JP2007255910A - Nmrシグナルの帰属方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定同位体元素でラベル化されたポリペプチド混合物を利用したタンパク質のNMR測定で得られるシグナルの帰属法を提供する。
【解決手段】1)n個のアミノ酸残基からなるポリペプチドPnのアミノ酸配列X1−・・・−Xnを決定し、2)決定したアミノ酸配列X1−・・・−Xnからなる安定同位体元素によりラベル化されたポリペプチドPnの混合物を合成する。3)更に、アミノ酸X1、X2、・・・Xnにそれぞれ対応する合成用アミノ酸カクテルx1’、x2’、・・・xn’を用いて、1)で決定したアミノ酸配列X1−・・・−Xnからなる安定同位体元素によりラベル化されたポリペプチドPn’の混合物を合成する。2)で合成したポリペプチドPnの混合物と3)で合成したポリペプチドPn’の混合物についてそれぞれNMR測定を行い、対応するシグナル間のシグナル強度比を計算して各シグナルの帰属を決定する。
【選択図】なし

Description

本発明は、タンパク質(ポリペプチド)の立体構造に関する情報をNMRを用いて獲得するための、NMRシグナルの帰属方法を提供する。
タンパク質の立体構造に関する情報、例えばタンパク質の立体構造、酵素タンパク質の反応触媒機構、あるいはタンパク質とそれに結合するリガンドとの構造活性相関などを解析する手法として広く用いられている方法に、溶液中のタンパク質を対象とするNMR法がある。
多くの場合、タンパク質を対象にしたNMRによる解析は、タンパク質中の窒素原子や炭素原子をNMRでの観測が容易な安定同位体元素である15Nや13Cとし、H−15N HSQC(heteronuclear single quantum coherence)スペクトルやH−13CHSQCスペクトル等の観測をすることで行われる。さらに測定されたシグナルについて、タンパク質を構成するアミノ酸の構成原子に対応させるいわゆるシグナルの帰属を行い、タンパク質の立体構造情報が得られる。
NMR法は、溶液状態のタンパク質を測定対象とするため、より自然な(あるいは天然の)状態にあるタンパク質の構造やその動きを測定することができること、また一般に難しい作業として理解されているタンパク質の結晶の調製が不要であることなどが、同じくタンパク質の立体構造に関する情報を解析する有効な手段であるX線回折法と比較したときの利点として考えられている。
一方、NMR法には、タンパク質というヘテロな高分子を測定対象とすることに伴う幾つかの問題があることもまた事実である。例えば、測定対象とするタンパク質の高濃度溶液が必要となること、現状の解析技術並びに装置では、X線回折法による解析に比べて小さな(低分子量の)タンパク質に測定対象が限られてしまうこと、等がある。
また、H−15N HSQC測定法は、非常に感度の高いNMR測定法ではあるが、このH−15N HSQC測定法で得られるシグナルのアミノ酸残基への帰属を行うためには、通常、H−15N HSQC測定法とは別に感度の低い複数種類の3次元NMRスペクトル等の測定を行い、さらに熟練者がこれらのスペクトルを組み合わせた複雑な解析を行わねばならない。この場合における3次元NMRスペクトルの測定は長時間を要するものであり、その間のタンパク質の失活、変性も重大な問題であった。
係る問題に対して、H−15N HSQC測定法のみを用いてNMR測定を行い、得られるシグナルをアミノ酸残基に帰属する方法も提案されている(特許文献1、非特許文献1など)。しかしながら、この方法は、一つのアミノ酸残基のみを安定同位体元素でラベル化したタンパク質を、シグナル帰属を行おうとするアミノ酸残基の個数に相当する数だけ調製し、それぞれについてH−15N HSQC測定法等を行って測定しなければならないことから、実際的な方法であるとは言い難いものであった。
より簡便なNMR法による蛋白質の測定方法として、15N/13C標識アミノ酸と15N標識アミノ酸等を組み合わせて合成した蛋白質を用いてNMR測定を行なう方法が報告されている(特許文献2)。しかし、かかる方法もラベル化されたポリペプチドを何種類も調製する必要がある他、測定しようとするアミノ酸残基を含んだ前後のアミノ酸配列の種類によっても制限を受けているのが現状である。
Yabuki, T. et al., J. Biomol. NMR,、1998年、第11巻、第295−306頁 WO2002/033406 WO2005/073747
