JP2007271573A - 磁粉探傷装置および磁粉探傷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁粉探傷シートを用いて確実に磁粉探傷を実行し、且つ従来に比べて電磁石の発熱を抑制して作業者の作業効率を向上させることができる磁粉探傷装置、およびそのような磁粉探傷装置を用いて実行する磁粉探傷方法を提供する。
【解決手段】柔軟性のある中空体に磁粉を封入してなる磁粉探傷シート10と、磁粉探傷シート10を検査対象物に接触させた状態で、磁界を作用させて検査対象物を磁化する磁界発生コイル20と、通電状態と非通電状態とが交互に連続する間歇電流を、磁界発生コイルに流す間歇電流発生手段40と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】柔軟性のある中空体に磁粉を封入してなる磁粉探傷シート10と、磁粉探傷シート10を検査対象物に接触させた状態で、磁界を作用させて検査対象物を磁化する磁界発生コイル20と、通電状態と非通電状態とが交互に連続する間歇電流を、磁界発生コイルに流す間歇電流発生手段40と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、柔軟性のある中空体に磁粉を封入してなる磁粉探傷シートと、磁粉探傷シートを検査対象物に接触させた状態で、磁界を作用させて検査対象物を磁化する磁界発生コイルとを備えた磁粉探傷装置、およびそのような磁粉探傷装置を用いて実行する磁粉探傷方法に関する。
ガスプラント設備、各種配管、建築物、航空機等の検査において、初期欠陥や使用中に亀裂等の発生する可能性のある箇所に対して、非破壊検査が行われている。非破壊検査は、設備を解体/復元することなく検査対象物を迅速かつ容易に検査することができるので、分解等をともなう一般の検査方法と比較して、コスト的および時間的に有利であり、各産業界からの需要も大きい。
このような非破壊検査の一つに、磁粉探傷方法(Magnetic Particle Testing;MT)が知られている。磁粉探傷方法は、検査対象物が鉄鋼等の磁性材料である場合、その検査対象物に磁束を印加し、磁束分布の乱れにより、検査対象物表面または表面近傍の異常(例えば、欠陥、傷)や余盛り部分等を検出する方法である。
最も原始的な磁粉探傷方法では、検査対象物に直接磁粉を吹き付け、その状態で磁石により検査対象物を磁化させ、磁粉の形成パターンを読み取るという方法がある(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1の磁粉探傷方法は、磁粉が検査対象物に直接接触するものである。このため、検査対象物の表面状態によっては、傷や欠陥等に応じた磁粉パターンを正確に形成できない場合があった。例えば、検査対象物の表面に塗膜のあれや錆等の異物が存在すると、検査対象物に傷や欠陥等が無かったとしても、そこに磁粉が付着し、疑似模様と呼ばれる磁粉パターンを形成してしまうことがある。疑似模様の発生を防止するために、塗膜や錆を事前に除去しておくことも考えられるが、コストや手間が掛かる。また、このような磁粉を検査対象物に直接吹き付ける方法は、磁粉の回収がほとんど不可能であることから、コスト面だけでなく環境面においても好ましくない。
そこで、磁粉を分散させた分散媒を多数の小室に仕切られた中空シートに封入して磁粉探傷シートを形成し、この磁粉探傷シートを検査対象物に接触させた状態で磁界発生手段である電磁石により当該検査対象物に磁界を作用させ、磁粉パターンを検知する磁粉探傷方法が開発された(例えば、特許文献2を参照)。
ところが、特許文献2の磁粉探傷方法を錆や塗膜の上から適用する場合、錆や塗膜を介して検査対象物に磁界を作用させることから、電磁石と検査対象物との間に比較的大きな間隙が生じ、これによって検査対象物を磁化させる力が弱くなるという問題があった。この問題を解決するためには、電磁石に流す電流を増大したり、一回当たりの検査時間(通電時間)を延長したりすることが考えられる。しかし、いずれの場合も電磁石の発熱が大きくなり、作業に支障が生じることになる。また、電磁石の冷却を待つと作業時間が長くなり、好ましくない。
