JP2007274343A - 静電型スピーカ - Google Patents

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Abstract

【課題】周波数に対して均一な指向性を有する静電型スピーカを提供すること。
【解決手段】本発明は、面を有し、入力信号に応じて振動する振動電極と、前記振動電極の面に対向する面を有し、前記振動電極と離間配置された固定電極とを有し、前記固定電極が、前記振動電極から発せられる音波の伝達経路に設けられ、前記音波に対する遅延特性が異なる部分を有する一または複数の壁面部材からなり、前記一または複数の壁面部材により、前記音波の伝達経路を屈曲させる音響レンズが形成されることを特徴とする静電型スピーカを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電型スピーカに関する。
従来から、静電型スピーカなどの平面スピーカが知られている。平面スピーカは、一般に音響特性の指向性が強いことが知られている。また、指向性は周波数特性を有している。すなわち、特に高周波帯域において、低周波帯域よりも指向性が強いことが知られている。このように周波数帯域により指向性が異なることにより、場所により聞こえる音が均一でなくなるという問題があった。
周波数により不均一な指向性を解消する技術として、例えば非特許文献1〜3に記載の技術がある。非特許文献1は、中心から外側に向かって分割された固定電極を有する静電型スピーカを開示している。非特許文献1は、各固定電極に対する信号に遅延処理をし、点音源を模擬することでブロードな指向性を得るものである。非特許文献2および3は、周波数帯域に応じて放射面積を変化させたスピーカユニットを複数配置することにより指向性を均一化する技術を開示している。
「Quad - The ESL Inside」、[online]、[平成18年3月14日検索]、インターネット<URL:http://www.quad-hifi.co.uk/eslworks.htm> 荒井孝、外2名、「スピーカと室の形状と音速を考慮した音場制御」、日本音響学会講演論文集、日本音響学会、2001年10月、p.567−568 ジョン・アーグル、「ハンドブック・オブ・サウンド・システム・デザイン」、ステレオサウンド、1998年3月、p.341−342
ここで、非特許文献1に記載の技術は、信号並びに固定電極の分割、および遅延回路を必要とするものであった。すなわち、装置の構成が複雑になるという問題があった。また、特許文献2および3に記載の技術も、信号および固定電極の分割を必要とするものであった。さらに、特許文献2および3に記載の技術は、分割した帯域ごとの制御しかできないという問題があった。また、静電型スピーカの全面に音響レンズを取り付けることも考えられるが、振動板(振動電極)の全面に固定電極と音響レンズと2つの部材が配置されるため、構造が複雑になり、放射効率が低下するという問題があった。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、周波数に対して均一な指向性を有する静電型スピーカを提供する。
上述の課題を解決するため、本発明は、面を有し、入力信号に応じて振動する振動電極と、前記振動電極の面に対向する面を有し、前記振動電極と離間配置された固定電極とを有し、前記固定電極が、前記振動電極から発せられる音波の伝達経路に設けられ、前記音波に対する遅延特性が異なる部分を有する一または複数の壁面部材からなり、前記一または複数の壁面部材により、前記音波の伝達経路を屈曲させる音響レンズが形成されることを特徴とする静電型スピーカを提供する。
この静電型スピーカによれば、振動面の全面における放射抵抗の低下を抑制しつつ、音波の指向性を制御することができる。
好ましい態様において、この静電型スピーカは、前記固定電極が、互いに絶縁された第1の固定電極と第2の固定電極とを有し、前記静電型スピーカが、前記入力信号を分割する信号分割手段をさらに有し、前記静電型スピーカが、前記信号分割手段により分割された信号の一方のうち、特定の周波数帯のみを前記第1の固定電極に供給するフィルタ手段をさらに有し、前記第2の固定電極が、前記信号分割手段により分割された信号の他方が入力される入力手段を有し、前記音響レンズが前記第1の固定電極および前記第2の固定電極の少なくともいずれか一方に形成されてもよい。