本発明は、NMR法によるポリペプチドの解析において、上記のような煩わしさを解消することの出来る、新しいシグナルの帰属方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、測定対象となるポリペプチドを構成するアミノ酸残基への安定同位体元素による従来のラベリング方法を改め、ポリペプチドを構成するアミノ酸残基のラベル化比率(以下、ラベリング比率とする)を互いに異なる比率となるように安定同位体元素でラベル化することによって、もしくはシグナル帰属を行おうとするアミノ酸残基を他のアミノ酸残基とは異なるラベリング比率となるように安定同位体元素でラベル化することによって、原理的にわずか2種類のポリペプチド混合物を合成し、NMR測定を行うだけで、NMRシグナルのアミノ酸残基への帰属を可能にする、下記の各発明を完成した。
(1)下記の工程を含む、ポリペプチドのNMR測定法により得られたシグナルの帰属方法
1)n個のアミノ酸残基からなるポリペプチドPnのアミノ酸配列X1−・・・−Xnを決定する工程、ここでXは任意のアミノ酸を、nは2以上の任意の整数を示す、
2)アミノ酸X1、X2、・・・Xnにそれぞれ対応する合成用アミノ酸カクテルx1、x2、・・・xnを用いて、1)で決定したアミノ酸配列X1−・・・−Xnからなる安定同位体元素によりラベル化されたポリペプチドPnの混合物を合成する工程、ここで該カクテルは安定同位体元素でラベル化されたアミノ酸と当該安定同位体元素でラベル化されていないアミノ酸との混合物であり、かつ前記ポリペプチドPnを対象としたNMR測定で得られるシグナルの帰属を行おうとするアミノ酸残基に対応するアミノ酸カクテルにおけるラベル化されたアミノ酸の含有比率が、他の全てのアミノ酸残基に対応するアミノ酸カクテルにおけるラベル化されたアミノ酸の含有比率とは異なる、
3)アミノ酸X1、X2、・・・Xnにそれぞれ対応する合成用アミノ酸カクテルx1’、x2’、・・・xn’を用いて、1)で決定したアミノ酸配列X1−・・・−Xnからなる安定同位体元素によりラベル化されたポリペプチドPn’の混合物を合成する工程、ここで該カクテルは安定同位体元素でラベル化されたアミノ酸と当該安定同位体元素でラベルされていないアミノ酸との混合物であり、かつ前記ポリペプチドPnを対象としたNMR測定で得られるシグナルの帰属を行おうとするアミノ酸残基に対応するアミノ酸カクテルにおけるラベル化されたアミノ酸の含有比率が全て同一である、
4)2)で合成したポリペプチドPnの混合物と3)で合成したポリペプチドPn’の混合物についてそれぞれNMR測定を行う工程、及び
5)4)で得られたそれぞれ対応するシグナル間のシグナル強度比を計算して、各シグナルの帰属を決定する工程。
(2)安定同位体元素が15N、13C及びHよりなる群から選ばれる一以上の安定同位体元素である、(1)に記載のシグナルの帰属方法。
(3)アミノ酸を構成する全ての窒素原子、炭素原子もしくは非交換性の水素原子が、それぞれ15N、13CもしくはHによってラベル化されたアミノ酸を使用する、(2)に記載のシグナルの帰属方法。
(4)ペプチド結合を形成する窒素原子、炭素原子もしくは水素原子が選択的にそれぞれ15N、13CもしくはHによってラベル化されたアミノ酸を使用する、(2)に記載のシグナルの帰属方法。
(5)化学合成用の保護基によって修飾されたアミノ酸のカクテルを使用してポリペプチドPnの混合物及びポリペプチドPn’の混合物を合成する、(1)に記載のシグナルの帰属方法。
(6)NMR測定法がH−15N HSQC測定法である、(2)〜(4)のいずれかに記載のシグナルの帰属方法。
本発明のシグナル帰属法は、NMR測定に必要なポリペプチド混合物は2種類で足り、HSQC測定法のみでシグナル帰属を行うことを目的とする従来の方法のように、アミノ酸残基の個数分のポリペプチドをラベル化するアミノ酸残基を変えながら用意する必要がない点で、タンパク質のNMRによる測定作業を著しく簡便化する方法である。
以下、X1−X2−・・・・−X9−X10(X1〜X10はそれぞれ任意のアミノ酸を示す)というアミノ酸配列からなる10残基のポリペプチドP10を対象として、A)10アミノ酸残基の全てについてシグナル帰属を行う場合と、B)幾つかの、ここでは例として4つのアミノ酸残基、X2、X4、X6、X8についてのシグナル帰属を行う場合とに分けて、本発明の詳細を説明する。
A)10アミノ酸残基の全てについてシグナル帰属を行う場合
1)アミノ酸配列の決定
まず、ポリペプチドP10のアミノ酸配列を、X1−X2−・・・・−X9−X10の様に決定する。アミノ酸配列は、NMRによって測定しようとするポリペプチドを構成するアミノ酸配列をそのまま再現すればよい。