従って、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、磁粉探傷シートを用いて確実に磁粉探傷を実行し、且つ従来に比べて磁界発生コイルの発熱を抑制して作業者の作業効率を向上させることができる磁粉探傷装置、およびそのような磁粉探傷装置を用いて実行する磁粉探傷方法を提供することにある。
本発明に係る磁粉探傷装置の特徴構成は、柔軟性のある中空体に磁粉を封入してなる磁粉探傷シートと、前記磁粉探傷シートを検査対象物に接触させた状態で、磁界を作用させて前記検査対象物を磁化する磁界発生コイルと、通電状態と非通電状態とが交互に連続する間歇電流を、前記磁界発生コイルに流す間歇電流発生手段と、を備えた点にある。
一般に、磁粉探傷装置において磁界発生コイルに電流を流すと、電流を流している時間(通電時間)に略比例して熱が発生する。従来のように、磁界発生コイルに連続的に電流を流して磁粉探傷を行うと、磁粉探傷装置の温度が次第に上昇し、やがて作業者の手で扱えなくなる程高温になるため、測定に支障が生じることとなる。しかし、本構成の磁粉探傷装置は、間歇電流発生手段を備えており、これを用いて磁界発生コイルに通電状態と非通電状態とが交互に連続する間歇電流を流している。このため、常時通電状態とする連続電流を流す場合よりも単位時間あたりに通電状態となっている通電時間が少なくなり、磁界発生コイルに発生する熱量を低減することができる。
また、上記間歇電流発生手段により磁界発生コイルに間歇電流を流すと、磁粉探傷シートに封入された磁粉に対して、磁界を作用させた状態と作用させない状態とを交互に作り出すことができる。この状態は、磁粉に対してある種の振動エネルギーを与えたのと同じような作用があるため、磁粉の移動が活性化され、1回の磁粉探傷に要する通電時間を短縮することができる。
従って、磁粉探傷装置の温度上昇によって測定を中断せざるを得なくなるような場合がなくなり、作業効率が向上する。
また、上記間歇電流発生手段により磁界発生コイルに間歇電流を流すと、磁粉探傷シートに封入された磁粉に対して、磁界を作用させた状態と作用させない状態とを交互に作り出すことができる。この状態は、磁粉に対してある種の振動エネルギーを与えたのと同じような作用があるため、磁粉の移動が活性化され、1回の磁粉探傷に要する通電時間を短縮することができる。
従って、磁粉探傷装置の温度上昇によって測定を中断せざるを得なくなるような場合がなくなり、作業効率が向上する。
本発明の磁粉探傷装置では、前記間歇電流における通電状態のデューティー比を変更する比率変更手段を備えることも可能である。
本構成の磁粉探傷装置においては、比率変更手段により間歇電流における通電状態のデューティー比を変更することができるので、検査対象物の状態等に応じて最適な測定条件を設定することができる。例えば、磁粉が良好に移動し得る範囲内でデューティー比をできるだけ小さくして、磁界発生コイルの発熱を最小限に抑制することができる。
本発明の磁粉探傷装置では、前記間歇電流における一の通電状態の開始時から連続する一の非通電状態の終了時までの通電周期を変更する周期変更手段を備えることも可能である。
本構成の磁粉探傷装置においては、周期変更手段により間歇電流における一の通電状態の開始時から連続する一の非通電状態の終了時までの通電周期を変更することができるので、磁粉に良好な振動エネルギーを与えることができるように、検査対象物の状態等に応じて最適な測定条件を設定することができる。
本発明に係る磁粉探傷方法の特徴構成は、柔軟性のある中空体に磁粉を封入してなる磁粉探傷シートを検査対象物に接触させた状態で、磁界発生コイルを用いて前記検査対象物を磁化する磁化工程と、前記磁化された検査対象物に対応して前記磁粉探傷シートに現れた磁粉パターンを検知する検知工程と、を包含し、前記磁化工程において、通電状態と非通電状態とが交互に連続する間歇電流を、前記磁界発生コイルに流す点にある。
本構成の磁粉探傷方法は、上述した磁粉探傷装置により実行されるものであり、同様の作用効果を奏する。すなわち、本構成の磁粉探傷方法では、柔軟性のある中空体に磁粉を封入してなる磁粉探傷シートを検査対象物に接触させた状態で、磁界発生コイルを用いて検査対象物を磁化する磁化工程において、通電状態と非通電状態とが交互に連続する間歇電流を、磁界発生コイルに流しているので、磁界発生コイルに発生する熱量を低減することができる。
