JP2007278092A - シリンダブロックの製造方法及びシリンダブロック - Google Patents

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Abstract

【課題】隣接するシリンダボアの間隔が比較的狭いシリンダブロックであっても、シリンダボア間冷却用の冷却水路を形成するに際し、十分な通路面積を有する冷却水路を容易に形成することができ、シリンダボアの効率的な冷却を行うことが可能となり、エンジンの出力の制限や燃費の低下の原因となるシリンダボアにおけるフリクションを低減させる。
【解決手段】複数のシリンダボアを、複数のシリンダライナ20を鋳包んで鋳造することにより形成するシリンダブロックの製造方法であって、複数のシリンダライナ20をシリンダボア群に対応する配置状態で連結するとともに、隣接するシリンダライナ20間にて両シリンダライナ20の外周面とともに閉空間15を形成する連結部材10を用い、複数のシリンダライナ20を、連結部材10により連結した状態で鋳包む。
【選択図】図7

Description

本発明は、エンジンのシリンダブロックの製造方法及びシリンダブロックの技術に関する。詳細には、複数のシリンダボアを有し、隣接するシリンダボアの間隔が比較的狭いシリンダブロックに用いて好適なシリンダブロックの製造方法及びシリンダブロックに関する。
従来から、エンジンを構成するシリンダブロックとして、複数のシリンダボアを有するものが用いられている。シリンダボアの周囲には、混合気の燃焼などにともない発生する熱によって高温となるシリンダボアを冷却するため、冷却水を流すためのウォータジャケットが設けられる。
一方、シリンダブロックには、エンジン全体としての小型化や軽量化を図るため、隣接するシリンダボアの間隔が比較的狭く形成され、シリンダボア間にウォータジャケットを有しない構成のものがある。このような構成のシリンダブロックにおいては、シリンダボア間の冷却が不十分なものとなる。シリンダボア間の冷却が不十分であると、シリンダボアの熱変形にともなう燃焼圧の低下やシリンダボア内からのエンジンオイルの浸出などを防止するために、シリンダボア内に摺動可能に収容されるピストンに装着されるピストンリングの張力(拡がろうとする力)を大きくする必要が生じる。ピストンリングの張力が大きくなると、シリンダボアとピストンリングとの間のフリクション(摺動抵抗)が大きくなり、エンジンの出力が制限されたり燃費が低下したりする等の問題がある。つまり、エンジンの出力の増大や燃費の向上を図るためには、シリンダボア間も十分に冷却されることが好ましい。
しかし、前記のとおりシリンダボア間の間隔が比較的狭いシリンダブロックでは、隣接するシリンダボア間の部分に、例えば冷却水を流すための通路(空間)を形成することが困難となる。
そこで、従来から、シリンダボア間の間隔が比較的狭い構成のシリンダブロックにおいて、シリンダボア間の部分に冷却水を通過させる通路を形成するための技術が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。各特許文献には、次のような内容が開示されている。
特許文献1においては、シリンダボアを有し互いに隣接されるシリンダライナを、接合面に凹部が形成された連結部を介して接合することにより、シリンダボア間に閉空間が形成されたライナ構成体を形成し、これをシリンダブロックに鋳込んだ後、前記閉空間をウォータジャケットと連通させることにより、シリンダボア間の冷却水路を形成している。
また、特許文献2は、ウォータジャケット用中子についての技術であり、中子本体とは別体の崩壊性のある中子ピースを備え、この中子ピースにより、シリンダボア間に冷却水通過用の孔を鋳抜くことで形成するものである。
また、特許文献3では、隣接するシリンダボア間の壁部の内部に中空部材を鋳込み、この中空部材内を、冷却水を通過させるための空間として利用する技術が示されている。
特開平9−170487号公報 特開平10−24347号公報 特開昭63−253156号公報