なお、X1〜X10は互いに同じアミノ酸であってもよい。この場合のポリペプチドは、一種類のアミノ酸からなる10残基のポリペプチドとなる。またX1〜X10が全て互いに異なるアミノ酸であってもよい。この場合のポリペプチドは10種類のアミノ酸からなる10残基のポリペプチドである。また、同じアミノ酸が2残基以上存在し、かつその様なアミノ酸が1種以上存在するポリペプチドであっても良い。この場合のポリペプチドは、2〜9種類のアミノ酸からなる10残基のポリペプチドである。
この様に、本発明においてポリペプチドを構成するアミノ酸残基の種類には制限がなく、またアミノ酸配列にも制限がない。従って、どの様なアミノ酸配列からなるポリペプチドであっても、本発明の方法により製造することができる。このことは、NMRによって測定しようとするポリペプチドのアミノ酸配列にも一切の制限はなく、いかなるアミノ酸配列からなるポリペプチドでも、本発明あるNMRシグナルの帰属方法の測定対象物となり得ることを意味する。
2)ポリペプチドP10の混合物の調製
次に、このアミノ酸配列X1−X2−・・・・−X9−X10の各アミノ酸残基について、安定同位体元素によるラベリング比率を、例えば10%、20%、・・・90%及び100%と、互いに異なるように設定したラベル化されたポリペプチドP10の混合物を合成する。
本発明にいうポリペプチドの混合物とは、アミノ酸配列が異なるポリペプチドの混合物ではなく、同一のアミノ酸配列からなるが安定同位体元素の含有量が異なるポリペプチドの混合物、換言すれば安定同位体元素によるラベル化の程度という点で異なるポリペプチドの混合物を意味する。
また本発明にいうアミノ酸残基についての安定同位体元素によるラベリング比率とは、次項で説明する方法で製造されるポリペプチド混合物中の、安定同位体元素でラベリングされている特定のアミノ酸残基を有するポリペプチドの存在比率(%)を意味する。例えば、アミノ酸残基X1のラベリング比率を10%に設定することは、ポリペプチドP10の混合物中に、安定性同位体元素でラベリングされたアミノ酸残基X1を有しているポリペプチドを10%存在させることを意味する。同様にアミノ酸残基X10のラベリング比率を100%に設定することは、安定性同位体元素でラベリングされたアミノ酸残基X10を有しているポリペプチドを100%存在させること、換言すれば混合物中のポリペプチドは全て安定性同位体元素でラベリングされたアミノ酸残基X10を有しているポリペプチドとすることを意味する。
本発明では、ポリペプチドを構成するアミノ酸残基が互いに異なるラベリング比率(%)を有するように、すなわち同一のラベリング比率を有するアミノ酸残基が2以上存在しないように設定する必要がある。
ただし、この条件を維持する他には格別の制限はない。例えば、上記ポリペプチドP10の例ではアミノ酸残基間のラベリング比率の差を10%づつ異なる値に設定したが、その差を10%と一定にすることも、アミノ酸配列に沿って漸次的に増加あるいは減少させることも必ずしも必要ではなく、ラベリング比率はその値ならびに変動パターンにおいて全く任意に設定することができる。
また、ポリペプチド中の1アミノ酸残基だけ安定同位体元素を含まないように、すなわちラベリング比率を0%と設定してもよい。ただし、正確に言えば、ラベリング比率0%とは、用いる安定同位体元素の天然存在比(例えば15Nでは0.4%)と同じ値のラベリング比率を意味するが、本発明では、便宜上、用いる安定同位体元素の各天然存在比をラベリング比率0%として表すことにする。
またポリペプチド中の1アミノ酸残基だけラベリング比率100%と設定してもよい(1アミノ酸残基だけをラベル化するという意味ではない)。すなわち、本発明の方法によって全てのアミノ酸残基のシグナル帰属を行おうとするときのラベリング比率は、用いる安定同位体元素の天然比率(0%)〜100%の範囲内の、任意の値として設定することができる。
次に、X1〜X10それぞれについて、安定同位体元素を有するアミノ酸X’と当該安定同位体元素を有しない同じアミノ酸Xとを混合して、上記で設定したラベリング比率と同じ重量%の安定同位体元素を有するアミノ酸X’を含むアミノ酸混合物x1〜x2(以下、アミノ酸カクテルx1〜x2と表す)を調製する。ただし、本発明においては、「安定同位体元素を有しない」とは「当該安定同位体元素を天然存在比で有する」ことを意味するものとする。
ポリペプチドP10の混合物に即して具体的に言えば、ラベリング比率が10%であるX1に対するアミノ酸カクテルx1としては、安定同位体元素を有するX1’の1重量部と当該安定同位体元素を含まないX1の9重量部とを混合して、安定同位体元素を有するX1’の含有率が10%であるアミノ酸カクテルx1を調製することである。X2〜X10についても同様に、それぞれのラベリング比率と同じ値の含有率でそれぞれ安定同位体元素を有するアミノ酸を含むアミノ酸カクテルx2〜x10を用意する。
