JP2007272706A - 工具経路の決定方法及び加工方法 - Google Patents

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平三郎 中川
Yoshiaki Kakino
義昭 垣野
Susumu Nishida
晋 西田
Hisashi Otsubo
寿 大坪
Makoto Fujishima
誠 藤嶋
Masatoyo Sogabe
正豊 曽我部
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Abstract

【課題】表面の精度及び品位が良好な加工製品を、仕上げ加工を必要とせずに高能率にて製造することができる工具経路の決定方法及び加工方法を提供する。
【解決手段】直線部6a,6b及び曲線部6cを含んで定義された輪郭形状を加工する回転工具の送り経路を決定する際に、輪郭形状中の曲線部6cを、夫々の始点及び終点と、これらの間に設定された複数の指標点とによって定義される4次以上の連続関数による近似曲線6dに置き換え、この近似曲線6dと直線部6a,6bとにより定義される輪郭形状に対して送り経路を決定する。
【選択図】図7

Description

本発明は、回転砥石、エンドミル等の軸回りに回転する回転工具の送り経路を、被加工物の輪郭形状に応じて、該送り経路の各部での送り速度を含めて決定する工具経路の決定方法及び加工方法に関する。
各種工業製品の複雑な輪郭形状の創成加工は、自動車用のオーバヘッドカムに代表される大量生産品を除いて、回転砥石、エンドミル等の軸回りに回転する回転工具を備えるNC(Numerical Control)工作機械を使用し、まず、対象となる輪郭形状に応じて、使用工具、加工手順、夫々の手順における作業内容を定める工程設計を行い、次いで、この工程設計の結果に従って回転工具の送り経路(工具経路)を、経路上の各部での送り速度を含めて決定し、この結果に応じて作成されたNCプログラムに従うサーボ制御により、決定された工具経路に倣って回転工具を送り移動させてなされる。
本願出願人等は、エンドミルを工具として用いるNC工作機械を対象として、前述した工具経路の決定からNCプログラムの作成までの工程を自動的に行わせる方法を先に提案している(例えば、特許文献1参照)。この方法は、工程設計の結果として定められた加工手順の夫々を複数用意された固定サイクルに置き換え、夫々の固定サイクル内にて仮定された工具経路上にてエンドミルに加わる切削抵抗を予測し、この予測値が適正値に収束する工具経路を夫々の送り速度を含めて決定する方法であり、この方法によれば、エンドミルの損傷、摩耗を低減しながら、高い加工能率と高い加工精度とを両立し得るNCプログラムを、オペレータの経験に頼ることなく、また煩雑な作業を要求されることなく作成することができる。
特開2003−263208号公報
以上の如きNCプログラムの作成方法は、ジグ研削盤、グラインディングセンタ等、軸回りに回転する回転砥石を工具として用いるNC工作機械においても同様に適用することができるが、この場合、研削加工された加工面の一部、具体的には、輪郭形状を構成する直線部と曲線部との継ぎ目に、工具送りの方向と略直交する方向に延びる段差、所謂、すじ目が生成され、加工面の精度及び品位の低下を招来するという問題がある。
図11は、すじ目の生成メカニズムの説明図であり、2つの直線部6a,6bとこれらを連絡する曲線(円弧)部6cとを備える輪郭形状6を、この輪郭形状6に沿って図中に2点鎖線により示す如く設定された工具経路7に倣って移動する回転砥石Gによって研削加工している状態が示されている。
図11(a)には、直線部6aの研削加工中の状態が示されている。この場合、実際の加工がなされる直線部6aとの接触部位における回転砥石Gの移動速度U0 は、工具経路7上に設定された送り速度Uと等しい。一方図11(b)には、曲線部6cの研削加工中の状態が示されている。この場合、曲線部6cとの接触部位における回転砥石Gの移動速度U1 は、工具経路7上に設定された送り速度Uよりも小さく、図示のように曲線部6cの曲率がRw であり、回転砥石Gの半径がRt である場合、曲線部6cにおける回転砥石Gの移動速度U1 は、送り速度UのRw /(Rw +Rt )倍となる。
