JP2007271144A - スターリング機関 - Google Patents

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    • F25B2309/00Gas cycle refrigeration machines
    • F25B2309/001Gas cycle refrigeration machines with a linear configuration or a linear motor

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Abstract

【課題】 スターリング機関が膨張過程であっても、ピストン外壁とシリンダ内壁との間隙に背圧空間からの作動ガスを噴射させる気体軸受け機構を設けることによって、高性能かつ高信頼性が確保されたスターリング機関を提供する。
【解決手段】 スターリング機関のピストン1は、その内部に作動ガスを貯留するためのガス貯留室1aを有し、その圧縮空間7側の外壁には圧縮空間側作動ガス流入孔4を、シリンダ内壁面3aに対向するピストン外壁には圧縮空間側作動ガス噴出孔6を備えている。また、背圧空間18側のピストン外壁には背圧空間側作動ガス流入孔19を、シリンダ内壁面に対向するピストン外壁には背圧空間側作動ガス噴出孔20を、さらに、背圧空間側作動ガス流入孔19と背圧空間側作動ガス噴出孔20とを連通する背圧空間側作動ガス通路21を備え、背圧空間側作動ガス噴出機構を構成している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スターリング冷凍機、スターリング発電機等のスターリング機関に関し、より具体的には、スターリング機関のパワーピストン及びディスプレーサに用いられる気体軸受け構造に関する。
図7は、従来のスターリング機関の概略断面図である。ここでは、スターリング機関としてスターリング冷凍機を例示して、その構造について説明する。
フリーピストン型スターリング冷凍機では、内部にシリンダ3を有し、シリンダ3の内部空間にピストン1およびディスプレーサ2を同軸上に配置する。そうすることにより、ピストン1とディスプレーサ2との間に圧縮空間7を、ディスプレーサ2と吸熱部12との間に膨張空間8を、ピストン1と本体ケーシング17の閉塞端との間に背圧空間18をそれぞれ形成する。また、この圧縮空間7と膨張空間8との間には再生器9が配置されている。
本体ケーシング17やシリンダ3内は、例えばヘリウムなどの不活性ガスが作動ガスとして充填されている。上記ピストン1は、例えばリニアモータ16などの駆動手段によって駆動され、シリンダ3内を軸心方向に往復運動する。このピストン1の往復運動は、上記圧縮空間7に周期的な圧力変化をもたらし、圧縮に伴って作動ガスは再生器9を介して膨張空間8へと流入し、膨張に伴って膨張空間8から圧縮空間7に流出する。この作動ガスの移動により、ディスプレーサ2に周期的な軸心方向の往復運動が生じる。
ディスプレーサ2は、ディスプレーサロッド14の一端に固定されており、さらにこのディスプレーサロッド14の他端は、共振用バネ15を介して本体ケーシング17に取り付けられている。このディスプレーサロッド14は、ピストン1の軸心に設けられた貫通孔を貫くように配置されている。上述した膨張空間8への作動ガスの流入・流出により生じる往復運動と共振用バネ15の弾性力により、ディスプレーサ2はピストン1と同周期で、一定の位相差をもって往復運動する。以上の構成および動作により、シリンダ3内に既知の熱力学サイクルである逆スターリングサイクルが構成され、放熱部10から放熱し、吸熱部12から吸熱して近傍の外気を冷却する。
また、上述したようなピストン1およびディスプレーサ2の往復運動により、ピストン1およびディスプレーサ2と、シリンダ3との摺動部に摩擦が生じる。摩擦による磨耗の影響により、スターリング冷凍機の性能および信頼性が大きく低下する。そのため、気体軸受け構造を採用することにより、摺動部での低摩擦化が図られている。
