JP2007268543A - 摩擦攪拌接合装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦攪拌接合装置において、コストの大幅な増加なしに接合部分を効率的に加熱して迅速に軟化させることができ、被接合材料が鉄等の高融点材料の場合にも回転工具の損傷を少なくして、長距離接合を可能とするとともに接合速度を上げられること。
【解決手段】摩擦攪拌接合装置1においては、被接合物Wが高融点材料からなる場合でも、電源3を用いて回転工具2及び被接合物Wに電流を流すことによって、回転工具2及び被接合物Wの接合部分WBに抵抗発熱を起こさせて、回転工具2の高速回転による摩擦熱と相俟って、接合部分WBの温度を急速に軟化点まで上げることができ、塑性流動状態とすることができるため、回転工具2を損傷させることなく長距離接合ができ、かつ接合速度を上げることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、高融点材料に適用した場合にも回転工具及びその先端のピン部分の損傷を少なくして、コストの大幅な増加をすることなく長距離に亘って接合を行うことができる摩擦攪拌接合装置に関するものである。
摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding,以下「FSW」ともいう。)とは、従来溶接することが困難であったアルミニウム合金を接合するために、1991年12月に、英国のThe Welding Institute(TWI)において発明された固相接合方法である。
この接合方法においては、被接合材料より実質的に硬い材質からなるツール(円柱状工具)を被接合材料の接合部分に挿入し、ツールを回転させながら接合部分に沿って移動させる。回転するツール近傍の被接合材料は、ツールと被接合材料の間で発生する摩擦熱により昇温するために軟化し、ツールの回転によって攪拌され、固相接合がなされる。金属の塑性流動を利用した固相接合であるため、接合部分の溶融がない。これによって、接合後の歪みや欠陥(ブローホール等)が少ない等の多くの利点がある。
しかしながら、従来のFSW法においては、溶接速度が遅いために生産性が悪い、及びツールの寿命が短い、という二つの問題点があった。即ち、第1の問題点については、熱伝導性の良い材料(アルミニウム、銅合金、等)を接合する場合、ツールと被接合材料間の摩擦熱が逃げ易く軟化し難いため溶接速度を上げることができず、また高融点材料(鉄、ニッケル合金、等)を接合する場合、ツールと被接合材料間の摩擦熱だけで軟化温度まで昇温させることが難しいため、接合速度を上げることができなかった。
また、第2の問題点については、FSW法による健全な接合にはツールが何より重要であり、従来から種々の工夫がなされてきた。一例として、ツール先端のピンにねじを切った形状にすることによって塑性流動し易くしているものがあるが、ねじを切っていない場合と比較してツールの劣化が激しい。これは、高融点材料(鉄、ニッケル合金、等)を接合する場合に特に顕著であり、高融点材料は高温強度が高いために低融点材料を接合する場合よりも、ツールの回転数を高速にする必要がある。従って、ツールへの負荷が増大することになり、ツールの劣化(チッピング、割れ、等)が激しく、長距離接合が難しいという問題につながる。
そこで、特許文献1に記載の発明においては、ツールを超硬合金であるタングステン基耐熱材料を含むものとする摩擦攪拌接合装置を創作している。しかし、この発明においては、上記第2の問題点であるツールの寿命が短いという問題はある程度解決することができるが、上記第1の問題点である接合速度を上げることができないという問題を解決することができない。
そこで、特許文献2に記載の発明においては、接合部分にレーザビームを照射して加熱するか、接合面間にインサート材を挿入した状態で、または両方の手段を併用しながら摩擦攪拌接合を行うことによって、レーザビームを照射することにより高融点材料であっても流動化が可能になり、接合面間にインサート材を挿入することにより被接合材料との間に断熱性を付与して、摩擦熱の発散を防ぐことができるとしている。
特開2004−358556号公報 特開2005−288499号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術においては、接合部分にレーザビームを照射して加熱する方法については、被接合材料である金属を溶融させることなく加熱しなければならないため、レーザビームを集中照射することができず、その結果、被接合材料全体を暖めなければならなくなり、接合部分を軟化点まで加熱するためには高出力のレーザ発振器が必要となるため、摩擦攪拌接合装置が極めて高価でかつ大掛かりなものとなる。また、接合面間にインサート材を挿入することにより被接合材料との間に断熱性を付与する方法については、接合面間にインサート材を挿入するため工数の増加につながり、またインサート材が必要であるためランニングコストの増加につながるという問題点があった。
