JP2007279269A - 偏光板、それを用いた液晶パネル及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】偏光フィルムの表裏に特性の異なる保護フィルムを貼り合わせたときに、偏光板のカールを抑えることができ、液晶セルなどのガラスに貼着した状態で高温条件下にさらしても、端部に発生しやすい不良を抑えることができる偏光板を提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系偏光フィルムの片面に、表面処理層を有するセルロースエステル系フィルムからなる第一の保護フィルムが貼合され、他面にはセルロースエステル系フィルムからなる第二の保護フィルムが貼合されてなり、第一の保護フィルム及び第二の保護フィルムは、それぞれ80℃で2時間放置したときの面積変化率をA及びBとして、両者の比A/Bが0.6以上1.2以下となるように組み合わせた偏光板が提供される。この偏光板を、ツイステッドネマチック型液晶が挟持された液晶セルの視認側に配置して、液晶パネル、さらには液晶表示装置とされる。
【選択図】なし
【解決手段】ポリビニルアルコール系偏光フィルムの片面に、表面処理層を有するセルロースエステル系フィルムからなる第一の保護フィルムが貼合され、他面にはセルロースエステル系フィルムからなる第二の保護フィルムが貼合されてなり、第一の保護フィルム及び第二の保護フィルムは、それぞれ80℃で2時間放置したときの面積変化率をA及びBとして、両者の比A/Bが0.6以上1.2以下となるように組み合わせた偏光板が提供される。この偏光板を、ツイステッドネマチック型液晶が挟持された液晶セルの視認側に配置して、液晶パネル、さらには液晶表示装置とされる。
【選択図】なし
Description
本発明は、偏光板、それを用いた液晶パネル及び液晶表示装置に関するものである。
近年、液晶表示装置(LCD)は、テレビ、パーソナルコンピュータのモニタ、カーナビゲーションシステム、携帯電話など、各種表示画面への利用が増大している。特に、使用場所の拡大と汎用化及び多様化に伴い、液晶表示装置は、より高品質、高耐久であることが求められている。
液晶表示装置の品質は、その構成部材の一つである偏光板の物理特性により左右されることが多い。偏光板の最も一般的な構成は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面に透明な保護フィルムが支持体として貼合された形である。偏光板用の保護フィルムとしては、複屈折性が小さい特性から、現在ではセルロースエステル系のフィルムが多く用いられており、なかでもトリアセチルセルロースフィルムは、TACフィルムとも呼ばれ、多用されている。
さて、液晶表示装置に用いられる偏光板の表示面側には、外光の映り込みやギラツキを防ぐための防眩処理、外光の反射を防ぐための反射防止処理、表面の耐擦傷性などを改善するためのハードコート処理、静電気の発生を防ぐための帯電防止処理など、各種の表面処理を施すことが多い。このような表面処理層は、偏光フィルムの片面側に配置される保護フィルムの表面に設けることが多い。そして、ポリビニルアルコール系偏光フィルムの片面に、表面処理層を有するセルロースエステル系フィルムからなる第一の保護フィルムを、他面にはセルロースエステル系フィルムからなる第二の保護フィルムを、それぞれ接着剤を介して貼り合わせてなる偏光板は、それを高温条件下にさらすと、片面側に反る現象、いわゆるカールを生じることがあった。
また、偏光板の他面、すなわち液晶セル側となる面には、液晶性物質をコーティング層とする光学補償層を配置することも知られている。例えば、特許第 3118197号公報(特許文献1)には、ディスコティック構造単位を有する化合物の円盤面がフィルム面に対して傾いており、かつその傾き角度が深さ方向に変化している光学異方性層を有する光学補償シートが開示されており、特許第 3341126号公報(特許文献2)には、液晶状態でねじれネマチック配向する液晶性高分子をそのねじれネマチック配向状態で固定してなる補償板が開示されており、また特許第 3670786号公報(特許文献3)には、正の一軸性を示す液晶性高分子がフィルムの一方の面から他方の面にかけて傾き角を連続的に変化させてネマチックハイブリッド配向している光学素子用フィルムが開示されている。
