JP2007270663A - 内燃機関の特性パラメータの定常値を求める方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】適合作業において内燃機関の特性パラメータの定常値を必要な精度を確保しつつより短時間で求める方法を提供する。
【解決手段】内燃機関の機関制御状態を内燃機関の特性パラメータの定常値を計測する定常値計測機関制御状態へ設定してから予め定めた待ち時間が経過した時以降の上記特性パラメータの値を計測して、その値を上記定常値計測機関制御状態における上記特性パラメータの定常値とする、内燃機関の特性パラメータの定常値を求める方法であって、上記待ち時間は、上記特性パラメータの定常値に要求される精度に基づいて決定されることを特徴とする、内燃機関の特性パラメータの定常値を求める方法を提供する。
【選択図】図2
【解決手段】内燃機関の機関制御状態を内燃機関の特性パラメータの定常値を計測する定常値計測機関制御状態へ設定してから予め定めた待ち時間が経過した時以降の上記特性パラメータの値を計測して、その値を上記定常値計測機関制御状態における上記特性パラメータの定常値とする、内燃機関の特性パラメータの定常値を求める方法であって、上記待ち時間は、上記特性パラメータの定常値に要求される精度に基づいて決定されることを特徴とする、内燃機関の特性パラメータの定常値を求める方法を提供する。
【選択図】図2
Description
本発明は内燃機関の特性パラメータの定常値を求める方法に関する。より詳細には、内燃機関の制御において用いられる制御パラメータの適合値を求める作業、いわゆる適合作業において必要となる内燃機関の特性パラメータの定常値を求める方法に関する。
一般に、内燃機関の制御は、発生トルク、排気エミッション及び燃費等の内燃機関の特性についての要求条件を満たすようにスロットル開度、点火時期、吸気弁又は排気弁の開閉弁特性、燃料噴射量等の制御パラメータの値を変化させることによって行われる。そしてこれらの制御パラメータには、そのときの内燃機関に対する要求に応じて、例えば機関負荷(発生トルク)及び機関回転数により定まる運転状態毎に最適な値が存在するため、このような運転状態毎の制御パラメータの最適な値を目標値として予め設定しておく必要がある。
このような運転状態毎の制御パラメータの最適な値は、一般に、上記制御パラメータを様々な値に設定し、そのときの発生トルクやNOX排出量等の内燃機関の特性を表す特性パラメータの値を計測してその結果から運転状態毎の各制御パラメータの最適な値(すなわち、適合値)を求める作業、いわゆる適合作業によって求められる。
斯かる適合作業においては、定常運転時における特性パラメータの値(すなわち、特性パラメータの定常値)を求める必要があることから、制御パラメータの値を変化させて設定される各計測点毎に運転状態が安定するまで待ってから、すなわち例えばトルク、機関回転数がほぼ一定の値に収束するまで待ってから計測が行われる。このため、各計測点において特性パラメータの計測値を得るまでに長い時間を要することになる。また、このような計測では、安定待ち時間を長くすることで計測値の精度が向上すると考えられるため、精度確保のために計測時間が長くなる傾向がある。
一方、より短時間で適合作業を行うために(すなわち、適合値を求めるために)、仮想のエンジンモデルを作成しそれを用いて適合値を求める方法も検討されている。すなわち例えば、特許文献1には、過渡状態における適合値を求める方法として、過渡状態における実機試験の結果に基づいて過渡エンジンモデルを作成し、それを用いてシミュレーションを行って適合値を求める方法が開示されている。
ところで、上記のような仮想エンジンモデルを用いた方法が検討されている一方で、適合作業において内燃機関の特性パラメータの定常値を求めるための時間を短縮することへの要求も依然として存在する。本発明はこのような点に鑑みてなされたもので、その目的は、適合作業において内燃機関の特性パラメータの定常値を必要な精度を確保しつつより短時間で求める方法を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された内燃機関の特性パラメータの定常値を求める方法を提供する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の機関制御状態を内燃機関の特性パラメータの定常値を計測する定常値計測機関制御状態へ設定してから予め定めた待ち時間が経過した時以降の上記特性パラメータの値を計測して、その値を上記定常値計測機関制御状態における上記特性パラメータの定常値とする、内燃機関の特性パラメータの定常値を求める方法であって、上記待ち時間は、上記特性パラメータの定常値に要求される精度に基づいて決定されることを特徴とする、内燃機関の特性パラメータの定常値を求める方法を提供する。
