JP2007257953A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】排出されるドレイン水を中和し環境への影響を軽減した燃料電池システムを提供する。
【解決手段】改質部を備えた水素生成装置、水素含有ガスを用いて発電する燃料電池部、水素生成装置及び燃料電池部から排出される水を溜める凝縮水タンク、凝縮水タンクから排出される余剰水に中和剤を接触させる中和部、並びに中和部の下流側に設けられた水滞留部を具備する燃料電池システムにおいて、上記中和剤として少なくともカルシウムまたはマグネシウムを含むものを用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素と空気中の酸素とを用いて発電する燃料電池システムに関する。
燃料電池システム(発電装置)は、高い発電効率を有することに加えて、発電時に発生した熱を給湯や暖房等に有効に利用することができるため、家庭用のコージェネレーションシステムへの応用が期待されている。家庭用途においては、装置の頻繁な起動停止への対応、装置の耐久性およびコスト低減の観点から、燃料電池システムは比較的低温で作動させることが望ましい。そこで、発電部として高分子電解質を用いた高分子電解質型燃料電池の開発が進められている。
燃料電池の多くは水素を燃料として用いて発電する。現状では水素ガスのインフラが整っていないため、燃料電池システムを設置した場所において、水素生成装置も併用される。この水素生成装置は、天然ガスもしくはLPG等の炭化水素成分、メタノール等のアルコールまたはナフサ成分等の、少なくとも炭素および水素から構成される有機化合物を含む原料と、水と、を反応させて水素を含む水素含有ガスを生成する。
また、水素生成装置の燃焼排ガスならびに燃料電池のアノードオフガスおよびカソードオフガスには、多量の水分が含まれている。これらの水分は凝縮して回収し、再利用される。燃焼排ガスおよびアノードオフガスには多量の二酸化炭素が含まれるため、当該燃焼排ガスおよびアノードオフガスは、通常、脱炭酸した後、イオン交換樹脂等で浄化して改質反応および燃料電池の加湿等に再利用する。そして、余った水(余剰水)は外部に排出される。
気温、湿度およびシステムの設計条件等により蒸気として排出される水分量が異なるため、上記余剰水の量は変動するが、メタンを主成分とする都市ガスを原料に用いた燃料電池システムであれば、都市ガス1リットル当たり1〜3gの余剰水が排出される。
ところで、上記余剰水には少量の二酸化炭素が残存しており、燃焼排ガス由来の窒素酸化物も少量含むため、pH5程度の酸性を示す。このため、環境への影響を考慮して、(i)ドレイン排出水(即ち、上記余剰水)へのカソードオフガスの接触、(ii)ドレイン排出水への中性塩の水溶液の混合、および(iii)ドレイン排出水への水道水の混合、などが提案されている(例えば、特許文献1)。これにより、ドレイン排出のpH値を調整し、環境への影響を低減させることができる。
特開2004-172016号公報
しかしながら、上記ドレイン排出水をカソードオフガスで脱炭酸させるだけでは、空気中に含まれる300〜400ppm程度の二酸化炭素によって、上記ドレイン排出水のpHは5〜5.5程度範囲までに調整することしかできなかった。
また、炭酸カルシウムのようにアルカリ性の強い材料を用いて中和した場合、上記ドレイン排出水が長く中和剤に接触し続けると、上記ドレイン排出水のpHが中性域を外れてアルカリ側(例えばpH9.5)に振れてしまうことがあった。さらに、上記ドレイン排出水を水道水で希釈する場合には、無駄な水が必要なだけでなく、電磁弁および配管等を余分に使用しなければならないことになるため、コスト増の原因となっていた。
そこで、本発明は、上記のような従来の燃料電池システムにおける問題を解決するものであり、環境に与える影響の少ない上水の基準(pH約5.8〜8.6)を満たすドレイン排出水を簡便かつ長期間にわたって排出する燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の燃料電池システムは、