また、上記のような間歇電流を磁界発生コイルに流すと、磁粉探傷シートに封入された磁粉に対して、磁界を作用させた状態と作用させない状態とを交互に作り出すことができる。この状態は、磁粉に対してある種の振動エネルギーを与えたのと同じような作用があるため、磁粉の移動が活性化され、1回の磁粉探傷に要する通電時間を短縮することができる。
従って、磁粉探傷装置の温度上昇によって測定を中断せざるを得なくなるような場合がなくなり、作業効率が向上する。
また、上記のような間歇電流を磁界発生コイルに流すと、磁粉探傷シートに封入された磁粉に対して、磁界を作用させた状態と作用させない状態とを交互に作り出すことができる。この状態は、磁粉に対してある種の振動エネルギーを与えたのと同じような作用があるため、磁粉の移動が活性化され、1回の磁粉探傷に要する通電時間を短縮することができる。
従って、磁粉探傷装置の温度上昇によって測定を中断せざるを得なくなるような場合がなくなり、作業効率が向上する。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施の形態および図面に記載される構成に限定されるものではない。
図1は、本発明の磁粉探傷装置100の概略構成を示した斜視図である。また、図2は、図1の磁粉探傷装置100の概略側面図である。
磁粉探傷装置100は、柔軟性のある中空体に磁粉を封入してなる磁粉探傷シート10と、この磁粉探傷シート10を検査対象物Mに接触させた状態で、磁界を作用させて検査対象物Mを磁化する磁界発生コイル20とを備えている。磁粉探傷装置100は、磁性体(例えば、鉄製の管部材)を検査対象物Mとしている。磁粉探傷装置100は、検査対象物Mの表面を検査し、異常(例えば、図2に示されるクラックC)や溶接箇所の余盛り部分(例えば、図2に示される凸部D)を検出することができる。
図3は、磁粉探傷シート10の一例を示す。図3の(a)は磁粉探傷シート10の断面図、(b)は磁粉探傷シート10の一部切欠き平面図である。
磁粉探傷シート10は袋状の中空体であり、柔軟性のある表面材1、裏面材2、および空間維持手段3等を備えている。表面材1は光透過性を有しており、例えば、可視光を透過する透明な可撓性樹脂フィルムで構成することができる。裏面材2は、少なくともその周縁部が表面材1と貼り合わされて、表面材1との間に閉空間を規定する。表面材1と裏面材2との貼り合わせは、接着剤や熱融着によって行うことができる。この閉空間には磁粉Pが任意の流体と混合された状態で封入され、さらに、空間維持手段3が設けられて所定の厚みdを維持している。空間維持手段3は、例えば、織物、編物、不織布、または紙で構成される。空間維持手段3の厚みdは、通常、磁粉Pの粒子径よりも十分に大きいので、磁粉Pは、磁粉探傷シート10の閉空間中で自由に移動することができる。つまり、空間維持手段3は、磁粉Pの自由な移動を許容し、かつ、磁粉Pを磁粉探傷シート10の内部空間全体に分散させるように機能する。従って、検査対象物Mの表面の異常や余盛り部分等に起因して生じた漏洩磁束の発生箇所が、磁粉探傷シート10上のいかなる場所にあっても、磁粉探傷シート10中の磁粉Pは、鮮明な磁粉形成パターンを形成することができるのである。このように、本実施形態の磁粉探傷シート10を用いると、検査対象物Mの表面の異常や余盛り部分等に対する高い検出精度を維持することができる。特に、空間維持手段3が編物である場合は、磁粉Pが編物の繊維構造の間をスムーズに移動することができるので、より鮮明な磁粉形成パターンが得られ、検出精度がさらに良好となる。また、裏面材2の色は、磁粉P(これは、一般に黒色である)を識別できる色であれば、任意の色のものを用いることができる。例えば、白色、赤色、蛍光色等であれば、磁粉Pの色とのコントラストがより明瞭になるので好ましい。
