JP2007256674A - 光結合素子、光コネクタ、及び光伝送システム - Google Patents

光結合素子、光コネクタ、及び光伝送システム Download PDF

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Abstract

【課題】光結合効率に優れた光結合素子を提供する。
【解決手段】光結合素子19は、コア部45とクラッド部46とを備える。コア部45は、外径D1の円柱状に形成される。コア部45の両端面には、入射面48及び出射面49を備える。コア部45は、入射面48及び出射面49を結ぶ長さL1の光路を備える。コア部45には、GI型屈折率分布が形成される。クラッド部46は、コア部45の外周に配される。クラッド部46は、コア部45の外周面の屈折率と同一の屈折率を備える。この光結合素子19が、(式1)光路長L1=2π/A0.5、(式2)A=2(N1−N2)/(N1×R1)を満足する。入射面48から入射した光は、コア部45内で集光される。コア部45内で集光された光は、出射面49から出射する。この光結合素子19は、優れた光結合効率を発揮することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、発光素子や受光素子などの光素子と光ファイバとを光学的に結合する光結合素子、この光結合素子を備える光コネクタ、並びに、光コネクタを備える光伝送システムに関する。
近年のパソコンやインターネットの普及に伴い、情報伝送需要が急激に増大しており、情報伝送量の高い伝送システムが求められている。2002年6月には、IEEE(登録商標)802.3aeとして10ギガビット・イーサネット(登録商標)の標準化が完了し、情報伝送量の高い伝送システムを構成する情報伝送機器や情報伝送媒体の製品化が待ち望まれており、情報伝送機器ベンダーや情報伝送媒体メーカにおいて、情報伝送機器や情報伝送媒体の情報伝送量の向上化が検討されている。
このため、情報伝送媒体の需要が、従来のメタルケーブルから光ファイバケーブルへシフトしつつある。この光ファイバケーブルは、電気信号を流して通信するメタルケーブルと比べて信号の減衰が少なく、超長距離でのデータ通信が可能である。また、電気信号と比べて光信号の漏れは遮断しやすいため、光ファイバケーブルを大量に束ねても相互に干渉しないという特長もある。
この光ファイバケーブルには、石英系光ファイバケーブルやプラスチック光ファイバケーブルなどがある。特にプラスチック光ファイバケーブルは、石英系光ファイバケーブルと比較して、製造及び加工が容易であること、並びに、低価格であるなどの利点がある。
プラスチック光ファイバケーブルの特徴の1つは石英系光ファイバケーブルに比べて大口径であり、発光ダイオード(LED,Light Emitting Diode)、半導体レーザー(LD,Laser Diode)、あるいは、面発光型半導体レーザー(VCSEL,Vertival Cavity Surface Emitting Laser)等の発光素子との光結合が容易ということが利点である。近年、屈折率分布型プラスチック光ファイバの作製が可能となり、1GHz以上の広帯域光信号伝送リンクの伝送路として、前述のプラスチック光ファイバケーブルの使用が検討され始めている。この広帯域光信号伝送リンクにおいても、光源と大口径プラスチック光ファイバの光結合の優位性は、石英系光ファイバと比べて変わらないが、大口径プラスチック光ファイバから出射した光を受ける受光素子(例えば、フォトダイオード)との光結合においては、プラスチック光ファイバケーブルとフォトダイオードとの隙間に、光学レンズなどの集光作用を備える光結合素子を配置しなければ効率の良い光結合が出来ない。これは、大口径プラスチック光ファイバから出射した光が回折によって光結合素子の開口径以上に広がるためである。
同様の問題は、光信号伝送リンク内にあるプラスチック光ファイバケーブル間を接続する光コネクタにおいても存在する。プラスチック光ファイバケーブル用の光コネクタは、温度変化によるプラスチック光ファイバの伸長を考慮して、接続する光ファイバ間に約数百μmの空間があけられるよう設計されている。このため、片方のプラスチック光ファイバから出射した光が、他方のプラスチック光ファイバに入射する際に、回折によってビーム径が光ファイバ径(開口径)以上となり光結合損失(回折損失)が生じる。従って、プラスチック光ファイバ間の光コネクタにおいて効率の良い光結合を得るためには、コネクタ内にリレーレンズなどの光結合素子を配置させる必要がある。これは、ファイバ端面を物理的に接触させる石英光ファイバ間の接続にはない問題である。
以上のように、プラスチック光ファイバを用いた光信号伝送リンクにおいて、集光作用を備える光結合素子を用いることは、回折損失低減、すなわち伝送損失を低減させる一般的な方式である。また、このような集光作用を備える光結合素子は、光信号伝送リンクの伝送路として石英系ファイバを用いる場合よりも、出射ビーム径が大きいプラスチック光ファイバを光伝送路として用いる場合に重要となる。このため、プラスチック光ファイバから出射した光パワーを効率良く受光素子に結合させるための光結合素子の構成や設計等が非常に重要となる。
従来の技術において、具体的な光結合素子としては、光ファイバと受光素子間に、レンズを介在させたもの(例えば、特許文献1参照)、屈折率分布型レンズ(Graded Index lens,GRIN lens)を介在させたもの(例えば、特許文献2参照)などが用いられており、これらによって光ファイバからの出射光を集光することで、出射光をその他の受光素子に結び合わせて光結合の効率を改善させることが知られている。
特開2000−147294号公報 特開2001−264592号公報
しかしながら、光結合素子を用いて結合効率の向上を図るためには、光ファイバ、受光素子や発光素子などの各光学部材の最適な位置(例えばレンズの焦点距離など)に光結合素子を配置するアライメント作業が必要であった。従って、光結合が行われる部品点数増加に伴い、光伝送リンクシステムのコスト増加を招くことが問題になっていた。
本発明は、各光学部材との間において優れた光結合効率を発現可能な光結合素子を提供することを目的とする。また、この光結合素子を備え、アライメント作業が容易な光コネクタを提供することを目的とする。更に、この光コネクタを備え、伝送特性に優れた光伝送システムを提供することを目的とする。
本発明の光結合素子は、光が透過する第1透過部及び第2透過部を両端に備え、前記第1透過部と前記第2透過部との間で前記光を伝播する円柱状のコア部と、前記コア部の外周に配され、前記コア部の内部を伝播する前記光を閉じ込めるクラッド部とを備える光結合素子において、前記コア部が、GI型屈折率分布を備え、前記第1透過部から前記第2透過部までの光路長L1が、下記式1および式2を満たすことを特徴とする。
(式1) 光路長L1=2π/A0.5
(式2) A=2(N1−N2)/(N1×R1
(コア部の内部を伝播する光について、コア部の中心部における屈折率をN1、コア部の外周面における屈折率をN2とする。R1はコア部の半径である。)
前記コア部が、下記一般式(1)で表される第1化合物と、下記一般式(2)で表される第2化合物との共重合体を含み、中心から半径rだけ離れた前記コア部の屈折率をN(r)とするときに、前記コア部が、下記式(3)ないし(5)で表される前記GI型屈折率分布を備えることが好ましい。
式(3) N(r)=N1[1−2Δ(r/R1)1/2
式(4) Δ=(N1−N2)/(2N1
式(5) 2≦g≦2.3
(コア部の内部を伝播する光について、コア部の中心部における屈折率をN1、コア部の外周面における屈折率をN2とする。R1はコア部の半径である。)
一般式(1)
Figure 2007256674
(一般式(1)中、R、Rはそれぞれ独立にHまたはDのいずれかを表し、RはH、D、CH、CDまたはハロゲン原子のいずれかを表し、Rは少なくとも一部がフッ素原子で置換された炭素原子数2〜8のアルキル基を表す。)
一般式(2)
Figure 2007256674
(一般式(2)中、R、Rはそれぞれ独立にHまたはDのいずれかを表し、RはH、D、CH、CDまたはハロゲン原子のいずれかを表し、X〜XはH、D、ハロゲン原子またはCFのいずれかを表し、X〜Xの少なくとも一つはハロゲン原子またはCFを表す。)
前記コア部の外径D1が50μm以上250μm以下であることが好ましい。
前記コア部と前記クラッド部の界面に配され、前記コア部の外周面と同一の屈折率を有する円筒状のインナークラッド部を備え、前記コア部の外径をD2とし、前記インナークラッド部の外径をD3とするときに、D2/D3が、0.67以上0.87以下であることが好ましい。
前記クラッド部の外周に配される保護層を備えることが好ましい。
本発明の光コネクタは、請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の光結合素子と、前記第1透過部及び第2透過部を露出するように、前記光結合素子を保持するコネクタ本体と、前記コネクタ本体に形成され、前記光を透過する第3透過部を備える第1光学部材と嵌合し、前記第1透過部の光軸と前記第3透過部の光軸とを合わせる第1嵌合部と、前記コネクタ本体に形成され、前記光を透過する第4透過部を備える第2光学部材と嵌合し、前記第2透過部の光軸と前記第4透過部の光軸とを合わせる第2嵌合部と、を備えることを特徴とする。
前記光結合素子と、前記1透過部と前記3透過部との間隔を300μm以下にする前記第1嵌合部と、前記2透過部と前記4透過部との間隔を300μm以下にする前記第2嵌合部と、を備えることが好ましい。
前記第1光学部材が前記光を伝播しうる第1光ファイバであり、前記第2光学部材が、前記光の入射を検出する受光部と前記光を発光する発光部と前記光を伝播しうる第2光ファイバとのうちいずれか1つであることが好ましい。
本発明の光伝送システムは、前記光コネクタと、前記第1嵌合部に嵌合される前記第1光ファイバと、前記第2嵌合部に嵌合され、前記受光部と前記発光部とのうち少なくともいずれか一方を有するトランシーバとを備え、前記第1光ファイバに形成され、前記第3透過部を通過する前記光を伝播する芯部が、前記コア部と同質の材料で形成され、前記コア部と同一の外径に形成され、前記コア部と同一の屈折率分布を備えることを特徴とする。
本発明の光結合素子によれば、前記コア部が、GI型屈折率分布を備え、前記第1透過部から前記第2透過部までの光路長L1が、下記式(1)および式(2)を満たすため、前記第1透過部に入射した光を前記コア部の内部で集光し、集光した光を前記第2透過部から出射する。すなわち、この光結合素子は高い集光特性を発現し、各光学部材との間の光結合を極めて高い効率で行うことが可能になる。
また、前記コア部が、一般式(1)で表される第1化合物と、下記一般式(2)で表される第2化合物との共重合体を含み、中心から半径rだけ離れた前記コア部の屈折率をN(r)とするときに、前記コア部が、式(3)ないし(5)で表される屈折率分布を備えるため、伝送特性を維持しつつ、優れた光結合効率を発現することが可能になる。
