JP2007271548A - マイクロ波濃度計 - Google Patents

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一弘 渡邉
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Abstract

【課題】 本発明は、検出器配管に備えるマイクロ波の送受信子の数を削減するとともに、エア溜り、堆積物、または付着物の発生の異常を精度よく識別検出することの出来るマイクロ波濃度計を提供することを目的とする。
【解決手段】 検出器配管2の外壁で対向配置される一対の第1及び第2のマイクロ波送受信子3、7と、これらと異なる位置に配置され第3のマイクロ波送受信子5と、マイクロ波発信器1と、マイクロ波を選択的に供給する送信子切換スイッチ及び受信子切換スイッチと、これらを制御する制御手段SW3と、選択されたマイクロ波の反射波を受信子切換スイッチに送信する夫々の第1乃至第3のサーキュレータC1〜C3と、抽出されたマイクロ波を処理する信号処理部8とを備え、夫々の反射波の強度の変化を検出し、測定状態の異常を検知することを特徴とするマイクロ波濃度計。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロ波を応用した、例えば、汚泥やパルプ等の種々の懸濁物質や溶解性物質を含む被測定液の濃度を測定するマイクロ波濃度計に関する。
一般に、マイクロ波を、濃度の基準となるゼロ水(例えば、濃度0%とみなせる水道水)へ入射すると、その受信波は、送信波に比べて位相遅れ(θ1)が生じる。
また、マイクロ波を、汚泥等の懸濁液へ入射すると、同様にその受信波は、送信波に比べて位相遅れ(θ2)が生じる。これら位相遅れの差(位相差Δθ=θ2−θ1)は、懸濁物質濃度と液体に溶解している物質の濃度との和に比例する。
そして、この現象を数式で表わすと、次のようになる。
濃度X=C・Δθ=C・(θ2−θ1)
ここで、C:補正係数
θ1:基準となるゼロ水にマイクロ波を入射した場合の位相遅れ
θ2:懸濁液へマイクロ波を入射した場合の位相遅れ
以上のような原理に基づいたマイクロ波濃度計の例が、例えば、特許文献1に開示されている。
図5は、この種のマイクロ波式濃度計の構成例を示す概要図である。図5において、内部を被測定液が通過する検出器配管12の外壁に、マイクロ波を送信するマイクロ波送信子13とマイクロ波を受信するマイクロ波受信子17が対向配置されている。
マイクロ波発信器11から発射されたマイクロ波は、マイクロ波送信子13→被測定液→マイクロ波受信子17という経路(経路1)を経て、信号処理回路18に入力される。信号処理回路18では、上述したマイクロ波の位相差Δθを求める。
一方、マイクロ波送信子13を介さずにマイクロ波発信器11から発射されたマイクロ波が直接信号処理回路18に入力される経路(経路2)を設ける。そして、これら2つの経路を通過したマイクロ波の位相差Δθを求めることにより、検出器配管12の内部を通過する被測定液体の濃度を求めるようにしている。
ところで、このようなマイクロ波濃度計の測定を精度よく行なうためには、図5に示した経路1が、測定中は検出器配管12の内部に被測定液が充満された状態となっている必要がある。
しかしながら、被測定液が、例えば、汚泥処理プロセス等も場合には、マイクロ波濃度計の上流側での気泡混入によって、混入した気泡がつながってできたエア溜まりが検出器配管12の内部の上部に生じる場合がある。
そして、このエア溜りの液面が、マイクロ波送信子13、マイクロ波受信子17の付近にあると、マイクロ波の伝播経路は正常な測定状態の伝播経路ではなくなり、エア溜まり中を伝播するマイクロ波や液面での反射波の影響を受けるため、測定値が不安定となり、満水状態で測定した場合と比較して測定値が異常に高くなったり、低くなったり、急激に変化する等、測定値に誤差が生じる問題が発生する。
また、被測定液の流速が、例えば、0.6m/s以下と低速度の場合、被測定液中の固形物が検出器配管12の下側へ沈降し、堆積することがある。そして、この堆積物が増えていくと、検出器配管12の内部の濃度分布にむらができるため、正しい測定ができない問題が発生する。