特許文献1に記載されたNCプログラムの作成方法を採用した場合、工具経路7の各部における送り速度Uが回転砥石Gに加わる研削抵抗を一定化すべく決定されるため、曲線部6cでの送り速度Uは、直線部6a、6bでの送り速度Uよりも大きく設定される。しかしながら、図11に示す輪郭形状6を連続して加工する場合、直線部6a,6bと曲線部6cとの継ぎ目において送り速度Uの追随変化に遅れが生じ、回転砥石Gに加わる研削抵抗が急変する部分が生じる。
図12及び図13は、図11に示す輪郭形状の研削加工中に回転砥石Gに加わる力の変化の様子を示す図であり、図の縦軸は、回転砥石Gに加わる背分力Fn (加工面と直交する向きに加わる反力)を、横軸は研削加工位置を夫々示している。
図12は、工具経路7上の各部での回転砥石Gの送り速度Uを一定とした場合の結果を示している。この場合の背分力Fn は、直線部6aから曲線部6cへの移行部において急減し、曲線部6cの加工中は低レベルに保たれて、曲線部6cから直線部6bへの移行部において再度急増して元に戻る変化態様を示す。
図13は、特許文献1に記載された方法に従って、研削抵抗を一定化すべく工具経路7の各部での送り速度Uを定めた場合の結果を示している。この場合、曲線部6cにおける背分力Fn は、直線部6a,6bにおける背分力Fn と略同一レベルとなるが、直線部6aと曲線部6cとの継ぎ目に背分力Fn の急減部が生じ、また曲線部6cと直線部6bとの継ぎ目に背分力Fn の急増部が生じている。
このような背分力Fn の急変により回転砥石Gは、軸の撓みを伴って加工面から接離する方向に振動することとなり、この間の実質的な研削量が周期的に変動する結果として前述したすじ目が生成される。図14及び図15は、すじ目の生成態様の説明図であり、直線部(Straight part)と曲線部(Curved part)とを有する工作物(Workpiece)の研削加工面にレーザ(Laser)光を照射して反射光を撮像したものである。
図14は、送り速度Uを一定として研削された加工面を対象とした場合の結果であり、直線部と曲線部との間に反射光が存在しない暗部が明瞭に現れており、この部分に段差(すじ目)が生じていることがわかる。図15は、特許文献1に記載された方法に従って送り速度Uを設定して研削された加工面を対象とした場合の結果であり、本図においても直線部と曲線部との間に暗部が現れており、段差(すじ目)が生じていることがわかる。
このように発生するすじ目は、金型等、加工面の精度及び品位が重視される加工製品においては有害であり、すじ目を除去するために、例えば、同一の経路に沿って回転砥石Gを移動させ、加工面との間に火花が発生しなくなるまで複数回の研削を繰り返す仕上げ研削、所謂、スパークアウト研削を強いられることとなり、この研削工程の追加が加工能率の低下を招来するという問題がある。
このようなすじ目の発生は、直線部と曲線部との継ぎ目の前後に送り速度を減じる減速区間を設けることにより緩和することができるが、対象となる輪郭形状の全般に亘って多数存在する該当部位の全てに対して減速区間を設けることは、加工に要する時間の大幅な増加を招来することとなり、望ましい対策ではない。
なお以上の如きすじ目の発生要因となる工具の撓みは、エンドミルを回転工具とする切削加工においても全く同様に生じることから、表面の精度及び品位が要求される輪郭形状を、エンドミルを用いて切削加工する場合にも同様の対策が必要となる。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、加工表面の精度及び品位が要求される加工製品を、仕上げ加工を必要とせずに高能率にて製造することができる工具経路の決定方法及び加工方法を提供することを目的とする。
本発明に係る工具経路の決定方法は、複数の直線部及び曲線部を含んで定義された輪郭形状を、軸回りに回転する回転工具により一定の抵抗下にて研削又は切削加工すべく、前記回転工具の送り経路を送り速度を含めて定める工具経路の決定方法において、前記曲線部を、夫々の始点及び終点と、これらの間に設定された複数の指標点とによって定義される4次以上の連続関数により近似し、得られた近似曲線に対して前記送り経路を定めることを特徴とする。