次に、従来のスターリング冷凍機に用いられている気体軸受け構造について説明する。
気体軸受けは、ピストン1およびディスプレーサ2内部に形成されたガス貯留室1aおよびディスプレーサ内部空間2aから、シリンダ内壁面3aに高圧の作動ガスを噴出することにより、ピストン1およびディスプレーサ2がシリンダ内壁面より浮上した状態で往復運動するように構成されている。この気体軸受けは、一般にピストン1およびディスプレーサ2の両方に、それぞれ設けられるものであるが、その構造はほぼ同一であるため、以下、ピストン1に設けられた気体軸受け構造について説明を行う。
ピストン外壁のうち圧縮空間7に面する外壁には、ガス貯留室1aと圧縮空間7とを連通させるための圧縮空間側作動ガス流入孔4が設けられている。ガス貯留室1aより圧縮空間7の圧力が高ければ、高圧の作動ガスがガス貯留室1aに流入する。また圧縮空間側作動ガス流入孔4には逆止弁が取り付けられており、高圧の作動ガスが圧縮空間7に逆流することを防ぎ、ガス貯留室1aの圧力を高く維持することができる。また、ピストン外壁のうちシリンダ内壁面に対向する部分には、ガス貯留室1aと連通する圧縮空間側作動ガス噴出孔6が設けられている。圧縮空間側作動ガス噴出孔6は、ピストンに設けられた嵌合穴にピストン1とは別部材の、例えば金属性細管が嵌合されるなどして形成されている。
上記のような構成により、ガス貯留室1aの圧力が圧縮空間側作動ガス噴出孔6周辺の気体圧力より高ければ、圧縮空間側作動ガス噴出孔6よりシリンダ内壁に向けて高圧の作動ガスが噴出され気体軸受けとして作用し、ピストン1はシリンダ3と接触を起すことなく往復運動することが可能となる。ディスプレーサ2についても同様である。
特開2003−166767号公報
上記の気体軸受け構造を採用したスターリング機関の問題点を以下に示す。
まず、従来のスターリング機関に採用されていた気体軸受け構造では、上記のようにピストンまたはディスプレーサにおいて、作動ガスを圧縮空間側からのみ流入しシリンダ外壁に噴射させることによって、気体軸受けを実現させていた。しかし、圧縮空間側に気体軸受け構造を構成する必然性はなく、背圧空間側及びまたは膨張空間側の作動ガスを利用した気体軸受け構造を構成したとしても、同様の気体軸受け効果を享受することが可能であった。
次に、従来の気体軸受け構造では、気体軸受けが効果的に機能しない場合についての説明を示す。
スターリング機関が膨張過程においては、圧縮空間の作動ガスも圧力が低下するため、気体軸受けに必要な高圧の作動ガスをピストンのガス貯留室に十分に提供できなかった。そのため、特に重量の大きいピストン側で気体軸受けが効果的に機能しないという問題があった。
その問題点について、図8を用いてより詳細に説明する。図8は、圧縮空間圧力、背圧空間圧力及びピストンストロークの時間変化を示す実験結果図である。図8の左縦軸は圧力の目盛り、右縦軸はピストンストロークの目盛り、横軸は時間の目盛りである。ここで、右縦軸と横軸に関しては、具体的数値を示さず記号(A、T)を用いて示している。また、圧縮空間と背圧空間の圧力は、実測値から時間平均圧力を引く補正をして表している。
図8に示すように、圧縮空間の圧力は、ピストンストロークの時間変化に対してある位相差を持って変化し、振幅:約0.2MPa、周期:約2.85Tとする周期変化を示す。また、背圧空間の圧力は、圧縮空間の時間変化と逆位相の関係にあり、振幅:約0.2MPa、周期:約2.85Tとする周期変化を示す。ここで、圧縮空間の圧力が高く背圧空間の圧力が低い時点は、スターリング機関が圧縮過程であり、圧縮空間の圧力が低く背圧空間の圧力が高い時点は、スターリング機関が膨張過程である。
図8からも分かるように、スターリング機関が膨張過程においては、圧縮空間の圧力が背圧空間の圧力を下回って低下する。この場合において、上に示したような気体軸受けが効果的に機能しない問題が生じることになる。
また、ディスプレーサ側も、圧縮空間の圧力が低くなり、膨張空間側の圧力が高くなる過程においては、気体軸受けとしての機能が低くなる問題点があった。