有機化合物を含む原料と水とを反応させ、少なくとも水素を含有する水素含有ガスを生成する改質部を備えた水素生成装置と、
前記水素含有ガスを用いて発電する燃料電池部と、
前記水素生成装置および前記燃料電池部から排出される水を溜める凝縮水タンクと、
前記凝縮水タンクから排出される余剰水に中和剤を接触させる中和部と、
前記中和部の下流側に設けられた水滞留部と、を具備し、
前記中和剤は、少なくともカルシウムまたはマグネシウムを含むセラミック化合物を含む構造体(例えば、前記セラミック化合物の片の集合体を含む。)であることを特徴とする。
このような構成により、環境に与える影響の少ない上水の基準(pH約5.8〜8.6)を満たすドレイン排出水を簡便かつ長期間にわたって排出する燃料電池システムを実現することができる。
なかでも、前記構造体は、ポルトランドセメントの固形物またはコージェライトで構成されているのが好ましい。
また、本発明の燃料電池システムは、前記凝縮水タンクに設けられた水位センサと、前記凝縮水タンクから前記中和部への水の供給量を制御する流量調整部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記水位センサにより前記凝縮水タンクの水位が所定の水位になったことを検知すると、前記流量調整部により前記凝縮水タンクから前記中和部には間欠的に水を供給するよう制御するのが好ましい。
本発明によれば、従来の燃料電池システムにおける問題を解決し、環境に与える影響の少ない上水の基準(pH約5.8〜8.6)を満たすドレイン排出水を簡便かつ長期間にわたって排出する燃料電池システムを提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
実施の形態1
図1は、本実施の形態に係る燃料電池システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態に係る燃料電池システムは、有機化合物を含む原料(原料ガス)と水(改質水)とを反応させ、少なくとも水素を含有する水素含有ガスを生成する改質部を備えた水素生成装置1と、水素含有ガスを用いて発電する燃料電池部2と、水素生成装置1および燃料電池部2から排出される水を溜める凝縮水タンク3と、凝縮水タンク3から排出される余剰水を中和剤5に接触させる中和部4と、中和部4の下流側に設けられた水滞留部6と、を具備する。
以下に、本実施の形態に係る燃料電池システムの各構成要素について説明する。
水素生成装置1は、図示しないが、改質部、変成部および選択酸化部を含む反応器であり、それぞれに最適な触媒体が充填されている。加熱部7は、水素生成装置1の改質部を加熱する燃焼バーナーで構成されている。水素生成装置1から排出された水素含有ガスは燃料電池部2に供給される。また、上記のような構成を有する燃料電池部2で発電に使われずに残った水素含有ガス(水素)は、加熱部7へ供給される。
燃料電池部2は、例えば、高分子電解質型燃料電池で構成される。高分子電解質型燃料電池は、陽イオン(水素イオン)を選択的に輸送する水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜を用い、水素含有ガス(水素)および空気を、電極触媒(例えば白金など)を含む触媒層を有するガス拡散電極で電気化学的に反応させ、電気と熱を同時に発生させるものである。
このような高分子電解質型燃料電池の一例を図2に示す。
図2に示す高分子電解質型燃料電池200は、高分子電解質膜101の両面に、電極触媒(例えば白金金属)を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層102A、102Bが密着して配置され、さらに触媒層102A、102Bの外面に、繊維状基材104A、104Bと撥水カーボン層(被覆層)103A、103Bとで構成された一対のガス拡散層111A、111Bが密着して配置された構成を有する。
