JP2007264300A - 立体像表示体 - Google Patents
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Abstract
【課題】立体像を再生するための回折格子パターンを形成したホログラム記録媒体を備えて成る立体像表示体において、ボケの少ない、横方向・縦方向の視差を持った再生像の白色光再生が可能で、かつ低コストで量産可能な立体像表示体を提供する。
【解決手段】立体像表示体20は、立体像を再生するための回折格子パターン24a、24b、24cを形成したホログラム記録媒体22を備えている。ホログラム記録媒体22の表面に、可視光領域内に透過波長域を有する特定波長透過フィルタ層28を設けた。この特定波長透過フィルタ層28は、互いに透過波長域の主波長が異なる複数のフィルタ領域28a、28b、28cを含んでおり、各フィルタ領域の透過波長域の主波長と、当該フィルタ領域に対応したホログラム記録媒体の領域に形成した回折格子パターン24a、24b、24cの空間周波数とが、反比例関係にあるようにした。
【選択図】図3
【解決手段】立体像表示体20は、立体像を再生するための回折格子パターン24a、24b、24cを形成したホログラム記録媒体22を備えている。ホログラム記録媒体22の表面に、可視光領域内に透過波長域を有する特定波長透過フィルタ層28を設けた。この特定波長透過フィルタ層28は、互いに透過波長域の主波長が異なる複数のフィルタ領域28a、28b、28cを含んでおり、各フィルタ領域の透過波長域の主波長と、当該フィルタ領域に対応したホログラム記録媒体の領域に形成した回折格子パターン24a、24b、24cの空間周波数とが、反比例関係にあるようにした。
【選択図】図3
Description
本発明は、ホログラムを用いた立体像表示体に関し、より詳しくは、立体像を再生するための回折格子パターンを形成したホログラム記録媒体を備えて成る立体像表示体に関するものである。
回折格子パターンによる光の干渉現象を利用して立体像を再生するホログラムには、図5に示すような「表面レリーフ型ホログラム(干渉縞が二次元的に微細な凹凸として記録されているホログラム)」や、図6に示すような「体積型ホログラム(屈折率や透過率が厚さ方向に異なるように記録されているホログラム)」がある。
表面レリーフ型ホログラムにも様々な種類のものがあるが、そのうちの1つにフレネルホログラムがある。このホログラムは、一般的な二光束干渉法によって作製される。通常の方法で作製されたフレネルホログラムは、撮影時と同じレーザー光によってのみ正しく像が再生される。実用の観点からは、より汎用性の高い白色光による再生が望まれるが、通常のフレネルホログラムは、白色光で照明するとボケた像となってしまい、鮮明な像を再生できない。
白色光再生で像がボケる原因としては、再生波長がレーザーのように単一波長ではなく幅を持つこと、それに、再生光源が点ではなく大きさを持っていることがある。再生波長が幅を持っていると、再生像の位置が波長により異なるので、色のにじんだボケた像となってしまい、鮮明な像を再生できない。また、再生光源が点ではなく大きさを持っていると、再生像の位置が入射光角度によって異なるので、再生像がボケてしまう。
白色光で再生できる表面レリーフ型ホログラムとして、レインボーホログラムがある。レインボーホログラムは、縦方向の視差を犠牲にして白色光再生を可能にするもので、視点を左右に変化させたときは立体的に物体の見え方が変化し、視点を上下に変化させると再生像の色が虹色に変化する。このように、ある視点からはひとつの色の再生像だけが見えるようにすることで、ボケの少ない鮮明な立体像を再現することができる。但し、この場合でも再生光源の大きさによる像のボケは伴う。
また、白色光再生でもボケの少ない再生像が得られるもう一つの方法として、イメージホログラムがある。イメージホログラムは、ホログラム記録媒体の表面上もしくは表面近傍に立体像を表示させるものである。再生像のボケは、ホログラム記録媒体の表面から離れるほど大きくなるため、その表面上に再生像があればボケは生じない。
ここで、再生波長の幅に由来するボケ、再生光源の大きさに由来するボケは、共にホログラム記録媒体の表面から離れるほど大きくなる性質があるため、イメージホログラムはどちらに由来するボケを軽減する上でも有効な手段である。
