JP2007274310A - 振幅制限装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の変調信号を含む複合信号に対し、平均電力に対する最大瞬時電力の比を小さくする処理を施す振幅制限装置を提供する。
【解決手段】複数の変調信号を含む複合信号から、当該複合信号の絶対値を所定の閾値以上とする成分を抽出し、閾値以上信号として出力する信号抽出部と、閾値以上信号を、複合信号に含まれる変調信号の数と同一の数の信号に分解し、複数の分解信号として出力する信号分解部と、複数の分解信号のそれぞれに対し周波数帯域制限を施して出力する周波数帯域制限部と、周波数帯域制限部によって周波数帯域制限が施された複数の分解信号を合成し、複合信号から減算して出力する再生部と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の変調信号を含む信号の振幅を制限する装置に関する。
ディジタル通信システムの送信局、中継局等には、周波数の異なる複数のディジタル変調信号を同時に無線送信する送信装置が用いられる。図4に送信装置100の構成を示す。送信装置100は、信号生成部10、電力増幅器12、アンテナ14を備えて構成される。
信号生成部10は、周波数の異なる複数のディジタル変調信号を含む信号を生成し、電力増幅器12に出力する。電力増幅器12は信号を増幅し、アンテナ14を介して無線送信する。
特開2000−216654号公報
電力増幅器が出力することのできる信号の値には限界があり、出力信号の値が限界値に達した状態は飽和状態と称される。一般に、電力増幅器では、電力増幅器を飽和状態に至らしめる入力電力の瞬時値である飽和入力電力よりも、入力信号の電力の時間平均値が小さいほど、出力信号の歪み成分は減少するが電力効率が低くなる。一方、入力信号の電力の時間平均値が大きく飽和入力電力に近いほど、電力効率は高くなるが出力信号の歪み成分が増大する。
したがって、平均電力(電力の時間平均値)に対する最大瞬時電力(電力の瞬時値の最大値)の比が小さい時間波形を示す信号ほど、飽和状態を回避しつつ入力信号の時間平均値を大きくすることができ、電力増幅器の出力信号の歪み成分を増加させることなく電力増幅器の電力効率を高めることができる。
しかし、図4の送信装置100では、信号生成部10が出力する複数のディジタル変調信号は、それぞれ互いに周波数が異なり位相が揃うことがない。したがって、信号生成部10が出力する信号は平均電力に対する最大瞬時電力の比が大きく、電力増幅器から出力される信号の歪み成分を増加させることなく電力増幅器の電力効率を高めることが困難である。
本発明はこのような課題に対してなされたものであり、複数の変調信号を含む複合信号に対し、平均電力に対する最大瞬時電力の比を小さくする処理を施す振幅制限装置を提供する。
本発明は、複数の変調信号を含む複合信号から、当該複合信号の絶対値を所定の閾値以上とする成分を抽出し、閾値以上信号として出力する信号抽出部と、前記閾値以上信号を、前記複合信号に含まれる変調信号の数と同一の数の信号に分解し、複数の分解信号として出力する信号分解部と、前記複数の分解信号のそれぞれに対し周波数帯域制限を施して出力する周波数帯域制限部と、前記周波数帯域制限部によって周波数帯域制限が施された前記複数の分解信号を合成し、前記複合信号から減算して出力する再生部と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る振幅制限装置においては、前記信号分解部は、前記複数の分解信号のそれぞれの大きさの比が、前記複数の変調信号のそれぞれに対して要求される波形品質に基づいて定められた比と一致するよう、前記閾値以上信号を分解する構成とすることが好適である。
また、本発明に係る振幅制限装置においては、前記波形品質は、ディジタル変調信号に対して定義される、振幅および位相の誤差で表されることが好適である。
