JP2007271029A - 液体流路構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体流路に圧力調整弁を備えた液体流路構造体で圧力調整を行う場合に、不快な異音の発生を良好に抑制できる液体流路構造体を提供する。
【解決手段】圧力調整弁15を備えた液体流路構造体13において、圧力調整弁15よりも下流側に位置する連結用継手19内に形成されたコーナ部27に振動抑制部として機能する気体貯留室24を設ける。この気体貯留室24は上流側からコーナ部27流入してきたATFが衝突する位置に配置され、ATFの流動と共に伝播してきた圧力脈動は気体貯留室24のダンパー効果により減衰される。
【選択図】図2

Description

本発明は、液体を上流側から下流側に向けて流動させる液体流路構造体に関する。
従来、2本の配管を接続するために連結用継手を使用して各配管内の液体流路を連通させてなる液体流路構造体が提案されている(例えば、特許文献1)。この特許文献1に記載されるような液体流路構造体は、自動変速機の変速機構部内の液体としてのATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)をラジエタにて冷却させるために、変速機構部からラジエタに向けてATFを流動させる場合にも用いられている。
こうした場合の液体流路構造体は、変速機構部に接続される変速機構側配管と、ラジエタに接続されるラジエタ側配管と、これら2本の配管を連結する連結用継手とから構成される。
また、こうした液体流路構造体には、通常、連結用継手よりも上流側となる変速機構側配管に、液体流路構造体内の液圧が予め設定された所定値以上に上昇しないように圧力調整を行う圧力調整弁が取り付けられている。すなわち、液体流路構造体内を流動するATFは、変速機構側配管内の液圧が所定値以上になった場合、そのATFの一部が開弁された圧力調整弁を通じて液体流路構造体外に排出され、バイパス配管を通じて変速機構部に戻されるようになっている。
実開平5−87395号公報
ところで、上記のように連結用継手を介して複数の配管が連結された液体流路構造体に圧力調整弁を備えた場合には、圧力調整弁の開弁に伴って連結用継手よりも下流側の配管(ラジエタ側配管)から不快な異音が発生してしまうおそれがあった。
こうした現象は、以下のような要因から発生していると考えられる。すなわち、圧力調整弁を開弁すると液体の流動変化が生じ、これにより流路内に発生した微小なカルマン渦が加振力となって圧力脈動が励起され、脈動は振動となって下流側の配管に伝播する。この時、配管の形状や材質、及び、液体の温度や流速などの諸条件によって、脈動による振動周波数と配管の共鳴固定振動数とが所定の値になると、共鳴が励起されて振動が大きくなり、その結果として騒音を生じると考えられる。
そして、上記のような現象は、変速機構部からラジエタに向けてATFを流動させる場合に限らず、液体流路の途中に圧力調整弁を備え、その圧力調整弁の開弁に伴い液体流路内から外部へ液体を排出することで圧力調整を行うようにした液体流路構造体にあっては、共通した課題となっている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体流路に圧力調整弁を備えた液体流路構造体で圧力調整を行う場合に、不快な異音の発生を良好に抑制できる液体流路構造体を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、上流側から下流側に向けて液体を流動させる液体流路が内部に形成された液体配管を有し、その液体配管の途中には前記液体流路内の液体の一部を外部に排出させて該液体流路内の圧力を調整する圧力調整弁が設けられ、該圧力調整弁よりも前記液体流路の下流側には該液体流路内を流動する液体の流動方向を変更させるコーナ部が形成され、該コーナ部には前記圧力調整弁の開弁時に生じる振動を抑制するための振動抑制部が設けられ、該振動抑制部は前記液体流路内を上流側から前記コーナ部に流動してきた液体と対向する位置に配置された液体流路構造体であることを要旨とする。
