JP2007265821A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層方向での単位電池間の温度のばらつきが小さく、安定して高い出力が可能な燃料電池を提供すること。
【解決手段】複数のセパレータ6を、間に電解質部材12を介して積層してなる燃料電池において、前記セパレータ6に伝熱体13を設け、かつ伝熱体13の積層方向における厚み、もしくは積層方向に直交する幅が、前記セパレータ6の積層方向の中央部のものより両端部のものが小さくすることにより達成される。さらには、伝熱体13の積層方向における厚みもしくは積層方向に直交する幅が、前記セパレータ6の積層方向の中央部のものから両端部のものにかけて、漸次小さくなることにより達成される。
【選択図】図1
【解決手段】複数のセパレータ6を、間に電解質部材12を介して積層してなる燃料電池において、前記セパレータ6に伝熱体13を設け、かつ伝熱体13の積層方向における厚み、もしくは積層方向に直交する幅が、前記セパレータ6の積層方向の中央部のものより両端部のものが小さくすることにより達成される。さらには、伝熱体13の積層方向における厚みもしくは積層方向に直交する幅が、前記セパレータ6の積層方向の中央部のものから両端部のものにかけて、漸次小さくなることにより達成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、複数のセパレータを、電解質膜と該電解質膜を挟み込む一対の電極部とからなる電解質部材を間に介して積層して形成された燃料電池に関するものであり、特に、積層方向での温度のばらつきが小さく、安定して高い出力が可能な燃料電池に関するものである。
電気を駆動力とする各種機器の電源として、燃料電池が実用化されてきている。
燃料電池は、一般に、電解質膜を挟んでアノードとカソードとが配置された構造の電池であり、アノードとカソードとの間(電解質の外側)に負荷(電気を駆動源とする各種機構)が配置される。この、燃料極(アノード)側に水素の供給源となる燃料ガス、空気極(カソード)側に酸素を含む酸化剤ガスをそれぞれ供給し、電解質膜を介して、水素と酸素とを電気化学的に反応させて発電を行なわせる。
電解質膜は、上記電気化学反応にともなう水素イオン(プロトン)の移動が、電解質膜中の水分を経由し行われるため、その流れをスムーズにして発電を効率よく行うために、十分な水分の保持が必要になる。
燃料電池は、一対のアノードとカソードとを単位として生じる電圧が上記電気化学反応により原理的に制約されるため、負荷に必要な電圧を供給するためには、燃料電池の最小単位である単位電池が積層されて互いに直列に接続された構造とする必要がある。
図13に、従来の燃料電池の構成を断面図で示す。同図において、111は燃料電池、113は電解質膜、114および115はガス拡散層および触媒層としての機能を有する一対の電極部、すなわち燃料極および空気極であり、116は燃料流路118および空気流路119を備えるセパレータである。そして、電解質膜113と電極部114、115とからなる電解質部材121と、電解質部材121を挟み込むセパレータ116からなる単位電池112が、電気的に直列に接続されるように多数積層して燃料電池111となる。
発電する化学反応が発熱反応であること、電気が流れる経路で抵抗発熱等が生じることなどから、単位電池112の温度は上昇する。複数の各単位電池112が同時に発電を行い、積層された単位電池112の放熱される割合が燃料電池111の各部で異なるため、3次元的に温度分布が生じる。具体的には、単位電池112からの放熱量が、積層方向の両端で大きく、また、中央部で小さい。更には、発電により発生した熱がセパレータ116を通じて熱拡散し、単位電池112の積層方向の温度分布は、積層方向両端部から積層方向中央部に向かって傾斜的に高くなる。単位電池112間で温度がばらつくと、以下のような理由により、燃料電池111としての出力電圧の低下や、寿命の低下等の不具合を生じやすくなる。
すなわち、単位電池112は、温度が高くなり過ぎる(例えば100℃超)と、電解質膜113に含まれる水分が蒸発し、電解質膜中の水分量が減少しやすくなる。電解質膜113中の水分量が減少すると、電解質膜113の導電率が低下(抵抗増大)し、電圧損失により出力電圧が低下する。この場合、高温になりやすい単位電池(積層方向の中央部分に位置するもの)の温度を低く抑えるために出力電圧を低く抑えようとすると、結果的に、燃料電池111の出力電圧が低下してしまう。
また、積層方向中央部の温度が100℃を超えると、電気化学反応を促進する触媒の劣化や電解質膜113の劣化による分解により、電池性能が急激に低下し、燃料電池111の寿命の低下にも繋がる。
したがって、単位電池112の積層方向の温度分布を均一化することが重要であり、従来の燃料電池111においては、その方策として、例えば、複数個の単位電池112と冷却板(図示せず)とが交互に多数積層され、積層体の冷却板に冷媒マニホールド(図示せず)を介し、水などの冷媒が外部から供給・排出されるような冷却機構(図示せず)などが備えられている。
特開平1−265460号公報
特開平5−62703号公報
燃料電池について、近年、携帯電話やパーソナルコンピュータ(いわゆるノートブックPC)等の携帯電子機器の電源としての用途が注目されている。しかしながら、上記従来の燃料電池を小型化が要求される携帯電子機器において電源として搭載する場合、次のような問題点が生じる。
すなわち、燃料電池を搭載するスペースが小さいため、冷却板や冷媒を供給するための補器を用いた場合、燃料電池全体の大型化を招くため、携帯電子機器に搭載することが非常に困難となる。
また、冷媒を供給するための補器を使用するにあたっては、結果的に補器を作動させるための電力が必要となることから、補器の電力使用を含めた燃料電池全体の効率が制限されるという問題点があった。
一方で、冷媒を用いて冷却を行わない場合、上記のように出力電圧の低下や寿命の低下等の可能性が高くなってしまう。
本発明は、以上のような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、積層された単位電池間の温度ばらつきが抑制され、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能な、小型の燃料電池を提供することである。
