JP2007276714A - 車両用軽合金ホイール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ディスク部とリム部を有する車両用軽合金ホイールであって、前記リム部はインナーハンプの位置で曲がる形状を有し、インナーハンプからアウター側に向かって径が小さくなる略直線部を持つと共に、インナーハンプからインナー側のリム部における伸びが10%以上であることを特徴とする車両用軽合金ホイールとする。またm0.2%耐力が220MPa以上であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
一般に軽合金製ホイールは、図7に横断面形状を示すように、ボルトとナットにより車軸に取り付けられる厚肉のハブ部と厚肉部と薄肉部が混在するデザイン部からなるディスク部39と、タイヤが取着される薄肉のリム部から構成されている。リム部は、端部に突出したインナーフランジ31、アウターフランジ38が形成され、その内側には、回転軸に平坦なインナービードシート32、アウタービードシート37が形成され、そのさらに内側には微小な凸形状となるインナーハンプ33、アウターハンプ36が形成され、その間には、リム胴部が形成されている。
リムは、全体が一種のリブ構造であり、走行時に変形しないよう構成されている。フランジやハンプは、備え付けられる樹脂タイヤとの接触部でもあるが、それ自体がリムの真円度を維持する機能も合わせ持っている。
(1)ディスク部とリム部を有する一体鋳造により製造された車両用軽合金ホイールであって、前記リム部はインナーハンプの位置で曲がる形状を有し、インナーハンプからアウター側に向かって径が小さくなる略直線部を持つと共に、前記略直線部よりアウター側は鋳造により形成され、かつインナーハンプからインナー側のリム部における伸びが10%以上であることを特徴とする車両用軽合金ホイール。
(2)前記車両用軽合金ホイールは、インナーハンプからインナー側のリム部における0.2%耐力が220MPa以上であることを特徴とする(1)に記載の車両用軽合金ホイール。
(3)前記インナーハンプから内径側に曲がる角度は、ホイールの軸方向に対して20度以上80度以下の範囲であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の車両用軽合金ホイール。
(4)前記インナーハンプからアウター側に向かって曲がったリム傾斜部は、長さが20mm〜60mmの直線形状であることを特徴とする(1)乃至(3)に記載の車両用軽合金ホイール。
(5)前記車両用軽合金ホイールは、Si:6.5〜7.5質量%、Mg:0.25〜0.45質量%、Cu:0.20%以下、および不可避不純物1質量%以下、残部:Alからなる材質であることを特徴とする(1)乃至(4)に記載の車両用軽合金ホイール。
(6)前記車両用軽合金ホイールは、リム部キャビティに湯口が設けられた鋳造方案により一体鋳造されたものであることを特徴とする(1)乃至(5)に記載の車両用軽合金ホイール。
(7)前記インナーハンプからインナー側は、スピニング加工により再形成されていることを特徴とする請求項(1)乃至(6)に記載のホイール。
(8)呼び径が16インチ以上であることを特徴とする(1)乃至(7)に記載の車両用軽合金ホイール。
上記(2)の前記車両用軽合金ホイールは、インナーハンプからインナー側のリム部における0.2%耐力が220MPa以上であることを特徴とするので、機械的強度に強い好ましい形態の車両用軽合金ホイールを得ることができる。0.2%耐力は、インナーハンプからインナー側のリム部で測定し、周方向に均等になるよう少なくとも4点以上の測定を行った値の平均値である。
上記(3)の車両用軽合金ホイールでは、前記インナーハンプから内径側に曲がる角度は、ホイールの軸方向に対して20°以上80°以下の範囲であることを特徴とするので、インナーフランジでの強度が高く、また湯流れ性のよい鋳造に適した車両用軽合金ホイールを得ることができる。インナーハンプから内径側に曲がる角度が20°未満であると、インナーフランジの強度を高める効果が得られにくい。また、インナーハンプから内径側に曲がる角度が80°を越えると、鋳造で製造する際に溶湯の湯流れ性が悪くなり、この曲がった部分の周辺で鋳造欠陥が出やすくなる。インナーハンプから内径側に曲がる角度は、25°以上70°未満とすることが好ましく、30°以上60°以下とすることがさらに好ましい。