このアミノ酸カクテルx1〜x10を原料として用いて、既に決定したアミノ酸配列X1−X2−・・・・−X9−X10からなるポリペプチドP10を、当業者に公知の方法を用いて合成する。
以上の操作によって、先に決定されたアミノ酸配列ならびに設定されたラベリング比率を各アミノ酸残基について有するポリペプチドP10の混合物を製造する。このポリペプチドP10の混合物を一本のポリペプチドP10として眺めれば、そのポリペプチドP10は、X1−X2−・・・−X9−X10というアミノ酸配列からなり、アミノ酸残基X1、X2・・・X9、X10はそれぞれ10%、20%・・・90%、100%というラベリング比率に比例した強度のNMRシグナルを与えるポリペプチドということができる。
3)ポリペプチドP10’の合成
ポリペプチドP10の混合物とは別に、アミノ酸配列X1−X2−・・・・−X9−X10からなり、各アミノ酸残基の安定同位体元素によるラベリング比率が同一、例えば10%である、ラベル化されたポリペプチドP10’の混合物を合成する。
すなわち、ポリペプチドP10’の混合物は、ポリペプチドP10と同じアミノ酸配列からなるが、10残基全てが同一のラベリング比率を有する点で、ポリペプチドP10の混合物とは異なるポリペプチドの混合物である。
このポリペプチドP10’の合成は、X1〜X10それぞれについて、安定同位体元素を有するアミノ酸X’と当該安定同位体元素を有しない同じアミノ酸Xとを混合して、上記で設定したラベリング比率と同じ重量%の安定同位体元素を有するアミノ酸X’を含むアミノ酸混合物x1’〜x10’(以下、アミノ酸カクテルx1’〜x10’と表す)を用いて行えばよい。
例えばラベリング比率を10%とするには、安定同位体元素を有するアミノ酸1重量部と当該安定同位体元素を含まないアミノ酸9重量部とを混合して、安定同位体元素を有するアミノ酸の含有率が10%であるアミノ酸カクテルを調製することである。これをX1〜X10それぞれについて行えばよい。
このアミノ酸カクテルx1’〜x10’を原料として用いて、既に決定したアミノ酸配列X1−X2−・・・・−X9−X10からなるポリペプチドP10’を、当業者に公知の方法を用いて合成する。
なお、上記の例ではラベリング比率を10%としたが、この値は任意に設定することができる。また、当該安定同位体元素を有しないアミノ酸X1〜X10を用いてポリペプチドP10’を合成してもよい。この場合には、全アミノ酸残基のラベリング比率を0とする、すなわち、ポリペプチドP10の混合物の合成で用いた安定同位体元素の天然存在比をラベリング比率とすることを意味する。
4)NMRスペクトルの測定
上記の2)で合成したポリペプチドP10の混合物、ならびに上記の3)で合成したポリペプチドP10’の混合物それぞれの等量物について、共通する測定条件下でNMRスペクトル、典型的にはH−15N HSQCスペクトルを測定し、シグナルを得る。
共通する測定条件下でポリペプチドP10の混合物から得られるNMRシグナルとポリペプチドP10’の混合物から得られるNMRシグナルは、いずれも同一アミノ酸配列からなるポリペプチドであるために、同一のパターンからなる合計10個のHSQCスペクトルが観察されることになる。一方、ポリペプチドP10の混合物から得られるNMRシグナルとポリペプチドP10’の混合物から得られるNMRシグナルとの間でそれぞれ対応するシグナル間のシグナル強度は、ポリペプチドP10の混合物におけるラベリング比率に比例して異なる。具体的には、ポリペプチドP10の混合物から得られるNMRシグナルとポリペプチドP10’の混合物から得られるNMRシグナルとの間の10個の対応スペクトル間のシグナル強度の比は、1:1〜10:1になる。
この対応スペクトル間のシグナル強度の比率は、ポリペプチドP10の混合物とポリペプチドP10’の混合物における各対応アミノ酸残基のラベリング比率の相違と同じものである。従って、シグナル強度の比が1:1であるシグナルはアミノ酸残基X1由来のシグナルであると帰属することができ、シグナル強度の比が2:1であるシグナルはアミノ酸残基X2由来のシグナルであると帰属することができる。同様の計算を繰り返せば、測定されたNMRスペクトルのX1〜X10のアミノ酸残基への帰属を、シグナル強度の比をもって一義的に帰属させることができる。この方法において、ポリペプチドP10’の混合物について得られるNMRシグナルは、アミノ酸配列X1−X2−・・・−X9−X10からなるタンパク質の、前記の共通する測定条件下で得られるシグナル強度に関するコントロール値の役割を果たすものとなる。
B)4アミノ酸残基(X2、X4、X6、X8)についてのシグナル帰属を行う場合
1)アミノ酸配列の決定
上記Aと同じである。なお、シグナル帰属を行おうとするアミノ酸残基の種類、配列上の位置には特に制限はない。