さらに、被測定液によっては、長い間に検出器配管12の管壁に固形物が付着し、正しい測定ができない問題も発生する。
また、このような検出器配管12中にエア溜まり、汚泥の堆積物、及び付着物が進行し、被測定液の濃度の均一性がなくなりつつあることを自動的に検知することがでないので測定値が異常に気付かない問題がある。
また、測定値の異常に気付く状態になっても異常値の原因が何であるを判定する手段が無いので、被測定液の流れを停止して検出器配管12内部を点検して、はじめてその原因が判るというような、事故の発生とその原因の究明にプラントを停止して点検するなどの手間が掛かる問題も発生する。
このような問題に対して、検出器配管の管壁の対抗配置する一対のマイクロ波送信子及びマクロは受信子を水平方向以外に、水平方向にもう一対配置し、両者の濃度の出力を比較して、堆積や気泡が発生したことを検出する方法がある(例えば、特許文献2参照。)
また、一対のマイクロ波送信子・受信子を高さが変えて水平方向に複数配置することによって、検出器配管の中央部の濃度とその上下の濃度とを比較して、上部のエア溜りや、下部の堆積物を検出する方法がある(例えば、特許文献3参照。)。
特開平4−238246号公報 特開2001−255284号公報 特開2003−57194号公報
しかしながら、上述したようなマイクロ波送信子及びマイクロ波受信子を水平方向と水平方向と交わる垂直方向の位置に、また、水平方向に複数対抗配置した場合においては、エア溜りや堆積物の検知は可能であるが、一対のマイクロ波送信子及びマイクロ波受信子が複数対必要となり、検出器配管への設置が多数となり、検出器配管の構造が複雑となる問題がある。
また、水平方向と垂直方向とに配置した場合は、発生した異常がエア溜りなのか堆積物なのかの識別ができない問題がある。同様に、水平方向に複数対配置した場合でも、高さ方向に配置された位置が近接してくると、発生した異常がエア溜りなのか堆積物なのかの識別ができない問題がある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、検出器配管に備えるマイクロ波の送受信子の数を削減するとともに、エア溜り、堆積物、または付着物の発生の異常を精度よく識別検出することの出来るマイクロ波濃度計を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による請求項1に係るマイクロ波濃度計は、被測定液を流すための検出器配管と、前記検出器配管の中心を通る線上で該検出器配管を挟んでその外壁で互いに対向配置される一方の外壁の下部で、前記検出器配管内へマイクロ波を送信、また、その反射波を受信する第1のマイクロ波送受信子と、他方の、外壁の上部で前記第1のマイクロ波送受信子から送信され前記被測定液を透過したマイクロ波を受信、また、自マイクロ波送受信子からマイクロ波を送信し、その反射波を受信する第2のマイクロ波送受信子と、前記検出器配管の外壁で、前記第1のマイクロ波送受信子及び前記第2のマイクロ波送受信子の間の異なる外壁の水平位置に配置され、自マイクロ波送受信子からマイクロ波を送信し、その反射波を受信する第3のマイクロ波送受信子と、前記第1乃至第3のマイクロ波送受信子に供給するマイクロ波を発信するマイクロ波発信手段と、前記マイクロ波発信手段から発信される前記マイクロ波を前記第1乃至第3のマイクロ波送受信子に選択的に供給する送信子切換手段と、前記第1乃至第3のマイクロ波受信子にて受信されたマイクロ波を選択的に前記信号処理手段に供給する受信子切換手段と、前記第1乃至第3のマイクロ波送受信子からのマイクロ波を前記送信子切換手段と前記受信子切換手段とを時分割で選択的に制御する制御手段と、前記送信切換手段で選択されたマイクロ波を前記第1乃至第3のマイクロ波送受信子に供給し、その反射波を前記受信子切換手段に送信する夫々の第1乃至第3のサーキュレータと、前記制御手段で選択抽出された前記第1乃至第3のマイクロ波送受信子で検出された反射波の変化から、被測定液