撥水カーボン層103A、103Bは集電作用、ガス透過性および撥水性を有し、触媒層102A、102Bおよびガス拡散層111A、111Bが、ガス拡散電極を構成する。また、高分子電解質膜101、触媒層102A、102B、およびガス拡散層111A、111Bが、膜電極接合体(membrane electrode assembly、MEA)105を構成する。
このMEA105を機械的に接合するとともに、隣接するMEA105同士を互いに電気的に直列に接続するために、導電性を有するセパレータ板106A、106BがMEA105間に挿入される。セパレータ板106A、106Bは、一方の面に、それぞれ燃料極側および酸化剤極側の触媒層に、燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給するガス流路107A、107Bを有し、他方の面に、MEA105を冷却するための冷却水用の流路108を有する。また、反応ガスが外部に漏れることを防ぐためにシール材109が配置されている。
このようにしてMEA105と一組のセパレータ板106A、106Bとが1つの単電池を構成し、単電池が複数個積層されて電池積層体(スタック)からなる燃料電池部2が構成される。上記スタックは、燃料ガスや酸化剤ガスがリークしないように、また電池積層体内の接触抵抗を減らすために、締結ボルト110によって所定の締結圧で積層方向に締結される。したがって、MEA105とセパレータ板106A、106Bとは所定の圧力のもとで面接触している。
凝縮水タンク3は、水素生成装置1と燃料電池部2から排出されるガス中(水素生成装置1については加熱部7の燃焼排ガス、燃料電池部2についてはアノードオフガス及びカソードオフガス)凝縮水を溜めるものであり、ここから排出される凝縮水は、イオン交換樹脂を充填した浄水器(図示せず)へ供給され浄化して再利用される。一方、凝縮水タンク3から溢れ出る等して浄水器に供給されない凝縮水(即ち余剰水)は、中和部4および水滞留部6を経て、最終的には、系外に排出される。
また、本実施の形態に係る燃料電池システムは、脱炭酸塔8を有する。水素生成装置1からの燃焼排ガスと燃料電池部2からのアノード凝縮水は、多量の溶存二酸化炭素を含んでいるため、脱炭酸塔8で脱炭酸した後に凝縮水タンク3に回収される。
脱炭酸塔8は、二酸化炭素含有量の少ない気体(カソード排ガス等)と接触することによって水中の二酸化炭素と空気を置換させるというメカニズムにより、アノード凝縮水に含まれる二酸化炭素を追い出す機能を有する。かかる脱炭酸塔8は、例えば化学プラントで一般的に用いられるラシヒリングを充填して構成することができる。
凝縮水タンク3から排出される余剰水は、中和剤5を充填した中和部4を経て、水滞留部6でいったん滞留した後、系外に排出される。ここで、中和剤5としては、例えば、ポルトランドセメントの固形物ブロック(構造体)を作成し、当該ブロックを金槌で砕いて5〜10mm角の片の集合物を得、当該集合物を水道水で充分に洗浄して得られたものを用いる。
中和剤5としては、上記ポルトランドセメント以外にも、少なくともカルシウムまたはマグネシウムを含む難溶性化合物を用いることができる。カルシウムやマグネシウムは難溶性塩を形成し易く、環境への負荷が小さいことから、上記難溶性化合物は中和剤5として有効である。
また、上記難溶性化合物として、車の排ガス浄化等に一般的に用いられるコージェライトを用いても有効である。コージェライトはMgとAlとSiとの安定な複合酸化物であり、酸に接触させると微量のMgが溶出し、pHを適切(例えば6.5程度)に調整することができる。
つぎに、本実施の形態に係る燃料電池システムの動作について説明する。
水素生成装置1に供給する原料としては、メタン、プロパン、都市ガス、天然ガス、LPG、メタノール等のアルコール、ガソリン、灯油、ナフサなどに例示される少なくとも炭素及び水素を含む有機化合物が挙げられる。
また、改質方法には、水蒸気を加える水蒸気改質、空気を加えて行う部分改質などがあり、本発明においてはいずれを採用することも可能であるが、ここでは、天然ガスを水蒸気改質して水素含有ガスを得る場合について説明する。