前述の各特許文献に開示されているような技術については、次のような問題がある。
すなわち、特許文献1に関しては、隣接するシリンダライナを連結するためシリンダライナに形成される連結部において、シリンダボア間冷却水路を形成するための凹部が形成されることから、シリンダライナの肉厚を均一なものとすることができない。このことは、エンジンとして使用する際のシリンダライナの熱歪が不規則になりやすく前記フリクション等との関係からエンジンの出力の増大や燃費の向上を図る上で不利であり、また、エンジンの小型化などを図るためのシリンダライナの薄肉化を図る妨げともなる。
また、特許文献2に示されているように、崩壊性の中子を用いて鋳抜きによりシリンダボア間の冷却水路を形成する方法では、鋳造完了後に中子を排出する手間が発生する。このため、シリンダブロックの製造工程において中子を除去する工程が必要となる。
また、特許文献3に示されているように、中空部材などを鋳込み部材として鋳物に残す方法では、冷却水路の通路面積(断面積)を確保する上で、鋳込み部材の体積分がロスとなり、圧力損失が大きくなってボア間における効率的な冷却水の供給が難しい。つまり、前述したように比較的狭くなるシリンダボア間の部分に別部材を鋳込む場合、この鋳込み部材にも鋳造圧に耐え得る強度が必要であり、その強度を確保するとともに鋳込み部材内に冷却水路を形成しようとすると、その通路面積の確保が困難となり、ウォータポンプ等により定まる所定の水圧に対する圧力損失が大きく非効率的な冷却水路となってしまう。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、隣接するシリンダボアの間隔が比較的狭くても、シリンダボア間冷却用の冷却水路を形成するに際し、十分な通路面積を有する冷却水路を容易に形成することができ、シリンダボアの効率的な冷却を行うことが可能となり、エンジンの出力の制限や燃費の低下の原因となるシリンダボアにおけるフリクションを低減させることができるシリンダブロックの製造方法及びシリンダブロックを提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、複数のシリンダボアを、複数のシリンダライナを鋳包んで鋳造することにより形成するシリンダブロックの製造方法であって、前記複数のシリンダライナを前記シリンダボアに対応する配置状態で連結するとともに、隣接するシリンダライナ間にて両シリンダライナの外周面とともに閉空間を形成する連結部材を用い、前記複数のシリンダライナを、前記連結部材により連結した状態で鋳包むものである。
請求項2においては、前記複数のシリンダライナを鋳包んで鋳造した後に、前記閉空間を、前記複数のシリンダボアの周囲に設けられるウォータジャケットと連通させる開口部を形成するものである。
請求項3においては、前記連結部材により、前記シリンダライナの軸方向の上端部近傍を連結するものである。
請求項4においては、前記連結部材は、シリンダブロック本体の材料と同じ材料からなるものである。
請求項5においては、複数のシリンダライナが鋳包まれて形成される複数の隣接するシリンダボアと、これらシリンダボアの周囲に設けられるウォータジャケットと有するシリンダブロックであって、前記複数のシリンダライナを前記シリンダボアに対応する配置状態で連結するとともに、隣接するシリンダライナ間にて両シリンダライナの外周面とともに閉空間を形成する連結部材により、前記複数のシリンダライナが連結された状態で鋳包まれるとともに、前記閉空間が前記ウォータジャケットと開口部を介して連通されることにより形成される冷却水路を、隣接するシリンダボア間に有するものである。
請求項6においては、請求項5に記載のシリンダブロックであって、前記連結部材により、前記シリンダライナの軸方向の上端部近傍が連結されるものである。
請求項7においては、請求項5または請求項6に記載のシリンダブロックであって、前記連結部材は、シリンダブロック本体の材料と同じ材料からなるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、シリンダボア間の冷却水路用の空間を形成するにあたり、シリンダライナの周方向の肉厚分布が制約されないので、例えば周方向に均一な肉厚のシリンダライナを用いることが可能となる。これにより、シリンダライナの熱歪が低減でき、エンジンとして使用する際の熱負荷に対して不利が生じず、幅広いエンジン機種においてフリクションを低減させることができる。
