JP2007276409A - インサート成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】肉厚が10μm〜2.0mmの薄い基板と、樹脂製のベース部材とを備え、基板は、ベース部材にモールドインサート成形されたものであり、基板の表面の少なくとも一部が外部に露出し、且つ裏面が隠蔽され、基板が、光又は熱硬化性の樹脂製又は割れやすいシリコンウェハ、ガラス、セラミックス製であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
このような微小の対象物を取り扱うマイクロウェル、マイクロ流路、マイクロバイオリアクター等のマイクロチップにおいてはチップの表面に微細なウェルや凹凸形状の精密構造を形成する必要があることから加工精度の高い基板からなるマイクロチップが要求される。
現在、シリコンウェハを用いてエッチング加工したシリコン製マイクロチップ、レーザー加工機やマイクロ切削機等を用いて精密加工したガラス製マイクロチップ又はセラミックス製マイクロチップ、転写成型を用いた光又は熱による硬化性の樹脂製マイクロチップ等が提案されている。
これらのマイクロチップは薄板状であるのが一般的であり、変形しやすかったり、割れやすいという問題がある。
この場合に、チップをベース部材上に圧接や接着等により接合するが、接着剤等の塗布厚にバラツキが生じ、ベース部材上に傾いて接合されると、チップの表面の水平性が低下して解析装置において焦点が合わなくなり解析ができないという問題も生じている。
また、チップ表面が傾いていると試験後が片側に流れる問題もあった。
また、チップ上に液溜まりが必要な時は、チップ上から液が漏れないための周囲枠が要求されるが、チップ表面への周囲枠の接着ではシール性が問題となる。
特開2001−1373号公報には基板を金型内の所定部分に押し付けるように裏面側から弾性体で押圧配置するインサート成形技術を開示するが、押圧した弾性体の部分に樹脂が充填されないだけでなく、薄い板材や割れやすい板材の場合に変形や割れを抑えつつ、金型内への配置の位置ずれを防止するのが困難である。
さらには、金型内のキャビティ面に押し付けた部分が外部に露出する表面となるが、基板の表面に微細加工がしてあるので、機能素子が設けられている場合にキャビティ面に押し付けるとこれら表面部の変形や、破壊する恐れも高く、マイクロチップをインサートしたモールド成形を行うことはできないものであった。
また、請求項2記載のインサート成形体は、肉厚が10μm〜2.0mmの割れやすい基板と、樹脂製のベース部材とを備え、基板は、ベース部材にモールド成形によりインサート成形されたものであり、基板の表面の少なくとも一部が外部に露出し、且つ裏面が隠蔽され、基板が、シリコンウェハ、ガラス、セラミックス等の割れやすい材料で製造されたものであることを特徴とする。
表面の少なくとも一部が外部に露出しとは、基板の必要な表面部が外部に表われていることをいい、裏面が隠蔽されているとは、モールド成形時に樹脂が裏面部に廻り込み、外部に露出していないことをいう。
基板の大きさは大きい程、インサート成形が難しくなるが、マイクロチップの場合には30mm×30mm以内である。
基板の形状は特に限定されず、30mm×30mm以内に収まる大きさをいう。
基板の例としては、薄い基板からなる光又は熱硬化性の樹脂製チップが挙げられる。
割れやすい基板としては、ガラス製チップ、シリコン製チップ、セラミックス製チップ等が挙げられる。
これらは脆弱であって非常に割れやすい。
また、インサート成形体は型内にインサートする基板を配置し、キャビティ内に樹脂を充填する方法であれば特に限定されないが、射出成形やトランスファー成形等の量産性が良い。
ベース部材は、厚み0.5mm〜30mm、大きさ50mm×150mm以内がよい。
これらのチップには表面に微細な加工がしてあってもよく、マイクロウェル、マイクロ流路、マイクロバイオリアクター、DNAチップ等のマイクロチップに適用するのが効果的である。
またチップの表面上に各種機能素子や配線パターンが設けられていてもよい。
マイクロチップの表面に施してある微細加工の大きさは凹部又は/及び凸部の深さ又は高さが1μm〜500μm、幅1μm〜500μmあるいは接円直径が1μm〜30μmであるのがよい。
特にCCDカメラ解析する場合には平面度及び水平度の値が25μm/10mm以下であることがよい。