なお、本明細書中において、「前記コーナ部に流動してきた液体と対向する位置」とは、上流側から下流側に向けて流動してきた流体と振動抑制部が相対していることを意味するものとする。この場合、液体がコーナ部で流動方向を変更する際においては、液体と振動抑制部とが垂直に相対している場合、また所定の角度を有して相対している場合を含むものとする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液体流路構造体において、前記振動抑制部の内部には気体が貯留された気体貯留室が設けられ、該気体貯留室は、その内部の気体に対して前記コーナ部において前記液体が前記振動抑制部に衝突した場合の衝撃力が伝播するように配置されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の液体流路構造体において、前記振動抑制部には、前記気体貯留室に液体が流入することを抑制するための液体流入抑制部材が設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の液体流路構造体において、前記液体流入抑制部材は可撓性材料からなることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の液体流路構造体において、前記振動抑制部には、可撓性材料からなる振動抑制部材が設けられ、該振動抑制部材は、前記液体流路内を上流側から前記コーナ部に流動してきた液体と対向する位置に配置されていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の液体流路構造体において、前記振動抑制部は、前記コーナ部よりも上流側の液体流路と前記コーナ部よりも下流側の液体流路とを連結する連結用継手内に形成されることを要旨とする。
本発明によれば、液体流路に圧力調整弁を備えた液体流路構造体で圧力調整を行う場合に、不快な異音の発生を良好に抑制することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を車両に搭載される自動変速機の変速機構部からラジエタに向けてATFを流動させる液体流路構造体に具体化した第1の実施形態を図1及び図2に従って説明する。なお、ここでいう変速機構部にはトルクコンバータも含まれる。また、以下における本明細書中の説明において、「上方向」は図1における上側で重力方向上方を示し、「右方向」は図1における右側で変速機構部からラジエタに向かう方向を示すものとする。
図1に示すように、車両に搭載される自動変速機11の変速機構部11aとラジエタ12との間は、往路配管となる液体流路構造体13と復路配管となる返送配管14とで連結されている。また、自動変速機11内の液体流路構造体13の途中には圧力調整弁15が設けられ、この圧力調整弁15と変速機構部11aとの間はバイパス配管16により連結されている。
変速機構部11a内の油圧制御装置(図示略)では、自動変速に際して油圧クラッチを作動させる媒体としてATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)を用いている。このATFは、装置内で使用されるうちに温度が上昇するため、変速機構部11a側から液体流路構造体13を通じてラジエタ12に送られて冷却される。ラジエタ12にて適温に冷却されたATFは、ラジエタ12側から返送配管14を通じて変速機構部11aに戻される。また、液体流路構造体13内の液圧が所定値以上に上昇した場合は、圧力調整弁15を開弁してATFの一部を液体流路構造体13内から排出し、バイパス配管16を通じて変速機構部11aに返送する。このように変速機構部11aで用いられるATFは適温に保たれながら循環利用されている。
図2は、図1における液体流路構造体13の断面構造を示したものである。本実施形態における液体流路構造体13は、変速機構部11aに接続される変速機構側配管(液体配管)17と、ラジエタに接続されるラジエタ側配管(液体配管)18と、これら2本の配管17,18を連結する連結用継手19とから構成されている。そして、ATFは、これらの各配管17,18及び連結用継手19を通じて変速機構部11a側からラジエタ12へと送られる。
