JP2007278062A - 外装板の取付構造 - Google Patents

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健二 宮澤
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Abstract

【課題】建物における躯体の変形を抑制するとともに、変形加速度を低く抑えることにより耐震性が向上する外装板の取付構造を提供する。
【解決手段】外装板の取付構造10は、柱12に支持部材16を固定し、この支持部材16に外装板10の内側下辺10Aを載せて外装板10を支持部材16で支え、この外装板10と柱12との間に粘弾性体24を介在させる。
【選択図】図1

Description

本発明は外装板の取付構造に係り、例えば木造建築等の外装を覆うために用いられる外装板の取付構造に関する。
図15〜図16に示すように、例えば木造建築の躯体に外装板100が取り付けられている。
外装板100は、木造建築の柱101に胴縁102を介して外装板100が上下方向に複数枚積み上げられ、この状態で外装板100の外側から釘103を柱101まで打ち込んで柱101に取り付けられる。
この外装板100は、下辺に凹段部100Aが形成されるとともに上辺に凸段部100Bが形成されている。よって、下側の外装板100の凸段部100Bに、上側の外装板100の凹段部100Aが嵌合して、下側の外装板100が上側の外装板100で押え付けられる。
このように、隣接するそれぞれの外装板100を互いに保持することにより、雨水が外装板100の裏面に回り込まないようになる。
ところで、木造建築の躯体は、一対の柱101と一対の外装板100とにより長方形の枠を形作っている。
そして、例えば地震が発生した場合には、図17に示すように、一対の外装板100が水平を保ったまま、振動で柱101が実線で示す状態から想像線で示す状態に矢印の方向に傾き、一対の柱101および一対の外装板100の交差角度が変化してそれぞれの位置関係が略平行四辺形の枠を形作るように変化する。
この際、一対の柱101と一対の外装板100とにより形作られた長方形が略平行四辺形に変形する変位量および変形加速度を抑制することが木造建築の耐震性を向上させる上で重要である。
このため、一対の柱101および一対の外装板100の交差角度が変化しないように、一対の外装板100を一対の柱101に対して強固に固定することが考えられる。
しかしながら、図17に示すように、柱101が矢印の方向に移動した際に、柱101に追従して釘103が矢印方向に移動しようとするが、外装板100は静止の状態に保たれているので、釘103を打ち込んだ外装板100の貫通孔104から亀裂が発生し、外装板100に割れが発生することが考えられる。
この場合、各柱101の傾きを抑制する機能が全く失われるため、耐震性が激減するという問題がある。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、建物における躯体の変形を抑制するとともに、変形加速度を低く抑えることにより耐震性が向上する外装板の取付構造を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明は、建物の躯体に外装板を取り付ける外装板の取付構造であって、前記躯体に支持部材を固定し、前記外装板が長方形であって、その長手方向を水平方向に配して該外装板の下辺を前記支持部材に載せて該外装板の下辺を水平方向にスライド移動可能に該支持部材で支えると共に、該外装板の上辺を少なくともその両端部において水平方向にスライド移動可能に保持し、前記外装板と前記躯体との間に粘弾性体を介在させることを特徴としている。
このように構成された外装板の取付構造によれば、支持部材に外装板を載せ該外装板の下辺を水平方向にスライド移動可能に該支持部材で支えると共に、該外装板の上辺を少なくともその両端部において水平方向にスライド移動可能に保持し、この外装板と躯体とを粘弾性体で接合した。
