JP5907759B2 - 磁気探傷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁束密度に対応したパターンを形成する感磁体を封入したシート状又は袋状で柔軟な磁気探傷シートと、前記磁気探傷シートに対して圧力を作用させることにより前記磁気探傷シートを被検査対象に接触させる圧力付与手段と、磁気発生機構とを備え、前記被検査対象に前記磁気探傷シートを接触させた状態において前記磁気発生機構で発生させた磁気を前記被検査対象に作用させることにより前記被検査対象から漏洩する磁束を前記磁気探傷シートの感磁体で捉え、当該感磁体が作り出すパターンに基づいて前記被検査対象の探傷を行うように構成されている磁気探傷装置に関する。
上記のように構成された磁気探傷装置に関連する技術として、2枚の透明シート(本発明の磁気探傷シートに対応)に多数の小室を有し、夫々の小室に対して磁粉を分散させた白色分散媒を封入した磁化シートを構成し、断面「コ」の字状の永久磁石からなる磁化器を有し、この磁化器に対して圧縮コイルばねを取り付け、更に、この圧縮コイルばねの下端に押し付け具(本発明の板状圧着体に対応)を取り付け、この押し付け具で磁化シートを被探傷材に押し付けて密着させるものがある(例えば特許文献1を参照。)。
更に、表面材と裏面材との周部を一体化したシート内に、スペーサを収納すると共に、その内部空間を移動自在に多数の感磁体を封入して構成される磁気探傷シートと、断面「コ」の字状の電磁石からなる磁界発生機構とを備え、この磁界発生機構に対して付勢機構を取り付け、この付勢機構により付勢される板状圧着体と磁気探傷シートとの間に柔軟に変形自在で圧力伝達可能な押圧手段を備えて、磁気探傷を行うものを、発明者らは提案している(例えば特許文献2〜4を参照。)。
また、この磁気探傷装置は、磁気発生機構が、それぞれ一方の端部に磁極が形成される一対の並行ヨーク部と、当該一対の並行ヨーク部の他方の端部同士を連結する連結ヨーク部を有する磁性体からなるコ字形状のヨークを備える。更に、この一対の並行ヨーク部の夫々の基端側に固定されて、付勢機構からの付勢力を受ける板状圧着体を、板状圧着体を前記被検査対象に対して接近及び離間する方向に移動自在な状態で支持する支持機構(特許文献では支持体(20)に設けられた通孔(p)及び圧着体(4)から立設する挿通ボルト(25)等がそれに相当する。)を有する一対の支持体(特許文献では支持体(20)がそれに相当する。)が設けられていた。
特開2002−90343号公報 特開2004−333484公報 特開2011−107045号公報 特開2011−107046公報
上記従来の磁気探傷装置では、磁気探傷シートを被検査対象に密着させるために、当該磁気探傷シートに対して圧力を作用させる板状圧着体は、剛体となる程度に比較的厚い(例えば厚さ10mm)透明アクリル板などで構成されていた。即ち、板状圧着体を剛体で構成することで、当該板状圧着体に付加した押圧力が磁気探傷シート全体に伝達されて、当該磁気探傷シートが被検査対象に良好に密着するとされていた。
かかる磁気探傷装置を利用して球状又は円柱状のタンクの溶接箇所を被検査対象として探傷を行う場合、直径が比較的大きい(例えば約25m)タンクでは、磁気探傷シートが被検査対象に良好に密着する。しかしながら、直径が比較的小さい(例えば約14m)タンクでは、磁気探傷シートの被検査対象に対する密着性が悪く、充分な密着性を得るためには非常に大きな押し付け力が必要となっていた。例えば、タンク内側の天井面を上向きで検査する場合には、検査員が装置の重さを支えた上で磁気探傷シートを天井面に密着させる必要があり、長時間の検査では検査員の疲労が甚大となり、更に密着性が不十分な場合には検査精度の低下も懸念される。
また、このような小さな直径のタンクを検査するにあたり、比較的曲率が大きい被検査対象に沿って板状圧着体を柔軟な素材で構成すると、当該板状圧着体が支持体により支持しきれずに傾いた状態で被検査対象に当接し、結果検査精度が低下することになる。
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、比較的小さな押し付け力で磁気探傷シートを被検査対象の表面に良好に密着させて高い検査精度で探傷検査を行うことができる磁気探傷装置を実現する点にある。
この目的を達成するための本発明に係る磁気探傷装置は、
磁束密度に対応したパターンを形成する感磁体を封入したシート状又は袋状で柔軟な磁気探傷シートと、前記磁気探傷シートに対して圧力を作用させることにより前記磁気探傷シートを被検査対象に接触させる圧力付与手段と、磁気発生機構とを備え、前記被検査対象に前記磁気探傷シートを接触させた状態において前記磁気発生機構で発生させた磁気を前記被検査対象に作用させることにより前記被検査対象から漏洩する磁束を前記磁気探傷シートの感磁体で捉え、当該感磁体が作り出すパターンに基づいて前記被検査対象の探傷を行うように構成されている磁気探傷装置であって、
その第1特徴構成は、
前記圧力付与手段として、前記磁気発生機構の磁極が磁気により前記被検査対象に吸着する吸着力から付勢力を発生させる付勢機構を備え、透明な樹脂からなる板状圧着体と透明で変形自在な板状押圧部材とを介して前記磁気探傷シートを被検査対象に押圧する第1圧力付与手段を備え、