しかし、イメージホログラムでは、ホログラム記録媒体の表面上に位置する再生像に関してはボケを生じないものの、記録する立体像に奥行きがある場合には、その立体像の全体のうち、ホログラム記録媒体の表面から離れた位置に再生される部分に、ボケが生じてしまうため、実際には、イメージホログラム単独で鮮明な再生像を得ることは難しい。また、レインボーホログラムは再生光源の大きさに由来するボケを抑制する効果はない。そのため、図7の(a)及び(b)に示したように、レインボーホログラムであると同時にイメージホログラムでもある構成としたホログラムが多用されている。この構成のホログラムでは、ホログラム記録媒体の表面1に再生像2が再生されるようになっており(図7(a)参照)、理想的な照明光3を照射すると、縦方向に分光し、各波長ごとには鮮明な再生像が観察できる(図7(b)参照)。
このように、レインボーホログラムは、比較的簡単な方法で鮮明な再生像を得ることができ、また、表面レリーフ型ホログラムの一種であるため、熱可塑性樹脂によるエンボス成形法等によって容易に量産が可能であることから、クレジットカード等のセキュリティ用途や意匠性の高い包装材などに、いわゆるホログラムとして幅広く利用されている。
しかしながら、縦方向の視差がないこと、縦方向の波長分散によって虹色に見えることは、レインボーホログラムに付随するあまり好ましくない要素である。
一方、体積型のホログラムとして、リップマンホログラムがある。このホログラムは、物体光と参照光とを、ホログラム記録媒体に互いに反対方向から入射させることで作製される。リップマンホログラムの干渉縞は、ホログラム記録媒体の表面にほぼ平行な面として形成されるため、干渉フィルタと同じ作用により白色光の中から波長幅の狭い特定の波長の光のみが選択的に反射され、白色光再生が可能となる。このとき、レインボーホログラムのように縦方向の視差を犠牲にする必要はなく、上下左右の視差がある立体像を再生できる。
リップマンホログラムは、波長選択性と入射光角度選択性を持つため、通常の白色の再生光源を用いても、比較的鮮明な立体像が得られる。
リップマンホログラムは、ホログラム記録媒体の内部に干渉縞が記録されるという特性から材料が限定されるため、高コストであり、量産性も低い。また、リップマンホログラムの色は記録媒体の材料によって決まるため、表示色の選択の自由度が低く、また、記録媒体の材料の性質上、個体差や経時変化などの影響を受けやすく、色を安定して再現するのは難しい。
なお、特開2004−302026号公報に記載の方法によって、回折格子パターンを有する画像表示体に、回折格子パターンの回折効率が最大となる波長を選択的に透過する透明性着色インキによるカラー画像を組み合わせることで、回折格子パターンによる画像が設計通りの色相で極めて明るく視認性良好に観察できることが提案されている。しかしこの方法では、設定した角度での視認性には優れるものの、波長分散を十分に抑える効果はないため、全体としては波長分散による色変化が起こってしまう。また、縦方向の視差を持たせることもできない。
特開2004−302026号公報
本発明は、立体像を再生するための回折格子パターンを形成したホログラム記録媒体を備えて成る立体像表示体において、ボケの少ない、横方向・縦方向の視差を持った再生像の白色光再生が可能で、かつ低コストで量産可能である立体像表示体を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明に係る立体像表示体は、立体像を再生するための回折格子パターンを形成したホログラム記録媒体を備え、前記ホログラム記録媒体の表面に、可視光領域内に透過波長域を有する特定波長透過フィルタ層を設けたことを特徴としている。
前記特定波長透過フィルタ層は、その透過波長域の半値幅が10nm以下のものとするのもよく、10〜50nmの範囲内のものとするのもよく、あるいは50〜100nmの範囲内のものとするのもよい。
また、前記ホログラム記録媒体は、再生される立体像が上下左右に視差を有するものとするのもよい。
また、前記ホログラム記録媒体は、再生される立体像が該ホログラム記録媒体の表面の近傍に位置するものとするのもよい。その場合に、再生される立体像の一部が該ホログラム記録媒体の表面に交わるものとするのもよく、再生される立体像が該ホログラム記録媒体の表面の前後10mm以内の奥行きに収まるものとするのもよい。
