JP2007270833A - 形状を局所的に再加工したステータ翼とこのような翼を備えるステータ部分、圧縮ステージ、圧縮機およびターボ機械 - Google Patents

形状を局所的に再加工したステータ翼とこのような翼を備えるステータ部分、圧縮ステージ、圧縮機およびターボ機械 Download PDF

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Abstract

【課題】応力レベルを局所的に低減するために、ステータ翼の幾何形状を新規に再加工することに関する。
【解決手段】翼の幾何形状の局所的再加工が実施されるステータ部分の新規タイプを提案し、この再加工により、さらなる空気力学的工学技術を必要とせずに、翼を外側シュラウドに接合するロウ付け箇所の応力レベルを低減できる。これを達成するために、本発明では、翼の厚みを連続的に増加すると共に、後縁の半径を連続的および局所的に増加する。
【選択図】図3

Description

本発明はターボ機械、詳細にはターボジェットエンジンの分野に関し、圧縮機内に位置するステータ翼に適用する。
さらに詳細には、本発明は、応力レベルを局所的に低減するために、翼の幾何形状を新規に再加工することに関する。
説明における注意点として、用語の「上流」または「下流」は、軸方向における相互関係についての構造要素の位置を示すために用いられ、基準点としてガス流方向を取る。同様に、用語の「内側」または「半径方向内側」および「外側」または「半径方向外側」は、半径方向における相互関係についての構造要素の位置を示すために用いられ、基準点としてターボ機械の回転軸を取る。
ターボ機械は燃焼室に圧縮空気を送る1つまたは複数の圧縮機を備える。燃焼室では、空気が燃料と混合されて点火され、高温燃焼ガスを発生する。これらのガスは燃焼室の下流方向に1つまたは複数のタービンに向かって流れ、タービンはこのように受け取ったエネルギーを変換して、圧縮機(または複数の圧縮機)を回転し、必要な仕事を提供、例えば航空機に動力を供給する。
圧縮機、例えば高圧圧縮機は、1つまたは複数の圧縮ステージで構成され、各ステージは固定翼の翼列と、その後部の、ロータブレードを装着されたロータディスクと、を備える。ステータ翼列として知られている固定翼の翼列は、角度のあるステータ部分の集合で構成される。これの一例は図1に示されており、各セクション1は複数の固定翼2を備え、固定翼は、内側端を内側シュラウド3に結合され、外側端を外側シュラウド4に結合されている。ステータ部分の目的は、エンジンの上流側から来る空気の流れを整流して、この空気流れが適切な角度でロータディスクの上流側に到達するようにすることである。
固定翼2は、前縁および後縁を有する空気力学的輪郭を形成する加圧面8と吸引面9と、それぞれが知られている2つのフランクにより画定される。前縁6、すなわちLEは、加圧面と吸引面とが上流側で接する場所に形成される。後縁7、すなわちTEは、加圧面と吸引面とが下流側で接する場所に形成される。この空気力学的輪郭は極めて重要である。なぜなら、この輪郭により、上述のとおり、固定翼がターボ機械の上流側から来る空気の流れを整流できるからである。この輪郭は、計算により設計され、エンジン軸に対して種々の高さにおいて、図のEで示される固定翼積重ね軸に沿って取られる、半径方向部分の形状に表れる。次に、これらの様々な半径方向部分によって形成される固定翼は、内側シュラウドと外側シュラウドとの間に組み込まれる。固定翼とシュラウドとの間の結合は様々な方法で実現できる。次に、固定翼とシュラウドはロウ付けにより組み立てできる。
特定の空気力学的輪郭では、TEの曲率半径は極めて小さく、例えば0.1mmのオーダーであり、これは、エンジンが作動中、加圧面側における翼と外側シュラウドとの間のロウ付け箇所の静的応力を、TEの方向に増加させることになる。
このようにして発生する応力レベルは、極めて大きいことが立証されており、接合箇所にひび割れを生じる可能性がある。
この種のひび割れが発生すると、ひび割れ部分の応力レベルを低減するために、翼の幾何形状の再加工を実施することは知られている。この知られている種類の再加工は、翼の半径方向の各部分の全てにわたる翼の厚み、および翼の高さhの全てまたは一部における翼の厚みを増加することによって達成される。したがって、この種類の再加工は、翼の空気力学的輪郭を変化させることになり、これは、新しい輪郭が計算されることを必要とし、および、新しい翼の機械的完全性、詳細にはひび割れ部分に発生する応力レベルが検証される必要がある。多くの場合、空気力学的観点と機械工学的観点の両方で満足する輪郭を得るために、空気力学工学と機械工学との間の複数の繰返し作業が必要とされる。この種類の変更は、実施が煩雑であり、時間を要し、高価になる。さらに、翼の全体交換を必要とし、翼の製造に極めて大きい影響を与える。
本発明は、翼の幾何形状の局所的再加工を実施した、新しいタイプのステータ部分を提示することにより、これらの問題を解決できる。この再加工により、さらなる空気力学的工学技術を必要とせずに、翼を外側シュラウドに接合するロウ付け箇所の応力レベルを低減できる。