本発明においては、回転砥石、エンドミル等の回転工具を用いて複数の直線部及び曲線部を含んで定義された輪郭形状を加工する際に、複数の曲線部の一部又は全部を、4次以上の連続関数により近似され、曲率の変化が連続的となる近似曲線に置き換え、この近似曲線をも含めて定義される輪郭形状に対して前記回転工具を送り移動させるべき工具経路を定める。
また本発明に係る工具経路の決定方法は、前記連続関数による近似は、前記曲線部の夫々に許容される形状誤差の範囲内にて行うことを特徴とする。
この発明においては、近似曲線により置き換える曲線部を、形状誤差の許容程度が大きい部位に限定し、形状精度の低下を防止する。
更に本発明に係る加工方法は、軸回りに回転する回転工具により複数の直線部及び曲線部を含んで定義された輪郭形状を加工する加工方法において、本発明に係る工具経路の決定方法により送り速度を含めて決定された工具経路に倣って前記回転工具を送り移動させ、前記複数の曲線部の一部又は全部を、前記近似曲線に置き換えた形状に加工することを特徴とする。
この発明においては、輪郭形状中の曲線部を、曲率変化が連続的となる近似曲線に置き換えて決定される工具経路に倣って回転工具を送り移動させ、該回転工具に加わる力の急変に起因するすじ目の発生を防止して、表面の精度及び品位が良好な加工製品を高能率にて製造する。
本発明に係る工具経路の決定方法においては、輪郭形状に含まれる曲線部を4次以上の連続関数により近似される近似曲線に置き換え、置き換え後の形状に従って工具経路を決定するから、直線部と曲線部との継ぎ目における曲率の変化が連続的となり、回転工具に加わる力の急変を防止して、すじ目の発生を抑制して、加工表面の精度及び品位を良好に保って加工を行わせることができ、また近似曲線による近似を、形状誤差の許容範囲内にて行うから、形状精度の低下をも防止することができる。
また本発明に係る加工方法においては、曲線部の一部又は全部を近似曲線により置き換えて決定された工具経路を採用するから、回転工具に加わる力の急変を防止することができ、この急変に起因するすじ目の発生を未然に防止し、加工表面の精度及び品位が良好な加工製品を高能率に加工することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る工具経路の決定方法(以下本発明方法という)の実施に用いる工程設計システムを備えるNC工作機械の構成を示すブロック図である。図示の如く工程設計システム1は、演算処理部としてのCPU(Central Processing Unit)10、工程設計の実施手順を記憶させてあるROM(Read Only Memory)11、工程設計の実施に必要な各種の変数値(初期設定される値、演算途中の値を含む)を一時記憶するRAM(Random Access Memory)12、工程設計の実施に際して参照されるデータベース13、及び入出力インタフェース14を備えるコンピュータとして構成されており、キーボード、マウス等の入力操作部15をオペレータによる操作可能に備え、また、工程設計の各段階における各種の表示を行わせるべく、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示部16を備えている。
NC工作機械2は、基台としてのベッド20上に水平面内にて互いに直交する2方向(X方向及びY方向)への移動自在に支持された加工テーブル21と、前記ベッド20の一側に立設されたコラム22に加工テーブル21の上方に面して鉛直方向(Z方向)への移動自在に支持された加工ヘッド23とを備えており、該加工ヘッド23から垂下された主軸24の下端に、適宜の取付け手段を介して工具としての回転砥石Gは、加工ヘッド23から垂下された着脱自在に取り付けてある。
加工テーブル21は、テーブル送りモータM1 ,M2 により駆動される送りねじ軸(図示せず)の回転に応じて、X,Y両方向に送り移動せしめられ、また加工ヘッド23は、工具送りモータM3 により駆動される送りねじ軸(図示せず)の回転に応じて、Z方向に送り移動せしめられる。更に主軸24は、加工ヘッド23の上部に取り付けた主軸モータM4 に連結されており、該主軸モータM4 の回転に応じて、下端に取付けられた回転砥石Gと共に軸回りに回転駆動されるようになしてある。