上記の如き液晶性物質からなる光学補償層は一般に、基材フィルム上にコーティングによって設けられるが、その基材フィルムをセルロースエステル系フィルムで構成し、その上に液晶性物質のコーティング層を設けた光学補償板を、偏光板の一方の保護フィルムとすることもある。このような、液晶性物質のコーティング層を有するセルロースエステル系フィルムが片面に配置された偏光板においても、やはりカールを生じることがあった。
カールが生じやすい偏光板に粘着剤を塗工し、得られた粘着剤付き偏光板を液晶セルなどのガラスに貼着した状態で高温条件下にさらすと、粘着剤が偏光板のカールに引きつられて、偏光板端部に不良が発生しやすくなる。偏光板のカールや、液晶セルなどのガラスに貼着したときの不良は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムの両面に貼り合わされる保護フィルム相互の物性差、特に寸法変化の差が要因になって生じるものと考えられる。
一方、偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼り合わせた偏光板において、ゆがみやスジ状故障などの外観異常を抑えるために、2枚の保護フィルムの熱による寸法変化率が所定の関係となるようにする提案もなされている。例えば、特開 2005-349580号公報(特許文献4)には、セルロースエステルフィルムからなる偏光板用保護フィルムとセルロースエステルフィルムに塗設層(表面処理層)が設けられた塗工フィルムからなる偏光板用保護フィルムとを、偏光フィルムの両面に貼り合わせる際、前者の熱照射による製膜方向寸法変化量に対する後者の熱照射による製膜方向寸法変化量の比が60〜100%となるように組み合わせることが開示されている。また、特開 2005-350492号公報(特許文献5)には、同じくセルロースエステルフィルムからなる偏光板用保護フィルムとセルロースエステルフィルムに塗設層(表面処理層)が設けられた塗工フィルムからなる偏光板用保護フィルムとを、偏光フィルムの両面に貼り合わせる際、前者の熱照射による製膜方向寸法変化量に対する後者の熱照射による製膜方向寸法変化量の比が100〜140%となるように組み合わせることが開示されている。
さて、先に述べたように、偏光板を、その一方の面に設けられた粘着剤を介してガラスに貼着した状態で高温条件下にさらすと、粘着剤が偏光板のカールに引きつられて偏光板端部に不良が発生しやすくなるが、この様子を、図1及び図2に基づいて説明する。図1は、偏光板をガラスに貼着した状態を模式的に示す平面図であって、(a)は貼着直後、すなわち熱処理前の状態を示し、(b)は熱処理後の状態を示す。偏光板1をガラス2に貼着した直後は、図1の(a)に示すように、偏光板1の端部から粘着剤がはみ出すことはない。これを高温状態にさらした後は、図1の(b)に示すように、偏光板1が収縮するのに引きずられて、粘着剤が偏光板周囲でわずかにはみ出したような、いわゆる引きつれ3を生じることがある。
図2は、偏光板をガラスに貼着して高温状態にさらした後の偏光板端部を上から見て拡大した状態を模式的に示す平面図である。換言すれば、この図は、図2の(b)の一部を拡大した状態に相当する。この図に示すように、高温状態にさらした後の端部を偏光板1の上方から観察すると、粘着剤の引きつれ3とともに、その部分から偏光板1の内側へ伸びるスジ4が観察されることがある。これは、偏光板のカールしようとする力が粘着剤の厚み方向に働き、それによって粘着剤層が部分的に破断され、スジ4として現れるものと考えられる。