本発明の燃料電池は、複数のセパレータを、間に電解質部材を介して積層してなる燃料電池において、前記セパレータに伝熱体を設け、かつ前記伝熱体の積層方向における厚み、もしくは積層方向に直交する幅が、前記セパレータの積層方向の中央部のものより両端部のものが小さいことを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、前記伝熱体の積層方向における厚みもしくは積層方向に直交する幅が、前記セパレータの積層方向の中央部のものから両端部のものにかけて、漸次小さくなることを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、前記伝熱体が、積層方向における断面視にて、前記電解質部材に近接して配置されることを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、前記セパレータが、燃料流路を有するセパレータおよび空気流路を有するセパレータが接合して形成されたセパレータである場合において、前記伝熱体が、前記燃料流路を有するセパレータと前記空気流路を有するセパレータの間に有することを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、前記伝熱体の、前記セパレータの積層方向と直交する方向における横断面積が、前記セパレータの積層方向の中央部より両端部で小さいことを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、前記伝熱体が、前記セパレータの積層方向と直交する方向における外周面に、フィン形状部材を有することを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、前記セパレータを積層方向に縦通する少なくとも1つの棒状部材を有することを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、前記棒状部材の少なくとも1つが、前記電極部材の中央部を縦通していることを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、前記棒状部材と、前記棒状部材が縦通する、前記セパレータおよび前記電解質部材の少なくとも一方の間に、熱伝導性部材を有することを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、前記熱伝導性部材が、前記セパレータよりも熱伝導率が高いことを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、前記セパレータの積層方向に対し中央部に位置する、前記棒状部材と、前記セパレータおよび前記電解質部材の少なくとも一方の間に、前記熱伝導性部材を有することを特徴とするものである。
また、本発明の電子機器は好ましくは、上記いずれかに記載の燃料電池を備えていることを特徴とするものである。
本発明の燃料電池は、複数のセパレータを、間に電解質部材を介して積層してなる燃料電池において、前記セパレータに伝熱体を設け、かつ前記伝熱体の積層方向における厚み、もしくは積層方向に直交する幅が、前記セパレータの積層方向の中央部のものより両端部のものが小さい。
したがって、セパレータに伝熱体を設けたことから、燃料電池で生じた熱が、伝熱体を経由して、積層方向に効率的に伝わることとなり、燃料電池全体として温度のばらつきを抑制する、すなわち均一化を図ることができる。
さらに、伝熱体の積層方向における厚み、もしくは積層方向に直交する幅が、セパレータの積層方向の中央部のものより両端部のものが小さくしたことから、高温になりやすい、積層方向の中央部に位置する単位電池で生じる熱を、積層方向に沿って流れやすくさせることが可能となる。
その結果、積層方向中央部の熱は伝熱体およびセパレータを経由して積層方向両端部へ伝導されやすくなり、燃料電池全体として温度のばらつきを抑制する、すなわち均一化を図ることができる。一方、積層方向両端部においては、伝熱体の熱伝導率が小さいため、熱の流れが積層方向中央部と比べて相対的に小さくなる。その結果、積層方向両端部の熱は伝熱体およびセパレータを経由して積層方向中央部へ伝導されることが抑制される。従って、積層方向の中央部の熱は両端部へと効率的に伝わることにより、中央部は高熱化を抑制することができるとともに、両端部は、中央部からの熱が伝わることで、温度が上がることから、積層された単位電池間の温度ばらつきが抑制、すなわち均一化が図られ、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能な、小型の燃料電池を提供することができる。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、伝熱体の積層方向における厚みもしくは積層方向に直交する幅が、セパレータの積層方向の中央部のものから両端部のものにかけて、漸次小さくなることから、伝熱体の熱流は積層方向の中央部から両端部にかけて漸次小さくなり、積層方向中央部から両端部への熱の流れは促進され、一方、積層方向両端部から中央部への熱の流れは抑制されることとなる。つまり、積層方向の中央部から両端部に向かって、漸次小さくなるような熱の流れを形成することができる。
そのため、高温になりやすい、積層方向の中央部に位置する単位電池からより多くの熱が隣り合う単位電池に向かって順次流れ出し、また、その流れ出た熱が積層方向の両端部に位置する単位電池に供給されて昇温の効果を得ることから、燃料電池全体として温度分布の均一化を図ることができる。
その結果、各単位電池の放熱される割合を制御することが可能なため、燃料電池積層体の温度ばらつきを低減することが可能であり、各単位電池において含まれる水分量に大きなばらつきが生じることは効果的に防止される。
従って、各単位電池の出力電圧が同じ程度になり、冷却板や冷媒を供給するための補器や、冷媒を供給するための補器を駆動させる電力等が不要になるので、携帯機器等に搭載可能な、小型で、効率のよい燃料電池を提供することができる。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、伝熱体が、積層方向における断面視にて、電解質部材に近接して配置されることから、効果的に単位電池間の温度ばらつきを抑制することができる。
すなわち、伝熱体が、積層方向における断面視にて、電解質部材に近接して配置されることにより、電解質部材で発生した熱が、効率よく伝熱体に伝わることとなる。そして、伝熱体は、積層方向に隣接するセパレータ間の熱伝導経路となることから、効果的に単位電池間の温度ばらつきを抑制することが出来る。
そのため、高温になりやすい、積層方向の中央部に位置する単位電池からより多くの熱が隣り合う単位電池に向かって順次流れ出し、また、その流れ出た熱が積層方向の両端部に位置する単位電池に供給されて昇温の効果を得ることから、燃料電池全体として温度分布をより一層均一化することができる。その結果、局部的な高温部を一層なくすことができるため、燃料電池を長期に渡って連続運転した場合には、従来の燃料電池に比べて格段に高い電池性能を維持できる。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、セパレータが、燃料流路を有するセパレータおよび空気流路を有するセパレータが接合して形成されたセパレータである場合において、伝熱体が、燃料流路を有するセパレータと空気流路を有するセパレータの間に有することから、熱を伝導させるための伝熱体を、積層方向における横断面積で、大きくすることができる。したがって、伝熱体に効果的に熱を伝えることができることから、単位電池間の温度ばらつきを抑制することができる。