原料である天然ガスと改質水とを水素生成装置1に供給する。水素生成装置1で発生した水素含有ガスは燃料電池部2に供給される。燃料電池2での発電後に排出されるアノードオフガスには、発電に使用されなかった水素や改質部で水素に転換しなかったメタンが残留しているため、加熱部7に供給して燃焼させ、水素生成装置1の加熱に用いる。
また、燃料電池部2のカソード側には空気が供給され、空気中の酸素を燃料電池部2で発電に用いた後、カソードオフガスが排出される。
アノードオフガス、カソードオフガスおよび燃焼排ガスには、多量の水蒸気が含まれている。したがって、アノードオフガスおよびカソードオフガスに含まれる水蒸気の一部は、当該アノードオフガスおよびカソードオフガスと、燃料電池部2に供給する前の水素含有ガス(水素)および空気と、の間で全熱交換を行うことにより、燃料電池部2の加湿に用いることができる。アノードオフガスおよびカソードオフガスに含まれる水蒸気の残部は、凝縮させて、凝縮水タンク3に回収される。
また、アノードオフガスの凝縮水および燃焼排ガスの凝縮水には、多量の二酸化炭素が溶け込んでいることから、そのまま凝縮水タンク3を経て再利用するために上述した浄水器(図示せず)に供給すると、浄水器中のイオン交換樹脂のイオン交換能力を著しく低下させてしまう。そこで、アノードオフガスの凝縮水および燃焼排ガスの凝縮水は、脱炭酸塔8に滴下し、カソードオフガスによって脱炭酸させてから凝縮水タンク3に回収する
なお、脱炭酸塔8には上部からアノードオフガスの凝縮水が供給され、カソードオフガスは脱炭酸塔8の下側から上向きに供給されている。また、図示しないが、脱炭酸塔8には気体(カソードオフガス)と二酸化炭素を含んだ水との接触量を増やすため、リング状の金属片が充填されている。
このようにして凝縮水タンク3に供給された凝縮水には、上記脱炭酸によっても微量の二酸化炭素が残存しており、燃料電池システム運転中、上記凝縮水のpHは4.4〜5.0程度を示す。この凝縮水の大部分は、イオン交換樹脂を充填した浄水器(図示せず)で浄化した後再利用されるが、上述のように余剰水が凝縮水タンク3から溢れ出て排出される。そこで、本発明においては、この余剰水を中和部4で反応させてから、水滞留部6で一旦滞留させた後、外部に排出する。水滞留部6から外部に排出される余剰水は中和剤5によって中和され、pH6〜8程度に調整されており、一般的に定められている下水道法や上水道法に適合する程度の水質を有する。
つぎに本発明の原理について説明する。
本実施の形態の燃料電池システム内で発生する凝縮水は、イオン交換樹脂を充填した浄水器(図示せず)で浄化して回収、循環されるため、凝縮水タンク3内の凝縮水はイオン含有量が低く純水に近い。このため、緩衝作用が小さく、わずかな二酸化炭素やその他の酸性物質が溶け込んでも大きく酸性を示す傾向にある。
また、脱炭酸塔8は、カソードオフガスを通気して滴下される凝縮水中の二酸化炭素を追い出す機能を有するが、空気中にも300から400ppm程度の二酸化炭素が含まれるため、一般的な気体の分圧と液体への溶解度の関係を表すヘンリーの法則から計算される平衡となるまで凝縮水中の二酸化炭素を除去しても、凝縮水のpHは5.5〜5.6より高くすることはできない。なお、空気中の二酸化炭素濃度から予測される二酸化炭素の溶解度は、水1リットル当たり数mgである。また、脱炭酸塔8の能力はその容量に依存するため、平衡濃度まで二酸化炭素を除去できない場合、pHは低下する。また、加熱部7からの燃焼排ガスには窒素酸化物が微量に含まれ、pH低下の原因となる。
これに対し、本実施の形態では、凝縮水タンク3からの余剰水を中和部4および水滞留部6を通過させることにより、二酸化炭素濃度は1リットル当たり10mgの二酸化炭素を含む排水(pH4.4〜4.7)を系外に排出することができる。
中和部4には、上述のように、中和剤5として、ポルトランドセメントの固形物(ブロック)を粉砕して得られた片(大きさ5〜10mm)の集合物が充填されている。