変速機構側配管17は、ATFの流動方向が途中で変更されるように、その途中部分が屈曲した形状をなしている。そして、変速機構側配管17内には、変速機構部11a側の第1変速機構側流路(液体流路)17aと連結用継手19側の第2変速機構側流路(液体流路)17bとが、変速機構側配管17内でのATFの流動方向を略直交するように屈曲させる第1のコーナ部20を介して連続形成されている。そのため、第1変速機構側流路17a内を右方向に向かって流動してきたATFは、第1のコーナ部20で流動方向を変更されて第2変速機構側流路17b内を上方向に向けて流動するようになっている。
また、図2に示すように、液体流路構造体13における変速機構側配管17の第1のコーナ部20よりも上流側の所定箇所には弁孔として機能するバイパス孔17cが形成されている。変速機構側配管17の外側においてバイパス孔17cと対応する位置には圧力調整弁15が配置され、圧力調整弁15は、その弁体15aが付勢ばね15bの付勢力により常にはバイパス孔17cを閉塞する常閉弁態様となるように構成されている。そして、液体流路構造体13内の圧力が高くなり、弁体15aが付勢ばね15bの付勢力に抗してバイパス孔17cを開放するように開弁動作した場合には、変速機構側配管17の第1変速機構側流路17a内からATFがバイパス孔17cを介してバイパス配管16内へと排出されるようになっている。
また、ラジエタ側配管18も、ATFの流動方向が途中で変更されるように、その途中部分が湾曲した形状をしている。そして、ラジエタ側配管18内には途中が湾曲したラジエタ側流路(液体流路)18aが形成されている。ラジエタ側配管18は、ラジエタ側流路18a内の上流側におけるATFの流動方向が変速機構側配管17の第2変速機構側流路17b内におけるATFの流動方向と略直交するように、連結用継手19を介して変速機構側配管17に連結されている。そのため、変速機構側配管17の第2変速機構側流路17b内を上方向に向かって流動してきたATFは、連結用継手19内で流動方向を右方向に変更され、ラジエタ側流路18a内の上流側を右方向に向かって流動する。そして、ラジエタ側流路18a内の上流側を右方向に向かって流動したATFは、その途中で流動方向が湾曲するように変更され、最終的には上方向に向かって流動してラジエタ12に送られる。
図2に示すように、連結用継手19は、第1継手部材21と第2継手部材22とから構成されている。第1継手部材21は、略六角柱形状のヘッド部21aと、該ヘッド部21aの長手方向に連続形成された略円筒形状のインサート部21bとを有してなり、ヘッド部21aとインサート部21bとの境界となる部分の外周にはフランジ部23が形成されている。ヘッド部21aのインサート部21b内に臨む底面からはヘッド部21aの軸方向に沿う長穴状の気体貯留室24が振動抑制部を構成するべく形成され、この気体貯留室24の開口部24aの開口径はインサート部21bの内径よりも小さくなっている。
第1継手部材21のインサート部21bには、該インサート部21bの内外間を連通する一対の連通孔25がインサート部21bの軸方向と直交する同一軸線上に位置するようにして形成されている。一方、第2継手部材22は、有底円筒状の接続部22aと、該接続部22aの長手方向に連続形成された略円筒状のインサート部22bとを有している。そして、第2継手部材22の接続部22aには、該接続部22aの内外間を連通すると共に前記第1継手部材21のインサート部21bを挿入可能な一対の連通孔26が接続部22aの軸方向と直交する同一軸線上に位置するようにして形成されている。
そして、連結用継手19においては、第2継手部材22の接続部22aの連通孔26に第1継手部材21のインサート部21bが挿入され、第1継手部材21のフランジ部23と第2継手部材22の接続部22aの外周面とが当接した状態で、第1継手部材21と第2継手部材22とが互いの軸方向を直交させるようにして連結されている。そして、この状態で、第1継手部材21のインサート部21bに変速機構側配管17の下流端が圧入されて移動不能に固定され、第2継手部材22のインサート部22bにラジエタ側配管18の上流端が圧入されて移動不能に固定される。これにより、第1継手部材21のインサート部21bの連通孔25を通じて、変速機構側配管17の第2変速機構側流路17b内とラジエタ側配管18のラジエタ側流路18a内とが連通する。このとき変速機構側配管17の第2変速機構側流路17bとラジエタ側配管18のラジエタ側流路18aとが互いに交差する連結用継手19内の空間域が液体流路構造体13における第2のコーナ部27となる。