また、伝熱体の横断面積を大きくすることができることから、積層方向における横方向、すなわち単位電池の面方向に沿って、熱を流れやすくさせることが可能となる。そのため、各単位電池内の面方向の温度勾配が小さくなることにより面内のピーク温度が小さくなる。従って、燃料電池全体の温度分布は、各単位電池の温度分布の重なりであることから、燃料電池全体として温度分布を均一化することができる。その結果、局部的な高温部を一層なくすことができるため、燃料電池を長期に渡って連続運転した場合には、従来の燃料電池に比べて格段に高い電池性能を維持できる。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、伝熱体の、セパレータの積層方向と直交する方向における横断面積が、セパレータの積層方向の中央部より両端部で小さいことから、高温になりやすい、積層方向の中央部に位置する単位電池においては、伝熱体の横断面積が大きいことにより熱流が大きいため、積層方向に沿って熱を流れやすくさせることが可能となる。
そして、積層方向中央部の熱は伝熱体およびセパレータを経由して積層方向両端部へ伝導されやすくなり、燃料電池全体として温度のばらつきを抑制する、すなわち均一化を図ることができる。一方、積層方向両端部においては、伝熱体の横断面積が小さいため、熱の流れが積層方向中央部と比べて相対的に小さくなる。その結果、積層方向両端部の熱は伝熱体を経由して積層方向中央部へ伝導されにくくなる。従って、積層方向中央部の熱は両端部へと流れることにより、両端部の温度が上がることから、積層された単位電池間の温度ばらつきが抑制、すなわち均一化が図られ、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能な、小型の燃料電池を提供することができる。
また、本発明の燃料電池は好ましくは、伝熱体が、セパレータの積層方向における外周面に、フィン形状部材を有することから、各単位電池の放熱される割合をさらに高めることができるとともに、フィン形状部材の材質や形状を調整することにより、各単位電池の放熱される割合を制御することが可能となる。ゆえに、燃料電池積層体の温度ばらつきを低減することが可能であり、各単位電池において含まれる水分量に大きなばらつきが生じることは効果的に防止される。
従って、各単位電池の出力電圧が同じ程度になり、冷却板や冷媒を供給するための補器や、冷媒を供給するための補器を駆動させる電力等が不要になるので、携帯機器等に搭載可能な、小型で、効率のよい燃料電池を提供することができる。
また、本発明の燃料電池は上記構成において、セパレータを積層方向に縦通する少なくとも1つの棒状部材を有することから、高温になりやすい、積層方向の中央部に位置する単位電池の熱を効率的に棒状部材に伝えることが可能となる。そして、積層方向中央部の熱は、棒状部材を経由して棒状部材両端部へ伝導されやすくなり、燃料電池全体として温度のばらつきを抑制する、すなわち均一化を図ることができる。
また、本発明の燃料電池は上記構成において、好ましくは棒状部材の少なくとも1つが、電極部材の中央部を縦通していることから、より効果的に単位電池間の温度ばらつきを抑制することができる。
すなわち、各単位電池において、その主な発熱は電極部の中央部で大きく、この発熱量の大きい部分に、熱を流す媒体としての棒状部材が配置されることにより、積層体の温度分布をより一層均一化することができる。その結果、局部的な高温部を一層なくすことができるため、燃料電池を長期に渡って連続運転した場合には、従来の燃料電池に比べて格段に高い電池性能を維持できる。
また、本発明の燃料電池は、棒状部材とセパレータおよび電解質部材の少なくとも一方の間に、熱伝導性部材を有することから、単位電池の主構成要素であるセパレータや電解質部材から棒状部材への熱伝導が確実となり、より効果的に熱交換を行うことが可能となる。さらには、セパレータと棒状部材間の熱抵抗を下げるのと同時に隣接するセパレータ間同士においても低熱抵抗な熱伝導経路が確保される。また、電解質部材で生じた発熱を、熱伝導性部材を介することで、より効率的に棒状部材に伝えることができ、積層体の温度分布を均一化することが可能となる。上記の結果、積層体全体の温度分布を均一化することが可能となるため、燃料電池を長期に渡って連続運転した場合には、従来の燃料電池に比べて格段に高い電池性能を維持できる。
また、本発明の燃料電池は、熱伝導性部材が、セパレータよりも熱伝導率が高いことから、単位電池からの熱の流れが熱伝導性部材、ひいては棒状部材に伝わりやすく、結果的に棒状部材を介して、積層体の温度分布をより均一化することが可能となる。
また、本発明の燃料電池は、セパレータの積層方向に対し中央部に位置する、棒状部材とセパレータおよび電解質部材の少なくとも一方の間に熱伝導性部材を有することから、積層体の温度分布を均一化することが可能となる。
すなわち、積層体からなる燃料電池において、放熱量が積層体の中央部で少ないため、積層体の中央部は高温になりやすい。そこで、少なくとも積層方向に対し中央部に位置する、棒状部材が貫通したセパレータ部と棒状部材との間、または棒状部材と電解質部材の間の少なくとも一方に熱伝導性部材を有することで、積層方向の中央部に位置する単位電池からより多くの熱が熱伝導性部材を通じて、棒状部材の中央部に伝道されやすくなり、さらには、棒状部材の両端部へ伝導されやすくなり、積層体の温度分布を均一化することが可能となる。
また、積層方向の両端部においては、熱伝導経路が制約されるため、熱伝導性部材の領域を設定する事により、積層体の温度分布を調整する事が可能である。その結果、積層体全体の温度分布をより一層均一化することが可能となる。そのため、電解質膜に含まれる水分量を安定して保持することが可能になるため、燃料電池を長期に渡って連続運転した場合には、従来の燃料電池に比べて格段に高く安定した電池性能を維持できる。
以上のことから、積層された単位電池間の温度ばらつきが抑制され、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能な、小型の燃料電池を提供することできる。
さらには、上記の燃料電池を備えた、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能な、小型の電子機器を提供することができる。
次に、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
(実施形態1)
図1、2は、本発明の燃料電池について実施の形態の一例を示す断面図である。
図1、2は、本発明の燃料電池について実施の形態の一例を示す断面図である。
図1、2において、1、11は燃料電池、2は単位電池、3は電解質膜、4、5は電極部材、6はセパレータ、7は締付板、8、9は流体流路、10は棒状部材、12は電解質部材、13は伝熱体である。なお、図1、2は燃料電池1、11を概念的に示すものであり、後述する流体流路8、9を同一方向に示すなどしている。
燃料電池1、11は、単位電池2、締付板7、集電端子(図示せず)、棒状部材10を備える。燃料電池1、11は、直方体状等に形成された単位電池2を複数個積層した構造となり、各単位電池2は、積層方向に縦通する棒状部材10と燃料電池1、11の積層方向両端部に配置された締付板7を用いて機械的に固定される。
集電端子は、燃料電池1、11から携帯電子機器へ電力を供給するためのプラスとマイナス端子を持ち、金属の集電板やリード線等の手段を用いて行われる。
単位電池2は、電解質膜3を挟み込む一対の電極部からなる電極部材4、5を含む電解質部材12と、電極部を覆うように取着された一対のセパレータ6で構成されている。