そこで本発明の目的は、上記したような偏光フィルムの表裏に特性の異なる保護フィルムを貼り合わせたときに、偏光板のカールを抑えることができ、液晶セルなどのガラスに貼着した状態で高温条件下にさらしても、端部に発生しやすい不良を抑えることができる偏光板を提供することにある。具体的には、表面処理層を有するセルロースエステル系フィルムを第一の保護フィルムとし、セルロースエステル系フィルムあるいは液晶性物質からなるコーティング層が形成されたセルロースエステル系フィルムを第二の保護フィルムとして、ポリビニルアルコール系偏光フィルムの両面にそれぞれ貼り合わせた偏光板において、カールの発生を抑え、液晶セルなどのガラスに貼着した状態で高温条件下にさらしても、端部に発生しやすい不良を抑えることができる偏光板を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、ポリビニルアルコール系偏光フィルムの片面に、表面処理層を有するセルロースエステル系フィルムからなる第一の保護フィルムが貼合され、他面にはセルロースエステル系フィルムからなる第二の保護フィルムが貼合されてなる偏光板において、2枚のフィルムにつき、面積変化率の差をできるだけ小さくすれば、カールなどの異常や、液晶セルの基板ガラスに粘着剤を介して貼着したときに偏光板端部に発生しやすい不良などを抑えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムの片面に、表面処理層を有するセルロースエステル系フィルムからなる第一の保護フィルムが貼合され、他面にはセルロースエステル系フィルムからなる第二の保護フィルムが貼合されてなり、第一の保護フィルム及び第二の保護フィルムは、前者の温度80℃で2時間放置したときの面積変化率をA、後者の温度80℃で2時間放置したときの面積変化率をBとして、両者の比A/Bが0.6以上1.2以下のもので構成される。
この偏光板は、80℃で2時間放置したときのカールが、偏光板の4角平均で3mm以下となるようにすることができる。
この偏光板において、第二の保護フィルムは、液晶性物質からなるコーティング層を有することができる。この場合のコーティング層は、例えば、ディスコティック液晶からなり、光学的に負の一軸性でその光学軸がフィルムの法線方向から5〜50゜傾斜しているものや、棒状液晶性高分子からなり、その基板平面への投影成分が膜厚方向に連続的に回転しているねじれチルト状態で配向しているものや、棒状液晶性高分子からなり、その液晶性高分子のダイレクターとフィルム平面のなす角がフィルム上面と下面とで異なるハイブリッドネマチック配向しているものなどで構成することができる。これらの液晶性物質からなるコーティング層は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムと反対側に設けられるのが一般的である。
これらの偏光板において、第二の保護フィルムのポリビニルアルコール系偏光フィルムと反対側の面には、粘着剤層を設けて、液晶セルなどに貼り合わされるようにすることができる。第二の保護フィルムが液晶性物質からなるコーティング層を有する場合は、そのコーティング層の表面に粘着剤層が設けられる。
さらに本発明によれば、2枚の電極基板間にツイステッドネマチック型液晶を挟持してなる液晶セルの両面に一対の偏光板が配置された液晶パネルであって、それら一対の偏光板のうち視認側に配置される偏光板として、上記いずれかの偏光板を用いた液晶パネルも提供される。この液晶パネルが組み込まれてなる液晶表示装置も提供される。
本発明によれば、カールなどの異常や、液晶セルなどのガラスに粘着剤を介して貼着させたときに端部に発生しやすい不良を抑えた偏光板が提供される。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。本発明では、ポリビニルアルコール系偏光フィルムの片面に、表面処理層を有するセルロースエステル系フィルムからなる第一の保護フィルムを貼合し、他面にはセルロースエステル系フィルムからなる第二の保護フィルムを貼合して、偏光板を構成する。この際、第一の保護フィルム及び第二の保護フィルムは、前者の温度80℃で2時間放置したときの面積変化率をA、後者の温度80℃で2時間放置したときの面積変化率をBとして、両者の比A/Bが0.6以上1.2以下となるような組合せとする。
このように、第一の保護フィルムの熱による面積変化率と第二の保護フィルムの熱による面積変化率との比A/Bが1に近くなる組合せ、換言すれば、両者の面積変化率の差が小さい組合せとすることにより、偏光板に発生しやすいカールを抑制することができる。そのときのカールは、例えば、偏光板を80℃で2時間放置したときの偏光板4角平均で3mm以下とすることができる。
