JP2007276381A - セルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、光学フィルム、偏光板及び表示装置 - Google Patents

セルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、光学フィルム、偏光板及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、溶融流延法によるセルロースエステルフィルムの製造において膜厚バラツキ、リターデーション値バラツキの低減したセルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、光学フィルム、偏光板及び表示装置を提供することにある。
【解決手段】セルロースエステルの溶融物を混錬する際に高圧の炭酸ガスを供給し、次いで該セルロースエステルの溶融物をフィルタを通過させた後該炭酸ガスを排出する溶融流延法によるセルロースエステルフィルムの製造方法であって、該炭酸ガスの排出時の圧力降下速度Sを0.01≦S≦0.2(MPa/sec)の範囲に入るように調整することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はセルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、光学フィルム、偏光板及び表示装置に関し、特にセルロースエステルの溶融物を混錬する際に高圧炭酸ガスを供給し、フィルタを通した後、該炭酸ガスの排出速度を調整することにより、膜厚バラツキ、リターデーション値バラツキの低減したセルロースエステルフィルムの製造方法に関する。
セルロースエステルフィルムは、その高い透明性・低複屈折性・偏光子との易接着性などから、写真用ネガフィルムの支持体や、液晶ディスプレイに用いられる偏光子を保護するフィルムとして、偏光板などに多く用いられてきた。
液晶ディスプレイは、その奥行きの薄さ、軽さから近年大幅に生産量が増大しており、需要が高くなっている。また液晶ディスプレイを用いたテレビは、薄く軽いという特徴を有し、ブラウン菅を用いたテレビでは達成されなかったような大型のテレビが生産されるようになっており、それに伴って液晶ディスプレイを構成する偏光子、偏光子保護フィルムも需要が増大してきている。
これらのセルロースエステルフィルムは、これまで、専ら溶液流延法によって製造されてきた。溶液流延法とは、セルロースエステルを溶媒に溶解した溶液を流延してフィルム形状を得た後、溶媒を蒸発・乾燥させてフィルムを得るといった製膜方法である。溶液流延法で製膜したフィルムは平面性が高いため、これを用いてムラのない高画質な液晶ディスプレイを得ることが出来る。
しかし溶液流延法は多量の有機溶媒を必要とし、環境負荷が大きいことも課題となっていた。セルロースエステルフィルムは、その溶解特性から、環境負荷の大きいハロゲン系溶媒を用いて製膜されているため、特に溶剤使用量の削減が求められており、溶液流延製膜によってセルロースエステルフィルムを増産することは困難となってきている。
そこで近年銀塩写真用(例えば、特許文献1参照。)或いは偏光子保護フィルム用(例えば、特許文献2参照。)として、セルロースエステルを溶融製膜する試みが行われているが、セルロースエステルは溶融時の粘度が非常に高い高分子であり、かつガラス転移温度も高い高分子であるため、溶融流延が非常に困難であり、特に、フィルタによる異物除去の際の圧力損失が非常に高く問題となる。
そこで、超臨界流体を混入することで、溶融樹脂の粘度を低下させる技術が公開されている(例えば、特許文献3参照。)。該特許文献には、連続成形の記載もありセルロースエステルフィルムの製造にも応用することが出来る。
しかしながら、上記特許の記載の技術を用いてセルロースエステルフィルムを製造すると、フィルム内に微小な気泡が残って製膜故障が発生したり、気泡がない場合でも膜厚のバラツキや、製造したフィルムのリターデーション値のバラツキが大きいことが問題となることが分かってきた。
特表平6−501040号公報 特開2000−352620号公報 特開2002−273777号公報
従って本発明の目的は、溶融流延法によるセルロースエステルフィルムの製造において膜厚バラツキ、リターデーション値バラツキの低減したセルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、光学フィルム、偏光板及び表示装置を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.セルロースエステルの溶融物を混錬する際に高圧の炭酸ガスを供給し、次いで該セルロースエステルの溶融物をフィルタを通過させた後、該炭酸ガスを排出する溶融流延法によるセルロースエステルフィルムの製造方法であって、該炭酸ガスの排出時の圧力降下速度Sを0.01≦S≦0.2(MPa/sec)の範囲に入るように調整することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
2.前記炭酸ガスを排出する際、排出口を複数設置し段階的に炭酸ガスを排出することを特徴とする前記1に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
3.前記炭酸ガスの供給圧力が3.0〜20.0MPaであることを特徴とする前記1または2に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
4.前記フィルタを通過させた後のセルロースエステルの溶融物の圧力が、フィルタ通過前の該溶融物の圧力の70%〜100%の範囲内に調整することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
5.前記セルロースエステルの溶融温度TをTg≦T≦Tg+130(℃)に調整することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
(但し、Tgはセルロースエステルのガラス転移温度(℃)を表す)
6.前記1〜5に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法を用いて製造されることを特徴とするセルロースエステルフィルム。
7.前記6に記載のセルロースエステルフィルムを用いることを特徴とする光学フィルム。
8.前記7に記載の光学フィルムを少なくとも一方の面に用いることを特徴とする偏光板。
9.前記7に記載の光学フィルムまたは前記8に記載の偏光板の少なくとも一方を用いることを特徴とする表示装置。
本発明により、溶融流延法によるセルロースエステルフィルムの製造において膜厚バラツキ、リターデーション値バラツキの低減したセルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、光学フィルム、偏光板及び表示装置を提供することが出来る。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、セルロースエステルの溶融物を混錬する際に高圧の炭酸ガスを供給し、次いで該セルロースエステルの溶融物をフィルタを通過させた後、該炭酸ガスを排出する溶融流延法によるセルロースエステルフィルムの製造方法であって、該炭酸ガスの排出時の圧力降下速度Sを0.01≦S≦0.2(MPa/sec)の範囲に入るように調整することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法であり、これらの手段、構成により、膜厚バラツキ、リターデーション値バラツキの低減したセルロースエステルフィルムが得られるものである。
炭酸ガスを排出する方法に特に制限はなく、例えばタンクにセルロースエステルの溶融物を入れ、徐々にガスを抜いていくという方法や、押出しの過程で混錬と同時に炭酸ガスの排出を行う方法等が挙げられるが、好ましくは図1で示す押出しの過程で排出する方法である。
図1は、本発明の光学フィルムの製造方法を実施する装置の1つの実施形態を示す概略フローシートである。但し本発明はこれに限定されるものではない。
本発明には、セルロースエステルを用いて溶融フィルム形成する際に、2台以上の押出機を直列につなぐタンデム方式とし、2台以上の押出機の間に、目の細かいフイルターを配置し、上流の押出機から炭酸ガスを導入し、下流側の押出機が炭酸ガスを除去する機構を有する製造装置を用いることが好ましい。
セルロースエステル及び添加剤は、乾燥機1により乾燥され、ストレージタンク2に一旦保管された後、ホッパー3よりスクリューフィーダー4により上流側の二軸押出機6に供給される。二軸押出機で上記セルロースエステル及び添加剤を溶融し混錬する過程において、炭酸ガス圧入装置7から炭酸ガスを供給する。本発明者らの検討によれば、炭酸ガスをセルロースエステル溶融物へ混入することで溶融物の可塑化が見込まれ、例えば10MPaの炭酸ガスを混入することで、250℃の溶融セルロースエステルの粘度が、およそ1/2程度になることが分かってきている。溶融物粘度は、オフラインでフィルタサイズ、溶融物流量、導管径を相似条件に設定したフローテスターを用いて測定し、せん断速度100sec-1での粘度値に換算し求めることが出来る。
本発明では、炭酸ガスの供給圧力が3.0〜20.0MPaであることが粘度を調整する上で好ましい。また、炭酸ガスの温度はセルロースエステル溶融物の温度を低下させないことが好ましく、セルロースエステルのTg〜Tg+50℃の範囲にヒーター等を用いて温度調整されることが好ましい。
次いで、溶融流延法による光学用フィルム製膜のためには、材料を溶融し、フィルタ8を通過させることにより異物の除去を行う。この際、フィルタを通過させた後のセルロースエステルの溶融物の圧力が、フィルタ通過前の該溶融物の圧力の70%〜100%の範囲内に調整することが好ましい。フィルタを通過させた後の圧力の調整は、材料の供給量と二軸押出機のスクリュー回転数で制御することが出来る。該溶融物の圧力が70%〜100%の範囲内であれば急激な発泡等が起こらずに溶融物を濾過することが可能である。
溶融物の圧力は、配管中に市販の圧力ゲージ等を組み込み測定することが出来る。
また、本発明においては、該フィルタのメッシュが200メッシュ以上、800メッシュ以下であることが好ましい。フィルタサイズが、200メッシュ以下では、光学用途フィルムとしては問題となる20μm以上の異物が捕集しきれず、800メッシュ以上では、炭酸ガスを導入した系においても、圧力損失が大き過ぎるため、溶融物の流速が上げられず、溶融セルロースエステルの滞留時間が延びることになり、着色の原因になってしまう。フイルターの材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することが出来るが、フッ素樹脂、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススチール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。本発明に用いられるフィルタの濾材としては、金属の繊維や粉末を圧縮、成形後高温で焼結した多孔質の金属焼結体を用いることが好ましい。濾材の材質は、特に限定はされないが、ステンレススチール、ブロンズ、銅などの金属が適し、樹脂との反応性、耐腐食性の点でステンレススチールが好ましい。ステンレススチールの中でもSUS304、SUS316、SUS316L、SUS430などが加工性や耐腐食性の点で特に好適である。また、濾材以外の支持体、溶接などの他部材の材質についても、ステンレススチール、ブロンズ、銅などの金属が適し、ステンレススチールの中でもSUS304、SUS316、SUS316L、SUS430などが特に好適である。
金属粉末焼結体の濾材は、例えば、粉末の素材がステンレススチールの場合は、数10μmから数100μmの金属粉末を圧縮成型後、1,200℃から1,300℃程度の温度で1時間から3時間程度焼結して得られる。用いる粉末の径は1種類でも2種類以上を混合したものでもよい。
金属繊維焼結体は、好ましくは、直径数μmから数10μm程度の繊維を重ね合わせて圧縮成形後、金属粉末焼結体よりはやや低い温度で焼結したものであり、金属繊維の径は1種類でも、2種類以上でもよく、数種の異なる径の繊維を混合して焼結したものでも、また、直径の異なる繊維を個々に重ね合わせて焼結したものでも良い。
濾材は、金属粉末焼結体、金属繊維焼結体それぞれを単体で用いても、これらを積層、混合したものでも、用途に応じて選択出来る。これら濾材の中でも金属粉末焼結体が、特に好ましく、樹脂濾過用のフィルタとしての性能が優れている。
次いで、下流側の二軸押出機10に溶融物を導入し、ベント口には樹脂を排出せずにガスのみ排出する多孔質膜を配置し、炭酸ガスを炭酸ガス排出装置11〜20により段階的に炭酸ガスを排出する。該炭酸ガス排出装置は、炭酸ガスの排出圧力を調整するため、レギュレーターを設置し、ガスの圧力が一定値を超えた場合に、排出する機構を採用している。
本発明では、炭酸ガスの排出時の圧力降下速度Sを0.01≦S≦0.2(MPa/sec)の範囲に入るように調整することが特徴である。これは上記炭酸ガス排出装置のレギュレーターの種類、設定を適宜選択し、圧力調整を複数台で順次行うことにより達成することが出来る。即ち、上流側から下流側へ隣り合う炭酸ガス排出装置の炭酸ガス排出圧力差が上記範囲内に設定されていることが必要である。
圧力降下速度Sが上記範囲内であれば、急激な発泡等が起こらず溶融物をダイへ供給することが可能となり、本発明の優れた効果を実現することが出来る。
このような段階的な炭酸ガスの排出は、ベント口を5〜20個(図1では10個)設けて、炭酸ガスを排出することにより達成出来る。その際、各ベント口部で圧力の制御が必要となり、二軸押出機のスクリューでシール機構が必要となる。この場合、図2で示すようなスクリューデザインにより、各仕切り部にシールリングによる高圧部を設け、ガスの行き来をなくす構成とすることが好ましい。
また、上記多孔質膜は、ベント口にガスのみを通し液体等を通さない性質の膜であり、市販の具体例では日東電工のテミッシュ等が挙げられる。更に、この多孔質膜の内側(樹脂側)に金属メッシュを配置し、溶融物の漏れを防止することが好ましい。