そこで、本発明は、コストの大幅な増加なしに接合部分を効率的に加熱して迅速に軟化させることができ、被接合材料が鉄、ニッケル合金、等の高融点材料の場合にも回転工具(ツール)の損傷を少なくして、長距離接合を可能とするとともに接合速度を上げることができる摩擦攪拌接合装置を提供することを課題とするものである。
請求項1の発明にかかる摩擦攪拌接合装置は、先端に突出したピンを有し、被接合物より硬い材料からなる回転工具の前記ピンを、前記被接合物の接合部分に押圧挿入して、前記回転工具を回転させながら前記接合部分に沿って移動させることによって、前記回転工具と前記被接合物との間に生ずる摩擦熱による塑性流動によって前記被接合物を固相接合する摩擦攪拌接合装置であって、前記回転工具と前記被接合物とに電流を流す電源を設けることによって前記回転工具及び前記被接合物の接合部分に抵抗発熱を起こさせるものである。
ここで、「電源」としては、直流電源、交流電源のいずれでも構わない。
請求項2の発明にかかる摩擦攪拌接合装置は、請求項1の構成において、前記電源は、前記回転工具と前記被接合物とが接触した時点から通電を開始するものである。
請求項3の発明にかかる摩擦攪拌接合装置は、請求項1の構成において、前記電源は、前記回転工具と前記被接合物とが接触した時点からまたは接触した後に第1電流量にて通電を開始し、接触抵抗が低下した時点から前記第1電流量よりも大きい第2電流量による通電を行うものである。
請求項4の発明にかかる摩擦攪拌接合装置は、請求項1の構成において、前記被接合物の温度を測定する測定手段を備え、前記被接合物の温度が所定温度より低い場合には電流値を増加し、前記被接合物の温度が所定温度より高い場合には電流値を減少させるものである。
ここで、電流値の増減は、フィードバック制御によって行われる。
請求項1の発明にかかる摩擦攪拌接合装置は、先端に突出したピンを有し被接合物より硬い材料からなる回転工具のピンを被接合物の接合部分に挿入して回転工具を回転させながら接合部分に沿って移動させることによって、回転工具と被接合物との間に生ずる摩擦熱による塑性流動によって被接合物を固相接合する摩擦攪拌接合装置であって、回転工具と被接合物との間に電流を流す電源を設けることによって回転工具及び被接合物の接合部分に抵抗発熱を起こさせる。ここで、「電源」としては、直流電源、交流電源のいずれでも構わない。
このように、回転工具と被接合物との間に生ずる摩擦熱による塑性流動によって被接合物を固相接合する摩擦攪拌接合装置において、電源を設けて電流供給線を回転工具と被接合物とにそれぞれ接続することによって、回転工具と被接合物とが接触した状態において回転工具と被接合物とに電流を流すことができる。
これによって、回転工具と被接合物の接合部分とにおいて抵抗発熱が起こり、回転工具の回転による摩擦熱に加えて、この抵抗発熱によって接合部分の温度をより高くすることができ、回転工具の回転による摩擦熱が少なくても被接合物の接合部分の温度を迅速に軟化点まで上げることができる。従って、回転工具に余分な負荷を掛ける必要がなくなり、回転工具の損傷が少なくなるため寿命が伸びて、長距離の接合が可能となる。また、接合部分に抵抗発熱を起こさせて摩擦熱と相俟って塑性流動を促進させることから、接合速度を速くすることができる。
更に、被接合材料が鉄、ニッケル合金、等の高融点材料の場合にも、回転工具に無理な負荷を掛けることなく、接合部分に抵抗発熱を起こさせることによって迅速に高融点材料の軟化点まで加熱することができる。従って、回転工具に無理な負荷を掛ける必要がなくなり損傷が少なくなるため寿命が伸びて、長距離の接合が可能となる。また、接合部分に抵抗発熱を起こさせて摩擦熱と相俟って塑性流動を促進させることから、接合速度を速くすることができる。
そして、かかる電源は、高出力のレーザ発振器を導入する場合のような膨大なコストを掛けることなく、摩擦攪拌接合装置に導入することができる。
このようにして、コストの大幅な増加なしに接合部分を効率的に加熱して迅速に軟化させることができ、被接合材料が鉄、ニッケル合金、等の高融点材料の場合にも回転工具の損傷を少なくして長距離接合を可能とするとともに接合速度を上げることができる摩擦攪拌接合装置となる。
なお、回転工具は、超硬合金系材料からなるものであることがより好ましい。ここで、「超硬合金」とは、周期律表の4A,5A,6A族金属(Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W)の炭化物粒子を、鉄族金属(Fe,Co,Ni)を結合材に用いて焼結した複合合金をいう。これらの炭化物はいずれも高融点・高硬度で酸化抵抗にも優れており、9種類の炭化物と鉄族金属との組み合わせにより、多種類の超硬合金が得られるが、それらのうちWC−Co系合金が最も機械的性質に優れている。