の状態の異常検出し、また、前記マイクロ波発信手段から送信されたマイクロ波と前記第3のマイクロ波送受信子で受信したマイクロ波との位相差から前記被測定液の濃度を求める信号処理手段とを備えたことを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明による請求項2に係るマイクロ波濃度計は、請求項1において、前記信号処理手段は、前記制御手段で選択されたマイクロ波に応じてその処理手段を選択する処理選択手段と、前記マイクロ波発信手段からのマイクロ波の位相を基準として、前記処理選択手段で選択された前記第1のマイクロ波送受信子から送信したマイクロ波が前記被測定液を透過し、前記第2のマイクロ波送受信子で受信したマイクロ波の位相の変化を検出して前記測定対象液の濃度を求める濃度検出手段と、前記処理選択手段で選択された前記第1乃至第3のマイクロ波送受信子で検出される夫々の反射波の強度の変化を検出し、前記検出器管内の前記被測定液の濃度測定状態の異常を検知する異常判定手段と、前記異常判定手段の出力で警報を出力する警報処理手段とを備え、前記異常判定処理手段は、前記判定処理手段は、前記検出器配管の下部管壁に配置された第1のマイクロ波送受信子からの反射信号の強度変化が所定の値を超えた時に堆積物と判定する堆積物判定処理手段と、前記検出器配管の上部管壁に配置された前記第2のマイクロ波送受信子からの反射信号の強度変化が所定の値を超えた時にエア溜りと判定するエア溜り判定処理手段と、前記検出器配管の側壁に配置された前記第3のマイクロ波送受信子からの反射信号の強度変化が所定の値を超えた時に付着物と判定する付着物判定処理手段とを備えたことを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明による請求項5に係るマイクロ波濃度計は、請求項1において、前記サーキュレータは、前記送信切換手段からのマイクロ波の入力端子、前記受信切換手段へのマイクロ波の出力端子の夫々に、アイソレータを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、検出器配管の外壁で対向配置される一対の第1及び第2のマイクロ波送受信子と、これらと異なる位置に配置され第3のマイクロ波送受信子と、マイクロ波を選択的に供給、受信する制御手段とその切換手段とを備え、第1乃至第3のマイクロ波送受信子の夫々のマイクロ波送受信子からマイクロ波を時分割で選択的に送信し、その反射波を受信して、夫々の反射波の強度の変化を独立に時分割で検出して、測定状態の異常を検知するようにしたので、検出器配管に備えるマイクロ波の送受信子の数を削減するとともに、堆積物、エア溜り、及び付着物の発生の異常を精度よく識別検出することの出来るマイクロ波濃度計を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
以下に、本発明による実施例1のマイクロ波濃度計について、図1乃至図3を参照して説明する。
図1は、本発明のマイクロイ波濃度計の構成図を示す。同図において、マイクロイ波濃度計の構成は、マイクロ波発信器1と、被測定液を流す検出器配管2内の管壁側面に設けられた第1乃至第3のマイクロ波送受信子3乃至5、7と、マイクロ波発信器1から送信されるマイクロ波を選択的に送受信するための送信切換スイッチSW1及び受信切換スイッチSW2と、これらのスイッチを選択的に開閉制御するスイッチ制御部6と、選択されたマイクロ波信号(以後、マイクロ波と言う)を受信して処理する信号処理部8とからなる。
さらに、第1乃至第3のマイクロ波送受信子3乃至5、7の夫々と送信切換スイッチSW1の間、及び第1乃至第3のマイクロ波送受信子3乃至5、7の夫々と受信切換スイッチSW2との間に設けられ、送信切換スイッチSW1で選択されたマイクロ波を検出器配管2内に送信し、検出器配管2内からのマイクロ波の反射波を受信して受信切換スイッチSW2の受信端子に送信するサーキュレータC1乃至サーキュレータC3とからなる。