上記(4)の車両用軽合金ホイールでは、前記インナーハンプからアウター側に向かって曲がったリム部は、長さが20mm〜60mmの直線形状であることを特徴とするので、インナーフランジでの強度が高い形態を有する。
上記(5)の車両用軽合金ホイールは、Si:6.5〜7.5質量%、Mg:0.25〜0.45質量%、Cu:0.20%以下、および不可避不純物1質量%以下、残部:Alからなる材質であることを特徴とするもので、JIS規格によるAC4CHの合金組成を用いたもので、インナーフランジの強度に優れた車両用軽合金ホイールが得られる。また、インナーフランジ側を展伸材と接合させることも可能である。インナーフランジ側を展伸材とする場合、インナーハンプからアウター側を上記の合金組成として鋳造により形成し、インナーハンプからインナー側を展伸材で形成し、両者を摩擦攪拌接合などにより接合させることができる。展伸材として、例えば、Si:0.4〜0.8質量%、Mg:0.8〜1.2質量%、Cu:0.15〜0.4質量%、Cr:0.04〜0.35質量%、および不可避不純物1.2質量%以下、残部:Alからなる、JIS規格によるH4000系A6061種相当の合金が好ましい。この展伸材は、T6処理を施すことが好ましい。この展伸材を用いることで、インナーハンプからアウター側のリム部で、伸び13%以上、0.2%耐力が250MPa以上の車両用軽合金ホイールが得られる。
上記(6)の車両用軽合金ホイールは、リム部キャビティに湯口が設けられた鋳造方案により一体鋳造されたものであることを特徴とするので、リム部のインナーフランジ先端まで溶湯が行き渡りやすい。(3)に示すような大きな角度で曲がるリム部は、従来の平坦なリム部よりも溶湯が流れにくいので、上記のように湯口をリム部に設けることが好適な鋳造方案となる。ディスク部のキャビティのみに湯口を設けると、溶湯温度が下がるリム部で湯流れ性が悪くなり、本発明の車両用軽合金ホイールは製造が難しくなる。特に低圧鋳造では湯流れ性が悪くなるので、上記方案を用いた場合の効果が大きくなる。好ましくは、リム部とディスク部のキャビティ両方に湯口を設ける低圧鋳造方案で製造する。
上記(7)の車両用軽合金ホイールは、前記インナーハンプからインナー側は、スピニング加工により再形成されていることを特徴とするので、インナーフランジの強度に優れた車両用軽合金ホイールを得られる。インナーフランジのスピニング加工による塑性変形厚さ(圧下率)は20%以上80%以下とすることが好ましい。また、伸びの特性を考慮する場合は25〜65%ほどが好ましい。
上記(8)の車両用軽合金ホイールは、呼び径が16インチ以上であることを特徴とする。口径の大きい車両用軽合金ホイールは、前記したように、インナーフランジの強度が低くなりやすい。本発明の車両用軽合金ホイールとすることで、16インチ以上であってもインナーフランジで十分な強度を持つ車両用軽合金ホイールとすることができる。
(実施例1)
以下に、本発明の望ましい実施例に係るリム部を有する車両用軽合金ホイールを、図1〜図4を参照して、説明する。図1は、本発明の一実施例の一体鋳造で製造したリム部の断面図である。1はリム部のインナーフランジであり、2はインナー側のビードシートを示し、3はインナーハンプを示し、4はリム傾斜部となる略直線部を示し、5はリム胴部である。リム部の図中上側にはインナーフランジ1とビードシート2に当接するタイヤが装着される。ビードシート2とインナーフランジ1は塑性加工により、断面の強度を上げている。従来のリム部の形状は、直線的な形状で、リム部が全体的に15°程度傾いている。それに対し、本発明の車両用軽合金ホイールは、インナーハンプの部分で曲がり、リム傾斜部4が形成されている。リム傾斜部は、ホイールの中心軸に対して47°の角度で、長さが28mmに形成されている。
図6に示すように、密閉容器内1に保持炉2があり、密閉容器1の上に下型プラテン3が取り付けられ、密閉容器1を密閉している。下型プラテン3には中央部にアルミニウム合金の溶湯5を金型に補給するストーク4a,cが取り付けてあり、ストーク4a,cの下端は保持炉2中の溶湯5に浸漬されている。溶湯は下型8に嵌入された湯口ブッシュ6を介し金型の湯口部7に連なっている。そして横型10に流れ込み、ホイールのリム部を成形するキャビティに注湯される。また、リム部に形成されるサイドゲートはホイール軸に対して対象になる位置に設けた。