以上の如く構成されたNC工作機械2は、加工テーブル21上に被加工物5を位置決め固定し、加工ヘッド23の主軸24に回転砥石Gを取り付けた後、この回転砥石Gを、主軸モータM4 により回転駆動し、またテーブル送りモータM1 ,M2 の回転によるX,Y方向の送りと、工具送りモータM3 の回転によるZ方向の送りとにより、加工テーブル21上の被加工物5に対して予め数値指定された送り経路に沿って送り移動させて、前記被加工物5に所定の加工を施すべく使用される。
この加工に必要な回転砥石Gの送り経路を示すNCプログラムは、工程設計システム1において作成され、入出力インタフェース14を介してサーボ制御部3に与えられている。サーボ制御部3は、工程設計システム1から与えられるNCプログラムに沿って回転砥石Gを送り動作させるべく、テーブル送りモータM1 ,M2 、工具送りモータM3 及び主軸モータM4 を制御する動作をなす。
また図1に示す工程設計システム1は、CAD(Computer-Aided Design)システム4にオンライン接続されている。CADシステム4においては、被加工物5の加工によって得るべき加工製品の設計が行われており、この設計の結果としてCADシステム4から出力される加工製品及び被加工物5の形状データは、入出力インタフェース14を介して工程設計システム1に与えられている。
工程設計システム1においては、CADシステム4から与えられる形状データを用い、被加工物5の加工手順を定める工程設計が行われる。この工程設計は、夫々の手順において使用工具を選定し、作業内容を定め、CL(Cutter Location)データを作成するまでの過程を含んでいる。更に工程設計システム1においては、以上の如き工程設計の結果と、入力操作部15の操作により入力される加工条件とに基づいてNCプログラムの作成が行われる。
なお、図1においては、工程設計システム1とサーボ制御部3及びCADシステム4との間の情報の授受をオンラインにて行わせる構成としてあるが、これらをオフラインに構成し、相互間の情報の授受を、磁気ディスク、光ディスク等の適宜の記録媒体を介して行わせることも可能である。また、工程設計システム1をCADシステム4に含めて構成し、加工製品の形状設計から、工程設計を経てNCプログラムを作成するまでの過程を一貫して行わせるようにしてもよい。
工程設計システム1による工程設計は、例えば、本願出願人等による特願2004−307397号に記載された手順にて行われ、この手順の最後になされる工具経路の決定、即ち、CLデータの作成において本発明方法が適用される。
工程設計システム1は、まず、CADシステム4から与えられる被加工物5の加工前後の形状データを用い、両者の形状差から加工領域を抽出した後、抽出された加工領域を加工するための加工フィーチャを、その実行順を含めて選択し、選択された加工フィーチャの夫々に予め定めた固定サイクルを割付けて細分化する手順を、例えば、加工コスト及び時間を最小とする加工フィーチャ及び固定サイクルの組み合わせが得られるまで繰り返す。
特願2004−307397号に記載されているように、加工フィーチャは、段加工、溝加工、ポケット加工等、予め設定された定形の加工形態である。同じく固定サイクルは、加工前後の形状に応じて工具経路を一義に決定することができ、加工条件に応じて研削量及び送り速度を設定することによりNCプログラムの作成をなし得る加工サイクルである。これらは、データベース13に予め登録しておき、前述した工程設計に使用される。
以上の手順により最適な加工フィーチャ及び固定サイクルの組み合わせを選定した後、工程設計システム1は、夫々の固定サイクルにおいて加工すべき輪郭形状の夫々に対し、工具としての回転砥石Gを送り移動させるための工具経路を以下の手順により決定し、CLデータを作成する動作をなす。
前述の如く選定される固定サイクルにおいて、加工すべき輪郭形状は、直線部と曲線部との適宜の組み合わせとし与えられる。このような輪郭形状を研削加工する回転砥石Gの工具経路は、該回転砥石Gの回転中心の移動経路であり、前記図11に示すように、輪郭形状6を構成する直線部6a,6b及び曲線(円弧)部6cの夫々に対し、より詳しくは、夫々に一定の研削量を付加した輪郭形状に対し、回転砥石Gの半径分だけ離れた位置に沿うように工具経路7が設定される。
