JP2007271071A - 内燃機関用オイルリング - Google Patents

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泰一 村田
Yukio Tateishi
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Abstract

【課題】本発明は、オイル消費の低減が可能な、軽量化されたオイルリングを提供することを主目的とするものである。
【解決手段】本発明は、シリンダの内面と摺動する外周壁面と、上記外周壁面と対向する内周壁面と、上記外周壁面の上端および上記内周壁面の上端を連結する上壁面と、上記外周壁面の下端および上記内周壁面の下端を連結する下壁面とからなる中空空間を有する中空形状のオイルリングにおいて、
上記上壁面を上記オイルリングの軸方向に貫く上壁面貫通孔が形成されており、かつ、
上記内周壁面を上記オイルリングの径方向に貫く内周壁面貫通孔が形成されていることを特徴とするオイルリングを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関内のピストンに装着されるオイルリングに関し、特に軽量化およびオイル消費量の低減が可能なオイルリングに関する。
従来より、内燃機関においては、燃費を向上させるために、内燃機関の各摺動部の摩擦力の低減が重要となっている。特に、シリンダ内周壁面と摺動する圧力リングやオイルリングに関しては、摩擦力低減に対し、張力の低減が有効なことから、低張力化の傾向にある。しかし、摩擦力低減による低張力化(2本の圧力リングと1本のオイルリングの合計張力をシリンダボア径で除した値が、0.20N/mm〜0.25N/mm)に伴い、オイルリングのシール機能が不十分になり、オイル消費が増加するという問題があり、それに対する対策が求められていた。
その中でオイルリングの主たる機能は、オイルをシリンダボア内面に適切な油膜で形成させると共に、シリンダボア内面の余分な油を掻き落とし、オイル消費量を制御するオイルコントロール機能を担うものである。従って、オイルコントロール機能を有効にするには、オイルリング外周摺動面に関しては、オイルリングの面圧を大きくする必要がある。しかし、摩擦力低減の要求があるため、オイルリングの張力を大きくすることなく、面圧を上げるためにオイルリング外周摺動面の軸方向幅を極力狭くすることで面圧を上げて対応していた。また、オイルリングとリング溝の隙間よりオイル上がりを抑制することも重要となってくる。図6に示すような従来の2ピースオイルリングが組み付けられたピストンが上昇する場合、オイルリングは上記リング溝の下面に密着した状態で上昇し、オイルリング上方に存在するオイル(図示せぬセカンドリングが掻き落としたオイル、およびサードランド14にあるオイル)が、オイルリングの上面とリング溝の上面との間にできた隙間からオイルリングの内周側、つまりリング溝の背面13側へと移動し、オイルドレイン溝12からクランク室方向へと排出される。また、ピストンが下降する場合、オイルリングは上記リング溝上面に密着した状態で下降し、オイルリング下方のオイル(オイルリングが掻き落としたオイル)を、オイルリング下面とリング溝下面の隙間から上述と同様にクランク室方向へ排出される。このようなオイルリングは、燃焼室側のオイルをクランク室側へ戻し、クランク室側から上昇してきたオイルをクランク室へ戻す、いわゆる逆止弁効果を有する。
しかしながら実際のエンジン内部では、ピストンの速度上昇に起因する慣性力がオイルリングに働くため、ピストンの上昇中にオイルリングが持ち上がるため上記リング溝下面に密着せずに、オイルリングが掻き落としたオイルを十分にリング溝背面13側へ移動させることができなくなり、サードランド14に滞留させることとなる。また、ピストン下降途中にはオイルリングは上記リング溝下側に移動しオイルを十分にリング溝背面13側へ移動させることができなくなり、上記逆止弁効果を十分に発揮することができない。このサードランド14に滞留するオイルはシリンダ内面に余分なオイルを残し、オイル消費を増加させることとなる。そのためオイルリングの重量を軽くし、逆止弁効果を上げることが重要となってくる。