請求項1に記載の発明では、上記待ち時間が上記特性パラメータの定常値に要求される精度に基づいて決定されるようになっている。これにより、上記待ち時間が不必要に長くなることが防止されるので、内燃機関の特性パラメータの定常値を必要な精度を確保しつつ、より短時間で求めることが可能となる。
請求項2に記載の発明では請求項1に記載の発明において、内燃機関の機関制御状態を内燃機関の特性パラメータの定常値を計測する定常値計測機関制御状態へ設定してから予め定めた待ち時間が経過した時の上記特性パラメータの値を計測して、その値を上記定常値計測機関制御状態における上記特性パラメータの定常値とするようになっている。
請求項2に記載の発明では、内燃機関の機関制御状態を上記定常値計測機関制御状態へ設定してから上記待ち時間だけ経過した時の上記特性パラメータの値を上記特性パラメータの定常値とするので、上記特性パラメータの定常値を必要な精度を確保しつつ、より確実により短時間で求めることが可能となる。
請求項3に記載の発明では請求項1または2に記載の発明において、上記待ち時間は、機関制御状態を上記定常値計測機関制御状態に設定する際に最後に設定される内燃機関の制御パラメータである最終設定制御パラメータの値のみを変化させた場合における上記特性パラメータの値の定常値への収束特性に基づいて決定されるようになっている。そして請求項3に記載の発明のようにすることによって、上記待ち時間を上記特性パラメータの定常値に要求される精度に対応させて適切に決定することができる。
請求項4に記載の発明では請求項3に記載の発明において、上記待ち時間として、上記最終設定制御パラメータ以外の制御パラメータによって定められる機関制御状態のうちの代表機関制御状態において上記収束特性に基づいて決定される待ち時間が用いられるようになっている。
請求項4に記載の発明によれば、上記代表機関制御状態において得られる待ち時間が用いられることで、全体としてより効率的に内燃機関の特性パラメータの定常値を求めることができる。
請求項5に記載の発明によれば請求項3または4に記載の発明において、上記待ち時間として、上記最終設定制御パラメータ以外の制御パラメータによって定められる機関制御状態のうちの代表機関制御状態において上記収束特性に基づいて決定される待ち時間から統計的に近似予測された待ち時間が用いられるようになっている。
請求項5に記載の発明によれば、上記代表機関制御状態において得られる待ち時間から統計的に近似予測された待ち時間が用いられることで、内燃機関の特性パラメータの定常値を効率的に且つ精度良く求めることが可能となる。
請求項6に記載の発明では請求項4または5に記載の発明において、上記代表機関制御状態が実験計画法により決定されるようになっている。そしてこの請求項6に記載の発明によっても請求項4または5に記載の発明とほぼ同様の作用及び効果を得ることができる。
各請求項に記載の発明は、適合作業において内燃機関の特性パラメータの定常値を必要な精度を確保しつつより短時間で求めることができるという共通の効果を奏する。
以下、図面を参照して本発明について詳細に説明する。図1は適合作業の対象となる内燃機関及び当該適合作業に用いられる計測演算装置を示している。
図1を参照すると1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダブロック2内で往復動するピストン、4はシリンダブロック2上に固定されたシリンダヘッド、5はピストン3とシリンダヘッド4との間に形成された燃焼室、6は吸気弁、7は吸気ポート、8は排気弁、9は排気ポートをそれぞれ示す。図1に示したようにシリンダヘッド4の内壁面の中央部には点火プラグ10が配置され、シリンダヘッド4内壁面周辺部には燃料噴射弁11が配置される。またピストン3の頂面上には燃料噴射弁11の下方から点火プラグ10の下方まで延びるキャビティ12が形成されている。