表面処理層を有する第一の保護フィルムの面積変化率Aと、偏光フィルムの他面に設けられる第二の保護フィルムの面積変化率Bとの比A/Bが、0.6を下回ったり1.2を超えたりすると、面積変化率の差が大きくなるため、この組合せで構成される偏光板では、4角平均で3mmを超えるカールが発生することになるので、好ましくない。
偏光板を構成する偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂からなり、そこに二色性色素、例えば、ヨウ素や二色性有機染料が吸着配向したものである。二色性色素の吸着配向により、一方の方向に振動する直線偏光を透過し、それと直交する方向に振動する直線偏光を吸収する性質を備える。
かかるポリビニルアルコール系偏光フィルムの両面に、それぞれ特性の異なる第一の保護フィルム及び第二の保護フィルムを貼合するのであるが、それぞれの保護フィルムを構成するセルロースエステル系樹脂は、セルロースの部分又は完全エステルであって、特に酢酸エステルが好ましく用いられる。具体的には、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースなどが挙げられるが、なかでもトリアセチルセルロースが好ましい。
第一の保護フィルムに設けられる表面処理層とは、偏光板を液晶表示装置に適用したときに表示面となる側(視認側)に、その物性を改良するために設けられる層である。具体的には、外光の映り込みやギラツキを防ぐために設けられる防眩層、外光の反射を防ぐために設けられる反射防止層、表面の耐擦傷性などを改善するために設けられるハードコート層、静電気の発生を防ぐために設けられる帯電防止層などが挙げられる。
防眩層は、例えば、フィラーが添加された紫外線硬化型樹脂を塗工し、そこに紫外線を照射して硬化させ、フィラーに基づく凹凸を現出させる方法、紫外線硬化型樹脂にエンボス型を接触させた状態で紫外線を照射し、硬化させて凹凸を現出させる方法などにより、設けることができる。反射防止層は、金属酸化物などを一層又は複数層蒸着する方法などにより、設けることができる。ハードコート層は、紫外線硬化型のハードコート樹脂を塗工し、そこに紫外線を照射して硬化させる方法などにより、設けることができる。また帯電防止層は、帯電防止剤入りの紫外線硬化型樹脂を塗工し、そこに紫外線を照射して硬化させる方法などにより、設けることができる。
第二の保護フィルムは、セルロースエステル系フィルムからなり、偏光板を液晶表示装置に適用するとき、液晶セル側となるものである。第二の保護フィルムには、上記第一の保護フィルムに設けられている表面処理層は存在しない。ただし、第二の保護フィルムには、この分野で公知の液晶性物質からなるコーティング層を設けることができる。
液晶性物質からなるコーティング層は、液晶表示装置に適用したときの液晶セルによる複屈折を補償するものである。具体的には例えば、前記特許文献1に開示されるような、ディスコティック液晶からなり、光学的に負の一軸性でその光学軸がフィルムの法線方向から5〜50゜傾斜しているもので構成することができ、このような構成のコーティング層が設けられたトリアセチルセルロースフィルムの市販品として、例えば、富士写真フイルム(株)から販売されている“ワイドビューフィルム”(商品名)がある。また、前記特許文献2に開示されるような、棒状液晶性高分子からなり、その基板平面への投影成分が膜厚方向に連続的に回転しているねじれチルト状態で配向しているもので構成することもでき、このような構成のコーティング層が設けられたトリアセチルセルロースフィルムの市販品として、例えば、新日本石油(株)から販売されている“LCフィルム”(商品名)がある。さらに、前記特許文献3に開示されるような、棒状液晶性高分子からなり、その液晶性高分子のダイレクターとフィルム平面のなす角がフィルム上面と下面とで異なるハイブリッドネマチック配向しているもので構成することもでき、このような構成のコーティング層が設けられたトリアセチルセルロースフィルムの市販品として、例えば、新日本石油(株)から販売されている“NHフィルム”(商品名)がある。
以上のように構成される保護フィルムから、第一の保護フィルムを温度80℃で2時間放置したときの面積変化率をA、第二の保護フィルムを温度80℃で2時間放置したときの面積変化率をBとして、両者の比A/Bが0.6以上1.2以下となるように、両者の組合せを選ぶ。ここでいう面積変化率とは、過酷な温度条件において、フィルムの縦方向及び横方向の寸法変化をまとめて表す特性値である。具体的には、高温条件下にさらす前後のフィルムそれぞれについて、縦及び横の寸法を測定し、その積である面積に基づいて、この面積変化率を求める。