このような不具合を解消するため、特許文献1では、ピストンリング本体に内部空洞を形成する外壁および底壁の各々に径方向の第1の貫通孔と幅方向の第2の貫通孔とを有するピストンリングが開示されている。上記ピストンリングは、ガス圧力のないピストンの上昇行程(排気行程)中に上記第1の貫通孔からオイルを内部空洞内へ取り込み、ガス圧力が作用するピストンの上昇行程(圧縮行程)中に上記第1の貫通孔および合口部の空間より内部空洞内にガス圧が供給され、このガス圧を利用して、第2の貫通孔から内部空洞のオイルをリング溝内に排出させるポンピング作用を生じるものである。
しかしながら特許文献1におけるリングは、シリンダ内壁とリングとが摺動する摺動面上に貫通孔を有するため、シリンダ内壁面上に形成された油膜のオイルが貫通孔から内部空洞へと流れ込んでしまい、シリンダ内壁面上の油膜が薄くなり、摺動面の摩耗や焼き付きなどの不具合の原因になる場合がある。また、摺動面上に溜まったオイル自体にも慣性力が作用するため、当該オイルを貫通孔へと排出させるのは容易ではないことが考えられる。さらに、圧縮行程において、ガス圧が作用する区間では、リングはリング溝下面にあり、第2の貫通孔より排出するのが困難である。リングはピストンのリング溝内を上下動するため、リング底壁面に設けられた貫通孔からの円滑なオイルの排出も容易ではないことが考えられる。
特開平7−310826公報
本発明は、上記目的に鑑みてなされたものであり、面圧を確保しながら、オイルリングとリング溝との隙間からのオイル上がりを抑制し、オイル消費の低減が可能な、軽量化されたオイルリングを提供することを主目的とするものである。
本発明は、上記目的を達成するために、シリンダの内面と摺動する外周壁面と、上記外周壁面と対向する内周壁面と、上記外周壁面の上端および上記内周壁面の上端を連結する上壁面と、上記外周壁面の下端および上記内周壁面の下端を連結する下壁面とからなる中空空間を有する中空形状のオイルリングにおいて、上記上壁面を上記オイルリングの軸方向に貫く上壁面貫通孔が形成されており、かつ、上記内周壁面を上記オイルリングの径方向に貫く内周壁面貫通孔が形成されていることを特徴とするオイルリングを提供する。
本発明のオイルリングは中空形状であり、オイルリング本体の上壁面および内周壁面に上壁面貫通孔および内周壁面貫通孔を有するため、上記上壁面貫通孔からオイルリング上部のオイルを効率的にオイルリングの中空空間内に取り込み、かつ内周壁面貫通孔を介してオイルリング内部から外部へ円滑にオイルを排出することができる。また、本発明のオイルリングは単純な構造を有するため軽量化が可能であり、製造も容易である。
上記発明においては、上記オイルリングの中空空間内に、上記外周壁面に隣接するようにコイルエキスパンダが配されていてもよい。オイルリング自体の張力が不足する場合は、オイルリングの中空空間内にコイルエキスパンダを配することにより、張力を向上させることができるからである。
また、本発明においては、上記外周壁面が、円弧形状に形成されていることが好ましい。これにより、エンジン実働時のピストン挙動を受けにくくなり、面圧の確保が十分できる。
本発明は、オイルリングの構造の単純化および軽量化が可能であり、オイルリングとリング溝との隙間からのオイル上がりを抑制し、かつ、オイル消費の低減も可能であるといった効果を奏するものである。
本発明のオイルリングは、シリンダの内面と摺動する外周壁面と、上記外周壁面と対向する内周壁面と、上記外周壁面の上端および上記内周壁面の上端を連結する上壁面と、上記外周壁面の下端および上記内周壁面の下端を連結する下壁面とからなる中空空間を有する中空形状のオイルリングにおいて、
上記上壁面を上記オイルリングの軸方向に貫く上壁面貫通孔が形成されており、かつ、
上記内周壁面を上記オイルリングの径方向に貫く内周壁面貫通孔が形成されていることを特徴とするものである。
以下、本発明のオイルリングについて、図を用いて説明する。図1は、ピストンの上昇行程(図1(a))および下降行程(図1(b))における本発明のオイルリングの挙動およびオイルの流れの一例を示す概略断面図である。ピストンの上昇行程とは、4サイクルガソリンエンジンでいうと、圧縮、排気の行程にあたり、ピストンの下降行程とは、吸入、膨張行程にあたるものである。図1に例示するように、本発明のオイルリング1は、シリンダ内壁面2と摺動する外周壁面3、上記外周壁面3と対向する内周壁面4、上記外周壁面3の上端と上記内周壁面4の上端とを連結する上壁面5、および上記外周壁面3の下端と上記内周壁面4の下端とを連結する下壁面6からなる中空形状を有するものである。上記上壁面5には、上壁面5を上記オイルリング1の軸方向に貫く上壁面貫通孔7が設けられている。