各気筒の吸気ポート7はそれぞれ対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結され、サージタンク14は吸気管15に連結される。吸気管15内にはステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置される。一方、各気筒の排気ポート9は排気マニホルド19に連結される。また、吸気弁6には吸気弁6の開閉弁特性、すなわち開閉弁する位相角及び作用角を変更するための可変動弁機構20が取付けられている。
一般に、図1に示したような内燃機関の制御は、内燃機関の運転中に変化するトルク、排気エミッション及び燃費等についての要求条件を満たすように、すなわち実際のトルク、排気エミッション及び燃費等が目標トルク、目標排気エミッション及び目標燃費等となるように、内燃機関の運転状態に影響を与える制御可能なパラメータ(すなわち、制御パラメータ)の値を変化させることによって行われる。
このような制御パラメータには、そのときの内燃機関に対する要求に応じて、例えば、機関回転数等により定まる運転状態毎に最適な値が存在する。例えば、点火プラグ10による点火時期については、内燃機関のトルク、燃費や失火等を考慮すると、一般に、トルクが最も大きくなるような最小進角時期、いわゆるMBT(Minimum Advance for Best Torque)付近で点火を行うのが好ましい。このMBTは、全ての運転状態に対して同じではなく、例えば機関回転数が異なると、MBTも異なる時期となる。また、一方で、内燃機関の排気浄化のために内燃機関の排気系に設けられた触媒(図示せず)を高温にする必要があるような場合には、機関本体1から排出される排気ガスの温度を高めるために上記MBTよりも或る程度遅角側の時期に点火を行うのが好ましい。
このような内燃機関に対する要求に応じた運転状態毎の各制御パラメータの最適な値(すなわち、適合値)は、数値計算のみから算出することは困難であるため、通常、内燃機関の形式毎に適合作業によって求められる。ここで、適合作業とは、特定の制御パラメータを様々な値に設定し、各制御パラメータの値毎に特性パラメータ(制御パラメータの値を変更することによりその値が変わり得るパラメータであって内燃機関の特性を表すパラメータ)を計測し、これら特性パラメータの計測値から各運転状態に対する制御パラメータの最適な値(すなわち、適合値)を求める作業を意味する。
図1には、適合作業の対象となる内燃機関に加えて、この内燃機関の特性パラメータの値を計測し必要な演算や各種の処理を行う計測演算装置40が示されている。図示したように、適合作業の対象となる内燃機関に対しては、スロットル弁18の開度を計測するためのスロットル開度センサ31がスロットル弁18に取付けられ、また、吸気管15内を流れる空気の流量を計測するエアフロメータ32がスロットル弁18上流側の吸気管15内に取付けられる。さらに、機関本体1から排出された排気ガスの温度を計測する排気温度センサ33及び機関本体1から排出された排気ガスの空燃比を計測する空燃比センサ34が排気ポート又は排気マニホルド19に取付けられる。さらに、機関本体1のクランクシャフト(図示せず)には内燃機関による駆動力である発生トルクを検出するためのトルクセンサ(図示せず)が取り付けられる。これらセンサ31〜34は、計測演算装置40に接続され、計測演算装置40ではこれらセンサ31〜34によって計測された各特性パラメータの値が表示、保存及び演算処理される。
一方、上述した点火プラグ10、燃料噴射弁11、スロットル弁駆動用のステップモータ17及び可変動弁機構20等は計測演算装置40に接続され、これら点火プラグ10等は計測演算装置40によって駆動、制御される。すなわち、計測演算装置40によって制御パラメータの値が変更される。
ところで、上記適合作業における各種特性パラメータの値の計測は、通常、上述したように制御パラメータを様々な値に設定して各計測点にて行われる。ここで、計測点は各制御パラメータの設定値の組合せで特定され、一つの計測点は各制御パラメータに対する設定値の一つの組合せに対応する。つまり、設定される計測点の各々は各制御パラメータの値の組合せで特定される内燃機関の状態である機関制御状態の各々に対応する。