2)ポリペプチドP10の合成
ポリペプチドP10を構成する全てのアミノ酸残基ではなく、幾つかの特定のアミノ酸残基に関してのみシグナル帰属を行おうとするときは、その対象とするアミノ酸残基が他の全てのアミノ酸残基とは異なるラベリング比率を有するようにラベリング比率を設定し、ポリペプチドP10の混合物を合成すればよい。例えば、シグナル帰属を行おうとする4つのアミノ酸残基、X2、X4、X6、X8について、安定同位体元素によるラベリング比率をX2:20%、X4:40%、X6:60%、X8:80%等のように設定し、合成すればよい。ここで、ラベリング比率は前記A)と同義である。
この様に、ポリペプチドを構成するアミノ酸残基の幾つかのみを対象とする場合、安定同位体元素によるラベル化は、対象とするアミノ酸残基だけについて行えばよく、対象ではないアミノ酸残基をラベル化することは特に必要ではない。ただし、対象とするアミノ酸残基に対して設定したラベリング比率とは異なるラベリング比率であれば、対象外のアミノ酸残基をラベル化するのは差し支えない。例えば、X1、X3、X5、X7、X9全部についてラベリング比率10%としてもよく、20%、40%、60%、80%以外のラベリング比率をそれぞれ違えて設定してもよい。
また、上記の例では残基間のラベリング比率の差を20%づつ異なる様に設定したが、その様に設定することも、アミノ酸配列に沿って漸次的に増加あるいは減少させることも必ずしも必要ではなく、ラベリング比率はその値ならびに変動パターンにおいて全く任意に設定することができる。
X2、X4、X6、X8それぞれについて、安定同位体元素を有するアミノ酸X’と当該安定同位体元素を有しない同じアミノ酸Xとを混合して、先に設定したラベリング比率と同じ重量%の安定同位体元素を有するアミノ酸X’を含むアミノ酸混合物x2、x4、x6、x8を調製する。この調製は上記A)と同様に行えばよい。
X1、X3、X5、X7、X9ならびにX10についてラベリング比率0%(用いる安定同位体元素の天然存在比)と設定したときは、当該安定同位体元素を有しないアミノ酸のみからなるアミノ酸カクテルを用いてポリペプチドP10の混合物を合成する。なお、X1、X3、X5、X7、X9ならびにX10についてもラベリング比率を設定したときは、その設定に基づいて上記と同様にアミノ酸カクテルx1、x3、x5、x7、x9、x10を用意すればよい。なお、「当該安定同位体元素を有しない」の意味は、前記A)と同じである。
このアミノ酸カクテルx1〜x10を原料として用いて、既に決定したアミノ酸配列X1−X2−・・・・−X9−X10からなるポリペプチドP10の混合物を、当業者に公知の方法を用いて合成する。
以上の操作によって、先に決定されたアミノ酸配列ならびに設定されたラベリング比率を各アミノ酸残基について有するポリペプチドP10の混合物を製造する。このポリペプチドP10の混合物を一本のポリペプチドとして眺めれば、そのポリペプチドは、X1−X2−・・・−X9−X10というアミノ酸配列からなり、アミノ酸残基X2、X4、X6、X8はそれぞれ20%、40%、60%、80%というラベリング比率に比例した強度のNMRシグナルを与えるポリペプチドということができる。
3)ポリペプチドP10’の合成
ポリペプチドP10の混合物とは別に、アミノ酸配列X1−X2−・・・・−X9−X10からなり、アミノ酸残基X2、X4、X6、X8の各アミノ酸残基の安定同位体元素によるラベリング比率が同一、例えば10%であり、かつ他のアミノ酸残基のラベリング比率が対応するポリペプチドP10のアミノ酸残基のラベリング比率と同じである、ラベル化されたポリペプチドP10’の混合物を合成する。
すなわち、ポリペプチドP10’の混合物は、ポリペプチドP10と同じアミノ酸配列からなるが、アミノ酸残基X2、X4、X6、X8全てが同一のラベリング比率を有する点のみで、ポリペプチドP10の混合物とは異なるポリペプチドの混合物である。
このポリペプチドP10’の混合物の合成は、X2、X4、X6、X8それぞれについて、安定同位体元素を有するアミノ酸X’と当該安定同位体元素を有しない同じアミノ酸Xとを混合して、上記で設定したラベリング比率と同じ重量%の安定同位体元素を有するアミノ酸X’を含むアミノ酸混合物x2’、x4’、x6’、x8’(以下、アミノ酸カクテルx2’、x4’、x6’、x8’と表す)と、X1、X3、X5、X7、X9及びX10については、ポリペプチドP10の混合物の合成に使用したアミノ酸カクテルと同じラベリング比率としたものを用いて行えばよい。
アミノ酸カクテルの調製、ポリペプチドの合成は、前記Aと同じである。
