,Si,Bを添加混合して上記第一の軟磁性合金と略同形同大に形成した第二の軟磁性合金とを非磁性体から成るスペーサーを介在させて貼り合わせて可撓性のある扁平なシート状に設けたので、不用輻射ノイズがGHz等の高周波の領域に入っても、各種の電磁ノイズに対応できる。他の磁性材料と比べ、磁化され易く、特定の周波数で発生するノイズを吸収し易く、高周波帯300MHz以上において、高い抑制効果を有する。
請求項4の発明によれば、上記扁平なシート状の磁気遮蔽材の磁力線が発生する方向と直角に接する相対向する二辺の端縁を断面略U字形状の同構成の磁気遮蔽材で挟んでこれらを接合したので、同一規模の磁気遮蔽物と比べ、エネルギー変換容量をさらに増加させることが出来る。
その為、例え、遮蔽しようとする磁界が当該シート状の磁気遮蔽材の端部から溢れ出て二次磁界を形成しようとしても、この断面略U字形状の磁気遮蔽材の凹部内から出ることが出来ず、この断面略U字形状の凹部内で、再度、当該磁界が熱エネルギーに変換され、吸収されて消滅する。それ故、磁気遮蔽物として薄いまま形成出来、折り、曲げを始め、熱処理など各種加工が容易に出来、大きさや厚さが同一の磁気遮蔽物と比べ、磁気遮蔽性能に優れたものが得られる。
Fe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して扁平に形成した軟磁性合金を二枚用意し、これらの間に非磁性体から成るスペーサーを介在させてこれらを貼り合わせて可撓性のある扁平なシート状に設けた。
この磁気遮蔽材を磁気ノイズ発生源に貼り付ければ、容易に磁気ノイズを抑制することが出来る。
この磁気遮蔽材を磁気ノイズ発生源に貼り付ければ、容易に磁気ノイズを抑制することが出来る。
この発明の実施例1を図に基づいて説明する。
この実施例1の低周波磁気遮蔽材(以下「磁気遮蔽材」という)Aは、図1に示すように、ナノテクノロジーを利用した結晶技術により、Feを主体にしたFe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して、幅470mm、長さ1,000mmの扁平な状態の軟磁性合金1を2枚設け、これらの2枚の軟磁性合金1の間にPET(Poly Ethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート、以下、同じ)樹脂層2を介在させてこれらを接着剤により貼り合わせて、厚さ0.55mm以下の可撓性のある扁平なシート状に設けたものである。
この実施例1の低周波磁気遮蔽材(以下「磁気遮蔽材」という)Aは、図1に示すように、ナノテクノロジーを利用した結晶技術により、Feを主体にしたFe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して、幅470mm、長さ1,000mmの扁平な状態の軟磁性合金1を2枚設け、これらの2枚の軟磁性合金1の間にPET(Poly Ethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート、以下、同じ)樹脂層2を介在させてこれらを接着剤により貼り合わせて、厚さ0.55mm以下の可撓性のある扁平なシート状に設けたものである。
この様にして、この実施例1では磁気遮蔽材Aを以下の仕様とした。
型式:三層磁気遮蔽材
材質:軟磁性合金
透磁率:70,000(50Hz)
磁束密度:1.23(T)
密度:7.4(103kg/m3)
抵抗率:1.2(μΩm)
厚さ:0.55(mm)以下
重量:300(g)
型式:三層磁気遮蔽材
材質:軟磁性合金
透磁率:70,000(50Hz)
磁束密度:1.23(T)
密度:7.4(103kg/m3)
抵抗率:1.2(μΩm)
厚さ:0.55(mm)以下
重量:300(g)
この発明の実施例2を図に基づいて説明する。
この実施例2の磁気遮蔽材Bは、図2に示すように、ナノテクノロジーを利用した結晶技術により、Fe73.5%に,Cu1%,Nb3%,Si13.5%,B9%を添加混合して、幅470mm、長さ1,000mmの扁平な状態の軟磁性合金3を2枚設け、これらの2枚の軟磁性合金3の間にPET樹脂層2を介在させてこれらを接着剤により貼り合わせて、厚さ0.55mm以下の可撓性のある扁平なシート状に設けた。