また、本発明の光コネクタによれば、トランシーバの発光部又は受光部と、プラスチック光ファイバとの間の光軸合わせや焦点調整などを容易にする。すなわち、この光コネクタを用いることにより、光学調整作業時間を短縮することが可能になり、コストダウンを図ることができる。また、この光コネクタは、極めて高い効率で各光学部材と間で光結合を行うことが可能になる。
また、本発明の光伝送システムによれば、広帯域伝送下においても、伝送特性に優れた情報伝送を行うことができる。
本発明の第1の実施形態について図を引用しながら説明する。ただし、本発明は本実施形態に限定されるものではない。図1に、本発明における光結合素子製造工程10を示す。
光結合素子製造工程10は、第1部材11を形成する第1部材形成工程12と、第2部材13を形成する第2部材形成工程14と、第1部材11と第2部材13を備える光結合素子前駆体15を形成する組合せ工程16と、光結合素子前駆体15から光結合素子母材17を形成する加熱延伸工程18と、光結合素子母材17から所定の長さの光結合素子19を切り出す分断工程20とを備える。
第1部材形成工程12では、パイプ25の中空部に重合性組成物及び所定の添加剤を注入し、パイプ25の軸を中心に回転させながら重合させる回転重合法を行う。この回転重合法を繰り返し行うことにより、パイプ25の中空部の内周面から中心に向かって、第1〜第n層が順次形成される。第1部材11を形成する重合性組成物は、後述する第1及び第2化合物を含む。この重合性組成物の共重合体は、光透過性が高く、吸湿時における低伝送損失の維持が可能である。更に、屈折率の波長依存性が小さいため、これら第1及び第2化合物の共重合体を含む芯部の材料分散は小さくなる。第1部材形成工程12及び重合性組成物の詳細は、後述する。
第2部材形成工程14では、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド三元系コポリマーであるTHV樹脂製の第2部材13が形成される。なお、第2部材13、市販の溶融押出成形により所望の重合性組成物を用いて、それぞれ円筒状の重合体を形成させればよく、その製造方法は特に限定はされない。なお、第2部材13を形成する材料の詳細については後述する。
組合せ工程16では、第1部材11を第2部材13の中空部に挿入して、光結合素子前駆体15が形成される。第1部材11は、光透過性に優れ、外周から中心に向かって屈折率が徐々に増加するGI(Grated Index)型屈折率分布を備える。また、第2部材13は、第1部材11の最外周面と略同一の屈折率を備える。すなわち、光結合素子前駆体15は、第1部材11を導波路とする光伝送媒体としての性質を備える。
続いて、加熱延伸工程18では、光結合素子前駆体15を加熱溶融しながら延伸させることにより所望の径の光結合素子母材17が形成される。最後に、分断工程20では、光軸に略垂直な面で光結合素子母材17を切断することにより、所定の長さの光結合素子19が形成される。
次に、第1部材形成工程12の詳細について説明する。図2は、第1部材形成工程12の流れを示す工程図である。前述したように、本発明では、パイプ25を用いて第1層〜第n層形成工程31〜34を順次行うことにより、パイプ25の内部にn層構造を備える第1部材11を形成することができる。
第1層形成工程31では、パイプ25の中空部に第1の重合性組成物を注入し(第1注入工程31a)、第1の重合性組成物を重合する(第1重合工程31b)。この第1重合工程31bにより、パイプ25の内周面上に円筒状の第1層36が形成される。第2層形成工程32では、第1層36の中空部に第2の重合性組成物を注入し(第2注入工程32a)、第2の重合性組成物を重合する(第2重合工程32b)。この第2重合工程32bにより、第1層36の内周面上に円筒状の第2層37が形成される。本発明では、第1層形成工程31や第2層形成工程32のような層形成工程を所望の層数nが得られるまで繰り返し連続して行う。円筒状の第(n−1)層38を形成させる際には、第(n−1)層形成工程33として、第(n−1)の重合性組成物を注入する第(n−1)注入工程33aを行った後、この第(n−1)の重合性組成物を重合する第(n−1)重合工程33bを行う。最後に、第n層形成工程34として、第(n−1)層38の中空部に、第nの重合性組成物を注入し(第n注入工程34a)、これを重合させて第n層39を形成させる(第n重合工程34b)。なお、第1〜第n重合工程31b〜34bでは、軸を中心に回転させることにより第1〜第nの重合性組成物を重合させる回転重合法を用いる。以上の第1層〜第n層形成工程31〜34により、パイプ25の内側に、n層の同心円状の積層構造を有する第1部材11を形成させることができる(図3参照)。
なお、本実施形態では、パイプ25の内側に同心円状のn層構造を形成させた後、パイプ25を取り除いたn層構造を第1部材11として用いる。ただし、パイプ25は取り除かなくとも、パイプ25の内側にn層構造が形成された部材を第1部材11とし、これを第2部材13の中に挿入してもよい。また、第1部材形成工程12においては、パイプ25への各重合性組成物の注入量を、内側の層に向かうにしたがい次第に減らしながら各層を形成させて、各層の厚みが略同等であるように調整する。
第1〜第nの重合性組成物は、第1化合物及び第2化合物を含む。本実施形態において、第1化合物は、重合体の屈折率が1.41である重水素置換した2,2,2トリフルオロエチルメタクリレート(3FMd7)であり、第2化合物は、重合体の屈折率が1.49である重水素置換したペンタフルオロフェニルメタクリレート(PFPMAd5)である。3FMd7とPFPMAd5を所望の混合比で調製することにより、第1〜第nの重合性組成物を得ることができる。こうして得られる第1〜第nの重合性組成物の重合体は、第1〜第nの重合性組成物の調製段階における混合比に応じた屈折率を有する。このようにして調製される第1〜第nの重合性組成物及び所定の添加剤を用いることにより、第1部材11に所望の屈折率分布を形成することができる。なお、第1〜第nの重合性組成物、第1化合物及び第2化合物の詳細については後述する。
次に、本発明により得られる光結合素子前駆体15について説明する。図3は、本発明により製造された光結合素子前駆体15の断面図である。光結合素子前駆体15は、円筒状の第2部材13を配し、さらに第2部材13の中空部に第1〜第n層36〜39からなるn層構造の第1部材11を配する。なお、図3では、径の中央に空洞部42が形成されている形態を示しているが、この空洞部42の有無、ならびに断面円形の径と光結合素子前駆体15の外径との比率とは、図3に示す様態に限定されるものではなく製造条件に応じて変動する。例えば、製造条件によっては空洞部42が消失している場合があるが、特性上影響はないため、本発明は特に限定されない。また、図3では、説明の便宜上、第1部材11を構成する第1〜第n層36〜39の各層間の境界を示しているが、製造条件などにより境界の明確さは異なり、必ずしも確認できるものでなくてもよい。例えば、第1層36と第2層37とを形成する重合性組成物同士が接触することにより、互いにしみ込むなどして界面が認められない場合がある。なお、光の伝播を考慮すると光学的には境界は存在しないことが好ましい。
また、第1部材11及び第2部材13における外径および内径は、所定の条件を満たすように調整されており、隙間43が形成されることが好ましい。これにより、各部材の組合せ作業を容易に行うことができるとともに、各部材を傷つけることなく組合せることができるため、このような光結合素子前駆体15から得られる光結合素子母材17は、光の発散などが防止されて低伝送損失であるなど優れた光学特性を発現する。
次に、光結合素子19について図4及び図5を用いて説明する。光結合素子19は、略円柱状のコア部45、コア部45の外周面に配されるクラッド部46とから構成される。略円柱状の光結合素子19の上面には、入射面48が露出するように形成され、底面には、出射面49が露出するように形成される。このコア部45は、入射面48と出射面49とを結び、式(1)及び式(2)を満たす光路長L1の光路を備えるため、この入射面48から入射した光は、集光されながらコア部45の内部を伝播する。コア部45の内部で集光された光は、出射面49から出射する。
図5(a)に、光結合素子19の断面図を示す。光結合素子19は、光結合素子前駆体15に加熱延伸工程18及び分断工程20を行うことにより得られる。光結合素子19は、光路長さL1を備える。光結合素子19の横断面形状は、光結合素子前駆体15の横断面形状と略相似形の関係を有する。コア部45は、第1〜第n層51〜54のn層構造を有し、クラッド部46は、コア部45の外周に配される。
図5(b)に、光結合素子19の屈折率分布を示す。縦軸は屈折率であり、上方に向かうにつれて屈折率が高くなることを表す。また、横軸は、光結合素子19の半径方向を示す。なお、横軸の(A)で表される領域は、図5(a)のクラッド部46を表し、横軸の(B)は、コア部45を表す。
図5(a)に示すように、コア部45は、同心円状のn層積層構造を有する。円筒状に形成される第1層51は、コア部45の最外周に位置し、その第1層51の内周に円筒状の第2層52が配される。こうしてコア部45の中心に近づくにつれて次々と別の層が形成され、コア部45の中心部には、円柱状の第n層54が配される。更に、この第1〜第n層51〜54の屈折率は、コア部45の外周から中心に行くに従って、徐々に高くなっている。すなわち、コア部45は、前述した式(3)及び(5)を満足するGI型の屈折率分布を備える(図5b)。
コア部45がGI型屈折率分布と、且つ、前述した式(1)及び式(2)を満たす光路長L1とを備えるため、レンズのような曲面を持たない光結合素子19が優れた集光効果を発揮し、光結合素子19と光結合素子19に接続する光学部材との間において極めて高い効率で光結合を行うことができる。加えて、コア部45は、前述した一般式(1)で示される第1化合物である3FMd7と、前述した一般式(2)で示される第2化合物であるPFPMAd5との共重合体からなり、式(3)ないし式(5)を満たす屈折率分布を備えるため、伝送特性を維持しつつ、高効率の光結合を可能にする。なお、屈折率分布係数gは、2.05以上2.25以下であることがより好ましい。特に、屈折率分布係数gが2.1以上2.2以下である場合、本発明の効果が最もよく発現する。なお、コア部45を形成する材料については後述する。
また、光結合素子19を収納するトランシーバの小型化を考慮すると、この光路長L1を極力短くすることが好ましい。しかしながら、光結合素子19の取り扱い性を考慮すると光路長L1が1mm以上であることが好ましい。すなわち、この光路長L1は、1mm以上10mm以下であることが好ましい。このような光路長L1を得るためには、変数Aが、式1より0.395以上、39.4以下が好ましい。
また、前記コア部の外径が小さすぎると、伝送機器の受光面とプラスチック光ファイバとの接続時において、伝送特性の低下を誘発する軸ずれが生じやすくなる。一方、前記コア部の外径が大きすぎると、プラスチック光ファイバに接続する伝送機器の受光面における光結合効率が低下する。すなわち、コア部45の外径D1が50μm以上250μm以下であることが好ましい。また、外径D1が60μm以上220μm以下であることがより好ましく、更に、外径D1が120μm以上220μm以下であることが最も好ましい。