ところがこのように設定される工具経路7に沿って回転砥石Gを送り移動させて研削加工を実施した場合、直線部6aと曲線部6cとの継ぎ目及び曲線部6cと直線部6bとの継ぎ目において、前述したように回転砥石Gに加わる背分力Fn が急変し、すじ目が生成されるという問題がある。
ここで研削加工中の回転砥石Gに加わる背分力Fn (N)は、下記(1)式を用いて、99%以上の信頼度を有して求めることができる。
Figure 2007272706
(1)式の第1項は、研削面からの作用力による抵抗値であり、第2項は、研削加工時に供給される研削液(クーラント)の動圧による抵抗値である。また式中のkn は、比研削抵抗、ρは、相当曲率、vは、研削速度(=回転砥石の周速−送り速度)、v0 は、基準研削速度、Δは、砥石切り込み量(研削量)、kc は、クーラント動圧係数、Bは、研削幅であり、α、β及びγは、予め与えられる係数である。
なお、(1)式による背分力Fn の算出は、回転砥石Gと同様に、軸回りに回転しつつ予め設定された送り経路に沿って移動せしめられて切削加工を行うエンドミルにおいても実施可能である。この場合、クーラントの動圧による抵抗値を示す第2項は無視できる程度に小さくなる。
(1)式中の相当曲率ρは、前記図11に示すように、半径Rt の回転砥石Gを用いて半径Rw の円弧形の曲線部6cを研削加工する場合、
ρ=1/Rt ±1/Rw …(2)
により与えられる。この式中の±は、図11に示すように曲線部6cの外側を研削対象とする外側研削の場合に“+”となり、内側研削の場合に“−”となる。
直線部6a,6bは、半径Rw が無限大の円弧であるから、(2)式の第2項は、“0”となり、(2)式により与えられる相当曲率ρ、及びこの相当曲率ρを含む(1)式により与えられる背分力Fn は、直線部から曲線部への移行部において急変することとなる。
図2は、直線部から曲線部への移行部における相当曲率ρ及び背分力Fn の変化の様子の説明図であり、(a)は、外側研削の場合を、(b)は、内側研削の場合を夫々示している。図3は、図11に示す輪郭形状6を研削加工する際の背分力Fn を(1)式により算出した結果を示す図である。
以上のように回転砥石Gに加わる背分力Fn の急変は、直線部と曲線部との継ぎ目において相当曲率ρが実質的に不連続に変化することにより生じ、このような急変は、円弧以外の一般的な曲線部と直線部との継ぎ目においても同様に発生し、このような背分力Fn の急変が前述したすじ目の生成要因となる。
本発明方法においては、以上の如きすじ目の生成を防止するため、まず輪郭形状6を構成する曲線部6cを、前後の直線部との間にて相当曲率の変化が実質的に連続して生じる近似曲線6dに置き換え、置き換えられた近似曲線6dを基準として工具経路7を設定する。この目的を達成するための近似曲線6dは、4次以上の連続関数、例えば、ベジェ(Bezier)関数、スプライン関数、NURBS(Nonuniform Rational B-Splines)関数を用いて定義される。
n次のベジェ関数は、媒介変数t(0≦t≦1)を含む下式により記述される関数であり、4次(n=4)のベジェ関数を用いる場合、始点Q0 及び終点Q4 と共に、これらの間に3つの指標点Q1 ,Q2 ,Q3 を設定することにより、始点Q0 と終点Q4 とを連絡する滑らかな曲線を定義することができる。
Figure 2007272706
図4は、ベジェ関数による近似曲線の一例を示す図であり、図示のXY平面上において始点Q0 (0,1)及び終点Q4 (1,0)を設定し、更に、これらの間に3つの指標点Q1 ( 0.8、1)、Q2 ( 0.8,0.8 )、Q3 (1,0.8 )を設定することにより、半径0.3の円弧を近似する図示のようなベジェ曲線が生成される。
図5は、図4に示すベジェ曲線の曲率Rと媒介変数tとの関係を示す図である。図4に示すベジェ曲線は、単純な近似であり、円弧の近似は不十分であるが、図5に示すように曲率の変化を連続的なものとすることができる。
図6は、本発明方法による工具経路の決定手順を示すフローチャートである。この手順は、工程設計システム1により、より詳しくは、工程設計システム1のCPU10の動作により、前述した工程設計により直線部及び曲線部の組み合わせとして与えられる輪郭形状の全般に亘って実施され、まず、輪郭形状中に存在する曲線部のうちから、近似曲線への置き換えを行う曲線部を選定する(ステップ1)。