別の好ましい態様において、この静電型スピーカは、前記固定電極が、互いに絶縁された第1の固定電極と第2の固定電極とを有し、前記静電型スピーカが、前記入力信号を分割する信号分割手段をさらに有し、前記静電型スピーカが、前記信号分割手段により分割された信号の一方のうち、特定の周波数帯のみを前記第1の固定電極に供給する第1のフィルタ手段をさらに有し、前記静電型スピーカが、前記信号分割手段により分割された信号の他方のうち、前記第1のフィルタ手段とは異なる周波数帯のみを前記第2の固定電極に供給する第2のフィルタ手段をさらに有し、前記音響レンズが前記第1の固定電極および前記第2の固定電極の少なくともいずれか一方に形成されてもよい。
さらに別の好ましい態様において、この静電型スピーカは、前記振動電極の面と前記固定電極の面との間に、前記振動電極と接するように配置されたクッション材をさらに有してもよい。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るスピーカユニット1の斜視図である。スピーカユニット1は、固定電極10および固定電極50の2枚の固定電極を有する、いわゆるプッシュ・プル型の静電型スピーカである。
図2は、スピーカユニット1の分解組立図である。スピーカユニット1は、固定電極10と固定電極50の間に挟まれた振動膜30を有する。振動膜30は、静電型スピーカにおける振動電極として機能する。固定電極10と振動膜30の間にはクッション材20が設けられている。同様に、固定電極50と振動膜30の間にはクッション材40が設けられている。固定電極10と固定電極50の間には、スペーサ60が設けられている。
図3は、スピーカユニット1を、図1のA−A’で切断した断面図である。固定電極10および固定電極50は、静電型スピーカにおける固定電極として機能する。固定電極10の詳細については後述する。固定電極50は、平面電極である。固定電極50は、例えば、パンチングメタルなど、音波を透過する構造を有する導電性材料により形成される。あるいは、固定電極50は、スパッタ処理により金属などの導電性材料を蒸着した不織布により形成されてもよい。さらにあるいは、固定電極50は、導電染料を塗布した不織布により形成されてもよい。要するに、固定電極50は、導電性および音波透過性を兼ね備えた材料であればどのような材料を用いて形成されてもよい。
振動膜30は、静電型スピーカにおける振動電極として機能する。例えば、PET(polyethylene terephthalate、ポリエチレンテレフタレート)、PP(polypropylene、ポリプロピレン)、ポリエステルなどの高分子材料を用いたフィルム(薄膜あるいはシート)に、金属などの導電性材料を蒸着した材料により形成される。あるいは、振動膜30は、フィルムに導電染料を塗布した材料により形成されてもよい。振動膜30は、クッション材20およびクッション材40に挟まれている。振動膜30は、クッション材20およびクッション材40により支持されている。従来技術においては、振動膜の外周部が固定電極に対し固定される、すなわち、振動膜には張力が加えられる。しかし、本実施形態において、振動膜30の外周部は固定電極10(固定電極50)に対し固定されない。すなわち、振動膜30には張力が加えられない。なお、本実施形態においては、静電型スピーカの振動電極として膜状の振動膜30を用いる例について説明するが、振動電極は、バルサ板のように板状の材料を用いて形成されてもよい。ただし、質量の軽いものを用いたほうが、音圧の観点から有利なことが多い。
固定電極10には、図示しない電源からバイアス電圧が供給される。さらに、スピーカユニット1は、図示しない信号源から音性信号(入力信号)を入力する入力部を有する。入力信号は、バイアス電圧に重ねあわされて固定電極10に供給される。こうして、入力信号に応じた電圧が固定電極10と振動膜30との間に印加される。印加電圧によって固定電極10と振動膜30との間に電位差が生じると、振動膜30には静電力が働く。すなわち、振動膜30は入力信号に応じて変位、すなわち振動する。この振動状態(振動数、振幅、位相など)に応じた音が振動膜30から発生する。本実施形態において、スピーカユニット1は、プッシュ・プル型の静電型スピーカなので、固定電極50には、逆位相の印加電圧が供給される。逆位相の信号が供給されることにより、固定電極50と振動膜30との間には、固定電極10と振動膜30との間に働く静電力と同じ向きおよび大きさの静電力が働く。すなわち、プッシュ・プル型の静電型スピーカにおいては、振動膜30には、シングル型と比較して2倍の静電力が働く。
スペーサ60は、固定電極10と固定電極50とを互いに固定し、また、絶縁する機能を有する。スペーサ60は、例えば、塩化ビニル、アクリル(メチルメタアクリレート)、ゴム等の絶縁材料により形成される。スペーサ60は、接着剤などを用いて固定電極10および固定電極50に対して固定される。