なお、上記実施形態、クラッド部46の周囲に、保護層を形成しても良い。この保護層を形成する材料としては、強靭性に優れたものを用いることが好ましい。この具体的な材料としては、メタクリル樹脂(PMMA)が挙げられる。メタクリル樹脂から形成させた保護層を用いると、光結合素子に優れた強靭性を付与することができるため、生産性や取り扱い性を向上させることができるとともに、曲げや側圧などの変形などによる伝送損失の低下を防止することができる。また、PMMAの特性でもある優れた透明性を発現させることができるなどの効果も得ることができる。
なお、上記光結合素子製造工程10を用いて、コア部とクラッド部との間にインナークラッド部59を備える光結合素子60を形成することも可能である。次に、この光結合素子60の製造方法の概要について説明する。光結合素子60は、前述した光結合素子製造工程10(図1)の第1部材形成工程12(図2)において、第1層形成工程41の前に、インナークラッド部材形成工程を設けることにより、コア部材11と、コア部材11の外周に配されるインナークラッド部材とを備える第1部材を形成することができる。
インナークラッド部材形成工程では、前述した第1層形成工程31と同様に、インナークラッド部材形成用の重合性組成物をパイプ25の中空部に注入し、回転重合を行い、円筒状のインナークラッド部材を形成すればよい。インナークラッド部材形成用の重合性組成物としては、その共重合体が第1層53と同じ屈折率を発現するものを用いることができ、例えば、第1層形成工程31で用いる第1の重合性組成物等が挙げられる。
第2部材形成工程では、インナークラッド部材を嵌合可能な中空部を有する円筒状の第2部材を形成すればよい。このようにして得られたインナークラッド部材を含む第1部材と、第2部材とを用いて光結合素子前駆体が形成される。そして、この光結合素子前駆体は、加熱延伸工程18、分断工程20を経て光結合素子60となる。
光結合素子60は、図6のように、略円柱状のコア部61と、コア部61の外周に配されるインナークラッド部59と、インナークラッド部59の外周に配されるクラッド部62とから構成される。コア部61は、入射面63と、出射面64と、入射面63と出射面64とを結び、前述した式(1)及び式(2)を満たす長さL1の光路を備える。入射面63は、略円柱状の光結合素子60の上面に露出するように形成され、出射面64は、底面に露出するように形成される。この入射面63から入射した光は、コア部61の内部を伝播し、出射面64から出射される。
図7(a)に、光結合素子60の断面図を示す。コア部61は、n層構造を有する。このコア部61の外周には、インナークラッド部59が形成され、更に、インナークラッド部59の外周にはクラッド部62が形成される。また、コア部61は外径D2の円柱状に形成され、インナークラッド部59は外径D3の円筒状に形成される。コア部61の外径D2は、50μm以上250μm以下に形成される。また、コア部61の外径D2及びインナークラッド部59の外径D3は、D2/D3が0.67以上0.87以下の条件を満足する。なお、D2/D3の値は0.69以上0.87以下であることがより好ましい。このD2/D3の径比が0.87を超えると、光結合素子60から出力する光の径が大きくなり、高効率で光結合を行うことが困難になるため、好ましくない。一方、このD2/D3の径比が0.67未満であると、光ファイバとの結合において、軸ずれによる損失が大きくなるため、好ましくない。
図7(b)に、光結合素子60の屈折率分布を示す。縦軸は屈折率であり、上方に向かうにつれて屈折率が高くなることを表す。また、横軸は、光結合素子60の半径方向を示す。なお、横軸の(A)で表される領域は、図7(a)のクラッド部62に等しく、横軸の(B)及び(C)で表される領域は、インナークラッド部59及びコア部61に等しい。
図7(a)に示すように、コア部61は、同心円状のn層積層構造を有する。円筒状に形成される第1層51は、コア部61の最外周に位置し、その第1層51の内周に円筒状の第2層52が配される。こうして、コア部61の中心に近づくにつれて次々と別の層が形成され、コア部45の中心部には、略円柱状に形成される第n層54が配される。更に、この第1〜第n層51〜54の屈折率は、コア部45の外周から中心に行くに従って、徐々に高くなっている。すなわち、コア部61は、GI型の屈折率分布を備える(図7(b))。コア部61に形成される屈折率分布N(r)は、前述した式(3)ないし(5)を満足する。コア部61の外周に形成されるインナークラッド部59は、第1層51と略同一の屈折率を有する。また、クラッド部62は、インナークラッド部59よりも低い屈折率に形成される。なお、インナークラッド部59は、高次モードが伝播可能なように屈折率分布を形成させても良い。そして、コア部61は、コア部45と同様に、3FMd7とPFPMAd5と共重合体からなる。
コア部61がGI型屈折率分布と、且つ、前述した式(1)及び式(2)を満たす光路長L1とを備えるため、光結合素子60は優れた集光効果を発揮し、光学部材との間において極めて高い効率で光結合を行うことができる。また、光結合素子60は、広帯域の伝送下においても、伝送特性を維持しつつ、高効率の光結合を可能にする。
光結合素子60が、前述した式(3)ないし(5)を満たすコア部61及びインナークラッド部59を備える光結合素子60から出射された光は、出射面64から一定の間隔(0μmより大きく300μm以下)において、回折が抑制されながら直進するため、出射面64からの出射光の拡がりを抑えることができる。すなわち、光結合素子60は、出射面64に対向する光学素子や光学伝送媒体と高効率で光結合することができる。なお、出射面64と、出射面64に対向する光学部材とが密着する場合も、上記と同等の効果を発現する。
更に、導光性を有するインナークラッド部59に入射した光のうち、コア部61に結合した光は、通信用の信号光として用いることができる。このため、インナークラッド部59を備える光結合素子60の実質上の受光面が、入射面63よりも広くなる。そして、光結合素子60の光路長L1が2m以下である場合、コア部61内を伝播する光の波長に関わらずに、インナークラッド部59がステップインデックス型光ファイバと同様に導光路として機能することができる。このようなインナークラッド部59をコア部61と同質の形成材料から形成することにより、インナークラッド部59の導光路としての機能が更に向上する。
図8に、光伝送システム70を示す。光伝送システム70は、2つのトランシーバ71及び72と、これらトランシーバ71及び72との間を接続するプラスチック光ファイバケーブル73と後述する2つの光コネクタとから構成される。プラスチック光ファイバケーブル73は、プラスチック光ファイバコード74と、プラスチック光ファイバコード74の両端を支持するコネクタ75、76とを備える。また、コネクタ75は、光コネクタ77を介して、トランシーバ71と接続し、コネクタ76は、光コネクタ78を介して、トランシーバ72と接続する。光伝送システム70において、トランシーバ71、72が、プラスチック光ファイバコード74及び光コネクタ77、78を介して、所定の光信号を送受信することにより、トランシーバ71、72の間でデータ通信が行われる。
プラスチック光ファイバコード74は、2本のプラスチック光ファイバ素線(以下、POFと称する)80,81を備える。図9のように、POF80は、光を伝播する芯部82と、芯部82の外周に配される外殻部83とを有する。芯部82は、外径D1の円柱状に形成される。芯部82の片端面には、光が入射する入射面82aが形成され(図10)、芯部82の他端面には、芯部82内部を伝播した光が出射する出射面(図示しない)が形成される。また、芯部82は、第1〜第n層82c〜82fからなる同心円状のn層積層構造を有する。第1〜第n層82c〜82fの屈折率は、第1〜第n層に向かうにつれて、徐々に高くなっている。こうして、芯部82には、前述した式(3)〜(5)を満足するGI型の屈折率分布が形成される。更に、芯部82は、前述した3FMd7とPFPMAd5とを主成分とする共重合体から形成される。一方、POF81は、図10に示すように、光を伝播する芯部84と、芯部84の外周に配される外殻部85とを有する。この芯部84及び外殻部85は、芯部82及び外殻部83と同一の構造を備える。芯部84の片端面には、光が入射する入射面(図示しない)が形成され、芯部84の他端面には、また、芯部84内部を伝播した光が出射する出射面84bが形成される。
図10のように、このコネクタ75は、POF80、81を所定の支持ピッチで支持する。また、コネクタ75は、光コネクタ77と嵌合するための嵌合面75aを備える。このコネクタ75により、入射面82a及びPOF81の出射面84bは、嵌合面75aに露出し、且つ、嵌合面75aと面一になるように支持される。
次に、トランシーバ71について説明する。トランシーバ71は、略直方体に形成されるケース90と、ケース90の1つの面91に形成される発光部92及び受光部93を備える。トランシーバ71に内蔵される発光素子(光源)から出射された光は、発光部92を介して、出射光としてトランシーバ71の外部へ出射される。発光素子は、発光部92の略中央部が光軸となるように、ケース90内に配される。更に、発光素子は、1GHz〜20GHzの変調が可能な変調部に接続されている。受光部93を介して入射する光は、受光素子によって検出される。受光素子は、受光部93の略中央部が光軸となるように、ケース90内に配される。受光素子は、1GHz〜20GHzの復調が可能な復調部に接続されている。これら発光部92及び受光部93は、面91における発光部92の光軸と受光部93の光軸とが所定の形成ピッチになるように配される。この発光素子としては、光源波長が780nmや850nmのエッジエミッター型のレーザーダイオードに限らず、高速応答が可能な公知のものを用いても良い。また、高速応答性やビーム広がり角などの観点から、面発光型半導体レーザー(VCSEL)を発光素子として用いることが好ましい。また、受光素子としては、フォトダイオードなどが好ましい。なお、トランシーバ72も、トランシーバ71と同一の構造を備える。
次に、光コネクタ77を例に挙げて、光コネクタ77及び光コネクタ77と同様の構造を有する光コネクタ78の詳細について説明する。光コネクタ77は、ケース96と、長さL1の光路を備える2本の光結合素子97、98とから構成される。これら光結合素子97,98は、前述した光結合素子形成工程10によって形成される。
光結合素子97は、図11に示すように、外径D1に形成される略円柱状のコア部100、コア部100の外周面に配されるクラッド部101とから構成される。コア部100の両端面には、入射面100aと出射面100bが形成される(図10)。そして、コア部100には、入射面100aと出射面100bを結ぶ、式(1)及び式(2)を満たす長さL1の光路が形成される。この入射面100aから入射した光は、コア部100の内部を伝播して、出射面100bから出射される。また、コア部100は、第1〜第n層100c〜100fからなる同心円状のn層積層構造を有する(図11)。第1〜第n層100c〜100fの屈折率は、第1〜第n層に向かうにつれて、徐々に高くなっている。こうして、コア部100には、POF80の芯部82と同一のGI型の屈折率分布が形成されている。更に、コア部100は、前述した3FMd7とPFPMAd5とを主成分とする共重合体から形成される。