上記上壁面貫通孔7は、上記上壁面5に平行な面の断面積が、上記オイルリング1の外側で大きく、中空空間8側で小さくなるようなテーパー形状を有する。また、上記内周壁面4には、内周壁面4を上記オイルリング1の径方向に貫く内周壁面貫通孔9が設けられている。さらに、上記オイルリング1の中空空間8内には、コイルエキスパンダ10が配置されている。なお、上記オイルリング1が配置されている、ピストンのリング溝11の背面13には、オイルリング1の径方向にオイルドレイン溝12が設けられている。上記オイルドレイン溝は、上記ピストンの裏面へ貫通しており、上記リング溝11内のオイルは、上記オイルドレイン溝12を介してピストン内部へと排出される。
ピストンの上昇行程においては、図1(a)に例示するように、オイルリング1は、ピストンのリング溝11の下面に密着した状態で上昇する。この際、オイルリング1には、上壁面5に上壁面貫通孔7が設けられているため、オイルリング1の上部に溜まったオイルはオイルリング1の中空空間8内、またはリング溝11の背面13側へと流れる。上記中空空間8へ流れ込んだオイルは、内周壁面4に設けられた内周壁面貫通孔9を介してリング溝11の背面13側へと流出し、オイルドレイン溝12を介してピストンの内部へと排出される。
上記上昇行程から下降行程への過渡期において、ピストンの速度低下に起因する慣性力によりオイルリング1はリング溝11の下面から離れ、ピストンが下降を始めると、オイルリング1はリング溝11の上面に密着した状態で下降する。このような過渡期において、オイルリング1がリング溝11の上面に接近してオイルの行き場がなくなった場合、オイルリング1の上部にあったオイルは、リング溝11の背面13側、またはオイルリング1上方の燃焼室側へと流れる。この際、本発明のオイルリング1には上壁面貫通孔7が設けられており、従来の場合では燃焼室側へ流れていたオイルを上記上壁面貫通孔7を介してオイルリング1の中空空間8内へと取り込むことができるため、燃焼室側へ流れるオイルの量を大幅に減少させることができる。
一方、ピストンの下降行程においては、図1(b)に例示するように、オイルリング1の中空空間8内のオイルは、内周壁面貫通孔9を介してオイルリング1外部へと流れ出し、オイルリング1の下側のオイルは、オイルリング1とリング溝11との隙間より上記オイルドレイン溝12を介してピストン内部へと排出される。また、外周壁面3によって掻き集められてオイルリング1の下部に溜まったオイルも、同様にリング溝11の背面13に溜まり、上記オイルドレイン溝12を介してピストン内部へと排出される。
上述したように、本発明のオイルリングは中空形状を有するものであり、従来のオイルリングのように複雑な構造を有していないため、製造が容易である。また、構造が複雑である場合は、部位によって作用する応力の強さや種類が異なるため、各部材はそのような応力に耐え得る強度を有していなければならないが、本発明のオイルリングの構造は単純であり、応力が均一に作用するため、それほどの強度は必要とされない。そのため、オイルリングの中空形状を形成する壁面を薄くすることができ、オイルリングの軽量化および材料コストの削減が可能となる。
上述した逆止弁効果は慣性力により大きな影響を受けるため、オイルリングを軽量化することは、慣性力による影響を抑制し、オイルリングによる逆止弁効果を高めるうえでも極めて重要である。上記逆止弁効果を高めることにより、エンジンの燃焼室内へ余分なオイルが流れ込んで燃焼されることを抑制できるので、オイル消費の低減も図ることができる。
また、エンジンが高回転になり、オイルリングの慣性力が大きくなり、逆止弁の効果が少なくなった場合も、オイルリングの上壁面貫通孔よりオイルを内周壁面貫通孔から、リング溝背面へ容易に排出できるので、オイル消費の低減を図ることができる。
以下、このような本発明について、オイルリング、コイルエキスパンダ、およびリング溝に分けてそれぞれ説明する。
1.オイルリング
まず、本発明のオイルリングについて説明する。本発明のオイルリングは、外周壁面と、内周壁面と、上壁面と、下壁面とからなる、中空空間を有する中空形状のものである。シリンダの内壁と摺動する面である外周壁面は、内周壁面と対向するように配置されている。また、上記外周壁面の上端および内周壁面の上端を連結する上壁面と、上記外周壁面の下端および内周壁面の下端を連結する下壁面とは、互いに対向するように配置されている。