よって、例えば地震等で躯体が傾いた場合に、外装板は躯体の傾きに追従しないで正規の位置に静止状態を保たれるか、スライド移動する。そのため、上下粘弾性体の位置が柱の傾きにより水平方向に変位を生じさせ、それにより、粘弾性体が変形して躯体の傾きを粘弾性体で吸収することができる。
外装板の下辺を水平方向にスライド移動可能に支持するには、下辺を少なくとも2箇所で支持すれば足りるが、好ましくは3箇所以上、より好ましくは4箇所以上で支持する。外装板の下辺を3箇所以上で支持するようにすれば、外装板が水平方向にスライド移動した場合に、下辺の支持が1箇所はずれても2箇所はとまっており、外装板が面内で回転することを抑制することができる。外装板の上辺も同様に、好ましくは3箇所以上、より好ましくは4箇所以上でスライド移動可能に支持する。
また、本発明は、複数の前記外装板が、上下方向に互いに隣接して配設されており、上側の外装板の下辺を下側の外装板の上辺に重ね、該上側の外装板の下辺で該下側の外装板の上辺を前記躯体に向けて押し付けて該下側の外装板の上辺をその全長にわたり保持することを特徴としている。
このように構成された外装板の取付構造によれば、外装板は、隣接する外装板同士で確実に保持されているので、躯体の傾きに追従して外装板が面内で回転したりすることなく、正規の位置に静止状態を確実に保たれるか、完全なスライド移動となる。
また、上側の外装板の下辺で下側の外装板の上辺を前記躯体に向けて押し付けているので、外装板が屋外側や屋内側に移動することなく、粘弾性体を介在させた外装板と躯体との接合が確実なものとなる。
それにより、粘弾性体が変形して躯体の傾きを粘弾性体で吸収することができる。
また、本発明は、前記粘弾性体が、前記外装板の上部30%の部分と前記躯体との間、および下部30%の部分と前記躯体との間に介在していることを特徴としている。
このように構成された外装板の取付構造によれば、粘弾性体が外装板の中央から離れた位置に配置されることになる。
そして、外装板の中央部から離れた位置で粘弾性体が機能するため、粘弾性体の機能が最大限発揮され、これにより、より一層効果的に躯体の変形を抑制できるとともに、変形加速度を低く抑えることができる。
また、例えば外装板の中央部が釘打固定された場合、釘打固定された位置から離れた位置で粘弾性体が機能するため、同様に粘弾性体の機能を最大限発揮できる。
また、本発明は、前記粘弾性体が、前記支持部材の鉛直方向に配置されていることを特徴としている。
このように構成された外装板の取付構造によれば、躯体が傾いたときに外装板が反っても、支持部材の鉛直方向に位置する外装板の部位は支持部材で支えられて躯体から離反することが規制されるため、粘弾性体を介在させた外装板と躯体との接合が確保される。それにより、粘弾性体が弾性変形して躯体の傾きを粘弾性体で吸収することができる。
また、本発明は、前記外装板のアスペクト比(長辺/短辺)が3以上であることを特徴としている。
このように構成された外装板の取付構造によれば、外装板が長手方向を水平方向に配して水平方向にスライド移動可能に支持されることで、外装板が面内で回転したり、屋外や屋内側に移動したりすることを抑制し、躯体の傾きに追従しないで正規の位置に静止状態を保つか、完全なスライド移動を可能とする。一方、正方形の外装板や、長手方向を鉛直方向に配した外装板では、躯体の傾きに追従して面内回転を起こしやすく、粘弾性体の変形を小さくしてしまう。
また、本発明は、前記粘弾性体は、20℃、1Hzでのせん断弾性係数が3N/cm以上、20℃、1Hzでの荷重変位曲線における荷重最大値と変位量0mmにおける正の荷重との比であるロスファクターが0.3以上であることを特徴としている。
ここで、せん断弾性係数は、典型的に50N/cm以下であり、好ましくは10N/cm以上、より好ましくは15N/cm以上である。
また、ロスファクターは、典型的に1.5以下であり、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上である。
また、本発明は、前記粘弾性体の厚みが0.5mm以上であることを特徴としている。