このように、この局所的な再加工により、翼の空気力学的輪郭に影響を与えることなくステータ部分の機械的完全性を保証できる。したがって、空気力学工学と機械工学との間の繰返し作業の必要がなくなり、時間の節減が可能になって、顧客の要求にすばやく対応でき、また必要とされる設計作業および製造の両方のコストを低減できる。実際、鍛造翼の場合、例えば、既存の金型の局所的な機械加工が必要とされるだけである。さらに、この新しいタイプのステータは、ステータの周辺部品の間の境界面に影響を与えることなく、古いステータと完全に交換可能である。
さらに詳細には、本発明は少なくとも1つのステータ翼を備えるターボ機械のステータ部分に関する。各ステータ翼は、内側シュラウドおよび外側シュラウドに結合され、高さh4の半径方向内側部分と、高さh1の半径方向外側部分と、加圧面側と、吸引面側と、前縁と、後縁と、高さh3の中間部分および嵌合する高さh2の結合部分から形成される、先端として知られている半径方向外側部分とを備え、中間部分は結合部分と半径方向内側部分との間に位置し、各翼の半径方向内側部分は遷移ゾーンによって半径方向外側部分に接続される第1ゾーンを備え、各翼は結合部分だけで外側シュラウドに結合され、翼の中間部分は外側シュラウドの半径方向内側に位置し、加圧面を吸引面に接続する後縁は曲率半径を有し、この曲率半径は、翼の遷移ゾーンで連続的に増加し、遷移ゾーンと中間部分が接する場所で最大値に達し、結合部分で一定値を維持する。
本発明の一実施形態によれば、後縁の曲率半径は各翼の半径方向内側の第1ゾーンで一定である。
好ましくは、後縁の曲率半径は各翼の遷移ゾーンで直線的に増加する。
有利には、エアフォイルの厚みは、各翼の加圧側の遷移ゾーン内で、後縁に向かって連続的に増加する。
可能な一実施形態によれば、各翼の遷移ゾーンの後縁の曲率半径は、翼の半径方向内側部分の第1ゾーンの後縁の曲率半径の3倍に達するまで増加する。
有利には、各翼の遷移ゾーン(2d)および中間部分(2c)は、翼の全体高さの0.5〜2.5%の間にあり、翼の厚みの連続的増加は翼の弦の長さの1/3にわたって生じ得る。
本発明はまた、圧縮ステージと、圧縮機と、少なくとも1つのこのようなステータ部分を装備した全てのターボ機械に関する。
本発明はより理解され、本発明の他の利点は、非限定の例により示され、添付図面を参照してなされる、好ましい実施形態に続く説明によってさらに明らかになるであろう。
図1は、すでに説明したとおり、上流側から見た、複数の翼2を備えるステータ部分1を示す。
図2は、例えば航空機ジェットエンジンなどのターボ機械100全体の断面図を示し、低圧圧縮機101、高圧圧縮機102、低圧タービン104、高圧タービン105、および燃焼室106を備える。
図3はステータ部分の断面図である。さらに詳細には、この図は翼2の空気力学的輪郭200が外側シュラウド4にどのように嵌合するかの一例を示す。この例では、翼2と外側シュラウド4は以下のように嵌合する。すなわち、空気力学的輪郭200が外側シュラウドを超えて半径方向に突き出る。組み合わせたアセンブリの隙間を設けるために、空気力学的輪郭200は外側シュラウド4の内側面5に平行な面201に沿って面取りされ、面201と内側面5とは、組み合わせたアセンブリの隙間の寸法に等しい距離Jだけ分離される。空気力学的輪郭200が面取りされると、このようにして得られた切削面202は半径方向に突き出て、外側シュラウド4の僅か上方に突き出る円筒体203を得る。したがって、切削面202と外側シュラウド4の内側面5との間に位置する翼の端部は円筒体であって、この円筒体の母線は翼の積重ね軸Eに平行である。この種類の結合は外側シュラウドへの穴加工を容易にし、この穴内に翼が位置合わせされる。
図4は、本発明による、ターボ機械の回転軸Xを含む平面における、ステータ部分の断面図を示す。
全体高さhの翼2は、高さh1の半径方向外側部分10と、高さh4の半径方向内側部分2aとで形成される。翼先端として知られている半径方向外側部分10は、高さh2の結合部分2bと、高さh3の中間部分2cとで形成され、h1=h2+h3である。
翼2は、半径方向外側部分10によって、さらに詳細には、結合部分2bのおかげで外側シュラウド4に半径方向に設定される。
ここに示された例では、翼2と外側シュラウド4とは、上述の方法を用いて結合される。したがって、半径方向外側部分10は円筒体であって、この円筒体の母線は翼2の積重ね軸Eに平行である。切削面202は、翼の半径方向内側部分2aと外側部分10との間の境界に一致する。
高さh4の半径方向内側部分2aは、内側シュラウド3と切削面202との間に延び、その形状は、上述のとおり、計算によって決定される。
翼2と外側シュラウド4とはロウ付けによって組み合わされ、ロウ付け接合点は翼の外側シュラウド4と高さh3の結合部分2bとの間に形成される。後縁7の曲率半径が極めて小さいとき、例えば0.2mmのオーダーであるとき、TEの方向の局所的な過大応力が、加圧面側のロウ付け箇所に発生し、ひび割れを生じる可能性がある。この予測される過大応力が発生するゾーンは、参照符号20で示されるゾーンに相当する。このゾーン内で、翼の形状が再加工された。