又、本発明において、前記炭酸ガスを排出した後にセルロースエステル溶融物の炭酸ガス圧力は、0.2〜1.0MPaであることが本発明の効果をより奏する点で好ましい。これは、ダイから溶融物を押出しする際に、発泡しない程度の炭酸ガスが溶け込んでいることにより、溶融物の粘度が低下し、押出直後のフィルム膜表面の平滑化に寄与するためと推定している。
更に本発明においては、前記セルロースエステルの溶融温度TをTg≦T≦Tg+130(℃)に調整することが本発明の効果をより奏する点で好ましい。
図3は、排出された炭酸ガスの再利用を考慮した装置を示す概略フローシートである。
炭酸ガス排出装置11〜20より排出された炭酸ガスを回収し、フィルタ23で清浄化した後ポンプで炭酸ガス圧入装置7へ供給する。この際適当な温調器で炭酸ガスを加熱することが好ましい。
(セルロースエステル)
本発明に用いられるセルロースエステルについて、詳述する。
本発明に係るセルロースエステルフィルムは、溶融流延法により製造される。溶融流延法はフィルム製造時の有機溶媒使用量を、大幅に少なくすることが出来るため、従来の有機溶媒を多量に使用する溶液流延法に比較して、環境適性が大幅に向上したフィルムが得られる。
セルロースエステルフィルムを構成するセルロースエステルとしては、溶融製膜可能なセルロースエステルであれば特に限定はされない。例えば芳香族カルボン酸エステルなども用いられるが、光学特性等の得られるフィルムの特性を鑑みると、セルロースの低級脂肪酸エステルを使用することが好ましい。本発明においてセルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が5以下の脂肪酸を意味し、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースピバレート等がセルロースの低級脂肪酸エステルの好ましいものとして挙げられる。炭素原子数が6以上の脂肪酸で置換されたセルロースエステルでは、溶融製膜性は良好であるものの、得られるセルロースエステルフィルムの力学特性が低く、実質的に光学フィルムとして用いることが難しいためである。力学特性と溶融製膜性の双方を両立させるために、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレート等のように混合脂肪酸エステルを用いてもよい。なお溶液流延製膜で一般に用いられているセルロースエステルであるトリアセチルセルロースについては、溶融温度よりも分解温度の方が高いセルロースエステルであるため、溶融製膜には用いることは出来ない。
従って、最も好ましいセルロースの低級脂肪酸エステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、酢酸による置換度、即ちアセチル基の置換度をXとし、炭素数3〜5の有機酸による置換度、即ち、特に炭素数3〜5の脂肪族有機酸から導かれるアシル基、例えば、プロピオニル基またはブチリル基等のアシル基による置換度をYとした時、下記式(1)、(2)を満たすセルロースエステルが好ましい。
式(1) 2.6≦X+Y≦3.0
式(2) 0.0≦X≦2.5
この中でも、特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも1.5≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦2.0であるセルロースエステルを用いることが好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することが出来る。
本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.0〜5.5のものが用いられ、特に好ましくは1.4〜5.0であり、更に好ましくは2.0〜3.0である。また、Mwは10万〜50万、中でも15万〜30万のものが好ましく用いられる。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することが出来る。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出する。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔にすることが好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することが出来る。
例えば、綿花リンター由来セルロース樹脂:木材パルプ(針葉樹)由来セルロース樹脂:木材パルプ(広葉樹)由来セルロース樹脂の比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることが出来る。
セルロースエステルは、例えば、原料セルロースの水酸基を無水酢酸、無水プロピオン酸及び/または無水酪酸を用いて常法によりアセチル基、プロピオニル基及び/またはブチル基を上記の範囲内に置換することで得られる。このようなセルロースエステルの合成方法は、特に限定はないが、例えば、特開平10−45804号或いは特表平6−501040号に記載の方法を参考にして合成することが出来る。
アセチル基、プロピオニル基、ブチル基等のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に準じて測定することが出来る。
また、工業的にはセルロースエステルは硫酸を触媒として合成されているが、この硫酸は完全には除去されておらず、残留する硫酸が溶融製膜時に各種の分解反応を引き起こし、得られるセルロースエステルフィルムの品質に影響を与えるため、本発明に用いられるセルロースエステル中の残留硫酸含有量は、硫黄元素換算で0.1〜40ppmの範囲であることが好ましい。これらは塩の形で含有していると考えられる。残留硫酸含有量が40ppmを超えると熱溶融時のダイリップ部の付着物が増加するため好ましくない。また、熱延伸時や熱延伸後でのスリッティングの際に破断しやすくなるため好ましくない。少ない方が好ましいが、0.1未満とするにはセルロースエステルの洗浄工程の負担が大きくなり過ぎるため好ましくないだけでなく、逆に破断しやすくなることがあり好ましくない。これは洗浄回数が増えることが樹脂に影響を与えているのかもしれないがよく分かっていない。更に0.1〜30ppmの範囲が好ましい。残留硫酸含有量は、同様にASTM−D817−96により測定することが出来る。
また、その他(酢酸等)の残留酸を含めたトータル残留酸量は1000ppm以下が好ましく、500ppm以下が更に好ましく、100ppm以下がより好ましい。
合成したセルロースエステルの洗浄を、溶液流延法に用いられる場合に比べて、更に十分に行うことによって、残留酸含有量を上記の範囲とすることが出来、溶融流延法によってフィルムを製造する際に、リップ部への付着が軽減され、平面性に優れるフィルムが得られ、寸法変化、機械強度、透明性、耐透湿性、後述するリターデーションRt値、Ro値が良好なフィルムを得ることが出来る。また、セルロースエステルの洗浄は、水に加えて、メタノール、エタノールのような貧溶媒、或いは結果として貧溶媒であれば貧溶媒と良溶媒の混合溶媒を用いることが出来、残留酸以外の無機物、低分子の有機不純物を除去する事が出来る。更に、セルロースエステルの洗浄は、ヒンダードアミン、亜リン酸エステルといった酸化防止剤の存在下で行うことが好ましく、セルロースエステルの耐熱性、製膜安定性が向上する。
また、セルロースエステルの耐熱性、機械物性、光学物性等を向上させるため、セルロースエステルの良溶媒に溶解後、貧溶媒中に再沈殿させ、セルロースエステルの低分子量成分、その他不純物を除去する事が出来る。この時、前述のセルロースエステルの洗浄同様に、酸化防止剤の存在下で行うことが好ましい。
更に、セルロースエステルの再沈殿処理の後、別のポリマー或いは低分子化合物を添加してもよい。
また、本発明で用いられるセルロースエステルはフィルムにした時の輝点異物が少ないものであることが好ましい。輝点異物とは、2枚の偏光板を直交に配置し(クロスニコル)、この間にセルロースエステルフィルムを配置して、一方の面から光源の光を当てて、もう一方の面からセルロースエステルフィルムを観察した時に、光源の光が漏れて見える点のことである。このとき評価に用いる偏光板は輝点異物がない保護フィルムで構成されたものであることが望ましく、偏光子の保護にガラス板を使用したものが好ましく用いられる。輝点異物はセルロース樹脂に含まれる未酢化若しくは低酢化度のセルロースがその原因の1つと考えられ、輝点異物の少ないセルロースエステルを用いる(例えば、置換度の分散の小さいセルロースエステルを用いる)ことと、溶融したセルロースエステルを濾過すること、或いはセルロースエステルの合成後期の過程や沈殿物を得る過程の少なくとも何れかにおいて、一度溶液状態として同様に濾過工程を経由して輝点異物を除去することも出来る。溶融樹脂は粘度が高いため、後者の方法のほうが効率がよい。
フィルム膜厚が薄くなるほど単位面積当たりの輝点異物数は少なくなり、フィルムに含まれるセルロースエステルの含有量が少なくなるほど輝点異物は少なくなる傾向があるが、輝点異物は、輝点の直径0.01mm以上が200個/cm2以下であることが好ましく、更に100個/cm2以下であることが好ましく、50個/cm2以下であることが好ましく、30個/cm2以下であることが好ましく、10個/cm2以下であることが好ましいが、皆無であることが最も好ましい。また、0.005〜0.01mm以下の輝点についても200個/cm2以下であることが好ましく、更に100個/cm2以下であることが好ましく、50個/cm2以下であることが好ましく、30個/cm2以下であることが好ましく、10個/cm2以下であることが好ましいが、皆無であることが最も好ましい。
輝点異物を溶融濾過によって除去する場合、セルロースエステルを単独で溶融させたものを濾過するよりも可塑剤、劣化防止剤、酸化防止剤等を添加混合したセルロースエステル組成物を濾過することが輝点異物の除去効率が高く好ましい。もちろん、セルロースエステルの合成の際に溶媒に溶解させて濾過により低減させてもよい。紫外線吸収剤、その他の添加物も適宜混合したものを濾過することが出来る。濾過はセルロースエステルを含む溶融物の粘度が10000P以下で濾過されるこが好ましく、更に好ましくは5000P以下が好ましく、1000P以下であることが更に好ましく、500P以下であることが更に好ましい。濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などの弗素樹脂等の従来公知のものが好ましく用いられるが、特にセラミックス、金属等が好ましく用いられる。絶対濾過精度としては50μm以下のものが好ましく用いられ、30μm以下のものが更に好ましく、10μm以下のものが更に好ましく、5μm以下のものが更に好ましく用いられる。これらは適宜組み合わせて使用することも出来る。濾材はサーフェースタイプでもデプスタイプでも用いることが出来るが、デプスタイプの方が比較的目詰まりしにくく好ましく用いられる。
別の実施態様では、原料のセルロースエステルは少なくとも一度溶媒に溶解させた後、溶媒を乾燥させたセルロースエステルを用いても良い。その際には可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、酸化防止剤及びマット剤の少なくとも1つ以上と共に溶媒に溶解させた後、乾燥させたセルロースエステルを用いる。溶媒としては、メチレンクロライド、酢酸メチル、ジオキソラン等の溶液流延法で用いられる良溶媒を用いることが出来、同時にメタノール、エタノール、ブタノール等の貧溶媒を用いてもよい。溶解の過程で−20℃以下に冷却したり、80℃以上に加熱したりしても良い。このようなセルロースエステルを用いると、溶融状態にした時の各添加物を均一にしやすく、光学特性を均一に出来ることがある。
本発明のセルロースエステルフィルムはセルロースエステル以外の高分子成分を適宜混合したものでもよい。混合される高分子成分はセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにした時の透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であることが好ましい。
(添加剤)
添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、過酸化物分解剤、ラジカル捕捉剤、金属不活性化剤、マット剤、染料、顔料、蛍光体、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、二色性色素、屈折率調整剤、リターデーション制御剤、ガス透過抑制剤、抗菌剤、導電性付与剤、生分解性付与剤、ゲル化防止剤、粘度調整剤、粘度低下剤等の各種の機能を有する添加剤などが挙げられる。また、上記機能を有するものであれば、これに分類されない添加剤も用いられる。
本発明のセルロースエステルは200〜280℃といった高温下で溶融して製膜されるため、従来の溶液流延製膜に比べてセルロースエステルの分解・劣化が起きやすいプロセスである。セルロースエステル組成物の酸化防止、分解して発生した酸の捕捉、光または熱によるラジカル種基因の分解反応を抑制または禁止する等、解明出来ていない分解反応を含めて、着色や分子量低下に代表される変質や材料の分解による揮発成分の生成を抑制するために添加剤を用いる。
また、添加剤自身にも高い耐熱性が要求される。添加剤の耐熱性として、1%質量減少温度Td1が250℃以上である事が好ましい。(1%質量減少温度Td1は、JIS K7120「プラスチックの熱重量測定方法」記載のTG曲線より求められる、熱変性、分解により試料質量が1%減少する時温度である。本発明では、示差熱重量同時測定装置TG/DTA(セイコーインスツル株式会社製)を用い、窒素流量100n・ml/分の下、開始/終了温度 30/500℃、昇温速度10℃/分にて測定を行った。)
セルロースエステル組成物を加熱溶融すると分解反応が著しくなり、この分解反応によって着色や分子量低下に由来した該構成材料の強度劣化を伴うことがある。またセルロースエステル組成物の分解反応によって、好ましくない揮発成分の発生も併発することもある。セルロースエステル組成物を加熱溶融するとき、上述の添加剤が存在することは、材料の劣化や分解に基づく強度の劣化を抑制すること、または材料固有の強度を維持出来る観点で優れており、本発明のセルロースエステルフィルムを製造出来る観点から上述の添加剤が存在することが必要である。
このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、酸捕捉剤、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤、過酸化物分解剤、ラジカル捕捉剤、金属不活性化剤、などが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、特開平3−199201号公報、特開平5−1907073号公報、特開平5−194789号公報、特開平5−271471号公報、特開平6−107854号公報などに記載がある。これらの中から選ばれる少なくとも1種を、フィルム形成材料中に含むことが好ましい。
また、添加剤の存在は、加熱溶融時において可視光領域の着色物の生成を抑制すること、または揮発成分がフィルム中に混入することによって生じる透過率やヘイズ値といった光学フィルムとして好ましくない性能を抑制または消滅出来る点で優れている。
本発明において液晶表示画像の表示画像は、本発明の構成の光学フィルムを用いるとき1%を超えると影響を与えるため、好ましいヘイズ値は1%未満、より好ましくは0.5%未満である。
また、偏光子保護フィルム、位相差フィルム等として本発明のセルロースエステルフィルムを用いる場合、偏光子が紫外線に対して弱いため、少なくとも偏光子に対して光が入射する側のセルロースエステルフィルムには紫外線吸収剤を含有していることが好ましい。
また、本発明のセルロースエステルフィルムを位相差フィルムとして用いる場合には、リターデーションを調節するための添加剤を含有させることが出来る。リターデーションを調節するために添加する化合物は、欧州特許911,656A2号明細書に記載されているようなリターデーション制御剤を使用することも出来る。
また、加熱溶融時の粘度制御やフィルム加工後のフィルム物性を調整するために、有機高分子または無機高分子をセルロースエステルフィルムに添加することも出来る。
セルロースエステルやこれらの添加剤を添加する際は、それらを含めた総量が、セルロースエステルの質量に対して1〜30質量%であることが好ましい。1質量%以下では溶融製膜性が低下し、30質量%以上では得られるセルロースエステルフィルムの力学特性や保存安定性などが確保出来なくなることがあるためである。
上述のセルロースエステル組成物の保存或いは製膜工程において、空気中の酸素による劣化反応が併発することがある。この場合、上記添加剤の安定化作用とともに、空気中の酸素濃度を低減させる効果を用いることも本発明を具現化する上で併用出来る。これは、公知の技術として不活性ガスとして窒素やアルゴンの使用、減圧〜真空による脱気操作、及び密閉環境下による操作が挙げられ、これら3者の内少なくとも1つの方法を、上記添加剤を存在させる方法と併用することが出来る。セルロースエステル組成物が空気中の酸素と接触する確率を低減することにより、該材料の劣化が抑制出来、本発明の目的のためには好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムを偏光板保護フィルムとして活用するため、本発明の偏光板及び偏光板を構成する偏光子に対して経時保存性を向上させる点からセルロースエステル組成物中に上述の添加剤が存在することが好ましい。
本発明の偏光板を用いた液晶表示装置において、本発明のセルロースエステルフィルムに上述の添加剤が存在するため、上記の変質や劣化を抑制する点からセルロースエステルフィルムの経時保存性が向上出来るとともに、液晶表示装置の表示品質向上においても、セルロースエステルフィルムが付与された光学的な補償設計が長期にわたって機能発現出来る。
以下、添加剤について、更に詳述する。
(可塑剤)
本発明のセルロースエステルフィルムは、多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤または多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一種以上のエステル系可塑剤を含むことが好ましい。
可塑剤とは、一般的には高分子中に添加することによって脆弱性を改良したり、柔軟性を付与したりする効果のある添加剤であるが、本発明においては、セルロースエステル単独での溶融温度よりも溶融温度を低下させるため、また同じ加熱温度においてセルロースエステル単独よりも可塑剤を含むフィルム組成物の溶融粘度を低下させるために、可塑剤を添加する。また、セルロースエステルの親水性を改善し、光学フィルムの透湿度を改善する透湿防止剤としても添加される。
ここで、フィルム組成物の溶融温度とは、該材料が加熱され流動性が発現された状態の温度を意味する。セルロースエステルを溶融流動させるためには、少なくともガラス転移温度よりも高い温度に加熱する必要がある。ガラス転移温度以上においては、熱量の吸収により弾性率或いは粘度が低下し、流動性が発現される。しかしセルロースエステルでは高温下では溶融と同時に熱分解によってセルロースエステルの分子量の低下が発生し、得られるフィルムの力学特性等に悪影響を及ぼすことがあるため、なるべく低い温度でセルロースエステルを溶融させる必要がある。フィルム組成物の溶融温度を低下させるためには、セルロースエステルのガラス転移温度よりも低い融点またはガラス転移温度をもつ可塑剤を添加することで達成することが出来る。本発明に用いられる、下記一般式(1)で表される有機酸と多価アルコールが縮合した構造を有する多価アルコールエステル系可塑剤は、セルロースエステルの溶融温度を低下させ、溶融製膜プロセスや製造後にも揮発性が小さく工程適性が良好であり、かつ得られるセルロースエステルフィルムの光学特性・寸法安定性・平面性が良好となる点で優れている。
多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤、多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤はセルロースエステルと親和性が高く好ましい。
多価アルコールエステル系の一つであるエチレングリコールエステル系の可塑剤:具体的には、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート等のエチレングリコールアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジシクロプロピルカルボキシレート、エチレングリコールジシクロヘキルカルボキシレート等のエチレングリコールシクロアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジベンゾエート、エチレングリコールジ4−メチルベンゾエート等のエチレングリコールアリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にエチレングリコール部も置換されていてもよく、エチレングリコールエステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
多価アルコールエステル系の一つであるグリセリンエステル系の可塑剤:具体的にはトリアセチン、トリブチリン、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンオレートプロピオネート等のグリセリンアルキルエステル、グリセリントリシクロプロピルカルボキシレート、グリセリントリシクロヘキシルカルボキシレート等のグリセリンシクロアルキルエステル、グリセリントリベンゾエート、グリセリン4−メチルベンゾエート等のグリセリンアリールエステル、ジグリセリンテトラアセチレート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンテトララウレート、等のジグリセリンアルキルエステル、ジグリセリンテトラシクロブチルカルボキシレート、ジグリセリンテトラシクロペンチルカルボキシレート等のジグリセリンシクロアルキルエステル、ジグリセリンテトラベンゾエート、ジグリセリン3−メチルベンゾエート等のジグリセリンアリールエステル等が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にグリセリン、ジグリセリン部も置換されていてもよく、グリセリンエステル、ジグリセリンエステルの部分構造がポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
その他の多価アルコールエステル系の可塑剤としては、具体的には特開2003−12823号公報の段落30〜33記載の多価アルコールエステル系可塑剤が挙げられる。
これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更に多価アルコール部も置換されていてもよく、多価アルコールの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
上記多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤の中では、アルキル多価アルコールアリールエステルが好ましく、具体的には上記のエチレングリコールジベンゾエート、グリセリントリベンゾエート、ジグリセリンテトラベンゾエート、特開2003−12823号公報の段落32記載例示化合物16が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系の一つであるジカルボン酸エステル系の可塑剤:具体的には、ジドデシルマロネート(C1)、ジオクチルアジペート(C4)、ジブチルセバケート(C8)等のアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロペンチルサクシネート、ジシクロヘキシルアジーペート等のアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルサクシネート、ジ4−メチルフェニルグルタレート等のアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロヘキシル−1,2−シクロブタンジカルボキシレート、ジシクロプロピル−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニル−1,1−シクロプロピルジカルボキシレート、ジ2−ナフチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロプロピルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルフタレート、ジ4−メチルフェニルフタレート等のアリールジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また一置換でもよく、これらの置換基は更に置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
その他の多価カルボン酸エステル系の可塑剤としては、具体的にはトリドデシルトリカルバレート、トリブチル−meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロヘキシルトリカルバレート、トリシクロプロピル−2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート、テトラ3−メチルフェニルテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、テトラヘキシル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、テトラブチル−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、テトラシクロプロピル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、トリシクロヘキシル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート、ヘキサ4−メチルフェニル−1,2,3,4,5,6−シクロヘキシルヘキサカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、トリドデシルベンゼン−1,2,4−トリカルボキシレート、テトラオクチルベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロペンチルベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、テトラシクロヘキシルベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤トリフェニルベンゼン−1,3,5−テトラカルトキシレート、ヘキサ4−メチルフェニルベンゼン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また1置換でもよく、これらの置換基は更に置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造がポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
上記多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤の中では、ジアルキルカルボン酸アルキルエステルが好ましく、具体的には上記のジオクチルアジペート、トリデシルトリカルバレートが挙げられる。
更に本発明のセルロースエステルフィルムは、可塑剤として、下記一般式(1)で表される有機酸と3価以上のアルコールが縮合した構造を有するエステル化合物を、可塑剤として1〜25質量%含有することが特に好ましい。1質量%よりも少ないと可塑剤を添加する効果が認められず、25質量%よりも多いとブリードアウトが発生しやすくなり、フィルムの経時安定性が低下するために好ましくない。より好ましくは上記可塑剤を3〜20質量%含有するセルロースエステルフィルムであり、更に好ましくは5〜15質量%含有するセルロースエステルフィルムである。
Figure 2007276381
上記一般式(1)において、R1〜R5は水素原子またはシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシカルボニルオキシ基を表し、これらは更に置換基を有していて良く、R1〜R5のうち、少なくとも何れかは1つは水素原子ではない。Lは2価の連結基を表し、置換または無置換のアルキレン基、酸素原子、または直接結合を表す。