そして具体的には例えば、一つの制御パラメータのみを一定間隔で変化させた計測点(他の制御パラメータの値は一定値)で順次計測を行うようにする。そしてこの場合、定常運転時における特性パラメータの値(すなわち、特性パラメータの定常値)を求める必要があることから、制御パラメータの値を変化させて設定される各計測点毎に運転状態が安定するまで待ってから、すなわち例えばトルク、機関回転数がほぼ一定の値に収束するまで待ってから計測が行われる。このため、各計測点において特性パラメータの計測値を得るまでに長い時間を要することになってしまう。また、このような計測では、安定待ち時間を長くすることで計測値の精度が向上すると考えられるため、精度確保のために計測時間が長くなる傾向がある。
そこで、本実施形態では、以上のようなことを考慮し、以下で説明するような方法を実施して、内燃機関の特性パラメータの定常値を必要な精度を確保しつつより短時間で求めるようにしている。
すなわち、本実施形態では計測演算装置40によって、内燃機関の機関制御状態が特性パラメータの定常値を計測する計測点に対応する機関制御状態(すなわち定常値計測機関制御状態)に設定され、その設定完了から後述するようにして決定される待ち時間だけ経過した時の上記特性パラメータの値が計測されて、その値が上記定常値計測機関制御状態における上記特性パラメータの定常値とされるようになっている。
そしてここで、定常値の計測が行われる各定常値計測機関制御状態は予め定められており、内燃機関の機関制御状態の各定常値計測機関制御状態への設定は、予め定めた最終設定制御パラメータの値を設定することによって完了するようになっている。つまり、内燃機関の機関制御状態を上記定常値計測機関制御状態へ設定する場合には、上記最終設定制御パラメータ以外のパラメータの値が先に上記定常値計測機関制御状態の値に設定され、最後に上記最終設定制御パラメータの値が定常値計測機関制御状態の値に設定されて、上記定常値計測機関制御状態への設定が完了するようになっている。
本実施形態における上記特性パラメータの定常値の計測について、制御パラメータをXa、Xb、Xc、特性パラメータをYaとし、最終設定制御パラメータをXaとして更に具体的に説明すると以下のようになる。すなわち、最初に特性パラメータYaの定常値が計測される定常値計測機関制御状態がXa=a1、Xb=b1、Xc=c1で表せるものであるとすると、先ず機関制御状態がXb=b1、Xc=c1となる状態にされる。そして最後にXa=a1とされて設定が完了し、その設定完了から上記待ち時間だけ経過した時の特性パラメータYaの値が計測されて特性パラメータYaの定常値が求められる。
そしてその後は、Xb=b1、Xc=c1としたままの状態でXaが一定間隔で変更されて各定常値計測機関制御状態が設定され、その都度、設定完了から上記待ち時間だけ経過した時の特性パラメータYaの値が計測されて特性パラメータYaの定常値が求められる。
Xb=b1、Xc=c1とした各定常値計測機関制御状態における計測が終了すると、今度は機関制御状態を次の定常値計測機関制御状態に設定すべく、制御パラメータXb及びXcの値が変更される。すなわち、例えば次の定常値計測機関制御状態がXa=a1、Xb=b2、Xc=c2で表せるものであるとすると、先ず機関制御状態がXb=b2、Xc=c2となる状態にされる。そして最後にXa=a1とされて設定が完了し、その設定完了から上記待ち時間だけ経過した時の特性パラメータYaの値が計測されて特性パラメータYaの定常値が求められる。
そしてその後は、Xb=b2、Xc=c2としたままの状態でXaが一定間隔で変更されて各定常値計測機関制御状態が設定され、その都度、設定完了から上記待ち時間だけ経過した時に特性パラメータYaの値が計測されて特性パラメータYaの定常値が求められる。そしてその後も上述のような操作が繰り返されて、予め定めた定常値計測機関制御状態の総てにおいて特性パラメータYaの定常値が求められる。
そして本実施形態においては、上記待ち時間が上記特性パラメータの定常値に要求される精度に基づいて決定されるようになっており、これによって上記待ち時間が不必要に長くなることが防止されるようになっている。そしてこの結果、本実施形態によれば、内燃機関の特性パラメータの定常値を必要な精度を確保しつつ、より短時間で求めることができる。
以下、図2を参照しつつ、本実施形態における上記待ち時間の決定方法についてより詳細に説明する。図2は、本実施形態において上記待ち時間を決定する手順について示したフローチャートである。
図2を参照すると、先ずステップ101において、上述した最終設定制御パラメータと、定常値を求める特性パラメータとが決定される。なおここで決定される特性パラメータは複数であってもよい。