上記外周壁面の形状は、シリンダの内壁面と所望の接触面圧において安定的に摺動可能な形状であれば特に限定されるものではないが、本発明においては、上記外周壁面の最外周は円弧形状に形成されていることが好ましい。外周壁面を円弧形状にすることで、低張力において面圧を確保する為に当たり幅を狭くしても、エンジン実働時のピストン挙動を受けにくくなり、面圧の確保が十分できる。なお、ここで外周壁面の最外周とは、オイルリングの軸方向の断面形状(図1〜図3参照)における最も外側の表面をいうものとする。
また、オイルリングの径方向の断面における上記外周壁面の断面形状は、オイルリングの軸方向幅の中心線に対して対称であることがこのましい。このような上下が対称な形状にすることにより、オイルリングのねじれをなくすことができる。
また、上記外周壁面は、その一部に平面を有する形状であってもよい。上記円弧形状の外周壁面にて十分なオイルコントロール機能が発揮できない場合は、図2(a)および(b)に例示する摺動面形状にすることにより、オイルコントロール機能を高めることができる。
本発明において、上記内周壁面の形状は特に限定されるものではなく、ピストンのリング溝の形状等により任意の形状をとり得る。中でも、本発明において上記内周壁面は、円弧形状に形成されていることが好ましい。円弧形状は、応力集中が生じうる角部等の箇所を有しておらず、強度的に有利な形状だからである。
さらに、オイルリングの径方向の断面における上記内周壁面の断面形状は、上記外周壁面と同様に、オイルリングの軸方向幅の中心線に対して対称であることが好ましい。このような上下が対称な形状にすることにより、オイルリングのねじれをなくすことができる。
また、本発明において、上記上壁面および下壁面の形状は特に限定されるものではないが、上記上壁面と下壁面とが互いに平行な平面であることが好ましい。オイルリングの上壁面と下壁面とを平行な平面に形成することにより、上記リング溝内においてより安定した動作を実現することができるからである。
上述した形状の外周壁面と、内周壁面と、上壁面と、下壁面とを有する本発明のオイルリングは、オイルリングの径方向の断面における断面形状が、オイルリング全体として上下および/または左右対称な形状であることが好ましい。上下、左右対称形状とすることで、リングのねじれを抑制することができる。
上述したような本発明のオイルリングの上壁面には、上記上壁面をオイルリングの軸方向に貫く上壁面貫通孔が設けられている。上記上壁面貫通孔は、オイルリングの外部の空間と、上記オイルリングの中空空間とを連結する空間であり、オイルリングの外部の空間のオイルを上記上壁面貫通孔を介して上記中空空間内へと流入させるために設けられたものである。
上壁面貫通孔の形成個数は、オイルリングの寸法や上壁面貫通孔自体の寸法などにより大きく異なるものではあるが、本発明においては、このような上壁面貫通孔の最適な形成個数nは、下記の式より求めることができる。
Figure 2007271071
上記式におけるVhは上壁面貫通孔の体積(mm)であり、Vuはリング溝上面とオイルリング上面とのクリアランスの体積(mm)である(図3参照)。すなわち、上記Vuは、オイルリングがピストンのリング溝内に静置している状態での、オイルリング上面の平坦部分の上方の空間の体積である。上記式に示すKは0〜0.5の任意の値を取り得る係数であり、オイルリングの強度を確保するために設定される、上記上壁面貫通孔の体積Vhと上記クリアランスの体積Vuとの比を示す値である(0<K≦0.5)。
また、nは上壁面貫通孔の個数、Dはシリンダ径、tはオイルリングの板厚(mm)、sはシリンダ壁面とピストンサードランドとのクリアランス(mm)、aはオイルリングの径方向幅(mm)、sはリング溝上面とオイルリング上面とのクリアランス(mm)である。上記式に示すRは0より大きく、aとsとの差の値以下の任意の値を取り得る係数であり、上壁面貫通孔が常にリング溝上面内にある為に設定される値である(0<R≦a−s)。上壁面貫通孔の形成個数が上記式から求められた値よりも少ない場合は、オイルリングの上部に溜まったオイルを円滑にオイルリングの中空空間へ流入させることが困難になり、溢れたオイルが燃焼室へ流入してしまう可能性がある。一方、形成個数が上記式から求められた値よりも多い場合は、開口部が広すぎてオイルリングの上壁面の強度を維持できない可能性がある。