そして、「超硬合金系材料」とは、これらの超硬合金そのもの及び超硬合金を含む材料をいう。これらのWC−Co系合金を始めとする超硬合金系材料からなる回転工具を摩擦攪拌接合装置に用いることによって、被接合材料が鉄、ニッケル合金、等の高融点材料の場合にも回転工具の損傷がより少なくなり、回転工具の寿命が更に伸びて、より長距離の接合が可能になり、より接合速度を向上させることができる。
請求項2の発明にかかる摩擦攪拌接合装置は、電源が、回転工具と被接合物とが接触した時点から通電を開始するものである。即ち、電源の電流供給線を回転工具と被接合物とに接続して予め電圧を掛けておくことによって、回転工具と被接合物とが接触した瞬間から電源による通電が開始されるものである。これによって、回転工具と被接合物とにおける抵抗発熱が摩擦攪拌接合の初期から発生するため、より早期に被接合物の接合部分の温度が上昇して軟化するので、効率的に摩擦攪拌接合を行うことができる。
このようにして、コストの大幅な増加なしに接合部分を効率的に加熱して迅速に軟化させることができ、被接合材料が鉄、ニッケル合金、等の高融点材料の場合にも回転工具の損傷を少なくして長距離接合を可能とするとともに接合速度を上げることができる摩擦攪拌接合装置となる。
請求項3の発明にかかる摩擦攪拌接合装置は、電源が、回転工具と被接合物とが接触した時点からまたは接触した後に第1電流量にて通電を開始し、接触抵抗が低下した時点から第1電流量よりも大きい第2電流量による通電を行うものである。また、電源が回転工具と被接合物とが接触した時点からまたは接触した後に小さい電流量の通電を開始し、接触抵抗が低下した時点から大きい電流量の通電を行うものであっても良い。
これによって、接触抵抗が低下することによって電源電圧もともに低下する垂下現象を防止して、より効率的に電流を流すことができて、回転工具と被接合物の抵抗発熱を促進して、被接合物の接合部分をより早く軟化点まで加熱することができ、回転工具に余分な負荷を掛ける必要がなくなり、回転工具の損傷が少なくなるため寿命が伸びて、長距離の接合が可能となる。また、接合部分に抵抗発熱を起こさせて摩擦熱と相俟って塑性流動を促進させることから、接合速度を速くすることができる。
更に、被接合材料が鉄、ニッケル合金、等の高融点材料の場合にも、回転工具に無理な負荷を掛けることなく、接合部分に抵抗発熱を起こさせることによって迅速に高融点材料の軟化点まで加熱することができる。従って、回転工具に無理な負荷を掛ける必要がなくなり損傷が少なくなるため寿命が伸びて、長距離の接合が可能となる。また、接合部分に抵抗発熱を起こさせて摩擦熱と相俟って塑性流動を促進させることから、接合速度を速くすることができる。
このようにして、コストの大幅な増加なしに接合部分を効率的に加熱して迅速に軟化させることができ、被接合材料が鉄、ニッケル合金、等の高融点材料の場合にも回転工具の損傷を少なくして長距離接合を可能とするとともに接合速度を上げることができる摩擦攪拌接合装置となる。
請求項4の発明にかかる摩擦攪拌接合装置は、被接合物の温度を測定する測定手段を備え、被接合物の温度が所定温度より低い場合には電流値を増加し、被接合物の温度が所定温度より高い場合には電流値を減少させるものである。ここで、電流値の増減は、フィードバック制御によって行われる。
本発明にかかる摩擦攪拌接合装置においては、被接合物の温度を測定することによって被接合物の接合部分の温度を間接的に測定することができるため、電流値の増減をフィードバック制御により行うことによって、接合部分の温度を常に被接合物の軟化点以上に保持することができ、しかも被接合物の温度が所定温度より高い場合には電流値を減少させるので、無駄に電力を消費することがない。これによって、ランニングコストがより少なくて済む摩擦攪拌接合装置となる。
このようにして、コストの大幅な増加なしに接合部分を効率的に加熱して迅速に軟化させることができ、被接合材料が鉄、ニッケル合金、等の高融点材料の場合にも回転工具の損傷をより少なくしてより長距離の接合を可能とするとともに、更に接合速度を上げることができる摩擦攪拌接合装置となる。