電解質膜3は、イオン導電膜(交換膜)であり、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂、例えば、ナフィオン(商品名、デュポン社製)等のプロトン伝導性のイオン交換樹脂により構成されている。
電極部材4、5は、多孔質状態のガス拡散電極であり、多孔質触媒層とガス拡散層の両方の機能を兼ね備えるものである。ここで、電極部材4、5は、電解質膜3との界面において、白金や白金−ルテニウム等の触媒微粒子を担持した炭素電極によって構成されている。なお、図1においては、電解質膜3および電極部材4、5を同一面に1つ、積層方向に5層としたのは例示であり、電解質膜3および電極部材4、5の数や面積は、携帯電子機器の用途や電圧、電流の仕様に応じて、適宜に設定してよい。また、電解質膜3あるいは電極部材4、5は、互いに同一の広さでなくてよく、さらには同一面に複数配置してもよい。
セパレータ6は、流体流路8、9を有し、電解質膜3の周囲にガスケット(図示せず)を配置して、流体流路8、9を流れる燃料ガスと酸化剤ガスが外部に漏れないように気密に封止し、電解質膜3で電気化学的に発電された電流を外部へ取り出すことができるものとなっている。セパレータ6の材料として、主構成材料はセラミックや樹脂などの絶縁材料で、電気的導通をとるためにセパレータ内部や表面に電気配線や電極が配置されたものや、さらには、導電性材料であるカーボン系、ステンレスやアルミニウムなどの金属系、などがある。なお、本発明の実施例において、セパレータ6は、流体流路8、9を一体として成している。
セパレータ6は、それぞれ厚みを薄くし、燃料電池1の低背化を可能とするためには、機械的強度である曲げ強度が200MPa以上であることが好ましい。曲げ強度が200MPa未満であると、燃料電池1、11の組立時に加わるセパレータ6への締付圧力や電解質膜3が発電時に湿潤することによる電解質膜3の膨張により発生する圧縮圧力、更には携帯電子機器の使用環境による、振動や衝撃により、セパレータ6にクラックや割れが生じる可能性が高い。曲げ強度はJIS K6911に準拠し3点曲げ法により測定を行う。
また、セパレータ6は、その厚みを0.2mm〜5mmの範囲とすることが好ましい。厚みが0.2mm未満では、強度が被覆しがちなため、積層し、固定された時に発生する応力により、セパレータ6に割れ等が発生しやすくなる傾向がある。他方、厚みが5mmを超えると、低背化が困難となるため、小型携帯機器に搭載する燃料電池1としては不適切となり、また、熱容量が大きくなるため、電解質膜3の電気化学反応条件に相当する適切な温度にすばやく設定することが困難となる傾向がある。
締付板7は、各単位電池2に均一な荷重を与えるために、材料や厚みが適宜選定される。例えばステンレスなどの金属等で製作されるのが好ましく、剛性を上げるために厚みは1mm以上とするのが好ましい。締付板7と集電端子の間には、電気的に短絡しないために、絶縁部材(図示せず)が挿入される。
流体流路8、9の幅、深さ、形成パターンは、適宜に設定してよい。例えば、図1に示すように、流体流路8、9は、一方は燃料とされる水素を、もう一方は酸素を含む空気を電極部材4、5に供給するために、セパレータ6の面内あるいは内部に形成される。さらに、流体流路8、9は発電反応の効率を高めるためにセパレータ6の表面内を蛇行するように形成されており、水素や空気が電極部材4、5全体に供給されるような形状とする。また、流体流路8、9には、燃料電池1の外部に設けられた水素吸蔵カートリッジや水素タンク、メタノール改質器などの水素生成器や空気を供給するためのブロアなどから水素や空気を供給する際の供給口や排出口(図示せず)、および供給口と排出口と流体流路8、9とを接続する接続部(図示せず)を設けてもよい。空気を供給する流体流路は、水素を供給する流体流路より積層方向における縦もしくは横断面積が大きいのが好ましく、特には、流体抵抗の低減や燃料や空気の供給均一性により、設定される事が好ましい。
棒状部材10は、単位電池2の積層方向に縦通しており、その両端部は、締付板7の上下面において固定される。棒状部材10の固定手段として、片側がボルト状であり、ナットにて締付固定されるのに限定されず、ソケット状や接着材等を用いて締付板と直接固定してもよい。その場合、各単位電池2は両端の締付板7にて荷重が加えられた状態にて行うのが好ましい。なお、本実施形態においては、図1および図2に示したように、棒状部材10が積層体の外部側に設置されてもよく、また後述するように、積層体の内部側に設けてもよく、目的や効率を考慮したうえで、適宜決定すればよい。
本発明においては、図1に示すように、セパレータ6に伝熱体13が設けられる。また、伝熱体13は、積層方向における厚み、もしくは積層方向に直交する幅が、セパレータ6の積層方向の中央部のものより両端部のものが小さい。
伝熱体13は、セパレータ6に設けられており、例えば隣接するセパレータ6間や、セパレータ6の内部に形成されてもよい。そして、伝熱体13は、各単位電池で発生した熱を周囲に伝導するための熱経路となるように構成される。なお、図1および図2の場合、伝熱体13は、隣接するセパレータ6間に配置されている。また、熱伝導率が異なる領域はハッチングの形状を変えて示す。以降の図面においても同様である。
セパレータ6が伝熱体13を有することで、燃料電池全体として温度のばらつきを抑制する、すなわち均一化を図ることができる。
すなわち、燃料電池1において、中央部(燃料電池1の締付板7、集電板を除く積層方向の25%〜75%に位置する領域をいい、以下同意)は、高温になりやすい。それにより、積層体に温度分布が生じることとなる。
一方、セパレータ6に伝熱体13を設けるとともに、伝熱体13の積層方向における厚み、もしくは積層方向に直交する幅が、前記セパレータ6の積層方向の中央部のものより両端部のものが小さいものとしたことにより、積層方向の中央部に位置する単位電池2においては、伝熱体13の積層方向における厚み、もしくは積層方向に直交する幅が大きいため、伝熱体13の熱の流れが大きくなり、積層方向に沿って熱を流れやすくさせることが可能となる。その結果、積層方向中央部の熱はセパレータ6および伝熱体13を経由して積層方向両端部へ伝導されやすくなり、燃料電池全体として温度のばらつきを抑制する、すなわち均一化を図ることができる。
一方、積層方向両端部においては、伝熱体13の積層方向における厚み、もしくは積層方向に直交する幅が小さいため、伝熱体13の熱の流れが小さくなり、熱の流れが中央部と比べて相対的に小さくなる。その結果、積層方向両端部の熱はセパレータ6および伝熱体13を経由して積層方向中央部へ伝導されにくくなる。従って、積層方向の中央部の熱は両端部へと流れることにより、両端部の温度が上がることから、積層された単位電池間の温度ばらつきが抑制、すなわち均一化が図られ、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能な、小型の燃料電池を提供することができる。
また、本発明の他の実施形態としては、図2に示すように、伝熱体13の積層方向における厚みもしくは積層方向に直交する幅が、前記セパレータ6の積層方向の中央部のものから両端部のものにかけて、漸次小さくすることにより、積層方向の中央部から両端部に向かって、漸次小さくなるような熱の流れを形成することができる。