例えば、測定しようとするフィルム試料を適当な大きさに断裁し、それを温度23℃、相対湿度60%の環境下に24時間以上調湿したうえで、その縦・横寸法を測定し、その後、そのフィルム試料を80℃の恒温槽に2時間放置し、取り出した後直ちに、処理前と同じ方法で縦横寸法を測定し、それらの値から面積変化率を計算する。
図3は、フィルム試料の縦・横寸法を測定する状態の例を模式的に示す平面図であり、この図に基づいて面積変化率の求め方をさらに詳しく説明する。
まず、測定しようとするフィルム試料6を、例えば幅方向250mm×長手方向250mmのサイズに断裁し、そのフィルム表面を構成する各辺のうち、1辺には端から20mmのところにマークC及びマークDを、残る3辺にはそれぞれ中央にマークE、マークF及びマークGを付ける。マークC,D,E,F,Gは、油性フェルトペンなどにより付すことができる。このフィルム試料6を温度23℃、相対湿度60%の環境下に24時間以上調湿した後、次のようにして縦幅V及び横幅Wを測定する。すなわち、二つのマークC,Dを付けた辺に平行する辺の中央にあるマークFから線分CDまでの距離を縦幅Vとし、それらの辺に直交する辺のそれぞれ中央に付けたマークEとマークGの間の距離を横幅Wとする。そして、高温処理前の試料の寸法には添え字1を付して、その縦幅をV1、横幅をW1とする。高温処理前の試料の面積は、V1×W1となる。
次に、そのフィルム試料6を、80℃の恒温槽に2時間放置し、取り出し後直ちに、処理前と同じ箇所の寸法を測定する。高温処理後の試料の寸法には添え字2を付して、その縦幅をV2、横幅をW2とする。これらの値から、次の式(1)によって面積変化率を計算する。
面積変化率(%)=〔(V1×W1−V2×W2)/V1×W1〕×100 (1)
図3に示すように、フィルム試料の4辺のうち、1辺に二つのマークC,Dを付し、残りの3辺にはそれぞれの辺の中央に各一つのマークE,F,Gを付すことは、高温処理前後において確実に同じ場所の寸法を測るうえで、有効である。
このようにして求められる面積変化率が、第一の保護フィルム及び第二の保護フィルムについて、両者の面積変化率の比A/Bが0.6以上1.2以下となるような組合せを選択する。このような組合せを採用することにより、それら第一の保護フィルム及び第二の保護フィルムをそれぞれ偏光フィルムに貼り合わせて得られる偏光板は、そのカールを4角平均で3mm以下とすることができる。
第一の保護フィルムと偏光フィルム、また第二の保護フィルムと偏光フィルムは、それぞれ透明な接着剤を介して貼り合わされ、偏光板となる。接着剤は、透明なものであれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液などを用いることができる。
次に、偏光板のカールの測定方法を説明する。まず、対象の偏光板を適当な大きさに裁断する。裁断サイズは、例えば、上で面積変化率を測定するときの保護フィルムと同様、250mm×250mm程度であってよい。この偏光板を、80℃の恒温槽に2時間放置してから取り出すと、カールが発生していることがある。図4に、カール状態の例を模式的な斜視図で示した。すなわち、基準面8(例えば、机の上の平面など)に、カールが発生した偏光板1を、その凹面を上にして置くと、偏光板1の端部が持ち上がった状態になる。四つの角がすべて持ち上がるようにカールすることもあるし、一つ又はいくつかの角はほとんど持ち上がらないようにカールすることもある。この状態で偏光板1の四つの角K,L,M,Nのそれぞれについて、基準面からの高さHを測定し、それら4角の高さの平均をもって、カール量とする。
このカール量が4角平均で3mmを超えると、その偏光板を、第二の保護フィルム側で粘着剤を介して液晶セルなどのガラスに貼着し、高温条件にさらしたときに、図1を参照して先に説明したように、粘着剤が偏光板のカールないし縮みに引きつられ、偏光板端部に粘着剤の引きつれ3を生じやすく、さらには図2を参照して先に説明したように、その引きつれ3から偏光板の内側へ向かうスジ4が成長することもある。