以下、本発明の実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置について、図1乃至図4を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置の全体構成を示す模式図である。図2は本発明の実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置の回転工具による接合部分を示す断面模式図である。図3は本発明の実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置の電源の内部回路を示すブロック図である。図4(a)は本発明の実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置に用いられる回転工具の第1変形例を示す先端部分拡大図、(b)は第2変形例を示す先端部分拡大図、(c)は第3変形例を示す先端部分断面図である。
図1に示されるように、本実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置1は、円柱状の回転工具2を図示しないチャック機構で垂直に支持して回転させる図示しない回転機構と、回転工具2と被接合物Wとの間に電流を供給するための電源3と、高速回転する回転工具2に電源3から供給される電流を電流線4Aを介して供給する摺動接点としてのブラシ5と、接合される1対の被接合物Wに電源3から供給される電流を供給する電流線4Bとを具備している。
本実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置1においては、円柱状の回転工具2は超硬合金であるWC−Co系合金からなるものであり、直径は10mmΦで長さは50mmである。なお、回転工具2はWC−Co系合金からなるものに限られず、他の超硬合金または超硬合金系材料からなるものでも良く、更には超硬合金系材料以外のSKD(工具鋼)等からなるものでも良い。とにかく、被接合物Wよりも実質的に硬い金属材料であれば、回転工具2の材料として用いることができる。
ブラシ5は、Cu(銅)板を加工してなるものであり、回転工具2を挟み付けるようにばね力が働いており、このばね力によって回転工具2が回転中にぶれるようなことがあっても、安定して連続的に回転工具2に電流を供給することができる。また、図1に示されるように、ブラシ5は回転工具2との接触部分が回転工具2の外周に沿って湾曲した形状を有しており、これによってブラシ5と回転工具2との接触面積が大きくなって、効率良く回転工具2に電流を供給することができる。
なお、ブラシ5は、図示しない回転機構の本体に絶縁物を介してぶら下げ支持されており、回転工具2も図示しないチャック機構との間で電気的に絶縁されている。
次に、回転工具2による摩擦攪拌接合のメカニズムについて、図2を参照して説明する。図2に示されるように、回転工具2の先端には突出したピン2aが一体に設けられており、このピン2aの長さは被接合物Wの厚さ2mmに対して1.6mmであって、被接合物Wの厚さの80%である。回転工具2による摩擦攪拌接合においては、ピン2aの長さは被接合物Wの厚さに対して80%±20%に、即ち被接合物Wの厚さの60%〜100%の範囲内に設定される。
この理由は、被接合物Wの接合部分に挿入されるピン2aの長さが被接合物Wの厚さの60%未満であると、摩擦攪拌(塑性流動)領域6が被接合物Wの接合部分の裏側まで到達せず、被接合物Wの接合部分WBの裏側に未接合の部分が生じてしまい、またピン2aの長さが被接合物Wの厚さの100%を超えると、被接合物Wの接合部分WBの裏側まで貫通してしまうからである。
このピン2aを、回転工具2の上端を支持している図示しないチャック機構を回転させる図示しない回転機構によって、回転させながら垂直方向に圧力を掛けて、約1秒で被接合物Wの接合部分WB内に押し込む。そして、そのまま回転工具2を高速回転させることによって、回転工具2のピン2aと被接合物Wとの間の摩擦熱によってピン2aの周囲が軟化して塑性流動領域6が発生する。
後は、図1に示されるように、図示しないチャック機構を回転させながら移動させることによって、回転工具2を500rpm〜2000rpmの高速回転で回転させながら移動させれば、ビードBDを表面に形成しながら1対の被接合物Wの接合面が裏側まで接合されて行く。
ここで、被接合物Wがアルミニウム合金板のような比較的軟化点の低い材質からなるものであれば、超硬合金のWC−Co系合金からなる回転工具2を損傷させることなく、長い距離を接合させることができるが、被接合物Wが炭素鋼・ステンレス鋼・ニッケル合金のような軟化点の高い材質からなるものである場合には、超硬合金のWC−Co系合金からなる回転工具2を用いても、より高速回転させて時間を掛けなければ被接合物Wの軟化点まで温度が上昇せず、接合速度を上げることができなかった。