次に、各部の詳細について説明する。マイクロ波発信器1は、例えば、1乃至3GHzの範囲の発振周波数で、被測定液に対して透過率の良い周波数を予め設定し、被測定液を透過また反射するマイクロ波が所定のエネルギーで検出されるものが選択される。
選択された発振周波数において、以下に説明する夫々の構成要素は、このマイクロ波の周波数帯域をカバーし、且つ、伝送損失の少ないものが予め選択される。
先ず、サーキュレータC1部は、受信端子C1a−1から入射したマイクロ波の進行方向を一方向に回転進行させるフェライト素子からなるサーキュレータC1aと、受信端子C1b−1に入射したマイクロ波を矢印に示す一方向に非可逆的に通過させるフェライト素子からなるアイソレータC1bと、及び受信端子C1c−1に入射したマイクロ波を矢印に示す一方向に通過させるアイソレータC1cとを備える。
例えば、サーキュレータC1部は、送信切換スイッチSW−1の端子1から送信されたマイクロ波を、アイソレータC1bを介してサーキュレータC1aの受信端子C1a−1で受信し、サーキュレータC1a内を反時計廻りで送信し、端子C1a−3からマイクロ波送受信子5へ送信して、検出器配管2内に放射する。
そして、検出器配管2内で反射されたマイクロ波は、再び、端子C1a−3から反時計廻りでサーキュレータC1aの送信端子C1a−2に送信され、送信端子C1a−2からアイソレータC1cを介して受信スイッチSW2の端子1に送信される。
同様に、サーキュレータC2(C3)部は、送信切換スイッチSW1の端子2(3)から入力されたマイクロ波を、アイソレータC2b(C3b)を介してサーキュレータC2a(C3a)の受信端子C2a−1(C3a−1)で受信し、時計廻りで送信端子C2a−2(C3a−2)に送信され、送信端子C2a−2(C3a−2)からマイクロ波送受信子3(7)へ送信され、検出器配管2内に放射する。
そして、検出器配管2内で反射されたマイクロ波は、時計廻りで、送信端子C2a−2(C3a−2)から端子C2a−3(C3a−3)に送信され、端子C2a−3(C3a−3)からアイソレータC2a(C3a)を介して受信スイッチSW2の端子3(端子2)に送信される。
アイソレータC1b(C2b、C3b)及びアイソレータC1c(C2c、C3c)bは、送信切換スイッチSW1及び受信切換スイッチSw2とサーキュレータC1a(C2a、C3a)との間でのマイクロ波の反射波の影響が無視できる場合は省略しても良い。
次に、マイクロ波送受信子3及びマイクロ波送受信子7は、検出器配管2の中心を通る法線を中心に対向して、夫々底部及び上部の管壁に設けられる。また、マイクロ波送受信子5は、検出器配管2中心を通る水平線を中心としていずれか一方の管壁に設けられる。
また、送信切換スイッチSW1は、マイクロ波発信器1から送信されるマイクロ波を受信して、3系統のいずれかに切換する機能を、また、受信切換スイッチSW2は、3系統から受信したマイクロ波を選択受信して1端子にから出力する機能を備え、夫々、所定のアイソレーション特性と所定の特性インピーダンスを備えたものが選定される。
次に、スイッチ制御部6は、送信切換スイッチSW1及び受信切換スイッチSW2の接点の切換を所定のタイミングで同期して選択制御するものである。
次に、図2を参照して、信号処理部8の構成について説明する。信号処理部8は、スイッチ制御部6で選択したマイクロ波の処理を、選択されたマイクロ波に応じて処理を選択する処理選択部8aと、処理選択部8aで選択された反射マイクロ波からの信号の異常を処理する異常判定処理部8bと、マイクロ波発信器1から送信した送信マイクロ波と被測定液を透過したマイクロ波との位相差を求め、予め校正された位相差と被測定液の濃度との相関テーブルから濃度を求める濃度判定処理部8cと、異常判定処理部8bの出力で外部に警報を出力する警報処理部8dとからなる。
そして、異常判定処理部8bは、3つのマイクロ波送受信子3、5、7から送信され、検出器配管2内で反射されたマイクロ波の変化から異常状態を判定する判定値を記憶する記憶部8b1と、マイクロ波送受信子3から送信されるマイクロ波の反射信号の変化から付着物の異常を判定する付着判定処理部8b2と、マイクロ波送受信子5から送信されるマイクロ波の反射信号の変化から堆積物の異常を判定する堆積判定処理部8b3と、マイクロ波送受信子7から送信されるマイクロ波の反射信号の変化からエア溜りの異常を判定するエア溜り判定処理部8b4とからなる。