この実施例2の磁気遮蔽材Bは、図2に示すように、ナノテクノロジーを利用した結晶技術により、Fe73.5%に,Cu1%,Nb3%,Si13.5%,B9%を添加混合して、幅470mm、長さ1,000mmの扁平な状態の軟磁性合金3を2枚設け、これらの2枚の軟磁性合金3の間にPET樹脂層2を介在させてこれらを接着剤により貼り合わせて、厚さ0.55mm以下の可撓性のある扁平なシート状に設けた。
この様にして、この実施例2では磁気遮蔽材Bを以下の仕様とした。
型式:三層磁気遮蔽材
材質:軟磁性合金
透磁率:220,000
磁束密度:0.7(T)
抵抗率:1.2(μΩm)
厚さ:0.55(mm)
重量:300(g)
型式:三層磁気遮蔽材
材質:軟磁性合金
透磁率:220,000
磁束密度:0.7(T)
抵抗率:1.2(μΩm)
厚さ:0.55(mm)
重量:300(g)
この発明の実施例3を図に基づいて説明する。
この実施例3の磁気遮蔽材Cは、図3に示すように、上記実施例1に記載したFeを主体にしたFe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して、幅470mm、長さ1,000mmの扁平な状態に形成した第一の軟磁性合金1と、上記実施例2に記載したFe73.5%に,Cu1%,Nb3%,Si13.5%,B9%を添加混合して、幅470mm、長さ1,000mmの扁平な状態に形成した第二の軟磁性合金3とを設け、これらの第一の軟磁性合金1と第二の軟磁性合金3の間にPET樹脂層2を介在させてこれらを接着剤により貼り合わせて、厚さ0.55mm以下の可撓性のある扁平なシート状に設けた。
この様にして、長方形状で扁平なシート状の磁気遮蔽材Cを形成した。
この実施例3の磁気遮蔽材Cは、図3に示すように、上記実施例1に記載したFeを主体にしたFe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して、幅470mm、長さ1,000mmの扁平な状態に形成した第一の軟磁性合金1と、上記実施例2に記載したFe73.5%に,Cu1%,Nb3%,Si13.5%,B9%を添加混合して、幅470mm、長さ1,000mmの扁平な状態に形成した第二の軟磁性合金3とを設け、これらの第一の軟磁性合金1と第二の軟磁性合金3の間にPET樹脂層2を介在させてこれらを接着剤により貼り合わせて、厚さ0.55mm以下の可撓性のある扁平なシート状に設けた。
この様にして、長方形状で扁平なシート状の磁気遮蔽材Cを形成した。
次に、上記実施例1の磁気遮蔽材Aを使って、具体的に磁気遮蔽物を作成した。図4及び図5に示すように、送電線や各種ケーブルを挿通するパイプやトラフの内周に、この磁気遮蔽材Aを貼り付けて、磁気遮蔽物としてパイプ4及びトラフ5を作成した。これにより、パイプ4及びトラフ5の内側から外側、又は、外側から内側の磁気が夫々遮蔽される。また、図6に示すように、作業者が被るヘルメットの内側にこの磁気遮蔽材Aを貼り付けてヘルメット6を作成した。
さらに、この磁気遮蔽材Aを使って、クレジットカードやキャッシュカードの磁気記録情報を不正に読み取るスキミングから守ることが出来る。具体的には、この磁気遮蔽材Aによって上記クレジットカード等を被覆してカードホルダーに保持するようにしたり、また、この磁気遮蔽材Aによって、カードホルダーを形成し、この中にクレジットカード等を保持するようにしてもよい。
この時、図7に示すように、遮蔽しようとする物体から発生する磁力線の方向イと磁気遮蔽材Aから発生する磁力線の方向ロとが直角と成るにようにして配置する。
さらに、これらの磁気遮蔽材Aを細かく裁断して繊維化し、この繊維により作業服や布を作ることもできる。また、この磁気遮蔽材Aを幅10mmのテープ状に加工し、送電ケーブルなどに直接巻き付けて磁気遮蔽することも出来る。
さらに、これらの磁気遮蔽材Aを細かく裁断して繊維化し、この繊維により作業服や布を作ることもできる。また、この磁気遮蔽材Aを幅10mmのテープ状に加工し、送電ケーブルなどに直接巻き付けて磁気遮蔽することも出来る。