本発明の偏光板は、第二の保護フィルム側表面(偏光フィルムに向き合う面と反対側の面)に、粘着剤層を設けることができ、これによって、液晶セルのガラスに貼合される。第二の保護フィルムが液晶性物質からなるコーティング層を有する場合は、そのコーティング層の表面に、粘着剤層が形成される。粘着剤は、感圧接着剤とも呼ばれ、押さえるだけで他物質の表面に接着し、またこれを被着面から引き剥がす場合には、被着物に強度さえあればほとんど痕跡を残すことなく除去できる粘弾性体である。例えば、アクリル系やウレタン系などのポリマーを主成分とする感圧型接着剤を用いることができる。粘着剤層の厚みは、通常15〜40μm 程度である。
偏光板のカールが大きいと、この粘着剤層付き偏光板を液晶セルガラスに貼合したときに、温度変化によって、上で説明したような偏光板端部の欠陥を生じやすい。第一の保護フィルム及び第二の保護フィルムとして、温度変化による面積変化率の差が小さい組合せを採用することにより、偏光板のカールを抑制し、延いてはそこに粘着剤層を設けた粘着剤付き偏光板をガラスに貼合して高温状態にさらしたときに生じやすい偏光板端部の不良を有効に抑えることができる。
本発明の偏光板は、液晶セルの視認側に配置して、液晶パネルとすることができる。この場合、第二の保護フィルム側で、粘着剤を介して(第二の保護フィルム側に粘着剤層が設けられている場合はその粘着剤層を介して)液晶セルに貼合される。この場合の液晶セルは、2枚の電極基板間にツイステッドネマチック型液晶を挟持してなるTN型のものが有利である。液晶セルの他面には、同一構成の又は異なる構成の偏光板が配置される。この液晶パネルは、必要な他の部材と組み合わせて、液晶表示装置とすることができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
[実施例1]
第一の保護フィルムとして、ベースとなる富士写真フイルム(株)製のトリアセチルセルロースフィルム“TF80UL”(商品名)の片面に、フィラー入りの紫外線硬化型樹脂からなる防眩層が形成された防眩層付きトリアセチルセルロースフィルム〔大日本印刷(株)から入手した“DTAC AG6 UV80 H-25W (TF)”(商品名)〕を用いた。また第二の保護フィルムとしては、トリアセチルセルロースフィルムの片面に、ディスコティック液晶のハイブリッド配向コーティング層が形成された光学補償層付きトリアセチルセルロースフィルム〔富士写真フイルム(株)から入手した“Fuji WV Film ワイドビュー SA-128”(商品名)〕を用いた。それぞれのフィルムにつき、80℃の恒温槽に2時間放置した後の面積変化率を求め、それらから両者の比を求めたところ、防眩層付きトリアセチルセルロースフィルム“DTAC AG6 UV80 H-25W (TF)”の面積変化率Aと、光学補償層付きトリアセチルセルロースフィルム“Fuji WV Film ワイドビュー SA-128”の面積変化率Bとの比A/Bは、1.08であった。
第一の保護フィルムとして、ベースとなる富士写真フイルム(株)製のトリアセチルセルロースフィルム“TF80UL”(商品名)の片面に、フィラー入りの紫外線硬化型樹脂からなる防眩層が形成された防眩層付きトリアセチルセルロースフィルム〔大日本印刷(株)から入手した“DTAC AG6 UV80 H-25W (TF)”(商品名)〕を用いた。また第二の保護フィルムとしては、トリアセチルセルロースフィルムの片面に、ディスコティック液晶のハイブリッド配向コーティング層が形成された光学補償層付きトリアセチルセルロースフィルム〔富士写真フイルム(株)から入手した“Fuji WV Film ワイドビュー SA-128”(商品名)〕を用いた。それぞれのフィルムにつき、80℃の恒温槽に2時間放置した後の面積変化率を求め、それらから両者の比を求めたところ、防眩層付きトリアセチルセルロースフィルム“DTAC AG6 UV80 H-25W (TF)”の面積変化率Aと、光学補償層付きトリアセチルセルロースフィルム“Fuji WV Film ワイドビュー SA-128”の面積変化率Bとの比A/Bは、1.08であった。