ここで、粘弾性体の厚みが0.5mm未満であると柱および外装板に対してそれぞれ剥がれ易くなる。
また、本発明は、前記粘弾性体の厚みが5.0mm以下であることを特徴としている。
ここで、粘弾性体の厚みが5.0mmを超えると変位量または変位加速度の抑制が難しくなる虞れがある。このため、粘弾性体の厚みは5.0mm以下、好ましくは2.0mm、より好ましくは1.5mm以下である。
また、本発明は、前記粘弾性体の水平方向の長さと、前記外装板の同方向の長さとの比が0.05以上であることを特徴としている。
ここで、粘弾性体の水平方向の長さと、外装板の同方向の長さとの比が0.05未満であると、変位量または変位加速度の抑制が難しくなる虞れがある。
また、本発明は、前記粘弾性体が、前記外装板の高さ方向の上部30%の部分と前記躯体との間に介在し、当該介在する前記粘弾性体の高さ方向の長さが前記外装板の高さの1%以上であることを特徴としている。好ましくは7%以上である。
また、本発明は、前記粘弾性体が、前記外装板の高さ方向の下部30%の部分と前記躯体との間に介在し、当該介在する前記粘弾性体の高さ方向の長さが前記外装板の高さの1%以上であることを特徴としている。好ましくは7%以上である。
また、本発明は、前記外装板が、窒業系サイディング、木質系セメント板、パルプセメント板、スレート・木毛セメント積層板および繊維強化セメント板からなる群から選ばれる建築用ボードであることを特徴としている。
ここで、本発明に用いられる外装板は、典型的に外装に用いられる建築用ボードであり、窒業系サイディング、木質系セメント板、パルプセメント板、スレート・木毛セメント積層板および繊維強化セメント板等が例示される。
また、外装板の縦(高さ)、横、厚みは典型的にそれぞれ、200〜500mm、1500〜3500mm、9〜25mmである。
本発明によれば、建物における躯体の変形を抑制するとともに、変形加速度を低く抑えることにより耐震性を向上させることができる。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態において、図1〜図3において説明した部材等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
図1〜図3に示すように、外装板10は、柱(躯体)12に胴縁14を介して支持部材16および一対の当接板18が設けられている。
外装板10は、例えば窒業系サイディング、木質系セメント板、パルプセメント板、スレート・木毛セメント積層板および繊維強化セメント板からなる群から選ばれる建築用ボードとされ、その縦(高さ)、横、厚みは典型的にそれぞれ200〜500mm、1500〜3500mm、9〜25mmである。
支持部材16は略L字形とされ、柱(躯体)12に当接する鉛直部17の釘孔に釘22(固定具)を差し込み、差し込んだ釘22を胴縁14および柱12に打ち込んで固定される。当接板18は、支持部材16における鉛直部17の鉛直方向に配置され、支持部材16と同様に釘22(固定具)により柱12に固定される。これらの当接板18の表面には、それぞれ略矩形状に形成された粘弾性体24が貼付されている。
粘弾性体24は、外装板10の裏面における4つの角部に貼付されている。具体的には、各粘弾性体24は、外装板10の高さ方向の上部30%の部分と、下部30%の部分とに貼付されている。
そして、各粘弾性体24は、その高さ方向の長さが外装板10の高さの1%以上となるように設定することが好ましい。
また、外装板10における水平方向の長さに対する粘弾性体24における水平方向の長さの比が0.05未満であると変位量または変位加速度の抑制が難しくなるため、この比が0.05以上になるように粘弾性体24における水平方向の長さを設定することが好ましい。
さらに、この粘弾性体24は、厚さ寸法tが0.5mm未満であると柱および外装板に対してそれぞれ剥がれ易くなり、5.0mmを超えると変位量または変位加速度の抑制が難しくなる虞れがある。
従って、粘弾性体24は、厚さ寸法tが0.5mm以上、5.0mm以下、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下に設定されている。