ここでは、実施例1の磁気遮蔽材Aを使用してパイプ4やトラフ5などの磁気遮蔽物を作成したが、もちろん、実施例2、3の磁気遮蔽材B、Cを使用しても同様に磁気遮蔽物を作成することが出来る。以下に、各実施例1、2、3による磁気遮蔽材A、B、Cの特徴を説明する。
実施例1の磁気遮蔽材Aを使用した場合は、低磁界から中磁界にかけ、遮蔽材の透磁率(μ)が高く、低磁界のシールドに適したものである。具体的には、受変電設備における電磁波に起因する誤動作、高圧ケーブルにおける電磁波に起因する磁場環境の乱れなどの際に有効に使用できる。また、軽量であって、ハサミで切断が出来、加工が容易である。
また、実施例2の磁気遮蔽材Bを使用した場合、この磁気遮蔽材の透磁率(μ)が220,000と高く、磁束密度とバランスの取れた磁性材料となっている。また、遮蔽材のB−H特性が優れており(0.008〜0.8A/m=0.001〜1μTの低磁界で磁気シールド性能が高い)、磁気シールド、0.03μT以下の場合の使用に適している。具体的には、シールドルーム、電子顕微鏡、電子描画装置、電子分析装置、又は各種の医療機器などの磁気遮蔽にも適したものである。また、軽量であって、ハサミで切断が出来、加工が容易である。
さらに、実施例3の磁気遮蔽材Cを使用した場合、不用輻射ノイズがGHz等の高周波の領域に入っても、各種の電磁ノイズに対応できる。他の磁性材料と比べ、磁化され易く、特定の周波数で発生するノイズを吸収し易く、高周波帯300MHz以上において、高い抑制効果を有する。具体的には、通信コネクターや計装コネクターなどの電磁波の漏れに起因する誤動作、誤読などに有効に対応できる。また、軽量であって、ハサミで切断が出来、加工が容易である。
さらに、この発明の実施例4を図に基づいて説明する。
この実施例4の磁気遮蔽材Dは、たて400mm、よこ600mm、厚さ0.1mmの長方形状の紙片7の表面に、図8に示すように、微粒子状の軟磁性フェライト(Mn−Zn)8を1.3g〜2.0g、アクリル系接着剤により接着して取り付け、この紙片7の上下面に、透磁率50,000(50Hz)、磁束密度1.0〜1.3(T)のコバルト系アモルファス合金(Co−Nb−Zr)を熱処理して得られた0.2mmの厚さの軟磁性合金9をアクリル系接着剤により接合して三層状に形成した。
この様にして、長方形状で扁平なシート状の磁気遮蔽材Dを形成した。
この実施例4の磁気遮蔽材Dは、たて400mm、よこ600mm、厚さ0.1mmの長方形状の紙片7の表面に、図8に示すように、微粒子状の軟磁性フェライト(Mn−Zn)8を1.3g〜2.0g、アクリル系接着剤により接着して取り付け、この紙片7の上下面に、透磁率50,000(50Hz)、磁束密度1.0〜1.3(T)のコバルト系アモルファス合金(Co−Nb−Zr)を熱処理して得られた0.2mmの厚さの軟磁性合金9をアクリル系接着剤により接合して三層状に形成した。
この様にして、長方形状で扁平なシート状の磁気遮蔽材Dを形成した。
ここで、軟磁性フェライト(Mn−Zn)8を一面に設けた紙片7を上下面から、軟磁性合金9で被覆するのは、磁気の遮蔽を行った場合、軟磁性合金9の微粒子に電磁波等の磁束が衝突した際、熱が屈折伝搬するが、この熱と屈折率の関係は、屈折伝搬する物理的な距離を増やすことにより、熱に変換された磁束の放出効率が上がることを見出したことに基づくものであり、熱に変換された磁束を効果的に減衰させ、磁気遮蔽するためである。
この様にして、この実施例4では磁気遮蔽材Dを以下の仕様とした。
型式:三層磁気遮蔽材
材質:軟磁性合金
透磁率:50,000(50Hz)
磁束密度:1.2(T)
密度:7.4(103kg/m3)
抵抗率:1.2(μΩm)
厚さ:0.5(mm)
単位面積:0.5(kg/m2)
型式:三層磁気遮蔽材
材質:軟磁性合金
透磁率:50,000(50Hz)
磁束密度:1.2(T)
密度:7.4(103kg/m3)
抵抗率:1.2(μΩm)
厚さ:0.5(mm)
単位面積:0.5(kg/m2)