そのため、積層方向の中央部に位置する単位電池からより多くの熱が隣り合う単位電池2に向かって順次流れ出し、積層体の温度分布の均一化を図ることができる。また、その流れ出た熱が積層方向の両端部に位置する単位電池2に供給されて積層体の温度分布の均一化を図ることができる。その結果、各単位電池2の放熱される割合を制御することが可能であり、燃料電池積層体の温度ばらつきを低減することが可能となる。それに伴い、各単位電池2において含まれる水分量に大きなばらつきが生じることは効果的に防止される。
例として、電解質膜3の数20個、積層方向中央部と両端部の温度差が20℃、単位電池の積層方向の温度分布が1次関数的な温度勾配である場合、セパレータ6を含む伝熱体13の熱抵抗を積層方向中央部から両端部にかけて直線的に大きく変化させる事により燃料電池11の温度分布を均一化する事が可能となる。従って、積層方向両端部の熱伝導率は中央部に対して半分程度となるのが好ましい。
なお、伝熱体13は例えば、銅やアルミニウムなどの高熱伝導率の材料で形成されるのが好ましい。ここで、伝熱体13は、積層方向における厚みもしくは積層方向に直交する幅を変化させることにより、傾斜的な熱の流れを作成することができる。なお、より意図的に傾斜的な熱の流れを作成するために、積層方向中央部の伝熱体13は高熱伝導率の材料で形成し、積層方向両端部では、積層方向中央部の金属材料に熱伝導率の低い材料を含有させ、その比率を変更させることや、ステンレスやその他金属の合金等、異なる熱伝導率の金属を用いることにより傾斜的に熱伝導率を調整することも可能である。
また、本発明においては、好ましくは、伝熱体13が、積層方向における断面視にて、電解質部材に近接して配置される。なお、本発明において、近接とは、伝熱体13が電解質部材12に接合していてもよく、また本発明の効果を損なわない範囲で、電解質部材12から離れていてもよいことを意味する。
伝熱体13が、積層方向における断面視にて、電解質部材に近接して配置される場合において、伝熱体13の横断面積部の形状に特段制限はないが、例えば、電解質部材12を覆うように取り囲んでいるのが好ましい。なお伝熱体13の外周部は、セパレータの外周部以下となることが好ましい。この場合、電解質部材12は強酸性雰囲気であるため、貴金属や樹脂などにより、耐食性のコーティングが伝熱体13に施されているのが好ましい。
また、伝熱体13の上下に隣接するセパレータ6間との熱抵抗を低減するために、伝熱体13の厚みは、少なくとも隣接するセパレータ6間の隙間と同等であることが好ましく、例えば伝熱体13を電解質部材に近接して配置する場合には、電解質部材12の厚みと同等であるのが好ましい。なお、流体流路4、5を流れる燃料や空気が外部へ漏れるのを防ぐために、伝熱体13にガスケットの機能を有するような材料を使用してもよい。さらには、伝熱体13の表裏にガスケット材を含んだ複合材としてもよい。
その結果、高温になりやすい、積層方向の中央部に位置する単位電池からより多くの熱が隣り合う単位電池に向かって順次流れ出し、また、その流れ出た熱が積層方向の両端部に位置する単位電池に供給されて昇温の効果を得ることから、燃料電池全体として温度分布をより一層均一化することができる。その結果、局部的な高温部を一層なくすことができるため、燃料電池を長期に渡って連続運転した場合には、従来の燃料電池に比べて格段に高い電池性能を維持できる。
(実施形態2)
次に図3は、本発明の燃料電池21について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図、図4は、本発明の燃料電池31について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図である。これらの図において符号の2から13については図2と同一部位を示す。
次に図3は、本発明の燃料電池21について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図、図4は、本発明の燃料電池31について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図である。これらの図において符号の2から13については図2と同一部位を示す。
図3において、伝熱体13は、燃料流路を有するセパレータと空気流路を有するセパレータ6の間にて一体化されたものである。伝熱体13は、表裏のセパレータ6と接合されているのが好まししいが、燃料電池21を組み立てることにより、熱的に接触するような構成であってもよい。
伝熱体13がセパレータ6の間に形成される事により、効果的に単位電池2の横断面方向に沿って熱を流れやすくさせることが可能となる。そのため、各単位電池2内の横断面方向の温度勾配が小さくなると同時に、面内のピーク温度が小さくなる。従って、燃料電池全体の温度分布は、各単位電池2の温度分布の重なりであることから、燃料電池全体として温度分布を均一化することができる。その結果、局部的な高温部を一層なくすことができるため、燃料電池を長期に渡って連続運転した場合には、従来の燃料電池に比べて格段に高い電池性能を維持できる。
また、セパレータ6の間に形成される伝熱体13についても、積層方向における厚みを前記セパレータ6の積層方向の中央部のものより両端部のものが小さいものとすることにより、積層方向の中央部に位置する単位電池2においては、伝熱体13の熱の流れが大きくなり、積層方向に沿って熱を流れやすくさせることが可能となる。
一方で、積層方向両端部においては、伝熱体13の積層方向における厚みを小さくすることにより、伝熱体13の熱の流れが小さくなり、熱の流れが中央部と比べて相対的に小さくなる。その結果、積層方向両端部の熱はセパレータ6および伝熱体13を経由して積層方向中央部へ伝導されにくくなる。従って、積層された単位電池間の温度ばらつきがより、抑制することができ、さらに均一化が図られることから、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能な、小型の燃料電池を提供することができる。
図4において、セパレータ6の間に形成される伝熱体13についても、積層方向に直交する幅が中央部より両端部で小さい。それゆえ、積層方向における厚みを変化させるとともに、積層方向に直交する幅、すなわちセパレータ6の積層方向と直交する方向における横断面積も、積層方向における中央部と両端部で変化させることにより、積層された単位電池間の温度ばらつきが、さらに抑制することができ、均一化が図られることから、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能な、小型の燃料電池を提供することができる。
(実施形態3)
次に図5は、本発明の燃料電池41について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図である。これらの図において44はフィン形状部材である。符号の2から13については図2と同一部位を示す。
