JP2007255478A - グロメットを設けたガスケットの構造とそのガスケットの修正方法および装置 - Google Patents

Abstract

【課題】相手部品表面に疵をつけることや面圧が不均一になることがないように改良したガスケット、およびその不具合に対処するガスケットの修正方法とその手段を提供する。
【解決手段】ガスケット本体（２）の一面に接する平面部（６ａ）と穴部（Ｂ）内周に嵌る筒状部（６ｂ）とよりなる板材成形品（６）を穴部（Ｂ）に挿入し、その筒状部（６ｂ）の端面を先開き形状に拡径して押圧しガスケット本体（２）の他面側に圧着してグロメット（５）を成形し、さらにその押圧によって前記平面部（６ａ）側に生じた変形突出部（ｄ）を球面状の工具（１２）で押圧して平坦に成形する。
【選択図】図３

Description

本発明は、例えば、エンジンのシリンダヘッドガスケットなどの穴部周縁にグロメットを設けたガスケットの構造とその修正方法および装置に関する。

例えば、エンジンのシリンダブロックとシリンダヘッド間に介装されるシリンダヘッドガスケットにおいては、シリンダボア部や水・オイル通路となる穴の周縁部にはグロメットが設けられ、板状材の重ね合わされたガスケット本体間の内部へ該穴部からガス・水等が侵入するのを防止し、かつその周縁部の接触面圧を高めて穴側から接面へのガス洩れ、水洩れの防止を図っている。

図１に、シリンダヘッドガスケット１のグロメット部の一例を示す。図において、符号Ｂはシリンダボア部、Ｗは水穴を示している。ボア部Ｂの周縁にはグロメット５が設けられており、その断面ａ−ａを図２に示す。
図２において、ガスケット本体２は、上面板２ａ、下面板２ｂ、およびその間に挟まれた中間板２ｃ、・・によって構成されており、シリンダヘッドＨが取り付けられ、所定締め付けトルクで締め付けられた状態で所定厚さとなるように構成されている。そして、図示のように、ガスケット上面板２ａおよび下面板２ｂのボア部周縁にはそれぞれ外方に向け突出したビードｂ、ｂが該ボア部Bを一周して形成されており、グロメット５はコ字状の断面に形成されてそのビード部ｂ、ｂを挟んでボア部Ｂ内周に沿ってガスケット本体１に装着されている。

図２は、上記ガスケット１をシリンダブロックＣとシリンダヘッドＨ間に装着した状態を示しており、ガスケット１のグロメット５がシリンダライナ鍔部Ｆとシリンダヘッド下面Ｈ１間に介装されて、主として前記ビード部ｂ、ｂの弾性変形による反力でシリンダヘッドＨおよびライナ鍔部Ｆを押圧し、ボア部周縁に沿って高面圧としシリンダ内の燃焼圧に抗しガスシールを果たしている。

次に、図７〜図９を参照し、上記グロメット５をガスケット本体２のボア部周縁に装着する手順を説明する。まず、図７に示すように、板状材で成形された（ガスケットの上又は下のいずれか）一方のボア部周縁となる平面部６ａとボア部内周に嵌る円筒状部６ｂとからなるグロメット粗形材６をガスケット本体１のボア部Ｂに挿入する。
そして、他方側の円筒状端部を先端押圧面１６ａが円錐形状の工具１６を用い押圧してテーパ状に拡径する（図８参照）。次に、先端押圧面が平坦な工具１７により押圧してそのグロメットの断面形状をコ字形状とし、ガスケット本体（のビード部ｂ、ｂ）をその内側に包み込み、グロメット５をガスケット本体２のボア部Ｂ内周に沿って圧着させる。
以上の手順によってグロメットが形成され、それぞれの穴部（Ｂ、Ｗ、・・・）に各グロメットが装着されている。
実開平６−６８２９号公報

上記手順でグロメット５をガスケット本体２に装着させた場合、グロメットの接面５ａの平坦度の確保が難しく、図１０に示すように成形時の押圧によってその対向面側に変形突出部（以下、凸部という）ｄが生じ易い。このような凸部ｄは、ガスケット１が装着されるシリンダヘッドＨやシリンダブロックＣ（シリンダライナ鍔部Ｆ）に疵をつけ、さらにはシリンダヘッドＨがボルトで締め付けられたときに面圧の不均一となって（図１１に示すようにビードｂの上下部分ｃが高面圧となってガスシールをするが、ビード位置とはずれた位置に凸部ｄが生じると面圧が不連続となる。）ガス洩れを生じるなどの不具合発生の要因となっていた。