前記磁気発生機構が、それぞれ一方の端部に磁極が形成される一対の並行ヨーク部と、前記一対の並行ヨーク部の他方の端部同士を連結する連結ヨーク部を有する磁性体からなるコ字形状のヨークと、前記一対の並行ヨーク部の夫々の基端側に固定された一対の支持体とを備えると共に、前記一対の支持体の夫々に、前記付勢機構からの付勢力を受ける前記板状圧着体を前記被検査対象に対して接近及び離間する方向に移動自在な状態で支持する支持機構が配置され、
前記一対の支持体の夫々において、前記支持機構が、前記一対の磁極同士を結ぶ仮想直線に沿って複数並設されており、
前記板状圧着体が、可撓性を有する薄板で構成されている点にある。
上記第1特徴構成によれば、一対の並行ヨーク部の夫々の基端側に固定された一対の支持体の夫々において、板状圧着体を支持する支持機構が、一対の磁極同士を結ぶ仮想直線に沿って複数並設されているので、一対の支持体の夫々における複数の支持機構よる板状圧着体の支持部位は、常に仮想直線に対して略平行な姿勢が維持されることになる。よって、一対の磁極の夫々が被検査対象の表面に接触させた状態において、板状圧着体は被検査対象の表面に対して傾くこと無く移動可能となるので、板状圧着体を介して磁気探傷シートの全面を被検査対象に押圧して、被検査対象の表面に良好に密着させて、磁気探傷を行うことができる
さらに、板状圧着体を、剛体とするのでは無く、ある程度の可撓性を有する厚さ3mmのアクリル板等の薄板で構成することで、付勢機構からの付勢力を受ける板状圧着体は、比較的曲率が大きい被検査対象の表面に沿って撓る状態で磁気探傷シートに対して均等に圧力を作用させることができ、結果、磁気探傷シートを被検査対象の表面に対して一層良好に密着させて、磁気探傷を行うことができる。
従って、本発明により、比較的小さな押し付け力で磁気探傷シートを被検査対象の表面に良好に密着させて高い検査精度で探傷検査を行うことができる磁気探傷装置を実現することができる。
また、磁気探傷シートに封入される感磁体が磁粉に蛍光物質をコーティングして成ると共に、磁気探傷シートを紫外線で照明する紫外線発生機構を備える場合には、板状圧着体は、紫外線透過性の材料を使用することが望ましい。
尚、このように蛍光物質をコーティングした感磁体を利用することで、紫外線発生機構が照射する紫外線によって磁気探傷シート内の磁粉にコーティングした蛍光物質を発光させることができ、夜間や照明が存在しない室内でも磁気探傷シートの感磁体が作り出すパターンを観察できる。
本発明に係る磁気探傷装置の第特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記一対の支持体の夫々において、前記複数並設された支持機構が、前記仮想直線を挟んで線対称となる夫々の位置に設けられている点にある。
上記第特徴構成によれば、一対の並行ヨーク部の夫々の基端側に固定された一対の支持体の夫々において、仮想直線に沿って配置された複数の支持機構が仮想直線を挟んで線対称となる夫々の箇所に設けられているので、一対の支持体の夫々における複数の支持機構よる板状圧着体の支持部位は、当該板状圧着体の移動方向と直交する面に対して略平行な姿勢が維持されることになる。よって、一対の磁極の夫々が被検査対象の表面に接触させた状態において、板状圧着体は被検査対象の表面に対して一層傾くこと無く移動可能となるので、板状圧着体を介して磁気探傷シートの全面を被検査対象に押圧して、被検査対象の表面に一層良好に密着させて、磁気探傷を行うことができる。
本発明に係る磁気探傷装置の第特徴構成は、上記第1乃至第特徴構成の何れかに加えて、
前記支持機構が、前記支持体に穿設されたガイド孔と、前記ガイド孔に摺動自在に挿入され、且つ前記板状圧着体に固定されたガイド軸とを有し、
前記付勢機構が、前記ガイド軸が内部に挿入された状態で、前記支持体と前記板状圧着体との間に介装された圧縮コイルバネからなる点にある。
上記第特徴構成によれば、支持体に穿設されたガイド孔に、板状圧着体に固定されたガイド軸を、抜け止めを施した上で挿入する形態で、支持機構を構成した場合には、ガイド軸を内部に挿入した状態の圧縮コイルバネを支持体と板状圧着体との間に介装するという簡単な構成で、付勢機構を実現することができる。
本発明に係る磁気探傷装置の第特徴構成は、上記第1乃至第特徴構成の何れかに加えて、
前記第1圧力付与手段に対して、
前記磁気発生機構の前記一対の磁極を結ぶ前記仮想直線の方向に並行に配設され、前記板状圧着体の非磁気発生機構側端に設けられる第2圧力付与手段を備えた点にある。
上記第特徴構成によれば、第1圧力付与手段に対して、これと並行に第2圧力付与手段を設けることにより、第1圧力付与手段及び第2圧力付与手段の両方から板状圧着体、
板状押圧部材及び磁気探傷シートを被検査対象の表面に押し付け、磁気探傷シートの被検査対象の表面への密着性を高めた状態で、磁気探傷を行うことができる。
本発明に係る磁気探傷装置の第特徴構成は、上記第特徴構成に加えて、
前記第1圧力付与手段を構成する前記磁気発生機構の前記連結ヨーク部が、操作者が把持可能な中間把持部として構成され、
前記第2圧力付与手段が、前記仮想直線に沿う方向における前記板状圧着体の両端部を連結すると共に、前記板状圧着体上の空間に設けられる把持部を備えた点にある。
上記第特徴構成によれば、第1圧力付与手段の中間把持部を把持しながら、更に第2圧力付与手段の把持部を操作者が把持した状態で、第2圧力付与手段側を押圧操作することで、板状圧着体、板状押圧部材及び磁気探傷シートを被検査対象の表面に押し付け、磁気探傷シートの表面への密着性を高めた状態で、磁気探傷を行うことができる。