そこで次に、上記のように構成された液体流路構造体13の作用に関し、特に連結用継手19に形成された振動抑制部としての気体貯留室24の作用に着目して説明する。
さて、自動変速機11の始動前には液体流路構造体13内にATFは流動しておらず、液体流路構造体13内は空気で満たされている。自動変速機11の始動後、変速機構部11aの装置内部で使用されていたATFの温度が上昇するため、ATFは変速機構部11a側から液体流路構造体13を介してラジエタ12へと送られる。すなわち、ATFは、変速機構部11a内から液体流路構造体13の第1変速機構側流路17aに送り出され、以後、第2変速機構側流路17b、連結用継手19内の第2のコーナ部27、及びラジエタ側流路18aを通じてラジエタ12に向かって流動する。
上記のような構成でATFを変速機構部11aから液体流路構造体13を通じてラジエタ12に送っている際に、液体流路構造体13内の液圧が所定値以上に上昇すると、圧力調整弁15が開弁される。すると、第1変速機構側流路17aを流動していたATFの一部がバイパス配管16へと流出し、その際に、圧力調整弁15よりも下流側の液体流路構造体13内においてはATFの流動状況が変化することにより微小な渦(カルマン渦)が発生する。これにより励起された圧力脈動はATFの流動と共に下流側へと伝播し、この圧力脈動によって液体流路構造体13内には振動現象が生じることになる。
このようなATFが第2変速機構側流路17b内を上方向へ向かって流動し、連結用継手19内に形成された第2のコーナ部27まで至ると、そのATFの流れは第1継手部材21のヘッド部21a内に形成された気体貯留室24の開口部24aに衝突する。そして、その衝突時の衝撃力が気体貯留室24内に貯留された気体(例えば、空気)に伝播する。すると、第2のコーナ部27で気体貯留室24の開口部24aに衝突したATFの脈動は、気体貯留室24内の気体が圧縮されることによって減衰される。このため、第2のコーナ部27で方向を変更されてラジエタ側流路18aに向けて流出したATFの脈動は第2のコーナ部27への流入前よりも小さくなる。すなわち、気体貯留室24のダンパー効果により、脈動によって生じる振動現象も抑制され、ラジエタ側配管18に大きな振動が生じて不快な異音が発生することがなくなる。
以上説明したように、この第1の実施形態にかかる液体流路構造体13によれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)圧力調整弁15よりも下流側に形成された第2のコーナ部27でATFの流動方向を変更させる液体流路構造体13において、第2のコーナ部27に設けられた振動抑制部により圧力調整弁15の開弁時に下流側のラジエタ側配管18で生じる振動を抑制でき、不快な異音の発生を良好に抑制することができる。
(2)第2変速機構側流路17bを下方から上方に向けて流動してきたATFは、気体貯留室24の開口部24aを介して気体貯留室24内に貯留された圧縮性の高い気体に衝突する。その結果、衝突時の衝撃力は気体が圧縮されることによって減衰される。この気体貯留室24内の気体によるダンパー効果により、ATFの圧力脈動を減衰することができる。
(3)気体貯留室24を連結用継手19内に形成することにより、変速機構側配管17、ラジエタ側配管18、及び圧力調整弁15などの主要な構成を変更することなく、液体流路構造体13における不快な異音の発生を良好に抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る液体流路構造体の第2の実施形態について、図3に従って説明する。
この第2の実施形態は、先の第1の実施形態との対比において、気体貯留室の開口部に液体流入抑制部材を備えた点でのみ第1の実施形態と異なっている。したがって、以下では、第1の実施形態と共通する部材構成については同一符号を付すに止めて重複説明を省略し、第1実施形態と相違する部分について主に説明することにする。
図3に示すように、この第2の実施形態における連結用継手19も、第1の実施形態の場合と同様に、第1継手部材21と第2継手部材22とからなり、その第1継手部材21のヘッド部21a内には振動抑制部としての気体貯留室24が形成されている。そして、この第2の実施形態の場合には、その気体貯留室24の開口部24aに有底円筒形状の液体流入抑制部材28が設けられている。