次に、支持部材16の水平部19に外装板10の内側下辺(下辺)10Aを載せるとともに、外装板10の裏面10Bを上下の粘弾性体24の表面24Aに当接する。
この際、水平部19から立ちあがっている係止部20で外装板10の内側下辺10Aが水平部19から外れることを防止する。
また、外装板10の外側下部10Cが支持部材16の下方まで延びて、支持部材16を覆うことができるので、支持部材16が外側から見えないようにできる。
なお、外装板10の裏面10Bを上下の粘弾性体24の表面24Aに接着剤で接合することも可能である。
これにより、外装板10が柱12に取り付けられる。次いで、柱12に取り付けた外装板10の上方の支持部材16に外装板10の内側下辺10Aを載せ、上側の外装板10を、既設の外装板10と同様に柱12に固定できる。
この際、上側の外装板10の外側下部10Cが、上側の支持部材16の下方まで延びて上側の支持部材16を覆うとともに、下側の外装板10の上端部10Dに当接する。
これにより、上側の外装板10の外側下部10Cで下側の外装板10の上端部10Dを柱12側に押え付けることができる。
図3に示すように、支持部材16は、鉛直部17を鉛直方向に延ばし、この鉛直部17の下辺17Aから水平方向に水平部19を延ばし、この水平部19の先端19Aから係止部20を鉛直方向に立ち上げることにより、略L字形に形成されている。
次に、図4〜図5に基づいてと粘弾性体24の作用を説明する。
例えば地震が発生した場合には、図4に示すように振動で柱12が実線で示す状態から想像線で示す状態に矢印の方向に傾く虞れがある。
この場合、外装板10は隣接する外装板10同士で確実に保持されているので、柱12の傾きに追従しないで正規の位置に静止状態を保たれる。
ここで、外装板10と柱12との間に粘弾性体24が介在されているので、図5に示すように粘弾性体24が弾性変形して柱12の傾きを粘弾性体24で吸収できる。
これにより、建物における躯体の変形を抑制するとともに、変形加速度を低く抑えることにより耐震性が向上する。
また、外装板10を固定するために、従来のような釘を用いていないため、地震等で柱12が傾いた場合に外装板10に割れが発生することを防止できる。
尚、本発明の外装材の取付構造では、柱などの躯体が図4に示すように傾くことで粘弾性体が弾性変形する。従って、建物において躯体が傾く箇所に粘弾性体を介在させて外装板を配置する必要がある。しかし、地震による揺れがどの方向に作用し、それにより躯体のどの箇所が傾くかを予見するのは困難である。
そこで、建物の躯体の東西南北すべての箇所に粘弾性体を介在させて外装材を配置する、好ましくは、建物の躯体の外周部全てに粘弾性体を介在させて外装材を配置するようにすることで、あまり細かい挙動解析せずとも、所望の効果を得ることができる。
建物の躯体の外周部は、建物の重心・剛心から最も離れているため、最も大きく揺れることになる。そこで、建物の躯体の外周部は、そこに傾きが生じやすく、粘弾性体を弾性変形させるのに好適である。
(実施例)
次に、外装板と柱との間に粘弾性体を介在させ、粘弾性体の厚さ寸法tや配置位置を変えることで、粘弾性体のエネルギー吸収性能が変化するか否かを検討した。
次に、Actuator(200[kN])を用い軸組構法の動的加力実験を行った。加力は正弦波加振とし目標変位量に達する正弦波として、表1の加振スケジュールに示す4波入力した。すなわち、入力層間変形角(以下、単に変形角と略す)1/300[rad.](9.79[mm])、1/120[rad.](24.48[mm])、1/60[rad.](48.97[mm])、1/40[rad.](75.3[mm])を、表1に示すそれぞれの周波数で制御する。
加力冶具としては、梁の両端部を鋼棒で緊結したものを用いた。また、胴差し中央部に面外座屈を防ぐ冶具を設置した。
Figure 2007278062