また、前記ホログラム記録媒体は、表面レリーフ型ホログラム記録媒体とするのもよい。
また、前記特定波長透過フィルタ層を、互いに透過波長域の主波長が異なる複数のフィルタ領域を含んでいるものとし、各フィルタ領域の透過波長域の主波長と、当該フィルタ領域に対応した前記ホログラム記録媒体の領域に形成した回折格子パターンの空間周波数とが、反比例関係にあるようにするのもよい。さらにその場合に、前記複数のフィルタ領域が、赤色に相当する透過波長域を有するフィルタ領域と、緑色に相当する透過波長域を有するフィルタ領域と、青色に相当する透過波長域を有するフィルタ領域とを含んでいるものとするのもよい。また、前記複数のフィルタ領域が、繰り返し配置されており、一つの繰り返し単位が300μm角以下の大きさに収まるようにしておくのもよい。また、前記ホログラム記録媒体の表面の近傍に再生される立体像に対応した回折格子パターンが形成された前記ホログラム記録媒体の領域に設けた前記フィルタ領域と、それ以外の位置に再生される立体像に対応した回折格子パターンが形成された前記ホログラム記録媒体の領域に設けた前記フィルタ領域とが、互いに異なる透過波長域を有するようにするのもよい。
本発明による立体像表示体は、立体像を再生するための回折格子パターンを形成したホログラム記録媒体を備え、このホログラム記録媒体の表面に、可視光領域内に透過波長域を有する特定波長透過フィルタ層を設けたことによって、横方向・縦方向の視差を持たせつつ波長分散による再生像のボケを抑えた白色光再生が可能となっている。また、特定波長透過フィルタ層を透過する光の波長域によって色が決まるため、色の選択の自由度が高く、かつ確実な色再現が可能である。
さらに、特定波長透過フィルタ層を、互いに透過波長域の主波長が異なる複数のフィルタ領域を含んでいるものとし、各フィルタ領域の透過波長域の主波長と、当該フィルタ領域に対応したホログラム記録媒体の領域に形成した回折格子パターンの空間周波数とが、反比例関係にあるものとすれば、意匠性や偽造防止効果をより向上させることができる。さらに、ホログラム記録媒体を、表面レリーフ型ホログラム記録媒体とすれば、エンボス複製等が可能となり、量産性にも優れたものとなる。
以下、本発明の立体像表示体を実施例に基づいて説明する。
図1は本発明の好適な実施の形態に係る立体像表示体10の構造を示した模式的断面図である。立体像表示体10は、立体像を再生するための回折格子パターンが形成されたホログラム記録媒体12を備えており、このホログラム記録媒体12は、熱可塑性樹脂からなる基材の一方の面(裏面)に表面レリーフ型の回折格子パターン14を形成し、その上にアルミニウム等からなる金属反射(蒸着)層16を設けたものである。そして、この基材の他方の面(表面)には、可視光領域内に透過波長域を有する特定波長透過フィルタ層18が設けられている。
特定波長透過フィルタ層18は、透過する波長に制限を設けるものであり、通常は、その透過波長域の半値幅を100nm以下とする。この半値幅が狭ければその分波長選択性が高くなり、波長分散による像のボケを抑える効果が高まる。
ここで半値幅とは、図2に示すように、特定波長透過フィルタ層18の透過率の最大値をTとしたとき、その透過率が1/2Tとなる2点間の波長域幅である。
特に、特定波長透過フィルタ層18の透過波長域の半値幅を10nm以下とすれば、白色光源で照明してもレーザー再生に近い効果が得られ、波長分散によるボケはほとんど生じず、再生像は極めて鮮明に見えるという利点が得られる。
また、この半値幅を10〜50nmの範囲内とすれば、波長分散による像のボケを抑えつつ、より明るい再生像が得られるという利点が得られる。
また、この半値幅を50〜100nmの範囲内とすれば、波長分散による像のボケを抑える効果は若干低下するものの、さらに明るい像が得られるという利点が得られる。
図示例のホログラム記録媒体12は、再生される立体像が上下左右に視差を有するものとしてある。白色光再生の基本的なホログラムであるレインボーホログラムでは、波長分散を抑えるために縦方向の視差を犠牲にしているが、これに対して、本発明の立体像表示体では、ホログラム記録媒体の表面に設けた特定波長透過フィルタ層によって波長分散を抑えるようにしているため、縦方向にも視差を持たせることが可能となっている。