また、この磁気遮蔽材Dを別途細長に設け、図9に示すように、当該細長に設けた磁気遮蔽材Eの相対向する長辺を相互に重ねるように折り込んでこの磁気遮蔽材Eを細長の断面U字形状に設け、この断面U字形状に設けた細長の磁気遮蔽材Eの凹部内に、図10に示すように、この磁気遮蔽材Dの磁力線が発生する方向ハと直角となる相対向する二辺の端縁を夫々挿入して挟んだ状態で、アクリル系接着剤により接着する。この様にして、磁気遮蔽物D1を形成した(図9参照)。
この様な磁気遮蔽物D1を、上記実施例1、2及び3の磁気遮蔽材A、B及びCのように、送電線や各種ケーブルを挿通するパイプ4等の内周に貼り付けて使用することはもちろん可能である。その際も、図7に示すように、遮蔽しようとする物体から磁力線が発生する方向イと当該磁気遮蔽材Dの磁力線の発生する方向ロとが直角と成るように配置する。その結果、図11に示すように、この磁気遮蔽材Dのエネルギー変換容量を超えた磁力線20が、相対向する端縁から溢れ出て二次磁界を形成しようとしても、これらの端縁に接合された磁気遮蔽材EのU字形状の凹部内から出ることが出来ず、このU字形状の凹部内で、再度、当該磁力線20が熱エネルギーに変換され、吸収されて消滅される。
この時、二つに折り込んだ細長の磁気遮蔽材Eの長さ(L)及び厚さ(T)は、二次磁界が変換されるエネルギーの容量を確保するために一定の比率で決まってくる。
また、この磁気遮蔽材Dによって、クレジットカードやキャッシュカードを被覆するようにすると、スキミングからより効果的に守ることが出来る。例えば、上記磁気遮蔽材Aの場合と同様にすることも出来る他、さらに、負荷変調で発生した磁界をリダーが読み取る方式の装置(スキマー)により読み取りが行われる場合、この装置とクレジットカード等の表面全面との間にこの磁気遮蔽材Dによって形成したシートを介在させるようにすると、このシート状で磁気の流れる道が出来、さらに、磁力線が上記U字形状の凹部内で熱エネルギーに変換されて吸収消滅される。これにより、スキミングから守られる。
次に、この発明の実施例5を説明する。
この実施例5では、上記実施例1の磁気遮蔽材A及び上記実施例2の磁気遮蔽材Bを組み合わせて、0.03μT以内の数値が求められるシールドルームを形成する。具体的には、図12に示すように、建築物の躯体10の天井面及び壁面10aの外側に上記実施例1の磁気遮蔽材Aを貼り付け、当該躯体10の天井面及び壁面10aの内側に上記実施例2の磁気遮蔽材Bを貼り付けたものである。
この実施例5では、上記実施例1の磁気遮蔽材A及び上記実施例2の磁気遮蔽材Bを組み合わせて、0.03μT以内の数値が求められるシールドルームを形成する。具体的には、図12に示すように、建築物の躯体10の天井面及び壁面10aの外側に上記実施例1の磁気遮蔽材Aを貼り付け、当該躯体10の天井面及び壁面10aの内側に上記実施例2の磁気遮蔽材Bを貼り付けたものである。
この様にして設けた、図13に示すシールドルーム11の大きさは、奥行き2,000mm、横2,000mm、高さ2,000mm、総重量2,000Kg、磁気シールド性能(直流シールド:50dB、交流シールド:40dB《10Hz》、60dB《50Hz》)とした。
これにより、交流磁場や直流磁場に起因する磁場環境の乱れがあったとしても、これらを効果的に磁気遮蔽することが出来た。
これにより、交流磁場や直流磁場に起因する磁場環境の乱れがあったとしても、これらを効果的に磁気遮蔽することが出来た。
なお、上記実施例において、実施例1、2及び3の扁平なシート状の各磁気遮蔽材A、B及びCを2枚貼り合せて形成する際に使用する非磁性体のスペーサーとしては、上記PETに限定するものではなく、また、実施例4の磁気遮蔽材Dを長方形状で扁平な紙片7を基材として設けているが、扁平な基材の形状や材質としては、これに限定するものではなく、他のものでも良い。また、実施例1、2、3及び4の磁気遮蔽材A、B、C及びD、実施例5のシールドルーム11の大きさも上記記載のものに限定するものではない。
