JP2007277878A - スライド式ドア - Google Patents

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Abstract

【課題】 重いドア部材であっても、その下方に余分なスペースを必要とすることなく、バランス良く吊下でき、円滑に安定移動させられるスライド式ドアを提供すること。
【解決手段】 略板状のドア部材30を複数枚と、そのドア部材30の上方に配設される略線状の吊りレール21とを備え、各ドア部材30の略上部に延設されるブラケット40を、吊りレール21のガイド条にスライド可能に係合させることにより、吊りレール21が、ドア部材30を上方から支持すると共に、ドア部材30の移動可能な方向をガイドしてドアの開閉に寄与させるスライド式ドアにおいて、各ドア部材30のブラケット40を、ドア部材30のスライド方向における両端近傍の2箇所を含む複数箇所に配設する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、引き戸や収納庫など、建具や家具類に用いられるスライド式のドアに関する。
建具や家具類に用いられているドアには、板状のドア部材を回動させて開閉するタイプと、板面と平行にスライドさせて開閉するタイプとがある。
スライド式のドアにも、従来から種々の工夫がなされ、多様な構造のものが知られている。
図1(A)は、従来のスライド式ドア下部の例を模式的に示した平面図である。
左右の壁等の固定構造物10,10の間に、直線状のレール20,20が敷設されていて、各レール20の上に略板状のドア部材30が乗せられている。どちらか一方のドア部材30をレール20に沿ってスライドさせることにより、ドアの開閉が司られる。
ドア部材30の移動をガイドする手段としては、レール20の代わりに敷居等を設けた例もあり、また、カーテンのように上方から吊り下げて吊り戸とした例もある。ドア部材30がこのようにスライドするドア形式は、非特許文献1,2や、障子や襖などに用いられている通り公知である。
この種のドア形式は、2枚のドア部材30,30の各端部31,31が重なることによって、閉扉される。
そのため、2枚のドア部材端部31,31の間に隙間が生じることが避けられず、また、2枚のドア部材30,30が一平面に揃わず美観が芳しくない。
これに対し、図1(B)に示すように、ドアを閉じた時、2枚のドア部材30,30の各端面32,32が接して、ドア部材30,30が一平面に揃って閉じ、更に、ドアを全開した時には、2枚のドア部材30,30の全体が重なる形式のスライド式ドアが望まれている。
図2は、そのようなスライド式ドアの従来例を示す斜視説明図である。
ドアを閉じてドア部材30,30が重なった配置の場合、各ドア部材30,30を支持するブラケット40,40が衝突しないように、ブラケット40によるドア部材30の支持は片持ち支持であった。すなわち、ブラケット40は、ドア部材30の上部における端寄りの位置に1箇所設けられていた。
そのため、ブラケット40への重量負荷の点で、ドア部材30の重量に制約があったり、長期間の使用による歪みによって円滑なスライドに難を生じることがあった。また、ドア部材30の安定移動のために、ドア部材30の下方にもガイド手段を設置した方が好ましく、そのスペースを要していた。尚、前記スライド式ドアに関する技術が記載された文献としては下記文献が挙げられる。
建築学用語辞典 技報堂出版 1997年 建築大辞典 彰国社 1997年
そこで、本発明は、重いドア部材であっても、その下方に余分なスペースを必要とすることなく、バランス良く吊下でき、円滑に安定移動させられるスライド式ドアを提供することを課題とする。
上記課題を達成するため、本発明のスライド式ドアは次の構成を備える。
すなわち、略板状のドア部材を複数枚と、そのドア部材の上方に配設される略線状の吊りレールとを備え、各ドア部材の略上部に延設されるブラケットを吊りレールのガイド条にスライド可能に係合させることにより、吊りレールが、ドア部材を上方から支持すると共に、ドア部材の移動可能な方向をガイドしてドアの開閉に寄与させるスライド式ドアにおいて、各ドア部材のブラケットが、ドア部材のスライド方向における両端近傍の2箇所を含む複数箇所に配設されることを特徴とする。
ここで、複数のブラケットの配設位置の中央を、ドア部材の重心の略鉛直上方に位置させて、ドア部材の安定吊下に寄与させてもよい。
また、吊りレールのガイド条として、ドア開閉のためのスライドをガイドする一本のスライドガイド条と、そのスライドガイド条から分岐する略線状であり、一方のドア部材のブラケットをそこに待避させることにより他方のドア部材のスライドへの干渉を抑止する待避ガイド条とを設けることにより、閉扉時の美観及び気密性と開扉時の美観に寄与させてもよい。