次に図5は、本発明の燃料電池41について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図である。これらの図において44はフィン形状部材である。符号の2から13については図2と同一部位を示す。
図5において、伝熱体13が、セパレータの積層方向における外周面に、フィン形状部材44を有している。
フィン形状部材44の形状としては、熱抵抗を低減するために、表面積を広くする構造であればよく、伝熱体13の外周面より、棒状、矩形状、円錐状のものが、直線状、格子状に、複数列配列すればよく、その長さ、大きさ、数は、燃料電池の温度分布によって、調整されるのが好ましく、例えば積層方向における中央部においては、数や大きさを増加させるとともに、両端部には設置しないなどして、中央部の熱を効率的に低減することが好ましい。
フィン形状部材44の材料としては、セパレータ6よりも熱伝導率の高いものであればよく、例えば、アルミ、銅、アルミ合金、銅合金などの金属系や窒化珪素、窒化アルミ、炭化珪素などのセラミック系、カーボンと樹脂あるいは金属が含有された非金属系などが挙げられる。
その結果、各単位電池の放熱される割合を更に制御することが可能なため、燃料電池積層体の温度ばらつきを低減することが可能であり、各単位電池において含まれる水分量に大きなばらつきが生じることは効果的に防止される。
従って、各単位電池の出力電圧が同じ程度になり、冷却板や冷媒を供給するための補器や、冷媒を供給するための補器を駆動させる電力等が不要になるので、携帯機器等に搭載可能な、小型で、効率のよい燃料電池を提供することができる。
(実施形態4)
次に図6、図7は、本発明の燃料電池51、61について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図である。また、図8は、図7の平面図であり、締付板7の正面から見たときの電解質3の配置を点線で示す。これらの図において10は棒状部材であり、符号の2から13については図2と同一部位を示す。
次に図6、図7は、本発明の燃料電池51、61について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図である。また、図8は、図7の平面図であり、締付板7の正面から見たときの電解質3の配置を点線で示す。これらの図において10は棒状部材であり、符号の2から13については図2と同一部位を示す。
本発明においては、図6に示すように、セパレータを積層方向に縦通する少なくとも1つの棒状部材10を有している。なお、図6、図7、図9、図10、図11においては、棒状部材10は、セパレータの内部を縦通する場合を示している。
棒状部材10は、各単位電池2に均一な荷重を加える事が出来るため、隣接するセパレータ間に配置された熱伝導性部材とセパレータ間の熱的な接触を良好にする事が可能となる。また、単位電池2で生じた熱を放散するための熱伝導の経路とすることが出来る。
棒状部材10の横断面積部の形状については、例えば円状、矩形状、L字状、T字状、U字状、十字状、円弧状、☆状、△状、扇状等、棒状部材10の配置や電解質膜3の形状等に応じて適宜設定するのが好ましい。さらに、上記棒状部材10に、その径や長さに沿って、溝状の形状等の切り欠け部を有してもよい。また、棒状部材10の設置本数を増やし、棒状部材10の熱伝導率を上げる事により、放熱効果を更に高める事が可能になるため、燃料電池全体の温度を下げる事が可能になる。棒状部材10の材質に関しては、銅やアルミニウムなどの高熱伝導率の材料が好ましいが、その他にスレンレスやその他金属の合金等でもよい。燃料電池51の温度分布を考慮して、棒状部材10が様々な熱伝導率の材料が傾斜して構成されたものや、棒状部材10の設置箇所に応じて、異なる熱伝導率の金属を組合せて用いてもよい。
図7において、棒状部材10は、少なくとも1つが、断面視で、電極部4、5の中央部に配置されている。これにより、棒状部材10を介して、積層体の温度分布を均一化することにより、電解質膜3に含まれる水分量が最適になるような運転条件を設定することが容易になるため、燃料電池11の出力電圧の低下を防止することができる。更には、積層方向中央部の単位電池2内に局部的な高温部が発生し、触媒の劣化や電解質膜3の劣化による分解により、長期に渡って連続運転した場合に電池性能が大きく低下することを抑制することができる。
(実施形態5)
次に図9は、本発明の燃料電池71について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図である。これらの図において10は棒状部材、75は熱伝導性部材であり、符号の2から13については図2と同一部位を示す。
次に図9は、本発明の燃料電池71について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図である。これらの図において10は棒状部材、75は熱伝導性部材であり、符号の2から13については図2と同一部位を示す。
図9において、棒状部材10とセパレータ6および電解質部材12の少なくとも一方の間に、より詳しくは、棒状部材10が貫通したセパレータ6と棒状部材10との間や、棒状部材10と電解質部材12の間等に、熱伝導性部材75が介在している。
熱伝導性部材75の形状としては、セパレータ6と棒状部材10の間の熱抵抗を低減するために、均一に分散される液状にて導入し、温度上昇等により硬化するのがより好ましい。あるいは、棒状部材10が貫通するセパレータ6の穴のサイズに合わせて作成されたドーナツ形状のもの、あるいは棒状部材10と電解質部材12の隙間を埋める平板、スペーサー等などでもよく、荷重時に柔軟に厚みが調整できるようなメッシュ状のものであってもよい。また、好適には、棒状部材10とセパレータ6との界面の接触熱抵抗を低減するために、金属の板と柔軟に隙間を埋められる液状の熱伝導性部材75の両者を兼用するのが好ましい。熱伝導性部材75の材料としては、セパレータ6よりも熱伝導率の高いものであればよく、例えば、アルミ、銅、アルミ合金、銅合金などの金属系や窒化珪素、窒化アルミ、炭化珪素などのセラミック系、カーボンと樹脂あるいは金属が含有された非金属系などが挙げられる。
これにより、単位電池2の主構成要素であるセパレータ6から棒状部材10への熱伝導が確実となり、より効果的に熱交換を行うことが可能となる。その結果、局部的な高温部を一層なくすことができる。
(実施形態6)
次に図10は、本発明の燃料電池81について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図である。これらの図において10は棒状部材、85は熱伝導性部材であり、符号の2から13については図2と同一部位を示す。
次に図10は、本発明の燃料電池81について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図である。これらの図において10は棒状部材、85は熱伝導性部材であり、符号の2から13については図2と同一部位を示す。
図10において、熱伝導性部材85は、少なくとも棒状部材10の積層方向の中央に位置する、電解質部材12とセパレータ6との間に有し、熱伝導性部材85は、セパレータ6よりも熱伝導率の大きな材料からなる。