クッション材20およびクッション材40は、スピーカユニット1の周波数特性を所望の特性にするためのものである。クッション材20およびクッション材40は、所定の弾性率(例えば厚さ方向に関する線弾性係数(ヤング率)等で表すことができる)を有する弾性体あるいは弾性材料を用いて形成される。クッション材20およびクッション材40の弾性率は、以下のように決定される。例えば、阪本楢次、「スピーカとスピーカシステム」、日刊工業新聞社、1967年、に記載されているように、系の最低共振周波数fは次式(1)のように表される。
Figure 2007274343
ここで、Cは固定電極10(固定電極50)および振動膜30により形成されるコンデンサの静電容量である。固定電極10(固定電極50)と振動膜30との間に直流電界および入力信号が加えられない状態における固定電極10(固定電極50)と振動膜30との距離をd、直流電界および入力信号が加えられたときの振動膜30の変位をxとすると、Cは次式(2)のように表される。
Figure 2007274343
また、Eは、固定電極10(固定電極50)に印加されるバイアス電圧、すなわち、共通接地から固定電極10(固定電極50)の電位である。εは、クッション材20(クッション材40)の誘電率である。Sは、振動膜30の、固定電極10(固定電極50)と対向する面の面積である。MMDは、振動膜30の質量である。MMAは、振動膜30の片側の空気付加質量(放射質量)である。
また、Sは、系の等価スティフネスである。従来技術のように、振動膜(振動板)に張力(テンション)をかけることにより振動膜の外周部を固定電極に対して固定(支持)する構造の静電型スピーカにおいては、Sは振動膜に加えられる張力を表す。しかし、本実施形態のように振動膜に張力をかけない構造においては、張力をSとして用いることができない。そこで、本実施形態においては、クッション材20(クッション材40)のスティフネス(かけられた負荷と変位との比例定数であって、N/mの次元を有する)をSとして用いる。スティネスが決まれば、クッション材20(クッション材40)の形状や厚みを考慮することにより、クッション材20(クッション材40)の弾性率を決定することができる。弾性率としては、例えば応力―歪み特性が線形の範囲ではヤング率を、応力―歪み特性が非線形の範囲ではセカント係数を用いることができる。スティフネスは、例えば、クッション材のヤング率をクッション材の厚さで除算し、クッション材の面積を乗算することにより得られる。
式(1)をSについて解くと、次式(3)のようになる。
Figure 2007274343
ここで、SME=2εSE /(d+xであり、コンデンサの負スティフネスを表す。このように、クッション材のスティフネスSは、系の最低共振周波数fの関数となる。式(3)に所望の最低共振周波数、すなわち最低共振周波数の設計値を代入すると、クッション材20(クッション材40)のスティフネスが得られる。こうして算出されたスティフネスを有するクッション材を用いることにより、所望の最低共振周波数を有する静電型スピーカを作製することができる。クッション材20(クッション材40)のスティフネスSは、式(3)で算出されるスティフネスSに対しあらかじめ決められた誤差範囲内に収まっていればよい。例えば、スピーカユニット1は、0.8≦(S/S)≦1.2を満たすスティフネスSを有するクッション材を用いて作製されてもよい。
クッション材20(クッション材40)は、例えば、不織布、綿、スポンジ、羽毛、繊毛、または圧縮ばねを被覆材で覆った材料により形成される。あるいは、クッション材20(クッション材40)は、これらの材料のうち少なくとも2つを組み合わせた複合材料により形成されてもよい。どのような材料を用いても、クッション材20(クッション材40)は、上述の条件を満たす弾性率を有していればよい。また、クッション材20(クッション材40)は、固定電極10(固定電極50)および振動膜30を静電型スピーカとして機能させるため、絶縁性を有している。すなわち、クッション材20(クッション材40)は、所定の弾性率および所定の絶縁性(伝導率)を有する。
図4は、固定電極10の三面図である。固定電極10は、静電型スピーカにおける固定電極として機能すると同時に、振動膜30から発生する音波の指向性を制御する音響レンズとしての機能も兼ね備えている。固定電極10は、縦方向(金属板11)および横方向(金属板12)に組み合わされた複数の金属板(壁面部材)を有する。金属板12は、振動膜30に対し鋭角または鈍角となるように角度をつけて配置される。図4に示されるように、固定電極10を上面から見ると、固定電極10の外郭は曲線形状を有する。この曲線は例えば双曲線である。