ただし、本発明は、レインボーホログラムにも適用し得るものである。レインボーホログラムに本発明を用いた場合には、すなわち、レインボーホログラム記録媒体の表面に特定波長透過フィルタ層を設けた場合には、それによって縦方向の波長分散を抑えることができるため、縦方向の視差はないものの、再生像が鮮明でしかも色変化のないホログラムが得られる。
さらに、図示例のホログラム記録媒体12は、再生される立体像がこのホログラム記録媒体12の表面の近傍に位置するようにしたものであり、すなわち、イメージホログラムタイプのものである。一般的にホログラムの白色光再生によって再生像がボケる原因には大きく分けて二つあり、一つは再生波長が幅を持つことによる像の波長分散、もう一つは再生光源が点ではなく大きさを持つことによる再生光の広がりである。どちらを原因とする再生像のボケも、再生像の位置がホログラム記録媒体の表面から離れるほど大きくなるため、記録した立体像がホログラム記録媒体の表面近傍に再生されるイメージホログラムとすることにより、特定波長透過フィルタ層を備えた本発明において、最もボケの少ない高品質な立体像が得られる。
また、ホログラム記録媒体12は、再生される立体像の一部がこのホログラム記録媒体12の表面に交わるものとすることが望ましく、そうすることによって、簡便にボケの少ない条件を実現することができる。また、ホログラム記録媒体12は、再生される立体像がこのホログラム記録媒体12の表面の前後10mm以内の奥行きに収まるものとすることが望ましく、そうすることによって、ボケの量を予め決められた範囲に抑えることができるため、特定波長透過フィルタ層と組み合わせることにより、確実に一定のボケ量以下の鮮明な立体像を得ることができる。
また、ホログラム記録媒体12は、表面レリーフ型ホログラム記録媒体とすることが望ましく、そうすれば、エンボス成形法によって作製することができるため、体積型であるリップマンホログラム等と比べ、低コストでかつ高い量産性が得られる。
図3は、図1に示した立体像表示体10の変更例に係る立体像表示体20の構造を示した模式的断面図である。図3の立体像表示体20は、図1の立体像表示体10と同様に、立体像を再生するための回折格子パターンが形成されたホログラム記録媒体22を備えており、このホログラム記録媒体22は、熱可塑性樹脂からなる基材の一方の面(裏面)に表面レリーフ型の回折格子パターン24a、24b、24cを形成し、その上にアルミニウム等からなる金属反射(蒸着)層26を設けたものである。そして、この基材の他方の面(表面)には、可視光領域内に透過波長域を有する特定波長透過フィルタ層28が設けられている。図3の立体像表示体20は、図1の立体像表示体10に関して上で説明した様々な特徴を備えていることに加えて、更に以下の特徴を備えたものである。
図3の立体像表示体20の特定波長透過フィルタ層28は、互いに透過波長域の主波長が異なる複数のフィルタ領域28a、28b、28cを含んでいる。そして、各々のフィルタ領域28a、28b、28cの透過波長域の主波長と、それらフィルタ領域の夫々に対応したホログラム記録媒体22の夫々の領域に形成した回折格子パターン24a、24b、24cの空間周波数とが、反比例関係にあるように設計されている。これによって、複数の色からなる絵柄を、夫々のフィルタ領域28a、28b、28cの透過波長域に対応した色で再生することを可能にしている。そして、絵柄を複数の色で表現することができれば、意匠性が向上するだけでなく、偽造防止効果も向上させることができる。
また、図示例の特定波長透過フィルタ層28は、複数のフィルタ領域28a、28b、28cが、赤色(R)に相当する透過波長域を有するフィルタ領域28aと、緑色(G)に相当する透過波長域を有するフィルタ領域28bと、青色(B)に相当する透過波長域を有するフィルタ領域28cとを含んでいる構成としたものであり、これによって、フルカラーの表現が可能となっている。
ここで、各フィルタ領域28a、28b、28cの透過波長域の主波長と、当該フィルタ領域に対応したホログラム記録媒体22の領域に形成した回折格子パターン24a、24b、24cの空間周波数との間には以下の関係がある。
x=1/d …(1式)
λ=d(sinθ+sinφ) …(2式)