磁気探傷装置の斜視図 磁気探傷装置の分解斜視図 磁気探傷装置の一部切り欠き側面図 磁気探傷装置の探傷時における一部切り欠き側面図 磁気探傷装置の上面視図 磁気探傷装置の制御系を示すブロック回路図 磁気探傷装置により形成される磁界の概略部分側面図 磁気探傷シートの上面斜視図 磁気探傷シートの縦断面図及び横断面図
以下、本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。
図1〜図5に示すように、本発明に係る磁気探傷装置100は、磁束密度に対応したパターンを形成する感磁体としての磁粉38(図8参照)を封入したシート状又は袋状で柔軟な磁気探傷シートDと、磁気探傷シートDに対して圧力を作用させることにより磁気探傷シートDを被検査対象1に接触させる圧力付与手段Pと、磁気発生機構Aとを備え、被検査対象1に磁気探傷シートDを接触させた状態において磁気発生機構Aで発生させた磁気を被検査対象1に作用させることにより被検査対象1から漏洩する磁束(磁束の乱れ)を磁気探傷シートDの磁粉38で捉え、当該磁粉38が作り出すパターンに基づいて被検査対象1の探傷を行うように構成されている。
上述のように、磁気探傷装置100には、磁気探傷シートDの被検査対象1の表面への密着度を上げるために、磁気探傷シートDに対して圧力を付与する圧力付与手段Pが設けられ、この圧力付与手段Pとして、磁気探傷シートDの一端側に配設される第1圧力付与手段P1と、他端側に配設される第2圧力付与手段P2とが設けられている。
第1圧力付与手段P1は、磁気発生機構Aにより発生する磁気による吸着力を利用して、磁気探傷シートDを被検査対象1に押圧する。一方、第2圧力付与手段P2は、操作者が押圧することにより、同じく磁気探傷シートDを被検査対象1に押圧する。
磁気探傷装置100は、被検査対象1の表面側から、磁気探傷シートD、板状押圧部材C及び板状圧着体4の順に配設して使用するように構成されており、この板状圧着体4の被検査対象1側への押圧は、第1圧力付与手段P1では、磁気発生機構Aにより発生する磁気による吸着力が付勢機構B1を介して板状圧着体4に伝達されることにより行われ、また、第2圧力付与手段P2では、操作者が押圧操作することで、板状圧着体4に押圧力がそのまま伝達されることにより行われる。
検査に際しては、被検査対象1に磁気探傷シートDを接触させた状態で、磁気発生機構Aに通電して、磁気発生機構Aから発生させた磁気を被検査対象1に作用させ、被検査対象1から磁束の乱れである漏洩する磁束を磁気探傷シートDの磁粉38で捉え、この磁粉38が作り出すパターンに基づいて被検査対象1の探傷を行うことができる。
本発明の磁気探傷装置100を使用することにより、鉄を代表とする磁性体である被検査対象1の探傷を行うことができる。具体的には、図1、図3に示すように、鉄板材の溶接箇所の余盛り部分1Aや、鉄製の配管の曲面部分の欠陥(クラック等の傷)の検査を行う際に、作業者が磁気探傷装置100を両手で操作して、磁気探傷を行うことができる。尚、この余盛り部分1Aとしては、例えば、幅10mm程度で、被検査対象1の表面から4mm程度の盛り上がり高さを有した一般的な形態のものが検査対象となる。ここで、1Cは、余盛り部分1Aに存在する欠陥を示している。また、磁気探傷装置100は比較的小型で扱いやすく構成されているので、縦壁状となる被検査対象1や、天井壁状のものでも楽に作業を行えるものとなっている。
以下、磁気探傷装置100の各箇所について更に詳細に説明する。
尚、以下では、例えば、図1に示すように、磁気探傷装置100の奥行方向をX方向とし、横方向をY方向とし、高さ方向をZ方向として説明する場合がある。
〔磁気発生機構〕
磁気発生機構Aは、ハンドマグナ(被検査対象の磁化装置)を応用したものであり、図1〜図4に示すように、このハンドマグナに、板状圧着体4、板状押圧部材Cを支持すると共に、被検査対象1側に付勢する付勢機構B1を設けている。
具体的には、磁気発生機構Aは、図6に示すように、磁性体からなるヨーク2aを備えた本体部2を有している。ヨーク2aは、それぞれ一方の端部(被検査対象1に接触される側の端部)に磁極3が形成される一対の並行ヨーク部2bと、この一対の並行ヨーク部2bの他方の端部(被検査対象1から離間した側の端部)同士を連結する連結ヨーク部2cとを備えたコ字形状に形成されている。更に、本体部2には、ヨーク2aの連結ヨーク部2cに巻回されるコイル5、及びこのコイル5に給電するためのケーブル7を備えて構成されている。
磁性体で成るヨーク2aに対して銅合金等の良導体のコイル5を巻回することにより、本体部2は電磁石として機能する。更に、本体部2にはコイル5に対して電源部6からの電流を供給するケーブル7と、電源部6からの電流のオンオフ操作可能な電源スイッチ8と、発光ダイオード(発光体の一例)で成る照明機構9とが設けられている。
図6では、発光ダイオードで成る照明機構9を示しているが、照明機構9として蛍光灯やハロゲンランプを用いることが可能であり、又、例えば、電源部6やこの近傍に配置した光源からの光線を磁気発生機構Aの部位まで導く光ファイバーで照明機構9を構成することも可能である。そして、照明機構9として光ファイバーを用いた場合には、磁気発生機構Aの近傍にランプ類を備えずに済み、電力ケーブルを形成しなくて済むので、装置の大型化を抑制できる。