ステップ101で最終設定制御パラメータと特性パラメータとが決定されるとステップ102に進む。ステップ102では、ステップ101で決定された特性パラメータの値の計測安定性が求められる。本実施形態では、上記計測安定性を表す指標として同一機関制御状態に対して計測される上記特性パラメータの値の標準偏差が用いられる。詳細には、例えば、予め定めた同一機関制御状態に対する上記特性パラメータの値の計測を一日のうちに、もしくは数日間に亘って複数回行い、得られた計測値の標準偏差を導出する。また、複数の同型の内燃機関を用いて予め定めた同一機関制御状態に対する上記特性パラメータの値の計測を行い、得られた計測値の標準偏差を導出する。そして、このようにして得られた標準偏差のうちの最大のものを計測安定性σとする。
なお、上記予め定めた同一機関制御状態(すなわち、計測安定性σを求めるために上記特性パラメータの値の計測が行われる機関制御状態)としては、例えば、内燃機関の燃焼の安定している機関制御状態と、燃焼がやや不安定になる機関制御状態との二つの機関制御状態が選択されるのが好ましい。
ステップ102において計測安定性が求められるとステップ103に進む。ステップ103では計測を行う機関制御状態の範囲である計測領域が決定される。ここで、機関制御状態は各制御パラメータの値の組合せで特定され、上記計測領域は各制御パラメータの設定可能範囲や安定した機関運転及び計測が実施可能な範囲等を考慮して決定される。より具体的には例えば、ノック限界、触媒温度限界、可変動弁系の設定限界等を考慮するようにする。
ステップ103において上記計測領域が決定されるとステップ104に進み、代表機関制御状態Piが決定される。本実施形態において、各代表機関制御状態Piは上記最終設定制御パラメータを除いた各制御パラメータの値の組合せのそれぞれで特定される。またここで、代表機関制御状態Piは実験計画法、例えば最適計画法により決定する。
図3は、上記計測領域を定める制御パラメータをXa、Xb、Xcとし、上記最終設定制御パラメータをXaとした時に、代表機関制御状態Piを決定した場合の一例について示す図である。この図においては、横軸が制御パラメータXb、縦軸が制御パラメータXcをそれぞれ表している。また、図示されていないが上記両軸に垂直な方向(すなわち、紙面に垂直な方向)に上記最終設定制御パラメータXaを表す軸が想定される。図中に点線で示された領域Scは、Xa、Xb、Xcの三次元で表される計測領域のXb−Xc平面上の断面である。そしてこの例では、この領域Sc内において上記最適計画法により、それぞれが制御パラメータXb及びXcの値の組合せで特定される五つの代表機関制御状態P1、P2、P3、P4、P5が決定されている。
ステップ104において上記代表機関制御状態Piが決定されると、ステップ105に進む。ステップ105では上記各代表機関制御状態Piにおける上記待ち時間Wtiが決定される。上述したように本実施形態においては、この待ち時間Wtiが、求められる上記特性パラメータの定常値に要求される精度に基づいて決定されるようになっている。また更に、本実施形態ではこの待ち時間Wtiは上記最終設定制御パラメータの値のみを変化させた場合における上記特性パラメータの値の定常値への収束特性に基づいて決定されるようになっている。そしてこのようにすることで、上記待ち時間を上記特性パラメータの定常値に要求される精度に対応させて適切に決定することができる。
より具体的には、例えば各代表機関制御状態Piにおいて上記最終設定制御パラメータの値をステップ状に変化させてその後の特性パラメータの値の経時変化を計測し、その過渡応答変化において、特性パラメータの値が上記特性パラメータの定常値に要求される精度を満たす値に到達するまでの時間を計測してその時間を上記待ち時間Wtiとする。なお、計測する特性パラメータが複数ある場合には、最も長い待ち時間をその代表機関制御状態Piにおける待ち時間Wtiとする。
またここで、求められる特性パラメータの定常値に要求される精度は、上述した計測安定性σを基準にして表すことができる。すなわち例えば、上述の特性パラメータの定常値に要求される精度を満たす値を、収束定常値(特性パラメータの値が最終的に収束する値)±kσとする。ここでkは予め定められる値であり、例えば2〜3の間の値とされる。そしてこのように計測安定性σを上記特性パラメータの定常値に要求される精度の基準として用いるようにすると、要求精度が計測安定性σに応じたものとなり、もともとバラツキの大きな特性パラメータの値に対して高い精度を要求してしまうことを防ぐことができる。