さらに、これらの異常判定処理から異常が出力されたときにマイクロ波濃度計の外部に異常の発生を知らせる警報処理部8dとからなる。
次に、このように構成されたマイクロ波濃度計の動作について、図3を参照して説明する。
動作を説明する前に、先ず、検出器配管2内で反射されるマイクロ波から被測定液の濃度測定状態の異常を検知する検出原理について説明する。
マイクロ波などの電磁波の伝播する伝播路の特性は、単位長当たりの特性インピーダンスで示される。この特性は、伝播する媒質の誘電率・透磁率・導電率で定義される。
マイクロ波による濃度特性の場合、透磁率は急激に変動することがなくほぼ一定と考えることができるため、伝播する媒質の比誘電率をεとするとその特性インピーダンスは、下記の式で示される。
Z=Z/ε 1/2 ・・・(1)
(但し、真空の特性インピーダンスをZとする。)
次に、マイクロ波が異なる伝播路に入射し、その境界で透過、また一部が反射する場合の透過率、反射率については下記のように示される。
例えば、媒質1から媒質2に入射する場合、媒質1と媒質2の特性インピーダンスの違いにより媒質1と媒質2の境界で電磁波の一部が反射される。電磁波の透過率t、反射率rは媒質1の特性インピーダンスZ、媒質2の特性インピーダンスZ2を用いて次式で表される。
t=2min(Z、Z)/(Z+Z) ・・・(2)
r=|Z−Z|/(Z+Z) ・・・(3)
(2)式において、2min(Z、Z)は、Z、Z2の小さい方の値である。このとき、Z、Z2の比誘電率をそれぞれεr1、εr2とすると、反射率rは(1)式に示した特性インピーダンスから次式で示される。
r=|εr2 1/2−εr1 1/2|/(εr2 1/2+εr1 1/2) ・・・(4)
即ち、マイクロ波送受信子からマイクロ波が被測定液に送信される場合、その境界では、媒質1のマイクロ波送受信子の比誘電率εr1と、媒質2の被測定液の比誘電率εr2によって、反射率rが変化する。
ここで、マイクロ波が検出器配管2内で伝播する場合の媒質について、マイクロ波送受信子、被測定液(水)、空気(エア溜り)の比誘電率は、夫々、3、80、1であるので、マイクロ波送受信子から被測定液(水)の境界での反射率r、またマイクロ波送受信子から空気(エア溜り)の境界での反射率rを求めると、夫々0.68.0.26となる。
即ち、検出器配管2内が満水の状態、及び非満水の状態では、反射率rが0.68から0.26と約2倍以上も減衰することになるので、反射マイクロ波の受信強度の変化から検出器配管2内の被測定液の異常状態を検出することが出来る。
このように、本発明は、マイクロ波の反射信号の変化から検出器配管2内の被測定液の状態の異常を検出することを検出原理とする。
次に、この被測定液の異常状態、即ち、検出器配管2の上部に気泡が溜まることによって生成されるエア溜まり、下部に被測定液の懸濁物質が長期の間に堆積して生成される堆積物、及び被測定液の懸濁物質が検出器配管2の側壁に付着して生成される付着物の異常の検出と、被測定液の濃度測定とを検出器配管2の内壁の異なる位置から時分割で送信して、異常状態の検出と濃度測定とを時分割で制御する制御動作について図3を参照して説明する。
先ず、検出器配管2の水平方向の中心位置の側壁に設けられるマイクロ波送受信子5を使用して管壁に付着する付着物の異常を検出する付着判定について説明する。
この場合には、送信切換スイッチSW1は端子1が選択され、受信切換スイッチSW1は端子1が選択され、マイクロ波発信回路1から送信されたマイクロ波は、サーキュレータC1を介して、検出器配管2の側壁のマイクロ波送受信子3から所定の期間T1の間放射される。
そして、管壁から放射されたマイクロ波は、再びサーキュレータC1を介してスイッチ制御部6で選択された受信切換スイッチSw2の端子1に送信され、さらに、スイッチ制御部6から送信された選択信号で信号処理部8の処理選択部8a(例えば、スイッチの端子1)で選択送信されたマイクロは信号の変化から付着判定処理部8b2で所定の期間T1内で付着の異常の有無が、予め記憶された記憶部8b1の判定値と比較判定される。