請求項2においては、隣接するシリンダボアの間隔が比較的狭いシリンダブロックであっても、シリンダボア間冷却用の冷却水路を形成するに際し、十分な通路面積を有する冷却水路を容易に形成することができ、シリンダボアの効率的な冷却を行うことが可能となり、シリンダボアにおけるフリクションを低減させることができる。
請求項3においては、エンジンとして使用する際に熱負荷が高くなる燃焼室近傍を効果的に冷却することができ、冷却効率を向上することができる。
請求項4においては、シリンダブロックの鋳造時において、溶湯の熱により、連結部材がシリンダブロック本体の材料(溶湯)と溶け合い一体化することとなるため、シリンダブロックの鋳造に際して鋳造制御が容易となる。
また、連結部材の部分とシリンダブロック本体との熱膨張率が同じとなるため、エンジンとして使用する際の熱負荷に対して有利となる。
請求項5においては、隣接するシリンダボアの間隔が比較的狭くても、シリンダボア間冷却用の冷却水路を形成するに際し、十分な通路面積を有する冷却水路を容易に形成することができ、シリンダボアの効率的な冷却を行うことが可能となり、シリンダボアにおけるフリクションを低減させることができる。
請求項6においては、エンジンとして使用する際に熱負荷が高くなる燃焼室近傍を効果的に冷却することができ、冷却効率を向上することができる。
請求項7においては、連結部材の部分とシリンダブロック本体との熱膨張率が同じとなるため、エンジンとして使用する際の熱負荷に対して有利となる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず、図1及び図2を用いて本実施形態に係るシリンダブロックの製造方法により製造した四気筒エンジン用のシリンダブロック1について説明する。
シリンダブロック1は、シリンダブロック本体(以下「ブロック本体2」とする。)をその主たる構成要素とし、このブロック本体2は、材料としてアルミニウム等が用いられ、ダイカスト、中圧鋳造、低圧鋳造などの鋳造法によって形成される。
ブロック本体2の一側(図1における上側)の面は平らに形成されてシール面2sとされ、このシール面にガスケット3を介してシリンダヘッド4が組み付けられる。また、ブロック本体2の下側には図示せぬオイルパンが取り付けられる。以下、シリンダブロック1において、ブロック本体2に対してシリンダヘッド4が組み付けられる側を「上」とし、その反対側を「下」とする。
ブロック本体2は、四つのシリンダボア5からなるシリンダボア群を有する。シリンダボア5は、円筒状の空間であり、各シリンダボア5の軸方向が平行となるように隣接した状態で一列に配設される。シリンダボア5には、ピストンリング6の装着されたピストン7が往復摺動可能に収容される。
各シリンダボア5におけるピストン7よりも上側の空間は、燃料及び空気の混合気を燃焼するための燃焼室の一部を構成する。シリンダボア5は、前記混合気や燃焼によって生じたガスの機密を保つために、精度(真円度)の高い円筒面に形成される。
すなわち、シリンダブロック1が用いられて製造されるエンジンの実動時には、前記燃焼室における混合気の爆発・燃焼によりビストン7が往復摺動し、これにより、ピストン7とコンロッド(連接棒)を介して連結されるクランク軸(出力軸)が回転する。
シリンダボア5は、鋳鉄などにより円筒状に形成されるシリンダライナ20が鋳包まれて形成される。つまり、ブロック本体2が鋳造によって形成される際、シリンダライナ20が鋳包まれ、このシリンダライナ20の内周面がシリンダボア5を形成しピストン7の摺動面となる。
また、シリンダボア5の周囲、即ちブロック本体2におけるシリンダライナ20の周囲には、該シリンダライナ20を取り囲む周壁部2aを介してウォータジャケット8が形成される。ウォータジャケット8は、冷却水9の通路であり、ブロック本体2の鋳造とともにシリンダボア群を取り囲むように形成される(図2参照)。