一方、光結合素子98は、図10に示すように、略円柱状のコア部104、コア部104の外周に配されるクラッド部105とから構成される。コア部104の両端面には、入射面104aと出射面104bが形成される。そして、コア部104には、入射面104aと出射面104bを結び、式(1)及び式(2)を満たす長さL1の光路が形成される。この入射面104aから入射した光は、コア部104の内部を伝播して、出射面104bから出射される。コア部104は、芯部84と同質の材料から形成され、芯部84と同一の外径D1に形成される。そして、コア部104には、芯部84と同一の屈折率分布が形成される。
ケース96は、略直方体に形成される。ケース96の1つの面110には、嵌合孔110aが形成される。この嵌合孔110aの形成により、トランシーバ嵌合面110bが、面110から陥没する位置に形成される。また、嵌合孔110a及びトランシーバ嵌合面110bは、トランシーバ71及び面91と嵌合可能な寸法に形成される。一方、ケース96における面110に対向する面111には、嵌合孔111aが形成される。この嵌合孔111aの形成により、コネクタ嵌合面111bが、面111から陥没する位置に形成される。また、嵌合孔111a及びコネクタ嵌合面111bは、コネクタ75及び嵌合面75aと嵌合可能な寸法に形成される。
嵌合孔110c、110dは、トランシーバ嵌合面110bには、発光部92の光軸と受光部93の光軸との形成ピッチと略同一の形成ピッチで形成される。また、嵌合孔110c、110dは、光結合素子97のコア部100の横断面形状と略同一の寸法に形成される。
嵌合孔111c、111dは、コネクタ嵌合面111bには、コネクタ75によるPOF80、81の支持ピッチと同一の形成ピッチで形成される。嵌合孔111c、111dは、光結合素子97、98と嵌合可能な寸法に形成される。
嵌合孔111c、111dは、それぞれ嵌合孔110c、110dを貫通するように形成される。嵌合孔111cと嵌合孔110cの形成により、ケース96には中空部113が形成され、嵌合孔111dと嵌合孔110dとの形成により中空部114が形成される。嵌合孔110c側の中空部113の内周面には、光結合素子嵌合部113aが形成される。これら中空部113、114は、光結合素子97、98を収納できるような寸法に形成される。光結合素子嵌合部113aの内周部には、嵌合孔110cと嵌合孔111cとを貫通する貫通孔113bが形成される。貫通孔113bは、光結合素子97のコア部100の横断面形状と略同一の寸法に形成される。同様にして、嵌合孔110d側の中空部114の内周面には、光結合素子嵌合部114aが形成される。光結合素子嵌合部114aの内周部には、嵌合孔110dと嵌合孔111dとを貫通する貫通孔114bが形成される。貫通孔114bは、光結合素子98のコア部104の横断面形状と略同一の寸法に形成される。
また、光結合素子嵌合部113aは、光結合素子嵌合部113aの嵌合面110b側の面とトランシーバ71の発光部92との間隔がW1、且つ、嵌合面111bと光結合素子嵌合部113aの嵌合面111b側の面との間隔が(L1+W2)になるように形成される。同様にして、光結合素子嵌合部114aは、光結合素子嵌合部114aの嵌合面110b側の面とトランシーバ71の受光部93との間隔がW1、且つ、嵌合面111bと光結合素子嵌合部114aの嵌合面111b側の面との間隔が(L1+W2)になるように形成される。
光伝送システム70を構築するために、光コネクタ77、78を用いて、トランシーバ71、72とプラスチック光ファイバケーブル73とを接続する(図10)。まず、トランシーバ71の面91とトランシーバ嵌合面110bとが当接するように、トランシーバ71をケース96の嵌合孔110aに嵌め合わせる。次に、光結合素子97の入射面100a側の端面をケース96の嵌合孔111cに嵌め合わせ、光結合素子97を中空部113に挿入する。こうして、光結合素子97の入射面100a側の端面が光結合素子嵌合部113aと当接する。同様にして、もう1本の光結合素子98の出射面104b側の端面をケース96の嵌合孔111dに嵌め合わせ、光結合素子98を中空部113に挿入する。こうして、光結合素子98の出射面104b側の端面が光結合素子嵌合部113aと当接する。そして、コネクタ75の嵌合面75aをケース96のコネクタ嵌合面111bに嵌め合わせ、嵌合面75aがコネクタ嵌合面111bに当接する。こうして、光コネクタ77によって、トランシーバ71と、プラスチック光ファイバケーブル73とが接続される。同様の手順により、光コネクタ78によって、トランシーバ72と、プラスチック光ファイバケーブル73とが接続される。
次に、光伝送システム70の作用について説明する。図12のように、トランシーバ71は、発光素子を用いて、発光部92から所定の光信号を出射する。発光部92から出射された光は、貫通孔113bを経由して、光結合素子97の入射面100aへ入射する。入射面100aから入射した光は、コア部100とクラッド部101との界面での全反射を繰り返しながら、コア部100内を伝播する。コア部100内を伝播した光は、出射面100bから出射する。出射面100bから出射した光は、出射面100bに対向するPOF80の入射面82aに入射し、芯部82内部を伝播する。
同様にして、トランシーバ72の発光部が所定の光信号を出射すると、芯部84の出射面84bから、光が出射される。出射面84bから出射された光は、光結合素子98の入射面104aに入射する。入射面104aに入射した光は、コア部104とクラッド部105との界面での全反射を繰り返しながら、コア部104内を伝播する。コア部104内を伝播した光は、出射面104bから出射する。出射面104bから出射した光は、貫通孔114bを経由して、トランシーバ71の受光部93に入射する。
嵌合孔110a及び嵌合面110bがトランシーバ71及び面91と嵌合可能な寸法に形成される。更に、嵌合孔110c、110dが、トランシーバ71の発光部92の光軸と受光部93の光軸との形成ピッチと同一の形成ピッチで形成されるため、光コネクタ77は、トランシーバ71の発光部92及び光結合素子97の入射面100aの光軸合わせ、並びに、トランシーバ71の受光部93及び光結合素子98の出射面104bの光軸合わせをそれぞれ容易にする。同様にして、嵌合孔111a及び嵌合面111bがコネクタ75及び嵌合面75aと嵌合可能な寸法に形成され、且つ、嵌合孔111c、111dは、POF80,81間の支持ピッチと同一のピッチで形成されるため、光コネクタ77は、POF80の入射面82a及び光結合素子97の出射面100bの光軸合わせ、並びに、POF81の出射面84b及び光結合素子98の入射面104aの光軸合わせをそれぞれ容易にする。これら光結合素子97、98とPOF80、81や、光結合素子97、98と発光面93及び受光部93における光軸ずれ量は、40μm以下にすることが好ましい。
光結合素子嵌合部113aにより、光結合素子97の出射面100b及び芯部82の入射面82aの間、並びに、光結合素子98の入射面104a及び芯部84の出射面84bの間における焦点調整は容易になる。同様にして、光結合素子嵌合部114aの形成により、光結合素子97の入射面100a及び発光部92の間、並びに、光結合素子98の出射面104b及び受光部93の間における焦点調整は容易になる。
光結合素子97のコア部100が、式(1)及び式(2)を満たす光路長L1を備えるため、発光部92から入射面100aに入射した光が、光結合素子97のコア部100内で集光される。そして、集光された光が出射面100から出射する。更に、コア部100が、POF80の芯部82と同質の材料から形成され、芯部82と同一の外径D1及び屈折率分布を備えるため、光結合素子97が、POF80と、トランシーバ71の発光部92との間において、優れた光結合効率を発揮することができる。
また、光結合素子97のコア部100と、POF80の芯部82が、式(3)〜式(5)を満たす屈折率分布を備え、3FMd7とPFPMAd5との共重合体から形成されるため、光伝送下において、優れた伝送特性、特に、極めて低い伝送損失を発揮することができる。
したがって、このような光コネクタ77、78を用いて、トランシーバと広帯域の光伝送が可能な光伝送媒体とを、高い結合効率で光結合させることもできる。すなわち、このような光コネクタ77、78を備える光伝送システム70は、トランシーバ71、72の間で、10GHzといった広帯域伝送下においても、優れた伝送特性を発現する。
本実施形態では、出射面100bと入射面82aとが密着しない、つまり、光結合素子97のコア部100と芯部82との間に空気が存在する。光結合素子と芯部との間において、材料、屈折率分布或いは、形状が異なる場合は、空気とコア部の界面における屈折と、空気と芯部との界面における屈折とで整合性がとれない。したがって、屈折の不整合に起因する伝送損失により、光結合効率は低下する。一方、コア部104が、POF81の芯部84と同質の材料から形成され、芯部84と同一の外径及び屈折率分布を備える場合には、この空気とコア部100との界面での屈折と、この空気と芯部82との界面における屈折とで整合性が取れるため、光結合素子97と芯部82との間において、極めて高い効率で光結合することができる。
なお、入射面82aと出射面100bとの間の光結合において、芯部82の外径は、光結合素子97の外径よりも大きくても良い。また、温度変化に起因する光結合素子及びPOFの体積の変化が光伝送システム120に影響でない範囲において、光結合素子の出射面と芯部の入射面とを、光結合素子の入射面と芯部の出射面とを密着させてもよい。
上記実施形態では、光コネクタ77,78を用いて、プラスチック光ファイバケーブル73とトランシーバ71、72を接続する形態について記載したが、2本のプラスチック光ファイバケーブルを接続する場合には、上記の嵌合孔110aや嵌合孔110bの変わりに、嵌合孔111aやコネクタ嵌合面111bのような嵌合孔やコネクタ嵌合面を備える光コネクタを用いることにより、上記内容と同等の効果を発揮することができる。
図13に、光伝送システムの第2実施形態である光伝送システム120を示す。光伝送システム120は、2つのトランシーバ71及び72と、これらトランシーバ71及び72との間を接続するプラスチック光ファイバケーブル123とから構成される。プラスチック光ファイバケーブル123は、プラスチック光ファイバコード124と、プラスチック光ファイバコード124の両端を支持するコネクタ125、126とを備える。また、コネクタ125は、光コネクタ127を介して、トランシーバ71と接続し、コネクタ126は、光コネクタ128を介して、トランシーバ72と接続する。光伝送システム120において、トランシーバ71、72が、プラスチック光ファイバコード124及び光コネクタ127、128を介して、所定の光信号を送受信することにより、トランシーバ71、72との間でデータ通信が行われる。