ここで、平面度とは、平面形態の正確な平面からの狂いの度合いをいい、具体的にはマイクロチップの表面長さ10mm当たりの曲がり変形の大きさをいい、数値が小さい程、平面度が良いことを示す。
また、水平度とは、インサート成形体の裏面を水平な基準盤に載置した状態でのマイクロチップ表面の水平性をいい、水平性が悪い場合にはマイクロチップの平面度が高くてもマイクロチップが傾いていることになり、解析装置にて焦点合せができなくなる。
マイクロチップをモールド成形によりインサートしたインサート成形体であっては、マイクロチップの表面周囲を囲む10mm以下の周囲壁を形成すると液モレ防止になる。
また、生体関連物質を取り扱う場合には周囲壁を検出、診断又は分析等を阻害しない材料がよい。
特に、本発明に係るインサート成形体は、ベース部材にインサートした後の基板表面の平面度が高く、基板表面の水平性に優れるためにスキャニング解析やCCDカメラによる解析時の焦点合わせが容易であり、実用価値が高い。
また、モールド成形する際にマイクロチップの表面周囲に立壁部からなる周囲壁を形成することも可能であり、後から別体の周囲枠を取り付ける必要がなくなる。
このようにマイクロチップをインサート成形したインサート成形体は安価で量産性に優れる。
インサート成形体はマイクロチップ等の基板10を樹脂製のベース部材20にインサート成形してある。
ベース部材20には周囲壁21を形成してあり、この周囲壁は基板10の表面の周囲を囲むように設けた立壁状の枠となっている。
基板がマイクロチップの場合にマイクロチップ表面に微細加工が施してあり、直径1μm〜30μm程度のマイクロウェルアレイチップや、深さ1μm〜500μm、幅1μm〜500μmの溝や流路を形成したマイクロ流路、マイクロバイオリアクター等の場合には、表面部に解析用の液体試料、反応液などを滴下、注入する必要があるがこの周囲壁21がモールド成形体に一体成形してあるのでマイクロチップの裏面への液の廻り込み及び周囲壁の外部への薬液漏れを防止できる。
マイクロチップ等の場合にはマイクロチップ表面に検体を滴下するがこの場合にも周囲壁が必要となる。
マイクロチップの表面には、解析用の機能素子やマイクロ弁体等が形成されていてもよい。
ベース部材20の大きさはマイクロチップを取り扱う際や解析装置に装着しやすい形状や大きさが好ましい。
マイクロチップの大きさが30mm×30mm以内であれば、ベース部材はプレート状であって50mm×150mm以内が好ましい。
図2においては、モールド成形の金型を模式的に示してあり、マイクロチップ等の基板10を配置、保持するインサート部材配置型1とキャビティ型2とが開閉自在になっている。
インサート部材配置型1には、基板の表面11に施されている微細加工や取り付けられている機能素子が金型に当接しないように逃げ部4を形成し、吸引口4aから減圧吸引することで基板10がキャビティ内に配置される。
この場合に基板を吸引保持するだけでは樹脂充填時に位置ずれを生じる恐れがある場合には、位置決めピン3を配設するとよい。
図2に示した例は図1に示したモールド成形体のピン孔23を見ると分かるように各コーナー部に2本ずつ、合計8本配設した場合を示し、図示を省略したがピン3の底部3aに没入操作手段を備えている。
キャビティ5内に溶融樹脂を充填するゲート口2aは、まずベース部材20に樹脂が流れ込み、その後に周囲壁21が充填されるように配置してある。
従って、溶融樹脂の充填時に基板10の裏面12側に流れ込む基板裏面側流れ込み部6を形成するのがよい。
樹脂が基板の裏面側に廻り込んだ後に、周囲壁に均一に樹脂が流れ込むことでインサート成形時に基板に局部的な圧力が生じず、また溶融樹脂の冷却時の収縮に伴う、そり、割れが生じにくい。
これにより本発明に係る薄い板材や割れやすい板材からなる基板をインサート成形したインサート成形体を得ることができる。
インサートするためのモールド成形方法は型内に溶融樹脂を充填する方法であれば特に限定されないが比較的充填圧の低いトランスファー成形のみならず、射出成形も採用できる。
ベース部材の厚みは0.5mm以上あるのが好ましく、厚いもので30mm以下がよく周囲壁21のベース部材表面からの高さは10mm以下であるのが好ましい。
また、枠部の立壁幅は0.5mm〜3mm程度が好ましい。
ベース部材の大きさは基板の大きさと取り扱いやすさ、装着する解析装置により制限されるが50mm×150mm以内が好ましい。
図3に示した例は、周囲壁が無い例であり、液を滴下しない場合や表面に機能素子を設けた場合に適用できる。