以上のような構成を備えるシリンダブロック1の製造方法について説明する。
シリンダブロック1は、前記のとおりダイカスト等の鋳造法により製造し、複数のシリンダボア5を、複数のシリンダライナ20を鋳包んで鋳造することにより形成する。また、この鋳造では、シリンダボア群の周囲に設けられるウォータジャケット8も形成する。
そして、本実施形態に係るシリンダブロック1の製造方法においては、複数のシリンダライナ20を前記シリンダボア群に対応する配置状態で連結するとともに、隣接するシリンダライナ20間にて両シリンダライナ20の外周面とともに閉空間15を形成する連結部材10を用い、複数のシリンダライナ20を、連結部材10により連結した状態で鋳包む。
すなわち、本実施形態に係るシリンダブロック1の製造方法は、四個のシリンダライナ20を所定の配置状態で連結するとともに隣接するシリンダライナ20間にて前記閉空間15を形成する連結部材10を用い、この連結部材10によりシリンダライナ20を連結する工程と、連結部材10により連結した状態のシリンダライナ20を、鋳造するブロック本体2に鋳包む工程とを含む。
図4〜図8に示すように、連結部材10は、シリンダブロック1におけるシリンダボア5の数、即ちブロック本体2に鋳包むシリンダライナ20の数(本実施形態では四個)の挿嵌部11と、これら挿嵌部11を連結する連結部12とを有し、これらが一体的に形成される部材である。
挿嵌部11は、円筒状に形成され、その内周面11aが、円筒状のシリンダライナ20の外周面に沿う形状となる。つまり、挿嵌部11の内周面11aにより形成される孔部にシリンダライナ20が挿嵌される。
複数の挿嵌部11は、その内周面11aがシリンダブロック1におけるシリンダボア群に対応する配置状態のシリンダライナ20に挿嵌可能に対応するように連結部12にて連結される。つまり、連結部材10における連結部12が、シリンダブロック1におけるシリンダボア5間に当たる部分となる。
このように、連結部材11は、各シリンダライナ20に対応する複数の挿嵌部11が、隣接する挿嵌部11が平面視で8の字状(眼鏡状)となるように、連結部12を介して連設されて構成される。
隣接する挿嵌部11間に形成される連結部12には、空洞12aが形成される。空洞12aは、隣接する挿嵌部11の内周面11a間の壁部が貫通するように形成される。つまり、空洞12aは、隣接する挿嵌部11の内周面11a間の壁部において上壁部12b及び下壁部12c(図3参照)を含む部分により形成され、この空洞12aを介して、隣接する挿嵌部11内が連通した状態となる。
したがって、連結部12に形成される空洞12aが、その両側の内周面11a側から閉じられると、挿嵌部11と連結部12における上壁部12b及び下壁部12cとにより、連結部12に閉空間が形成されることとなる。つまり、この空洞12aにより、隣接するシリンダライナ20間における閉空間15が形成される。
このように構成される連結部材10を用い、複数のシリンダライナ20を連結する。つまり、連結部材10により四つのシリンダライナ20を連結する工程を行う。
連結部材10によるシリンダライナ20の連結は、連結部材10の各挿嵌部11にシリンダライナ20を挿嵌することにより行う。すなわち、図4(a)及び(b)に示すように、シリンダブロック1におけるシリンダボア群に対応するように配置された状態のシリンダライナ20に対して連結部材10を挿嵌し、固定する。これにより、シリンダライナ20が、シリンダブロック1におけるシリンダボア群に対応する配置状態で位置決めされる。
ここで、連結部材10とシリンダライナ20との固定方法としては、例えば、圧入や温度差嵌め、あるいは溶着などを用いることができる。また、必要に応じて、連結部材10のシリンダライナ20軸方向における位置決めのため、シリンダライナ20の外周面に段差を設けてもよい。