プラスチック光ファイバコード124は、2本のPOF130,131を備える。POF130は、図14のように、光を伝播する芯部132と、芯部132の外周に配されるインナークラッド部133と、インナークラッド部133の外周に配される外殻部134とを有する。芯部132は、外径D2の円柱状に形成される。芯部132の片端面には、光が入射する入射面132aが形成され(図15)、芯部132の他端面には、芯部132内部を伝播した光が出射する出射面(図示しない)が形成される。また、芯部132は、第1〜第n層132c〜132fからなる同心円状のn層積層構造を有する。第1〜第n層132c〜132fの屈折率は、第1〜第n層に向かうにつれて、徐々に高くなっている。こうして、芯部132には、前述した式(3)〜(5)を満足するGI型の屈折率分布が形成されている。更に、芯部132は、前述した3FMd7とPFPMAd5とを主成分とする共重合体から形成される。また、インナークラッド部133は、外径D3の円筒状に形成される。そして、インナークラッド部133は、第1層132cと略同一の屈折率を有する。一方、POF131は、図15に示すように、光を伝播する芯部135と、芯部135の外周に配されるインナークラッド部136と、インナークラッド部136の外周に配される外殻部137とを有する。この芯部135、インナークラッド部136及び外殻部137は、芯部132、インナークラッド部133及び外殻部134と同一の構造を備え、芯部132、インナークラッド部133及び外殻部134と同質の材料から形成される。芯部135の片端面には、光が入射する入射面(図示しない)が形成され、芯部135の他端面には、また、芯部135内部を伝播した光が出射する出射面135bが形成される。
コネクタ125は、POF130、131を所定の支持ピッチで支持する。また、コネクタ125は、光コネクタ127と嵌合するための嵌合面125aを備える。コネクタ125により、このコネクタ125により、入射面132a及びPOF131の出射面135bは、嵌合面125aに露出し、且つ、嵌合面125aと面一になるように支持される。
次に、光コネクタ127、及び光コネクタ127と同様の構造を有する光コネクタ128の詳細について、光コネクタ127を例に挙げて説明する。光コネクタ127は、図15のように、ケース96と、式(1)及び式(2)を満たす長さL1の光路を備える2本の光結合素子137、138とから構成される。これら光結合素子137,138は、前述した光結合素子形成工程10によって形成される。
光結合素子137は、図16のように、略円柱状のコア部140と、コア部140の外周に配されるインナークラッド部141と、インナークラッド部141の外周に配されるクラッド部142とから構成される。
コア部140は、芯部132と同一の外径D2に形成される。コア部140は、第1〜第n層140c〜140fからなる同心円状のn層積層構造を有する。第1〜第n層140c〜140fの屈折率は、第1〜第n層に向かうにつれて、徐々に高くなっている。こうして、コア部140には、POF130と同一のGI型の屈折率分布が形成されている。更に、コア部140は、前述した3FMd7とPFPMAd5とを主成分とする共重合体から形成される。図15のように、コア部140の両端面には、入射面140aと出射面140bとが形成される。そして、コア部140には、入射面140aと出射面140bを結ぶ、所定長さL1の光路が形成される。この入射面140aから入射した光は、コア部140の内部を伝播して、出射面140bから出射される。また、インナークラッド部141は、外周D3の円筒状に形成され、第1層140cと同一の屈折率を備える(図16)。
一方、光結合素子138は、図17のように、略円柱状のコア部144、コア部144の外周に配されるインナークラッド部145、インナークラッド部145の外周に配されるクラッド部146とから構成される。コア部144の両端面には、入射面144aと出射面144bとが形成される。そして、コア部144には、入射面144aと出射面144bとを結び、前述した式(1)及び式(2)を満たす長さL1の光路が形成される(図15)。この入射面144aから入射した光は、コア部144の内部を伝播して、出射面144bから出射される。コア部144は、芯部132と同質の材料から形成され、芯部132と同一の外径に形成される。そして、コア部144には、芯部132と同一の屈折率分布が形成される。
ケース96は、図15のように、略直方体に形成される。ケース96の1つの面110には、嵌合孔110aが形成される。この嵌合孔110aの形成により、トランシーバ嵌合面110bが、面110から陥没する位置に形成される。また、嵌合孔110a及びトランシーバ嵌合面110bは、トランシーバ71及び面91と嵌合可能な寸法に形成される。一方、ケース96において面110に対向する面111には、嵌合孔111aが形成される。この嵌合孔111aの形成により、コネクタ嵌合面111bが、面111から陥没する位置に形成される。また、嵌合孔111a及びコネクタ嵌合面111bは、コネクタ125及び嵌合面125aと嵌合可能な寸法に形成される。
トランシーバ嵌合面110bには、トランシーバ71の面91における発光部92と受光部93の形成ピッチと同一の形成ピッチで、嵌合孔110c、110dが形成される。
また、嵌合孔110c、110dは、光結合素子137のコア部140の横断面形状と略同一の寸法に形成される。
コネクタ嵌合面111bには、コネクタ125によるPOF130、131の支持ピッチと同一の形成ピッチで嵌合孔111c、111dが形成される。嵌合孔111c、111dは、光結合素子137、138と嵌合可能な寸法に形成される。また、嵌合孔111c、111dは、それぞれ嵌合孔110c、110dを貫通するように形成される。嵌合孔111cと嵌合孔110cの形成により、ケース96には中空部113が形成され、嵌合孔111dと嵌合孔110dとの形成により中空部114が形成される。嵌合孔110c側の中空部113の内周面には、光結合素子嵌合部113aが形成される。光結合素子嵌合部113aの内周部には、嵌合孔110cと嵌合孔111cとを貫通する貫通孔113bが形成される。貫通孔113bは、光結合素子137のインナークラッド部141の横断面形状と略同一の寸法に形成される。同様にして、嵌合孔110d側の中空部114の内周面には、光結合素子嵌合部114aが形成される。光結合素子嵌合部114aの内周部には、嵌合孔110dと嵌合孔111dとを貫通する貫通孔114bが形成される。貫通孔114bは、光結合素子138のインナークラッド部145の横断面形状と略同一の寸法に形成される。
また、光結合素子嵌合部113aは、光結合素子嵌合部113aの嵌合面110b側の面とトランシーバ71の発光部92との間隔がW3、且つ、嵌合面111bと光結合素子嵌合部113aの嵌合面111b側の面との間隔が(L1+W4)になるように形成される。同様にして、光結合素子嵌合部114aは、光結合素子嵌合部114aの嵌合面110b側の面とトランシーバ71の受光部93との間隔がW3、且つ、嵌合面111bと光結合素子嵌合部113aの嵌合面111b側の面との間隔が(L1+W4)になるように形成される。このW3及びW4は、0μmより大きく300μm以下であることが好ましい。
図13に示すような光伝送システム120を構築するために、光コネクタ127、127を用いて、トランシーバ71、72とプラスチック光ファイバケーブル123とを接続する(図15)。まず、トランシーバ71の面91とトランシーバ嵌合面110bとが当接するように、トランシーバ71を嵌合孔110aに嵌め合わせる。次に、光結合素子137の入射面140a側の端面を嵌合孔111cに嵌め合わせ、光結合素子137を中空部113に挿入する。こうして、光結合素子137の入射面140a側の端面が光結合素子嵌合部113aと当接する。同様にして、もう1本の光結合素子138の出射面144b側の端面を嵌合孔111dに嵌め合わせ、光結合素子138を中空部113に挿入する。こうして、光結合素子138の出射面144b側の端面が光結合素子嵌合部113aと当接する。そして、コネクタ125の嵌合面125aをケース96のコネクタ嵌合面111bに嵌め合わせ、嵌合面125aがコネクタ嵌合面111bに当接する。こうして、光コネクタ127によって、トランシーバ71と、プラスチック光ファイバケーブル123とが接続される。同様の手順により、光コネクタ128によって、トランシーバ72と、プラスチック光ファイバケーブル123とが接続される。
本発明の作用について、図17を用いて説明する。トランシーバ71は、発光素子を用いて、発光部92から所定の光信号を出射する。発光部92から出射された光は、貫通孔113bを経て、光結合素子137の入射面140aへ入射する。入射面140aから入射した光は、コア部140とインナークラッド部141との界面での全反射を繰り返し、コア部140内を伝播する。コア部140内を伝播した光は、出射面140bから出射する。出射面140bから出射した光は、出射面140bに対向するPOF130の入射面132aに入射し、芯部132内部を伝播する。
同様にして、トランシーバ72の発光部が所定の光信号を出射すると、芯部135の出射面135bから、光が出射される。出射面135bから出射された光は、光結合素子138の入射面144aに入射する。入射面144aに入射した光は、コア部144とインナークラッド部145との界面での全反射を繰り返しながら、コア部144内を伝播する。コア部144内を伝播した光は、出射面144bから出射する。出射面144bから出射した光は、貫通孔114bを経て、トランシーバ71の受光部93に入射する。
このコア部140の外周に形成されるインナークラッド部141により、実質上の受光面が入射面140aよりも広くなるため、発光部92と光結合素子137との間の光結合効率は向上する。また、光結合素子137のコア部140が、式(1)及び式(2)を満たす光路長L1を備えるため、光結合素子137のコア部140内で集光された光が、出射面140bからPOF130の入射面132aに入射する。そして、出射面140bと入射面132aとの距離がW4であるため、出射面140bから出射した光の拡がりが抑制されたまま入射面132aに入射するため、光結合素子137とPOF130との光結合効率が向上する。
同様にして、このコア部144の外周に形成されるインナークラッド部145により、実質上の受光面が入射面144aよりも広くなるため、芯部135と光結合素子138との間の光結合効率は向上する。また、光結合素子138のコア部144が、式(1)及び式(2)を満たす光路長L1を備えるため、光結合素子138のコア部144内で集光された光が、出射面144bから受光部93に入射する。そして、出射面144bと受光部93との距離がW3であるため、出射面144bから出射した光の拡がりが抑制されたまま受光部93に入射するため、光結合素子138とトランシーバ71との光結合効率が向上する。すなわち、光コネクタ125、126は、プラスチック光ファイバケーブル123とトランシーバ71、72とにおいて優れた結合効率で光結合を行うことができる。
(第1部材)
次に、コア部の前駆体である第1部材11を形成する材料について説明する。第1部材11は、第1〜第n層を備えている。これら第1〜第n層は、第1〜第nの重合性組成物の共重合体を含む。これら第1〜第nの重合性組成物の調製において、第1、第2・・・第(n−1)、第nの重合性組成物になるにつれて、第1化合物に対する第2化合物の混合割合が徐々に高くなるように調整されている。第2化合物の屈折率は第1化合物の屈折率よりも高い。このため、各重合工程31b〜34bにおいて形成される第1層から第n層の屈折率は、第1層から第n層になるにつれて高くなる。このように第1〜第n層形成工程31〜34を行うことにより、所望の屈折率分布を備える第1部材11を形成することができる。