表面材1および裏面材2の厚みは、0.02〜0.5mm程度のものが好ましく使用される。表面材1は、シート内部の磁粉Pの形成パターンを読み取るために光透過性を有することが必須であるが、全くの無色透明である必要はなく、磁粉形成パターンの読み取りに支障がなければ多少着色していてもよい。裏面材2は、光透過性であってもよいし、光透過性でなくてもよい。すなわち、裏面材2は、透明または着色樹脂フィルムを用いることができる。表面材1および裏面材2の材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等を採用することができる。また、裏面材2は、樹脂フィルムに代えて、例えば、難磁性のオーステナイトステンレス鋼の箔を使用することも可能である。
空間維持手段3は、例えば、素線3aの直径が0.01〜1mm程度のナイロン繊維等の合成繊維を縦糸と横糸に用いて、一辺が0.1〜10mm程度となるサイズのメッシュ(開口)を形成し、かつ、厚みが0.01〜3mm程度の織物を、磁粉探傷シート10の閉空間と略同一サイズに裁断したものを使用することができる。
磁粉Pは、粒子径が0.1〜100μmとなる磁性体を採用することができる。磁性体としては、鉄、ニッケル、マグネタイト、ガンマ・ヘマタイト等を用いることができる。また、検査対象物Mから漏洩した磁束によって形成する磁粉形成パターンを容易に認識することができるように、磁粉Pには蛍光物質等をコーティングしてあってもよい。また、磁粉Pの形状は球形に限らず、非球形であってもよい。磁粉Pが非球形である場合、その粒子径は、最大寸法となる部位のサイズを示す。
磁粉Pと混合する流体は、それと接触する表面材1、裏面材2、空間維持手段3、および磁粉Pと反応しない物質であればよく、例えば、水、灯油等を用いることができる。
磁粉探傷シート10を検査対象物Mに対して確実に接触させるために、押圧手段30が用いられる。押圧手段30は、図2に示すように、圧着部材30a、圧着板30b、付勢部材30c等で構成される。圧着部材30aは、例えば、0.1〜0.5mm程度の厚みを有する柔軟で透明な樹脂フィルムを袋状に成型したバッグに、ポリビニルアルコールと硼砂とを混合してなるゲル状(スライム状)物質や水等を充填した充填バッグとして構成してもよいし、柔軟に変形し得るゲル状体(例えば、ポリエチレンとスチレンとを共重合させた網状物質を油でゲル化させたもの)をそのまま圧着部材30aとして用いてもよい。圧着板30bは、透明性があり硬質で平坦なものであればよく、例えば、透明なガラス板やアクリル樹脂等の樹脂板を用いることができる。付勢部材30cは、バネ部材等の弾性部材であり、磁界発生コイル20と圧着板30bとの間に設けることで、圧着板30bを検査対象物Mの方向に付勢することができる。
磁界発生コイル20は、例えば、検査対象物Mに接触する一対の磁極21a、21bを有する鉄心21に銅等の導線22を巻回して構成されるものである。また、磁界発生コイル20には交流電流を供給するための電源部Eが接続され、さらに本発明の磁粉探傷装置100では、間歇電流を発生させるための間歇電流発生手段40が設けられている。ここで、間歇電流とは、図4の概念図に示すように、通電状態と非通電状態とが交互に連続する電流である。すなわち、間歇的に電流が流れる状態のものをいう。このような間歇電流を磁界発生コイル20に流すことの利点は以下のとおりである。
磁粉探傷装置100の磁界発生コイル20に電流が流れると、その電流が流れている時間(通電時間)に略比例して熱が発生する。従来のように、磁界発生コイル20に連続的に電流を流して磁粉探傷を行うと、磁粉探傷装置100の温度が次第に上昇する。このため、長時間電流を流し続けると、磁粉探傷装置100はやがて作業者が手で扱えなくなる程高温になり、測定に支障を来たす場合がある。そこで、磁粉探傷措置100に設けた間歇電流発生手段40により磁界発生コイル20に間歇電流を流すようにすると、常時通電状態とする連続電流を流す場合と比較して単位時間あたりに通電状態となっている通電時間の割合が少なくなるため、磁界発生コイル20に発生する熱量を低減することができる。