ここで、異常ありと判定された場合には警報処理部8dから異常が外部に送信される。
次に、検出器配管2の重力方向の中心位置の管壁下部に設けられるマイクロ波送受信素子3を使用して管壁下部に堆積する堆積物の異常を検出する堆積判定について説明する。
この場合には、送信切換スイッチSW1は端子2が選択され、受信切換スイッチSW2は端子3が選択され、マイク波発信回路1から送信されたマイクロ波は、サーキュレータC2を介して、検出器配管2の側壁のマイクロ波送受信子5から所定の期間T3の間放射される。
そして、管壁から放射されたマイクロ波は、再びサーキュレータC2を介してスイッチ制御部6で選択された受信切換スイッチSW2の端子3に送信され、さらに、スイッチ制御部6で選択された信号処理部8の処理選択部8a(例えば、スイッチの端子2)で選択送信されたマイクロは信号の変化から堆積判定処理部8b3で所定の期間T3内に、堆積の異常の有無が、予め記憶された記憶部8b1の判定値と比較される。
ここで、異常ありと判定された場合には警報処理部8dから異常が外部に送信される。
同様に、検出器配管2の重力方向の中心位置の管壁上部に設けられるマイクロ波送受信素子7を使用して管壁上部に集まるエア溜まりのエア溜まり判定について説明する。
この場合には、送信切換スイッチSW1は端子3が選択され、受信切換スイッチSW1は端子2が選択され、マイクロ波発信回路1から送信されたマイクロ波は、サーキュレータC3を介して、検出器配管2の上部側壁から所定の期間T4の間放射される。
そして、管壁から放射されたマイクロ波は、再びサーキュレータC2を介してスイッチ制御部6で選択された受信切換スイッチSw2の端子2に送信され、さらに、信号処理部8の処理選択部8a(例えば、スイッチの端子3)で選択送信されるマイクロ波の変化からエア溜まり判定処理部8b4で所定の期間T4内に、エア溜まりの異常の有無が、予め記憶された記憶部8b1の判定値と比較される。
ここで、異常ありと判定される場合には警報処理部8dから異常が外部に送信される。
これらの異常処理とは別のタイミングで、マイクロ波送受信子3及び7とを使用して濃度測定を行う。この濃度測定の詳細は、背景技術で説明したものと同じであるので詳細な説明を省略し、この測定タイミングについて説明する。
この場合、送信切換スイッチSW1は端子2が選択され、受信切換スイッチSW1も端子2が選択される。そして、マイク波発信回路1から送信されたマイクロ波は、サーキュレータC2を介して、検出器配管2の下部側壁から所定の期間T2の間放射される。
そして、管壁から放射されたマイクロ波は、被測定液を透過し、透過したマイクロ波がマイクロ波送受信素子7で受信され、サーキュレータC3を介してスイッチ制御部6で選択された受信切換スイッチSW2の端子2に送信され、さらに、信号処理部8の処理選択部8a(例えば、スイッチの端子2)で選択送信されたマイクロ波とマイクロ波送信器1から送信されたマイクロ波との位相差が濃度判定処理部8cで所定の時間T2内求められ、予め記憶された記憶部8b1の図示しない位相差と濃度の校正テーブルを参照し、位相差に対応する濃度が出力される。
以上の説明では、図3に示す夫々のスイッチの選択論理を時系列で、夫々の測定期間を期間T1乃至T4として示したが、送信切換スイッチSW1及び受信切換スイッチSW2の端子選択の論理が図3で示すものと同じであれば、その選択(開閉)の順序は任意で良い。
通常、この選択は、濃度測定が一定周期で、他の異常の判定処理はそれより長いインターバルで行われ、被測定液の状態によりシステムごとに最適な異常値の判定のためのインターバルが予め設定される。
また、記憶部8b1に記憶される異常値の判定値は、付着物、堆積物及びエア溜まりの無い状態での信号のレベルと、異常の発生した状態での信号のレベルを記憶し、この信号のレベルの差の範囲内で任意の値が予め判定値として記憶される。