ドア部材の下方に、ドア部材の移動をガイドする凹状の下部ガイドを、吊りレールのガイド条の配置に呼応した配置で設けて、ドア部材の安定移動に寄与させてもよい。
請求項1に記載のスライド式ドアによると、ブラケットが、ドア部材のスライド方向における両端近傍の2箇所を含む複数箇所に配設されるので、ドア部材がバランス良く保持される。それに伴い、重いドア部材であっても、その下方に余分なスペースを必要とすることなく使用が可能になり、ドアを円滑に開閉させられる。
請求項2に記載のスライド式ドアによると、複数のブラケットの配設位置の中央が、ドア部材の重心の略鉛直上方に位置するので、ドア部材の吊下バランスが一層向上し、安定移動が得られる。
請求項3に記載のスライド式ドアによると、スライドガイド条から分岐した待避ガイド条を備えるので、そこでのドア部材の擦れ違い移動が可能になる。それに伴い、閉扉時には、複数のドア部材の端面同士を接した状態で、それらドア部材を一平面に揃えられるので、美観を良くすることと気密性を高めることができ、また、開扉時には、複数のドア部材の全体が重なった状態で揃えられるので、美観を向上させられる。
請求項4に記載のスライド式ドアによると、ドア部材の下方に下部ガイドが備わるので、ドア部材の安定移動が得られる。下部ガイドが凹状であるので、建具類に設置してもバリアフリーに寄与する。
以下に実施例を挙げて、本発明の実施形態を説明する。なお、構造の細部は、本発明の趣旨から逸脱しない限り設計変更可能であり、公知技術を適宜利用できる。
図3は、本発明による典型的なスライド式ドアの要部斜視図、並びに、その上部と下部の拡大図である。
図示の例では、ドア部材30は縦長の長方形状であるが、開扉時のドア開口部を閉鎖できる形状であればよいので、略板状の任意の形状のものが利用できる。
ドア部材30の上端部には、2体のブラケット40,40が延設されている。
ブラケット40は、後述の吊りレール21のガイド条にスライド可能に係合される部材であり、ブラケット40を介してドア部材30は、吊りレール21によって上方から支持されると共に、移動可能な方向をガイドされる。
図示の例では、ブラケット40はドア部材30の上端に設置されているが、ドア部材30を上方から吊下できる形態であればよい。例えば、ドアの裏面側でドア部材30の上端より低い位置に、ブラケット40と吊りレールを設けることも可能であるので、ブラケット40の設置位置は、ドア部材30の略上部の任意位置に設定可能である。
図示のように、ブラケット40を2体設置する場合は、ドア部材30のスライド方向における両端近傍の2箇所に配設することが好ましい。
ブラケット40は、ドア部材30に対して3体以上を設置してもよい。
複数のブラケット40の配設位置の中央を、ドア部材30の重心の略鉛直上方に位置するように調整すると、ドア部材30の吊下バランスが安定し移動も円滑に行えるようになる。なお、複数のブラケット40の配設位置中央は、各ブラケット40の位置を作用点として、ドア部材30の重心に対する各モーメントを合成することによって簡略に求められる。
このように、ブラケット40を、ドア部材30のスライド方向における両端近傍の2箇所を含む複数箇所に配設すると、従来の片持ち支持に比べ、ドア部材30がバランス良く保持される。それに伴って、ドアを開閉が円滑になり、重量の大きなドア部材30であっても使用が可能になる。
また、従来の片持ち支持の場合では、ドア部材30の下方に必要であったガイド部材が、必ずしも必要なくなり省スペースになった。図示の例では、ドア部材30の下端部にも下部ブラッケト50,50が設置されているが、必須の構成要素ではない。
図4は、スライド式ドア上部の動作を模式的に示した平面図である。
図示の例では、2枚のドア部材30,30が設けられているが、ドア部材30の数は3以上の任意数を設置可能である。
ドア部材30は、そのブラケット40を介して、略線状の吊りレール21に吊下される。ブラケット40は、吊りレール21のガイド条22,23,24にスライド可能に係合される。
ガイド条22,23,24は、ブラケット40の凸状部分を摺動可能に支持する凹状でも、ブラケット40の凹状部分を摺動可能に支持する凸状でもよく、それがドア部材30のスライド方向に延伸した略線状の任意のものが利用できる。
図示の例では、ガイド条としては、ドア開閉のためのスライドをガイドする一本の直線状のスライドガイド条22と、その両端部に位置する曲線状の端部ガイド条23と、スライドガイド条22の中途から分岐する短い線状の待避ガイド条24とが設けられている。
スライドガイド条22は、ドア開閉のためにドア部材30をスライドさせられればよいので直線状に限らず緩曲線状のものなども使用可能である。