熱伝導性部材85は、実施形態5と同じ材料、構成になる。燃料電池81の温度分布に合わせて、棒状部材10や熱伝導部材85の材料、形状、分布等を設定する。そのため、高温になりやすい、積層方向の中央部に位置する単位電池からより多くの熱が棒状部材の両端部へ伝導されやすくなり、より一層の積層体の温度分布の均一化を図ることができる。また、積層方向の両端部においては、熱伝導経路が制約されるため、熱伝導性部材85の領域を設定する事により、積層体全体の温度分布を調整する事が可能である。
(実施形態7)
次に図11は、本発明の燃料電池91について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図であり、図12は、図11の平面図であり、締付板7の正面から見たときの電解質3の配置を点線で示す。これらの図において96は基体が絶縁性のセパレータ、10は棒状部材、95は熱伝導性部材であり、符号の2から13については図2と同一部位を示す。また、図11において、燃料電池91は、棒状部材10が導電性の金属材料の場合、セパレータ96と棒状部材10の電気的な短絡あるいは熱伝導性部材95を経由した電気的な短絡を避けるために、セパレータ96は、樹脂やセラミックスなどの絶縁材料で形成されるのが好ましい。
次に図11は、本発明の燃料電池91について実施の形態の他の例を示す積層方向における縦断面図であり、図12は、図11の平面図であり、締付板7の正面から見たときの電解質3の配置を点線で示す。これらの図において96は基体が絶縁性のセパレータ、10は棒状部材、95は熱伝導性部材であり、符号の2から13については図2と同一部位を示す。また、図11において、燃料電池91は、棒状部材10が導電性の金属材料の場合、セパレータ96と棒状部材10の電気的な短絡あるいは熱伝導性部材95を経由した電気的な短絡を避けるために、セパレータ96は、樹脂やセラミックスなどの絶縁材料で形成されるのが好ましい。
この場合、セパレータ96は、基体がセラミック系の材料であり、電解質膜3と電極部材4、5間の電気的な導通は、セパレータ基体および表面に形成された電気配線102、電極103にて行われる。基体が絶縁性であるため、同一平面状に、複数の電解質膜3と電極部材4、5を容易に配置する事が可能である。このため、単位電池2の積層数を減らす事が可能となり、燃料電池91の低背化が可能となり、また、電気的安全性に優れる燃料電池を提供する事が出来る。
また、伝熱体13を有しているため、燃料電池全体として温度のばらつきを抑制する、すなわち均一化を図ることができる。その結果、局部的な高温部を一層なくすことができるため、燃料電池を長期に渡って連続運転した場合には、従来の燃料電池に比べて格段に高い電池性能を維持できる。
さらに、同一平面上に電解質膜3と電極部材4、5を配置した結果、燃料電池91のピーク温度を下げる事が可能となる。さらには、同一平面内に棒状部材10を分散して配置する事が可能であるため、更に燃料電池91の積層方向の温度分布を低減する事も可能である。
以上のことから、積層された単位電池間の温度ばらつきが抑制され、均一化が図れることから、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能な、小型の燃料電池を提供することできる。
(実施形態8)
次に、上記の燃料電池91を備える本発明の電子機器について説明する。
次に、上記の燃料電池91を備える本発明の電子機器について説明する。
本発明の電子機器は上記のような燃料電池91を有していることから、以上のような本発明の燃料電池91による特長を備えた、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能な、小型の電子機器を得ることができる。
また、燃料電池91の、セパレータ96の少なくとも一方に、外部接続用端子を具備すると、電子機器の回路基板に容易に電気的接続が可能となり、燃料電池91の着脱が自在となる。そのため、容易に燃料電池91を新しいものと取り替えることができ、電子機器の利便性を高いものとすることができる。
さらに、セパレータ96の表面および内部の少なくとも一方にメタライズ法等により電気配線を形成することができるので、抵抗やキャパシタンスやインダクタンスなどの受動素子やダイオードやトランジスタ等をまとめた集積回路を組合せ実装する事により、昇圧回路を形成することができるため、電子機器に必要な電圧を確保することが可能である。さらには温度、流量を感知するセンサーを実装し、バルブやポンプを制御する回路を実装する事により、安全に機能する燃料電池91を搭載した電子機器を提供する事が出来る。
そして、本発明の電子機器としては、具体的には携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルカメラやビデオカメラ、ゲーム機などの玩具等の携帯型電子機器、また、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)をはじめとするポータブルなプリンター、テレビ、通信機器、オーディオビデオ機器、扇風機等の各種家電製品、電動工具等の電子機器がある。
これらの電子機器は、近年、液晶表示装置等を用いた動画表示の機能を付加したものが使用されるようになってきている。このような動画表示は電源の消費が非常に大きいことから、従来の蓄電池を用いた電子機器では短時間で動作不能となるのに対し、本発明の電子機器は長期に渡って安定した出力電圧を維持可能な電源を供給できる燃料電池91を搭載しているため、動画表示を行なっても長時間の動作が可能となる。
例えば携帯電話の場合、中央処理装置(CPU)と、制御部と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、リードオンメモリ(ROM)と、使用者により操作されたデータをCPUに入力する入力部と、アンテナと、アンテナで受信された信号を復調して制御部に供給すると共に、制御部から供給された信号を変調してアンテナより送信させる無線部と、制御部からの鳴動信号に基づき鳴音するスピーカと、制御部からの制御により点灯、消灯あるいは点滅する発光ダイオード(LED)と、制御部から信号により情報の表示を行なう表示部と、制御部からの駆動信号により振動するバイブレータと、使用者の音声を音声信号に変換して制御部へ伝達し、制御部からの音声信号は音声に変換して出力する送受話部と、各部に電源を供給する電源部とから構成されており、その電源部に本発明の燃料電池91が組み込まれることによって、燃料電池91が、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能であり、また、本発明の燃料電池では、冷却に必要な補器を簡略化または省略する事が出来るため、コンパクト性、簡便性および安全性に優れるとともに、本発明の燃料電池は、長時間の電源供給が可能となることから、携帯電話の小型、低背化および軽量化が可能となる。
また、近時の携帯電話が小型化、低背化の面では十分であることを考慮すると、このように燃料電池91を小型、低背化することよって生じたスペースに、例えば、カメラやビデオ等の電話機能以外の機能を有する電子部品を組み込むことが可能となり、更なる多機能化を行なうことができる。