1〜R5で表されるシクロアルキル基としては、同様に炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、具体的にはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の基である。これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アラルキル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によって更に置換されていてもよい)、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によって更に置換されていてもよい)、フェノキシ基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によって更に置換されていてもよい)、アセチル基、プロピオニル基等の炭素数2〜8のアシル基、またアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜8の無置換のカルボニルオキシ基等が挙げられる。
1〜R5で表されるアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、γ−フェニルプロピル基等の基を表し、また、これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることが出来る。
1〜R5で表されるアルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、もしくはt−ブトキシ等の各アルコキシ基である。また、これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アラルキル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)、アルケニル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によって更に置換されていてもよい)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によって更に置換されていてもよい))、アセチル基、プロピオニル基等のアシル基が、またアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜8の無置換のアシルオキシ基、またベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられる。
1〜R5で表されるシクロアルコキシ基としては、無置換のシクロアルコキシ基としては炭素数1〜8のシクロアルコキシ基が挙げられ、具体的には、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等の基が挙げられる。また、これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることが出来る。
1〜R5で表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ基が挙げられるが、このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等前記シクロアルキル基に置換してもよい基として挙げられた置換基で置換されていてもよい。
1〜R5で表されるアラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等が挙げられ、これらの置換基は更に置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることが出来る。
1〜R5で表されるアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基等の炭素数2〜8の無置換のアシル基が挙げられ(アシル基の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル基を含む。)、これらの置換基は更に置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることが出来る。
1〜R5で表されるカルボニルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜8の無置換のアシルオキシ基(アシル基の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル基を含む。)、またベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられるが、これらの基は更に前記シクロアルキル基に置換してもよい基と同様の基により置換されていてもよい。
1〜R5で表されるオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、またフェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基を表す。これらの置換基は更に置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることが出来る。
また、R1〜R5で表されるオキシカルボニルオキシ基としては、メトキシカルボニルオキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシカルボニルオキシ基を表し、これらの置換基は更に置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることが出来る。
また、これらR1〜R5のうち、少なくとも何れかは1つは水素原子ではない。なおR1〜R5のうちの何れか同士で互いに連結し、環構造を形成していても良い。
また、Lで表される連結基としては、置換または無置換のアルキレン基、酸素原子、または直接結合を表すが、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の基であり、これらの基は、更に前記のR1〜R5で表される基に置換してもよい基としてあげられた基で置換されていてもよい。
中でも、Lで表される連結基として特に好ましいのは直接結合であり芳香族カルボン酸である。
またこれら本発明において可塑剤となるエステル化合物を構成する、前記一般式(1)で表される有機酸としては、少なくともR1またはR2に前記アルコキシ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基を有するものが好ましい。また複数の置換基を有する化合物も好ましい。
なお本発明においては3価以上のアルコールの水酸基を置換する有機酸は単一種であっても複数種であってもよい。
本発明において、前記一般式(1)で表される有機酸と反応して多価アルコールエステル化合物を形成する3価以上のアルコール化合物としては、好ましくは3〜20価の脂肪族多価アルコールであり、本発明おいて3価以上のアルコールは下記の一般式(3)で表されるものが好ましい。
一般式(3) R′−(OH)m
式中、R′はm価の有機基、mは3以上の正の整数、OH基はアルコール性水酸基を表す。特に好ましいのは、mとしては3または4の多価アルコールである。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ガラクチトール、グルコース、セロビオース、イノシトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることが出来る。特に、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましい。
一般式(1)で表される有機酸と3価以上の多価アルコールのエステルは、公知の方法により合成出来る。実施例に代表的合成例を示したが、前記一般式(1)で表される有機酸と、多価アルコールを例えば、酸の存在下縮合させエステル化する方法、また、有機酸を予め酸クロライド或いは酸無水物としておき、多価アルコールと反応させる方法、有機酸のフェニルエステルと多価アルコールを反応させる方法等があり、目的とするエステル化合物により、適宜、収率のよい方法を選択することが好ましい。
一般式(1)で表される有機酸と3価以上の多価アルコールのエステルからなる可塑剤としては、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2007276381
前記一般式(2)において、R6〜R20は水素原子またはシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシカルボニルオキシ基を表し、これらは更に置換基を有していて良い。R6〜R10のうち、少なくとも何れか1つは水素原子ではなく、R11〜R15のうち、少なくとも何れか1つは水素原子ではなく、R16〜R20のうち、少なくとも何れか1つは水素原子ではない。また、R21はアルキル基を表す。
6〜R21のシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシカルボニルオキシ基については、前記R1〜R5と同様の基が挙げられる。
この様にして得られる多価アルコールエステルの分子量には特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、400〜1000であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
以下に、本発明に係わる多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2007276381
Figure 2007276381
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Figure 2007276381
Figure 2007276381
Figure 2007276381
Figure 2007276381
Figure 2007276381
Figure 2007276381
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Figure 2007276381
本発明に好ましい可塑剤である前記一般式(1)で表される有機酸と3価以上の多価アルコールからなるエステル化合物は、セルロースエステルに対する相溶性が高く、高添加率で添加することが出来る特徴があるため、他の可塑剤や添加剤を併用してもブリードアウトを発生することがなく、必要に応じて他種の可塑剤や添加剤を容易に併用することが出来る。
(その他の可塑剤)
本発明に用いられるその他の可塑剤としては、更にリン酸エステル系可塑剤、ポリマー可塑剤等が挙げられる。
リン酸エステル系の可塑剤:具体的には、トリアセチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸アルキルエステル、トリシクロベンチルホスフェート、シクロヘキシルホスフェート等のリン酸シクロアルキルエステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルオスフェート、トリスオルト−ビフェニルホスフェート等のリン酸アリールエステルが挙げられる。これらの置換基は同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
またエチレンビス(ジメチルホスフェート)、ブチレンビス(ジエチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアルキルホスフェート)、エチレンビス(ジフェニルホスフェート)、プロピレンビス(ジナフチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアリールホスフェート)、フェニレンビス(ジブチルホスフェート)、ビフェニレンビス(ジオクチルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアルキルホスフェート)、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ナフチレンビス(ジトルイルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアリールホスフェート)等のリン酸エステルが挙げられる。これらの置換基は同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
更にリン酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。上記化合物の中では、リン酸アリールエステル、アリーレンビス(ジアリールホスフェート)が好ましく、具体的にはトリフェニルホスフェート、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
ポリマー可塑剤:具体的には、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア等が挙げられる。数平均分子量は1000〜500000程度が好ましく、特に好ましくは、5000〜200000である。1000以下では揮発性に問題が生じ、500000を超えると可塑化能力が低下し、セルロースエステルフィルムの機械的性質に悪影響を及ぼす。これらポリマー可塑剤は1種の繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数の繰り返し構造体を有する共重合体でもよい。また、上記ポリマーを2種以上併用して用いてもよい。
本発明の可塑剤は、前述のセルロースエステル同様に、残留酸、無機塩、有機低分子等の不純物を除去する事が好ましく、より好ましくは純度99%以上である。残留酸、及び水としては、0.01〜100ppmであることが好ましく、セルロースエステルを溶融製膜する上で、熱劣化を抑制出来、製膜安定性、フィルムの光学物性、機械物性が向上する。
(安定化剤)
(酸化防止剤)