連結部材10によりシリンダライナ20を連結すると、連結部12の空洞12aの部分が、その両側の内周面11a側からシリンダライナ20の外周面により閉じられ、連結部12において閉空間15が形成される。つまり、閉空間15は、連結部材10の挿嵌部11にシリンダライナ20が挿嵌された状態で、挿嵌部11と、連結部12における上壁部12b及び下壁部12cと、シリンダライナ20の外周面とにより密閉された空間となる。
このようにして、連結部材10は、複数のシリンダライナ20をシリンダボア群に対応する配置状態で連結するとともに、隣接するシリンダライナ20間にて両シリンダライナ20の外周面とともに閉空間15を形成する。
次に、連結部材10により連結した複数のシリンダライナ20を、連結部材10により連結した状態で鋳包む。つまり、連結部材10により連結した状態のシリンダライナ20(以下、「連結体30」とする。)を、鋳造するブロック本体2に鋳包む工程を行う。
連結体30を鋳包む際には、周知の構成の鋳型を備える鋳造装置を用いることができる。すなわち、シリンダブロック1を成形するための鋳型として、固定型及び複数の可動型と、連結体30の各シリンダライナ20に対して突設されて連結体30を保持し位置決めするためのボア入子(ピン入子)と、ウォータジャケット8を成形するための成形突部とを有し、これらにより成形空間(キャビティ)を形成するものを用いる。そして、この鋳型に形成されるキャビティ内にシリンダブロック1の材料であるアルミニウム等の溶湯(溶融金属)を注湯し、凝固させることにより、シリンダブロック1を鋳造成形する。
これにより、図1に示すように、ブロック本体2を形成する材料(周壁部2a)により鋳包まれた連結体30(連結部材10及びシリンダライナ20)と、その周囲を取り囲むウォータジャケット8とを有するシリンダブロック1が成形される。
そして、この連結体30が鋳包まれたシリンダブロック1においては、連結体30におけるシリンダライナ20間に存在する閉空間15により、シリンダライナ20により形成されるシリンダボア5間に閉空間が形成された状態となる。この閉空間が、隣接するシリンダボア5間冷却用の冷却水路として用いられる。
以上のように、シリンダブロック1を鋳造するに際し、連結部材10を用いて連結し位置決めした状態のシリンダライナ20を鋳包むことにより、シリンダボア5間の冷却水路用の空間を形成するにあたり、シリンダライナ20の周方向の肉厚分布が制約されないので、例えば周方向に均一な肉厚のシリンダライナ20を用いることが可能となる。これにより、シリンダライナの熱歪が低減でき、エンジンとして使用する際の熱負荷に対して不利が生じず、幅広いエンジン機種においてフリクションを低減させることができる。
また、シリンダライナ20が連結部材10により予め位置決めされた状態で鋳包まれるので、シリンダブロック1におけるシリンダボア5の成形に際して高い鋳造精度を出しやすくなる。
また、隣接するシリンダボア5間に閉空間が形成されることから、隣接するシリンダボア5間の熱伝導を低減させることができ、シリンダボア5間の部分が高温となることを防止することができる。
さらに、シリンダボア5間の閉空間15をウォータジャケット8と連通させることにより、この閉空間15を冷却水路として用いることができ、隣接するシリンダボア5間の部分を効率的に冷却することができる。これにより、シリンダボア5の効率的な冷却を行うことが可能となり、エンジンの出力の制限や燃費の低下の原因となるシリンダボア5におけるフリクションを低減させることができる。
すなわち、本実施形態に係るシリンダブロック1の製造方法においては、シリンダボア5間に形成される閉空間15をウォータジャケット8と連通するため、連結体30を鋳包んでシリンダブロック1を鋳造した後に、閉空間15をウォータジャケット8と連通させる開口部を形成する。
閉空間15をウォータジャケット8と連通させるための開口部は、次のような方法により形成する。
図2及び図3に示すように、閉空間15の上面側となる上壁部12b側から、下斜め方向に貫通孔21を穿設することにより、閉空間15とウォータジャケット8とを連通させる。