又、電源スイッチ8は作業者が本体部2を握って操作する際に指先で押し操作できる位置に配置されている。照明機構9は、光線を透明な板状圧着体4を通過させて磁気探傷シートDを照明する位置に配置されている。これにより、夜間や照明が存在しない屋内でも、磁気探傷シートDの磁粉38が作り出すパターンを明瞭に観察できるものにしている。尚、この照明機構9による概略の照明領域は、図5に示す磁気探傷装置100を上方から見た上面視で、第1圧力付与手段P1及び磁気発生機構Aの配設位置における磁気探傷シートDの上面(主な磁気探傷領域)とされている。
電源部6は、商用電源からの交流電流の周波数を高めて(180Hz程度・240Hzが上限)コイル5に供給するようインバータ回路(図示せず)を備え、電源スイッチ8を操作することによりコイル5に対して交流電流を供給し、この交流電流の供給と同時に照明機構9に対して電流を供給するよう機能する。これにより、磁気発生機構Aでは、電源部6から供給された交流電流がコイル5を通流することにより発生する磁気が、一対の並行ヨーク部2b間(一対の磁極3間)に、当該一対の磁極3同士を結ぶ仮想直線L1(図5において、Y方向に並行の一点鎖線で示されている。)に沿う交流磁界を形成することとなり(図7の破線参照)、一対の磁極3を被検査対象1の表面に接触させ、交流磁界を仮想直線L1に沿って被検査対象1の表面に作用させることができる。尚、当該交流磁界の方向は当該仮想直線L1に沿う方向(Y方向)であるが、交流磁界の向きは交流電流の周波数に応じて、Y方向で交互に逆転する向きに形成される。尚、交流電流の周波数を高める理由は、磁性体に対して交流(交番)磁界が作用する場合には、周波数が高いほど表面近くに磁界が強く作用することが知られており(表皮効果)、この現象を利用して被検査対象1の表面近くの欠陥1Cを発見しやすくするためである。
電源部6は、商用電源の周波数で商用電源の周波数から前述した240Hzの範囲内の周波数の交流電流を供給するものであれば、実用上の不都合は無く、供給する電圧は500V以下であることが望ましい。
〔板状圧着体〕
板状圧着体4は、図1〜図5に示すように、透明なアクリル樹脂からなる板状の部材であり(図3及び図4参照)、上面視で概略T字形状に構成され(図5参照)、上面視でX方向(仮想直線L1に直交する方向)における一端側に第1圧力付与手段P1(磁気発生機構Aを含む)が配設され、他端側には第2圧力付与手段P2がそれぞれ並列に配設される。板状圧着体4と第1圧力付与手段P1及び第2圧力付与手段P2との詳細関係は後述する。
また、この板状圧着体4は、比較的曲率が大きい被検査対象1の表面に沿って撓る状態で磁気探傷シートDに対して均等に圧力を作用させるために、可撓性を有する程度の厚み(例えば3mm)を備えた薄板で構成されている。尚、板状圧着体4の厚みが大きすぎると、撓みが不十分となって磁気探傷シートDに対して均等に圧力を作用させることができずに検査精度が悪化することが懸念される。一方、尚、板状圧着体4の厚みが小さすぎると、比較的曲率が大きい被検査対象1の表面に押し付けた際に割れが発生することが懸念される。
〔第1圧力付与手段〕
第1圧力付与手段P1は、上記磁気発生機構Aと、磁気発生機構Aの一対の磁極3が発生させる磁気により磁極3を被検査対象1に吸着させる吸着力によって付勢力を発生させる付勢機構B1とを備え、X方向における板状圧着体4の一端側に配設されている。
具体的には、磁気発生機構Aの一対の並行ヨーク部2bの夫々の他方の端部(Z方向において被検査対象1から離間した側の端部)に、一方の端部側(Z方向において磁極3側)から透明なアクリル樹脂製の一対の支持体20が、当該支持体20に形成された挿通孔20aに挿通状態で配置されている。この一対の支持体20の夫々は、連結ヨーク部2cの上部と支持体20の上面とに亘って覆設される金属製のブラケット21と、当該ブラケット21を固定連結する係合機構22とにより、磁気発生機構Aの並行ヨーク部2bの基端側に係合固定されている。また、この一対の支持体20の夫々は、付勢機構B1からの付勢力を受ける板状圧着体4を被検査対象1に対して接近及び離間する方向に移動自在な状態で支持する支持機構B2を有する。
この支持体20の下面に対して付勢機構B1及び支持機構B2を介して一対の並行ヨーク部2bの一端側(Z方向において被検査対象1に接触する磁極側)に透明なアクリル樹脂製の板状圧着体4が配置され、この板状圧着体4の下面側に透明で柔軟に変形する板状押圧部材Cと、磁気探傷シートDとが重ね合わせ状態で支持されている。尚、支持体20は金属で形成することも可能であるが、金属を用いた場合には、磁気発生機構Aで発生する交流磁界の作用により金属内に誘導電流が発生して発熱することもあり、本実施形態では、この発熱を回避し、しかも、軽量化と視認性を向上させるために透明なアクリル樹脂を使用している。
板状圧着体4の一端側(X方向における一端側)は、並行ヨーク部2bの長手方向(Z方向)に沿って移動自在となるように支持機構B2に支持されている。
また、当該並行ヨーク部2bの磁極3は、板状圧着体4に貫通形成された貫通口4aに挿通され、図3に示すように非使用状態では、一対の磁極3同士を結ぶ仮想直線L1と、磁気探傷シートDの底面との間のZ方向における間隔が所定の距離Sとなるように設定されている。
支持機構B2は、支持体20に穿設されたガイド孔20bと、ガイド孔20bに摺動自在に挿入され板状圧着体4に固定されたガイド軸としての挿通ボルト25とを有して構成されており、付勢機構B1が、挿通ボルト25が内部に挿入された状態で、支持体20と板状圧着体4との間に介装された圧縮コイルバネ26からなる。このような構成により、支持機構B2は、図3に示す非使用状態においては挿通ボルト25によって板状圧着体4を吊り下げ状態で支持する形態となる。