半径方向外側部分10の高さh1は、翼2の全体高さhの5〜10%、好ましくは7%であり、結合部分2bの高さh2は、全体高さhの0.5〜15%、好ましくは5.8%であり、中間部分2cの高さh3は、全体高さhの0〜5%、好ましくは1.3%である。
図5は、本発明による形状の再加工を施した翼2のゾーン20の、加圧面側から見た詳細図を示す。
本発明によれば、半径方向内側部分2aは2つのゾーンから形成され、第1ゾーンは外側シュラウドから半径方向に延び、高さh5の遷移ゾーン2dは第1ゾーンを中間ゾーン2cに接続する。したがって、第1ゾーンの高さはh4−h5に等しい。
翼2の半径方向内側部分2aの第1ゾーンでは、加圧面8を吸引面9に接続するTE7aの曲率半径は、全体高さh4にわたって実質的には一定である。
遷移ゾーン2dでは、TE7dの曲率半径は連続的に変化し、曲率半径7aの長さに等しい長さから、曲率半径7aの長さの3倍の長さに達するまで連続的に増加する。これの最大値は切削面202の位置で得られ、この値は、過大な応力のレベルおよび位置への影響がそれ以上大きくならない最大値に相当する。好ましくは、曲率半径におけるこの増加は直線的である。
翼2の中間部分2cでは、すなわち切削面202と外側シュラウド4の内側面5との間に位置する部分では、TE7cの曲率半径は実質的に一定であり、切削面202に達する曲率半径7dに等しい。
このように、曲率半径のこの局所的再加工はh5+h3に相当する高さ全体にわたり実施される。h5は翼の全体高さhの0.5〜2.5%、好ましくは2.2%である。したがって、TEにおける曲率半径の増加は翼の空気力学に影響を与えない。
図6は、本発明による翼の先端10を通るラインA−Aで切断された断面図を示す。形状を再加工しない翼に対応する断面22と、本発明による翼に対応する断面21とは重ね合わせで示されている。翼先端10では、さらに詳細には、翼の中間部分2cでは、形状を再加工しない断面22は、翼の全体高さhにわたって同一のTEの曲率半径を有し、短い長さの曲率半径、すなわち0.1〜0.3mmのオーダーの曲率半径を有する。本発明による断面21、すなわち、加圧面のTEの形状を再加工した翼に対応する断面は、初期断面22に比べて増加した、TE7cにおける曲率半径を有する。
さらに、TEにおける曲率半径の増加は、翼の厚みの増加によって達成される。この増加は翼の弦の全長Cにわたって得られ得るが、一般に、断面21の下流部分だけが増加した厚みを有する。弦の長さCは、所与の断面について、翼の前縁と後縁を結ぶ線の長さである。好ましくは、厚みの増加した部分は、所与の断面について、最大でも弦の長さの1/3である。断面の厚みの増加は連続的であり、これにより、急峻な形状または突起部が加圧面に沿った空気流れを乱さない。
最後に、結合部分2bでは、TEの曲率半径は、高さh2全体にわたり、中間部分2cの曲率半径と同一である。
これらの幾何形状の再加工が有する影響、すなわち、TEの曲率半径の増加および翼の厚みの増加の影響は、これらの再加工が翼の高さおよび影響を受ける弦の長さに関して極めて局所的である理由から、単に機械的な面だけである。加えて、翼の加圧面についてのみ厚みが増えていく。したがって、翼の空気力学設計は影響を受けない。同様に、翼の直接的環境は変化せず、製造も大幅な影響を受けない。実際には、例えば、鋳造法を利用する場合、溶融金属が内部で鋳造され、かつ翼の形状を再生する金型は、完全に交換する必要がない。既存の金型、すなわち形状を再加工しない翼を製造するのに使用される金型の僅かな変更が、極めて局所的に実施される必要があるだけである。
これらの変更は僅かであることは事実であるが、ステータ部分の機械的完全性への影響は大きい。例えば、以下の翼特性を有するステータ部分の場合、
−翼高さ:67mm、
−TEの曲率半径:0.2mm、
−エアフォイル先端における弦:34.12mm、
翼が外側シュラウドの内側面に接する位置のTEの半径を100%増加後、翼高さ1.5mm全体にわたり直線的増加を実施し、その後に、高さ0.8mm全体にわたり増加した半径を維持し、その後、同一ゾーンにおいて、考えられる各断面に対する弦の長さの1/3にわたり翼の厚みを増加し、ロウ付け箇所の最大応力の約50%低減を観測した。TEの加圧面ゾーンに見られた最大応力の箇所は、ロウ付け箇所の領域の外側に移動していた。
上流側から見た、従来技術によるステータ部分の斜視図である。 ターボ機械、詳細には航空機ジェットエンジンの断面の概略図である。 ステータ部分の一部の断面の概略図である。 本発明による、ターボ機械の回転軸Xを含む平面における、ステータ部分の断面図を示す。 加圧面側から見た、本発明によるステータの詳細図を示す。 本発明による翼の、A−Aで切断された断面図を示す。
符号の説明
1 ステータ部分
2 翼
2a 半径方向内側部分
2b 結合部分
2c 中間ゾーン
2d 遷移ゾーン
3 内側シュラウド
4 外側シュラウド
5 内側面
6 前縁
7 後縁
7a、7d 曲率半径
8 加圧面
9 吸引面
10 半径方向外側部分
20 ゾーン
21、22 断面
100 ターボ機械
101 低圧圧縮機
102 高圧圧縮機
104 低圧タービン
105 高圧タービン
106 燃焼室
200 空気力学的輪郭
201 面
202 切削面
203 円筒体