本発明は上記問題を解決すべくなされたものであり、スターリング機関が膨張過程であっても、ピストン外壁とシリンダ内壁との間隙に背圧空間からの作動ガスを噴射させる気体軸受け機構、またはおよびディスプレーサ外壁とシリンダ内壁との間隙に膨張空間からの作動ガスを噴射させる気体軸受け機構を設けることによって、高性能かつ高信頼性が確保されたスターリング機関の提供を目的とするものである。
本発明のスターリング機関は、
往復運動するピストンと、該ピストンと位相差をもって往復運動するディスプレーサとをシリンダ内に設置し、ピストンとディスプレーサとの間に区画形成された圧縮空間を有し、ディスプレーサの圧縮空間と反対側に膨張空間を有すると共にピストンの圧縮空間と逆の側に区画形成された背圧空間を有するスターリング機関であって、
膨張空間又は背圧空間の少なくとも一方の作動ガスを、当該空間に面する前記ピストン又はディスプレーサの外壁とシリンダ内壁との間隙に気体軸受け用に噴出させる気体軸受け機構を有する。
本構成をとることにより、本発明のスターリング機関は、膨張空間又は背圧空間の少なくともいずれか一方の作動ガスをピストン又はディスプレーサの外壁とシリンダ内壁との間隙に噴出させて、気体軸受け作用を得ることが可能である。
上記本発明のスターリング機関は、
さらに、ピストン、ディスプレーサの少なくとも一方は、その内部に圧縮空間から作動ガスが流入するガス貯留室を有し、シリンダの内壁に面する外壁に、ガス貯留室からの作動ガスをシリンダ内壁に噴射する気体軸受け構造を有する。
本構成をとることにより、本発明のスターリング機関は、膨張空間又は背圧空間の気体軸受け構造に加えて、さらに、ピストン、ディスプレーサの少なくとも一方に圧縮空間の作動ガスを用いた気体軸受け構造を有することにより、より安定的な気体軸受け作用を得ることが可能である。
上記本発明のスターリング機関は、
さらに、前記気体軸受け機構は、膨張空間又は背圧空間に面した作動ガス流入孔と、シリンダ内壁に面した作動ガス噴出孔と、作動ガス流入孔と作動ガス噴出孔とを連通する作動ガス通路とを有し、作動ガス流入孔から流入した作動ガスを作動ガス噴出孔から噴出させる構造を有する。
本構成をとることにより、膨張空間または背圧空間の気体軸受け機構は、膨張空間又は背圧区間からの作動ガスを流通させる流路を確保することができ、気体軸受けを実現することが可能である。
また、本発明のスターリング機関は、
往復運動するピストンと、ピストンと位相差をもって往復運動するディスプレーサとをシリンダ内に配置し、ピストンとディスプレーサとの間に区画形成された圧縮空間を有し、ピストンの圧縮空間と逆の側に区画形成された背圧空間を有し、
ピストンは、その内部に圧縮空間から作動ガスが流入するガス貯留室を有し、シリンダ内壁に面するピストン外壁に、ガス貯留室からの作動ガスをシリンダ内壁に噴射する気体軸受け構造を有し、
さらに、ピストン外壁とシリンダ内壁との間隙に背圧空間からの作動ガスを噴射させる気体軸受け機構を有している。
本構成をとることにより、本発明のスターリング機関は、膨張過程であっても、背圧空間から作動ガスをピストン外壁とシリンダ内壁との間隙に背圧空間からの作動ガスを噴射させることができる。よって、膨張過程であっても、気体軸受けをとしての作用を得ることが可能である。
本発明の第1の局面に従うスターリング機関は、
ピストンが、背圧空間に面した作動ガス流入孔と、シリンダ内壁に面した作動ガス噴出孔と、作動ガス流入孔と作動ガス噴出孔とを連通する作動ガス通路とを有し、作動ガス流入孔から流入した作動ガスを作動ガス噴出孔から噴出させる気体軸受け機構を有する。
本構成をとることにより、本発明のスターリング機関は、膨張過程であっても、背圧空間から作動ガス通路を通して、作動ガス噴出孔よりシリンダ内壁面に作動ガスを噴出させることが可能となり、気体軸受けとしての作用を得ることが可能である。
上記本発明の第1の局面に従うスターリング機関は、
さらに、作動ガス通路の少なくとも一部を分割面とする分割構造で気体軸受け機構が構成されている。
本構成をとることにより、ピストン自体に直接微細な孔通路の加工を施すよりも、より容易に、ピストンに作動ガス通路を形成することが可能となる。
本発明の第2の局面に従うスターリング機関は、