セルロースエステルは、溶融製膜が行われるような高温環境下では熱だけでなく酸素によっても分解が促進されるため、本発明のセルロースエステルフィルムにおいては安定化剤として酸化防止剤を含有することが好ましい。
本発明において有用な酸化防止剤としては、酸素による溶融成形材料の劣化を抑制する化合物であれば制限なく用いることが出来るが、中でも有用な酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられる。これらの中でも本発明では、特にフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物から選ばれる少なくとも1種以上の酸化防止剤(安定剤)を含有することが特徴である。これらの化合物を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、溶融成型時の熱や熱酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止出来る。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
フェノール系化合物は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載されており、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。このような化合物のうち好ましい化合物として、下記一般式(A)で表される化合物が好ましい。
Figure 2007276381
式中、R11、R12、R13、R14及びR15は置換基を表す。置換基としては、水素原子、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子等)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、シアノ基、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(ジメチルスルファモイルアミノ基等)、カルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えばエチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基等)、アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンオキシド基(例えばピリジン−オキシド基)、イミド基(例えばフタルイミド基等)、ジスルフィド基(例えばベンゼンジスルフィド基、ベンゾチアゾリル−2−ジスルフィド基等)、カルボキシル基、スルホ基、ヘテロ環基(例えば、ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基等)等が挙げらる。これらの置換基は更に置換されても良い。また、R11は水素原子、R12、R16はt−ブチル基であるフェノール系化合物が好ましい。フェノール系化合物の具体例としては、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリトリトール−テトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのフェノール化合物は、例えば、Ciba Specialty Chemicalsから、”Irganox1076”及び”Irganox1010”という商品名で市販されている。
本発明のヒンダードアミン系化合物としては、下記一般式(B)で表される化合物が好ましい。
Figure 2007276381
式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26及びR27は置換基を表す。置換基とは前記一般式(A)記載と同義の基を示す。R24は水素原子、メチル基、R27は水素原子、R22、R23、R25、R26はメチル基が好ましい。
ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。また、高分子タイプの化合物でも良く、具体例としては、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−[4,6−ビス−〔ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]などの、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などの、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物などで、数平均分子量(Mn)が2,000〜5,000のものが好ましい。
上記タイプのヒンダードフェノール化合物は、例えば、Ciba Specialty Chemicalsから、”Tinuvin144”及び”Tinuvin770”、旭電化工業株式会社から”ADK STAB LA−52”という商品名で市販されている。
本発明のリン系化合物としては、下記一般式(C−1)、(C−2)、(C−3)、(C−4)、(C−5)で表される部分構造を分子内に有する化合物が好ましい。
Figure 2007276381
Figure 2007276381
Figure 2007276381
Figure 2007276381
Figure 2007276381
式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。またこれらは前記一般式(A)記載と同義の置換基により置換されても良い。
式中、Ph3は置換基を表す。置換基とは前記一般式(A)記載と同義の基を示す。より好ましくは、Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。またこれらは前記一般式(A)記載と同義の置換基により置換されても良い。
式中、Ph4は置換基を表す。置換基とは前記一般式(A)記載と同義の基を示す。より好ましくは、Ph4は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基を表し、該アルキル基又はフェニル基の水素原子は前記一般式(A)記載と同義の置換基により置換されても良い。
式中、Ph5、Ph’5及びPh”5は置換基を表す。置換基とは前記一般式(A)記載と同義の基を示す。より好ましくは、Ph5、Ph’5及びPh”5は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基を表し、該アルキル基又はフェニル基の水素原子は前記一般式(A)記載と同義の置換基により置換されても良い。
リン系化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピンなどのモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。上記タイプのリン系化合物は、例えば、住友化学工業株式会社から、”スミライザーGP”、旭電化工業株式会社からADK STAB PEP−24G”及び”ADK STAB PEP−36”という商品名で市販されている。
また、本発明ではイオウ系化合物を酸化防止剤として用いることも好ましく、下記一般式(D)で表される化合物が好ましい。
Figure 2007276381
式中、R31及びR32は置換基を表す。置換基とは前記一般式(A)記載と同義の基を示す。R31及びR32はアルキル基が好ましい。
イオウ系化合物の具体例としては、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。上記タイプのイオウ系化合物は、例えば、住友化学工業株式会社から、”スミライザーTPL−R”及び”スミライザーTP−D”という商品名で市販されている。
酸化防止剤は、前述のセルロースエステル同様に、製造時から持ち越される、或いは保存中に発生する残留酸、無機塩、有機低分子等の不純物を除去する事が好ましく、より好ましくは純度99%以上である。残留酸、及び水としては、0.01〜100ppmであることが好ましく、セルロースエステルを溶融製膜する上で、熱劣化を抑制出来、製膜安定性、フィルムの光学物性、機械物性が向上する。
(酸掃去剤)
酸掃去剤とは製造時から持ち込まれるセルロースエステル中に残留する酸(プロトン酸)をトラップする役割を担う剤である。また、セルロースエステルを溶融するとポリマー中の水分と熱により側鎖の加水分解が促進し、CAPならば酢酸やプロピオン酸が生成する。酸と化学的に結合出来ればよく、エポキシ、3級アミン、エーテル構造等を有する化合物が挙げられるが、これに限定されるものでない。
具体的には、米国特許第4,137,201号明細書に記載されている酸掃去剤としてのエポキシ化合物を含んでなるのが好ましい。このような酸掃去剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシドなどの縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4′−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22この炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)など)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリドなど(例えば、エポキシ化大豆油などの組成物によって代表され、例示され得る、エポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらは時としてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している))が含まれる。特に好ましいのは、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物 EPON 815c、及び一般式(4)の他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物である。
Figure 2007276381
上式中、nは0〜12に等しい。用いることが出来る更に可能な酸掃去剤としては、特開平5−194788号公報の段落87〜105に記載されているものが含まれる。
酸掃去剤は、前述のセルロースエステル同様に、製造時から持ち越される、或いは保存中に発生する残留酸、無機塩、有機低分子等の不純物を除去する事が好ましく、より好ましくは純度99%以上である。残留酸、及び水としては、0.01〜100ppmであることが好ましく、セルロースエステルを溶融製膜する上で、熱劣化を抑制出来、製膜安定性、フィルムの光学物性、機械物性が向上する。
なお酸掃去剤は酸捕捉剤、酸捕獲剤、酸キャッチャー等と称されることもあるが、本発明においてはこれらの呼称による差異なく用いることが出来る。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、紫外線吸収剤の構造は、紫外線吸収能を有する部位が一分子中に複数存在している二量体、三量体、四量体等の多量体でも良く、特開平10−182621号公報、同8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)360(何れもチバ−スペシャルティ−ケミカルズ社製)を用いることも出来る。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、紫外線吸収剤は0.1〜20質量%添加することが好ましく、更に0.5〜10質量%添加することが好ましく、更に1〜5質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
(粘度低下剤)
本発明において、溶融粘度を低減する目的として、水素結合性溶媒を添加する事が出来る。水素結合性溶媒とは、J.N.イスラエルアチビリ著、「分子間力と表面力」(近藤保、大島広行訳、マグロウヒル出版、1991年)に記載されるように、電気的に陰性な原子(酸素、窒素、フッ素、塩素)と電気的に陰性な原子と共有結合した水素原子間に生ずる、水素原子媒介「結合」を生ずることが出来るような有機溶媒、即ち、結合モーメントが大きく、かつ水素を含む結合、例えば、O−H(酸素水素結合)、N−H(窒素水素結合)、F−H(フッ素水素結合)を含むことで近接した分子同士が配列出来るような有機溶媒をいう。これらは、セルロースエステルの分子間水素結合よりもセルロースとの間で強い水素結合を形成する能力を有するもので、本発明で行う溶融流延法においては、用いるセルロースエステル単独のガラス転移温度よりも、水素結合性溶媒の添加によりセルロースエステル組成物の溶融温度を低下する事が出来る、または同じ溶融温度においてセルロースエステルよりも水素結合性溶媒を含むセルロースエステル組成物の溶融粘度を低下する事が出来る。
水素結合性溶媒としては、例えば、アルコール類:例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、ドデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、グリセリン等、ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン等、カルボン酸類:例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等、エーテル類:例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等、ピロリドン類:例えば、N−メチルピロリドン等、アミン類:例えば、トリメチルアミン、ピリジン等、等を例示することが出来る。これら水素結合性溶媒は、単独で、又は2種以上混合して用いることが出来る。これらのうちでも、アルコール、ケトン、エーテル類が好ましく、特にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、オクタノール、ドデカノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、テトラヒドロフランが好ましい。更に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、テトラヒドロフランのような水溶性溶媒が特に好ましい。ここで水溶性とは、水100gに対する溶解度が10g以上のものをいう。