尚、この付勢機構B1では圧縮コイルバネ26に限らず、弾性的に変形することにより付勢力を得るゴム、あるいは、ガス圧を利用するガススプリングも使用できる。
一対の支持体20の夫々において、支持機構B2は、図5に示すように、一対の磁極同士を結ぶ仮想直線L1に沿って2箇所に並設されており、更に、仮想直線L1を挟んで線対称となる夫々の位置に配置されている。
即ち、一の支持体20においては、一の並行ヨーク部2bの周囲4箇所に支持機構B2が配置されていることになり、装置全体では8箇所に支持機構B2が配置されていることになる。
この構成により、一対の支持体20の夫々における複数の支持機構B2よる板状圧着体4の支持部位は、当該板状圧着体4の移動方向と直交する面に対して略平行な姿勢が維持され、板状圧着体4が被検査対象1の表面に対して傾くこと無く移動可能となる。
これにより、第1圧力付与手段P1は、磁気発生機構Aにより発生する磁気による吸着力を、付勢機構B1及び支持機構B2を介して板状圧着体4に伝達する構成となっている。
更に、第1圧力付与手段P1の磁気発生機構Aは、上述のように、概略コ字形状のヨーク2aを備えた本体部2を備えるため、当該ヨーク2aの連結ヨーク部2cを、操作者が把持可能な中間把持部(図示せず)として構成されている。
〔第2圧力付与手段〕
第2圧力付与手段P2は、図1〜図5に示すように、X方向における板状圧着体4の他端側に配設される機構であり、当該板状圧着体4の他端側においてY方向の両側端部から被検査対象1に対して反対側(図1のZ方向のうち上方向)に立設される一対の概略三角形状の支持側板45と、これら一対の支持側板45間に亘って架け渡される把持部46とを備えている。従って、この第2圧力付与手段P2の把持部46は、板状圧着体4の他端側におけるY方向の両側端部を連結すると共に、板状圧着体4上の空間に配設されており、操作者が把持可能な把持部として構成されている。
そして、第1圧力付与手段P1の中間把持部及び当該第1圧力付与手段P1の磁気発生機構Aの一対の磁極3同士を結ぶ仮想直線L1(Y方向)と、第2圧力付与手段P2の把持部46とは、並行に配設されている。
〔板状押圧部材〕
板状押圧部材Cは、柔軟で透明な樹脂フィルムとして0.1〜0.5mm程度のフィルム厚のポリエチレンフィルムやポリビニルフィルムを袋状に成型したバッグ30に対して、ポリビニルアルコールと硼砂とを混合して成る透明なゲル状(スライム状)物質31(水でも良い)、又は、例えば、ポリエチレンとスチレンを共重合させた網状物質を油でゲル化したものを封入したもの、あるいは、バッグ30を使用せずに前記ゲル化したものを直接貼り付けたものであり、全体として透明で柔軟に変形し得るよう構成され、磁気探傷シートDが変形した状態にあっても、板状圧着体4から作用する圧力を均一な圧力で磁気探傷シートDに作用させるよう機能する。図3〜図5に示す例では、板状押圧部材Cは、Z方向において板状圧着体4の下方位置に配設され、X方向において第1圧力付与手段P1の位置から第2圧力付与手段P2の位置まで延設されている。
〔磁気探傷シート〕
磁気探傷シートDは、図8及び図9に示すように、柔軟で透明な樹脂フィルムで成る上面側の表面材35と、柔軟な樹脂フィルムで成る下面側の裏面材36とを重ね合わせ、夫々の素材同士の間に繊維をメッシュ状に配置して成るスペーサ37を介在させることで20〜30μm程度の隙間dと成る空間を形成した柔軟なシート状に成形しており、この空間に対して0.1μm程度以上の磁性体で、当該隙間dの値(20〜30μm程度)より充分に小さい粒径となる粒子状の磁粉38(感磁体の一例)と、分散媒として水や灯油等の流動物質f(気体であっても良い)とを封入し、表面材35と裏面材36との外周部を熱溶着の技術や接着剤を用いて接合した密封構造を有している。
具体的に説明すると、表面材35と裏面材36とのフィルム厚が0.02〜0.5mm程度のものが使用されており、容器の表面材35は透明であることが必須であるが、多少の着色したものを使用しても良く、裏面材36は透明である必要は無く、着色した樹脂を用いることも可能である。この表面材35と裏面材36としてポリエチレンやポリビニルやPET(polyethylene terephthalate)樹脂の使用が可能であり、又、裏面材36として樹脂フィルムに代えて軟磁性のオーステイトステンレス鋼の箔を使用することも可能である。更に、磁粉38の材料として、鉄やニッケルばかりで無く、マグネタイト、ガンマ・ヘクタイトの使用が可能である。
又、スペーサ37として、隙間dと等しい粒径の粒子状のものを表面材35と裏面材36との間に分散させる形態で用いることや、表面材35と裏面材36との間に亘って隙間dを形成し得る複数の柱状の部材を用いることも考えられる。
また、磁気探傷シートDは、図5に示すように、上面視で一対の磁極3間において仮想直線L1を含む平面(X方向及びY方向を含む平面)と並行に配設され、Y方向では一対の磁極3間に配設可能な幅に形成されており、X方向では板状圧着体4と同様の奥行き幅を備えて構成されている。即ち、X方向では、磁気探傷シートDは、第1圧力付与手段P1(磁気発生機構A)の位置から第2圧力付与手段P2の位置まで延設されており、当該磁気探傷シートDの両端がそれぞれ、板状圧着体4の上面に引き込まれて固定されている(図1及び図8参照)。