駆動手段に駆動されて往復運動するピストンと、ピストンと位相差をもって往復運動するディスプレーサとをシリンダ内に配置し、ピストンとディスプレーサとの間に区画形成された圧縮空間を有し、ピストンの圧縮空間と逆の側に区画形成された背圧空間を有し、
ピストンは、その内部に圧縮空間から作動ガスが流入するガス貯留室を有し、シリンダ内壁に面するピストン外壁にガス貯留室からの作動ガスをシリンダ内壁に噴射する気体軸受け構造を有する。
さらに、シリンダは、背圧空間に面した作動ガス流入孔と、ピストン外壁に面した作動ガス噴出孔と、作動ガス流入孔と作動ガス噴出孔とを連通する作動ガス通路とを有し、作動ガス流入孔から流入した作動ガスを、作動ガス噴出孔から噴出させる気体軸受け機構を有する。
本構成をとることにより、本発明のスターリング機関は、膨張過程であっても、背圧空間から作動ガス通路を通して、作動ガス噴出孔よりピストン外壁面に作動ガスを噴出させることが可能となり、気体軸受けとしての作用を得ることができる。よって、第1の局面に従うスターリング機関と同様の効果を享受することが可能である。
上記本発明の第1または第2の局面に従うスターリング機関において、
さらには、作動ガス噴出孔が、気体軸受け構造のガス噴出孔からピストンの駆動方向に伸ばした直線上に位置しないように配置される。
本構成をとることにより、ピストンが駆動されても作動ガス噴出孔から噴出される作動ガスと気体軸受け構造のガス噴出孔から噴出される作動ガスが、シリンダとピストンの間に確実に充填されるため、より安定的な気体軸受け効果を得ることが可能である。
以上説明したように、本発明のスターリング機関によれば、スターリング機関が膨張過程であっても、ピストン外壁とシリンダ内壁との間隙に背圧空間からの作動ガスを噴射させる気体軸受け機構、またはおよびディスプレーサ外壁とシリンダ内壁との間隙に膨張空間からの作動ガスを噴射させる気体軸受け機構を設けることによって、高性能かつ高信頼性が確保されたスターリング機関を実現することが可能である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
なお、ここでも本発明のスターリング機関を用いたスターリング冷凍機を例示して説明を行う。また、本実施形態のスターリング機関は、そのピストンまたはシリンダの構造を除いて上述した従来のスターリング機関と同様の構造である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1実施形態のスターリング冷凍機の要部概略断面図である。また、図2、及び図3は、それぞれ、本発明の第1実施形態のスターリング冷凍機に用いられるピストンの平面図に噴出孔の位置関係を書き記した図、及び周面の展開図である。以下、図1、図2、及び図3を参照して本実施形態のスターリング冷凍機のピストンの構造を説明する。
まず、図1を参照してピストン1の構造について説明する。
図1に示すように、ピストン1は、その内部に作動ガスを貯留するためのガス貯留室1aを備えた円筒形状を有しており、その圧縮空間7側の外壁には圧縮空間側作動ガス流入孔4を、シリンダ内壁面3aに対向するピストン外壁には圧縮空間側作動ガス噴出孔6を備えている。また、背圧空間18側のピストン外壁には背圧空間側作動ガス流入孔19を、シリンダ内壁面3aに対向するピストン外壁には背圧空間側作動ガス噴出孔20を備えており、背圧空間側作動ガス流入孔19と背圧空間側作動ガス噴出孔20とを連通する背圧空間側作動ガス通路21を有している。この背圧空間側作動ガス流入孔19、背圧空間側作動ガス噴出孔20、及び背圧空間側作動ガス通路21により、背圧空間側作動ガス噴出機構を構成している。
圧縮空間7側の圧縮空間側作動ガス流入孔4には、ガス貯留室1aに流入した作動ガスの逆流を防止する逆止弁を設けてある。また、ガス貯留室1aと連通している圧縮空間側作動ガス噴出孔6は、ピストン外壁面の凹部に設けられた嵌合穴に、ピストン1とは別部材の連通孔部材、たとえば金属性細管が嵌合されるなどして設けられている。なお、2はディスプレーサである。