(リターデーション制御剤)
本発明のセルロースエステルフィルムにおいて配向膜を形成して液晶層を設け、光学フィルムと液晶層由来のリターデーションを複合化して光学補償能を付与した偏光板加工を行ってもよいし、リターデーションを制御するための化合物をセルロースエステルフィルムに含有させてもよい。
リターデーションを制御するために添加する化合物は、欧州特許第911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物を使用することも出来る。また2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環を有する化合物が特に好ましい。
(マット剤)
本発明のセルロースエステルフィルムには、滑り性を付与するためにマット剤等の微粒子を添加することが出来、微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。マット剤はできるだけ微粒子のものが好ましく、微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることが出来る。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを低く出来るので好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下出来るため好ましい。
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。また、微粒子の二次粒子の平均粒径は0.05〜1.0μmの範囲である。好ましい微粒子の二次粒子の平均粒径は5〜50nmが好ましく、更に好ましくは7〜14nmである。これらの微粒子はセルロースエステルフィルム中では、光学フィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させる為に好ましく用いられる。微粒子のセルロースエステルフィルム中の含有量はセルロースエステルに対して0.005〜0.3質量%が好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子としては、日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることが出来、好ましくはアエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することが出来る。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、アエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用出来る。
上記マット剤として用いられるフィルム中の微粒子の存在は、別の目的としてフィルムの強度向上のために用いることも出来る。また、フィルム中の上記微粒子の存在は、本発明のセルロースエステルフィルムを構成するセルロースエステル自身の配向性を向上することも可能である。
(高分子材料)
本発明のセルロースエステルフィルムはセルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーを適宜選択して混合してもよい。前述の高分子材料やオリゴマーはセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であることが好ましい。セルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーの少なくとも1種以上を混合する目的は、加熱溶融時の粘度制御やフィルム加工後のフィルム物性を向上するために行う意味を含んでいる。この場合は、上述のその他添加剤として含むことが出来る。
(成型物の製造方法及びその大きさ)
ペレット状の成型物を得る方法としては、二軸押出機にてセルロースエステルのガラス転移温度以上融点+30℃以下の温度にて溶融押出しして棒状のストランドを得た後、所望の大きさに裁断する方法などが挙げられる。
セルロースエステルは熱による劣化が著しい材料のため、劣化しない温度にて成型する方法が好ましい。
セルロースエステルと有機系添加剤を混合し得られた成型物の大きさは、1mm×1mm×1mm〜20mm×20mm×20mmの立方体の範囲内であることが本発明の効果を得る上で好ましい。溶融押出し法においては、1mm×1mm×1mmより小さいと、成型物投入時にブロッキングを起こし供給が安定せず、また、20mm×20mm×20mmより大きいと、成型物の溶融及び粉砕性が悪く、結果投入口で詰まり、生産性が著しく悪くなる恐れがある。また、1mm×1mm×1mmより小さいと、成型物の比表面積が大きくなるため空気(特に酸素と水)との接触面積も大きくなり、セルロースが劣化しやすくなり、分子量が低下し、結果、機械的強度が低下する恐れがある。加圧加熱溶融法においては、20mm×20mm×20mmより大きいと膜厚の小さい(100μm以下)フィルムが得られにくくなる。また、膜厚にムラが出来やすくなる。(膜厚精度が悪くなる。)
成型物にすると、樹脂と添加剤が密着するため、混合・分散性が高まる。また、空気(特に酸素と水)との接触面積が小さくなるためセルロースエステルの劣化にも有利である。
例えば、本発明に用いられるセルロースエステル及び添加剤の混合物を、熱風乾燥又は真空乾燥した後、溶融押出し、T型ダイよりフィルム状に押出しして、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得る。
本発明のセルロースエステル及び添加剤は、0.1〜20mm程度の粉体、またはペレットである。原料によっては含有する水分の量が多く、乾燥が必要なものもある。乾燥は、単独に乾燥しても良く、複数の原料を混合してから乾燥しても良い。セルロースエステルは加熱により酸を発生することがあり、この酸により分解劣化が進行するので、酸を発生させないように60〜90℃程度で乾燥することが好ましい。到達乾燥レベルを上げるために、露点の低い乾燥空気を使用するか、減圧ないし真空乾燥することも好ましい。好ましい露点は−20℃以下、更に好ましくは−30℃以下である。添加剤によっては融点が低いものもあり、混合してから乾燥する場合は、乾燥中に粘着して固まらないように、使用材料中最も融点の低い物質の融点以下で乾燥する必要がある。もちろん単独に乾燥してから混合すればよいのであるが、混合中に吸湿することがあるので、混合してから乾燥するのが好ましい。
乾燥終了した原料は、すぐ押出機に送るか、吸湿を防止するために高温低露点ないし減圧に維持されたストックタンクに保管された後、押出機に送る。
原料として、製膜後スリットしたり、巻き取った後製品にならなかったロスフィルムを回収再使用することが出来る。回収フィルムは通常粉砕して供給するが、それだけでペレットに成形したり、造粒して供給することも出来る。回収フィルムも乾燥が必要であるが、単独で乾燥しても良いし、バージンのポリマー原料と混合してから乾燥しても良いし、添加剤と混合してから乾燥しても良い。
溶融押出しは、一軸押出機、二軸押出機、更に2台の押出機を直列に連結するタンデム押出しなどが挙げられるが、本発明では2台の押出機を直列に連結するタンデム押出しが好ましい。
該押出し機下流にダイを設置して直接押出し製膜しても良いし、ストランドダイを設置していったんペレット化してからそのペレットを押出し製膜しても良い。
更に、原料タンク、原料の投入部、押出機内といった原料の供給、溶融工程を、窒素ガス等の不活性ガスで置換、或いは減圧することが好ましい。本発明では、セルロースエステルと複数の添加剤を混合するため、混練性能に優れた二軸押出機を使用してペレット化した後、定量性の良い単軸押出機を用いて溶融押出し製膜するのが好ましい。
特にフィルムを製造する上で留意することは、なるべく機械的ストレスを与えずに加熱溶融させる方法が好ましい。既存の装置としては、1軸押出機、ホットプレス機などがある。1軸押出機の場合、透明なフィルムを得ることが出来る温度において、出きる限り低温にて短時間で押出しすことが望ましい。投入口からダイまでの経路においては、セルロースエステルのガラス転移温度:Tg〜融点:Tm+50℃の温度に設定しておくことが望ましく、ダイに近づくにつれて温度を段階的に上げるのが好ましい。ダイの温度は、Tm〜Tm+30℃に設定するのが好ましい。
滞留時間(押出し時間)は、可能な限り短時間の方が好ましい。20〜360秒が好ましく、より好ましくは20〜60秒であった。滞留時間が長いと、劣化が著しくなる恐れがあり、また、あまりにも短時間すぎると、溶融が不十分になる恐れがある。滞留時間は、シャフトの回転数、成型物の粘弾性、加熱温度などによって調整される。
本発明の前記溶融押出し時の温度はセルロースエステルのTg≦T≦Tg+130(℃)の範囲であることが好ましい。より好ましくはTg+50≦T≦Tg+130(℃)の範囲である。
押出機下流に、ギヤポンプ、フィルタを配置するのが好ましい。ギヤポンプは溶融樹脂を定量的に搬送出来るので、引取りフィルムの膜厚を均一にするために好ましく適用出来る。ギヤポンプ直前に、ギヤポンプ保護のためのフィルタを配置するのが好ましい。ギヤポンプは、2ギヤタイプ、3ギヤタイプなどあるが、定量性のより良い3ギヤタイプが好ましい。ギヤポンプ下流にメインフィルタを配置する。メインフィルタは製品フィルム中の異物を減らし、製品品質を向上する。
ダイは、Tダイが好ましい。押し引きボルト、リップヒータ、ヒートボルトなどのリップ間隙調整機構を備え、膜厚を均一に調整する。リップを傷つきにくくするために、メッキしたり、ダイヤモンドライクカーボンのような超硬度処理することも好ましい。吐出する方向は、水平方向でも垂直方向でも良い。引取りロールにあわせて斜め下に吐出することも適用出来る。
吐出された溶融フィルムの引取りは、静電印加法等により冷却ドラムに密着させて引取りる方法、または2本のロールの間に溶融フィルムを挟んで引取りる方法も好ましく適用出来る。冷却ドラムの温度はセルロースエステルのTg−100〜Tgに維持されていることが好ましい。ダイ出口から冷却ドラムや引取りロールの周辺雰囲気を吸引することが好ましく行われる。溶融押出しされたフィルムからポリマー分解物や可塑剤などの添加剤が揮発し、ダイリップやロールに付着汚染するのを防ぐためである。吸引は、ダイリップから樹脂が吐出された直後に設置することが好ましい。揮発ガスの除去効果を上げるために周辺を囲むことも好ましい。囲って吸引すると、隙間を通して周囲から空気を吸い込むことにより、ダイリップから吐出された樹脂フィルムがゆらいで膜厚ムラとなることがあるので、吸引風量と同量の新鮮空気を囲いの中に供給することも好ましい。供給する空気の温度が振れると樹脂フィルムの温度が変化して膜厚ムラを生じるので、温度も一定に制御することが好ましい。このような措置を施したとしても、溶融フィルムからの揮発ガスによるロール汚染を完全になくすわけにいかないので、引取りロールや冷却ドラムに清掃装置を設置することが好ましく行われる。清掃装置はフィルム成形中もずっと継続して機能するタイプと、定期的にフィルム成形を中断して機能するタイプのどちらも適用出来る。
本発明の偏光板保護フィルム用のセルロースエステルフィルムは、幅手方向もしくは製膜方向に延伸製膜されたフィルムであることが特に好ましい。
前述の冷却ドラムから剥離され、得られた未延伸フィルムを複数のロール群及び/又は赤外線ヒーター等の加熱装置を介してセルロースエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、一段又は多段縦延伸することが好ましい。延伸の倍率は5〜200%の範囲で製品に要求されるリタデーションを満足するように選択される。
次に、上記のようにして得られた縦方向に延伸されたセルロースエステルフィルムを、Tg−20℃〜Tg+20℃の温度範囲内で、5〜200%の範囲で横延伸し、次いで熱固定することが好ましい。
横延伸する場合、2つ以上に分割された延伸領域で温度差を1〜50℃の範囲で順次昇温しながら横延伸すると、幅方向の物性の分布が低減でき好ましい。更に横延伸後、フィルムをその最終横延伸温度以下でTg−40℃以上の範囲に0.01〜5分間保持すると幅方向の物性の分布が更に低減でき好ましい。延伸の順番は、タテ、ヨコの順に限らず、ヨコ、タテの順でもかまわない。
また同時二軸延伸も好ましく適用出来る。逐次延伸では2段目の延伸時に破断しやすい傾向があるが、同時二軸延伸は破断しにくく、縦横の配向が均一に出来るメリットがある。
熱固定は、その最終横延伸温度より高温で、Tg+50℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固定する。この際、2つ以上に分割された領域で温度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固定することが好ましい。
熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下、Tg−30℃以上の温度範囲内で、横方向及び/又は縦方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。又冷却は、最終熱固定温度からTgまでを、毎秒100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながらこれらの処理を行うことがフィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。尚、冷却速度は、最終熱固定温度をT1、フィルムが最終熱固定温度からTgに達するまでの時間をtとしたとき、(T1−Tg)/tで求めた値である。
これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成するセルロースエステルにより異なるので、得られた延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整することにより決定すればよい。
また、製膜工程において、カットされたフィルム両端のクリップ把持部分は、粉砕処理された後、或いは必要に応じて造粒処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料として又は異なる品種のフィルム用原料として再利用してもよい。