上記上壁面貫通孔の大きさは、オイルを円滑にオイルリングの中空空間内へ流入させることができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、上記式から好ましい上壁面貫通孔の体積を求めることができ、当該体積と、オイルリングの板厚との関係から、上記上壁面と平行な面における上壁面貫通孔の好ましい断面積を設定することができる。
本発明においては、上記上壁面貫通孔の形状は特に限定されるものではなく、上壁面の形状や大きさなどにより適宜調整することができる。例えば、上壁面貫通孔の、上壁面に平行な平面の断面形状は、円形状や楕円形状のような、角部が少ない形状が好ましい。このような形状にすることにより、オイルの流れを円滑にすることができるからである。また、上壁面貫通孔の、オイルリングの軸方向の面の断面形状は、上記上壁面に平行な面の断面積が、図1および図2に例示するように上記オイルリングの外側で大きく、中空空間側で小さくなるようなテーパー形状であることが好ましい。このようなテーパー形状にすることにより、中空空間側から、上記上壁面貫通孔を介してオイルリングの外部へオイルが流出することを抑制することができるからである。
このような上壁面貫通孔の、上壁面における形成位置は、上壁面の大きさや形状、または形成される上壁面貫通孔の大きさや形状などにより適宜調整することができる。上壁面の強度やオイルの流れ易さの観点から上壁面貫通孔は、上壁面におけるオイルリングの径方向中央部に、かつ、オイルリングの円周方向に均等に配置されていることが好ましい。
また、本発明のオイルリングの内周壁面には、上記内周壁面をオイルリングの径方向に貫く内周壁面貫通孔が設けられている。上記内周壁面貫通孔も上記上壁面貫通孔と同様オイルリングの外部の空間と、上記オイルリングの中空空間とを連結する空間である。上記内周壁面貫通孔は、オイルリングの中空空間内のオイルをオイルリングの外部に流出させ、リング溝の背面側のオイルドレイン溝へと速やかに排出させるために設けられたものである。
上記内周壁面貫通孔は、1個のオイルリングの内周壁面に1個以上設けられていればよく、その形成個数は特に限定されるものではない。内周壁面貫通孔の形成個数は、オイルリングの寸法や内周壁面貫通孔自体の寸法などにより大きく異なるものではあるが、上記上壁面の最外周面における上壁面貫通孔の断面積合計に対する、内周壁面の最外周面における内周壁面貫通孔の断面積合計が50〜130%になるような個数および大きさで内周壁面を形成することが好ましい。ここで、上壁面または内周壁面の最外周とは、オイルリングの軸方向の断面形状(図1〜図3参照)における最も外側の表面をいうものとする。また、上壁面貫通孔の断面積合計とは、1個の上壁面貫通孔の断面積と、上壁面貫通孔の形成個数との積をいうものとする。例えば、図4に例示するように、上壁面貫通孔7が円形状であり、上記円の半径がYである場合は、上壁面貫通孔の断面積合計はπY×形成個数となる。上記内周壁面貫通孔の断面積合計も、上記上壁面貫通孔の場合と同様に求めることができる。
上記断面積合計の比率が50%に満たない場合は、オイルリングの中空空間内のオイルをオイルリングの外部に流出させることができず、上記中空空間内がオイルで満たされてしまうため、新たなオイルを上記上壁面貫通孔から流入させることができず、溢れたオイルが燃焼室へ流入してしまう可能性がある。一方、上記比率が130%を超える場合は、開口部が広すぎてオイルリングの内周壁面の強度を維持できない可能性がある。
上記内周壁面貫通孔の形状は特に限定されるものではなく、上述した上壁面貫通孔の形状として挙げたものと同様の形状にすることができる。ただし、内周壁面貫通孔の、オイルリングの軸方向の断面の形状をテーパー形状にする場合は、オイルリングの中空空間側の断面積が大きく、オイルリングの外部側の断面積が小さいことが好ましい。これにより、オイルリングの外部のオイルが、内周壁面貫通孔を介して上記中空空間内へ流入することを防止することができる。なお、1つのオイルリングにおける、上記上壁面貫通孔の形状および上記内周壁面貫通孔の形状は、同一であっても異なっていてもよい。
このような内周壁面貫通孔の、内周壁面における形成位置は、内周壁面の大きさや形状、または形成される内周壁面貫通孔の大きさや形状などにより適宜調整することができる。内周壁面の強度やオイルの流れ易さの観点から内周壁面貫通孔は、内周壁面におけるオイルリングの軸方向中央部に、かつ、オイルリングの円周方向に均等に配置されていることが好ましい。