また、上記間歇電流を磁界発生コイル20に流すと、磁粉探傷シート10に封入された磁粉Pに対して、磁界を作用させた状態と作用させない状態とを交互に作り出していることとなる。この状態は、磁粉Pに対してある種の振動エネルギーを与えたのと同じような作用があることから、磁粉Pの移動が活性化され、1回の磁粉探傷に要する通電時間を短縮することができる。なお、磁粉Pの移動が活性化される原理は必ずしも明確ではないが、一つの推測として、それまで静止状態にあった磁粉Pに振動を与えると磁粉Pの表面と周囲の液体との摩擦係数が小さくなり、磁粉Pが移動し易い状態になるためと考えられる。
このように、本発明の磁粉探傷装置100では、磁界発生コイル20に発生する熱量を低減し、且つ1回の磁粉探傷に要する通電時間を短縮することができるので、温度上昇によって作業者が装置を手で扱えなくなるため測定を中断せざるを得なくなるような場合がなくなり、作業効率の向上につながるのである。
また、上記間歇電流を磁界発生コイル20に流すと、磁粉探傷シート10に封入された磁粉Pに対して、磁界を作用させた状態と作用させない状態とを交互に作り出していることとなる。この状態は、磁粉Pに対してある種の振動エネルギーを与えたのと同じような作用があることから、磁粉Pの移動が活性化され、1回の磁粉探傷に要する通電時間を短縮することができる。なお、磁粉Pの移動が活性化される原理は必ずしも明確ではないが、一つの推測として、それまで静止状態にあった磁粉Pに振動を与えると磁粉Pの表面と周囲の液体との摩擦係数が小さくなり、磁粉Pが移動し易い状態になるためと考えられる。
このように、本発明の磁粉探傷装置100では、磁界発生コイル20に発生する熱量を低減し、且つ1回の磁粉探傷に要する通電時間を短縮することができるので、温度上昇によって作業者が装置を手で扱えなくなるため測定を中断せざるを得なくなるような場合がなくなり、作業効率の向上につながるのである。
ところで、上記間歇電流において、単位時間あたりで通電状態となる通電時間と非通電状態となる非通電時間との合計時間のうち通電時間が占める割合をデューティー比といい、間歇電流における一の通電状態の開始時から連続する一の非通電状態の終了時までの周期を通電周期という。これらデューティー比および通電周期に関し、本発明の磁粉探傷装置100では、前記デューティー比を変更する比率変更手段50や、前記通電周期を変更する周期変更手段60を備えることもできる。比率変更手段50および通電周期変更手段60は、図1に示すように間歇電流発生手段40に備えられる構成であってもよいし、それぞれ別個の構成としてもよい。また、比率変更手段50および通電周期変更手段60のうち少なくとも一方を設けてもよいし、両方を同時に設けてもよい。
比率変更手段50および通電周期変更手段60の具体的構成としては、例えば、電源EのON/OFFを切換制御可能な制御部(図示せず)の一機能として実現することが可能である。制御部は専用のCPUであってもよいし、コンピュータのソフトウェアで構築してもよい。さらには、作業者が所定のパターンでスイッチをON/OFF操作する制御、すなわちマニュアル制御を行うことで比率変更手段50および通電周期変更手段60としての機能を実現することも可能である。
比率変更手段50および通電周期変更手段60の具体的構成としては、例えば、電源EのON/OFFを切換制御可能な制御部(図示せず)の一機能として実現することが可能である。制御部は専用のCPUであってもよいし、コンピュータのソフトウェアで構築してもよい。さらには、作業者が所定のパターンでスイッチをON/OFF操作する制御、すなわちマニュアル制御を行うことで比率変更手段50および通電周期変更手段60としての機能を実現することも可能である。
このような比率変更手段50や周期変更手段60を設けることの利点としては、検査対象物Mの状態等に応じて最適な測定条件を設定することができることが挙げられる。例えば、磁粉Pが良好に移動し得る範囲内でデューティー比をできるだけ小さくして、磁界発生コイル20の発熱を最小限に抑制したり、磁粉Pに良好な振動エネルギーを与えたりすることができる。詳細については、後述する磁粉探傷方法において説明する。