この選定は、置き換え可能な曲線部の全てに対して予め定めた選定基準を適用し、この選定基準を満たす曲線部のみを抽出する手順にて行わせることができる。また、適宜の選定基準を満たすか否かによって予備選択を実施し、予備選択された曲線部を前記表示部16に順次表示させて、この表示に従って前記入力操作部15を操作するオペレータの介入により最終的な選定を行わせるようにしてもよく、更には、置き換え候補となり得る曲線部の全てを表示させ、オペレータによる選定に全面的に委ねることもできる。
ここで選定される曲線部は、角部又は隅部に設けられる面取り用の円弧部等、厳密な形状精度が要求されない曲線部であり、確実で漏れのない選定を行わせるためには、入力操作部15を操作するオペレータの適宜の介入を含めるのが望ましい。
以上の選定を終えた後、工程設計システム1は、選定された曲線部の夫々を近似曲線に置き換える(ステップ2)。この置き換えは、前述の如く、ベジェ(Bezier)関数、スプライン関数、NURBS関数等の4次以上の連続関数を用いて実施する。この置き換えのためには、始点及び終点と、これらの間に必要数の指標点とを設定する必要があるが、始点及び終点は、対象となる曲線部の開始点及び終了点をそのまま設定するか、又はこれらの開始点及び終了点の前後に予め定めた基準に従って設定すればよく、また指標点は、先に定められた始点及び終点、並びに対象となる曲線部の形状に応じて予め定めた基準に従って設定すればよい。
このような始点、終点及び指標点の設定は、工程設計システム1、具体的には、CPU10の所定の手順に従う動作により実現され、ステップ2においては、設定された各点を用いた4次以上の連続関数の演算により、対象となる曲線部を置き換えるための近似曲線が生成される。次いで工程設計システム1は、このように生成された近似曲線を対象となる曲線部と比較し、近似の良否を判定する(ステップ3)。
この判定は、例えば、近似前後の曲線間に実際に生じている形状誤差を全体に亘って調べ、この形状誤差が予め与えられた許容誤差範囲内にあるか否かを調べることによりなされる。また.近似前後の曲線を前記表示部16に重ねて表示させ、この表示を視認したオペレータにより良否の判定を行わせるようにしてもよい。
図7は、面取り用の円弧部と近似曲線とを重ね表示した表示例を示す図である。図中に破線により示す近似曲線6dは、同じく実線により示す曲線部6cと良好に一致するが、前後の直線部6a,6bとの継ぎ目の近傍においてわずかな形状誤差を有する曲線となっている。表示部16におけるこのような表示を視認したオペレータは、形状誤差の程度を目視により確認し、許容可能か否かに応じて入力操作部15を操作することにより良否の判定を行う。
ステップ3において近似が良好ではないと判定された場合(ステップ3:NO)、ステップ2に戻って新たな近似曲線の生成がなされる。この生成は、始点と終点との間の指標点の変更、近似に用いる連続関数の係数の変更等、演算条件を変えて行われる。
またステップ3において近似が良好であると判定された場合(ステップ3:YES)には、ステップ1において選定された曲線部の全てに対して近似曲線への置き換えが終了したか否かを判定し(ステップ4)、置き換えがなされていない曲線部が存在する場合(ステップ4:NO)にはステップ2に戻り、残りの曲線部に対する近似曲線の生成を行う。
全ての曲線部に対する置き換えが終了している場合(ステップ4:YES)、工程設計システム1は、置き換えられた近似曲線部、置き換え不可の曲線部、及び直線部により構成された輪郭形状に対して回転砥石Gを送り移動させるべき工具経路を決定し、CLデータを作成して(ステップ5)、本発明方法に係る一連の動作を終了する。
以上のように本発明方法においては、加工対象となる輪郭形状に含まれる曲線部を、ベジェ関数、スプライン関数、NURBS関数等の4次以上の連続関数を用いて生成された近似曲線により置き換え、曲率の変化が連続的であるこれらの近似曲線を含む輪郭形状に対して工具経路を決定するから、この工具経路に沿って送り移動せしめられる回転砥石Gの相当曲率ρが不連続な変化する部分を削減することができる。これにより、回転砥石Gに加わる抵抗(背分力Fn )の急変が緩和され、この急変に起因して研削加工面に残されるすじ目の発生を抑制することができ、加工表面の精度及び品位が高レベルにに保たれた加工製品を、スパークアウト研削等の仕上げ研削を要さずに高能率に製造することが可能となる。