この液体流入抑制部材28は、可撓性材料で形成されると共に、その底部には小径の開口部28aが形成されている。そして、この液体流入抑制部材28は、その小径の開口部28aが第2のコーナ部27から気体貯留室24内への入口となる配置態様で、気体貯留室24の開口部24a付近に固定されている。すなわち、この第2の実施形態では、第2のコーナ部27と連通する気体貯留室24の開口部(この場合は、液体流入抑制部材28の開口部28a)が第1の実施形態の場合よりも小さくなる。このため、ATFが第2のコーナ部27に上流側から流入してきて気体貯留室24に衝突した際に、ATFが気体貯留室24内に流入して内部に貯留されている空気が気体貯留室24の外部へ流出するのを抑制することができる。
本実施形態では、上記第1の実施形態の効果(1)〜(3)に加え、さらに以下に示す効果をも得ることができる。
(4)小径の開口部28aを有する液体流入抑制部材28を気体貯留室24の開口部24a付近に設けて第2のコーナ部27と気体貯留室24との連通口となる開口部を小さくすることにより、気体貯留室24内の空気が気体貯留室24外へ流出することを抑制し、振動抑制効果を長期にわたって発揮することができる。
(5)液体流入抑制部材28を可撓性材料で形成することにより、気体貯留室24内の気体によるダンパー効果に加えて、液体流入抑制部材28自体が弾性変形することによってもATFの圧力脈動を減衰することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る液体流路構造体の第3の実施形態について、図4に従って説明する。
この第3の実施形態は、先の第1の実施形態との対比において、連結用継手の第1継手部材に関する構成及び可撓性材料からなる振動抑制部材を備えた点でのみ第1の実施形態と異なっている。したがって、以下では、第1の実施形態と共通する部材構成については同一符号を付すに止めて重複説明を省略し、第1の実施形態と相違する部分について主に説明する。
図4に示すように、この第3の実施形態における連結用継手19Aは、第1継手部材21Aと第2継手部材22とから構成されている。そして、第1継手部材21Aのヘッド部21a内にはインサート部21bと同じ内径の円形空洞状をなす気体貯留室24Aが形成されている。また、この気体貯留室24Aの開口部24aと第2のコーナ部27との境界部分には可撓性材料からなる平板状の振動抑制部材29が振動抑制部を構成するべく設けられている。すなわち、第2変速機構側流路17bの流路断面積に略等しい受圧面積を有する振動抑制部材29が第2のコーナ部27に設けられている。なお、第2継手部材22の形状は第1の実施形態の場合と同様であり、第1継手部材21Aと第2継手部材22との接合方法、第1継手部材21Aと変速機構側配管17との接合方法、及び第2継手部材22とラジエタ側配管18との接合方法についても、第1の実施形態の場合と同様である。
次に、振動抑制部材29の作用について説明する。
第1継手部材21Aのヘッド部21a内に形成された気体貯留室24Aの内部には空気(気体)が貯留され、その空気は気体貯留室24Aの開口部24aを閉塞する振動抑制部材29によって気体貯留室24A内に封止されている。このため、ATFが第2変速機構側流路17b内を上方向へ向かって流動してくると、そのATFは第2のコーナ部27で振動抑制部材29に衝突することになる。振動抑制部材29の上側には圧縮性の高い空気で満たされた気体貯留室24Aがあるため、流動してきたATFの上方向に向かう圧力を受けた振動抑制部材29は上下方向に撓む。この際の振動抑制部材29のダンパー効果により、ATFの流動と共に伝播してきた圧力脈動は減衰され、第2のコーナ部27で流動方向を変更されてラジエタ側流路18aに流出する。そして、ラジエタ側流路18aに流出したATFの脈動は第2のコーナ部27への流入前よりも小さくなる。これにより、ATFの圧力脈動によって生じる振動現象も抑制され、ラジエタ側配管18に大きな振動が生じて不快な異音が発生するようなことはなくなる。
本実施形態では、上記第1の実施形態の効果(1)〜(3)に加え、さらに以下に示す効果をも得ることができる。