中和剤5の要件としては、長期間にわたって、微量のカルシウムやマグネシウムを溶出することにある。溶出量としては、二酸化炭素が溶け込んだ純水に近い余剰水をpH6以上に中和できる程度であればよく、余剰水1リットル当たり数mg程度のカルシウムやマグネシウムが溶出する程度でよい。
中和剤5の材料や形状に応じて中和部4における中和剤5の充填量が異なるため、燃料電池システムの余剰水を滴下してpHが適正な値になる最適な溶出量を求める必要がある。
ポルトランドセメントはカルシウム化合物を主成分とする塩基性物質であり、水に浸しておくとpH10程度の塩基性を示すが、砂利(珪素化合物)のように酸と反応しにくいものと混合して、さらに固形状にし、水との接触面積を減少させると数日程度の長時間回収水に浸けておいてもpH8〜9より塩基性になりにくい。余剰水のpHを適正に調整して排出するには、余剰水の排出量に対して中和剤5の量を調節すればよい。
実施の形態2
つぎに、本発明の燃料電池システムの実施の形態2について説明する。実施の形態2の燃料電池システムは、図1に示した実施の形態1の燃料電池システムに水位センサ9、電磁弁10、及び制御部11を設けたものであり、これら以外の構成は実施の形態1の燃料電池システムと同様である。以下に、実施の形態2に係る燃料電池システムについて、水位センサ9、電磁弁10、および制御部11を中心に説明する。
本実施の形態に係る燃料電池システムにおいては、図3に示すように、凝縮水タンク3に、水位センサ9と、凝縮水タンク3から中和部4への水の供給量を調整する本発明の流量調整部である電磁弁10と、制御部11とを設置した以外は実施の形態1と同様の構成を有している。燃料電池システムは発電量を負荷に応じて変化させるため、発生する余剰水の量は変化する。このため、中和部4に供給される余剰水の量が増減し、pHの振れ幅が大きくなり易い。
これに対し、上記のように水位センサ9を設けて、この水位センサ9により所定の水位に達したことが検知されると、制御部11は、所定時間電磁弁10を開けることによって、中和部4を通過する余剰水の流速を一定にすることができる。そのため、オーバーフロー管から余剰水が随時中和剤に供給されるような場合は、燃料電池の発電量の変動に応じて中和剤を通過する余剰水量も変動し、中和剤を流れた後の水のpHの変動も大きくなるが、上述の水位センサ9を用いて、中和剤に間欠的に一定量の余剰水を供給するようにすることで、中和剤通過後の水のpHの振れ幅を小さくすることができる。本実施の形態では水位センサ9で凝縮水タンク3の水位が所定の水位になったことを検知して電磁弁10を1分間開け、余剰水を排出した。
なお、電磁弁10を開ける時間は凝縮水タンク3や中和部4のサイズに合わせて、設定すれば良く、排水のpHが目標値の5.8〜8.6の中心付近になるようにすればよい。これにより中和剤5の性能が長期間の使用で多少低下した場合でも、中和性能を維持することができる。
以下において、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
《実施例1》
本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムを作製して運転を行い、排水のpHを測定した。中和剤5は、ポルトランドセメント(SiO2:18〜22重量%、CaO:62〜66重量%、Al23:5〜8重量%、Fe23:2〜4重量%、その他(MgO、SO3等、塩素0.02重量%):3〜8重量%)と、砂利と、を1:2(重量比)で混合してブロック(構造体)を作成し、当該ブロックを金槌で砕いて5〜10mm角の片の集合物を得、当該集合物を水道水で充分に洗浄し、自然乾燥して得た。
なお、水滞留部6としては、水滞留部6内における水面よりも重力方向において高い位置に排出口を有することにより、水が滞留し得る構造を有するものを用いた。
また、本実施例においては、燃料電池部2の発電量に応じて、余剰水は1分間あたり1〜10g程度排出されたため、この範囲で余剰水を供給した場合にpHが6〜8に調整されるように中和剤5の量を設定した。具体的には、150gの中和剤5を中和部4に充填した。