また、これらの第1化合物と第2化合物との共重合から形成されるコア部は、吸湿時でも低伝送損失の維持が可能になる。また、このコア部は、光透過性が高く、光学異方性を生じないため、優れた伝送特性を備える。更に、このようなコア部を備える光結合素子の製造には、プラスチック光ファイバ製造工程において従来から用いられている加熱延伸処理が適用可能であるため、容易且つ安価に光結合素子を製造することができる。
この第1化合物及び第2化合物の最も好ましい具体例として、重合体の屈折率が1.41である重水素置換した2,2,2トリフルオロエチルメタクリレート(3FMd7)と、重合体の屈折率が1.49である重水素置換したペンタフルオロフェニルメタクリレート(PFPMAd5)とが挙げられる。各重合性組成物の調整段階において、3FMd7とPFPMAd5との混合比を適正なものにすることにより、第1部材11に所望の屈折率分布を形成することができる。この水素原子の一部が重水素原子に置き換わった3FMd7とPFPMAd5との使用により、コア部の伝送損失を低下させることが可能になる。なお、第1化合物及び第2化合物の詳細については後述する。
このとき、各層間の親和性やポリマーの調整および製造におけるハンドリング性の観点から、第1化合物と第2化合物との配合比を調整して製造することが好ましいが、最終製品の光学的特性、機械的性能向上や製造適性を考慮して、3種類以上の重合性組成物を用いてもよい。その際には、各重合性組成物の成分や配合比を層ごとに変えてもよい。このように、異なる屈折率を示すホモポリマーのモノマーを異なる配合比で共重合させることにより、各層の屈折率に差を発現させることができる。
また、各層は同じ重合性組成物を用いて形成されるので、隣接する層で形成される界面での親和性を向上させることができ、界面における散乱を低減させることができる。なお、水素置換化合物と重水素置換化合物との親和性は同一とみなす事が出来る。このため、水素置換化合物及び重水素置換化合物を同一の重合性組成物として取り扱うことができる。一方、各層を異なる重合性組成物により形成させると、隣接する層で形成される界面の親和性を向上させるのが困難であり、光の散乱により伝送損失が上昇してしまうために好ましくない。
なお、各層に屈折率分布を付与させる方法としては、上記の他に、各層36〜39を形成させる重合性組成物に屈折率調整剤を添加し、さらに、各層36〜39の屈折率調整剤の添加量を互いに異なるように調製することにより、所望の屈折率分布を付与することもできる。この場合には、径の内側にしたがい屈折率調整剤の添加量を高くすることで、外側から径の中心に向かうにしたがい次第に屈折率を高くすることができる。
(重合性組成物)
次に、第1〜第nの重合性組成物の詳細について説明する。第1〜第n重合性組成物には非晶質のポリマーが用いられることが好ましい。非晶質ポリマーから形成される共重合体は、光散乱が発現しにくく、更に、互いの層の間における密着性が向上する。より好ましくは、機械的特性や耐湿熱性に優れているポリマーとすることである。
本発明における第1〜第nの重合性組成物は、前述した3FMd7やPFPMAd5に限られず、第1化合物及び第2化合物の混合体であればよい。次にこの第1化合物及び第2化合物の詳細について説明する。なお、本明細書において、特に断わらない限り、「H」は水素原子を示し、「D」は重水素原子を示す。また、本発明における「重合」は、特に断わらない限り、「共重合」を含む趣旨である。
第1〜第nの重合性組成物には、一般式(1)で表される第1化合物と、一般式(2)で表される第2化合物と、所定の重合開始剤などの添加剤とからなる混合体である。
一般式(1)
Figure 2007256674
一般式(1)中、R、Rはそれぞれ独立にHまたはDのいずれかを表し、RはH、D、CH、CDまたはハロゲン原子のいずれかを表し、Rは少なくとも一部がフッ素原子で置換された炭素原子数2〜8のアルキル基を表す。R、Rは、Dであることが好ましい。Rは、H、D、CH、CD、フッ素原子または塩素原子が好ましく、CDまたはフッ素原子、塩素原子がより好ましく、CDがさらに好ましい。Rは炭素原子数2〜6のフッ素置換されたアルキル基が好ましく、炭素原子数2〜4のフッ素置換されたアルキル基がさらに好ましい。フッ素置換されたアルキル基については分岐や環構造をとっても良いが、直鎖のものが好ましい。さらにフッ素置換されたアルキル基中に存在するC−H結合は、その一部または全部がC−D結合に置換されていることが好ましい。すなわち、一般式(1)は、重水素化フルオロアルキルメタクリレートを有していることが好ましく、その重水素化置換率は95%以上100%未満であるのが好ましい。
一般式(2)
Figure 2007256674
一般式(2)中、R、Rはそれぞれ独立にHまたはDのいずれかを表し、RはH、D、CH、CDまたはハロゲン原子のいずれかを表し、X〜XはH、D、ハロゲン原子またはCFのいずれかを表し、X〜Xの少なくとも一つはハロゲン原子またはCFを表す。R、Rは、Dが好ましい。Rは、H、D、CH、CD、フッ素原子または塩素原子が好ましく、CD、がより好ましい。X〜Xはそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子またはCFが好ましく、フッ素原子または塩素原子がより好ましく、一般式(2)中の、フェニル基のハロゲン原子(特に好ましくはフッ素原子)置換数は2以上がさらに好ましく、3以上が最も好ましい。すなわち、一般式(2)は、重水素化ハロゲン化フェニルメタクリレートを有していることが好ましく、その重水素化置換率は95%以上100%未満であるのが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物の具体的な第1化合物の例を以下に示す。本発明はこれらの化合物に限定されるものでないことは言うまでもない。
Figure 2007256674
Figure 2007256674
前記一般式(2)で表される第2化合物の具体的な化合物例を以下に示す。本発明はこれらの化合物に限定されるものでないことは言うまでもない。
Figure 2007256674
Figure 2007256674
前記一般式(1)で表される第1化合物からなるポリマーの屈折率と前記一般式(2)で表される第2化合物からなるホモポリマーの屈折率とは異なるため、上記一般式(1)で表される第1化合物と一般式(2)で表される第2化合物の組成比を変える事により種々の屈折率のコポリマーを得ることができる。具体的には、例えば、上記FA−1からなるホモポリマーの屈折率は1.42であり、上記FP−1からなるホモポリマーの屈折率は1.50である。またその組成比を漸進的に変化させて重合させることにより屈折率分布を有する光学樹脂を製造することが可能である。
本発明の重合性組成物に熱および/または光等が供与されると、添加剤である重合開始剤から発生するラジカル等によって前記含フッ素系重合性モノマーの重合が開始される。本発明の重合性組成物は、連鎖移動剤としてフッ素置換された化合物を用いているので、重合体(含フッ素マトリックス)中に残留した場合に、該重合体からなる光学部材の伝送損失を軽減し、光伝送能を向上させることができる。さらに、屈折率分布型光学部材を作製する場合は、一般式(1)で表される第1化合物と一般式(2)で表される第2化合物の組成比を漸進的に変化させることにより屈折率分布構造を形成し易い。また、重合性モノマーの重合速度および重合度は、前記重合開始剤および前記連鎖移動剤によって制御され、重合体の分子量を所望の分子量に調整することができるので、例えば、得られた重合体を延伸により線引きして、光ファイバとする場合は、分子量を調整することによって延伸時における機械的特性を所望の範囲とすることができ、生産性の向上にも寄与する。
第1の重合性組成物としては、ポリマーの中でも屈折率が低いものであることが好ましく、第1〜第nの重合性組成物としては、一般式に規定されるような含フッ素(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。なお、第1〜第nの重合性組成物を選択する際には、少なくとも一方の屈折率や親和性などの関係を考慮することが好ましい。
上記の含フッ素アクリル酸エステルおよび含フッ素メタクリル酸エステルとしては、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどが挙げられる。もちろん、これらに限定されるものではなく、重合性組成物の単独あるいは共重合体からなるポリマーの屈折率が、光伝送体に成形されたときに所定の屈折率分布を成形体の中で有するように、種類や組成比を決定することが好ましい。
また、上記の第1及び第2化合物の他、以下のものを第1〜第nの重合性組成物として添加しても良い。例えば、メチルメタクリレート(MMA)とトリフルオロエチルメタクリレート(3FM)やヘキサフルオロイソプロピルメタクリレートなどのフッ化(メタ)アクリレートとの共重合体がある。また、MMAと,tert−ブチルメタクリレートなどの分岐を有する(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート、ノルボルニルメタクリレート、トリシクロデカニルメタクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレートなどとの共重合体がある。さらには、ポリカーボネート(PC)、ノルボルネン系樹脂(例えば、ZEONEX(登録商標:日本ゼオン(株)製))、ファンクショナルノルボルネン系樹脂(例えば、ARTON(登録商標:JSR製)など)、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)を用いることもできる。また、フッ素樹脂の共重合体(例えば、PVDF系共重合体)やテトラフルオロエチレンパーフルオロ(アルキルビニルエーテル(PFA))ランダム共重合体、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体などを用いることもできる。また、POF12を近赤外光用途に用いるためには、ポリマーを構成するC−H結合に起因した吸収損失が起こるために、特許3332922号公報や特開2003−192708号公報などに記載されているような、C−H結合の水素原子を重水素原子やフッ素などで置換したポリマーを用いることで、この伝送損失を生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の損失を軽減することができる。このようなポリマーとしては、例えば、重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2−フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)などを例示することができる。ただし、これら添加成分が増加すると伝送性能や製造適性が変わってしまい、本発明の効果を消失させるため、添加による効果を享受できる最低限に抑えることが好ましく、添加成分を加えないことが特に好ましい。前述した添加成分を添加しないことが特に好ましい。なお、重合後の重合体の透明性を損なわないために、重合前に、不純物や散乱源となる異物の除去処理を、重合性組成物の原料に施すことが望ましい。