(6)第2のコーナ部27に向けて流動してきたATFが衝突する位置に第2変速機構側流路17bの流路断面積に略等しい受圧面積を有する可撓性材料からなる振動抑制部材29を設けることにより、連結用継手19A内の第2のコーナ部27において効率良くATFの圧力脈動を減衰させることができる。そして、第2のコーナ部27で流動方向を変更させられたATFが下流側のラジエタ側流路18aに流出した場合にラジエタ側配管18での不快な異音の発生を良好に抑制することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明に係る液体流路構造体の第4の実施形態について、図5に従って説明する。
この第4の実施形態は、先の第1の実施形態との対比において、連結用継手の第1継手部材に関する構成及び振動抑制部として機能する可撓性材料からなる振動抑制部材を変速機構側配管における第1のコーナ部に備えた点でのみ第1の実施形態と異なっている。したがって、以下では、第1の実施形態と共通する部材構成については同一符号を付すに止めて重複説明を省略し、第1実施形態と相違する部分について主に説明する。
図5に示すように、この第4の実施形態における連結用継手19Bは、第1継手部材21Bと第2継手部材22とから構成されている。そして、これら両継手部材21B,22が互いに軸方向を直交させるように接合されることにより、連結用継手19B内にはATFの流動方向を変更(屈曲)させる第2のコーナ部27が設けられている。但し、この第4の実施形態における連結用継手19Bでは、その第1継手部材21Bのヘッド部21a内に気体貯留室は設けられていない。
その一方で、この第4の実施形態では、変速機構側配管17における第1変速機構側流路17aと第2変速機構側流路17bとが略直交するような形状をなす第1のコーナ部20において、第1変速機構側流路17a内を右方向に向かって流動してきたATFが衝突する位置には開口部17dが形成されている。そして、この開口部17dを封止するように変速機構側配管17には可撓性材料からなる平板状の振動抑制部材30が振動抑制部を構成するべく貼着されている。
これにより、上流側から第1のコーナ部20に向けて流入してきたATFは振動抑制部材30に衝突し、振動抑制部材30は変速機構側配管17の外側に向けて撓む。この際の振動抑制部材30のダンパー効果により、ATFの流動と共に伝播してきた圧力脈動は減衰され、第1のコーナ部20で流動方向を変更されて第2変速機構側流路17bに流出する。そして、第2変速機構側流路17bに流出したATFの脈動は、第1のコーナ部20への流入前よりも小さくなる。これにより、ATFの圧力脈動によって生じる振動現象も抑制され、下流側のラジエタ側配管18に大きな振動が生じて不快な異音が発生するようなことはなくなる。
本実施形態では、上記第1の実施形態の効果(1)に加え、以下に示す効果も得ることができる。
(7)変速機構側配管17内を上流側から第1のコーナ部20に向けて流動してきたATFが衝突する位置に可撓性材料からなる振動抑制部材30を設けることにより、圧力調整弁15、連結用継手19B、ラジエタ側配管18などの部材構成を格別に変更することなく不快な異音の発生を良好に抑制することができる。
なお、上記各実施形態は、これを適宜に変更した以下のような別の実施形態(別例)にて実施することもできる。
・第1の実施形態において、気体貯留室24は連結用継手19内に限らず、ATFの流動方向を変更するコーナ部であるならば、変速機構側配管17及びラジエタ側配管18の少なくとも一方の配管内に形成してもよい。これにより液体流路構造体13の設計の自由度が増し、圧力脈動を効果的に減衰することのできる箇所に振動抑制部を好適に設けることができる。
・第2の実施形態において、液体流入抑制部材28の開口部28aは1つに限らず、複数設けてもよい。
・第1及び第2の実施形態において、第1継手部材21内に形成される気体貯留室24は、第1継手部材21に接続される別部材に形成してもよい。すなわち、第1継手部材21におけるヘッド部21aをフランジ部23の上方位置で分離し、気体貯留室24が内面側に形成された有底筒状の気体貯留室形成部材にすると共に、第1継手部材21をフランジ部23よりも下方のインサート部21bのみからなる構成とする。そして、そのインサート部21bのみからなる第1継手部材21のフランジ部23の上方から有底筒状の気体貯留室形成部材(すなわち、第1継手部材19から分離されたヘッド部21)を接合するようにしてもよい。これによれば、変速機構側配管17及びラジエタ側配管18と連結用継手19との連結を保持したまま、条件に応じて様々な容積に設定された複数の気体貯留室を適宜設定することができる。