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している膜厚25μm の偏光フィルムの一方の面に、上の防眩層付きトリアセチルセルロースフィルム“DTAC AG6 UV80 H-25W (TF)”(第一の保護フィルム)をそのトリアセチルセルロースフィルム側で、他方の面に、上の光学補償層付きトリアセチルセルロースフィルム“Fuji WV Film ワイドビュー SA-128”(第二の保護フィルム)をそのトリアセチルセルロースフィルム側で、それぞれポリビニルアルコール系接着剤を介して接合し、乾燥させて、偏光板を作製した。得られた偏光板を、1辺がその吸収軸方向と平行になるように、250mm×250mmの正方形に裁断し、80℃の高温槽に2時間放置した後、カール量を測定したところ、4角平均で1.6mm となった。またこの偏光板を、その光学補償層付きトリアセチルセルロースフィルム“Fuji WV Film ワイドビュー SA-128”側で粘着剤を介してガラスに貼着し、80℃の恒温槽に240時間放置した後、取り出して、外観を観察した。その結果、図2を参照して説明したような、偏光板端部に粘着剤のスジが発生していたが、その長さは角部最大で0.1mm であった。
[比較例1]
第一の保護フィルムとして、ベースとなるコニカミノルタオプト(株)製のトリアセチルセルロースフィルム“KC8UX2M” (商品名)の片面に、フィラー入りの紫外線硬化型樹脂からなる防眩層が形成された防眩層付きトリアセチルセルロースフィルム〔大日本印刷(株)から入手した“DTAC AG6 UV80 H-25W (KC)”(商品名)〕を用いた。また第二の保護フィルムとしては、実施例1で用いたのと同じ光学補償層付きトリアセチルセルロースフィルム“Fuji WV Film ワイドビュー SA-128”を用いた。それぞれのフィルムにつき、80℃の恒温槽に2時間放置した後の面積変化率を求め、それらから両者の比を求めたところ、防眩層付きトリアセチルセルロースフィルム“DTAC AG6 UV80 H-25W (KC)”の面積変化率Aと、光学補償層付きトリアセチルセルロースフィルム“Fuji WV Film ワイドビュー SA-128”の面積変化率Bとの比A/Bは、1.76であった。
第一の保護フィルムとして、ベースとなるコニカミノルタオプト(株)製のトリアセチルセルロースフィルム“KC8UX2M” (商品名)の片面に、フィラー入りの紫外線硬化型樹脂からなる防眩層が形成された防眩層付きトリアセチルセルロースフィルム〔大日本印刷(株)から入手した“DTAC AG6 UV80 H-25W (KC)”(商品名)〕を用いた。また第二の保護フィルムとしては、実施例1で用いたのと同じ光学補償層付きトリアセチルセルロースフィルム“Fuji WV Film ワイドビュー SA-128”を用いた。それぞれのフィルムにつき、80℃の恒温槽に2時間放置した後の面積変化率を求め、それらから両者の比を求めたところ、防眩層付きトリアセチルセルロースフィルム“DTAC AG6 UV80 H-25W (KC)”の面積変化率Aと、光学補償層付きトリアセチルセルロースフィルム“Fuji WV Film ワイドビュー SA-128”の面積変化率Bとの比A/Bは、1.76であった。
これら2種の保護フィルムを用いる以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板について、実施例1と同様の方法でカール量を測定したところ、4角平均で8.6mm となった。また、実施例1と同様の方法でガラスに貼着して高温放置試験を行ったところ、粘着剤のスジは角部最大で0.8mm になった。
以上の実施例及び比較例の結果を表1にまとめた。
以上の結果からわかるように、特性の異なる表裏の保護フィルムを、高温保持下での面積変化率がほぼ等しくなるもので構成することにより、偏光板に発生するカール量を少なくすることができ、その偏光板を液晶セルガラスに貼り合わせた状態で高温下にさらしても、粘着剤の引きつれによる端部不良を少なくすることができる。
1……偏光板、
2……ガラス、
3……粘着剤の引きつれ、
4……偏光板の上から観察される粘着剤層のスジ、
6……面積変化率を測定しようとするフィルム試料、
8……カールを測定するための基準面、
C,D,E,F,G……フィルム試料の寸法を測定するためのマーク、