供試体は、その軸組の幅が1820[mm]、高さが2937[mm]であるような軸組構法の壁構面で、面材には6枚の外装板(旭硝子株式会社製、AG−WALL、15mm×455mm×2000mm)を並列に設置している。柱、土台(105×105[mm])および間柱(105×35[mm])にベイツガ、胴差(105×180[mm])にベイマツを使用した。
柱脚はHD金物(HD-M25)、柱頭は羽子板金物で緊結した。供試体を図6(A)〜図6(C)に示す。供試体は比較例としてNail−3−A(図6(A)参照)、第1実施例としてVEM−1mm−D(図6(B)参照)、第2実施例としてVEM−2mm−D(図6(C)参照)の3体とする。
なお、各供試体の粘弾性体は、住友スリーエム社製ISD111を用い、各粘弾性体の水平方向の長さは80mm、高さ方向の長さは60mmであり、20℃、1Hzでのせん断弾性係数が18.55N/cm、20℃、1Hzでのロスファクターが0.91である。
粘弾性体は、あらかじめ柱に釘打固定した鉄板(100mm×100mm×0.5mm)にエポキシ樹脂により接着して取り付けた。そして、外装板の裏面を粘弾性体の表面に押し付け、粘弾性体の粘弾性により外装板を接着した。
これらの粘弾性体は、外装板における幅方向の左右端と中央にそれぞれ1個づつ二段、合計6個取り付け、外装板における高さ方向の中心(227.5mm位置)から上下に142.5mmの位置が当該粘弾性体の高さ方向の中心となるように配置した。
すなわち、上側の粘弾性体の下辺は、外装板の上辺から高さ方向の長さの25%の位置にあり、下側の粘弾性体の上辺は、外装板の下辺から高さ方向の長さの25%の位置にある。
また、外装板10の高さに対する各粘弾性体24における高さ方向の長さの百分率比は0.13(60/455)となっている。
さらに、各粘弾性体24における水平方向の長さの合算値が240mmであるため、外装板10の水平方向の長さと各粘弾性体24の同長さ合計との比は0.12(240/2000)である。
3体の供試体について実験を行った結果は図7の通りである。なお、図7中、縦軸は荷重[kN]、横軸は変位量[mm]である。
Nail−3−Aの荷重−変位曲線を図7(A)に示し、VEM−1mm−Dの荷重−変位曲線を図7(B)に示す。供試体VEM−1mm−DおよびVEM−2mm−Dは、3体のなかで最大耐力が最も高く、VEM−1mm−Dの最大耐力は1/60[rad.]時で7.0[kN]を示している。
3体の供試体の1/120[rad.]時での最大耐力を壁倍率で比較すると、VEM−1mm−Dは倍率1.3であり石膏ボードと同じくらいで、VEM−2mm−Dでは倍率1である。なお、Nail−3−Aは倍率0.4と低い値を示した。
表2に最大速度30[cm/sec]での入力層間変形角1/300[rad.]、1/120[rad.]、1/60[rad.]の最大耐力を示す。なお、表2中、Pmaxは荷重の最大値、δは変位量である。
Figure 2007278062
次に、粘弾性体と柱の相対変位について説明する。VEM−1mm−Dにおける外装板と柱とのすべり変位量を図8に示す。中央の釘を中心点として回転し変形がみられた。図9に示すように外装板と釘の間隔200[mm]とすると、相対変位を外装板と釘の間隔200[mm]で割ると外装板の最大層間変形角を示す。
最大層間変形角は、VEM−1mm−Dで、1/300[rad.]で1/344[rad.]、1/120[rad.]で1/138[rad.]、1/60[rad.]で1/64[rad.]となり、入力した層間変形角とほぼ同じ値を示している。
次に、初期剛性を図10に基づいて説明する。
層間変形角1/300[rad.]時での割線剛性を初期剛性として評価した。全体を通して見ると、速度の増加に伴い剛性の増加がみられる。Nail−3−Aの剛性は0.15[kN/mm]と低い値を示したが、VEM−1mm−DおよびVEM−2mm−Dは剛性が高く、特にVEM−1mm−Dの剛性は0.4[kN/mm]と最も高い値を示している。
また、粘弾性体の厚さが薄くなると剛性が高くなる傾向にあることが判る。
次に、等価粘性減衰定数を図11に基づいて説明する。