本発明によれば、複数の変調信号を含む複合信号の、平均電力に対する最大瞬時電力の比を小さくすることができる。これによって、複合信号を電力増幅器で増幅する場合において、電力増幅器から出力される複合信号の歪み成分を増加させることなく電力増幅器の電力効率を高めることができる。
図1に本発明の実施形態に係る送信装置102の構成を示す。送信装置102は、ディジタル信号生成部16、IQ信号生成部18、直交変調部20、搬送波生成部22、ピーク信号抽出部24、信号分解部26、分解係数生成部28、直交検波部30−1〜30−n、フィルタ32−1〜32−n、変調合成部34、加算部36、遅延部38、周波数変換部40、電力増幅器12、およびアンテナ14を備えて構成される。
ディジタル信号生成部16は、送信対象とするn個のディジタル信号DG1〜DGnを生成し、IQ信号生成部18に出力する。
IQ信号生成部18は、ディジタル信号DG1〜DGnのディジタル値を、同相成分信号および直交成分信号の2つの信号の値に対応付け、同相成分信号および直交成分信号の組をそれぞれベースバンド信号IQ1〜IQnとして直交変調部20に出力する。ディジタル値を同相成分信号および直交成分信号に対応付ける方式としては、BPSK方式、QPSK方式、QAM方式等が好適である。
搬送波生成部22は搬送波信号F1〜Fnを生成し直交変調部20および変調合成部34に出力する。また、搬送波信号F1〜Fnを、それぞれ直交検波部30−1〜30−nに出力する。搬送波信号F1〜Fnは互いに周波数が異なるものとする。さらに、搬送波生成部22は、搬送波信号F1〜Fnのそれぞれの周波数および位相に関する情報を含む搬送波情報Gをフィルタ32−1〜32−nに出力する。
直交変調部20は、ベースバンド信号IQi(iは1〜nの整数)の同相成分信号の値および直交成分信号の値を成分とするベクトル角の変化を、搬送波信号Fiの位相の変化に対応付ける直交変調によりディジタル変調信号DMiを生成する。そして、それぞれベースバンド信号IQ1〜IQnに基づいて生成されたディジタル変調信号DM1〜DMnを加算合計し、複合信号Cとしてピーク信号抽出部24および遅延部38に出力する。
このように、ディジタル信号生成部16、IQ信号生成部18、直交変調部20、および搬送波信号生成部22によって、それぞれディジタル信号DG1〜DGnに基づいて生成されたディジタル変調信号DM1〜DMnを含む複合信号Cが生成される。
ピーク信号抽出部24は、複合信号Cのうち、その絶対値が予め定められた閾値TH以上となる成分をピーク信号PSとして抽出し信号分解部26に出力する。例えば、複合信号Cの時間波形が図2(a)の線SCで表されるとき、時刻t1〜t2の間では複合信号Cは閾値TH以上となり、時刻t3〜t4の間では複合信号Cは負の閾値−TH以下となるため、抽出されるピーク信号PSは図2(b)のように、時刻t1〜t2に線SC1が、そして時刻t3〜t4に線SC2が現れるような波形を有する信号となる。
分解係数生成部28は、ディジタル変調信号DM1〜DMnのそれぞれに対して予め定められた分解係数α1〜αnを信号分解部26に出力する。分解係数α1〜αnは、これらの数値で表される比α1:α2:・・・:αnを示し、分解係数α1〜αnの加算合計値は1となる。また、分解係数の比α1:α2:・・・:αnは、ディジタル変調信号DMiに要求される波形品質が高いほど、分解係数αiの値が小さくなるよう決定する。
ディジタル変調信号の波形品質は、基準となる信号との間の波形相関、当該ディジタル変調信号に含まれる歪み成分の大きさ等に基づいて定義することができる。また、ディジタル変調信号の波形品質を表す指標として広く知られているEVM(Error Vector Magnitude)を適用してもよい。EVMは、変調方式に基づいて一義的に定められる振幅および位相の関係に基づいて規定される、実際のディジタル変調信号の振幅および位相の誤差を示す。EVMの値が小さいほど波形品質が高いといえる。波形品質を表す指標としてEVMを用いた場合、ディジタル変調信号DMiに要求されるEVMが小さいほど、分解係数αiの値を小さくすればよい。