(延伸操作、屈折率制御)
本発明のセルロースエステルフィルムを位相差フィルムとして用いる場合、延伸操作により屈折率制御を行うことが好ましい。延伸操作としては、セルロースエステルの1方向に1.0〜2.0倍及びフィルム面内にそれと直交する方向に1.01〜2.5倍延伸することで好ましい範囲の屈折率に制御することが出来る。
例えばフィルムの長手方向(製膜方向)及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次または同時に延伸することが出来る。このとき少なくとも1方向に対しての延伸倍率が小さ過ぎると十分な位相差が得られず、大き過ぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
例えば溶融して流延した方向に延伸した場合、幅方向の収縮が大き過ぎると、フィルムの厚み方向の屈折率が大きくなり過ぎてしまう。この場合、フィルムの幅収縮を抑制或いは、幅方向にも延伸することで改善出来る。幅方向に延伸する場合、幅手で屈折率に分布が生じる場合がある。これは、テンター法を用いた場合にみられることがあるが、幅方向に延伸したことで、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、所謂ボーイング現象と呼ばれるものと考えられる。この場合でも、該流延方向に延伸することで、ボーイング現象を抑制出来、幅手の位相差の分布を少なく改善出来るのである。
更に、互いに直行する2軸方向に延伸することにより、得られるフィルムの膜厚変動が減少出来る。セルロースエステルフィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなり、液晶ディスプレイに用いたとき着色等のムラが問題となることがある。
セルロースエステルフィルムの膜厚変動は、±3%、更に±1%の範囲とすることが好ましい。以上の様な目的において、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に1.0〜2.0倍、幅方向に1.01〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に1.01〜1.5倍、幅方向に1.05〜2.0倍に範囲で行うことが好ましい。
応力に対して、正の複屈折を得るセルロースエステルを用いる場合、幅方向に延伸することで、セルロースエステルフィルムの遅相軸が幅方向に付与することが出来る。この場合、本発明において、表示品質の向上のためには、セルロースエステルフィルムの遅相軸が、幅方向にあるほうが好ましく、(幅方向の延伸倍率)>(流延方向の延伸倍率)を満たすことが必要である。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、或いは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことが出来、破断等の危険性が減少出来るので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持或いは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
本発明のセルロースエステルフィルムの厚さは10〜500μmが好ましい。特に20μm以上、更に35μm以上が好ましい。又、150μm以下、更に120μm以下が好ましい。特に好ましくは25以上〜90μmが好ましい。上記領域よりも偏光板保護フィルムが厚いと偏光板加工後の偏光板が厚くなり過ぎ、ノート型パソコンやモバイル型電子機器に用いる液晶表示においては、特に薄型軽量の目的には適さない。一方、上記領域よりも薄いと、リターデーションの発現が困難となること、フィルムの透湿性が高くなり偏光子に対して湿度から保護する能力が低下してしまうために好ましくない。
本発明のセルロースエステルフィルムの遅相軸または進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましい。このθ1は配向角として定義出来、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことが出来る。
θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制または防止することに寄与出来、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与出来る。
(機能性層)
本発明のセルロースエステルフィルムの製造に際し、延伸の前及び/又は後帯電防止層、ハードコート層、反射防止層、易滑性層、易接着層、防眩層、バリアー層、光学補償層等の機能性層を塗設してもよい。特に、帯電防止層、ハードコート層、反射防止層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選ばれる少なくとも1層を設けることが好ましい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことが出来る。
(偏光板)
本発明のセルロースエステルフィルムを有する偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することが出来る。得られたセルロースエステルフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全鹸化ポリビニルアルコール水溶液を用いて、偏光子の両面にセルロースエステルフィルムを貼り合わせてもよいし、少なくとも一方の面に本発明のセルロースエステルフィルムを偏光子に直接貼合してもよい。もう一方の面には別の偏光板保護フィルムを用いてもよく、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UX−RHA−N、以上コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
また、上記アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、同6−118232号に記載されているような易接着加工を施して偏光板加工を行ってもよい。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することが出来る。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
(表示装置)
本発明のセルロースエステルフィルムは平面性に優れ、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置に好ましく用いられる。
特に、本発明のセルロースエステルフィルム、偏光板は液晶表示装置に好適である。液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のセルロースエステルフィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムにはクリアハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが好ましい。また、延伸した本発明の偏光板保護フィルムは視野角拡大の為の位相差フィルムとして用いることも好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。特に画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、画面周辺部での白抜けなどもなく、その効果が長期間維持され、MVA型液晶表示装置では顕著な効果が認められる。特に、色むら、ぎらつきや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(用いる素材)
〈セルロースエステル〉
C−1.セルロースアセテートプロピオネート:アセチル置換度2.08、プロピオニル基置換度0.72、分子量Mn=68000、分子量Mw=200000
C−2.セルロースアセテートプロピオネート:アセチル置換度1.45、プロピオニル基置換度1.26、分子量Mn=70000、分子量Mw=190000
〈可塑剤〉
P−1.トリメチロールプロパントリベンゾエート
P−2.下記例示化合物1
合成例1(例示化合物1の合成)
10℃に保持した37質量部のグリセリン、111質量部のピリジン、500質量部のトルエンの混合溶液を攪拌しながら、205質量部のp−メトキシベンゾイルクロライドを30分間かけて滴下し、その後、100℃まで加熱して、3時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却して沈殿物を炉別した後、1モル/L HCl水溶液を加えて洗浄し、更に1% Na2CO3水溶液を加えて洗浄した後、有機相を分取してトルエンを減圧留去した後、精製を行い167質量部(収率85%)の白色結晶を得た。
Figure 2007276381
〈酸化防止剤〉
A−1.IRGANOX−1010(チバスペシャルティケミカルズ社製)
A−2.ADK STAB LA−52(旭電化工業株式会社製)
A−3.ADK STAB PEP36(旭電化工業株式会社製)
A−4.Tinuvin−144(チバスペシャルティケミカルズ社製)
〈紫外線吸収剤〉
UV−1.下記例示化合物2
UV−2.下記例示化合物3
合成例2(例示化合物2の合成)
クロロホルム 75mlに下記M−1 5.25g、メタクリル酸メチル 7.5g、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート 2.25gを加えて、次いで2,2’−アゾビズ(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル) 9.03gを加えた。窒素雰囲気下8時間45℃で撹拌した。反応液を放冷した後、ヘキサン2L中に滴下した。析出した沈殿物を濾取して40℃で真空乾燥して、12gの微黄色粉体状の共重合体、例示化合物2を得た。この共重合体は標準ポリスチレンを基準とするGPC分析により、重量平均分子量2400のものであることを確認した。また、上記共重合体がM−1:メタクリル酸メチル:2−ヒドロキシルエチルメタクリレートの組成比が略35:50:15の共重合体であることを確認した。
Figure 2007276381
合成例3〈例示化合物3の合成〉
下記化合物A 2gをトルエン10mlに懸濁させ、DMF 0.1ml、塩化チオニル 1.14gを加えて60℃に加熱して30分撹拌した。反応が進行するにつれて溶解し始め、反応終了後均一溶液になった。反応混合液の溶媒を減圧除去した。残渣にアセトニトリル80mlを加えて懸濁させた。別容器にジエチレングリコール 0.34g、ピリジン 0.76gをアセトニトリルで溶解して、75℃に加熱して撹拌した。その中へ先ほどのアセトニトリル懸濁液を素早く加えて75℃を保持したまま2時間撹拌した。反応終了後、冷却した後アセトニトリルを減圧除去して酢酸エチルと水を加えて抽出した。有機層を減圧除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、さらに酢酸エチルから再結晶を行い、例示化合物3を0.4g(収率18%)得た。構造はNMRとMassスペクトルにより確認した。
1H−NMR(d−DMSO):σ1.28(s,18H);3.92(m,4H);4.51(m,4H);7.09(d,J=8.8Hz,2H);7.49(dd,J=2.4Hz,8.5Hz,2H);7.71(d,J=2.4Hz,2H);7.93(d,J=8.8Hz,2H);7.99(d,J=8.8Hz,2H);8.60(s,2H);10.2(s,2H)
Figure 2007276381
実施例1
(セルロースエステルフィルム1−01〜1−21の作製)
上記セルロース樹脂C−1を120℃で1時間乾燥空気中で熱処理し、乾燥空気中で室温まで放冷した。乾燥したセルロース樹脂C−1 100質量部に対して、可塑剤P−1を12質量部、酸化防止剤A−1を1.0質量部、酸化防止剤A−2を0.25質量部、酸化防止剤A−3を0.5質量部、紫外線吸収剤UV−1を2.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合後、押出機を用い加熱してペレットを作製した。
このペレットを120℃で乾燥後、第1二軸押出機を使用し、230℃の溶融温度で加熱溶融した。その際、押出機の混錬ゾーンに設けられたガス圧入部に炭酸ガスボンベを接続し、炭酸ガスを10MPaになるよう調整し、供給した。その際、導入したガスが、上流側へ漏れないように、ガス導入部直前のスクリューデザインにより、高圧部位を作成し、シール部とした。その後、第1二軸押出機の下流側に、メインフィルタを設置した。フィルタメディアは公称濾過精度10μのメタルファイバーフィルタを使用し、カプセルツリータイプのものを使用した。その際の溶融物粘度は、オフラインでフィルタサイズ、溶融物流量、導管径を相似条件に設定したフローテスターを用いて測定し、せん断速度100sec-1での粘度値に換算したところ、300Pa・sであった。
濾過後の溶融物の圧力は、圧力計を用いて測定し、圧力値は、供給量、スクリュー回転数にて調整したところ、フィルタ後圧力/フィルタ直前圧力は80%であった。
更に、フィルタ下流にギヤポンプを設置し、第2二軸押出機への供給樹脂圧を一定にした。第2二軸押出機は、図1で示すように、ベント口を10箇所設置し、各ベント口の先には、圧力弁を設置し炭酸ガスの圧力降下速度を調整した。
圧力降下速度は、ベント口1〜10の溶融物の通過時間を150分とし、各ベント口の炭酸ガスの圧力調整を表1のように設定した。更に、ベント口には、多孔質膜を配置し、ガスのみが排出され、樹脂は排出されない機構とした。炭酸ガスの排出降下速度を測定したところ0.001MPa/secであった。
各ベント口直前のスクリューには、樹脂やガスの逆流を防ぐため、スクリューデザインにて、高圧部を設けシール部とし、更に、スクリューデザインにより、各バレルの圧力が適切になるように調整した。第2二軸押出機の下流に、ギヤポンプを設置し、更にその下流には、Tダイを設置した。