具体的に、板状圧着体4に対して板状押圧部材Cと磁気探傷シートDとを支持する際には、板状圧着体4の下面側に板状押圧部材Cと磁気探傷シートDとを重ね合わせ、この磁気探傷シートDのX方向における一対の端部を、それぞれ板状圧着体4の上面まで引き込み、この磁気探傷シートDに対して適度の張力を作用させた状態で、この磁気探傷シートDの一対の端部を固定板40で圧着し、ビス41で固定している(図1参照)。
従って、磁気探傷装置100では、第1圧力付与手段P1及び第2圧力付与手段P2から、板状圧着体4、板状押圧部材C及び磁気探傷シートDを被検査対象1側へ押圧して、良好に検査を行えるように構成されている。
尚、この磁気探傷シートDは、図5及び図8に示すように、当該磁気探傷シートDの内部を複数の感磁体移動ゾーンD1,D2,D3(図では3つ)に仕切る仕切り39が、Y方向と並行に配設されており、感磁体移動ゾーンD1,D2,D3に亘る磁粉38の移動が阻止されている。具体的には、上面視で、感磁体移動ゾーンD1は第1圧力付与手段P1と重なる位置に、感磁体移動ゾーンD3は第2圧力付与手段P2と重なる位置に、感磁体移動ゾーンD2は第1圧力付与手段P1及び第2圧力付与手段P2と重ならない位置に配置されている。尚、仕切り39は、表面材35と裏面材36とを融着させることでゾーン化を図っている。
〔圧力検出手段〕
圧力検出手段Seは、図5に示すように、Z方向における板状圧着体4と磁気探傷シートDとの間(図示する例では、板状圧着体4の下側で板状押圧部材Cとの間)で、上面視で感磁体移動ゾーンD2周りの複数箇所に配設され、第1圧力付与手段P1,第2圧力付与手段P2より圧力を作用させて磁気探傷シートDを被検査対象1に接触させた状態において、被検査対象1側から板状圧着体4が受ける圧力を検出することが可能に構成されている。
この圧力検出手段Seは、圧電素子等の感圧素子とこの感圧素子が感圧する状態で発生する電力により発光する発光素子とを備えて構成されており、一定値以上の圧力が圧力検出手段Seの位置で発生している状態で発光するように構成されている。図5には、感磁体移動ゾーンD2の四辺端位置に圧力検出手段Seを配置していることにより、この感磁体移動ゾーンD2周りで均等に所定の押圧状態を実現できている状態で、圧力検出手段Seが均等に光り、良好な押圧状態が実現できていることが確認できるように構成されている。
〔一対の永久磁石〕
本発明の磁気探傷装置100では、更に、図1〜図7に示すように、板状圧着体4に、一対の永久磁石50,50として一対の第1永久磁石50A,50A及び一対の第2永久磁石50B,50B(一対の永久磁石が二組で、合計4つの永久磁石)が配設されている。
具体的には、図1〜図7に示すように、一対の第1永久磁石50A,50A及び一対の第2永久磁石50B,50Bの各永久磁石は、上面視で長方形の板部材からなるネオジム磁石で構成されており、長方形の平面部分が接着剤等により板状圧着体4に形成された開口部4bに嵌め込まれ上下を押え板51で挟み込まれた状態で固定されている(図3及び図4参照)。また、図5に示すように、上面視で、一対の第1永久磁石50A,50Aは、当該一対の第1永久磁石50A,50A同士の間に磁気探傷シートDを挟み、かつ、一対の並行ヨーク部2b(一対の磁極3)を挟まない状態で仮想直線L1(Y方向)と並行に配設され、一対の第2永久磁石50B,50Bも同様に、当該一対の第2永久磁石50B,50B同士の間に磁気探傷シートDを挟み、かつ、一対の並行ヨーク部2b(一対の磁極3)を挟まない状態で仮想直線L1(Y方向)と並行に配設されている。尚、板部材からなる各永久磁石50A,50Bを上下で挟み込む押え板51は、上記支持機構B2の挿通ボルト25をZ方向に挿通させた状態で固定される(図2参照)。
また、一対の第1永久磁石50A,50Aの各永久磁石50Aは、磁気発生機構Aの各並行ヨーク部2bに対してX方向における第2圧力付与手段P2側の部位(磁気探傷シートDの他端側の部位(各並行ヨーク部2bの周囲の一例))に位置するように配設されている。同様に、一対の第2永久磁石50B,50Bの各永久磁石50Bは、磁気発生機構Aの並行ヨーク部2bに対してX方向における第2圧力付与手段P2とは反対側の部位(磁気探傷シートDの一端側の部位(各並行ヨーク部2bの周囲の一例))に位置するように配設されている。
更に、上面視で長方形に形成される板部材からなる各永久磁石50A,50Bは、その長尺となる両側辺を、仮想直線L1(Y方向)に沿うように板状圧着体4の下面に固着されていると共に、各永久磁石50A,50BのY方向における両端部には、それぞれN極とS極が形成され、各永久磁石50A,50BにおけるN極とS極の配設方向は同一となっている。すなわち、図7に示すように、板部材からなる各永久磁石50A,50Bは、その長尺となる両側辺がY方向に沿うと共に、図7における右側にN極、左側にS極が配置され、一対の第1永久磁石50A,50A間及び一対の第2永久磁石50B,50B間においてN極からS極(左側から右側)に直流磁界を発生させるように配置されている(図7の実線参照)。尚、図7では、簡単のため、一対の第1永久磁石50A,50A間及び一対の第2永久磁石50B,50B間における直流磁界を、各永久磁石50A,50Bよりも下側(Z方向の下側)に形成されるものの一部のみ示している。