ディジタル変調信号DMiに要求されるEVMに基づいて分解係数αiを決定する方法としては、分解係数の比α1:α2:・・・:αnをディジタル変調信号DM1〜DMnの電力比とするものが考えられる。すなわち、ディジタル変調信号DM1〜DMnのそれぞれの電力をそれぞれPDM1〜PDMnとして、αi=PDMi/(PDM1+PDM2+・・・+PDMn)として分解係数αiを決定する。
信号分解部26は、分解係数生成部28から出力された分解係数α1〜αnに基づいて、ピーク信号PSを分解信号P1〜Pnに分解し、それぞれ直交検波部30−1〜30−nに出力する。分解は、分解信号P1〜Pnのそれぞれの絶対値の比、|P1|:|P2|:・・・:|Pn|が、α1:α2:・・・:αnとなるよう行われる。すなわち、分解信号Piとピーク信号PSとの間にPi=αi・PSの関係が成立するようにピーク信号PSの分解が行われる。
図3(a)は、n=4の場合について、ある時刻における複合信号C、ディジタル変調信号DM1〜DM4、ピーク信号PS、および分解信号P1〜P4を複素平面Cmp上にベクトルを以て示したものである。複素平面Cmpの横軸は実数成分Reを表し、縦軸は虚数成分Imを表す。複素平面Cmp上におけるベクトル角はそのベクトルが示す信号の位相を表す。
ディジタル変調信号ベクトルDM1〜DM4のベクトルの回転角速度は、搬送波信号F1〜Fnが同期していないため互いに異なるものとなる。複合信号ベクトルCは、ディジタル変調信号ベクトルDM1〜DM4を加算したものである。図3(a)の円THCは、閾値THを半径とする円であり、複合信号ベクトルCの円THCの外側の部分がピーク信号ベクトルPSとなる。分解信号ベクトルP1〜P4の方向は、ピーク信号ベクトルPSの方向と一致する。
直交検波部30−1〜30−nは、それぞれ搬送波信号F1〜Fnに基づいて、それぞれ分解信号P1〜Pnをベースバンド信号に変換する。そして、それぞれベースバンド分解信号BP1〜BPnとしてそれぞれフィルタ32−1〜32−nに出力する。信号分解部26および直交検波部30−1〜30−nが行う処理によって、ピーク信号PSはベースバンド分解信号BP1〜BPnに分解されたものと考えることができる。ベースバンド分解信号BP1〜BPnは、それぞれディジタル変調信号DM1〜DMnのピーク信号PSへの寄与分としての物理的意義を有する。
分解係数の比α1:α2:・・・:αnは、ディジタル変調信号DM1〜DMnのそれぞれに要求される波形品質に基づいて定められているため、高い波形品質が要求されるディジタル変調信号に対応するベースバンド分解信号ほど、その振幅が小さくなる。
フィルタ32−iは、搬送波生成部22から出力された搬送波情報Gに含まれる、搬送波信号Fiの周波数および位相に関する情報に基づいて、ベースバンド分解信号BPiに対して適応的に周波数帯域制限を施して変調合成部34に出力する。フィルタ32−iとしては、搬送波信号Fiの周波数および位相に関する情報に基づいてタップ係数を生成してその特性が定まるトランスバーサルフィルタを適用することが好適である。
ピーク信号抽出部24が行う処理は非線形処理であるため、ベースバンド分解信号BP1〜BPnは、それぞれのもとのベースバンド信号IQ1〜IQnよりも占有する周波数帯域が広くなる。フィルタ32−1〜32−nが行う処理によって、ベースバンド分解信号BP1〜BPnが占有する周波数帯域は、それぞれのもとのベースバンド信号IQ1〜IQnが占有する周波数帯域と同程度となる。
変調合成部34は、周波数帯域制限が施されたベースバンド分解信号BPiに基づいて搬送波信号Fiを直交変調し、ディジタル変調信号DDMiを生成する。そして、ディジタル変調信号DDM1〜DDMnを合成してその極性を反転し(−1を乗じる等して正負の符号を反転させることを意味する。)、補正信号Δとして加算部36に出力する。
一方、遅延部38は、直交変調部20から出力された複合信号Cを遅延させて加算部36に出力する。遅延部38が複合信号Cに与える遅延時間は、ピーク信号抽出部24、信号分解部26、直交検波部30−1〜30−n、フィルタ32−1〜32−n、および変調合成部34が複合信号Cに対して施す処理に要する時間と等しくする。