実際の測定において使用する具体的な磁粉探傷装置の例を、図5および図6に示す。図5および図6では、間歇電流発生手段40、比率変更手段50、および通電周期変更手段60は図外に設けてあるため表示を省略している。図5の磁粉探傷装置200では、両端部に磁極201を形成することにより「コ」字状となる磁界発生コイル202に対して、付勢部材203を介して透明な圧着体204を支持し、この圧着体204に対して押圧手段205と磁粉探傷シート206とを重ね合わせた状態で支持している。これにより、携帯型の磁粉探傷装置200が構成されている。また、図6の磁粉探傷装置300では、磁粉探傷シート307の観察を容易にするために、両端部に磁極301を有する磁界発生コイル302を含む仮想平面と、圧着体304を含む仮想平面との相対角度θを適切な角度(例えば、約45度)に設定したものである。その他の構成は、基本的には図5の磁粉探傷装置200と同様である。
(磁粉探傷方法)
次に、本発明の磁粉探傷装置100を用いて実施される磁粉探傷方法について説明する。なお、本実施例において使用した磁粉探傷装置の主な仕様は以下のとおりである。
次に、本発明の磁粉探傷装置100を用いて実施される磁粉探傷方法について説明する。なお、本実施例において使用した磁粉探傷装置の主な仕様は以下のとおりである。
〔磁粉探傷装置の仕様〕
電源:100V 50Hz/60Hz
定格電流:7.5A/5.3A(波高値/実効値)
開放磁路での実効電流値(磁粉探傷装置を空中に保持して測定した値):6.34A
巻数:550ターン
電気抵抗:1.2〜1.7Ω
起電力:4700AT
電磁石の吸引力:5kgf以上
鉄芯断面積:20×20mm2
鉄芯中心間距離:130mm
重さ:約2.2kg
電源:100V 50Hz/60Hz
定格電流:7.5A/5.3A(波高値/実効値)
開放磁路での実効電流値(磁粉探傷装置を空中に保持して測定した値):6.34A
巻数:550ターン
電気抵抗:1.2〜1.7Ω
起電力:4700AT
電磁石の吸引力:5kgf以上
鉄芯断面積:20×20mm2
鉄芯中心間距離:130mm
重さ:約2.2kg
初めに予備試験として、従来の通電パターンを適用して磁粉探傷を行い、磁粉探傷装置100の発熱特性を確認した。この予備試験では、錆や塗膜が無い状態であるリフトオフがゼロの場合を想定し、連続電流を流した場合(すなわち、デューティー比を100%とした場合)における磁粉探傷装置の温度変化を測定した。図7に、測定中の磁粉探傷装置100の温度変化を示す。
図7には、通常よく行われている通電パターン(検出時間3秒−休止時間3秒;△印)、およびその他2種類の通電パターン(検出時間5秒−休止時間2秒;○印、検出時間10秒−休止時間10秒;□印)における磁粉探傷装置100の温度変化が示されている。ここで、検出時間とは連続電流を流している時間を意味し、休止時間とは電流が全く流れていない時間を意味する。この休止時間において、磁粉探傷装置100の測定位置を移動したり、冷却を行うことになる。また、図7における使用時間とは、磁粉探傷検査を行っている時間であり、磁粉探傷装置100の電源EがON状態となっている時間とOFF状態となっている時間を累積した時間を意味する。
図7には、通常よく行われている通電パターン(検出時間3秒−休止時間3秒;△印)、およびその他2種類の通電パターン(検出時間5秒−休止時間2秒;○印、検出時間10秒−休止時間10秒;□印)における磁粉探傷装置100の温度変化が示されている。ここで、検出時間とは連続電流を流している時間を意味し、休止時間とは電流が全く流れていない時間を意味する。この休止時間において、磁粉探傷装置100の測定位置を移動したり、冷却を行うことになる。また、図7における使用時間とは、磁粉探傷検査を行っている時間であり、磁粉探傷装置100の電源EがON状態となっている時間とOFF状態となっている時間を累積した時間を意味する。
通常の通電パターンである検出時間3秒−休止時間3秒の試験(△印)では、使用時間5分に達したときに磁粉探傷装置100の温度が約40℃となった。この程度の温度上昇であれば、作業者は装置に触れることができると考えられる。一方、検出時間10秒−休止時間10秒の試験(□印)においても使用時間5分のときの温度は約40℃であり、通常の通電パターンと大きな差は無かった。しかし、ON状態がOFF状態よりも長い検出時間5秒−休止時間2秒の試験(○印)では使用時間5分のときの温度が約50℃にまで上昇し、作業者が装置を手で扱うことが困難になるような状況となった。これらの結果を踏まえると、使用時間5分における磁粉探傷装置100の温度を高くても40℃前後に抑えることができれば、それほど磁粉探傷作業に支障は生じないものと考えられる。