例えば、図1および図4に示されるように、振動膜30の面と平行な面をxy座標平面と定義し、xy平面と垂直な方向にz軸をとる。x軸は水平方向、y軸は垂直方向を向いている。固定電極10とクッション材20(あるいはスペーサ60)とが接する面においてz=0であると定義する。固定電極10が完全な平面(外郭が直線)であった場合、振動膜30の振動による音波の波面は、xy平面、すなわち振動膜30の面と平行な平面になる。しかし、本実施形態においては、固定電極10は、複数の壁面部材(金属板12)を有する。金属板12は、xy平面に対し鋭角または鈍角となるように角度をつけて配置される。また、金属板12のxz平面への正射影は、z軸方向の長さ(奥行き)がx座標に依存して異なっている。したがって、固定電極10を貫通する音波の伝達経路の長さは、音波が発生した場所のx座標に依存している。図4に示される例では、固定電極10の中心部分において伝達経路の長さが最短となり、中心部分からx方向の両外側にいくにしたがって伝達経路が長くなっている。すなわち、固定電極10は、振動膜30から発せられる音波の伝達経路に設けられ、音波に対する遅延特性が異なる部分を有する一または複数の壁面部材(金属板11および金属板12)からなる。この壁面部材により、音波の伝達経路を屈曲させる音響レンズが形成される。すなわち、振動膜30の振動による音波の波面は曲面になる。
また、固定電極10は、複数の金属板11を有する。金属板11は、yz平面に平行な面を有する壁面部材である。指向性を制御する音響レンズとしての機能だけを考えると、金属板12のみで十分である。本実施形態においては、静電型スピーカにおける固定電極に必要な特性を担保するため、金属板11が設けられている。まず第1に、金属板11は、複数の金属板12を等電位にする機能を有する。第2に、金属板11は、固定電極10と振動膜30との間の等電位面を平面に近づける機能を有する。複数の金属板12を等電位にするには、金属板11は、複数の金属板12と接するように1枚設けられていれば十分であるが、等電位面を平面に近づけるためには、その数は多いほうがよい。そこで本実施形態において、固定電極10は、複数の金属板11および複数の金属板12をx方向およびy方向に配したセル構造を有する。このようなセル構造を採用することにより、固定電極10は、静電型スピーカにおける固定電極に必要な特性と音響レンズに必要な特性を兼ね備えることができる。
金属板12の形状は例えば次のように決定される。まず、スピーカユニット1の大きさ、すなわち、固定電極10の大きさと、要求される指向角から、仮想音源を設定する。なお、ここでいう固定電極10の大きさとは、振動膜30に平行な面の大きさである。
図5は、仮想音源を例示する図である。図6は、音響レンズの寸法を例示する図である。固定電極10の大きさは1.0m×1.0mであり、指向角α=60°である。音響レンズの距離差(外郭の曲線)は、仮想音源からスピーカ面(固定電極10の、振動膜30と平行な面のうち振動膜30との距離が最短の面)上の任意の点までの距離Lと、距離Lの最小値L1との差ΔL(すなわち、ΔL=L−L1)に相当する遅延を生じるように決定される。例えば、固定電極10の端部において、ΔL=0.134mである。斜板(金属板12)により遅延を生じさせるには、斜板の角度を60°とすると、0.134mの奥行きの差があればよい(図6)。
図7は、別の実施形態に係る固定電極10の三面図である。金属板12を斜めに配置する代わりに、金属板12の形状を波状にしてもよい。要するに、固定電極10は、音波に対する遅延特性が場所により異なる構造を有していれば、どのようなものでもよい。
図8は、さらに別の実施形態に係る固定電極10の斜視図である。図4および図7に示される固定電極10は、2次元的な音響レンズ、すなわち、音波の伝達経路長はx座標の関数であった。しかし、固定電極10は、3次元的な音響レンズ、すなわち、音波の伝達経路長がx座標およびy座標の双方の関数であってもよい。
本実施形態によれば、固定電極10は、静電型スピーカにおける固定電極としての機能と、指向性を制御する音響レンズとしての機能とを兼ね備える。したがって、振動面(振動膜30)の全面における放射抵抗の低下を抑制しつつ、音波の指向性を制御することができる。また、固定電極10は固定電極としての機能と音響レンズとしての機能とを兼ね備えるので、スピーカの構造が簡単になる。このため、スピーカを容易に製造することができる。
<2.第2実施形態>