3体の供試体において等価粘性減衰定数(Heq)を比較すると、VEM−1mm−Dのように粘弾性体仕様の供試体の方が、Heqが高くなり効果が現れている。また、粘弾性体の厚さが薄くなるとHeqは高くなる傾向にあることが判る。
粘弾性体仕様のVEM−1mm−DやVEM−2mm−Dは損傷が見られないが、粘弾性体が付いていないNail−3−Aは外装板の取付部に割裂がみられた。すなわち、粘弾性体仕様のVEM−1mm−DやVEM−2mm−Dは粘弾性体でエネルギーを好適に吸収できたが、粘弾性体が付いていないNail−3−Aはエネルギーを良好に吸収できなかったと考えられる。
振動解析について説明する。
せん断質点系モデルについて、住宅に粘弾性体を用いた場合のエネルギー吸収性能を把握するために振動解析を行った。1層、2層の各層の復元力特性は耐力壁と外装材の2つの非線形特性とした。この非線形特性を表3に示す。なお、表3中、Keはばね定数、Fyは荷重である。
また、せん断質点系を図12に示し、復元力特性を図13に示す。
Figure 2007278062
入力地震波は神戸海洋波(NS成分)を入力した。1次固有周期は、基本モデルで0.29[sec]、VEMモデルで0.27[sec]となった。基本モデルに対してVEMモデルの1階層間変位量は0.75倍、層せん断力は0.99倍とほぼ同値を示している。
表4は応答解析結果を示す。図14(A)は基本モデルの応答履歴曲線を示し、図14(B)はVEMモデルの応答履歴曲線を示す。
Figure 2007278062
以上説明したように、全供試体を通して、速度の増加に伴い剛性及び等価粘性減衰定数が高くなる傾向にある。
また、粘弾性体を薄くすることで粘弾性体のひずみ量が増加し、最大耐力(剛性)が大きくなる傾向にある。
さらに、基本モデルに対してVEMモデルの層間変位量は25%低減できる傾向にある。
これにより、エネルギー吸収性能型高性能耐力壁の開発では、粘弾性体を使用することでエネルギー吸収性能を上げることができ、地震時の住宅の層間変形を低減することができることが判った。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能であり、前述した各実施形態において例示した外装板10、柱12、支持部材16、粘弾性体24等の材質,形状,寸法,形態,数,配置個所,厚さ寸法等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
以上、説明したように、本発明によれば、支持部材に外装板を載せ、この外装板と躯体とを粘弾性体で接合した。
よって、例えば地震等による建物における躯体の変形を抑制するとともに、変形加速度を低く抑えることにより耐震性が向上する。
また、本発明によれば、粘弾性体が、20℃、1Hzでのせん断弾性係数が3N/cm以上、20℃、1Hzでの荷重変位曲線における荷重最大値と変位量0mmにおける正の荷重との比であるロスファクターが0.3以上であるため、より一層効果的に躯体の変形を抑制できるとともに、変形加速度を低く抑えることができる。
また、本発明によれば、粘弾性体の厚みが0.5mm以上であるため、柱および外装板に対してそれぞれ確実に貼付できる。
また、本発明によれば、粘弾性体の厚みが5.0mm以下であるため、変位量または変位加速度の抑制が容易となる。
また、本発明によれば、粘弾性体の水平方向の長さと、外装板の同方向の長さとの比が0.05以上であるため、変位量または変位加速度の抑制が容易となる。
また、本発明によれば、粘弾性体が、外装板の高さ方向の上部30%の部分と躯体との間に介在し、当該介在する粘弾性体の高さ方向の長さが外装板の高さの1%以上であるため、粘弾性体が外装板の中央から離れた位置に配置されることになる。
従って、外装板の中央部から離れた位置で粘弾性体が機能するため、粘弾性体の機能が最大限発揮され、これにより、より一層効果的に躯体の変形を抑制できるとともに、変形加速度を低く抑えることができる。
また、例えば外装板の中央部が釘打固定された場合、釘打固定された位置から離れた位置で粘弾性体が機能するため、同様に粘弾性体の機能を最大限発揮できる。