ところが、実際の測定現場では、錆や塗膜の上から検査対象物Mに対して磁粉探傷を行っているため、これに起因して0.4mm程度のリフトオフが存在することとなる。このようなリフトオフのため、検査対象物Mを磁化するのに要する時間が長くなってしまう。例えば、ある測定現場では、金属配管に対して磁粉探傷を行う場合、検出時間をリフトオフがゼロである場合の約3秒よりも長い約10秒程度を確保する必要となる。このとき、使用時間の増加に伴って磁界発生コイルの総発熱量も増加するので、リフトオフゼロの場合の検出時間3秒−休止時間3秒の通電パターンにおける場合と同程度の温度上昇に抑えるためには、冷却のための休止時間として約10秒を設ける必要が生じる。その結果、1回の検査時間は少なくとも約10秒+約10秒=約20秒となり、リフトオフがゼロの場合の1回の検査時間(約6秒)の3倍以上の検査時間を要することになる。
そこで、磁粉探傷装置100の磁界発生コイル20に間歇電流を流すことで、上記問題点が解決される。実施例では、磁界発生コイル20に種々のパターンの間歇電流を流したときの磁粉探傷装置100の温度上昇を測定した。この測定では、以下の式(1):
で求められるデューティー比を変化させ、磁界発生コイル20の温度の経時変化を測定した。なお、間歇電流はその通電周期を1秒に固定したものを使用した。測定結果を表1に示す。
上記測定結果より、デューディー比が50%のとき測定5分後の温度が約40℃となった。このときの検査に必要な検出時間は約6秒である。そうすると、1回の磁粉探傷操作に要する時間はこの検出時間(約6秒)に休止時間(約3秒)を加えた約9秒となり、これは従来の通電パターンで1回の磁粉探傷操作をするときに要する時間(検出時間約10秒と休止時間約10秒との合計約20秒)と比較して、半分以下である。なお、デューティー比が50%よりも小さければ、冷却が行われる休止時間の割合が多くなるので、測定5分後の温度は当然ながら約40℃を下回る結果となっている。
このように、磁界発生コイル20に間歇電流を流せば、常時通電状態とする連続電流を流す場合よりも通電状態となっている通電時間の割合が少なくなるため、磁界発生コイル20に発生する熱量を低減することができ、作業効率が向上する。
また、上記間歇電流を磁界発生コイル20に流すと、磁粉探傷シート10に封入された磁粉Pに対して、磁界を作用させた状態と作用させない状態とを交互に作り出すことができ、この状態は、磁粉Pに対してある種の振動エネルギーを与えたのと同じような作用があるため、磁粉Pの移動が活性化され、1回の磁粉探傷に要する通電時間を短縮することができる。これは、上述したように、それまで静止状態にあった磁粉Pに振動を与えると磁粉Pの表面と周囲の液体との摩擦係数が小さくなり、磁粉Pが移動し易い状態になるためと考えられる。
また、上記間歇電流を磁界発生コイル20に流すと、磁粉探傷シート10に封入された磁粉Pに対して、磁界を作用させた状態と作用させない状態とを交互に作り出すことができ、この状態は、磁粉Pに対してある種の振動エネルギーを与えたのと同じような作用があるため、磁粉Pの移動が活性化され、1回の磁粉探傷に要する通電時間を短縮することができる。これは、上述したように、それまで静止状態にあった磁粉Pに振動を与えると磁粉Pの表面と周囲の液体との摩擦係数が小さくなり、磁粉Pが移動し易い状態になるためと考えられる。
次に、デューティー比を50%に固定し、通電周期を変更して同様の測定を行った。実験では、1回の磁粉探傷操作における検出時間を、通電周期が1秒(0.5秒ON/0.5秒OFF)、2秒(1秒ON/1秒OFF)、4秒(2秒ON/2秒OFF)のそれぞれについて3回測定し、平均値を求めた。また、比較例として、通電周期が無限大である連続通電をした場合も合わせて測定した。測定結果を表2に示す。