したがって、検出器配管2内で異常の発生の箇所に近いところからマイクロ波を送信し、被測定液の状態に応じて最適な判定値を選択設定することが出来るので、異常の有無を精度よく判定することが出来る。
以上説明したように、一対のマイクロ波送受信子3、7と1つのマイクロ波送受信子5との構成により、夫々のマイクロ波受信子でマイクロ波の反射の変化を、また、一対のマイクロ波送受信子3、7で濃度を、夫々を時分割処理して測定するようにしたので、シンプルな構成で、且つ、被測定液の濃度測定とその異常状態の判定が精度よく行なえる。
以下に、本発明の実施例2に係るマイクロ波濃度計について、図4を参照して説明する。図4に示す実施例の各部について、実施例1のマイクロ波濃度計の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
この実施例2が実施例1と異なる点は、実施例1では、マイクロ波送受信子3及びマイクロ波送受信子7は、検出器配管2の中心を通る法線を中心に対向して、夫々底部及び上部の管壁に設け、また、マイクロ波送受信子5は、検出器配管2中心を通る水平線を中心としていずれか一方の管壁に設けたが、本実施例2では、マイクロ波送受信子3及びマイクロ波送受信子7は、検出器配管2の中心を通る水平線を中心に対向して、管側壁に設け、また、マイクロ波送受信子5は、検出器配管2中心を通る重力方向の管壁上部設けた点にある。
したがって、堆積物の異常判定はできないものの付着物の異常判定を側壁両面で、またエア溜まりの異常を精度良く判定できる。
以下に、本発明の実施例3に係るマイクロ波濃度計について、図5を参照して説明する。図5に示す実施例の各部について、実施例1のマイクロ波濃度計の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
この実施例3が実施例1と異なる点は、実施例1では、マイクロ波送受信子3及びマイクロ波送受信子7は、検出器配管2の中心を通る法線を中心に対向して、夫々底部及び上部の管壁に設け、また、マイクロ波送受信子5は、検出器配管2中心を通る水平線を中心としていずれか一方の管壁に設けたが、本実施例2では、マイクロ波送受信子3及びマイクロ波送受信子7は、検出器配管2の中心を通る水平線を中心に対向して、管側壁に設け、また、マイクロ波送受信子5は、検出器配管2中心を通る重力方向の管壁下部設けた点にある。
したがって、エア溜まりの異常判定はできないものの付着物の測定を側壁両面で、また堆積物の異常を精度良く判定できる。
本発明は、上述した実施例に何ら限定されるものではなく、マイクロ波送受信子の数を検出器配管2の異常の発生し易い任意の管壁位置に配置しても良く、また、その数を増やすことも可能で、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明の実施例1のマイクロ波濃度計の構成図。 本発明のマイクロ波濃度計のマイクロ波の選択制御動作を説明するタイムチャート。 本発明の信号処理部の構成図。 本発明の実施例2のマイクロ波濃度計の構成図。 本発明の実施例3のマイクロ波濃度計の構成図。 従来のマイクロ波濃度計の構成図。
符号の説明
1 マイクロ波発信器
2 検出器配管
3、5、7 マイクロ波送受信子
SW1 送信切換スイッチ
SW2 受信切換スイッチ
C1、C2、C3 サーキュレータ部
C1a、C2a、C3a サーキュレータ
C1b、C2b C3b アイソレータ
C1c、C2c、C3 アイソレータ
8 信号処理部
8a 処理選択部
8b 異常判定処理部
8b1 記憶部
8b2 付着判定処理部
8b3 堆積判定処理部
8b4 エア溜り判定処理部
8c 濃度判定処理部
8d 警報処理部

Claims (5)

  1. 被測定液を流すための検出器配管と、
    前記検出器配管の中心を通る線上で該検出器配管を挟んでその外壁で互いに対向配置される一方の外壁の下部で、前記検出器配管内へマイクロ波を送信、また、その反射波を受信する第1のマイクロ波送受信子と、
    他方の、外壁の上部で前記第1のマイクロ波送受信子から送信され前記被測定液を透過したマイクロ波を受信、また、自マイクロ波送受信子からマイクロ波を送信し、その反射波を受信する第2のマイクロ波送受信子と、