なお、上記の例ではラベリング比率を10%としたが、この値は任意に設定することができる。また、当該安定同位体元素を有しないアミノ酸X1〜X10を用いてポリペプチドP10’の混合物を合成してもよい。この場合には、全アミノ酸残基のラベリング比率を0とする、すなわち安定同位体元素の天然存在比をラベリング比率とすることを意味する。
4)NMRスペクトルの測定
上記の2)で合成したポリペプチドP10の混合物、ならびに上記の3)で合成したポリペプチドP10’の混合物それぞれの等量物について、共通する測定条件下でNMRスペクトル、典型的にはH−15N HSQCスペクトルを測定し、シグナルを得る。
共通する測定条件下でポリペプチドP10の混合物から得られるNMRシグナルとポリペプチドP10’の混合物から得られるNMRシグナルは、いずれも同一アミノ酸配列からなるポリペプチドであるために、同一のパターンからなる合計4〜10個のHSQCスペクトルが観察されることになる。一方、ポリペプチドP10の混合物から得られるNMRシグナルとポリペプチドP10’の混合物から得られるNMRシグナルとの間には、対応するシグナル間でシグナル強度の異なる4つのシグナルが観察される。ポリペプチドP10とポリペプチドP10’との相違はX2、X4、X6、X8の各ラベリング比率のみであるから、これら4つのシグナルはX2、X4、X6、X8のシグナルを表していることになる。さらに対応シグナル間の強度は、ポリペプチドP10の混合物におけるラベリング比率に比例して異なっているはずである。具体的には、ポリペプチドP10の混合物から得られるNMRシグナルとポリペプチドP10’の混合物から得られるNMRシグナルとの間の4つの対応スペクトル間のシグナル強度の比は、2:1〜8:1になる。
この対応スペクトル間のシグナル強度の比率は、ポリペプチドP10の混合物とポリペプチドP10’の混合物における各対応アミノ酸残基のラベリング比率の相違と同じものである。従って、シグナル強度の比が2:1であるシグナルはアミノ酸残基X2由来のシグナルであると帰属することができ、シグナル強度の比が4:1であるシグナルはアミノ酸残基X4由来のシグナルであると帰属することができる。同様の計算を繰り返せば、測定されたNMRスペクトルのX6、X8のアミノ酸残基への帰属を、シグナル強度の比をもって一義的に帰属させることができる。この方法において、ポリペプチドP10’の混合物について得られるNMRシグナルは、アミノ酸配列X1−X2−・・・−X9−X10からなるタンパク質の、前記の共通する測定条件下で得られるシグナル強度に関するコントロール値の役割を果たすものとなる。
上記A)B)に説明した本発明のNMRシグナルの帰属法において利用可能な安定同位体元素としては、15N、13C、Hなどを挙げることができる。タンパク質等の立体構造解析の基本として多用されることや、スペクトル上でのシグナルの単純さ、さらには安価であること等を勘案すれば、安定同位体元素としては15Nの利用が好ましい。
また一アミノ酸(アミノ酸残基)における安定同位体元素によるラベル化のの位置にも特別の制限はなく、一つのアミノ酸を構成する全ての窒素原子、炭素原子もしくは非交換性の水素原子を、それぞれ15N、13CもしくはHによってラベル化してもよいし、特定の位置にある窒素原子等だけをラベル化してもよい。例えば、ペプチド結合を構成する窒素原子、炭素原子あるいは水素原子を選択的にラベル化してもよい。
本発明では、NMR測定によって得られるシグナルの帰属を行おうとするアミノ酸残基は、少なくとも全て同じ安定同位体元素を用いてラベル化する必要がある。上記A)で言えば、X1、X2・・・X9、X10は全て、例えばその窒素原子(窒素原子を側鎖に持たないアミノ酸ではペプチド結合を構成する窒素原子)を15Nでラベル化する必要があり、また上記B)ではX2、X4、X6、X8は全て、例えばそれらを構成する炭素原子を13Cでラベル化する必要がある。言い換えれば、測定対象とするアミノ酸残基は必ず共通する少なくとも一種の安定同位体元素でラベル化されている必要がある。ただし、同時に別種の安定同位体元素が一つのアミノ酸残基中にあるいはポリペプチド中に共存(二重標識化)していてもよい。例えば、一部あるいは全てのアミノ酸が、15Nによるラベル化に加えて、13CやHでラベル化されていてもよい。
15Nや13Cでラベル化されたアミノ酸は既に市販されており、本発明ではかかる市販のラベル化されたアミノ酸を利用することができる。また安定同位体元素を有する適当な化合物から、当業者に公知の方法に従って新たに所望のラベリングされたアミノ酸を合成し、これを用いても良い。また、15Nや13Cを唯一の窒素源あるいは炭素源とする培地で適当な微生物を培養して、ラベル化されたアミノ酸を製造させてもよい。