次に、背圧空間側作動ガス噴出機構の動作原理について説明する。
まず、ピストン1が駆動され往復運動をすると、ピストン1の摺動部に近い作動ガスはピストン1と共に移動し、静止しているシリンダ3に近い作動ガスは移動が小さいため、摺動部付近の作動ガスに流速分布が生じる。すると、摺動部の作動ガスに流速が発生したことに伴い、静圧が低下する。このことはベルヌーイの定理により証明される。よって、背圧空間側作動ガス通路21内の気体圧力は背圧空間18の気体圧力と同じであるが、摺動部の作動ガスの静圧低下により、背圧空間18より流入した、背圧空間側作動ガス通路21内の作動ガスが、背圧空間側作動ガス噴出孔20から噴出され気体軸受けが機能することが可能となる。
次に、図2、及び図3を参照して、ピストン外壁における圧縮空間側作動ガス噴出孔6と背圧空間側作動ガス噴出孔20の配置について説明する。
図2、及び図3に示すように、圧縮空間側作動ガス噴出孔6と背圧空間側作動ガス噴出孔20の位置は相互に、適当な距離をもって配置されることが好ましい。距離が近すぎると、圧縮空間側作動ガス噴出孔6から噴出された作動ガスが背圧空間側作動ガス噴出孔20へ流入したり、またその逆になったりする可能性があり、気体軸受けの安定性を損ねるからである。
その配置の仕方としては、背圧空間側作動ガス噴出孔20の位置が、圧縮空間側作動ガス噴出孔6の位置からピストン1の駆動方向と平行な方向に伸ばした直線上にないように配置されることが好ましい。このように配置することにより、ピストン1が駆動されても圧縮空間側作動ガス噴出孔6から噴出された作動ガスが背圧空間側作動ガス噴出孔20へ流入する等がなくなり、より安定的な気体軸受け効果を得ることが可能である。
また、より安定した気体軸受けを実現するためには、特に図3に示すように、背圧空間側作動ガス噴出孔の位置20と隣接する2つの圧縮空間側作動ガス噴出孔6の位置を結ぶ形状が、隣接する2つの前記圧縮空間側作動ガス噴出孔6・6を結ぶ辺が底辺となる二等辺三角形状を形成するような千鳥配置が好ましい。このように配置することにより、隣接する2つの前記圧縮空間側作動ガス噴出孔6それぞれと、背圧空間側作動ガス噴出孔20との間隔が、バランスよく長く取れることにより、圧縮空間側作動ガス噴出孔6から噴出された作動ガスが背圧空間側作動ガス噴出孔20へ流入する等がなくなり、より安定的な気体軸受け効果が得ることが可能である。また、作動ガス通路21はピストン1の外壁に形成されるので、口径に限度があり、ガス貯留室1aを通過する圧縮空間側作動ガスに比べて通風抵抗が大きくなるので、これを小さくする滑らかな形状や長さにすれば効果的である。例えば、通風抵抗は通路の長さに依存するので、通路21のピストン1の端部からの軸方向の長さを、ピストン1の圧縮空間側端部から作動ガス噴出孔6の形成位置までの長さに比して、短めにして通風抵抗を小さくしても良い。
以上述べたように、本構成をとることにより、背圧空間18から背圧空間側作動ガス通路21を通して、背圧空間側作動ガス噴出孔20よりシリンダ内壁面3aに作動ガスを噴出させることが可能となり、スターリング冷凍機が膨張過程であっても、気体軸受けとしての作用を得ることができる。
また、従来のスターリング機関は圧縮過程の場合においても、ガス貯留室の圧力が圧縮空間側噴出孔周辺の気体圧力よりある程度高くなければ、圧縮空間側噴出孔から作動ガスが噴出されない構造であった。しかし、本構成をとることにより、この場合においても、気体軸受けとしての作用を得ることができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2実施形態のスターリング冷凍機の要部概略断面図である。
図4を参照して本実施形態のスターリング冷凍機のピストンの構造を説明する。第1実施形態と共通の部分に関しては説明を省略し、第2実施形態の特徴部分について説明をする。
図4に示すように、第2実施形態のピストン31の背圧空間側作動ガス噴出孔32は、ピストン外壁面に形成した凹部33に設けられている。上述した圧縮空間側作動ガス噴出孔6と同様に、ピストン31に背圧空間側作動ガス噴出孔32を形成する際に、背圧空間側作動ガス噴出孔32周辺が変形し、ピストン外壁面とシリンダ内壁面が接触する恐れがある。よって、本構成をとることにより、接触を防止することができ、摩擦の増大やシリンダ3の破損を未然に防止することが可能である。