K,L,M,N……偏光板の四つの角、
V……フィルム試料の縦幅、
W……フィルム試料の横幅。
2……ガラス、
3……粘着剤の引きつれ、
4……偏光板の上から観察される粘着剤層のスジ、
6……面積変化率を測定しようとするフィルム試料、
8……カールを測定するための基準面、
C,D,E,F,G……フィルム試料の寸法を測定するためのマーク、
K,L,M,N……偏光板の四つの角、
V……フィルム試料の縦幅、
W……フィルム試料の横幅。
Claims (10)
- ポリビニルアルコール系偏光フィルムの片面に、表面処理層を有するセルロースエステル系フィルムからなる第一の保護フィルムが貼合され、他面にはセルロースエステル系フィルムからなる第二の保護フィルムが貼合されてなり、第一の保護フィルム及び第二の保護フィルムは、それぞれ80℃で2時間放置したときの面積変化率をA及びBとして、両者の比A/Bが0.6以上1.2以下であることを特徴とする偏光板。
- 80℃で2時間放置したときのカールが4角平均で3mm以下である請求項1に記載の偏光板。
- 第二の保護フィルムは、液晶性物質からなるコーティング層を有する請求項1又は2に記載の偏光板。
- 液晶性物質からなるコーティング層は、ディスコティック液晶からなり、光学的に負の一軸性でその光学軸がフィルムの法線方向から5〜50゜傾斜している請求項3に記載の偏光板。
- 液晶性物質からなるコーティング層は、棒状液晶性高分子からなり、その基板平面への投影成分が膜厚方向に連続的に回転しているねじれチルト状態で配向している請求項3に記載の偏光板。
- 液晶性物質からなるコーティング層は、棒状液晶性高分子からなり、その液晶性高分子のダイレクターとフィルム平面のなす角がフィルム上面と下面とで異なるハイブリッドネマチック配向している請求項3に記載の偏光板。
- 液晶性物質からなるコーティング層は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムと反対側に存在する請求項3〜6のいずれかに記載の偏光板。
- 第二の保護フィルムのポリビニルアルコール系偏光フィルムと反対側の面に、粘着剤層が設けられている請求項1〜7のいずれかに記載の偏光板。
- 2枚の電極基板間にツイステッドネマチック型液晶を挟持してなる液晶セルの両面に一対の偏光板が配置された液晶パネルであって、該一対の偏光板のうち視認側に配置される偏光板は、請求項1〜8のいずれかに記載の偏光板であることを特徴とする液晶パネル。
- 請求項9に記載の液晶パネルが組み込まれてなることを特徴とする液晶表示装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006103887A JP2007279269A (ja) | 2006-04-05 | 2006-04-05 | 偏光板、それを用いた液晶パネル及び液晶表示装置 |
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JP2006103887A JP2007279269A (ja) | 2006-04-05 | 2006-04-05 | 偏光板、それを用いた液晶パネル及び液晶表示装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106526981A (zh) * | 2016-10-28 | 2017-03-22 | 深圳市华星光电技术有限公司 | 基于玻璃混切基板技术的温控配向装置 |
-
2006
- 2006-04-05 JP JP2006103887A patent/JP2007279269A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106526981A (zh) * | 2016-10-28 | 2017-03-22 | 深圳市华星光电技术有限公司 | 基于玻璃混切基板技术的温控配向装置 |
CN106526981B (zh) * | 2016-10-28 | 2019-08-02 | 深圳市华星光电技术有限公司 | 基于玻璃混切基板技术的温控配向装置 |
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