(添加剤)
本発明において、第1〜第nの重合性組成物に添加剤を添加し、第1〜第nの重合性組成物を共重合させてコポリマーとする。この添加剤としては、重合開始剤及び連鎖移動剤などがある。
(重合開始剤)
本発明に用いられる重合開始剤としては、例えば、ラジカルを生成するものが各種ある。ラジカルを生成する重合開始剤として、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物が挙げられる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などがある。
上記以外にも、特開2003−192714号公報や特開2003−246813号公報に開示されるように、ニトリル基を含まない、即ちニトリル基不含のアゾ化合物を重合開始剤として用いることができる。アゾ系化合物は、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの重合開始剤として好ましいが、ニトリル基を有するアゾ化合物は、加熱による着色が著しく、光ファイバ等の光学部材に要求される光伝送能を満足しない。特に連鎖移動剤として添加するメルカプタン類を併用する際には顕著である。ニトリル基不含のアゾ化合物を用いていることにより、芯部の着色による光伝送能の低下がなく、高い光伝送能を有する光学部材を作製できる。前記ニトリル基不含のアゾ化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
一般式(3)
Figure 2007256674
前記一般式(3)中、R、RおよびRは各々独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のシクロアルキル基、−COOR、または−CONRを表し、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表し、RおよびRは各々独立して、炭素数1〜9のアルキル基または炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す。RおよびRが結合して環を形成してもよい。R〜Rがそれぞれ表すアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R〜Rがそれぞれ表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、nープロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基およびネオペンチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基等であり、さらに好ましくはメチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基等である。R〜R、RおよびRがそれぞれ表すシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は、これらに限定されるものではない。また、前述したもののうち2種類以上を併用してもよい。
(連鎖移動剤)
第1〜第nの重合性組成物を共重合させてコポリマーとしたときの機械特性や熱物性などの各種物性値を全体にわたって均一に保つために、連鎖移動剤を用いて、重合度の調整を行うことが好ましい。連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択できる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(例えば、n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンなど)、チオフェノール類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオールなど)などを用いることが好ましい。特に、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、連鎖移動剤は勿論これらに限定されるものではなく、2種類以上の連鎖移動剤を併用してもよい。
上記に挙げたもの以外の連鎖移動剤も、本発明に適用することが可能である。例えば、フッ素置換されたメルカプタン類は、構造内にフッ素を質量換算で50%以上含有しているのが好ましく、60%以上含有しているのがより好ましい。フッ素置換されたメルカプタン類としては、下記一般式(4)または一般式(5)で表される化合物が好ましい。
一般式(4)
Figure 2007256674
一般式(5)
Figure 2007256674
一般式中、Aは水素原子、重水素原子またはフッ素原子を表す。一般式中、p、qおよびrは、15>p>r≧0、15>q>r≧0の関係を満足する整数を各々表す。上式の関係を満足しつつ、pは1〜15のいずれかの整数であるのが好ましく、2〜12のいずれかの整数であるのがより好ましく、qは1〜15のいずれかの整数であるのが好ましく、2〜12のいずれかの整数であるのがより好ましく、rは0〜4のいずれかの整数であるのが好ましく、0〜2のいずれかの整数であるのがより好ましい。
前記一般式(4)および(5)で表される化合物の具体的な化合物例を以下に示す。前記連鎖移動剤は、2種類以上併用してもよい。
Figure 2007256674
前述した重合開始剤や連鎖移動剤の各添加量は、使用する第1〜第n層用モノマーである重合性組成物の種類などに応じて、好ましい範囲を適宜決定することができる。本実施形態においては、重合開始剤は、第1〜第n重合性組成物に対して、0.005〜0.5モル%となるように添加しているが、この添加率を0.010〜0.1モル%とすることがより好ましい。また、前記連鎖移動剤は、第1〜第n重合性組成物に対して、0.005〜0.5モル%となるように添加しているが、この添加率を0.01〜0.1モル%とすることがより好ましい。
(屈折率調製剤)
所望の屈折率分布を付与するために、非重合性の化合物である屈折率調整剤を、添加剤として用いても良い。このような屈折率制御剤を用いることにより、屈折率分布係数gの値を所望の範囲に制御しやすくなる。なお、屈折率調整剤は、第1〜第n重合性組成物に対して、0.01〜25重量%添加することが好ましく、1〜20重量%添加することがより好ましい。
屈折率調整剤として、高屈折率で分子体積が大きく、重合に関与せず、溶融状態のポリマー中で所定の拡散速度を有する低分子化合物を用いることが好ましい。なお、屈折率調整剤は、モノマーに限定されず、オリゴマー(ダイマー,トリマーなどを含む)であってもよい。
また、屈折率調整剤としては、例えば、安息香酸ベンジル(BEN),硫化ジフェニル(DPS),リン酸トリフェニル(TPP),フタル酸ベンジル−n−ブチル(BBP),フタル酸ジフェニル(DPP),ジフェニル(DP),ジフェニルメタン(DPM),リン酸トリクレジル(TCP),ジフェニルスルホキシド(DPSO)などの非重合性低分子化合物を用いてもよく、中でも、BEN、DPS、TPP、DPSOを使用することが好ましい。このような屈折率調整剤を、第1部材11や第2部材13あるいは第3部材15を形成させるホモポリマーに添加し、さらに、屈折率調整剤の濃度分布を調整することにより各部材の屈折率を所望の値に制御する。
(その他添加物)
その他にも、芯部内部に形成される各層或いは一部の層に、光伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加することができる。例えば、各層もしくはその一部の層に耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加することができる。
また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することができ、伝送距離が向上するので、例えば、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として用いることができる。これらの添加剤を各種重合性組成物とともに重合することにより、各層或いは一部の層に誘導放出機能化合物を添加することができる。
(第2部材)
また、第2部材13は、第1部材11の屈折率よりも低い重合性組成物により形成させてもよいし、モノマーにより形成させてもよい。また、第1層36の屈折率と略同等となるように形成してもよいが、第2部材13は第1部材11の第1層36の屈折率よりも低い方が好ましい。後述する実施例では、第2部材13が第1層36の屈折率より低くなるように調整したが、コア部45とクラッド部46により光がコア部45内部を確実に伝播するように径方向に対して所望の屈折率の高低分布が得られるように調整すればよく、特に限定はされない。このとき、屈折率を調整する際には、上記のように配合する材料により調整してもよいし、前述した屈折率調整剤を添加してもよい。
第2部材13を形成する材料としては、タフネスに優れ、耐湿熱性にも優れているものを用いることが好ましい。この具体的な材料としては、フッ素含有モノマーの単独重合体または共重合体が挙げられる。フッ素含有モノマーの中では、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド三元系コポリマー(THV)樹脂を用いることが好ましい。このTHV樹脂以外の材料としては、フッ化ビニリデン(PVDF)樹脂,四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合(FEP)樹脂,テトラフルオロエチレンパーフルオロ(アルキルビニルエーテル(PFA)樹脂などがあり、これらを用いて第2部材13を形成してもよい。
なお、コア部とクラッド部の境界に配されるインナークラッド部59の形成材料として、第1層36の外周面の屈折率と略同一となるように調整された重合性組成物を用いることができる。また、第1層36の外周面の略同一となるような屈折率を備えるパイプ25を用いて第1部材11を形成してもよい。
以下、本発明に関する実施例を示し、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1に示す光結合素子製造工程10にしたがい光結合素子19を製造した。溶融押出成形により作製した内径19.5mm、長さ27cmのPVDF管を、第1部材11として機能するパイプ25とし、この中空部に第1の重合性組成物を、孔径が0.2μmのPTFEメンブランフィルターを用いて濾過しながら注入した。第1の重合性組成物としては、重合成化合物として3FMd7(以下、aと称する)を21.73mlおよび重合成化合物としてPFPMAd5(以下、bと称する)を4.56ml混合してから、重合開始剤として2,2ジメチルアゾビスイソブチレートを0.1mol%と3−メルカプトプロピオン酸エチルを0.05mol%とを添加したものを調製した。