(実施の形態3)
図5は、本発明の第3実施形態のスターリング冷凍機のピストンの要部概略断面図と平面図である。
以下、図5を参照して本実施形態のスターリング冷凍機のピストンの構造を説明する。第1実施形態と共通の部分に関しては説明を省略し、第3実施形態の特徴部分について説明をする。
図5に示すように、第3実施形態のピストン41の背圧空間側作動ガス通路42は屈曲部分(コーナー部分)が曲線で構成されている。このような形態にすることにより、背圧空間18からの作動ガスが背圧空間側作動ガス通路42内をスムーズに流れることにより、圧損を生じずシリンダ内壁面に噴出され、より効果的な気体軸受けを実現することが可能である。
図5に示すように、ピストン40は、曲線を含む通路42を容易に製作するために分割構造を有しており、ピストン本体41に対して背圧空間側作動ガス噴出機構構成用別部品43が取り付けられる構成である。背圧空間側作動ガス噴出機構構成用別部品43は、ピストン本体41との分割面に溝を有し、ピストン本体41に取り付けられると、背圧空間側作動ガス通路42を形成する。以上の構成により、ピストン40は、背圧空間側に気体軸受け機構を有することができる。
気体軸受けとして機能させるために、背圧空間側作動ガス通路42の口径はごく微小に設計される必要がある。そのため、ピストン40に直接、背圧空間側作動ガス通路42を設けることは、高度な加工技術が必要とされる。しかし、本構成をとることにより、ピストン40に背圧空間側作動ガス通路42を直接加工する必要がなく、別部品として形成した背圧空間側作動ガス噴出機構構成用別部品43をピストン本体41に取り付ければよいため、スターリング冷凍機を容易に生産することが可能となる。また、背圧空間側作動ガス噴出機構構成用別部品43を取り外し可能な構成としておくことにより、背圧空間側作動ガス通路42内に埃や金属片がつまった場合には、背圧空間側作動ガス噴出機構構成用別部品43を取り外して清掃したり、背圧空間側作動ガス噴出機構構成用別部品43の交換を行うことができ、生産的に有利である。
(実施の形態4)
図6は、本発明の第4実施形態のスターリング機関の概略断面図である。
図6を参照して本実施形態のスターリング冷凍機のピストン及びシリンダの構造を説明する。第1実施形態と共通の部分に関しては説明を省略し、第4実施形態の特徴部分について説明をする。上記第1〜3の実施形態は、すべてピストン側に背圧空間側作動ガス噴出機構を設けたものであるが、本実施形態は、シリンダ側に背圧空間側作動ガス噴出機構を設けたものである。
図6に示すように、第4実施形態のシリンダ51は、内部に摺動部と背圧空間18とを連通する背圧空間側作動ガス通路52を有し、そのシリンダ内壁面には背圧空間側作動ガス噴出孔53を、シリンダ外壁面には背圧空間側作動ガス流入孔54を有する。
本構成をとることにより、上述したように、ピストンに背圧空間側作動ガス噴出機構を設けた場合と同様に、本実施形態のスターリング冷凍機は、膨張過程であっても、また、圧縮過程でガス貯留室1aの圧力が圧縮空間側作動ガス噴出孔6周辺の気体圧力より高くない場合であっても、背圧空間18から背圧空間側作動ガス通路52を通して、背圧空間側作動ガス噴出孔53よりピストン外壁面に作動ガスを噴出させることが可能となり、気体軸受けとしての効果を得ることが可能となる。
さらに、本実施形態においても、より安定した気体軸受けを実現するために、圧縮空間側作動ガス噴出孔6と背圧空間側作動ガス噴出孔53の位置は相互に、適当な距離を持って配置されることが好ましい。
その配置の仕方としては、背圧空間側作動ガス噴出孔53の位置が、圧縮空間側作動ガス噴出孔6の位置からピストン55の駆動方向と平行な方向に伸ばした直線上にないように配置されることが好ましい。さらには、背圧空間側作動ガス噴出孔53と隣接する2つの圧縮空間側作動ガス噴出孔6の位置を結ぶ形状が、隣接する2つの前記圧縮空間側作動ガス噴出孔を結ぶ辺が底辺となる二等辺三角形状を形成するような千鳥配置が好ましい。このように配置することにより、圧縮空間側作動ガス噴出孔6から噴出される作動ガスが背圧空間側作動ガス噴出孔53へ流入する等がなくなり、より安定的な気体軸受け効果が得ることが可能である。