また、新たに電子部品を組み込む替わりに、衝撃吸収材や衝撃防止部材等を主要な電子回路を保護するようにして設けることもできる。この場合、落下等により携帯電話本体に衝撃が加わった際の耐衝撃性や、雨中での使用等の際の防水性などを従来よりも強固にし得る構造とすることもできる。
また、携帯電話本体内部の電気回路部を小さくすることが可能となることによって、携帯電話本体の外形への制約が少なくなり、例えば、携帯電話を老人や子供にとって握りやすい形状とすること等の意匠性に優れた外形状とすることが可能となる。
また、交換された(使用済みの)燃料電池91は、燃料を補給することによりすぐに再利用できるので、充電に比べて使い勝手がよく、また資源を有効利用することも可能なものとなる。また、自然災害等による長期にわたる停電等の緊急時や屋外においても使用が可能となるという利点がある。
また、ノート型PCの場合、PC本体と、PC本体に所定のデータを入力するためのキーボードとを納めた第1の筐体と、キーボードにより入力されたデータあるいはPC本体により処理されたデータを表示するためのディスプレイを納めた第2の筐体とを備え、第2の筐体が第1の筐体に開閉可能に取り付けられており、さらに各部に電源を供給する電源部を第1の筐体に設けるという基本構成から成り、その電源部に燃料電池91が組み込まれる。この場合、前述の携帯電話と同様に、本発明の電子機器に組み込まれる燃料電池91が、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能であり、また、本発明の燃料電池では、冷却に必要な補器を簡略化または省略する事が可能となることから、ノート型PC本体の小型、低背化、軽量化および多機能化が可能となるとともに、ディスプレイの大型化や高解像度化に対応して、大きな電流を安定して、長期にわたって供給することも可能で、ディスプレイが見やすく、かつ携帯の際の重量や容積上の負担も少ない等の利便性の高いノート型PCとすることができる。
以上のことから、積層された単位電池間の温度ばらつきが抑制され、均一化が図れることから、長期に渡って安定した出力電圧を維持可能な、小型の燃料電池を提供することできる。
なお本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、上述の実施例において燃料電池として水素を燃料に用いた燃料電池であったが、メタノールやジメチルエーテルを初めとする各種液体を燃料とする燃料電池を用いることもできる。更には、締付板7に、フィン等の放熱部材の設置や熱交換のための冷却水路の設置を行ってもよい。さらには、流体流路8、9については、燃料電池91全体を薄型化するため、セパレータ96の側面からの流入口を設けるようにしてもよい。これによれば、特に携帯電子機器用として小型化を成す上でさらに有効となる。さらに、電気配線102や外部接続端子については、セパレータ96の外面に導出される他端を、それぞれ同じ側の側面に引き出すように配設してもよい。これによれば、燃料電池の一方側面に配線や流路等をまとめることができ、小型化と外部への接合部の保護とが容易となり、信頼性の高い設計が可能となるとともに、長期間安定した作動が可能な燃料電池となる。
1、11、21、31、41、51、61、71、81、91、111:燃料電池
2、112:単位電池
3、113:電解質膜
4、5、114、115:電極部材
6、96、116:セパレータ
7、117:締付板
8、9、118、119:流体流路
10、120:棒状部材
12、121:電解質部材
13:伝熱体
44:フィン形状部材
71、85、95:熱伝導性部材
102:電気配線
103:電極
2、112:単位電池
3、113:電解質膜
4、5、114、115:電極部材
6、96、116:セパレータ
7、117:締付板
8、9、118、119:流体流路
10、120:棒状部材
12、121:電解質部材
13:伝熱体
44:フィン形状部材
71、85、95:熱伝導性部材
102:電気配線
103:電極
Claims (12)
- 複数のセパレータを、間に電解質部材を介して積層してなる燃料電池において、前記セパレータに伝熱体を設け、かつ前記伝熱体の積層方向における厚み、もしくは積層方向に直交する幅が、前記セパレータの積層方向の中央部のものより両端部のものが小さいことを特徴とする燃料電池。
- 前記伝熱体の積層方向における厚みもしくは積層方向に直交する幅が、前記セパレータの積層方向の中央部のものから両端部のものにかけて、漸次小さくなることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 前記伝熱体が、積層方向における断面視にて、前記電解質部材に近接して配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池。
- 前記セパレータが、燃料流路を有するセパレータおよび空気流路を有するセパレータが接合して形成されたセパレータである場合において、前記伝熱体が、前記燃料流路を有するセパレータと前記空気流路を有するセパレータの間に有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池。
- 前記伝熱体の、前記セパレータの積層方向と直交する方向における横断面積が、前記セパレータの積層方向の中央部より両端部で小さいことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の燃料電池。
- 前記伝熱体が、前記セパレータの積層方向と直交する方向における外周面に、フィン形状部材を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の燃料電池。
- 前記セパレータを積層方向に縦通する少なくとも1つの棒状部材を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の燃料電池。
- 前記棒状部材の少なくとも1つが、前記電極部材の中央部を縦通していることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池。
- 前記棒状部材と、前記棒状部材が縦通する、前記セパレータおよび前記電解質部材の少なくとも一方の間に、熱伝導性部材を有することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の燃料電池。
- 前記熱伝導性部材が、前記セパレータよりも熱伝導率が高いことを特徴とする請求項9に記載の燃料電池。
- 前記セパレータの積層方向に対し中央部に位置する、前記棒状部材と、前記セパレータおよび前記電解質部材の少なくとも一方の間に、前記熱伝導性部材を有することを特徴とする請求項9または請求項10のいずれかに記載の燃料電池。
- 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の燃料電池を備えた電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006089692A JP2007265821A (ja) | 2006-03-29 | 2006-03-29 | 燃料電池 |
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