また、図2にインナーフランジでの変化量を測定した結果を示す。本発明の車両用軽合金ホイールでは、荷重を20kNかけても変化量は8mm以下である。対して従来の車両用軽合金ホイールでは、10mm以上の変化量があり、本発明の車両用軽合金ホイールの方が高い剛性を持つことが解る。
インナーハンプからインナー側のリム部で伸びを測定した。測定位置は周方向に6箇所、均等間隔になる位置とした。伸びはこれらの位置で測定した値の平均値を取った。その結果、伸びは平均12.8%であった。
また、0.2%耐力も同様に測定した結果、平均237MPaであることが確認された。
本発明の望ましい実施例に係るリム部を有する別の車両用軽合金ホイールを、図1を参照して説明する。実施例1と異なり、ビードシート2とインナーフランジ1には、H4000系A6061種相当の合金を円筒状に加工したものを用いた。また、インナーハンプよりもアウター側については、実施例1と同様にして低圧鋳造により軽合金ホイール基体を製造した。アウター側の軽合金ホイール基体を固定し、軽合金ホイール基体の円筒部分に、インナー側の展伸材の円筒部分を当接させた。その後、展伸材を軽合金ホイール基体に押し付けながら回転させ、摩擦攪拌接合により両部材を接合させた。これにより、図1に示す形状の車両用軽合金ホイールを得た。この車両用軽合金ホイールは、インナーハンプの部分で曲がり、リム傾斜部4が形成されている。リム傾斜部は、ホイールの中心軸に対して45.5°の角度で、長さが24mmに形成されている。
展伸材のビードシート2の位置で伸びを測定した。測定位置は周方向に6箇所、均等間隔になる位置とした。伸びはこれらの位置で測定した値の平均値を取った。その結果、伸びは平均14.9%であった。
また、0.2%耐力も同様に測定した結果、平均275MPaであることが確認された。
Claims (8)
- ディスク部とリム部を有する車両用軽合金ホイールであって、前記リム部はインナーハンプの位置で曲がる形状を有し、インナーハンプからアウター側に向かって径が小さくなる略直線部を持つと共に、前記略直線部よりアウター側は鋳造により形成され、かつインナーハンプからインナー側のリム部における伸びが10%以上であることを特徴とする車両用軽合金ホイール。
- 前記車両用軽合金ホイールは、インナーハンプからインナー側のリム部における0.2%耐力が220MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の車両用軽合金ホイール。
- 前記インナーハンプから内径側に曲がる角度は、ホイールの軸方向に対して20度以上80度以下の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用軽合金ホイール。
- 前記インナーハンプからアウター側に向かって曲がったリム傾斜部は、長さが20mm〜60mmの直線形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の車両用軽合金ホイール。
- 前記車両用軽合金ホイールは、Si:6.5〜7.5質量%、Mg:0.25〜0.45質量%、Cu:0.20%以下、および不可避不純物1質量%以下、残部:Alからなる材質であることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の車両用軽合金ホイール。
- 前記車両用軽合金ホイールは、リム部キャビティに湯口が設けられた鋳造方案により一体鋳造されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の車両用軽合金ホイール。
- 前記インナーハンプからインナー側は、スピニング加工により再形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載のホイール。
- 呼び径が16インチ以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の車両用軽合金ホイール。
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- 2006-04-11 JP JP2006108179A patent/JP2007276714A/ja active Pending
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