第1の重合性組成物が注入された屈折率が1.41であるPVDF管を、回転重合装置の重合器本体に長手方向が水平となるようにセットし、2000rpmで回転させながら90℃の雰囲気下で2時間の加熱重合を行った。重合容器はSUS製のものを使用した。このとき、回転する重合容器の近傍、具体的には1〜2cm離れた位置に非接地型熱電対を設けて、温度を測定し、この測定温度を重合反応による温度としてみなした。また、この方法により測定された重合反応の発熱における温度ピーク(発熱ピーク)を求めた。実施例1では、重合開始から約1時間20分経過したときに67℃の発熱ピークが認められた。以上により、パイプ25の内面に第1層36を形成させた。なお、得られた重合体の転化率は90%であった。
次に、重合容器からパイプ25を取り出し、第1層36の中空部に第2混合溶液を注入し、回転重合させることにより第2層37を形成させた。このとき、第1層36を形成したときと同じ条件,方法を用いた。第2の重合性組成物としては、aを7.57mlおよびbを1.99ml混合してから、重合開始剤として2,2ジメチルアゾビスイソブチレートを0.1mol%と3−メルカプトプロピオン酸エチルを0.05mol%とを添加した混合溶液を用いた。そして、第2層37を形成した後、表1に示すように配合比としてb/aが異なるように調製した第3〜第11混合溶液を用いて、径の中心に向かうにしたがい第3〜第11の重合性組成物の注入量を表1のように減らしながら、上記と同じ工程を繰り返し行うことにより、第1部材11となるパイプ25の内部に11層の複層構造を形成させてPVDFからなる第2部材13を製造した。第2部材13の最外層である第1層36の外周面での屈折率は1.432であった。
Figure 2007256674
第11混合溶液を重合させた後、90℃に加熱させた状態で6時間保持し残存している重合成化合物を反応させ、光結合素子前駆体15とした。このとき、第1部材11の屈折率と第2部材13の外面との屈折率差は0.022であった。その後、得られた光結合素子前駆体15の空洞部42を減圧させながら200℃に加熱させた状態で、溶融延伸させることにより空洞部42を閉塞させるとともに、第1部材11と第2部材13とを密着させることにより隙間42を消失させて、コア部45の外径D1が120μmの光結合素子母材17を得た。このとき、光結合素子母材17の外径の変動は±15μmであった。
得られた光結合素子母材17の伝送損失を測定したところ、光源波長850nmにて100dB/kmであった。
分断工程20にて、この光結合素子母材17を所定の光路長さL1で切り出し、両端面を研磨し、光路長7mmを備える光結合素子19を得た。
この光結合素子19を、ケース96の嵌合孔110d、111dにそれぞれ挿入し、光コネクタを作成した。この光コネクタを用いて、光源(波長850nm)を備えるトランシーバ71、72と、プラスチック光ファイバケーブル73の両端に備わるSMIコネクタとを接続し、光伝送システムを構築した。本実施例では、長さ50mであって、光結合素子19のコア部45と同一のコア径、同一の屈折率分布を備え、同一の材料から形成されるPOFを備えるプラスチック光ファイバケーブルを、プラスチック光ファイバケーブル73として用いた。このとき、光結合素子19及び受光部93、並びに光結合素子19及び発光部92の光軸ずれ量は、断面方向で15μm、長手方向で5μmであった。また、SMIコネクタ及び発光部92、並びにSMIコネクタ及び受光部93の結合損失は、それぞれ0.7dBであった。
トランシーバ71に備わる変調部を用いて、テスト信号に基づいて10GHzの変調信号を生成した。発光素子と、発光部92を用いて、この変調信号を送信したところ、トランシーバ72にて変調信号を受信し、テスト信号に復調することができた。すなわち、この光伝送システムにおいて、10GHzの広帯域伝送を行うことができた。
<比較例>
実施例1において、光コネクタを用いずに、トランシーバ71、72の発光部92及び受光部93に、SMIコネクタを介して、プラスチック光ファイバケーブル73を接続し、光伝送システムを構築した。このときの、SMIコネクタ及び発光部92、並びにSMIコネクタ及び受光部93の結合損失は、それぞれ0.7dBであった。この光伝送システムにおいて、実施例1と同様に、トランシーバ71から10GHzの変調信号を送信したところ、結合損失が大きいため、トランシーバ72にて受信することができなかった。
光結合素子製造工程の概要を示す説明図である。 第1部材形成工程の流れを示す工程図である 光結合素子前駆体の径方向の断面図である。 光結合素子の斜視図である。 (a)光結合素子の径方向の断面図であり、(b)は本実施形態での光結合素子の屈折率分布図である。 光結合素子の斜視図である。 (a)光結合素子の径方向の断面図であり、(b)は本実施形態での光結合素子の屈折率分布図である。 本発明の光伝送システムの第1の実施形態の概要を示す説明図である。 POFの径方向の断面図である。 光伝送システムにおける、光コネクタを用いて、プラスチック光ファイバとトランシーバとを接続する様子を示す説明図である。 光結合素子の径方向の断面図である。 プラスチック光ファイバと光結合素子及びトランシーバと光結合素子の接続部の断面図である。 本発明の光伝送システムの第2の実施形態の概要を示す説明図である。 POFの径方向の断面図である。 光伝送システムにおける、光コネクタを用いて、プラスチック光ファイバとトランシーバとを接続する様子を示す説明図である。 光結合素子の径方向の断面図である。 プラスチック光ファイバと光結合素子及びトランシーバと光結合素子の接続部の断面図である。
符号の説明
11 第1部材
13 第2部材
19、60、97、98、137、138 光結合素子
45、61、100、104、140、144 コア部
46、62、101、105、141、146 クラッド部
48、63,100a,104a,132a 入射面
49、64、100b、104b 出射面
59、141、145 インナークラッド部
70、120 光伝送システム
77,78、127、128 光コネクタ
80、81、130、131 POF
82、84、132、135 芯部
92 発光部
93 受光部
110a、110c、110d、111a、111c、111d 嵌合孔
110b トランシーバ嵌合面
111b コネクタ嵌合面

Claims (9)

  1. 光が透過する第1透過部及び第2透過部を両端に備え、前記第1透過部と前記第2透過部との間で前記光を伝播する円柱状のコア部と、
    前記コア部の外周に配され、前記コア部の内部を伝播する前記光を閉じ込めるクラッド部とを備える光結合素子において、
    前記コア部が、GI型屈折率分布を備え、
    前記第1透過部から前記第2透過部までの光路長L1が、下記式1および式2を満たすことを特徴とする光結合素子。
    (式1) 光路長L1=2π/A0.5
    (式2) A=2(N1−N2)/(N1×R1
    (コア部の内部を伝播する光について、コア部の中心部における屈折率をN1、コア部の外周面における屈折率をN2とする。R1はコア部の半径である。)
  2. 前記コア部が、下記一般式(1)で表される第1化合物と、下記一般式(2)で表される第2化合物との共重合体を含み、
    中心から半径rだけ離れた前記コア部の屈折率をN(r)とするときに、
    前記コア部が、下記式(3)ないし(5)で表される前記GI型屈折率分布を備えることを特徴とする請求項1記載の光結合素子。
    式(3) N(r)=N1[1−2Δ(r/R1)1/2
    式(4) Δ=(N1−N2)/(2N1
    式(5) 2≦g≦2.3
    (コア部の内部を伝播する光について、コア部の中心部における屈折率をN1、コア部の外周面における屈折率をN2とする。R1はコア部の半径である。)
    一般式(1)
    Figure 2007256674
    (一般式(1)中、R、Rはそれぞれ独立にHまたはDのいずれかを表し、RはH、D、CH、CDまたはハロゲン原子のいずれかを表し、Rは少なくとも一部がフッ素原子で置換された炭素原子数2〜8のアルキル基を表す。)
    一般式(2)
    Figure 2007256674
    (一般式(2)中、R、Rはそれぞれ独立にHまたはDのいずれかを表し、RはH、D、CH、CDまたはハロゲン原子のいずれかを表し、X〜XはH、D、ハロゲン原子またはCFのいずれかを表し、X〜Xの少なくとも一つはハロゲン原子またはCFを表す。)
  3. 前記コア部の外径D1が50μm以上250μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の光結合素子。
  4. 前記コア部と前記クラッド部の界面に配され、前記コア部の外周面と同一の屈折率を有する円筒状のインナークラッド部を備え、
    前記コア部の外径をD2とし、前記インナークラッド部の外径をD3とするときに、D2/D3が、0.67以上0.87以下であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の光結合素子。
  5. 前記クラッド部の外周に配される保護層を備えることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の光結合素子。
  6. 請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の光結合素子と、
    前記第1透過部及び第2透過部を露出するように、前記光結合素子を保持するコネクタ本体と、
    前記コネクタ本体に形成され、前記光を透過する第3透過部を備える第1光学部材と嵌合し、前記第1透過部の光軸と前記第3透過部の光軸とを合わせる第1嵌合部と、
    前記コネクタ本体に形成され、前記光を透過する第4透過部を備える第2光学部材と嵌合し、前記第2透過部の光軸と前記第4透過部の光軸とを合わせる第2嵌合部と、
    を備えることを特徴とする光コネクタ。
  7. 請求項4項記載の光結合素子と、
    前記1透過部と前記3透過部との間隔を300μm以下にする前記第1嵌合部と、
    前記2透過部と前記4透過部との間隔を300μm以下にする前記第2嵌合部と、
    を備えることを特徴とする請求項6記載の光コネクタ。
  8. 前記第1光学部材が前記光を伝播しうる第1光ファイバであり、
    前記第2光学部材が、前記光の入射を検出する受光部と前記光を発光する発光部と前記光を伝播しうる第2光ファイバとのうちいずれか1つであることを特徴とする請求項6または7記載の光コネクタ。
  9. 請求項6ないし8のうちいずれか1項記載の光コネクタと、
    前記第1嵌合部に嵌合される前記第1光ファイバと、
    前記第2嵌合部に嵌合され、前記受光部と前記発光部とのうち少なくともいずれか一方を有するトランシーバとを備え、
    前記第1光ファイバに形成され、前記第3透過部を通過する前記光を伝播する芯部が、前記コア部と同質の材料で形成され、前記コア部と同一の外径に形成され、前記コア部と同一の屈折率分布を備えることを特徴とする光伝送システム。
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