ダイを通して、目標厚みが80μmになるよう、セルロースエステルフィルム製膜を実施した。製膜は、T型ダイから230℃で押出成形し、引き取りロールを介して158℃でフィルムの長手方向に1.1倍延伸し、続いて幅方向にテンターを用いて1.1倍延伸後、緩和し、冷却しながら幅手両端部の耳部をスリッティングで除去し、さらに室温(20℃)まで冷却した後、両端部に高さ10μm、幅1.5cmのナーリングを設け、巻き取ってロール状の膜厚80μmの、リターデーション値Roが5nm、Rtが30nmのセルロースエステルフィルム1−01を得た。
同様にして、炭酸ガス導入圧力、ベント口1〜10の溶融物の通過時間、炭酸ガス排出降下速度、フィルタ前後の圧力差、溶融温度、セルロース溶融物粘度を表1、及び表2に記載のように変化して1−02〜1−21のセルロースエステルフィルムを得た。
《評価》
(膜厚ムラ)
作製したフィルムについて、膜厚分布を幅手方向で10点ずつ、東洋精機社製デジマイクロで測定し、標準偏差を算出した。その標準偏差について、0〜0.3μmの範囲に入るものは◎、0.3〜0.8μmの範囲に入るものは○、0.8〜1.5μmの範囲に入るものを△、それよりも分布の広いものについては×とした。実用上○以上が許容内である。
(リターデーションムラ)
作製したフィルムについて、自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、作成した試料を23℃、55%RHの環境下で、590nmの波長において3次元屈折率測定を行い、屈折率nx、nyを求めた。下記式に従って面内方向のリターデーション値Ro、フィルム厚み方向のリターデーション値Rtを算出した。
式 Ro=(nx−ny)×d
式 Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、nxはフィルムの面内における遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内における進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表わす。)
測定は、製膜方向と直交する幅手方向に10点行い、その平均及び標準偏差から、以下で示すリターデーション変動率を指標とした。評価は、Ro、Rtの変動率が両者0〜1%を◎、1〜2%を○、2〜5%を△、5%〜を×とした。
リターデーション変動率=標準偏差/リターデーション平均値
Figure 2007276381
Figure 2007276381
表1、表2より本発明の構成のセルロースエステルフィルムは、種々な条件においても、膜厚・リタデーションの均一性に優れた光学フィルムであることが分かった。
実施例2
実施例1と同様にして、セルロース樹脂C−2を100質量部、可塑剤P−2を12質量部、酸化防止剤A−4を0.5質量部、紫外線吸収剤UV−2を2.0質量部の組成のセルロースエステル溶融物を用いて、製膜を行い、評価を実施した。
結果、実施例1とほぼ同等な結果が得られた。
このことより、本発明のセルロースエステルフィルムは、種々の組成においても、膜厚・リタデーションの均一性に優れた光学フィルムであることが分かった。
実施例3
《偏光板の作製》
実施例1で作製した比較のセルロースエステルフィルム1、本発明のセルロースエステルフィルム4を用いて、下記手順により偏光板を作製した。
(ハードコート層の形成)
上記セルロースエステルフィルム上に、下記のハードコート層用塗布液を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルタで濾過してハードコート層塗布液を調製し、これをマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm2で、照射量を0.1J/cm2として塗布層を硬化させ、ドライ膜厚7μmのハードコート層を形成しハードコートフィルムを作製した。
(ハードコート層塗布液)
下記材料を攪拌、混合しハードコート層塗布液とした。
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 220質量部
イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 110質量部
酢酸エチル 110質量部
〈反射防止層付き偏光板保護フィルムの作製〉
上記作製したハードコートフィルム上に、下記のように高屈折率層、次いで、低屈折率層の順に反射防止層を塗設し、反射防止層付きセルロースエステルフィルム(反射防止フィルム)1及び4を作製した。
(反射防止層の形成:高屈折率層)
ハードコートフィルム上に、下記高屈折率層塗布組成物を押出しコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させ、次いで紫外線を0.1J/cm2照射して硬化させ、更に100℃で1分熱硬化させ、厚さが78nmとなるように高屈折率層を設けた。
この高屈折率層の屈折率は1.62であった。
(高屈折率層塗布組成物)
金属酸化物微粒子のイソプロピルアルコール溶液(固形分20%、ITO粒子、粒径5nm) 55質量部
金属化合物:Ti(OBu)4(テトラ−n−ブトキシチタン) 1.3質量部
電離放射線硬化型樹脂:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 3.2質量部
光重合開始剤:イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
0.8質量部
直鎖ジメチルシリコーン−EOブロックコポリマー(FZ−2207、日本ユニカー(株)製)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液 1.5質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 120質量部
イソプロピルアルコール 240質量部
メチルエチルケトン 40質量部
(反射防止層の形成:低屈折率層)
前記高屈折率層上に下記の低屈折率層塗布組成物を押出しコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥させた後、紫外線ランプにて紫外線を0.1J/cm2照射して硬化させ、耐熱性プラスチックコアに巻き長4000mで巻き取り、次いで80℃3日間の加熱処理を行い反射防止フィルム1及び4を作製した。
尚、この低屈折率層の厚さ95nm、屈折率は1.37であった。
(低屈折率層塗布組成物の調製)
〈テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製〉
テトラエトキシシラン289gとエタノール553gを混和し、これに0.15%酢酸水溶液157gを添加し、25℃のウォーターバス中で30時間攪拌することで加水分解物Aを調製した。
テトラエトキシシラン加水分解物A 110質量部
中空シリカ系微粒子(下記P−2)分散液 30質量部
KBM503(シランカップリング剤、信越化学(株)製) 4質量部
直鎖ジメチルシリコーン−EOブロックコポリマー(FZ−2207、日本ユニカー(株)製)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液 3質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 400質量部
イソプロピルアルコール 400質量部
〈中空シリカ系微粒子(P−2)分散液の調製〉
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として0.98質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gとAl23として1.02質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23核粒子分散液を調製した。(工程(a))
この核粒子分散液500gに純水1700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)3000gを添加して第1シリカ被覆層を形成した核粒子の分散液を得た。(工程(b))
次いで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった第1シリカ被覆層を形成した核粒子分散液500gに純水1125gを加え、更に濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成した核粒子の構成成分の一部を除去したSiO2・Al23多孔質粒子の分散液を調製した(工程(c))。上記多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750g及び28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO228質量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆して第2シリカ被覆層を形成した。次いで、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の中空シリカ系微粒子(P−2)の分散液を調製した。
この中空シリカ系微粒子の第1シリカ被覆層の厚さは3nm、平均粒径は47nm、MOx/SiO2(モル比)は0.0017、屈折率は1.28であった。ここで、平均粒径は動的光散乱法により測定した。
次いで、厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光膜と前記反射防止フィルム1及び4、裏面側のセルロースエステルフィルムを貼り合わせて偏光板を作製した。裏面側の偏光板保護フィルムは実施例1のセルロースエステルフィルム1及び4を作製する際に、フィルムの長手方向に1.1倍延伸し、続いて幅方向にテンターを用いて1.3倍延伸した以外は同様にしてセルロースエステルフィルム1′及び4′を作製し、各々1に対し1′、4に対し4′の組み合わせで用いた。セルロースエステルフィルム1′及び4′のリターデーション値は、Ro=45nm、Rt=140nmであった。
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した前記反射防止フィルム、裏面側セルロースエステルフィルムを得た。
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した反射防止フィルム、セルロースエステルフィルムの上にのせて積層した。
工程4:工程3で積層した反射防止フィルム、偏光膜とセルロースエステルフィルムを圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した反射防止フィルム、偏光膜とセルロースエステルフィルムとを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、偏光板1、4を作製した。
《液晶表示装置の作製》
視野角測定を行う液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
富士通製15型ディスプレイVL−150SDの予め貼合されていた表示側の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板をそれぞれ液晶セルのガラス面に貼合した。
その際、その偏光板の貼合の向きは、上記反射防止フィルムの面が液晶セルの表示側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置1、4を各々作製した。
本発明の反射防止フィルム4、裏面側のセルロースエステルフィルム4′を用いた偏光板4及び液晶表示装置4は比較例1に対し、反射防止性に優れ、膜厚ムラやリターデーションムラによる反射色ムラも無く、また視野角が拡大された優れた視認性を有していた。
本発明の光学フィルムの製造方法を実施する装置の1つの実施形態を示す概略フローシートである。 二軸押出機のスクリューデザインである。 排出された炭酸ガスの再利用を考慮した装置を示す概略フローシートである。
符号の説明
1 乾燥機
2 ストレージタンク
3 ホッパー
4 スクリューフィーダー
5 供給口
6、10. 二軸押出機
7 炭酸ガス圧入装置
8 フィルタ
11〜20. 炭酸ガス排出装置
9、21 ギヤポンプ
22 ダイ
23 フィルタ

Claims (9)

  1. セルロースエステルの溶融物を混錬する際に高圧の炭酸ガスを供給し、次いで該セルロースエステルの溶融物をフィルタを通過させた後、該炭酸ガスを排出する溶融流延法によるセルロースエステルフィルムの製造方法であって、該炭酸ガスの排出時の圧力降下速度Sを0.01≦S≦0.2(MPa/sec)の範囲に入るように調整することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
  2. 前記炭酸ガスを排出する際、排出口を複数設置し段階的に炭酸ガスを排出することを特徴とする請求項1に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  3. 前記炭酸ガスの供給圧力が3.0〜20.0MPaであることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  4. 前記フィルタを通過させた後のセルロースエステルの溶融物の圧力が、フィルタ通過前の該溶融物の圧力の70%〜100%の範囲内に調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  5. 前記セルロースエステルの溶融温度TをTg≦T≦Tg+130(℃)に調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
    (但し、Tgはセルロースエステルのガラス転移温度(℃)を表す)
  6. 請求項1〜5に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法を用いて製造されることを特徴とするセルロースエステルフィルム。
  7. 請求項6に記載のセルロースエステルフィルムを用いることを特徴とする光学フィルム。
  8. 請求項7に記載の光学フィルムを少なくとも一方の面に用いることを特徴とする偏光板。
  9. 請求項7に記載の光学フィルムまたは請求項8に記載の偏光板の少なくとも一方を用いることを特徴とする表示装置。
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