尚、特開2000−39222,特開2003−35203等に記載されているところの、ピストンの振幅中心位置が変動しないようにピストンが予め設定された振幅中心位置に位置したときに連通する通路を、ピストン及びシリンダに設けられたものがあるが、該通路は作動空間(圧縮空間)と背圧空間とを瞬間的に連通させるために連通部分の開口面積が大きく、シリンダ壁に設けられた連通孔は本願発明の背圧空間側作動ガス噴出機構には該当しない。即ち、連通孔の開口面積が大きくて作動ガスを噴出させることが不可能である。それに対し、本願発明の背圧空間側作動ガス噴出孔53の開口面積は噴出孔としての機能を発揮するように前記連通孔の開口面積と比べれば極めて小さく(数十分の一)設定されている。
以上の説明に於いては、背圧空間側作動ガス噴出機構を、ピストンとシリンダのどちらか一方に設けた構成について述べたが、ピストンとシリンダの両方に設ける構成とすることも可能である。この場合、相互に干渉し合わない位置に、それぞれの噴出孔を設ける必要がある。
以上のように、本発明の実施の形態について説明を行ったが、ディスプレーサ側において設ける気体軸受け機構も、ピストン外壁の気体軸受け機構と、その構造、効果等はほぼ同様である。ただ、ディスプレーサ側はピストン側に比べて重量が軽く、且つシリンダ壁との間隙が少し大きいので、膨張空間側からの作動ガスによる気体軸受け効果は、ピストン側に比べて大きくはない。
また、今回開示された上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、気体軸受け構造を有するスターリング機関に有効に適用することができる。
本発明の第1実施形態のスターリング冷凍機の要部概略断面図である。 本発明の第1実施形態のスターリング冷凍機に用いられるピストンの平面図に噴出孔の位置関係を書き記した図。 本発明の第1実施形態のスターリング冷凍機に用いられるピストンの周面の展開図である。 本発明の第2実施形態のスターリング冷凍機の要部概略断面図である。 本発明の第3実施形態のスターリング冷凍機の要部概略断面図である。 本発明の第4実施形態のスターリング冷凍機の概略断面図である。 従来のスターリング冷凍機の概略断面図である。 従来のスターリング冷凍機の圧縮空間圧力、背圧空間圧力及びピストンストロークの時間変化を示す実験結果である。
符号の説明
1、31、40、55 ピストン
1a ガス貯留室
2 ディスプレーサ
3、51 シリンダ
3a シリンダ内壁面
4 圧縮空間側作動ガス流入孔
6 圧縮空間側作動ガス噴出孔
7 圧縮空間
18 背圧空間
19、54 背圧空間側作動ガス流入孔
20、32、53 背圧空間側作動ガス噴出孔
21、42、52 背圧空間側作動ガス通路


Claims (8)

  1. 往復運動するピストンと、該ピストンと位相差をもって往復運動するディスプレーサとをシリンダ内に配置し、前記ピストンと前記ディスプレーサとの間に区画形成された圧縮空間を有し、前記ディスプレーサの前記圧縮空間と反対側に膨張空間を有すると共に前記ピストンの前記圧縮空間と逆の側に区画形成された背圧空間を有するスターリング機関であって、
    前記膨張空間又は背圧空間の少なくとも一方の作動ガスを、当該空間に面する前記ピストン又はディスプレーサの外壁とシリンダ内壁との間隙に気体軸受け用に噴出させる気体軸受け機構を有することを特徴とするスターリング機関。
  2. 前記ピストン、ディスプレーサの少なくとも一方は、その内部に前記圧縮空間から作動ガスが流入するガス貯留室を有し、前記シリンダの内壁に面する外壁に、前記ガス貯留室からの作動ガスを前記シリンダ内壁に噴射する気体軸受け構造を有することを特徴とする請求項1に記載のスターリング機関。