また、本発明よれば、粘弾性体が、外装板の高さ方向の下部30%の部分と躯体との間に介在し、当該介在する粘弾性体の高さ方向の長さが外装板の高さの1%以上であるため、粘弾性体が外装板の中央から離れた位置に配置されることになる。
従って、外装板の中央部から離れた位置で粘弾性体が機能するため、粘弾性体の機能が最大限発揮され、これにより、より一層効果的に躯体の変形を抑制できるとともに、変形加速度を低く抑えることができる。
また、例えば外装板の中央部が釘打固定された場合、釘打固定された位置から離れた位置で粘弾性体が機能するため、同様に粘弾性体の機能を最大限発揮できる。
また、本発明によれば、外装板が、窒業系サイディング、木質系セメント板、パルプセメント板、スレート・木毛セメント積層板および繊維強化セメント板からなる群から選ばれる建築用ボードであるため、これらの比較的せん断変形し難い材質を外装板として用いることにより、より一層効果的に躯体の変形を抑制できるとともに、変形加速度を低く抑えることができる。
本発明に係る外装板の取付構造を採用した構造を示す断面図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明に係る外装板の取付構造を採用するための要部構成を示す斜視図である。 本発明に係る外装板の取付構造を採用した構造の作用を示す第1説明図である。 本発明に係る外装板の取付構造を採用した構造の作用を示す第2説明図である。 本発明に係る実施例の供試体と外装板との関係を示す説明図である。 図7(A),図7(B)は本発明に係る実施例の荷重−変位曲線を示すグラフである。 本発明に係る実施例の外装板と柱とのすべり変位量を示すグラフである。 本発明に係る実施例の外装板と釘の関係を示す説明図である。 本発明に係る実施例の初期剛性を示すグラフである。 本発明に係る実施例の等価粘性減衰定数を示すグラフである。 本発明に係る実施例のせん断質点系を示す説明図である。 本発明に係る実施例の復元力特性を説明する図である。 図14(A),図14(B)は、本発明に係る実施例の基本モデルの応答履歴曲線及びVEMモデルの応答履歴曲線を示すグラフである。 従来の外装板の取付構造を採用した構造を示す断面図である。 図15のB−B線断面図である。 従来の外装板の取付構造を採用した構造の作用を示す説明図である。
符号の説明
10 外装板の取付構造
10A 内側下辺
12 柱(躯体)
16 支持部材
22 釘(固定具)
24 粘弾性体

Claims (5)

  1. 建物の躯体に外装板を取り付ける外装板の取付構造であって、
    前記躯体に支持部材を固定し、
    前記外装板が長方形であって、その長手方向を水平方向に配して該外装板の下辺を前記支持部材に載せて該外装板の下辺を水平方向にスライド移動可能に該支持部材で支えると共に、該外装板の上辺を少なくともその両端部において水平方向にスライド移動可能に保持し、
    前記外装板と前記躯体との間に粘弾性体を介在させることを特徴とする外装板の取付構造。
  2. 複数の前記外装板が、上下方向に互いに隣接して配設されており、
    上側の外装板の下辺を下側の外装板の上辺に重ね、該上側の外装板の下辺で該下側の外装板の上辺を前記躯体に向けて押し付けて該下側の外装板の上辺をその全長にわたり保持することを特徴とする請求項1に記載の外装板の取付構造。
  3. 前記粘弾性体が、前記外装板の上部30%の部分と前記躯体との間、および下部30%の部分と前記躯体との間に介在していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した外装板の取付構造。
  4. 前記粘弾性体が、前記支持部材の鉛直方向に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の外装板の取付構造。
  5. 前記外装板の長辺/短辺で表されるアスペクト比が3以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の外装板の取付構造。
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