図8は、図11に示す輪郭形状に対し本発明方法により決定される工具経路に従って行われる研削加工中に回転砥石Gに加わる力(背分力Fn )の変化を調べた結果を示す図である。本図に示す如く、直線部と近似曲線部との継ぎ目における背分力Fn の変化量は小さく保たれており、従来の同種の結果を示す図12、13との差異は明らかである。
図9は、本発明方法に従って研削加工された加工面におけるすじ目の生成態様の説明図であり、図14及び図15と同様、直線部(Straight part)と曲線部(Curved part)とを有する工作物(Workpiece)の研削加工面にレーザ光(Laser)を照射して反射光を撮像したものである。
図9においては、直線部と曲線部との間の継ぎ目においても反射光の向きが連続的に変化しており、図14及び図15に示すような暗部が現れておらず、直線部と曲線部との間における段差(すじ目)の生成が軽微に抑えられていることがわかる。
図10は、1/4円弧と近似曲線との形状誤差の一例を示す図である。図の横軸は、円弧の中心角を、縦軸は、夫々の中心角位置での誤差量を夫々示している。本図においては、最大0.1mm程度の形状誤差が生じているが、この誤差は、面取り用の円弧部においては許容可能な誤差である。またこの形状誤差は、前述したように、近似に用いる連続関数の係数の適正な設定により更に小さくすることが可能であり、本発明方法による工具経路の決定方法は、面取り用の円弧部に限らず輪郭形状中に存在する多くの曲線部を対象として実施することができ、夫々の曲線部の周辺でのすじ目の生成が抑制されることから、表面品質の良好な研削加工品を高能率にて製造することが可能となる。
本発明方法の実施に用いる工程設計システムを備えるNC工作機械の構成を示すブロック図である。 直線部から曲線部への移行領域における相当曲率及び背分力の変化の様子を示す説明図である。 図11に示す輪郭形状を研削加工する際の背分力を算出した結果を示す図である。 ベジェ関数による近似曲線の一例を示す図である。 図4に示すベジェ曲線の曲率と媒介変数との関係を示す図である。 本発明方法による工具経路の決定手順を示すフローチャートである。 面取り用の円弧部と近似曲線とを重ね表示した表示例を示す図である。 本発明方法により決定される工具経路に従って行われる研削加工中に回転砥石に加わる力の変化を示す図である。 本発明方法に従って研削加工された加工面におけるすじ目の生成態様の説明図である。 1/4円弧と近似曲線との形状誤差の一例を示す図である。 すじ目の生成メカニズムの説明図である。 図11に示す輪郭形状の研削加工中に回転砥石に加わる力の変化の様子を示す図である。 図11に示す輪郭形状の研削加工中に回転砥石に加わる力の変化の様子を示す図である。 すじ目の生成態様の説明図である。 すじ目の生成態様の説明図である。
符号の説明
1 工程設計システム
5 被加工物
6 輪郭形状
6a,6b 直線部
6c 曲線部
6d 近似曲線
7 工具経路
G 回転砥石
0 始点
1 〜Q3 指標点
4 終点

Claims (3)

  1. 複数の直線部及び曲線部を含んで定義された輪郭形状を、軸回りに回転する回転工具により一定の抵抗下にて研削又は切削加工すべく、前記回転工具の送り経路を送り速度を含めて定める工具経路の決定方法において、
    前記曲線部を、夫々の始点及び終点と、これらの間に設定された複数の指標点とによって定義される4次以上の連続関数により近似し、得られた近似曲線に対して前記送り経路を定めることを特徴とする工具経路の決定方法。
  2. 前記連続関数による近似は、前記曲線部の夫々に許容される形状誤差の範囲内にて行う請求項1記載の工具経路の決定方法。
  3. 軸回りに回転する回転工具により複数の直線部及び曲線部を含んで定義された輪郭形状を加工する加工方法において、
    請求項1又は請求項2に記載の工具経路の決定方法により送り速度を含めて決定された工具経路に倣って前記回転工具を送り移動させ、前記複数の曲線部の一部又は全部を、前記近似曲線に置き換えた形状に加工することを特徴とする加工方法。
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