加算部36は、遅延部38が出力する複合信号Cに変調合成部34が出力する補正信号Δを加算し、振幅制限後信号Lとして周波数変換部40に出力する。
図3(b)は、ある時刻における複合信号C、ピーク信号PS、補正信号Δ、および振幅制限後信号Lを複素平面Cmp上に示したものである。図3(a)と同一のものについては同一の符号を付してその説明を省略する。補正後信号Δによって、複合信号ベクトルCからピーク信号PSが減算され、その結果、閾値THより絶対値の小さい振幅制限後信号Lが得られることがわかる。
周波数変換部40は、振幅制限後信号Lの周波数を無線周波数帯の周波数に変換し、電力増幅器12に出力する。電力増幅器12は、振幅制限後信号Lを増幅し、アンテナ14を介して無線送信する。
本実施形態に係る送信装置102によれば、直交変調部20が出力する複合信号Cは、絶対値が閾値TH未満に制限された振幅制限後信号Lとして加算部36から出力される。これによって、周波数変換部40を介して電力増幅器12に出力される信号の、平均電力に対する最大瞬時電力の比を小さくすることができるため、電力増幅器12の出力信号の歪み成分を増加させることなく電力増幅器12の電力効率を高めることができる。
また、信号分解部26および直交検波部30−1〜30−nは、要求される波形品質が高いディジタル変調信号に対応するベースバンド分解信号ほどその振幅が小さくなるよう、ピーク信号PSをベースバンド分解信号BP1〜BPnに分解する。これによって、要求される波形品質が高いディジタル変調信号は、フィルタ32−1〜32−nによる周波数帯域制限、補正信号Δの複合信号Cへの加算等による波形品質の劣化を受け難くなるという効果が得られる。
なお、分解係数α1〜αnの値をすべて等しい値1/nとし、振幅が均一になるようピーク信号PSをベースバンド分解信号BP1〜BPnに分解することとすれば、送信されるディジタル変調信号DDM1〜DDMnに対する波形品質の劣化を均一にすることができる。
本発明の実施形態に係る送信装置の構成を示す図である。 複合信号Cおよびピーク信号PSを示す図である。 信号をベクトルで示した図である。 送信装置の構成を示す図である。
符号の説明
10 信号生成部、12 電力増幅器、14 アンテナ、16 ディジタル信号生成部、18 IQ信号生成部、20 直交変調部、22 搬送波生成部、24 ピーク信号抽出部、26 信号分解部、28 分解係数生成部、30−1〜30−n 直交検波部、32−1〜32−n フィルタ、34 変調合成部、36 加算部、38 遅延部、40 周波数変換部、100,102 送信装置。

Claims (3)

  1. 複数の変調信号を含む複合信号から、当該複合信号の絶対値を所定の閾値以上とする成分を抽出し、閾値以上信号として出力する信号抽出部と、
    前記閾値以上信号を、前記複合信号に含まれる変調信号の数と同一の数の信号に分解し、複数の分解信号として出力する信号分解部と、
    前記複数の分解信号のそれぞれに対し周波数帯域制限を施して出力する周波数帯域制限部と、
    前記周波数帯域制限部によって周波数帯域制限が施された前記複数の分解信号を合成し、前記複合信号から減算して出力する再生部と、
    を含むことを特徴とする振幅制限装置。
  2. 請求項1に記載の振幅制限装置であって、
    前記信号分解部は、
    前記複数の分解信号のそれぞれの大きさの比が、前記複数の変調信号のそれぞれに対して要求される波形品質に基づいて定められた比と一致するよう、前記閾値以上信号を分解することを特徴とする振幅制限装置。
  3. 請求項2に記載の振幅制限装置であって、
    前記波形品質は、ディジタル変調信号に対して定義される、振幅および位相の誤差で表されることを特徴とする振幅制限装置。
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