    前記検出器配管の外壁で、前記第1のマイクロ波送受信子及び前記第2のマイクロ波送受信子の間の異なる外壁の水平位置に配置され、自マイクロ波送受信子からマイクロ波を送信し、その反射波を受信する第3のマイクロ波送受信子と、
    前記第1乃至第3のマイクロ波送受信子に供給するマイクロ波を発信するマイクロ波発信手段と、
    前記マイクロ波発信手段から発信される前記マイクロ波を前記第1乃至第3のマイクロ波送受信子に選択的に供給する送信子切換手段と、
    前記第1乃至第3のマイクロ波受信子にて受信されたマイクロ波を選択的に前記信号処理手段に供給する受信子切換手段と、
    前記第1乃至第3のマイクロ波送受信子からのマイクロ波を前記送信子切換手段と前記受信子切換手段とを時分割で選択的に制御する制御手段と、
    前記送信切換手段で選択されたマイクロ波を前記第1乃至第3のマイクロ波送受信子に供給し、その反射波を前記受信子切換手段に送信する夫々の第1乃至第3のサーキュレータと、
    前記制御手段で選択抽出された前記第1乃至第3のマイクロ波送受信子で検出された反射波の変化から、被測定液の状態の異常検出し、また、前記マイクロ波発信手段から発信されたマイクロ波と前記第2のマイクロ波送受信子で受信したマイクロ波との位相差から前記被測定液の濃度を求める信号処理手段とを
    備えたことを特徴とするマイクロ波濃度計。
  2. 前記信号処理手段は、前記制御手段で選択されたマイクロ波に応じてその処理手段を選択する処理選択手段と、
    前記マイクロ波発信手段からのマイクロ波の位相を基準として、前記処理選択手段で選択された前記第1のマイクロ波送受信子から送信したマイクロ波が前記被測定液を透過し、前記第2のマイクロ波送受信子で受信したマイクロ波の位相の変化を検出して前記測定対象液の濃度を求める濃度検出手段と、
    前記処理選択手段で選択された前記第1乃至第3のマイクロ波送受信子で検出される夫々の反射波の強度の変化を検出し、前記検出器管内の前記被測定液の濃度測定状態の異常を検知する異常判定手段と、
    前記異常判定手段の出力で警報を出力する警報処理手段と
    を備え、
    前記異常判定処理手段は、前記判定処理手段は、前記検出器配管の下部管壁に配置された第1のマイクロ波送受信子からの反射信号の強度変化が所定の値を超えた時に堆積物と判定する堆積物判定処理手段と、前記検出器配管の上部管壁に配置された前記第2のマイクロ波送受信子からの反射信号の強度変化が所定の値を超えた時にエア溜りと判定するエア溜り判定処理手段と、前記検出器配管の側壁に配置された前記第3のマイクロ波送受信子からの反射信号の強度変化が所定の値を超えた時に付着物と判定する付着物判定処理手段とを
    備えたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波濃度計。
  3. 前記検出器配管の外壁で対向配置される前記第1乃至第2のマイクロ波送受信子を前記検出器配管の水平方向の外壁に配置し、前記第3のマイクロ波送受信子を前記検出器配管の重力方向の外壁の上部に配置したことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波濃度計。
  4. 前記検出器配管の外壁で対向配置される前記第1乃至第2のマイクロ波送受信子を前記検出器配管の水平方向の外壁に配置し、前記第3のマイクロ波送受信子を前記検出器配管の重力方向の外の底部に配置したことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波濃度計。
  5. 前記サーキュレータは、前記送信切換手段からのマイクロ波の入力端子、前記受信切換手段へのマイクロ波の出力端子の夫々に、アイソレータを備えたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波濃度計。
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