図9は、本発明の第2実施形態に係るスピーカユニット2の構成を示す模式図である。以下の説明においては、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。第1実施形態と共通する要素については、同一の参照符号を用いて説明する。また、第1実施形態と共通する事項についてはその説明を省略する。本実施形態において、固定電極10は、それぞれ分離され、電気的に絶縁された固定電極10aおよび固定電極10bの2つの固定電極を有する。固定電極10aは、静電型スピーカにおける固定電極としての機能と、音響レンズとしての機能とを兼ね備える電極である。固定電極10aは、第1実施形態における固定電極10と同様に形成される。固定電極10bは、音響レンズとしての機能は有さず、静電型スピーカにおける固定電極としての機能のみを有する。その形状は異なるが、固定電極10bは、第1実施形態における固定電極50と同様に形成される。なお、図示は省略したが、スピーカユニット2は、スピーカユニット1と同様にクッション材20、振動膜30、クッション材40、および固定電極50を有する。
図10は、指向性係数の周波数依存性を示す図である。縦軸は指向性係数を、横軸は周波数に依存したパラメータKa=2πf/c×aを表す。ここで、fは周波数、cは音速、aは振動膜30の等価半径を示す。振動膜30が四角形の場合、その面積をSとすると等価半径a=√(S/π)である。例えば、1.0m×1.0mの静電スピーカの場合、100〜200Hz以下の周波数帯で指向性係数は一定となるが、それ以上の周波数帯では急激に指向性が強くなる。そこで、本実施形態においては、例えば200Hzで帯域を分割し、これより低域は固定電極10全体から、高域は中央部分すなわち固定電極10aのみから音波を放射させる。200Hz以上の高域においては指向性が強いが、固定電極10aは音響レンズとしての機能をも有するので、音響レンズを介することにより高域の指向性は弱くなる。スピーカユニット2は、以上のアイデアに基づいて設計されている。
スピーカユニット2は、ローパスフィルタ(Low Pass Filter、以下LPFという)110を有する。LPF110は、入力信号のうち、特定の周波数帯の信号、すなわち、あるカットオフ周波数(例えば200Hz)以下の周波数帯の信号のみを固定電極10bに供給する。固定電極10aには、入力信号がそのまま供給される。これにより、振動膜30のうち固定電極10bに対応する領域からは低周波数帯に相当する音波が発生される。また、振動膜30のうち固定電極10aに対応する領域からは全周波数帯に相当する音波が発生される。本実施形態によれば、音響レンズは、固定電極10の全面ではなく一部にのみ形成される。例えば固定電極10の大きさを1.0m×1.0m、そのうち固定電極10aの大きさを0.5m×0.5mとし、斜板による音響レンズを用いると、音響レンズの奥行きは0.067mとなる。これは、第1実施形態における音響レンズの奥行き0.134mの半分である。したがって、スピーカユニットを小型化することができる。
本実施形態によれば、高周波数帯に比べ能率が悪い低周波数帯の放射面積を確保しつつ、高音域の指向性を弱くすることができる。また、音響レンズは固定電極10の全面に形成されるのではなく一部にのみ形成されるので、音響レンズの奥行きを小さいものにすることができる。
<3.第3実施形態>
図11は、本発明の第3実施形態に係るスピーカユニット3の構成を示す模式図である。以下の説明においては、第1および第2実施形態と異なる点を中心に説明する。第1および第2実施形態と共通する要素については、同一の参照符号を用いて説明する。また、第1および第2実施形態と共通する事項についてはその説明を省略する。本実施形態において、スピーカユニット3は、LPF110に加え、ハイパスフィルタ(High Pass Filter、以下HPFという)120を有する。HPF120は、入力信号のうち、特定の周波数帯の信号、すなわち、あるカットオフ周波数以上の周波数帯の信号のみを固定電極10aに供給する。固定電極10bには、第2実施形態と同様に、低周波数帯の信号が供給される。
本実施形態によれば、第2実施形態と同様に、高周波数帯に比べ能率が悪い低周波数帯の放射面積を確保しつつ、高音域の指向性を弱くすることができる。また、音響レンズは固定電極10の全面に形成されるのではなく一部にのみ形成されるので、音響レンズの奥行きを小さいものにすることができる。
<4.他の実施形態>
上述の第2実施形態および第3実施形態においては、固定電極10を2分割する態様について説明した。しかし、固定電極10を分割する数は2つに限定されない。固定電極10は、3つ以上に分割されてもよい。例えば、固定電極10を3分割し、各電極に低周波数帯、中周波数帯、高周波数帯に対応する信号が供給されてもよい。