これらの式において、
x:回折格子パターンの空間周波数、
λ:フィルタ領域の透過波長域の主波長、
d:回折格子パターンのピッチ、
θ:再生照明光の入射角、
φ:再生光の回折角、
である。
x:回折格子パターンの空間周波数、
λ:フィルタ領域の透過波長域の主波長、
d:回折格子パターンのピッチ、
θ:再生照明光の入射角、
φ:再生光の回折角、
である。
以上の(1式)および(2式)より、回折格子パターンの空間周波数xとフィルタ領域の透過波長域の主波長λとの間には、反比例の関係が成り立つ。
一例として、立体像表示体20に対して上方35度の角度から白色光を照射し、立体像表示体20に対して垂直方向(正面)から観察する状況を想定する。各フィルタ領域28a、28b、28cの主波長を、夫々633nm(R)、532nm(G)、442nm(B)とすれば、それらフィルタ領域に対応する回折格子パターン24a、24b、24cの空間周波数は、夫々906本/mm(Rに対応)、927本/mm(Gに対応)、1297本/mm(Bに対応)となる。
なお、ここで、R、G、Bに相当する透過波長域の主波長を、夫々633nm(R)、532nm(G)、442nm(B)としたのは、説明のための具体例を提示したに過ぎず、複数の透過波長域の主波長は、様々に設定し得るものである。
図4は、特定波長透過フィルタ層28の模式的平面図である。同図に示すように、特定波長透過フィルタ層28においては、赤色(R)に相当する透過波長域を有するフィルタ領域28aと、緑色(G)に相当する透過波長域を有するフィルタ領域28bと、青色(B)に相当する透過波長域とが、2次元的に繰り返し配置されている。また、この配置においては、一つの繰り返し単位30が、300μm角以下の大きさに収まるようにしておくことが望ましく、その理由は以下の通りである。ランドルト環(黒い輪の一部に切れ目を入れたもの)を用いた視力検査において、標準視力1.0とは、線幅が1.5mmで外直径が7.5mmの黒い輪に入れた幅が1.5mmの切れ目(従ってこの切れ目の大きさは1.5mm角である)を5mの距離から見分けられることを言う。これを50cmの距離からの検査に換算すると、150μm角の切れ目を見分けられることに相当する。また、例えば1mの距離からの検査に換算した場合の大きさ,あるいは、視力0.5で50cmの距離から見分けられる大きさは、300μm角である。これらを総合して立体像表示体20を50cm〜1mの距離から観察する状況を想定すると、2次元的に繰り返し配置する複数のフィルタ領域28a、28b、28cの一つの繰り返し単位30が、300μm角以下の大きさに収まるようにすれば、観察者は個々のフィルタ領域を認識することがなく、したがって、立体像として極めて高品質な像を観察することができる。
また、ホログラム記録媒体22の全体のうちの一部領域には、ホログラム記録媒体22の表面の近傍に再生される立体像に対応した回折格子パターンを形成し、別の一部領域には、それ以外の位置に再生される立体像に対応した回折格子パターンを形成するようにするのもよい。そして、その場合には、ホログラム記録媒体22の表面の近傍に再生される立体像に対応した回折格子パターンが形成されたホログラム記録媒体22の領域に設けたフィルタ領域と、それ以外の位置に再生される立体像に対応した回折格子パターンが形成された前記ホログラム記録媒体の領域に設けた前記フィルタ領域とが、互いに異なる透過波長域を有するようにするとよい。そうすれば、ホログラム記録媒体の表面近傍の再生像とそれ以外の再生像とを異なった色で表示させることができ、したがって、奥行き方向で色が変化する効果を持たせることができる。また、このとき、表面近傍の再生像は、その再生位置が視点によって変化しないため色ズレが発生せず、簡便に高品質な多色の立体像が得られる。
ホログラム記録媒体に立体像を再生するための回折格子パターンを形成する方法としては、二光束干渉法によってホログラムパターンを記録する方法の他、例えば電子ビームによって回折格子パターンを描画する方法、バイト切削等により回折格子パターンを形成する方法等がある。