また、特性パラメータの定常値に要求される精度を百分率で表してもよく、例えば、上述の特性パラメータの定常値に要求される精度を満たす値を、収束定常値−5%の値としてもよい。
図4は、図3に示したような五つの代表機関制御状態P1、P2、P3、P4、P5において、上記最終設定制御パラメータのステップ入力に対する特性パラメータの値の過渡応答変化を計測した場合の例について示す図であり、横軸が時間、縦軸が応答率(収束定常値=100%)で表わされている。図中の曲線C1、C2、C3、C4、C5がそれぞれ代表機関制御状態P1、P2、P3、P4、P5における特性パラメータの値の過渡応答変化に対応する。
また、図から明らかなように、この例では特性パラメータの定常値に要求される精度を±5%とし、特性パラメータの定常値に要求される精度を満たす値を収束定常値−5%の値として待ち時間Wtiが決定されている。すなわち、図中の待ち時間Wt1、Wt2、Wt3、Wt4、Wt5がそれぞれ代表機関制御状態P1、P2、P3、P4、P5における待ち時間である。
ステップ105において上記各代表機関制御状態Piにおける上記待ち時間Wtiが決定されると、本実施形態では更にステップ106に進む。ステップ106ではステップ105で決定された上記各代表機関制御状態Piにおける待ち時間Wtiに基づいて、上記計測領域内において上記最終設定制御パラメータを除いた各制御パラメータの値の組合せでそれぞれが特定される上記各代表機関制御状態Pi以外の各機関制御状態における待ち時間が統計的に近似予測される。
すなわち、図3に示した例で説明すると、上述したようにして決定された各代表機関制御状態P1、P2、P3、P4、P5における待ち時間Wt1、Wt2、Wt3、Wt4、Wt5に基づいて、図中に点線で示された領域Sc内の制御パラメータXb及びXcの値の組合せでそれぞれが特定される、上記各代表機関制御状態P1、P2、P3、P4、P5以外の各機関制御状態における待ち時間が統計的に近似予測される。
より具体的には例えば、統計的な手法により、上記各代表機関制御状態P1、P2、P3、P4、P5における制御パラメータXb及びXcの値と待ち時間Wt1、Wt2、Wt3、Wt4、Wt5との関係に基づいて、上記領域Sc内の上記制御パラメータXb及びXcの値の組合せで示される任意の機関制御状態に対応する待ち時間が求められるマップが作成される、もしくは関係式が導き出される。このようにすれば、このマップもしくは関係式を用いることで、上記領域Sc内の上記制御パラメータXb及びXcの値の組合せで示される任意の機関制御状態に対応する待ち時間を決定することができる。
なお、他の実施形態では、上記各代表機関制御状態P1、P2、P3、P4、P5における制御パラメータXb及びXcの値と待ち時間Wt1、Wt2、Wt3、Wt4、Wt5との関係に基づいて、上記領域Sc内にある上記各代表機関制御状態P1、P2、P3、P4、P5以外の機関制御状態における待ち時間を補間によって決定するようにしてもよい。
以上が待ち時間を決定するための手順であるが、本実施形態では、以上のようにして得られたマップもしくは関係式が上記計測演算装置40に記憶されており、実際の計測においてはこれらのマップもしくは関係式を用いて、計測領域内の上記最終設定制御パラメータを除いた各制御パラメータの値の組合せでそれぞれが特定される各機関制御状態における待ち時間が決定されるようになっている。そして、上記最終設定制御パラメータを除いた各制御パラメータの値の組合せでそれぞれが特定される機関制御状態毎の計測において対応する待ち時間を用いた計測が行われる。
なお、上述したように本実施形態においては、上記待ち時間として、上記最終設定制御パラメータ以外の制御パラメータによって定められる機関制御状態のうちの代表機関制御状態において上記収束特性に基づいて決定される待ち時間及びそれらから統計的に近似予測された待ち時間が用いられるようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の実施形態では、上記待ち時間として、上記最終設定制御パラメータ以外の制御パラメータによって定められる機関制御状態のうちの代表機関制御状態において上記収束特性に基づいて決定される待ち時間のみ、もしくはそれらから統計的に近似予測された待ち時間のみが用いられるようになっていてもよい。