また、上述の各実施形態においては、音響レンズとしての機能を有するのは、2枚の固定電極のうち固定電極10のみであった。しかし、固定電極10および固定電極50の双方が音響レンズとしての機能を具備していてもよい。
また、上述の各実施形態においては、スピーカユニット1がプッシュ・プル型の静電型スピーカである態様について説明した。しかし、スピーカユニット1は、固定電極を1枚しか有しない、いわゆるシングル型の静電型スピーカであってもよい。シングル型の静電型スピーカの場合、式(1)の平方根内部の分子第2項の係数は「2」ではなく、「1」になる。すなわち、固定電極の数をnとすると、コンデンサの負スティフネスは、SME=nεSE /(d+xと表せる。プッシュ・プル型の静電型スピーカの場合、SME=2εSE /(d+xとなり、シングル型の静電型スピーカの場合、SME=εSE /(d+xとなる。また、シングル型の静電型スピーカの場合、固定電極50に代わり、電極としての機能を有しない支持部材を用いてもよい。
上述の各実施形態においては、スピーカユニット1がクッション材20およびクッション材40を有する態様について説明した。しかし、スピーカユニット1は、固定電極と振動膜との間にクッション材を有さない構造であってもよい。この場合、振動膜の周辺部は、固定電極に対して固定(支持)される。
第1実施形態に係るスピーカユニット1の斜視図である。 スピーカユニット1の分解組立図である。 スピーカユニット1の断面図である。 固定電極10の三面図である。 仮想音源を例示する図である。 音響レンズの寸法を例示する図である。 別の実施形態に係る固定電極10の三面図である。 さらに別の実施形態に係る固定電極10の斜視図である。 第2実施形態に係るスピーカユニット2の構成を示す模式図である。 指向性係数の周波数依存性を示す図である。 第3実施形態に係るスピーカユニット3の構成を示す模式図である。
符号の説明
1・2・3…スピーカユニット、10…固定電極、11…金属板、12…金属板、20…クッション材、30…振動膜、40…クッション材、50…固定電極、60…スペーサ、110…LPF、120…HPF

Claims (4)

  1. 面を有し、入力信号に応じて振動する振動電極と、
    前記振動電極の面に対向する面を有し、前記振動電極と離間配置された固定電極と
    を有し、
    前記固定電極が、前記振動電極から発せられる音波の伝達経路に設けられ、前記音波に対する遅延特性が異なる部分を有する一または複数の壁面部材からなり、
    前記一または複数の壁面部材により、前記音波の伝達経路を屈曲させる音響レンズが形成される
    ことを特徴とする静電型スピーカ。
  2. 前記固定電極が、互いに絶縁された第1の固定電極と第2の固定電極とを有し、
    前記静電型スピーカが、前記入力信号を分割する信号分割手段をさらに有し、
    前記静電型スピーカが、前記信号分割手段により分割された信号の一方のうち、特定の周波数帯のみを前記第1の固定電極に供給するフィルタ手段をさらに有し、
    前記第2の固定電極が、前記信号分割手段により分割された信号の他方が入力される入力手段を有し、
    前記音響レンズが前記第1の固定電極および前記第2の固定電極の少なくともいずれか一方に形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の静電型スピーカ。
  3. 前記固定電極が、互いに絶縁された第1の固定電極と第2の固定電極とを有し、
    前記静電型スピーカが、前記入力信号を分割する信号分割手段をさらに有し、
    前記静電型スピーカが、前記信号分割手段により分割された信号の一方のうち、特定の周波数帯のみを前記第1の固定電極に供給する第1のフィルタ手段をさらに有し、
    前記静電型スピーカが、前記信号分割手段により分割された信号の他方のうち、前記第1のフィルタ手段とは異なる周波数帯のみを前記第2の固定電極に供給する第2のフィルタ手段をさらに有し、
    前記音響レンズが前記第1の固定電極および前記第2の固定電極の少なくともいずれか一方に形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の静電型スピーカ。
  4. 前記振動電極の面と前記固定電極の面との間に、前記振動電極と接するように配置されたクッション材をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の静電型スピーカ。
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