端部ガイド条23は、曲線状に限らず屈折した直線状などでもよく、また必須の構成要素ではない。
図は、1体のドア部材30を移動させて、閉扉状態から開扉状態への変化を示している。
図4(A)の閉扉状態では、各ドア部材30のブラケット40,40がそれぞれ端部ガイド条23と待避ガイド条24とに係合して、安定した配置になっている。この時、2枚のドア部材30,30の端面32,32同士が接した状態で、ドア部材30,30が一平面に揃うので、美観と気密性の向上が可能である。
図4(B)のように、端部ガイド条23に係合していたブラケット40の側を軸にして、ドア部材30を回動させると、待避ガイド条24に係合していたブラケット40を、スライドガイド条22へ円滑に移動させられる。
図4(C)のように、待避ガイド条24に係合していたブラケット40がスライドガイド条22に移動すると、ドア部材30をスライドガイド条22に沿って円滑にスライドさせられる。
図4(D)のように、ドア部材30をスライドガイド条22に沿ってスライドさせていくと、ブラケット40,40がそれぞれ端部ガイド条23と待避ガイド条24とに係合して安定した配置になっている他方のドア部材30と、擦れ違いをさせることが可能になる。
このような擦れ違いを可能にするためには、ブラケット40のドア部材30から離反する方向への長さが、所定の長さ以上大きくなければならない。具体的には、図示のように、ブラケット40におけるガイド条との係合中心位置42と、ドア部材30との間の距離が、他方のドア部材30の厚みより大きい必要がある。
擦れ違いが可能であると、2枚のドア部材30,30の全体が重なった状態で揃えられるので、開扉時の美観を向上させられる。
図示の例では、待避ガイド条24の数は、ドア部材30の数と等しい2体であるが、3体以上の多数を設けてもよい。すると、所望の位置で擦れ違いを行えるようになる。
また、待避ガイド条24を長く設計すると、一つの待避ガイド条24に、複数のブラケット40を縦列させて配置可能になるので、複数のドア部材30を同一箇所に縦列させて待避させられるようにもなる。
更に待避ガイド条24を延伸させると、全てのドア部材30を離隔した場所にガイドして、ドア開口部を全開させたり、ドア部材30を取り外すことも可能になる。
図5は、スライド式ドアの要部側面断面図、図6は、そのブラケット近傍部分の側面断面図及び正面断面図であり、特にブラケット40とガイド条との係合関係の一例を示している。
ドア部材30の上部には、屈曲した平板状の金具等から成るブラケット接続片41が接続され、それにボルト等から成るブラケット係合中心部材42が固定されている。ブラケット係合中心部材42には、それを取り巻くブロック等から成るブラケット固定部材43を介して、車軸45が取り付けられている。車軸45には、ベアリング46を介して車輪47が設けられている。
その車輪47が、ガイド条21に係合することにより、ドア部材30の摺動可能な保持が司られている。
ブラケット40における車軸45の構造は、上記の一例に限らず従来公知の任意技術のものが利用できる。
図示のガイド条21は、断面が四角形の管状であり、その内部に車輪47が配置されているが、ガイド条21の具体的な形状は、略U字形の開管状など、車輪47と係合できる構成であれば任意のものが利用できる。
また、車輪47のような回転体は、ブラケット40側に設置しないで、ガイド条21側に設けてもよく、ブラケット40側とガイド条21側の双方に設けてもよい。更に、車輪47のような回転体は、必ずしも設置する必要ない。
なお、図6の例では、待避ガイド条24の底面に僅かな高さの突条25が形成されている。そのため、ブラケット40が待避ガイド条24に進入すると、ブラケット固定部材43の端底部に形成されているスライダ部44が突条25に乗り上げ、車輪47がスライドガイド条22から浮き上がる。
これにより、車輪47に負荷をかけることなく、ブラケット40を待避ガイド条24へ移動させられる。
図5に示したように、ドア部材30の下端部には、下部ブラッケト50が設置され、ドア部材30の下方の床面11に敷設された下部ガイド60と係合している。この係合によって、ドア部材30の移動がガイドされるが、必須の構成要素ではない。
また、ブラケット40の鉛直下方に下部ブラッケト50を一対一対応させて配置する必要もなく、ブラケット40と下部ブラッケト50との配置関係は独立させてもよい。
ドア部材30の下部には、屈曲した平板状の金具等から成る下部ブラケット接続片51が接続され、それにボルト等から成る下部ブラケット係合中心部材52が固定されている。下部ブラケット係合中心部材52には、ベアリング53を介して車輪54が設けられている。