このような本実施例においては、余剰水の量が、燃料電池システムの発電量に応じて1分間当たり数〜10g程度まで増減し、余剰水と中和部4との接触時間は変化するが、中和部4の下流側には水滞留部6があるため、余剰水の量が多少変化してもpHを平均化して排出することができた。運転開始24時間経過後以降の排水のpHは8.5であった。また、10日間使用した後の中和剤5の重量減少は微少で計測できなかった。
《実施例2》
中和剤5として、コージェライト(2MgO・2Al23・5SiO2)を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明の燃料電池システムを作製して運転し、実施例1と同様にして排水のpHおよび中和剤5の重量減少を測定した。
その結果、運転開始24時間経過後以降の排水のpHは6.5であり、10日間使用した後の中和剤5の重量減少は微少で計測できなかった。
《実施例3》
本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムを作製して運転を行い、排水のpHを測定した。即ち、水位センサ9および電磁弁10(CKD社製の電磁弁)を設けた以外は、実施例1と同様にして本発明の燃料電池システムを作製して運転し、実施例1と同様にして排水のpHおよび中和剤5の重量減少を測定した。ただし、運転時には、水位センサ9によって凝縮水タンク3内の水位が所定の水位になったことが検知されると、制御部11は、電磁弁10を1分間開け、中和剤を通過する余剰水量を一定にコントロールした。電磁弁10を開ける時間は、凝縮水タンク3や中和部4のサイズに合わせ、排水のpHが5.8〜8.6の範囲になるように調整した。
その結果、運転開始24時間経過後以降の排水のpHは5.8〜8.6に制御することができ、10日間使用した後の中和剤5の重量減少は微少で計測できなかった。
本発明によれば、燃料電池システムから余剰水を排出するに際し、簡便かつ長期間にわたって余剰水のpHを中性付近に調整することができる燃料電池システムを提供することができる。この燃料電池システムは、例えば家庭用コージェネレーションシステムに好適に用いることができる。
本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムにおいて用いることのできる燃料電池の一例の構成を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 水素生成装置
2 燃料電池部
3 凝縮水タンク
4 中和部
5 中和剤
6 水滞留部
7 加熱部
8 脱炭酸塔
9 水位センサ
10 電磁弁
11 制御部

Claims (3)

  1. 有機化合物を含む原料と水とを反応させ水素含有ガスを生成する改質部を備えた水素生成装置と、
    前記水素含有ガスを用いて発電する燃料電池部と、
    前記水素生成装置または前記燃料電池部から排出されるガス中の水分を溜める凝縮水タンクと、
    前記凝縮水タンクから排出される水に中和剤を接触させる中和部と、
    前記中和部の下流側に設けられた水滞留部と、を具備し、
    前記中和剤は、カルシウムまたはマグネシウムを含むセラミック化合物を含む構造体であることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記構造体は、ポルトランドセメントの固形物またはコージェライトを含む請求項2記載の燃料電池システム。
  3. 前記凝縮水タンクに設けられた水位センサと、
    前記凝縮水タンクから前記中和部への水の供給量を制御する流量調整部と、制御部とを備え、
    前記制御部は、前記水位センサにより前記凝縮水タンクの水位が所定の水位になったことを検知すると、前記流量調整部により前記凝縮水タンクから前記中和部に水を供給するよう制御する請求項1または2のいずれかに記載の燃料電池システム。



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