アミノ酸カクテルを用いたポリペプチド混合物の製造自体は、無細胞蛋白合成系や有機化学的手法などの当業者に公知の方法のいずれも利用することができるが、本発明では有機化学合成的手法、特にペプチドシンセサイザーを用いた合成が好ましい。
ペプチドシンセサイザーを用いたポリペプチドの合成では、原料となるアミノ酸はFmocやtBocなどの保護基によって修飾されたアミノ酸を用いることとなるが、かかる保護基を有する修飾アミノ酸においても、安定同位体元素でラベル化された修飾アミノ酸などは既に市販されており、当業者が容易に入手可能である。
本発明では、これまでに報告されている多数の測定方法を利用することが出来る。その一部の例としては、異種核多次元NMR測定法であれば、HSQC、HMQC等を、同種核多次元NMR測定法であれば、COSY等を挙げることができるが、これらには限られない。
分子量2万を越えるようなタンパク質を測定対象とするときは、TROSY効果(Pervushin, K., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 1997年、第94巻、12366−12371頁)を用いた測定法を利用することにより、感度の減少を抑えることが可能である。
これらの情報を用いてChemical Shift Index法(Wishart、D.,Methods in enzymol. 2001年、第338巻、3−34頁)を用いることにより、目的蛋白質の2次構造が推定できる。
また、H−15N HSQCの全シグナルが帰属できることより、Residual Dipolar Coupling法(Bax et a1.、Methods in Enzymol. 339 (2001) 127-174)の測定を行うことが可能であり、目的蛋白質の立体構造情報を得ることができる。
また、本発明の帰属方法を行うために用いられる安定同位体元素でラベル化されたアミノ酸と当該安定同位体元素を含まないアミノ酸を組み合わせた試薬キットが、本発明に基づいて提供され得る。ペプチドシンセザイザーを用いたポリペプチドの合成様としては、tBocやFmoc等の適当な保護基で修飾された上記アミノ酸が含まれる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
アワヨトウ由来の成長因子機能を有するポリペプチド(Growth-Blocking Peptide、GBP、Tada M. et al., J. Biol.Chem., 2003年、第278巻、第10778−10783頁)を合成する目的で、そのアミノ酸配列を次の様に決定した。
ENFSGGCVAGYMRTPDGRCKPTFYQ(配列番号1)
次に、上記アミノ酸配列において4つのグリシン(G5、G6、G10、G17)の各アミノ酸残基のシグナル帰属を目的として、ラベリング比率をG5:20%、G6:40%、G10:60%、G17:80%とそれぞれ設定した。
グリシンのアミノ基のNが15Nでラベル化された化学合成用Fmoc修飾グリシン(Canbridge Isotope Laboratories社製)と、15Nでラベル化されていない化学合成用Fmoc修飾グリシン(島津製作所製)を用意し、両者を混合して、ラベル化されたグリシンの含有量が20%、40%、60%、80%である4つのアミノ酸カクテルをそれぞれ調製した。また、上記アミノ酸配列における4つのグリシン残基以外のアミノ酸残基それぞれに対するアミノ酸カクテルは、いずれも15Nでラベル化されていないFmoc修飾各アミノ酸を用意した。
これらのアミノ酸カクテルをセットしたペプチドシンセサイザー(島津製作所製)を用いて、上記アミノ酸配列からなるポリペプチド混合物を調製し、定法に従って精製し、保護基を外して、4つのグリシン残基のみがそれぞれ異なるラベリング比率で15Nでラベル化されたGBP混合物を得た。
配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるタンパク質GBPをコードする遺伝子をプラスミドベクターpET32のBglII/HindIIIサイトに組み込んだ発現ベクターを用いて、大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。この発現ベクターは、BglII/HindIIIサイトに組み込まれたGBPをコードする遺伝子をT7プロモーターの機能下において発現し、それにより組換え宿主にGBPを生産させることができる。
上記の形質転換体を、15Nを唯一の窒素源とするM9培地でOD=0.6となるまで培養した後に、1mMのIPTGを培地に添加してGBPを誘導、発現させた。Tadaら(前記)の方法に従って組み換え体GBPを宿主細胞から回収、精製した。組換え宿主を15Nを唯一の窒素源とした培地で培養したことにより、該宿主が生産する組み換え体GBPの15Nによるラベリング比率は、全てのアミノ酸残基で100%となる。