すなわち、上記代表機関制御状態において決定される待ち時間のみが用いられる場合には、各代表機関制御状態の近傍の機関制御状態においては、各代表機関制御状態において上記収束特性に基づいて決定される待ち時間が用いられるようにする。このようにすると全体としてより効率的に内燃機関の特性パラメータの定常値を求めることができる。また、上記代表機関制御状態において決定される待ち時間から統計的に近似予測された待ち時間のみが用いられる場合には、上記代表機関制御状態における待ち時間についても実測値ではなく統計的な近似予測により得られた値が用いられる。
また、本実施形態では、内燃機関の機関制御状態を定常値計測機関制御状態へ設定してから上記待ち時間だけ経過した時の上記特性パラメータの値を計測して、その値を上記定常値計測機関制御状態における上記特性パラメータの定常値とするようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明においては内燃機関の機関制御状態を定常値計測機関制御状態へ設定してから上記待ち時間が経過した時以降の上記特性パラメータの計測値を上記定常値計測機関制御状態における上記特性パラメータの定常値とするようになっていればよく、例えば、他の実施形態では内燃機関の機関制御状態を定常値計測機関制御状態へ設定してから上記待ち時間が経過した後、更に所定時間経過した時の上記特性パラメータの値を計測して、その値を上記定常値計測機関制御状態における上記特性パラメータの定常値とするようにしてもよい。このようにすると、上述した待ち時間経過時の上記特性パラメータの計測値を定常値とする場合に比べて、上記特性パラメータの定常値を求めるための時間が長くなることになるが、その分だけ精度の向上を図ることができる。
1 機関本体
6 吸気弁
8 排気弁
10 点火プラグ
11 燃料噴射弁
18 スロットル弁
31 スロットル開度センサ
32 エアフロメータ
33 排気温度センサ
34 空燃比センサ
40 計測演算装置
6 吸気弁
8 排気弁
10 点火プラグ
11 燃料噴射弁
18 スロットル弁
31 スロットル開度センサ
32 エアフロメータ
33 排気温度センサ
34 空燃比センサ
40 計測演算装置
Claims (6)
- 内燃機関の機関制御状態を内燃機関の特性パラメータの定常値を計測する定常値計測機関制御状態へ設定してから予め定めた待ち時間が経過した時以降の上記特性パラメータの値を計測して、その値を上記定常値計測機関制御状態における上記特性パラメータの定常値とする、内燃機関の特性パラメータの定常値を求める方法であって、
上記待ち時間は、上記特性パラメータの定常値に要求される精度に基づいて決定されることを特徴とする、内燃機関の特性パラメータの定常値を求める方法。 - 内燃機関の機関制御状態を内燃機関の特性パラメータの定常値を計測する定常値計測機関制御状態へ設定してから予め定めた待ち時間が経過した時の上記特性パラメータの値を計測して、その値を上記定常値計測機関制御状態における上記特性パラメータの定常値とする、請求項1に記載の方法。
- 上記待ち時間は、機関制御状態を上記定常値計測機関制御状態に設定する際に最後に設定される内燃機関の制御パラメータである最終設定制御パラメータの値のみを変化させた場合における上記特性パラメータの値の定常値への収束特性に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1また2に記載の方法。
- 上記待ち時間として、上記最終設定制御パラメータ以外の制御パラメータによって定められる機関制御状態のうちの代表機関制御状態において上記収束特性に基づいて決定される待ち時間が用いられることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- 上記待ち時間として、上記最終設定制御パラメータ以外の制御パラメータによって定められる機関制御状態のうちの代表機関制御状態において上記収束特性に基づいて決定される待ち時間から統計的に近似予測された待ち時間が用いられることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
- 上記代表機関制御状態が実験計画法により決定されることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
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