また、実施例2の磁気遮蔽材Bを形成する軟磁性合金3の各種成分の配合比として、具体的に記載しているが、軟磁性合金3を形成する各種成分の配合比としては、これに限定するものではない。また、実施例4の細長に設けた磁気遮蔽材Eを折り曲げて断面U字形状に設けているが、細長の磁気遮蔽材Eを形成するのは断面U字形状に限らず、断面L字形状でもよい。この時、図14に示すように、磁気遮蔽材Eと同様に、磁気遮蔽材Dのエネルギー変換容量を超えた磁力線20が、当該磁気遮蔽材Dから溢れ出て二次磁界を形成しようとしても、このL字形状の磁気遮蔽材Fの屈曲部と被覆部内から出ることが出来ず、このL字形状の屈曲部と被覆部内で、磁力線が熱エネルギーに変換され、吸収されて消滅する。
また、軟磁性フェライト7や軟磁性合金8を接着するのにアクリル系の接着剤を使用しているが、接着剤はこれに限定するものではない。
A 磁気遮蔽材 B 磁気遮蔽材
C 磁気遮蔽材 D 磁気遮蔽材
D1 磁気遮蔽物 E 磁気遮蔽材
F 磁気遮蔽材
1 軟磁性合金 2 PET
3 軟磁性合金 7 紙片
8 軟磁性フェライト 9 軟磁性合金
20 磁力線
ロ 実施例1の磁気遮蔽材から発生する磁力線の方向
ハ 実施例4の磁気遮蔽材から発生する磁力線の方向
C 磁気遮蔽材 D 磁気遮蔽材
D1 磁気遮蔽物 E 磁気遮蔽材
F 磁気遮蔽材
1 軟磁性合金 2 PET
3 軟磁性合金 7 紙片
8 軟磁性フェライト 9 軟磁性合金
20 磁力線
ロ 実施例1の磁気遮蔽材から発生する磁力線の方向
ハ 実施例4の磁気遮蔽材から発生する磁力線の方向
Claims (4)
- Fe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して扁平に形成した軟磁性合金を二枚用意し、これらの間に非磁性体から成るスペーサーを介在させてこれらを貼り合わせて可撓性のある扁平なシート状に設けたことを特徴とする、磁気遮蔽材。
- Feに,Cu,Nb,Si,Bを添加混合して扁平に形成した軟磁性合金を二枚用意し、これらの間に非磁性体から成るスペーサーを介在させてこれらを貼り合わせて可撓性のある扁平なシート状に設けたことを特徴とする、磁気遮蔽材。
- Fe(Si)B合金に、Cu,Nb,Ta,Mo,Zrを添加混合して扁平に形成した第一の軟磁性合金と、Feに、Cu,Nb,Si,Bを添加混合して上記第一の軟磁性合金と略同形同大に形成した第二の軟磁性合金とを用意し、これらの間に非磁性体から成るスペーサーを介在させてこれらを貼り合わせて可撓性のある扁平なシート状に設けたことを特徴とする、磁気遮蔽材。
- 上記請求項1、2又は3の何れかの扁平なシート状の磁気遮蔽材と、当該磁気遮蔽材と同構造の磁気遮蔽材を別途細長に形成して設け、当該細長に形成した磁気遮蔽材の相対向する長辺を相互に重ねるように折り込んで細長の断面略U字形状に設け、当該断面略U字形状に設けた細長の低周波磁気遮蔽材の凹部に、上記扁平なシート状の磁気遮蔽材の磁力線が発生する方向と直角に接する相対向する二辺の端縁を夫々挿入して挟んでこれらを接合したことを特徴とする、磁気遮蔽物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006103021A JP2007281065A (ja) | 2006-04-04 | 2006-04-04 | 磁気遮蔽材及び当該磁気遮蔽材から成る磁気遮蔽物 |
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JP2006103021A JP2007281065A (ja) | 2006-04-04 | 2006-04-04 | 磁気遮蔽材及び当該磁気遮蔽材から成る磁気遮蔽物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015075261A (ja) * | 2013-10-07 | 2015-04-20 | 中部電力株式会社 | 磁気作業物質を用いた熱交換体 |
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2006
- 2006-04-04 JP JP2006103021A patent/JP2007281065A/ja active Pending
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