実施例1で調製したGBP混合物と上記の組み換え体GBPを0.3mMとなるよう10%重水水溶液にそれぞれ別に溶解して、NMR測定用試料を用意し、H−15N HSQCスペクトルをBruker社製NMR測定装置(500Mz)を利用して測定した。GBP混合物のH−15N HSQCスペクトルを図1に、組み換え体GBPのH−15N HSQCスペクトルを図2にそれぞれ示す。
図1では、15Nでラベル化した4つのグリシン残基に由来するシグナルが4種類(A〜D)観察されている。一方、図2は組み換え体GBPを構成するアミノ酸残基のうちプロリンを除く他のアミノ酸残基に由来するシグナルが観察されている。このうち、シグナルのイ〜ニが、図1のA〜Dにそれぞれ対応していることが分かる。
図2のイ〜ニのシグナル強度を計算した結果を図3に、図1のA〜Dのシグナル強度を計算した結果を図4に、A〜Dとイ〜ニでそれぞれ対応するシグナル間の強度比を算出した結果を図5に示す。この結果から、図1のシグナル強度に対して約20%の強度を示すシグナルDがG5、約40%の強度を示すシグナルCがG6、約60%の強度を示すシグナルAがG10、約80%の強度を示すシグナルDがG17と決定された。
GBP混合物についてのH−15N HSQCスペクトルである。 組み換え体GBPについてのH−15N HSQCスペクトルである。 図2のシグナルイ〜ニそれぞれのシグナル強度を示す。 図1のシグナルA〜Dそれぞれのシグナル強度を示す。 シグナルイ〜ニとシグナルA〜Dのそれぞれのシグナル強度比を示す。

Claims (6)

  1. 下記の工程を含む、ポリペプチドを対象としたNMR測定法により得られたシグナルの帰属方法:
    1)n個のアミノ酸残基からなるポリペプチドPnのアミノ酸配列X1−・・・−Xnを決定する工程、ここでXは任意のアミノ酸を、nは2以上の任意の整数を示す、
    2)アミノ酸X1、X2、・・・Xnにそれぞれ対応する合成用アミノ酸カクテルx1、x2、・・・xnを用いて、1)で決定したアミノ酸配列X1−・・・−Xnからなる安定同位体元素によりラベル化されたポリペプチドPnの混合物を合成する工程、ここで該カクテルは安定同位体元素でラベル化されたアミノ酸と当該安定同位体元素でラベル化されていないアミノ酸との混合物であり、かつ前記ポリペプチドPnを対象としたNMR測定で得られるシグナルの帰属を行おうとするアミノ酸残基に対応するアミノ酸カクテルにおけるラベル化されたアミノ酸の含有比率が、他の全てのアミノ酸残基に対応するアミノ酸カクテルにおけるラベル化されたアミノ酸の含有比率とは異なる、
    3)アミノ酸X1、X2、・・・Xnにそれぞれ対応する合成用アミノ酸カクテルx1’、x2’、・・・xn’を用いて、1)で決定したアミノ酸配列X1−・・・−Xnからなる安定同位体元素によりラベル化されたポリペプチドPn’の混合物を合成する工程、ここで該カクテルは安定同位体元素でラベル化されたアミノ酸と当該安定同位体元素でラベルされていないアミノ酸との混合物であり、かつ前記ポリペプチドPnを対象としたNMR測定で得られるシグナルの帰属を行おうとするアミノ酸残基に対応するアミノ酸カクテルにおけるラベル化されたアミノ酸の含有比率が全て同一である、
    4)2)で合成したポリペプチドPnの混合物と3)で合成したポリペプチドPn’の混合物についてそれぞれNMR測定を行う工程、及び
    5)4)で得られたそれぞれ対応するシグナル間のシグナル強度比を計算して、各シグナルの帰属を決定する工程。
  2. 安定同位体元素が15N、13C及びHよりなる群から選ばれる一以上の安定同位体元素である、請求項1に記載のシグナルの帰属方法。
  3. アミノ酸を構成する全ての窒素原子、炭素原子もしくは非交換性の水素原子が、それぞれ15N、13CもしくはHによってラベル化されたアミノ酸を使用する、請求項2に記載のシグナルの帰属方法。
  4. ペプチド結合を形成する窒素原子、炭素原子もしくは水素原子が選択的にそれぞれ15N、13CもしくはHによってラベル化されたアミノ酸を使用する、請求項2に記載のシグナルの帰属方法。
  5. 化学合成用の保護基によって修飾されたアミノ酸のカクテルを使用してポリペプチドPnの混合物及びポリペプチドPn’の混合物を合成する、請求項1に記載のシグナルの帰属方法。
  6. NMR測定法がH−15N HSQC測定法である、請求項2〜4のいずれかに記載のシグナルの帰属方法。
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