・第1〜3の実施形態において、連結用継手19,19Aは第1継手部材21,21Aと第2継手部材22とを組み合わせたものに限らず、内部にL字型の液体流路が形成された単一部材からなる連結用継手を用いてもよい。
・第1〜3の実施形態においては、連結用継手19,19Aで2つの配管17,18をL字型に接続する液体流路構造体13について説明したが、こうしたL字型の配管に限らず、流出側が2本に分岐するT字型の配管や、流出側が3本以上に分岐する多岐管を接続する場合についても、本発明は同様に適用することができる。
・各実施形態において、振動抑制部(気体貯留室24,24A、振動抑制部材28,29,30)を設けるコーナ部20,27は、圧力調整弁15の下流側であれば、何番目のコーナ部に設けてもよい。
・各実施形態において、振動抑制部(気体貯留室24,24A、振動抑制部材28,29,30)は1つに限らず、複数のコーナ部に設けてもよい。
・各実施形態においては、車両に搭載される自動変速機11の変速機構部11aとラジエタ12との間の液体流路構造体13に適用する場合について説明したが、こうした液体流路構造体は、例えば、ATFを媒体としない油圧バルブ装置や蒸気圧バルブ装置、水路バルブ装置等における液体流路構造体であってもよい。
第1の実施形態に係る液体流路構造の全体概略図。 第1の実施形態の液体流路構造体を模式的に示す断面図。 (a)は第2の実施形態の液体流路構造体を模式的に示す断面図、(b)はその一部を拡大した断面図。 第3の実施形態の液体流路構造体を模式的に示す断面図。 第4の実施形態の液体流路構造体を模式的に示す断面図。
符号の説明
13…液体流路構造体、15…圧力調整弁、17…変速機構側配管(液体配管)、17a…第1変速機構側流路(液体流路)、17b…第2変速機構側流路(液体流路)、18…ラジエタ側配管(液体配管)、18a…ラジエタ側流路(液体流路)、19,19A,19B…連結用継手、20…第1のコーナ部、24,24A…気体貯留室(振動抑制部)、27…第2のコーナ部、28…液体流入抑制部材(振動抑制部)、29,30…振動抑制部材(振動抑制部)。

Claims (6)

  1. 上流側から下流側に向けて液体を流動させる液体流路が内部に形成された液体配管を有し、その液体配管の途中には前記液体流路内の液体の一部を外部に排出させて該液体流路内の圧力を調整する圧力調整弁が設けられ、該圧力調整弁よりも前記液体流路の下流側には該液体流路内を流動する液体の流動方向を変更させるコーナ部が形成され、該コーナ部には前記圧力調整弁の開弁時に生じる振動を抑制するための振動抑制部が設けられ、該振動抑制部は前記液体流路内を上流側から前記コーナ部に流動してきた液体と対向する位置に配置された液体流路構造体。
  2. 前記振動抑制部の内部には気体が貯留された気体貯留室が設けられ、該気体貯留室は、その内部の気体に対して前記コーナ部において前記液体が前記振動抑制部に衝突した場合の衝撃力が伝播するように配置されている請求項1に記載の液体流路構造体。
  3. 前記振動抑制部には、前記気体貯留室に液体が流入することを抑制するための液体流入抑制部材が設けられている請求項2に記載の液体流路構造体。
  4. 前記液体流入抑制部材は可撓性材料からなる請求項3に記載の液体流路構造体。
  5. 前記振動抑制部には、可撓性材料からなる振動抑制部材が設けられ、該振動抑制部材は、前記液体流路内を上流側から前記コーナ部に流動してきた液体と対向する位置に配置されている請求項1又は請求項2に記載の液体流路構造体。
  6. 前記振動抑制部は、前記コーナ部よりも上流側の液体流路と前記コーナ部よりも下流側の液体流路とを連結する連結用継手内に形成される請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の液体流路構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019134520A1 (zh) * 2018-01-02 2019-07-11 美的集团股份有限公司 一种水流压力脉动衰减装置及其水家电设备

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