上記結果より、通電周期が短いほど平均検出時間も短くて済む傾向が見られた。ただし、従来の連続通電を行うパターンと比較すると、通電周期がある程度長くても間歇電流を使用するのであれば検出時間を短縮できることが判明した。
このように、本発明の磁粉探傷方法によれば、間歇電流における通電状態のデューティー比および通電周波数を自由に変更することができる。これにより、例えば、磁粉Pが良好に移動し得る範囲内でデューティー比をできるだけ小さくして、磁界発生コイル20の発熱を最小限に抑制したり、磁粉Pに良好な振動エネルギーを与えることができるように、周囲温度や検査対象物の状態等に応じて最適な測定条件を設定することが可能となる。その結果、より効率的な磁粉探傷が可能となる。
以上より、本発明の磁粉探傷方法は、磁粉探傷シート10を用いて行うものであるため、クリーン且つ経済的な環境での磁粉探傷を可能としながら、リフトオフが発生しても磁界発生コイル20の発熱量を低減することができるので、従来のように熱によって作業を中断する必要がない優れた方法といえる。
10 磁粉探傷シート
20 磁界発生コイル
40 間歇電流発生手段
50 比率変更手段
60 通電周期変更手段
100 磁粉探傷装置
20 磁界発生コイル
40 間歇電流発生手段
50 比率変更手段
60 通電周期変更手段
100 磁粉探傷装置
Claims (4)
- 柔軟性のある中空体に磁粉を封入してなる磁粉探傷シートと、
前記磁粉探傷シートを検査対象物に接触させた状態で、磁界を作用させて前記検査対象物を磁化する磁界発生コイルと、
通電状態と非通電状態とが交互に連続する間歇電流を、前記磁界発生コイルに流す間歇電流発生手段と、
を備えた磁粉探傷装置。 - 前記間歇電流における通電状態のデューティー比を変更する比率変更手段を備えた請求項1に記載の磁粉探傷装置。
- 前記間歇電流における一の通電状態の開始時から連続する一の非通電状態の終了時までの通電周期を変更する周期変更手段を備えた請求項1または2に記載の磁粉探傷装置。
- 柔軟性のある中空体に磁粉を封入してなる磁粉探傷シートを検査対象物に接触させた状態で、磁界発生コイルを用いて前記検査対象物を磁化する磁化工程と、
前記磁化された検査対象物に対応して前記磁粉探傷シートに現れた磁粉パターンを検知する検知工程と、
を包含し、
前記磁化工程において、通電状態と非通電状態とが交互に連続する間歇電流を、前記磁界発生コイルに流す磁粉探傷方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006100579A JP2007271573A (ja) | 2006-03-31 | 2006-03-31 | 磁粉探傷装置および磁粉探傷方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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---|---|
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ID=38674508
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2007271573A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102292634A (zh) * | 2009-01-22 | 2011-12-21 | 皇家飞利浦电子股份有限公司 | 用于磁性生物传感器设备的混合致动协议 |
CN102947900A (zh) * | 2010-06-22 | 2013-02-27 | 皇家飞利浦电子股份有限公司 | 磁性颗粒及其聚类的检测 |
JP2014047813A (ja) * | 2012-08-30 | 2014-03-17 | Kyocera Document Solutions Inc | 回転規制部材 |
-
2006
- 2006-03-31 JP JP2006100579A patent/JP2007271573A/ja active Pending
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