これにより、一対の磁極3間、更に一対の第1永久磁石50A,50A間及び一対の第2永久磁石50B,50B間における仮想直線L1近傍の被検査対象1(主な磁気探傷領域)に、磁気発生機構Aによる交流磁界と二組の一対の第1永久磁石50A,50A及び一対の第2永久磁石50B,50Bによる直流磁界とを重畳させた状態で、上面視で仮想直線L1に沿う方向(Y方向)の磁界(磁束)を作用させることができる。従って、当該仮想直線L1近傍の被検査対象1に作用する磁束密度が強くなり、当該被検査対象1から磁気探傷シートDの磁気探傷領域に漏洩する磁束密度を強くすることができる。また、磁気探傷領域に漏洩する磁界(磁束)は、主として当該仮想直線L1に沿う形状となり、比較的単純で明瞭な形状とすることができる。この場合、被検査対象1に欠陥1Cが存在することによる磁気探傷シートDに漏洩する磁束(磁束の乱れ)を容易に判別することができる。
また、磁気探傷シートDは、第1圧力付与手段P1及び第2圧力付与手段P2により被検査対象1に押圧され、磁気探傷シートDと被検査対象1の表面とが密着するように構成されるが、更に、各永久磁石50A,50Bが被検査対象1に吸着する吸着力により、仮想直線L1近傍の磁気探傷シートDを、上面視において、仮想直線L1に沿う方向(Y方向)では、当該仮想直線L1近傍の領域を挟んだ両側の箇所(2箇所)で、しかも、仮想直線L1に直交する方向(X方向)では、並行ヨーク部2bを挟んだ両側の箇所(2箇所)に亘る、合計4箇所で磁気探傷シートDの表面側から被検査対象1側に安定的に押圧することができる。
よって、磁気探傷シートDを使用して磁気発生機構Aの磁気により磁気探傷する磁気探傷装置100において、永久磁石50を併用する構成を採用しながら、磁気探傷シートDを被検査対象1の表面に対して均一かつ確実に密着させる構成としつつ、被検査対象1から磁気探傷シートD中の磁粉38に対して漏洩する磁束密度をより強くし、当該磁粉38を適切に移動させて明瞭なパターンを形成させることで、被検査対象1における欠陥1Cの検出精度を、より向上させることが可能な磁気探傷装置100を得ることができる。
〔磁気探傷装置を使用した磁気探傷方法〕
この磁気探傷装置100では、被検査対象1として、石油等を貯留するタンクの溶接箇所、あるいは、橋梁等を構成する鋼板の溶接箇所を想定しており、これらの部位の探傷を行う場合には以下のように作業が行われる。例えば、溶接箇所の余盛り部分1Aの部位の探傷を行う場合には、図3に示すように、余盛り部分1Aの部位を跨ぐ位置に一対の磁極3を配置し、かつ、探傷を行うべき部位を覆う位置に磁気探傷シートDを配置した状態で、電源スイッチ8を操作することにより、電源部6からの電流がコイル5に供給されることになり、このコイル5が磁気を発生させて一対の磁極3が被検査対象1に吸着する。
このように磁極3が被検査対象1に吸着した場合には、第1圧力付与手段P1側では、図4に示すように、一対の磁極3同士を結ぶ仮想直線L1と磁気探傷シートDの底面との間の距離S(図3参照)に相当するだけ磁極3が板状圧着体4に対してZ方向に相対移動することになるので、付勢機構B1の圧縮コイルバネ26を圧縮して、この圧縮コイルバネ26からの付勢力を板状圧着体4に作用させ、更に、この板状圧着体4からの押圧力を板状押圧部材Cから磁気探傷シートDに作用させ、この磁気探傷シートDを被検査対象1に密着させるものとなる。
一方、第2圧力付与手段P2側では、操作者が押圧することで、この押圧力を、板状圧着体4に作用させ、更に、この板状圧着体4からの押圧力を板状押圧部材Cから磁気探傷シートDに作用させ、この磁気探傷シートDを被検査対象1に密着させるものとなる。
そして、押圧力のかかり具合は、先に説明した圧力検出手段Seの発光状態により確認することができる。
加えて、板状圧着体4の下面に設けた各永久磁石50A,50Bの磁界による被検査対象1への吸着力を、板状圧着体4に作用させ、更に、この板状圧着体4からの押圧力を板状押圧部材Cから磁気探傷シートDに作用させ、この磁気探傷シートDを被検査対象1に密着させるものとなる。
この密着状態では、溶接部分において余盛り部分1Aが存在しても、その余盛り部分1Aに沿う形状に磁気探傷シートDが変形し、この変形に従うように板状押圧部材Cが変形して、板状圧着体4から圧力を均一の圧力として磁気探傷シートDに作用させる形態となるので、磁気探傷シートDの底面(裏面材36の外面)の全面が被検査対象1の上面に対して隙間無く密着するものとなる。
更に、検査対象1の曲率が比較的大きい場合でも、本磁気探傷装置100では、板状圧着体4が当該被検査対1象の表面に沿って撓るような可撓性を有する薄板で構成されながら、その板状圧着体4を支持する支持機構B2が、夫々の支持体20において、仮想直線L1に沿って複数並設され、且つ、同仮想直線L2を挟んで線対称となる夫々の位置に設けられていることで、板状圧着体4の検査対象1に対する密着性が大幅に改善されることになる。
そして、このように磁気探傷シートDが被検査対象1に密着した状態で一対の磁極3と被検査対象1との間で磁気回路が形成されることになるが、この場合、図7に簡単に示すように、磁気発生機構Aにより一対の磁極3同士を結ぶ方向(Y方向)に交流磁界(磁力線)が形成され、同時に、一対の第1永久磁石50A同士及び一対の第2永久磁石50B同士を結ぶ方向(Y方向)に直流磁界(磁力線)がそれぞれ形成されて、両磁界(磁力線)が重畳されることとなる。従って、磁極3同士を結ぶ仮想直線L1近傍には、強い磁束密度の磁界を発生させることができ、当該磁界を被検査対象1に作用させることができ、被検査対象1の余盛り部分1Aの部位に欠陥1Cが存在する場合には、その欠陥1Cの部分でより強い磁束が漏洩して磁気探傷シートDの磁粉38に作用する結果、この漏洩した磁束の方向に沿って磁粉38が列を成すパターンを作り出し、欠陥1Cを視覚的に把握できるものとなる。この際、欠陥1C以外の被検査対象1から漏洩する磁束により形成される磁粉38のパターンは、仮想直線L1に沿って比較的単純で明瞭な形状に形成されているため、欠陥1Cの部位から漏洩する磁束のパターンをより容易に発見することができる。