具体的には、ドリル等の錐状の工具を用い、連結体30を鋳包む周壁部2aの、閉空間15の上側に相当する部分側、即ちシール面2s側から、閉空間15を形成する上壁部12b、閉空間15、及び周壁部2aの、閉空間15とウォータジャケット8との間の部分を貫通するように直線状の貫通孔21を下斜め方向に穿設する。つまり、貫通孔21は、シリンダブロック1のシール面2sに開口する開口部(以下、「シール面側開口部22」という。)と、ウォータジャケット8に開口する開口部(以下、「ジャケット側開口部23」という。)とを有するとともに、閉空間15と連通する。
したがって、閉空間15は、貫通孔21のジャケット側開口部23を介してウォータジャケット8と連通することとなる。このように、閉空間15をウォータジャケット8と連通させることにより、閉空間15が冷却水路として機能する。つまり、ウォータジャケット8内に供給される冷却水9がジャケット側開口部23を介して閉空間15内へと流入し、この冷却水により隣接するシリンダボア5間の部分が冷却される。
また、貫通孔21を構成するシール面側開口部22は、シール面2sにガスケット3(図1参照)を介してシリンダヘッド4が組み付けられることにより塞がれる。なお、シリンダブロック1にシリンダヘッド4を組み付ける前段階で、シール面側開口部22を別部材により塞いでもよい。
このようにして、閉空間15をウォータジャケット8と連通させる開口部(ジャケット側開口部23)を形成し、閉空間15を隣接するシリンダボア5間における冷却水路(以下、「ボア間冷却水路25」という。)として利用する。
また、閉空間15をボア間冷却水路25として用いるに際し、該ボア間冷却水路25内における冷却水の流れを促がし、冷却効率を向上させるため、ウォータジャケット8からジャケット側開口部23を介してボア間冷却水路25内に流入する冷却水を、該ボア間冷却水路25から排出させるための開口部を設けることが好ましい。
このボア間冷却水路25からの冷却水排出用の開口部は、図3に示すように、前記貫通孔21と同様にして、ドリル等の錐状の工具を用い、シール面2s側から、閉空間15を形成する上壁部12bを貫通するように直線状の貫通孔24を例えば上下方向に穿設する。つまり、貫通孔24は、シール面2sに開口する開口部(以下、「シール面側開口部26」という。)を有するとともに、ボア間冷却水路25(閉空間15)と連通する。
また、貫通孔24は、ジャケット側開口部23から流入した冷却水の流れを形成するため、シリンダボア5間の部分においてジャケット側開口部23が設けられる側と反対側、言い換えると、シリンダボア5の連設方向に対して垂直方向(図2における左右方向)における反対側の位置に設ける。
ここで、貫通孔24は、そのシール面側開口部26がシリンダヘッド4(図1参照)内に形成される冷却水通路(ヘッド側ウォータジャケット)に連通するように設ける。つまり、シリンダブロック1のシール面2sにシリンダヘッド4が組み付けられることにより、シール面側開口部26がヘッド側ウォータジャケットと連通するように貫通孔24を設け、ウォータジャケット8からボア間冷却水路25内に流入する冷却水を、貫通孔24を介して排出させるとともにヘッド側ウォータジャケットへと導く。
なお、前記貫通孔24の代わりに、あるいは貫通孔24とともに、前記ジャケット側開口部23と対向する位置(反対側の位置)に同じくウォータジャケット8と連通する開口部を設ける構成としてもよい。
このように、シリンダブロック1の鋳造後に、閉空間15とウォータジャケット8とを連通させることにより、隣接するシリンダボア5の間隔が比較的狭いシリンダブロック1であっても、シリンダボア5間冷却用の冷却水路を形成するに際し、十分な通路面積を有する冷却水路を容易に形成することができ、シリンダボア5の効率的な冷却を行うことが可能となる。これにより、エンジンの出力の制限や燃費の低下の原因となるシリンダボア5におけるフリクションを低減させることができる。
すなわち、シリンダブロック1を鋳造した時点で、シリンダボア5間に冷却水路用の閉空間15が形成されているので、後の加工で開口部を設けるだけで、ウォータジャケット6と連通した冷却水路をシリンダボア5間に容易に形成することができる。