さらに、以上のようにして製作したホログラム記録媒体の回折格子パターンを、電鋳によって金属版に起こすなどして原版を作製し、その原版から熱可塑性樹脂にエンボス成形法でパターンを転写することで、そのホログラム記録媒体を大量に複製することができ、そのようにして複製したホログラム記録媒体を使用することで、本発明に係る立体像表示体を低コストで量産することができる。また、熱可塑性樹脂にエンボス成形法で転写する代わりに、紫外線硬化樹脂を用いる成形法によってパターンを転写してもよい。
10……立体像表示体、12……ホログラム記録媒体、14……回折格子パターン、16……金属反射層、18……特定波長透過フィルタ層、20……立体像表示体、22……ホログラム記録媒体、24a……回折格子パターン、24b……回折格子パターン、24c……回折格子パターン、26……金属反射層、28……特定波長透過フィルタ層、28a……特定波長透過フィルタ層のフィルタ領域、28b……特定波長透過フィルタ層のフィルタ領域、28c……特定波長透過フィルタ層のフィルタ領域、30……フィルタ領域の繰り返し単位。
Claims (13)
- 立体像を再生するための回折格子パターンを形成したホログラム記録媒体を備え、前記ホログラム記録媒体の表面に、可視光領域内に透過波長域を有する特定波長透過フィルタ層を設けたことを特徴とする立体像表示体。
- 前記特定波長透過フィルタ層は、その透過波長域の半値幅が10nm以下であることを特徴とする請求項1の何れか1項記載の立体像表示体。
- 前記特定波長透過フィルタ層は、その透過波長域の半値幅が10〜50nmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の立体像表示体。
- 前記特定波長透過フィルタ層は、その透過波長域の半値幅が50〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の立体像表示体。
- 前記ホログラム記録媒体は、再生される立体像が上下左右に視差を有するものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の立体像表示体。
- 前記ホログラム記録媒体は、再生される立体像が該ホログラム記録媒体の表面の近傍に位置するものであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の立体像表示体。
- 前記ホログラム記録媒体は、再生される立体像の一部が該ホログラム記録媒体の表面に交わるものであることを特徴とする請求項6記載の立体像表示体。
- 前記ホログラム記録媒体は、再生される立体像が該ホログラム記録媒体の表面の前後10mm以内の奥行きに収まるものであることを特徴とする請求項6記載の立体像表示体。
- 前記ホログラム記録媒体は、表面レリーフ型ホログラム記録媒体であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の立体像表示体。
- 前記特定波長透過フィルタ層は、互いに透過波長域の主波長が異なる複数のフィルタ領域を含んでおり、各フィルタ領域の透過波長域の主波長と、当該フィルタ領域に対応した前記ホログラム記録媒体の領域に形成した回折格子パターンの空間周波数とが、反比例関係にあるようにしたことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載の立体像表示体。
- 前記複数のフィルタ領域が、赤色に相当する透過波長域を有するフィルタ領域と、緑色に相当する透過波長域を有するフィルタ領域と、青色に相当する透過波長域を有するフィルタ領域とを含んでいることを特徴とする請求項10記載の立体像表示体。
- 前記複数のフィルタ領域が、2次元的に繰り返し配置されており、一つの繰り返し単位が300μm角以下の大きさに収まるようにしてあることを特徴とする請求項10又は11記載の立体像表示体。
- 前記ホログラム記録媒体の表面の近傍に再生される立体像に対応した回折格子パターンが形成された前記ホログラム記録媒体の領域に設けた前記フィルタ領域と、それ以外の位置に再生される立体像に対応した回折格子パターンが形成された前記ホログラム記録媒体の領域に設けた前記フィルタ領域とが、互いに異なる透過波長域を有することを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項記載の立体像表示体。
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