そこで、本実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置1においては、図1,図2に示されるように、電源3を用いて回転工具2及び被接合物Wに電流を流すことによって、回転工具2及び被接合物Wの接合部分WBに抵抗発熱を起こさせて、回転工具2の回転による摩擦熱と相俟って、接合部分WBの温度を急速に軟化点まで上げることができ、回転工具2を損傷させることなく長距離接合ができ、かつ接合速度を上げることができる。
ここで、回転工具2及び被接合物Wに電流を流すタイミングとしては、電源3によって予め電圧を掛けておいて、回転工具2の先端のピン2aと被接合物Wとが接触した瞬間から電流が流れるようにしておけば、早期に抵抗発熱を起こさせることができる。さらに、本実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置1においては、接触抵抗が低下した時点から大きい電流量の通電を行うことによって、より効率的に抵抗発熱を起こさせている。
なお、被接合物Wへの電源3からの電流線4Bの接続点4Ba,4Bbは、常に回転工具2の直下にある方が、より効率的に接合部分WBの温度を上げることができるので、より好ましい。ここで、移動する回転工具2に伴って接続点4Ba,4Bbを回転工具2の直下に移動させる方法としては、例えば、電流線4Bを長いフレキシブルなものにしておいて、被接合物Wの下面に接続点4Ba,4Bbを押し付ける機構を設けて、この機構が回転工具2に伴って移動する方式等を採ることができる。
通電システムについて、図3を参照して説明する。図3に示されるように、電源3は2個の接合用電源6A,6Bを内蔵しており、接合用電源6Aは電力容量が小さく、接合用電源6Bは電力容量が大きい。これら2個の接合用電源6A,6Bは、スイッチング回路7によって接合用電源6Aのみが電源回路に接続された状態と接合用電源6A,6Bの両方が電源回路に接続された状態とが、自動的に切り替えられる。
最初は接合用電源6Aのみが電源回路に接続された状態となっており、回転工具2の先端のピン2aと被接合物Wとが接触した時点から、回転工具2及び被接合物Wに比較的小さい電流(第1電流量)が流れる。ここで、回転工具2と被接合物Wの接触抵抗を測定するために、電流線4Bに直列に比較抵抗9を入れた場合の電流と、電流線4Aから分岐した線の電流とが比較器8において比較されて、回転工具2と被接合物Wの接触抵抗が一定値以下になると、比較器8からスイッチング回路7に制御電流が流れてスイッチング回路7が動作し、接合用電源6A,6Bの両方が電源回路に接続された状態に切り替えられる。
これによって、回転工具2及び被接合物Wに接合用電源6A,6Bから大きい電流(第1電流量よりも大きい第2電流量)が流れて、接触抵抗が低下することによって電源電圧もともに低下する垂下現象を防止して、より効率的に電流を流すことができ、回転工具2及び被接合物Wの抵抗発熱を促進して、被接合物Wの接合部分WBをより早く軟化点まで加熱することができる。
なお、スイッチング回路7は、比較器8からの制御電流によって、電力容量が小さい接合用電源6Aが電源回路に接続された状態から、電力容量が大きい接合用電源6Bが電源回路に接続された状態に切り替えるように動作させても良い。
また、本実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置1においては、第1電流量によって通電を開始し、回転工具2と被接合物Wの接触抵抗が一定値以下になると第1電流量よりも大きい第2電流量による通電を行う方式を採っているが、この方式以外にも、被接合物Wの温度を測定する測定手段を備え、被接合物Wの温度が所定温度より低い場合には電流値を増加し、被接合物Wの温度が所定温度より高い場合には電流値を減少させる方式とすることもできる。
この方式においては、被接合物Wの温度を測定することによって被接合物Wの接合部分WBの温度を間接的に測定することができるため、電流値の増減をフィードバック制御により行うことによって、接合部分WBの温度を常に被接合物Wの軟化点以上に保持することができ、しかも無駄に電力を消費することがない。これによって、ランニングコストがより少なくて済む摩擦攪拌接合装置となる。
更に、本実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置1に用いられる回転工具及びピンの形状の変形例について、図4を参照して説明する。図4(a)に示されるように、第1変形例にかかる回転工具2Aにおいては、先端のピン2Aaがテーパ形状を有している。これによって、上記回転工具2におけるように先端のピン2aが円柱状の場合と比較して、被接合物Wの接合部分WBのより広い範囲において、塑性流動を起こすことができる。
また、図4(b)に示されるように、第2変形例にかかる回転工具2Bにおいては、回転工具2Bが上から見て時計回り方向(右回り方向)に回転するのに対して、先端のピン2Baには左ねじ、即ち逆ねじが切られている。これによって、先端のピン2Baと被接合物Wとの回転抵抗が増大して、より大きな摩擦熱を発生させることができる。