また、本実施形態に係るシリンダブロック1の製造方法によれば、連結体30を鋳包むに際して、シリンダライナ20の外周面が、冷却水路となる部分(閉空間15)に対し溶湯が流入するのを堰き止める役目を果たすので、前述したように、従来用いられていた冷却水路を鋳抜きで行うための崩壊性の中子が不要となる。これにより、シリンダボア5間に冷却水路を設けるに際して製造工程の簡略化が図れる。
また、本実施形態に係るシリンダブロック1の製造方法によれば、中空部材などの鋳抜き部材を鋳物に残す従来の方法のように鋳込部材を用いる必要がないので、その体積分のロスがなくなり、シリンダボア5間において冷却水路の通路面積(断面積)を確保する上で、圧力損失の小さい効率的な冷却水路を確保することができる。
続いて、連結部材10のシリンダライナ20における位置、即ち連結部材10によるシリンダライナ20の連結位置について説明する。
前述したように、連結部材10によってシリンダライナ20を連結するに際し、連結部材10により、シリンダライナ20の軸方向の上端部近傍を連結することが好ましい。
すなわち、エンジンの実動時においては、シリンダボア5を形成するシリンダライナ20の内部を含むこのシリンダライナ20の上側に形成される燃焼室で爆発・燃焼が行われ、ピストン7が下方に移動するに従い温度が低くなる。このため、シリンダボア5の上端部分の温度が他の部分に対して比較的高くなる。
そこで、連結部材10により、シリンダライナ20の上端部近傍を連結することにより、ボア間冷却水路25をシリンダボア5の上端部近傍に形成することができ、混合気の燃焼などにともない発生する熱により比較的高温となる部分を積極的に冷却することができる。なお、連結部材10は、その上端がシール面2sより上側に突出しないように、シリンダライナ20の上端より上側に突出しない位置でシリンダライナ20を連結する。
ここで、連結部材10のシリンダライナ20の軸方向に対する長さ(厚さ)について言及すると、連結部材10の閉空間15の部分は、シリンダライナ20はその側面から支持されない部分となる。このため、連結部材10のシリンダライナ20の軸方向に対する長さは、シリンダブロック1の鋳造圧に対するシリンダライナ20の強度が確保できるとともに、後の加工によりボア間冷却水路25となる閉空間15において十分な通路面積が確保できるように設定する。
このように、連結部材10によってシリンダライナ20の上端部近傍を連結することにより、エンジンとして使用する際に熱負荷が高くなる燃焼室近傍を効果的に冷却することができ、冷却効率を向上することができる。
また、連結部材10がシリンダライナ20の上端部近傍に位置することから、前述したように、閉空間15とウォータジャケット8とを連通させるに際し、シリンダブロック1の上面(シール面2s)側から加工を施す場合に連結部材10に工具が届きやすくなるので機械加工が容易となる。
次に、連結部材10とシリンダライナ20の材料について説明する。
連結部材10の材料は、特に限定されるものではないが、連結部材10は、シリンダブロック1のブロック本体2の材料と同じ材料からなることが好ましい。
つまり、例えば、ブロック本体2がアルミニウムを材料とする場合、連結部材10の材料として同じくアルミニウムを用いる。
このように、連結部材10の材料として、ブロック本体2の材料と同じものを用いることにより、次のような効果が得られる。
すなわち、連結部材10をブロック本体2と同じ材料とした場合、シリンダブロック1の鋳造時において、溶湯の熱により、連結体30における連結部材10の溶湯と接触する表面部が溶融され、連結部材10がブロック本体2の材料(溶湯)と溶け合い一体化することとなる。このため、シリンダブロック1の鋳造に際して鋳造制御が容易となる。そして、鋳造成形されたシリンダブロック1においては、連結部材10が別部材として存在せず、鋳包まれたシリンダライナ20に対して隣接するシリンダボア5間に閉空間15のみが形成される状態となる。
また、連結部材10の部分とブロック本体2との熱膨張率が同じとなるため、連結部材10とシリンダライナ20との間に熱変形による隙間などが生じることがないので、ボア間冷却水路25による冷却効率を向上させることができ、エンジンとして使用する際の熱負荷に対して有利となる。