本発明において、このようなオイルリングの寸法は、適性にオイルコントロールができるものであればよく、特に限定されるものではない。通常は、オイルリングの軸方向幅(外寸:図5(a)におけるh1)は1.45〜2.00mmの範囲内、オイルリングの径方向幅(外寸:図5(a)におけるa1)は1.5〜4.0mmの範囲のものが用いられる。
さらに、上記オイルリングの外周壁面、内周壁面、上壁面、および下壁面の厚さ(オイルリングの板厚:図5(a)におけるT)は、オイルリングの強度を維持できるものであれば特に限定されるものではなく、通常は、0.1〜0.4mmの範囲内のものが用いられる。このように、本発明のオイルリングは薄い肉厚の中空形状により構成されるものであるため、従来のオイルリングに比べて大幅に軽量化することができる。
上記オイルリングを形成する材料は特に限定されるものではなく、通常のオイルリングに用いられる材料を用いることができる。例えば、SWOSC−V、SUS201、SUS304、SUS420、SUS440、SUS410等がある。
上述したように、本発明のオイルリングの構造は単純であるため、極めて容易に低コストにおいて製造することができる。例えば、中空のチューブ形状の材料を、チューブ形状の一端と他端とを合わせることにより環状に形成し、上記環状の材料をその軸方向に上下から圧力を加えて上記上壁面および内周壁面の平行平面を形成し、さらに、上述したような上壁面貫通孔および内周壁面貫通孔を設けることにより、図1に例示するようなオイルリングを製造することができる。
本発明においては、オイルリングの耐摩耗性を向上させるために、表面処理を施してもよい。例えば、物理蒸着(PVD)法、イオンプレーティング法、化学蒸着(CVD)法、窒化処理法、めっき処理法、プラズマ処理法、イオン化蒸着法等、中でもPVD法、イオンプレーティング法等により、オイルリングの表面にCr−N系またはCr−B−N系のPVD皮膜、DLC皮膜、Crめっき皮膜、窒化皮膜等の膜を形成することができる。
2.コイルエキスパンダ
本発明において、上記オイルリングの中空空間内に、上記外周壁面に隣接するようにコイルエキスパンダを配してもよい。上記オイルリング自体の張力が不足する場合は、コイルエキスパンダをオイルリングの中空空間内に配置することにより、所望の張力を得ることができる。
本発明において、上記コイルエキスパンダは所望の張力を得られるものであれば、その材料等は特に限定されるものではなく、通常のコイルエキスパンダに用いられる材料から形成されるものを用いることができる。本発明においては、コイルエキスパンダはオイルリングの中空空間内に配置されるため、コイルの外径は上記中空空間のオイルリング軸方向の長さよりも短い必要があるため、コイルエキスパンダの外径は0.6〜1.7mmの範囲内のものが用いられる。この際のコイルエキスパンダの線材の径は、その材料などにより異なるものであるが、通常は0.3〜0.85mmの範囲内のものが用いられる。また、コイルエキスパンダのピッチは0.6〜1.6mmの範囲内のものが用いられる。
3.リング溝
本発明のオイルリングが配置されるピストンのリング溝の形状等は特に限定されるものではなく、通常は、リング溝の上面および下面は平行な平面から構成される。例えば、リング溝の背面の形状が、ピストンの径方向の断面形状において矩形ものや、丸みを帯びた形状のものを用いることができる。中でも、本発明においては、図1に例示するような、リング溝の背面(上記オイルリングの内周壁面と対向する面)は円弧形状に形成されていることが好ましい。このように、オイルリングの内周壁面に近い形状にすることにより、リング溝内に不要な空間を形成することがなくなり、オイルリング上部へ流出させることによるオイル消費の悪化を防ぐことができる。さらに、リング溝底形状をオイルリング内周壁面形状と同様な形状にすることで、バッククリアランスを最小にでき、オイルの排出をスムーズに行うことができる。
このようなリング溝の寸法は、その内部に上記オイルリングを配置できるものであれば特に限定されるものではなく、通常はピストンの軸方向におけるリング溝の高さが1.5〜2.0mmの範囲内、ピストンの径方向におけるリング溝の長さ、すなわちピストンの側面から、リング溝の一番奥までの長さが1.5〜5.0mm範囲内のものが用いられる。この際、リング溝内でのオイルリングの動きを考慮すると、上記ピストンの軸方向におけるリング溝の高さは、上述したオイルリングの軸方向幅(外寸:図5(a)におけるh1)よりも0.01〜0.07mm大きいことが好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