  3. 前記気体軸受け機構は、前記膨張空間又は背圧空間に面した作動ガス流入孔と、前記シリンダの内壁に面した作動ガス噴出孔と、前記作動ガス流入孔と前記作動ガス噴出孔とを連通する作動ガス通路とを有し、前記作動ガス流入孔から流入した前記作動ガスを前記作動ガス噴出孔から噴出させる構造を有することを特徴とする請求項2に記載のスターリング機関。
  4. 往復運動するピストンと、該ピストンと位相差をもって往復運動するディスプレーサとをシリンダ内に配置し、前記ピストンと前記ディスプレーサとの間に区画形成された圧縮空間を有し、前記ピストンの前記圧縮空間と逆の側に区画形成された背圧空間を有するスターリング機関であって、
    前記ピストンは、その内部に前記圧縮空間から作動ガスが流入するガス貯留室を有し、前記シリンダの内壁に面する前記ピストンの外壁に、前記ガス貯留室からの作動ガスを前記シリンダ内壁に噴射する気体軸受け構造を有するスターリング機関において、
    前記ピストンの外壁と前記シリンダの内壁との間隙に前記背圧空間からの作動ガスを噴射させる気体軸受け機構を有することを特徴とするスターリング機関。
  5. 往復運動するピストンと、該ピストンと位相差をもって往復運動するディスプレーサとをシリンダ内に配置し、前記ピストンと前記ディスプレーサとの間に区画形成された圧縮空間を有し、前記ピストンの前記圧縮空間と逆の側に区画形成された背圧空間を有するスターリング機関であって、
    前記ピストンは、その内部に前記圧縮空間から作動ガスが流入するガス貯留室を有し、前記シリンダの内壁に面する前記ピストンの外壁に、前記ガス貯留室からの作動ガスを前記シリンダの内壁に噴射する気体軸受け構造を有するスターリング機関において、
    前記ピストンは、
    前記背圧空間に面した作動ガス流入孔と、前記シリンダの内壁に面した作動ガス噴出孔と、前記作動ガス流入孔と前記作動ガス噴出孔とを連通する作動ガス通路とを有し、前記作動ガス流入孔から流入した前記作動ガスを前記作動ガス噴出孔から噴出させる気体軸受け機構を有することを特徴とするスターリング機関。
  6. 前記作動ガス通路の少なくとも一部を分割面とする分割構造で前記気体軸受け機構が構成されていることを特徴とする、請求項5に記載のスターリング機関。
  7. 駆動手段に駆動されて往復運動するピストンと、該ピストンと位相差をもって往復運動するディスプレーサとをシリンダ内に配置し、前記ピストンと前記ディスプレーサとの間に区画形成された圧縮空間を有し、前記ピストンの前記圧縮空間と逆の側に区画形成された背圧空間を有するスターリング機関であって、
    前記ピストンは、その内部に前記圧縮空間から作動ガスが流入するガス貯留室を有し、前記シリンダの内壁に面する前記ピストンの外壁に、前記ガス貯留室からの作動ガスを前記シリンダの内壁に噴射する気体軸受け構造を有するスターリング機関において、
    前記シリンダは、
    前記背圧空間に面した作動ガス流入孔と、前記ピストンの外壁に面した作動ガス噴出孔と、前記作動ガス流入孔と前記作動ガス噴出孔とを連通する作動ガス通路とを有し、前記作動ガス流入孔から流入した前記作動ガスを、前記作動ガス噴出孔から噴出させる気体軸受け機構を有することを特徴とするスターリング機関。
  8. 前記作動ガス噴出孔が、前記気体軸受け構造のガス噴出孔から前記ピストンの駆動方向に伸ばした直線上に位置しないように配置されることを特徴とする、請求項4〜7の何れかに記載のスターリング機関。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012172672A (ja) * 2011-02-24 2012-09-10 Toyota Motor Corp スターリングエンジンの気体導入構造
CN111089435A (zh) * 2019-11-18 2020-05-01 上海厚酷科技有限公司 一种制冷机
CN112576404A (zh) * 2019-09-27 2021-03-30 中国科学院理化技术研究所 自由活塞和气缸组件以及斯特林发动机

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