また、連結部材10の材料として、ブロック本体2の材料と異なる材料を用いる場合、連結部材10の材料選定により、ブロック本体2の材料よりも高い強度を有する材料を用いることで、前記のとおり連結部材10により連結する部分を上端部近傍とすることにより、シリンダブロック1において応力負荷の比較的高い部分となるシリンダボア5の上端部の高強度化が可能となる。
以上のように、連結部材10を用いることにより、複数のシリンダライナ20が連結された状態で鋳包まれるとともに、閉空間15がウォータジャケット8とジャケット側開口部23を介して連通されることにより形成されるボア間冷却水路25を、隣接するシリンダボア5間に有するシリンダブロック1が得られる。
そして、シリンダブロック1においては、前述したように、連結部材10により、シリンダライナ20の上端部近傍が連結されることが好ましく、また、連結部材10は、ブロック本体2の材料と同じ材料からなることが好ましい。
本発明の一実施形態に係るシリンダブロックの構成を示す断面図。 図1におけるA−A断面図。 図2におけるB−B部分断面図。 連結部材及びシリンダライナ並びに連結体を示す斜視図。 連結体を示す側面図。 同じく平面図。 図5におけるC−C断面図。 図6におけるD−D断面図。
符号の説明
1 シリンダブロック
2 ブロック本体(シリンダブロック本体)
5 シリンダボア
8 ウォータジャケット
9 冷却水
10 連結部材
15 閉空間
20 シリンダライナ
23 ジャケット側開口部
25 ボア間冷却水路
30 連結体

Claims (7)

  1. 複数のシリンダボアを、複数のシリンダライナを鋳包んで鋳造することにより形成するシリンダブロックの製造方法であって、
    前記複数のシリンダライナを前記シリンダボアに対応する配置状態で連結するとともに、隣接するシリンダライナ間にて両シリンダライナの外周面とともに閉空間を形成する連結部材を用い、
    前記複数のシリンダライナを、前記連結部材により連結した状態で鋳包むことを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
  2. 前記複数のシリンダライナを鋳包んで鋳造した後に、前記閉空間を、前記複数のシリンダボアの周囲に設けられるウォータジャケットと連通させる開口部を形成することを特徴とする請求項1に記載のシリンダブロックの製造方法。
  3. 前記連結部材により、前記シリンダライナの軸方向の上端部近傍を連結することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリンダブロックの製造方法。
  4. 前記連結部材は、シリンダブロック本体の材料と同じ材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のシリンダブロックの製造方法。
  5. 複数のシリンダライナが鋳包まれて形成される複数の隣接するシリンダボアと、これらシリンダボアの周囲に設けられるウォータジャケットと有するシリンダブロックであって、
    前記複数のシリンダライナを前記シリンダボアに対応する配置状態で連結するとともに、隣接するシリンダライナ間にて両シリンダライナの外周面とともに閉空間を形成する連結部材により、
    前記複数のシリンダライナが連結された状態で鋳包まれるとともに、前記閉空間が前記ウォータジャケットと開口部を介して連通されることにより形成される冷却水路を、
    隣接するシリンダボア間に有することを特徴とするシリンダブロック。
  6. 前記連結部材により、前記シリンダライナの軸方向の上端部近傍が連結されることを特徴とする請求項5に記載のシリンダブロック。
  7. 前記連結部材は、シリンダブロック本体の材料と同じ材料からなることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のシリンダブロック。
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