本発明は、上記不具合に対処し、ガスケットに穿設された穴部の周縁に装着されるグロメットの表面を平坦に保ち、相手部品表面に疵をつけることや面圧が不均一になることがないように改良したガスケット、およびその不具合に対処するガスケットの修正方法とその手段を提供することを目的としている。

本発明のガスケットの構造は、複数枚の板材（２ａ、２ｂ、・・・）を重ね合わせたガスケット本体（２）に穿設された穴部（Ｂ）の周縁に沿い、その板材の上下面を包み込んでグロメット（５）が設けられているガスケット（１）において、前記グロメット（５）は、前記ガスケット本体（２）の上下いずれか一面に接する平面部（６ａ）と前記穴部内周に嵌る筒状部（６ｂ）とよりなる板材成形品（６）を前記穴部（Ｂ）に挿入し、その筒状部（６ｂ）の端面を先開き形状に拡径して押圧しガスケット本体（２）の他面側に圧着して成形され、さらにその押圧によって前記平面部（６ａ）側に生じた変形突出部（ｄ）を球面状の工具（１２）で押圧して平坦に成形されたものである。

本発明のガスケットの修正方法は、複数枚の板材（２ａ、２ｂ、・・・）を重ね合わせたガスケット本体（２）に穿設された穴部（Ｂ）の周縁に沿い、その板材の上下面を包み込んでグロメット（５）が設けられているガスケット（１）におけるそのグロメット（５）の成形に伴う変形突出部（ｄ）の修正方法であって、球面状と円錐状のいずれかで前記グロメットの変形突出部（ｄ）に当接する形状を先端に有する治具（１２または１３）を用い、グロメットの変形突出部（ｄ）をその治具（１２または１３）で押圧して変形を修正する。

本発明のガスケットの修正装置は、複数枚の板材（２ａ、２ｂ、・・・）を重ね合わせたガスケット本体（２）に穿設された穴部（Ｂ）の周縁に沿い、その板材の上下面を包み込んでグロメット（５）が設けられているガスケット（１）におけるそのグロメット（５）の成形に伴う変形突出部（ｄ）の修正装置であって、変形突出部（ｄ）を押圧する治具（１２または１３）は、その先端部の押圧面（１２ａまたは１３ａ）の形状が球面状と円錐状のいずれかで前記グロメットの変形突出部（ｄ）に当接する形状に形成されている。

または、前記変形突出部（ｄ）を押圧する治具（１４）は、その先端部の押圧面（１４ａ）の径方向外方に向けて突出した口開き防止用突起部（１４ｂ）を設けている。

上記構成による本発明の作用効果は下記の通りである。
（１） グロメットの成形時に生じる変形突出部を簡単な装置によって修正することができる。
（２） この修正方法によって修正されたガスケットによれば、相手側部品表面を疵つける恐れがなくなり、また、表面が平坦化され、所定面圧が確保できて洩れの発生を防止できる。例えば、グロメットの内部にビードを設け、該部の弾性変形で面圧を確保している場合に、変形突出部によって面圧が不連続になり洩れの原因となるのが防止される。
（３） 成形時の押圧によって生じるグロメットの口開きを防止できる。

以下、図面を参照して本発明のガスケットの構造の実施形態を、修正方法およびその装置を含めて説明する。なお、前記「背景技術」の項で説明した従来技術によるガスケットの構成部品と同様な部品については同じ符号を付し、重複した説明は省略する。

本発明によるガスケット１０は、前記図７〜図９を参照して説明した手順でグロメット５が製作された状態、すなわち、図１０に示すグロメット表面５ａに押圧方向に凸部ｄが生じている状態から、さらに以下の手段が施されて該表面５ａの平坦度が確保されている。

図３は、本発明の修正装置の一実施形態を示している。図において、治具下型１１にはガイドピン１１ａが立設されており、そのガイドピン１１ａに案内されて押圧面１２ａが球面状に形成された治具上型１２が押し下げられ、グロメット５の前記凸部ｄを押圧し、平坦に均すように構成されている。グロメット５は、前記粗形材６の円筒状部６ａ側から押圧されて（図８、９）、その反対方向（平面部６ａ側）が突出しているので、この工程では、ガスケット５は、押圧治具に対して（図９からは）反転してセットされる。なお、この上型１２の押圧面１２ａは、グロメット５の前記凸部ｄに当接するような曲率半径を選択した球面形状とされている。