次に、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
図5(a)に示す中空形状のオイルリングを作製した。作製した中空形状のオイルリングの寸法、材質、および質量を下記表1に示す。また、貫通孔の大きさ及び個数を下記表2に示す。
[比較例1]
図5(b)に示す中空形状のオイルリングを作製した。作製したオイルリングの寸法、材質、および質量を下記表1に示す。
[比較例2]
図5(c)に示す従来の2ピースオイルリングを作製した。作製した2ピースオイルリングの寸法、材質、および質量を下記表1に示す。
Figure 2007271071
Figure 2007271071
[評価]
上記実施例1において作製した中空形状のオイルリングの質量と、上記比較例1において作製した中空形状のオイルリングの質量と、比較例2において作製した2ピースオイルリングのオイルリング本体部分の質量とはほぼ同じであった。このことから、上記中空形状のオイルリングは、コイルエキスパンダの質量の分だけ従来の2ピースオイルリングよりも軽量化することができたことが分かる。
[オイル消費試験]
排気量1288cc、直列4気筒(シリンダ径:73mm)のエンジンを用いて、実施例1および比較例1の中空形状のオイルリングと、比較例2の2ピースオイルリングのオイル消費試験を行った。この際、WOT(全負荷)により、機関回転数を3000rpm、6000rpmの場合の、それぞれのオイルリングのオイル消費量を調べた。機関回転数が3000rpmの時の比較例2のオイルリングのオイル消費量(g/h)を1.00とした場合の、それぞれのオイル消費指数(オイル消費量比率)を図7に示す。
この結果より、機関回転数が3000rpm、6000rpmのどちらにおいても上記実施例1のオイルリングは、比較例1、比較例2よりも低いオイル消費量比率を示しており、実施例1のオイルリングはオイル消費率が低いことがわかる。機関回転数が大きければ大きいほどオイルリングに働く慣性力の影響が大きくなるため、実施例1と、比較例1および比較例2との差は大きくなり、実施例1のオイルリングにおいて本発明の効果が発揮されていることが分かる。
ピストンの上昇行程および下降行程における本発明のオイルリングの挙動およびオイルの流れの一例を示す概略説明図である。 本発明のオイルリングの他の例を示す概略断面図である。 本発明のオイルリングにおいて、上壁面貫通孔の最適個数を求める式に用いられる文字を説明する、オイルリング概略断面図である。 本発明のオイルリングの上壁面の一部の例を示す概略平面図である。 本発明の実施例および比較例において作製したオイルリングの構成を示す概略断面図である。 従来の2ピースオイルリングの例を示す概略断面図である。 実施例1及び比較例1、2のオイル消費試験の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 … オイルリング
2 … シリンダ内壁
3 … 外周壁面
4 … 内周壁面
5 … 上壁面
6 … 下壁面
7 … 上壁面貫通孔
8 … 中空空間
9 … 内周壁面貫通孔
10 … コイルエキスパンダ
11 … ピストンリング溝
12 … オイルドレイン溝
13 … 背面
14 … サードランド
15 … オイルリング本体

Claims (3)

  1. シリンダの内面と摺動する外周壁面と、前記外周壁面と対向する内周壁面と、前記外周壁面の上端および前記内周壁面の上端を連結する上壁面と、前記外周壁面の下端および前記内周壁面の下端を連結する下壁面とからなる中空空間を有する中空形状のオイルリングにおいて、
    前記上壁面を前記オイルリングの軸方向に貫く上壁面貫通孔が形成されており、かつ、
    前記内周壁面を前記オイルリングの径方向に貫く内周壁面貫通孔が形成されていることを特徴とするオイルリング。
  2. 前記オイルリングの前記中空空間内に、前記外周壁面に隣接するようにコイルエキスパンダが配されていることを特徴とする請求項1に記載のオイルリング。
  3. シリンダの内面と摺動する前記外周壁面の最外周が、円弧形状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオイルリング。
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