従来、このような形状の回転工具2Bは、損傷し易く寿命が短かったが、本実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置1においては、同時に電気抵抗発熱によって迅速に被接合物Wの軟化点まで温度が上昇するため、回転工具2Bの損傷が少なくなり寿命が伸びて、長距離接合が可能になる。
また、図4(c)に示されるように、第3変形例にかかる回転工具2Cにおいては、回転工具2Cのショルダー部分に全周に亘って、抉れ2Ccが設けられている。これによって、回転工具2Cが高速回転しながら移動する場合の、ピン2Caが被接合物Wを押し退ける際に発生する噴出しが全てこの抉れ2Ccの中に取り込まれて、余分な抵抗を受けることなく、回転工具2Cを移動させることができる。
本発明においては、以上の回転工具2,2A,2B,2C以外にも、被接合物を構成する金属材料より実質的に硬い金属材料からなるものであれば、種々の形状を有する回転工具を用いることができる。
また、本実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置1を用いた摩擦攪拌接合方法は、「先端に突出したピン2aを有し、被接合物Wより硬い材料からなる回転工具2の前記ピン2aを、前記被接合物Wの接合部分WBに押圧挿入して、前記回転工具2を回転させながら前記接合部分WBに沿って移動させることによって前記被接合物Wを固相接合する摩擦攪拌接合方法であって、前記回転工具2と前記被接合物Wとに通電することによって前記回転工具2及び前記被接合物Wの接合部分WBに抵抗発熱を起こさせることを特徴とする摩擦攪拌接合方法」の発明として把握することができる。
本発明を実施するに際しては、摩擦攪拌接合装置のその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等については、本実施の形態に限定されるものではない。
図1は本発明の実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置の全体構成を示す模式図である。 図2は本発明の実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置の回転工具による接合部分を示す断面模式図である。 図3は本発明の実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置の電源の内部回路を示すブロック図である。 図4(a)は本発明の実施の形態にかかる摩擦攪拌接合装置に用いられる回転工具の第1変形例を示す先端部分拡大図、(b)は第2変形例を示す先端部分拡大図、(c)は第3変形例を示す先端部分断面図である。
符号の説明
1 摩擦攪拌接合装置
2,2A,2B,2C 回転工具
2a,2Aa,2Ba,2Ca ピン
3 電源
W 被接合物
WB 接合部分

Claims (4)

  1. 先端に突出したピンを有し、被接合物より硬い材料からなる回転工具の前記ピンを、前記被接合物の接合部分に押圧挿入して、前記回転工具を回転させながら前記接合部分に沿って移動させることによって、前記回転工具と前記被接合物との間に生ずる摩擦熱による塑性流動によって前記被接合物を固相接合する摩擦攪拌接合装置であって、
    前記回転工具と前記被接合物とに電流を流す電源を設けることによって前記回転工具及び前記被接合物の接合部分に抵抗発熱を起こさせることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  2. 前記電源は、前記回転工具と前記被接合物とが接触した時点から通電を開始することを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合装置。
  3. 前記電源は、前記回転工具と前記被接合物とが接触した時点からまたは接触した後に第1電流量にて通電を開始し、接触抵抗が低下した時点から前記第1電流量よりも大きい第2電流量による通電を行うことを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合装置。
  4. 前記被接合物の温度を測定する測定手段を備え、前記被接合物の温度が所定温度より低い場合には電流値を増加し、前記被接合物の温度が所定温度より高い場合には電流値を減少させることを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合装置。
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