〔別実施形態〕
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記実施の形態では、一対の支持体20の夫々において、支持機構B2を一対の磁極同士を結ぶ仮想直線L1に沿って2箇所に並設したが、別に、仮想直線L1に沿って3箇所以上に並設しても構わない。また、一対の支持体20の夫々において、支持機構B2を、仮想直線L1を挟んで線対称となる夫々の位置に配置したが、別に、仮想直線L1に対して一方側のみに配置しても構わない。
(2)上記実施の形態では、圧力検出手段を、上面視で、第1圧力付与手段P1と第2圧力付与手段P2の間に形成される感磁体移動ゾーンD2の周部における四隅に配置する構成を示したが、その個数、位置を問うものでは無く、更に、板状圧着体4の四隅に対応した位置に設けてもよい。
本発明は、磁束密度に対応したパターンを形成する感磁体を封入したシート状又は袋状で柔軟な磁気探傷シートと、前記磁気探傷シートに対して圧力を作用させることにより前記磁気探傷シートを被検査対象に接触させる圧力付与手段と、磁気発生機構とを備え、前記被検査対象に前記磁気探傷シートを接触させた状態において前記磁気発生機構で発生させた磁気を前記被検査対象に作用させることにより前記被検査対象から漏洩する磁束を前記磁気探傷シートの感磁体で捉え、当該感磁体が作り出すパターンに基づいて前記被検査対象の探傷を行うように構成されている磁気探傷装置として好適に利用可能である。
1 :被検査対象
2 :本体部(磁気発生機構)
2a :ヨーク
2b :並行ヨーク部
2c :連結ヨーク部
3 :磁極
4 :板状圧着体
20 :支持体
20b :ガイド孔
25 :挿通ボルト(ガイド軸)
26 :圧縮コイルバネ
38 :磁粉(感磁体)
46 :把持部
100 :磁気探傷装置
A :磁気発生機構
B1 :付勢機構
B2 :支持機構
C :板状押圧部材
D :磁気探傷シート
L1 :仮想直線
P :圧力付与手段
P1 :第1圧力付与手段
P2 :第2圧力付与手段

Claims (5)

  1. 磁束密度に対応したパターンを形成する感磁体を封入したシート状又は袋状で柔軟な磁気探傷シートと、前記磁気探傷シートに対して圧力を作用させることにより前記磁気探傷シートを被検査対象に接触させる圧力付与手段と、磁気発生機構とを備え、前記被検査対象に前記磁気探傷シートを接触させた状態において前記磁気発生機構で発生させた磁気を前記被検査対象に作用させることにより前記被検査対象から漏洩する磁束を前記磁気探傷シートの感磁体で捉え、当該感磁体が作り出すパターンに基づいて前記被検査対象の探傷を行うように構成されている磁気探傷装置であって、
    前記圧力付与手段として、前記磁気発生機構の磁極が磁気により前記被検査対象に吸着する吸着力から付勢力を発生させる付勢機構を備え、透明な樹脂からなる板状圧着体と透明で変形自在な板状押圧部材とを介して前記磁気探傷シートを被検査対象に押圧する第1圧力付与手段を備え、
    前記磁気発生機構が、それぞれ一方の端部に磁極が形成される一対の並行ヨーク部と、前記一対の並行ヨーク部の他方の端部同士を連結する連結ヨーク部を有する磁性体からなるコ字形状のヨークと、前記一対の並行ヨーク部の夫々の基端側に固定された一対の支持体とを備えると共に、前記一対の支持体の夫々に、前記付勢機構からの付勢力を受ける前記板状圧着体を前記被検査対象に対して接近及び離間する方向に移動自在な状態で支持する支持機構が配置され、
    前記一対の支持体の夫々において、前記支持機構が、前記一対の磁極同士を結ぶ仮想直線に沿って複数並設されており、
    前記板状圧着体が、可撓性を有する薄板で構成されている磁気探傷装置。
  2. 前記一対の支持体の夫々において、前記複数並設された支持機構が、前記仮想直線を挟んで線対称となる夫々の位置に設けられている請求項1に記載の磁気探傷装置。
  3. 前記支持機構が、前記支持体に穿設されたガイド孔と、前記ガイド孔に摺動自在に挿入され、且つ前記板状圧着体に固定されたガイド軸とを有し、
    前記付勢機構が、前記ガイド軸が内部に挿入された状態で、前記支持体と前記板状圧着体との間に介装された圧縮コイルバネからなる請求項1又は2に記載の磁気探傷装置。
  4. 前記第1圧力付与手段に対して、
    前記磁気発生機構の前記一対の磁極を結ぶ前記仮想直線の方向に並行に配設され、前記板状圧着体の非磁気発生機構側端に設けられる第2圧力付与手段を備えた請求項1〜の何れか1項に記載の磁気探傷装置。
  5. 前記第1圧力付与手段を構成する前記磁気発生機構の前記連結ヨーク部が、操作者が把持可能な中間把持部として構成され、
    前記第2圧力付与手段が、前記仮想直線に沿う方向における前記板状圧着体の両端部を連結すると共に、前記板状圧着体上の空間に設けられる把持部を備えた請求項に記載の磁気探傷装置。
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