なお、液の滴下の少ない場合であっては周囲壁がなくても基板10の裏面側と側部とをベース部材20aで保持(隠蔽)しているので、マイクロチップ裏面への薬液漏れを防止できる。
特にシリコンマイクロチップの場合等のようなマイクロチップには親水性があるので、ABS樹脂のようにベース部材が疎水性である場合には滴下した液量が少なければ周囲壁がなくても液漏れ防止作用がある。
基板の裏面側のベース部材の厚みは0.5mmである。
図5はブロック状のベース部材20cにし、周囲壁21cを形成した例でベース部材20cの大きさは約30mmの立方体である。
図6は周囲壁21dの表面に突起22を形成し、カバーグラス30を載置しやすくした例である。
測定方法としては、測定器の基準盤面にシリコンマイクロチップ又はインサート成形体の裏面を載置してそのまた表面高さの変化を測定することでマイクロチップの曲がりを平面度として測定し、マイクロチップのコーナー4点の高さの差を水平度として測定した。
ここで、周囲壁が測定器に干渉しない最大長さを測定した。
インサート成形前は、シリコンマイクロチップの平面度の値が3μm/12mmであったものが、長手方向(L1,L2)25μm/12mm(18μm/10mm)、短手方向(S1,S2)5.5μm/7mm(11μm/10mm)であった。
この状態でも、シリコンマイクロチップには割れが生じなかった。
また、図8及び図9の測定結果からL1,L2及びS1,S2はそれぞれ同一の曲線を描いており、シリコンマイクロチップに多少の曲がりが生じても測定はじめと測定おわりでの高さに差がほとんどなく、インサート成形体裏面からの高さの差(水平度)がよいことが分かる。
即ち、本発明に係るインサート成形体は、基板の平面度が多少低下しても割れがなく、水平性(水平度)に優れるので、解析装置に装着時の解析精度の確保がしやすい。
次に、ABS樹脂にガラスファイバーを10質量%添加すると、曲がりが長手方向で15μm/12mm、ガラスファイバーを20質量%添加すると同じく長手方向で8μm/12mmであった。
従って平面度においては、ガラスファイバーの添加量の多い成形後の収縮率が小さい樹脂材料を使用する方が好ましいことが明らかになった。
2 キャビティ型
10 基板(マイクロチップ)
20 ベース部材
21 周囲壁
Claims (8)
- 肉厚が10μm〜2.0mmの薄い基板と、樹脂製のベース部材とを備え、
基板は、ベース部材にモールド成形によりインサート成形されたものであり、基板の表面の少なくとも一部が外部に露出し、且つ裏面が隠蔽され、基板が、光又は熱硬化性の樹脂製の薄い材料で製造されたものであることを特徴とするインサート成形体。 - 肉厚が10μm〜2.0mmの割れやすい基板と、樹脂製のベース部材とを備え、
基板は、ベース部材にモールド成形によりインサート成形されたものであり、基板の表面の少なくとも一部が外部に露出し、且つ裏面が隠蔽され、基板が、シリコンウェハ、ガラス、セラミックス等の割れやすい材料で製造されたものであることを特徴とするインサート成形体。 - 基板は、表面に微細加工又は機能素子等を有するマイクロウェル、マイクロ流路、マイクロバイオリアクター、DNAチップ等のマイクロチップであることを特徴とする請求項1又は2記載のインサート成形体。
- マイクロチップの平面形状の大きさが30mm×30mm以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインサート成形体。
- ベース部材は、厚み0.5mm〜30mm、大きさ50mm×100mm以内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインサート成形体。
- インサート成形された後の基板の平面度の値が50μm/10mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインサート成形体。
- 基板を有する部分の表面の水平度の値が50μm/10mm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインサート成形体。
- ベース部材には、基板の周囲に配置された周囲壁を有し、周囲壁の高さが10mm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインサート成形体。
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