Claims (10)

  1. 少なくとも1つのステータ翼を備えるターボ機械のステータ部分であって、
    各ステータ翼は、内側シュラウドおよび外側シュラウドに結合され、高さh4の半径方向内側部分と、高さh1の半径方向外側部分と、加圧面側と、吸引面側と、前縁と、後縁と、高さh3の中間部分および嵌合する高さh2の結合部分から形成される、先端として知られている半径方向外側部分とを備え、中間部分は結合部分と半径方向内側部分との間に位置する、ステータ部分であって、
    各翼の半径方向内側部分は、遷移ゾーンによって半径方向外側部分に接続される第1ゾーンを備え、
    各翼は、結合部分だけで外側シュラウドに結合され、
    翼の中間部分は、外側シュラウドの半径方向内側に位置し、
    加圧面を吸引面に接続する後縁は曲率半径を有し、この曲率は、翼の遷移ゾーンで連続的に増加し、遷移ゾーンと中間部分が接する場所で最大値に達し、中間部分および結合部分で一定値を維持する、ステータ部分。
  2. 後縁の曲率半径が各翼の半径方向内側部分の第1ゾーンで一定である、請求項1に記載のステータ部分。
  3. 後縁の曲率半径が各翼の遷移ゾーンで直線的に増加する、請求項1および2のいずれかに記載のステータ部分。
  4. 各翼が、加圧面側の遷移ゾーン内で、後縁の方向に連続的に増加する厚みを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のステータ部分。
  5. 各翼の遷移ゾーンの後縁の曲率半径が、翼の半径方向内側部分の第1ゾーンの後縁の曲率半径の3倍に達するまで増加する、請求項1から4のいずれか一項に記載のステータ部分。
  6. 各翼の遷移ゾーンおよび中間部分が、翼の全体高さの0.5〜2.5%の間にある、請求項1から5のいずれか一項に記載のステータ部分。
  7. 各翼が弦の長さCを有する場合、中間部分の翼の厚みの連続的増加は弦の長さの1/3にわたって生じる、請求項4から6のいずれか一項に記載のステータ部分。
  8. ステータ部分の翼列と、ロータブレードを装着されたロータディスクとを備えた圧縮ステージであって、
    ステータ部分の翼列が、請求項1から7の一項に記載の少なくとも1つのステータ部分を備える、圧縮ステージ。
  9. 請求項8に記載の圧縮ステージを少なくとも1つ備える、圧縮機。
  10. 請求項9に記載の圧縮機を少なくとも1つ備える、ターボ機械。
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