また、図４は上型１３の押圧面１３ａをテーパ状とした実施形態を示している。ここで、テーパ角度θを適正に選択し、凸部ｄに接して押圧するように形成すれば、このようなテーパ面の治具で修正装置とすることができる。

本発明によれば、以上の工程によって、グロメット５は、その上下表面が平坦に均され、相手側接面を疵付ける恐れがなくなり、また、図１１に示すビード部ｂ、ｂを挟んだ面圧の高い位置ｃの平坦度が確保されてガス洩れを生じる恐れがなくなる。

しかしながら、上記手順によって、凸部ｄを押圧した場合に、凸部ｄが均されるのに伴って対向側に図５に示すように、グロメット５に、いわゆる口開きの状態が生じることがある。
この不具合に対しては、図６に示す手段および修正方法を適用して対処する。図において、上型１４には、球面形状に形成された押圧面１４ａの径方向外方に口開き防止用の突起部１４ｂが設けられている。
このように構成することにより、口開き防止用突起部１４ｂがグロメットの幅全体を押圧し、口開きを解消することができる。なお、この実施形態は、前記図３および図４に示した治具（１２または１３）に換えて実施するのが好ましいが、口開きの発生したものに、追加して実施することでもよい。

なお、以上の説明は、ボア部に装着したグロメットについて行ったが、水穴あるいはオイル穴についても同様に適用されるものであり、また、本発明は、シリンダガスケット以外に対しても適用されるものである。

本発明によるガスケットのグロメットが設けられている穴部近傍を示す平面図。 図１のａ−a断面をシリンダブロック・シリンダヘッド間に介装した状態で示した図。 本発明による修正装置の一実施形態を説明する断面図。 修正装置の別の実施形態を説明する断面図。 グロメットの口開き状態を説明する断面図。 修正装置のさらに別の実施形態を説明する断面図。 グロメット装着の第１工程を示す図。 図７の次の工程を示す図。 図８の次の工程を示す図。 凸部を示すグロメットの断面図。 ビード部によるグロメット外面の当たりを説明する図。

符号の説明

１・・・ガスケット
２・・・ガスケット本体
５・・・グロメット
１１・・・下型
１２、１３、１４・・・上型
Ｂ・・・ボア部
Ｗ・・・水穴

Claims (4)

1. 複数枚の板材を重ね合わせたガスケット本体に穿設された穴部の周縁に沿い、その板材の上下面を包み込んでグロメットが設けられているガスケットにおいて、前記グロメットは、前記ガスケット本体の上下いずれか一面に接する平面部と前記穴部内周に嵌る筒状部とよりなる板材成形品を前記穴部に挿入し、その筒状部の端面を先開き形状に拡径して押圧しガスケット本体の他面側に圧着して成形され、さらにその押圧によって前記平面部側に生じた変形突出部を球面状の工具で押圧して平坦に成形されたものであることを特徴とするガスケットの構造。
2. 複数枚の板材を重ね合わせたガスケット本体に穿設された穴部の周縁に沿い、その板材の上下面を包み込んでグロメットが設けられているガスケットにおけるそのグロメットの成形に伴う変形突出部の修正方法であって、球面状と円錐状のいずれかで前記グロメットの変形突出部に当接する形状を先端に有する治具を用い、グロメットの変形突出部をその治具で押圧して変形を修正することを特徴とするガスケットの修正方法。
3. 複数枚の板材を重ね合わせたガスケット本体に穿設された穴部の周縁に沿い、その板材の上下面を包み込んでグロメットが設けられているガスケットにおけるそのグロメットの成形に伴う変形突出部の修正装置であって、変形突出部を押圧する治具は、その先端部の押圧面の形状が球面状と円錐状のいずれかで前記グロメットの変形突出部に当接する形状に形成されていることを特徴とするガスケットの修正装置。
4. 前記変形突出部を押圧する治具は、その先端部の押圧面の径方向外方に向けて突出した口開き防止用突起部を設けている請求項３のガスケットの修正装置。

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