その車輪54が、下部ガイド60に係合することにより、ドア部材30の安定移動が図られている。
図示の例では、車輪54が、凹状の下部ガイド60の側面に摺動しているが、両者の係合関係は任意であり、従来公知の技術を適宜利用できる。
下部ブラケット50における車軸54の構造も、上記の一例に限らず従来技術の任意のものが利用できる。また、車輪54のような回転体は、下部ブラケット50側に設置しないで、下部ガイド60側に設けてもよく、下部ブラケット50側と下部ガイド60側の双方に設けてもよい。更に、車輪54のような回転体は、必ずしも設置する必要ない。
図7は、スライド式ドア下部を示す平面模式図である。
ドア部材30の下方の床面11に、ドア部材30の移動をガイドする下部ガイド60を、吊りレール21のガイド条の配置に呼応した配置で設けて、ドア部材の安定移動に寄与させてもよい。
図示の例の下部ガイド60には、ドア開閉のためのスライドをガイドする一本の直線状のスライド下部ガイド61と、スライド下部ガイド61の中途から分岐する短い線状の待避下部ガイド62とが示されている。
図4で示したブラケット40と吊りレール21のガイド条22,23,24との摺動関係と同様に、下部ブラッケト50が、車輪54を介して下部ガイド60に摺動係合してガイドされる。
なお、スライド下部ガイド61は、吊りレール21のスライドガイド条22の鉛直下方に、それと同様の配置を行なうが、前記のブラケット40と下部ブラッケト50との独立関係と同様に、待避下部ガイド62は、必ずしも吊りレール21の待避ガイド条24に対応させて、その鉛直下方に配置しなくてもよい。
下部ガイド60は、凸状でも凹状でも利用できるが、特に建具類に使用する場合は、図示の例のように、床面11から突出する部分のない凹状に形成することがバリアフリーの点で好ましい。
本発明のスライド式ドアによると、重いドア部材であってもバランス良く保持され、円滑に開閉操作できる。それと共に、ドア部材の下方の床面にレール等のガイド部材を必ずしも必要としないので、建具類に用いる場合にはバリアフリーに寄与し、実用性が高い。
また、ドア部材の擦れ違い移動が容易なので、閉扉時には、複数枚のドア部材を一平面に揃えることにより、美観と気密性を高められ、開扉時には、複数枚のドア部材を重ねて揃えられることで、美観を高められる利点もある。
従来のスライド式ドア下部を示す平面模式図 従来のスライド式ドアを示す斜視説明図 本発明によるスライド式ドアの要部斜視図と、その上部及び下部の拡大図 スライド式ドア上部の動作を示す平面模式図 スライド式ドアの要部側面断面図 ブラケット近傍部分の側面断面図及び正面断面図 スライド式ドア下部を示す平面模式図
符号の説明
10:壁等固定構造物、11:床面、20:レール、21:吊りレール。22:スライドガイド条、23:端部ガイド条、24:待避ガイド条、30:ドア部材、31:ドア部材端部、32:ドア部材端面、40:ブラケット、41:ブラケット接続片、42:ブラケット係合中心部材、43:ブラケット固定部材、44:スライダ部、45:車軸、46:ベアリング、47:車輪、50:下部ブラッケト、51:下部ブラケット接続片、52:下部ブラケット係合中心部材、53:ベアリング、54:車輪、60:下部ガイド、61:スライド下部ガイド、62:待避下部ガイド。

Claims (4)

  1. 略板状のドア部材を複数枚と、そのドア部材の上方に配設される略線状の吊りレールとを備え、
    各ドア部材の略上部に延設されるブラケットを吊りレールのガイド条にスライド可能に係合させることにより、吊りレールが、ドア部材を上方から支持すると共に、ドア部材の移動可能な方向をガイドしてドアの開閉に寄与させるスライド式ドアにおいて、
    各ドア部材のブラケットが、ドア部材のスライド方向における両端近傍の2箇所を含む複数箇所に配設される
    ことを特徴とするスライド式ドア。
  2. 複数のブラケットの配設位置の中央が、
    ドア部材の重心の略鉛直上方に位置する
    請求項1に記載のスライド式ドア。
  3. 吊りレールのガイド条が、
    ドア開閉のためのスライドをガイドする一本のスライドガイド条と、
    そのスライドガイド条から分岐する略線状であり、一方のドア部材のブラケットをそこに待避させることにより他方のドア部材のスライドへの干渉を抑止する待避ガイド条とを備える
    請求項1または2に記載のスライド式ドア。
  4. ドア部材の下方に、ドア部材の移動をガイドする凹状の下部ガイドが、吊りレールのガイド条の配置に呼応した配置で設けられる
    請求項1又は2又は3に記載のスライド式ドア。
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